JP2008098692A - 音声再生装置、映像音声再生装置、及びクロストークキャンセル方法 - Google Patents

音声再生装置、映像音声再生装置、及びクロストークキャンセル方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のバーチャルサラウンド技術では、左右フロントスピーカを利用してクロストークキャンセルを行っているため、サラウンド効果のある周波数領域が制限され、また、スイートスポットが狭い範囲に制限されてしまうという問題があった。
【解決手段】左フロントスピーカ4と、右フロントスピーカ5と、前記左右のフロントスピーカ4、5のほぼ中間位置に配置されたセンタスピーカ6を備えた音声再生装置において、第1の周波数帯域では前記左右のフロントスピーカ4、5同士でクロストーク信号をキャンセルし、前記第1の周波数帯域を超える高周波側の第2の周波数帯域では前記左右のフロントスピーカ4、5のクロストーク信号を前記センタスピーカ6によりキャンセルし、前記第2の周波数帯域を超える高周波側の第3の周波数帯域ではクロストーク信号をキャンセルしない。
【選択図】図1

Description

本発明は、ステレオ装置などの少なくとも音声を再生することができる音声再生装置、又はテレビジョン受信機などの映像音声再生装置、及びクロストークキャンセル方法に係り、特に少なくとも左右フロントスピーカ及びセンタスピーカを備え、サラウンド効果のある周波数帯域の拡大やスイートスポット(サラウンド効果のある領域)の拡大が可能な音声再生装置、又は映像音声再生装置、及びクロストークキャンセル方法に関する。
音声再生装置において、前方に設置されたスピーカのみで側方、あるいは後方などに仮想音源を生成して立体音響を再生するバーチャルサラウンド技術が種々提案されている。これらに関する従来技術として、例えば特開平6−189399号公報(特許文献1)、特開平9−322300号公報(特許文献2)、特開平10−66198号公報(特許文献3)、特開平11−252698号公報(特許文献4)などを挙げることができる。
これらの従来技術では、前方に設置された2チャンネルスピーカに互いの逆相の音を混入する方法、シュレーダー方式(特許文献3参照)による音像定位法、頭部伝達関数を用いて任意の位置に音像を定位させる方法などが取られている。これらのバーチャルサラウンド技術では、クロストーク(左スピーカ、または右スピーカから受聴者の反対側の耳に達する音)をキャンセルしてスピーカの外側に音像を定位させたり、音像を拡大することができ、これにより立体的な音響空間を実現している。頭部伝達関数を用いて任意の位置に音像を定位させる方法では、恰も任意の位置に設置された仮想スピーカから音声が出力されているように前方に設置された2チャンネルスピーカの音声の大きさ、位相がコントロールされ、このとき音場合成とクロストークキャンセルが同時に行われる。
特開平6−189399号公報 特開平9−322300号公報 特開平10−66198号公報 特開平11−252698号公報
しかしながら、従来のバーチャルサラウンド技術では、サラウンド効果のある周波数領域が制限され、また、スイートスポットが狭い範囲に制限されてしまうという問題があった。これは高周波領域ではクロストークを打ち消すことが困難になり、また、高周波領域になると受聴者の位置がスイートスポットから外れやすくなるためである。
図12は、従来のバーチャルサラウンド技術の構成の一例を示したものである。図12において、1は左チャンネルLの信号源、2は右チャンネルRの信号源、3はセンタチャンネルCの信号源である。4は左フロントスピーカ、5は右フロントスピーカ、6はセンタスピーカである。また、7は受聴者である。8〜11はクロストークキャンセル用フィルタであり、クロストークキャンセル用フィルタ8は左チャンネルLの信号源1から左フロントスピーカ4の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ9は右チャンネルRの信号源2から右フロントスピーカ5の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ10は左チャンネルLの信号源1から右フロントスピーカ5の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ11は右チャンネルRの信号源2から左フロントスピーカ4の間に備わり伝達関数hが設定されている。12、13は信号加算器である。
各スピーカから受聴者7の耳までの伝達関数はそれぞれ図12のようになっている。すなわち左フロントスピーカ4から受聴者7の左耳までの伝達関数はhLL、左フロントスピーカ4から受聴者7の右耳までの伝達関数はhLR、右フロントスピーカ5から受聴者7の左耳までの伝達関数はhRL、右フロントスピーカ5から受聴者7の右耳までの伝達関数はhRR、センタスピーカ6から受聴者7の左耳までの伝達関数はhCL、センタスピーカ6から受聴者7の右耳までの伝達関数はhCRである。左仮想フロントスピーカ14から受聴者7の左耳までの伝達関数はhLvL、左仮想フロントスピーカ14から受聴者7の右耳までの伝達関数はhLvR、右仮想フロントスピーカ15から受聴者7の左耳までの伝達関数はhRvL、左仮想フロントスピーカ15から受聴者7の右耳までの伝達関数はhRvR、である。
