JP2008103763A - フレキシブル配線板の表面保護膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)一般式(IV)で表されるカーボネートジオール類と一般式(V)で表されるジイソシアネート類とを反応させて得られるジイソシアネート化合物を用いて得られる熱硬化性樹脂と、(B)無機及び/又は有機微粒子とを含む熱硬化性樹脂ペーストを、フレキシブル配線板のメッキ処理された配線パターンに印刷する工程と、遠赤外線加熱装置を用いて該フレキシブル配線板の露出部の表面温度が110〜130℃となる温度で5〜15分加熱して前記熱硬化性樹脂ペーストを熱硬化させて表面保護膜を形成する工程と、
を備える、フレキシブル配線板の表面保護膜の形成方法。
【化1】
OCN−X−NCO(V)
【選択図】なし
Description
近年、電子機器の小型化、薄型化、高速化への対応から、フレキシブル配線板の配線ピッチはより一層ファイン化しており、信頼性の維持又は向上を図るために上記した保護膜端部へのメッキ成分の浸透を完全に無くす熱硬化性樹脂ペースト及びフレキシブル配線板製造方法が求められている。例えば、十分な耐熱性を有し、耐はんだフラックス性、耐スズメッキ液性等の耐薬品性に優れる熱硬化性樹脂ペーストとしては、ポリイミドシロキサン、エポキシ樹脂及びタルクを含有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、上記の課題を解決する他の方法として、フレキシブル配線板の配線パターン部の全てを予めメッキ処理してから、接続される配線パターン部分を除いて熱硬化性樹脂ペーストをスクリーン印刷、熱硬化させる先メッキ法がある。この方法は保護膜がメッキ工程を通らないため、保護膜端部へメッキ成分が浸透することは全く無いが、熱硬化性樹脂ペーストを硬化する際の熱によってメッキ層が配線へ拡散し、硬化後にはメッキ層が無くなってしまう問題がある。配線は一般的にCuであるが、Cuの表面にあるメッキ層は熱硬化性ペーストの硬化熱でCuへ拡散して合金化するため、保護膜の無い配線部分を接続する際に、接続温度が高くなったり、配線の柔軟性が低下する問題がある。上記の特許文献1に記載された保護膜形成方法においても、樹脂ペーストの乾燥、硬化には、80℃で30分、次いで150〜160℃で60分の加熱という高温加熱が必要である。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストは、回転型粘度計での粘度が25℃で0.5Pa・s〜500Pa・s、チキソトロピー係数が1.1以上であることが好ましい。また、本発明の熱硬化性樹脂ペーストは、硬化膜としたものの5%重量減少温度が250℃以上であることが好ましい。
また、本発明は、表面保護膜を有し、配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板であって、表面保護膜が、上記の熱硬化性樹脂ペーストをフレキシブル配線板の表面に塗布し、遠赤外線加熱装置を用いて加熱して硬化膜としたものであるフレキシブル配線板に関する。
また、本発明の熱硬化性樹脂ペーストを用いたフレキシブル配線板は、上記の優れた特性を兼ね備えたフレキシブル配線板である。
更に、本発明の熱硬化性樹脂ペーストは遠赤外線硬化炉を用いて硬化することにより、5〜15分の短時間で均一に硬化でき、あわせて非常に経済的に効率のよい生産システムを提供するものである。
酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸(a′)としては、特に制限はないが、例えば、一般式(III)
で表されるテトラカルボン酸二無水物を使用することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
で表されるカーボネートジオール類と一般式(V)
OCN−X−NCO (V)
[式中、Xは、炭素数1〜18のアルキレン基又はフェニレン基等のアリーレン基(これはメチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基を置換基として有していてもよい)を示す]
で表されるジイソシアネート類とを無溶媒あるいは有機溶媒中で反応させることにより得られる(b)。
また、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルメキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネート及び3官能以上のポリイソシアネートを用いてもよく、経日変化を避けるために必要なブロック剤で安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としては、アルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
反応は、無溶媒あるいは有機溶媒の存在下で行うことができる。反応温度は、60〜200℃とすることが好ましく、反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件などにより適宜選択することができる。
なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値である。
(c)成分のポリイソシアネート化合物としては、その総量の50〜100重量%が芳香族ポリイソシアネートであることが好ましく、耐熱性、溶解性、機械特性、コスト面などのバランスを考慮すれば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
また、酸無水物基を有する3価のポリカルボン酸又はその誘導体(a)及び/又は酸無水物基を有する4価のポリカルボン酸(a′)の配合割合は、(b)成分と(c)成分中のイソシアネート基の総数に対する(a)成分及び/又は(a′)成分のカルボキシル基及び/又は酸無水物基の総数の比が0.6〜1.4となるようにすることが好ましく、0.7〜1.3となるようにすることがより好ましく、0.8〜1.2となるようにすることが特に好ましい。この比が0.6未満又は1.4を超えると、イミド結合を含む樹脂の分子量を高くすることが困難となる傾向がある。
上記非含窒素系極性溶媒としてはエーテル系溶媒、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール ジエチルエーテル、トリエチレングリコール ジメチルエーテル、トリエチレングリコール ジエチルエーテル、含硫黄系溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン、エステル系溶媒、例えば、γ−ブチロラクトン、酢酸セロソルブ、ケトン系溶媒、例えば、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、芳香族炭化水素系溶媒、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。生成する樹脂を溶解する溶剤を選択して使用するのが好ましい。合成後、そのままペーストの溶媒として好適なものを使用することが好ましい。高揮発性であって、低温硬化性を付与でき、かつ効率良く均一系で反応を行うためには、γ−ブチロラクトンが最も好ましい。溶媒の使用量は、生成するイミド結合を含む樹脂の0.8〜5.0倍(重量比)とすることが好ましい。0.8倍未満では、合成時の粘度が高すぎて、攪拌不能により合成が困難となる傾向があり、5.0倍を超えると、反応速度が低下する傾向がある。
このようにして得られたイミド結合を含む樹脂の数平均分子量は、4,000〜40,000であることが好ましく、5,000〜38,000であることがより好ましく、6,000〜36,000であることが特に好ましい。数平均分子量が4,000未満であると、耐熱性等の膜特性が低下する傾向があり、40,000を超えると、非含窒素系極性溶媒に溶解しにくくなり、合成中に不溶化しやすい。また、作業性に劣る傾向がある。
また、合成終了後に樹脂末端のイソシアネート基をアルコール類、ラクタム類、オキシム類等のブロック剤でブロックすることもできる。
これらのエポキシ樹脂のうち、1分子中にエポキシ基を3個以上有するアミン型エポキシ樹脂は、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性の向上の点で特に好ましい。
本発明におけるエポキシ樹脂の使用量は、ポリイミド結合を含む樹脂100重量部に対して好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜45重量部、さらに好ましくは3〜40重量部とされる。エポキシ樹脂の配合量が1重量部未満では、硬化性、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性が低下する傾向にあり、50重量部を超えると、耐熱性及び粘度安定性が低下する傾向にある。
エポキシ樹脂の添加方法としては、添加するエポキシ樹脂を予めイミド結合を含む樹脂に含まれる溶媒と同一の溶媒に溶解してから添加してもよく、また、直接添加してもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3,4,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テロラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリテート無水物)、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)などがあり、これらを混合して用いてもよい。
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物と上記芳香族ジアミン化合物とは、ほぼ等モルで反応させることが膜特性の点で好ましい。
これらは、単独又は混合して用いられる。溶解性、低吸湿性、低温硬化性、環境安全性等を考慮するとラクトン類、エーテル類、ケトン類等を用いることが好ましい。
反応温度は80℃以下、好ましくは0〜50℃で行う。反応が進行するにつれ反応液は徐々に増粘する。この場合、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸が生成する。このポリアミド酸を部分的にイミド化してもよく、これもポリイミド樹脂の前駆体に含まれる。
