JP2008101630A - ボールねじサポート軸受 - Google Patents

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Takayasu Ozaki
孝泰 尾嵜
Naoya Masumoto
直哉 舛本
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Abstract

【課題】 定格寿命を低下させずに軸受の列数の削減や小型化が可能で、かつ耐摩耗性を向上させ長寿命化が可能なボールねじサポート軸受を提供する。
【解決手段】 このボールねじサポート軸受はアンギュラ玉軸受からなり、ボールねじのねじ軸を回転自在に支持する。内輪1の軌道面5における正面側の肩部近傍部分、および外輪2の軌道面6における背面側の肩部近傍部分の両方またはいずれか一方を、これら内輪1または外輪2の軌道面5,6における上記肩部近傍部分を除いた部分である軌道溝一般部分を延長した仮想溝内面よりも溝幅が開口側に次第に広がる断面形状の溝肩逃がし部5bとする。溝肩逃がし部5bは、断面を直線形状とした面だらし部としても良く、また円弧状面として軌道面をダブルクウラニング形状としても良い。
【選択図】 図1

Description

この発明は、ボールねじにおけるねじ軸の支持に用いられるボールねじサポート軸受に関する。
従来、ボールねじサポート軸受として、スラストアンギュラ玉軸受やアンギュラ玉軸受などが使用されている。特に、電動射出成形機の射出部に使用されるボールねじは、極低速で非常に大きな推力を負荷されるため、そのねじ軸を支持している軸受には、非常に大きなアキシアル荷重を負荷させることになる。すなわち、この場合には、射出成形機の可動部から軸受の内外輪に比較的大きな負荷荷重が加わる。そのため、内外輪軌道面の面圧が低い(定格荷重以下)にもかかわらず、転動体が内外輪軌道面の溝肩から乗り上げてしまう恐れがある。
そこで、このような過大なアキシアル荷重が負荷される箇所にアンギュラ玉軸受を使用する場合、定格寿命として必要なサイズ以上の軸受を採用したり、例えば図6および図7に示すように、負荷方向に対して複数の軸受40をDFT組合せやDTFT組合せなどの並列組合せとするようにしている(例えば特許文献1)。
特開2003−166551号公報
しかし、上記したように、非常に大きなアキシアル荷重が負荷される電動射出成形機の射出部などにボールねじサポート軸受を使用する場合に、定格寿命として必要なサイズ以上の軸受を用いたり、軸受を並列組合せとして多列に使用するのでは、軸受の寸法が大きくなりコスト増も招くことになる。
また、この場合の射出成形機は型締時に使用するものであり、揺動に近い極低速で運転されるため、ボールねじサポート軸受の軌道面に油膜が形成されにくく、軌道面の摩耗が大きくなり寿命低下を招くという問題もある。
この発明の目的は、定格寿命を低下させずに軸受の列数の削減や小型化が可能で、かつ耐摩耗性を向上させ長寿命化が可能なボールねじサポート軸受を提供することである。
この発明のボールねじサポート軸受は、ボールねじのねじ軸を回転自在に支持するアンギュラ玉軸受からなるボールねじサポート軸受において、内輪の軌道面における正面側の肩部近傍部分、および外輪の軌道面における背面側の肩部近傍部分の両方またはいずれか一方を、これら内輪または外輪の軌道面における上記肩部近傍部分を除いた部分である軌道溝一般部分を延長した仮想溝内面よりも溝幅が開口側に次第に広がる断面形状の溝肩逃がし部としたことを特徴とする。
この構成によると、内輪軌道面あるいは外輪軌道面において、軌道溝一般部分では通常の内径とすることで接触面圧が抑えられ、肩部近傍部分では軌道溝一般部を延長した仮想溝内面よりも溝幅が開口側に次第に広がる断面形状の溝肩逃がし部としていることから、転動体の肩乗り上げを抑制できる。すなわち、寿命低下を抑えながら、肩乗り上げを抑制することができる。
また、前記溝肩逃がし部と転動体との間に隙間ができることにより、内輪軌道面あるいは外輪軌道面と転動体の接触部分に潤滑剤が入りやすくなり、軌道面および転動体の摩耗が低減される。
これにより、この実施形態のボールねじサポート軸受を非常に大きなアキシアル荷重が負荷される電動射出成形機の射出部などに使用した場合、定格寿命として必要なサイズのもので足り、並列組合せとして使用する場合でも軸受列数を削減できる。その結果、定格寿命を低下させずに軸受の列数の削減や小型化が可能で、かつ耐摩耗性を向上させ長寿命化が可能となる。
この発明において、前記溝肩逃がし部が、軌道溝一般部分の内面よりも曲率半径が大きな円弧状の断面形状であっても良い。すなわち、軌道溝の内面を、いわゆるダフルクラウニング形状としても良い。