このように左右のフロントスピーカ4、5からの音声は、それぞれのスピーカ側の耳に伝達関数hLL、hRRで到達するものの他に、反対側の耳に伝達関数hLR、hRLでクロスするように到達するクロストーク信号がある。クロストークキャンセル制御は、左右フロントスピーカ4、5から受聴者7の両耳に到達する音声が、左仮想フロントスピーカ14から受聴者7の左耳までの伝達関数はhLvL、左仮想フロントスピーカ14から受聴者7の右耳までの伝達関数はhLvR、右仮想フロントスピーカ15から受聴者7の左耳までの伝達関数はhRvL、左仮想フロントスピーカ15から受聴者7の右耳までの伝達関数はhRvR、で左右仮想スピーカ14、15から到達する音声と同じ音声になるように合成するものである。
クロスキャンセル制御によりクロストーク信号が打ち消されることにより、実際のフロントスピーカ4、5より外側に左仮想フロントスピーカ14、右仮想フロントスピーカ15の音像を定位させることができる。
図13はクロストークキャンセル制御機能を備えたテレビ受信機の音声を受聴者7が受音するときの、左右のフロントスピーカ4、5による音声信号の干渉現象を説明する図である。図における寸法(左右フロントスピーカ4、5間の間隔=70[cm]+70[cm]、左右フロントスピーカ4、5から受聴者7までの距離=200[cm])は代表的な一例を示したものである。
このような寸法条件において左フロントスピーカ4から正相、右フロントスピーカ5から逆相の正弦波2kHzを出力し、受聴者7が受音位置を点線20に沿って移動したときの音圧特性を測定し、図14に示した。受音位置0[cm]は点線20上であって左右フロントスピーカの中間位置上(センタ位置)にあるときを示す。測定点は左耳、あるいは右耳の位置に相当する点である。この特性は櫛形の特性を示し、センタ位置付近とセンタ位置から離れた位置では櫛形特性の周期が多少異なっているが、その周期に対応する距離は受音位置がセンタ位置付近では約26[cm]となり、受聴者の左右の耳の間隔を約20cmと考えるとクロストークキャンセルが行える範囲は狭い範囲に制限されることがわかる。図14は2kHzについての特性であるが、可聴域周波数の更に高周波領域では櫛形特性の周期が更に短くなり、ある程度の高周波領域になるとクロストークキャンセルを行うことが困難になる。
図15は図12から左フロントスピーカ4に関するクロストークキャンセル制御部分を取り出して示したものである。21はスイートスポットと呼ばれている領域で、立体音響を再現できる領域を示している。受聴者7がスイートスポット21の領域内で受聴すると、左フロントスピーカ4の更に左に左仮想フロントスピーカ14の音像が定位する。
図16は受聴者7が図15の位置から右方向にずれて、スイートスポット21の領域から外れてしまった場合を示している。この場合にはクロストークはキャンセルされず、立体音響は再現されない。左右フロントスピーカ4、5の音声合成により、左右フロントスピーカ4、5のほぼ中間位置(中間位置より多少受聴者7に近いスピーカ側に寄る)に左仮想フロントスピーカ14’として定位し、音像定位位置が不自然になる。
このように、従来のバーチャルサラウンド技術では、サラウンド効果のある周波数領域が制限され、また、スイートスポット21が狭い範囲に制限されてしまうという問題があった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、サラウンド効果のある周波数領域を拡大し、また、スイートスポットの範囲を拡大することにある。
本発明の音声再生装置は、少なくとも左フロントスピーカと、右フロントスピーカと、前記左フロントスピーカと前記右フロントスピーカのほぼ中間位置に配置されたセンタスピーカを備えた音声再生装置において、第1の周波数帯域において前記左右のフロントスピーカ同士でクロストーク信号を仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する第1クロストークキャンセル手段と、前記第1の周波数帯域を超える高周波側の第2の周波数帯域において前記左フロントスピーカ又は前記右フロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカにより仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する第2クロストークキャンセル手段を備えたことを特徴とする。