脱水剤を用いて脱水閉環を行う方法は、脱水剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等を用いるのが好ましい。このとき必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジンイミダゾール等の脱水触媒を用いてもよい。脱水剤又は脱水触媒は、芳香族テトラカルボン酸二無水物1モルに対し、それぞれ1〜8モルの範囲で用いることが好ましい。
また、ポリアミドイミド樹脂としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物とイソフタル酸ジヒドラジドを必須成分として含有する芳香族ジアミン化合物とを反応させて得られるポリアミドイミド樹脂が好ましく用いられる。芳香族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族ジアミン化合物としては前記のものが用いられる。イソフタル酸ジヒドラジドの芳香族ジアミン化合物中のモル比は1〜100モル%とすることが好ましい。1モル%未満では変性ポリアミドイミド樹脂に対する耐溶解性が低下する傾向にあり、イソフタル酸ジヒドラジドの含有量が多いと本発明のペーストによって形成される層の耐湿性が低下する傾向にあるので10〜80モル%がより好ましく、20〜70モル%が特に好ましく用いられる。このポリアミドイミド樹脂は芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物との配合比、使用有機溶媒、合成法などを前記ポリイミド樹脂の合成と同様にして得ることができる。
ポリアミド樹脂は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、これらのジクロライド、酸無水物等の誘導体と前記した芳香族ジアミン化合物又はこれと他のジアミン化合物を反応させることにより製造することができる。
有機溶剤は、前記した熱硬化性樹脂を溶解するものが使用される。有機の微粒子を使用する場合、前記した熱硬化性樹脂及び有機の微粒子の両方が樹脂ペーストを加熱乾燥するときの温度でその有機溶剤に溶解する性質を有するものを使用することも好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂ペーストは、上記の通り、通常、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン等が用いられ、その量は、通常、熱硬化性樹脂ペースト中、20〜90重量%であり、好ましくは30〜80重量%である。
熱硬化性樹脂の溶液に無機及び/又は有機の微粒子を分散させる方法としては、通常、塗料分野で行われているロール練り、ミキサー混合などが適用され、十分な分散が行われる方法であれば良い。
また、本発明の熱硬化性樹脂ペーストを硬化膜としたものの5%重量減少温度は、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。5%熱重量減少温度が250℃未満であると、リジッド配線板、ICチップ、電子部品又はLCDパネルとの接続時にかかる熱により、硬化膜が変形、分解する可能性がある。
本発明のフレキシブル配線板は、配線パターン部の全てがメッキ処理されたフレキシブル配線板であって、本発明の熱硬化性樹脂ペーストをフレキシブル配線板の表面に塗布し、遠赤外線加熱装置を用いて加熱して硬化膜としたものを表面保護膜として有する。
本発明に用いられるフレキシブル配線板としては、フレキシブルな絶縁性基板、例えば、プラスチックフィルム又はシート上に導体配線が形成されたものであれば、特に制限はない。市販の材料を利用したものの例としては、例えば、銅箔にポリイミドワニスを塗布して作製したエスパーネックス(新日鐵化学(株)製、商品名)や、ポリイミドフィルム上に銅を蒸着させたエスパーフレックス(住友金属鉱山(株)製、商品名)を用い、銅層をエッチング等により配線パターン化したものなどが挙げられる。配線パターン部のメッキ処理としては、例えば、無電解スズメッキや、電解又は無電解金メッキ処理などが挙げられる。
本発明の遠赤外線加熱装置には、熱源として遠赤外線ヒーターとそれ以外の熱源を併用する事が良い。加熱装置内は温度の均一化や樹脂から発生するガス成分の基板上への付着防止を目的に、循環させる事が良い。温度精度としては基板上の温度で±10℃の範囲にある事が良い。装置の形態としては、バッチ式と連続式のいずれの場合でも良いが、連続式が特に良い。
表面保護膜の厚みは、1〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
実施例1
攪拌機、油水分離器付き冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた5リットルの四つ口フラスコに、(b)成分としてPLACCEL CD−220(ダイセル化学(株)製1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオールの商品名、一般式(IV)において、Rが全てヘキサメチレン記を示し、m=13であるポリカーボネートジオール)1000.0g(0.50モル)及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g(1.00モル)と、γ−ブチロラクトン833.51gを仕込み、140℃まで昇温した。140℃で5時間反応させ、ジイソシアネート化合物を得た。