この発明において、前記溝肩逃がし部が、軌道溝一般部分との連続点からその連続点の略接線方向に延びる直線状の断面形状であっても良い。この場合、溝肩逃がし部は、いわゆる面だらし形状とされ、面だらし等の塑性加工によって簡単に加工できる。
この発明のボールねじサポート軸受は、高負荷用途一般に適用することができるが、その代表例として、電動射出成形機の射出部、またはプレス機械のプレス荷重負荷用のボールねじの支持の用途があり、このような用途に用いられるものとしても良い。
この発明のボールねじサポート軸受は、ボールねじのねじ軸を回転自在に支持するアンギュラ玉軸受からなるボールねじサポート軸受において、内輪の軌道面における正面側の肩部近傍部分、および外輪の軌道面における背面側の肩部近傍部分の両方またはいずれか一方を、これら内輪または外輪の軌道面における上記肩部近傍部分を除いた部分である軌道溝一般部分を延長した仮想溝内面よりも溝幅が開口側に次第に広がる断面形状の溝肩逃がし部としたため、定格寿命を低下させずに軸受の列数の削減や小型化が可能で、かつ耐摩耗性を向上させ長寿命化が可能となる。
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。このボールねじサポート軸受は、高負荷用途となるボールねじのねじ軸を回転自在に支持するアンギュラ玉軸受であって、軌道輪である内輪1と外輪2の軌道面5,6の間に複数の転動体3が介在し、これら転動体3は保持器4で保持されている。深溝玉軸受に比べて、内輪1は、正面側の外径を大きくし、外輪2は背面側の内径を小さくしてあり、軌道面5,6に接触角θが生じている。軸受組立の都合上、内輪1の背面側には軌道面5の肩の一方を落とした部分であるカウンターボア7が形成され、外輪2の正面側にも軌道面6の一方の肩を落とした部分であるカウンターボア8が形成されている。
図1において、内輪1の軌道面5における正面側の肩部近傍部分(2点鎖線で囲む部分A)は、図2に拡大して示すように、前記肩部近傍部分を除いた部分である軌道溝一般部分5aを、同じ曲率半径でそのまま延長した仮想面である仮想溝内面(2点鎖線で示す)5a’よりも、溝幅が開口側に次第に広がる断面形状の溝肩逃がし部5bとされている。軌道溝一般部分5aは、断面が単一の曲率半径の円弧からなる。この場合に、軌道溝一般部分5aの断面形状は、その全体が連続した一つの円弧からなる形状であっても、また曲率中心が互いに異なる2つの円弧を溝底中心でつなぎ合わせた形状であるゴシックアーチ形状であっても良い。
溝肩逃がし部5bは、図2の例では、軌道溝一般部分5aの内面よりも曲率半径が大きな円弧状の断面形状とされている。すなわち、軌道面5の全体が、いわゆるダブルクラウニング形状とされている。
なお、この場合に、図2に示す内輪軌道面5において、軌道溝一般部分5aから溝肩逃がし部5bに変わる曲率変化点Xは、次の位置に設定される。すなわち、接触角θを示す斜線Lと内輪軌道面5の交点Qから前記曲率変化点Xまでの角度をβとし、曲率変化点Xから内輪軌道面の開口縁までの角度をαとすると、
α:β=1:2
程度となる位置に、曲率変化点Xが設定される。
一般的に、アンギュラ玉軸受では、内外輪の軌道面の溝形状は転動体に対して少し大きめに(曲率半径を大きめに)形成され、その大きさが転動体の大きさに近くなるほど軌道面の接触面圧は低下する。逆に、この大きさが転動体の大きさよりも大きくなるほど、軌道面からの転動体の肩乗り上げを抑制できる。
この実施形態のボールねじサポート軸受では、内輪軌道面5において、前記曲率変化点Xより肩部から離反する軌道溝一般部分5aでは、通常の溝曲率半径として接触面圧が抑えられ、肩部近傍部分では軌道溝一般部5aを延長した仮想溝内面5a’よりも溝幅が開口側に次第に広がる断面形状の溝肩逃がし部5bとしているので、転動体3の肩乗り上げを抑制できる。すなわち、寿命低下を抑えながら肩乗り上げを抑制することができる。
また、前記溝肩逃がし部5bと転動体3との間に隙間ができることにより、内輪軌道面5と転動体3の接触部分に潤滑剤が入りやすくなり、軌道面5および転動体3の摩耗が低減される。
これにより、この実施形態のボールねじサポート軸受を非常に大きなアキシアル荷重が負荷される電動射出成形機の射出部などに使用した場合、定格寿命として必要なサイズのもので足り、並列組合せとして使用する場合でも軸受列数を削減できる。その結果、定格寿命を低下させずに軸受の列数の削減や小型化が可能で、かつ耐摩耗性を向上させ長寿命化が可能となる。