また、本発明の音声再生装置は、前記第1クロストークキャンセル手段が、前記左フロントスピーカのクロストーク信号を前記右フロントスピーカの信号により仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する手段と、前記右フロントスピーカのクロストーク信号を前記左フロントスピーカの信号により任意の仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する手段を具備し、前記第2クロストークキャンセル手段は、前記左フロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカの信号により任意の仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する手段と、前記右フロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカの信号により仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する手段を具備することを特徴とする。
また、本発明の音声再生装置は、前記第2の周波数帯域を超える高周波帯域ではクロストーク信号を干渉しないことを特徴とする。
また、本発明の音声再生装置は、クロストーク信号を干渉することによる効果が得られないときはクロストークキャンセルを行わないことを特徴とする。
また、本発明の音声再生装置は、前記第1クロストークキャンセル手段は、左チャンネル信号源の信号を基に前記左フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記右フロントスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記左チャンネル信号源からの信号を前記右フロントスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタと、右チャンネル信号源の信号を基に前記右フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記左フロントスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記右チャンネル信号源からの信号を前記左フロントスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタを備えたことを特徴とする。
また、本発明の音声再生装置は、前記第2クロストークキャンセル手段は、前記左チャンネル信号源の信号を基に前記左フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記センタスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記左チャンネル信号源からの信号を前記センタスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタと、前記右チャンネル信号源の信号を基に前記右フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記センタスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記右チャンネル信号源からの信号を前記センタスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタを備えたことを特徴とする。
また、本発明の音声再生装置は、前記第1クロストークキャンセル手段は、左サラウンドチャンネル信号源の信号を基に前記左フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記右フロントスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記左サラウンドチャンネル信号源からの信号を前記右フロントスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタと、右サラウンドチャンネル信号源の信号を基に前記右フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記左フロントスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記右サラウンドチャンネル信号源からの信号を前記左フロントスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタを備えたことを特徴とする。
また、本発明の音声再生装置は、前記第2クロストークキャンセル手段は、前記左サラウンドチャンネル信号源の信号を基に前記左フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記センタスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記左サラウンドチャンネル信号源からの信号を前記センタスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタと、前記右サラウンドチャンネル信号源の信号を基に前記右フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記センタスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記右サラウンドチャンネル信号源からの信号を前記センタスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタを備えたことを特徴とする。