更に、この反応液に(a′)成分として3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物358.29g(1.00モル)、(c)成分として4、4′−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.50モル)及びγ−ブチロラクトン584.97gを仕込み、160℃まで昇温した後、5時間反応させて、数平均分子量が17,000の樹脂を得た。得られた樹脂をγ−ブチロラクトンで希釈し、粘度40Pa・s、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂溶液を得た。なお、(b)成分/(c)成分のモル比は、0.5/0.5である。
得られたポリイミド樹脂溶液1000gにアエロジル380(日本アエロジル(株)製商品名、平均粒子径0.2μm以下、シリカ微粒子)31.5gを加え、まず粗混練し、次いで高速3本ロールを用いて3回混練を繰り返して本混練を行い、均一にシリカ微粒子が分散したポリイミド樹脂ペーストを得た。このペーストは粘度60Pa・s、TI値2.4であった。
実施例1で得られたポリイミド樹脂ペーストの樹脂分100重量部に対してYH−434(東都化成(株)製アミン型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量約120、エポキシ基4個/分子)10重量部及びアエロジル380 8重量部を加え、γ−ブチロラクトンで希釈して、実施例1と同様に混練し、粘度35Pa・s、TI値2.4、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
実施例2において、YH−434、10重量部の代わりに、エピコート828(油化シェルエポキシ(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂の商品名、エポキシ当量約189、エポキシ基2個/分子)10重量部を用いた以外は、実施例2と全く同様の操作を行い、粘度34Pa・s、TI値2.4、不揮発分40重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
フラスコを3Lとした以外は実施例1と同様のフラスコに(a′)成分として3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物537.44g(1.50モル)、(c)成分として4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート382.9g(1.53モル)及びγ−ブチロラクトン1380.51gを仕込み、160℃まで昇温した。反応中、ワニスに濁りが生じ均一なポリイミド溶液を得ることはできなかった。
実施例1と同様のフラスコに(b)成分としてシリコーンジオールBX16−001(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製ジメチルポリシロキサン系ジオールの商品名)700g(0.50モル)及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.27g(1.00モル)と、γ−ブチロラクトン316.76g及びN−メチル−2−ピロリドン316.76gを仕込み、140℃まで昇温した。140℃で3時間反応させ、更に、この反応液に(a′)成分として3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物358.29g(1.00モル)、(c)成分として4、4′−ジフェニルメタンジイソシアネート125.14g(0.50モル)及びγ−ブチロラクトン269.75g及びN−メチル−2−ピロリドン269.75gを仕込み、160℃まで昇温した後、4時間反応させて、数平均分子量が15,000の樹脂を得た。得られた樹脂をγ−ブチロラクトンで希釈し、粘度30Pa・s、不揮発分52重量%のポリイミド樹脂溶液を得た。
得られたポリイミド樹脂溶液1000gにアエロジル380(日本アエロジル(株)製商品名、平均粒子径0.2μm以下、シリカ微粒子)36.4gを加え、まず粗混練し、次いで高速3本ロールを用いて3回混練を繰り返して本混練を行い、均一にシリカ微粒子が分散したポリイミド樹脂ペーストを得た。このペーストは粘度43Pa・s、TI値2.1であった。
比較例2で得られたポリイミド樹脂ペーストの樹脂分100重量部に対してYH−434を10重量部及びアエロジル380 8重量部を加え、γ−ブチロラクトンで希釈して、実施例1と同様に混練し、粘度25Pa・s、不揮発分52重量%のポリイミド樹脂ペーストを得た。
実施例1で得られたポリイミド樹脂ペーストを下記の方法で測定する際、硬化条件は遠赤外線加熱装置を用いて配線板表面温度が120℃になる条件下で10分間硬化するところを、比較例4では熱風循環式加熱装置で120℃/10分で硬化した。