この実施形態において、ボールねじサポート軸受が例えばφ50程度のアンギュラ玉軸受の場合、その軌道溝一般部分5aの曲率半径をDw とすると、溝肩逃がし部5bの曲率半径(溝曲率)はDw (1+0.02〜0.04)とするのが好ましい。これにより、肩乗り上げ荷重は2.2〜3.4倍となるが、接触面圧は1.5〜1.9倍に抑えることができるので、寿命低下を抑えながら肩乗り上げを抑制することができる。溝肩逃がし部5bの曲率半径を通常より0.04以上大きくすると、接触面圧が1.9倍以上となるので好ましくない。
また、図2では、内輪軌道面5の溝肩逃がし部5bを、軌道溝一般部分5aの内面よりも曲率半径が大きい円弧状の断面形状としたが、このほか図3のように、軌道溝一般部分5aとの連続点(図2における曲率変化点)Xからその連続点Xの略接線方向に延びる直線状の断面形状としても良い。すなわち、溝肩逃がし部5bを、塑性加工等による面だらしを施した面としても良い。
また、この実施形態では、図1において、内輪1の軌道面5における正面側の肩部近傍部分(2点鎖線で囲む部分A)を溝肩逃がし部5bとした例を示したが、このほか、図1において、外輪2の軌道面6における背面側の肩部近傍部分(2点鎖線で囲む部分B)を同様の断面形状の溝肩逃がし部としても良い。さらには、内輪1の軌道面5における正面側の肩部近傍部分、および外輪2の軌道面6における背面側の肩部近傍部分の双方を同様の断面形状の溝肩逃がし部としても良い。
また、このボールねじサポート軸受は、上記した電動射出成形機の射出部や、プレス機械のプレス荷重負荷用のボールねじの支持に限らず、高負荷用途の軸受として一般に広く適用できる。
図4は、上記ボールねじサポート軸受を用いた工作機械の送り機構を示す。テーブル31は、基台32にガイド(図示せず)を介して進退自在に設置されており、駆動モータ33の駆動により、ボールねじ34を介して進退駆動される。ボールねじ34は、ナット35がテーブル31に取付けられ、ねじ軸36が両端の支持部37,38で基台32に回転自在に支持されている。ねじ軸36は、駆動モータ33のモータ軸33aとカップリング39を介して連結されている。上記各支持部37,38は、ハウジング37a,38aに設置された転がり軸受20,41により、ねじ軸36を支持するものである。このうち、駆動モータ33側の支持部37の転がり軸受20に、上記実施形態のボールねじサポート軸受が用いられている。また、この支持部37では、ボールねじサポート軸受が並列組合せで使用される。
この発明の一実施形態に係るボールねじサポート軸受の部分断面図である。 図1におけるA部での内輪軌道面の拡大断面図である。 内輪軌道面の他の例の部分拡大断面図である。 同ボールねじサポート軸受を用いた工作機械の送り機構を示す断面図である。 ボールねじサポート軸受の並列組合せ使用例を示す部分断面図である。 ボールねじサポート軸受の他の並列組合せ使用例を示す部分断面図である。
符号の説明
1…内輪
2…外輪
5…内輪軌道面
5a…軌道溝一般部分
5a’…仮想溝内面
5b…溝肩逃がし部
6…外輪軌道面
20…ボールねじサポート軸受
34…ボールねじ
36…ねじ軸

Claims (4)

  1. ボールねじのねじ軸を回転自在に支持するアンギュラ玉軸受からなるボールねじサポート軸受において、内輪の軌道面における正面側の肩部近傍部分、および外輪の軌道面における背面側の肩部近傍部分の両方またはいずれか一方を、これら内輪または外輪の軌道面における上記肩部近傍部分を除いた部分である軌道溝一般部分を延長した仮想溝内面よりも溝幅が開口側に次第に広がる断面形状の溝肩逃がし部としたことを特徴とするボールねじサポート軸受。
  2. 請求項1において、前記溝肩逃がし部が、軌道溝一般部分の内面よりも曲率半径が大きな円弧状の断面形状であるボールねじサポート軸受。
  3. 請求項1において、前記溝肩逃がし部が、軌道溝一般部分との連続点からその連続点の略接線方向に延びる直線状の断面形状であるボールねじサポート軸受。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、電動射出成形機の射出部、またはプレス機械のプレス荷重負荷用のボールねじの支持に用いられるものであるボールねじサポート軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014126195A (ja) * 2012-12-27 2014-07-07 Nsk Ltd アンギュラ玉軸受
JP2018105504A (ja) * 2018-02-13 2018-07-05 日本精工株式会社 アンギュラ玉軸受
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