また、本発明の映像音声再生装置は、前記いずれか一項に記載の音声再生装置と、映像表示装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明のクロストークキャンセル方法は、少なくとも左フロントスピーカと、右フロントスピーカと、前記左フロントスピーカと前記右フロントスピーカのほぼ中間位置に配置されたセンタスピーカによりクロストーク信号を仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するクロストークキャンセル方法において、第1の周波数帯域において前記左右のフロントスピーカ同士でクロストーク信号を仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成し、前記第1の周波数帯域を超える高周波側の第2の周波数帯域において前記左フロントスピーカ又は前記右フロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカにより仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成することを特徴とする。
また、本発明のクロストークキャンセル方法は、前記第1の周波数帯域において前記左右のフロントスピーカのクロストーク信号を前記左右のフロントスピーカの信号を使って仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成し、前記第2の周波数帯域において前記左右のフロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカの信号により仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成することを特徴とする。
また、本発明のクロストークキャンセル方法は、前記第2の周波数帯域を超える高周波帯域ではクロストーク信号を干渉しないことを特徴とする。
また、本発明のクロストークキャンセル方法は、クロストーク信号を干渉することによる効果が得られないときはクロストークキャンセルを行わないことを特徴とする。
また、本発明のクロストークキャンセル方法は、左右のフロントスピーカのクロストーク信号をセンタスピーカの信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するクロストークキャンセル方法において、前記左右のフロントスピーカ及び前記センタスピーカの各スピーカ間の間隔を入力する工程と、前記センタスピーカから受聴者までの距離を入力する工程と、入力された前記各スピーカ間の間隔と前記センタスピーカから受聴者までの距離からセンタスピーカによるクロストークキャンセル制御が有効か否かを判定する工程と、センタスピーカによるクロストークキャンセル制御が有効なとき前記センタスピーカによりクロストークキャンセル制御する上限周波数を決定する工程と、入力された前記各スピーカ間の間隔と前記センタスピーカから受聴者までの距離から前記左右のフロントスピーカによるクロストークキャンセル制御が有効か否かを判定する工程と、前記左右のフロントスピーカによるクロストークキャンセル制御が有効なとき前記センタスピーカによりクロストークキャンセル制御する下限周波数と前記左右のフロントスピーカによりクロストークキャンセル制御する上限周波数を決定する工程とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、サラウンド効果のある周波数領域が拡大され、また、スイートスポットの範囲が拡大される。
次に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明による音声再生装置の第1の実施の形態を示すものである。
図1において、1は左チャンネルLの信号源、2は右チャンネルRの信号源、3はセンタチャンネルCの信号源である。4は左フロントスピーカ、5は右フロントスピーカ、6はセンタスピーカである。センタスピーカ6は左フロントスピーカ4と右フロントスピーカ5のほぼ中間位置に配置される。テレビ受信機などの表示装置があるものは左フロントスピーカ4と右フロントスピーカ5のほぼ中間位置であって、表示装置の上側又は下側に設けられる。7は受聴者である。また、22は左サラウンドチャンネルLsの信号源、23は右サラウンドチャンネルRsの信号源である。