(1)反り性
厚さ38μmのポリイミドフィルムと厚さ12μmのCuからなる2層フレキシブル基材をSnメッキし、縦35mm、横20mmの大きさに裁断する。この基材上に、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、直ちに遠赤外線加熱装置を用いて配線板表面温度が120℃になる条件下で10分間硬化し硬化膜とした。配線板表面温度は、ポリイミド樹脂ペーストを塗布せずに露出させていた部分に熱電対をあてて測定した(以下同様)。得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)について、塗布面を下にして定盤上に置き、反り高さを評価した。
(2)耐溶剤性
(1)反り性で用いた基材上に得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、遠赤外線加熱装置を用いて配線板表面温度が120℃になる条件下で10分間硬化し硬化膜とした。得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)について、室温でアセトン中に1時間硬化膜を浸漬させ、塗膜外観の変化について下記基準で評価した。
○ :外観変化なし
△ :一部外観に変化あり
×:全面外観に変化あり
(1)反り性で用いた基材上に得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、遠赤外線加熱装置を用いて配線板表面温度が120℃になる条件下で10分間硬化し硬化膜とした。得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)上に、エポキシ系封止材〔日立化成工業(株)製商品名CEL−C−5020〕を0.06gポッティングし、120℃で120分、さらに150℃で120分加熱する。得られた試験片は、封止材側が外側になるように折り曲げ、剥離のモードを下記の基準で評価した。
○ :基材/塗膜の界面剥離
△ :塗膜/封止材の界面剥離
×:全く接着せず
(4)耐湿性(プレッシャークッカーテスト)
(1)反り性で用いた基材上に得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、遠赤外線加熱装置を用いて配線板表面温度が120℃になる条件下で10分間硬化し硬化膜とした。得られた試験片(塗膜厚さ:15μm)についてプレッシャークッカーテスト(PCTと略す、条件121℃、2.0265×105Pa、100時間)を行った後の塗膜外観変化について下記の基準で評価した。
○ :外観変化なし
△ :一部外観に変化あり
×:全面外観に変化あり
(1)反り性で用いた基材上に未塗布部分が得られるように、得られたポリイミド樹脂ペーストを印刷し、遠赤外線加熱装置を用いて配線板表面温度が120℃になる条件下で10分間硬化し硬化膜とした。塗膜厚さ15μmの試験片を得た。この試験片のペースト未塗布部分のSnメッキ厚を測定し、下記の基準で評価した。なお、Snメッキ厚の減少率は、ペースト硬化前後のSnメッキ厚の変化率とする。
○:Snメッキ厚の減少率50%以下
×:Snメッキ厚の減少率50%以上
(6)引張り弾性率及び伸び率
得られたポリイミド樹脂ペーストを遠赤外線加熱装置を用いて配線板表面温度が120℃になる条件下で10分間硬化し、膜厚約30μm、幅10mm、長さ60mmの硬化膜を形成する。得られた硬化膜を用いてチャック間長さ20mm、引張り速度5mm/分の条件で引張り試験を行い、引張り弾性率及び引張り伸び率を求めた。
(7)5%重量減少温度
得られたポリイミド樹脂ペーストを遠赤外線加熱装置を用いて配線板表面温度が120℃になる条件下で10分間硬化し硬化膜とした。膜厚約30μmの硬化膜を形成する。得られた硬化膜を用いて、空気雰囲気中、10℃/分の昇温速度にてTG−DTA法により、5%重量減少温度を測定した。
Claims (1)
- (A)下記一般式(IV)で表されるカーボネートジオール類と下記一般式(V)で表されるジイソシアネート類とを反応させて得られるジイソシアネート化合物を用いて得られる熱硬化性樹脂100重量部と、(B)無機及び/又は有機微粒子1〜90重量部とを含む熱硬化性樹脂ペーストを、フレキシブル配線板のメッキ処理された配線パターンに印刷する工程と、遠赤外線加熱装置を用いて該フレキシブル配線板の露出部の表面温度が110〜130℃となる温度で5〜15分加熱して前記熱硬化性樹脂ペーストを熱硬化させて表面保護膜を形成する工程と、
を備える、フレキシブル配線板の表面保護膜の形成方法。
(式中、複数個のRはそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基を示し、mは、1〜20の整数である)
OCN−X−NCO (V)
[式中、Xは、炭素数1〜18のアルキレン基又はフェニレン基等のアリーレン基(これはメチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基を置換基として有していてもよい)を示す]
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