24〜29はクロストークキャンセル用フィルタであり、クロストークキャンセル用フィルタ24は左サラウンドチャンネルLsの信号源22から左フロントスピーカ4の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ25は右サラウンドチャンネルRsの信号源23から右フロントスピーカ5の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ26は左サラウンドチャンネルLsの信号源22からセンタスピーカ6の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ27は右サラウンドチャンネルRsの信号源23からセンタスピーカ6の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ28は左サラウンドチャンネルLsの信号源22から右フロントスピーカ5の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ29は右サラウンドチャンネルRsの信号源23から左フロントスピーカ4の間に備わり伝達関数hが設定されている。クロストークキャンセル用フィルタ24〜29は、周波数ごとにフィルタ係数を設定することができるデジタルフィルタとして構成されている。30、31、32は信号加算器である。
各スピーカから受聴者7の耳までの伝達関数はそれぞれ図1のようになっている。すなわち左フロントスピーカ4から受聴者7の左耳までの伝達関数はhLL、左フロントスピーカ4から受聴者7の右耳までの伝達関数はhLR、右フロントスピーカ5から受聴者7の左耳までの伝達関数はhRL、右フロントスピーカ5から受聴者7の右耳までの伝達関数はhRR、センタスピーカ6から受聴者7の左耳までの伝達関数はhCL、センタスピーカ6から受聴者7の右耳までの伝達関数はhCRである。
33、34は左右サラウンドチャンネルL、Rの信号を、クロストークキャンセル用フィルタ24〜29を通して左右フロントスピーカ4、5、センタスピーカ6から音声出力することにより実現される仮想サラウンドスピーカであり、左仮想サラウンドスピーカ33、右仮想サラウンドスピーカ34を示す。
各仮想サラウンドスピーカ33、34から受聴者7の耳までの伝達関数は、左仮想サラウンドスピーカ33から受聴者7の左耳まではhLsL、左仮想サラウンドスピーカ33から受聴者7の右耳まではhLsR、右仮想サラウンドスピーカ34から受聴者7の左耳まではhRsL、右仮想サラウンドスピーカ34から受聴者7の右耳まではhRsRである。
例えば左仮想サラウンドスピーカ33を図1の位置に定位させるには下記(1)式、(2)式の関係を満足するようにクロストークキャンセル用フィルタ24、26、28の伝達関数h、h、hを設定する。
hLsL*Ls=(h1*hLL+h2*hCL+h3*hRL)*Ls・・・・・(1)
hLsR*Ls=(h1*hLR+h2*hCR+h3*hRR)*Ls・・・・・(2)
なお、実際に(1)式、(2)式から伝達関数h、h、hを求めるには、後述のように(1−1)式〜(2−3)式を使って周波数帯域ごとに求める。このとき右仮想サラウンドスピーカ34に関するクロストークキャンセル用フィルタ25、27、29の伝達関数h、h、hも対称性を利用して同様に設定でき、左仮想サラウンドスピーカ33と対称な位置に定位する。上記伝達関数hLL、hLR、hRL、hRR、hCL、hCR、hLsL、hLsR、hRsL、hRsRは実測により求めることができる。
従来技術におけるクロストークキャンセル信号の出力は、例えば、左サラウンドチャンネルLsのクロストークをキャンセルする場合には、信号源22からの左サラウンドチャンネルLsの信号を、クロストークキャンセル用フィルタ28を通して信号加算器31から右フロントスピーカ5に受聴者7の両耳に合成する信号を出力するのみであった。しかし、本実施の形態では信号源22からの左サラウンドチャンネルLsの信号を、クロストークキャンセル用フィルタ26を通して信号加算器32からもセンタスピーカ6に受聴者7の両耳に合成する信号を出力するようにし、しかも後述するように、クロストークキャンセル信号を出力するスピーカを周波数帯域により替えるようにしている。これを、以下図2乃至図6を参照して説明する。
なお、以下の説明で左フロントスピーカ4から出力された信号を、右フロントスピーカ5から出力する信号にてクロストークキャンセル制御を行う場合、及び、左フロントスピーカ4から出力する信号を、センタスピーカ6から出力する信号にてクロストークキャンセル制御を行う場合を例にとって説明するが、右フロントスピーカ5から出力する信号を、左フロントスピーカ4から出力する信号にてクロストークキャンセル制御を行う場合、及び、右フロントスピーカ5から出力する信号を、センタスピーカ6から出力する信号にてクロストークキャンセル制御を行う場合も対称性を考慮すれば同様に考えることができる。
図2は本実施の形態によるクロストークキャンセル制御機能を備えたテレビ受信機の音声を受聴者7が受音するときの、左右のフロントスピーカ4、5、及びセンタスピーカ6による干渉現象を説明する図である。図における寸法(左右フロントスピーカ4、5間の間隔=70[cm]+70[cm]、左右フロントスピーカ4、5から受聴者7までの距離=200[cm])は代表的な一例を示したもので、これに限定されないことは言うまでもない。センタスピーカ6は左右フロントスピーカ4、5のほぼ中間の位置にある。
このような寸法条件において、左フロントスピーカ4から正相、センタスピーカ6から逆相の正弦波を出力し、受聴者7(測定点)が受音位置を点線20に沿って移動したときの音圧特性と、左フロントスピーカ4から正相、右フロントスピーカ5から逆相の正弦波を出力し、受聴者7(測定点)が受音位置を点線20に沿って移動したときの音圧特性を図3と図4に示した。
図3に点線で示したものは、左フロントスピーカ4から2kHzの正相信号を出力し、右フロントスピーカ5から2kHzの逆相信号を出力してクロストークキャンセル制御を行ったときの音圧特性であり、実線で示したものは左フロントスピーカ4から2kHzの正相信号を出力し、センタスピーカ6から2kHzの逆相信号を出力してクロストークキャンセル制御を行ったときの音圧特性である。これらの音圧特性は櫛形の変動周期を有している。
図3をみると、クロストークキャンセルを行う場合、センタスピーカ6から逆相信号を出力したほうが、受音位置がずれた場合の変動周期が約2倍程度と大きいことがわかる。これは、受音位置が左右にずれても、受聴者7が感じる音圧の変動が小さいことを意味しており、結果としてスイートスポットの領域が広くなる。
また、図4において点線で示したものは、左フロントスピーカ4から2kHzの正相信号を出力し、右フロントスピーカ5から2kHzの逆相信号を出力してクロストークキャンセル制御を行ったときの音圧特性であり、実線で示したものは左フロントスピーカ4から4kHzの正相信号を出力し、センタスピーカ6から4kHzの逆相信号を出力してクロストークキャンセル制御を行ったときの音圧特性である。これらの音圧特性は櫛形の変動周期を有する特性を示している。
図4をみると、点線で示した音圧特性と実線で示した音圧特性は変動周期がほぼ同じであることがわかる。別の見方をすれば、センタスピーカ6から逆相信号を出力した場合と右フロントスピーカ5から逆相信号を出力した場合とでは、センタスピーカ6から逆相信号を出力した場合のほうが、変動周期が同じになるときの周波数を約2倍にできることがわかる。すなわち、スイートスポットの広さが同じであれば、センタスピーカ6でクロストークキャンセルを行うことにより、右フロントスピーカ5でクロストークキャンセルを行う場合に比べ、制御可能な周波数帯域が約2倍程度拡大できる。
このように、音圧特性の変動周期は、クロストークキャンセルするスピーカ相互の間隔にほぼ反比例し(図3から分かる)、クロストークキャンセルする音声信号の周波数にほぼ反比例する(図3と図4の比較から分かる)。
例えば、図4の実線で示した左フロントスピーカ4の4kHz正相信号をセンタスピーカ6の4kHz逆相信号でクロストークキャンセルする音圧特性は、点線で示した左フロントスピーカ4の2kHz正相信号を右フロントスピーカ5の2kHz逆相信号でクロストークキャンセルする音圧特性に対し、周波数が2倍であると同時にスピーカ相互の間隔が1/2倍であるので、音圧特性の変動周期はほとんど変化しないものとなる。
したがって、クロストークキャンセルする場合には、右フロントスピーカ5でクロストークキャンセルするよりも、センタスピーカ6によりクロストークキャンセルしたほうがサラウンド効果のある周波数領域をより高周波領域まで拡大でき、また、同一周波数であればスイートスポットの範囲が拡大できることがわかる。センタスピーカ6は左右フロントスピーカ4、5の中間に位置するので、センタスピーカ6によりクロストークキャンセルする場合は右フロントスピーカ5でクロストークキャンセルする場合に比べサラウンド効果のある周波数領域を約2倍の周波数領域まで拡大でき、また、スイートスポットの範囲を約2倍に拡大できる。
以上のように、音圧特性の変動周期はクロストークキャンセルする音声信号の周波数にほぼ反比例するので低周波領域ではスイートスポットの範囲が高周波領域より広いということができる。しかし、スイートスポットの範囲は広くなるが音圧の変動が小さくなってしまうという特性も有している。
図5は250Hzでの、左フロントスピーカ4の正相信号を右フロントスピーカ5の逆相信号でクロストークキャンセル制御を行ったときの音圧特性(点線で示した)と、左フロントスピーカ4の正相信号をセンタスピーカ6の逆相信号でクロストークキャンセル制御を行ったときの音圧特性(実線で示した)を示している。この2つの特性を比較すると、実線で示した音圧特性の方が、点線で示した音圧特性より受音位置のずれによる音圧の変動は小さい。例えば、図5の図中に音圧差a、bとして示したように、両耳の間隔(約20cm)で点線の音圧特性での音圧差bは実線の音圧特性での音圧差aの約3倍となっている。
このように音圧差はスピーカの間隔が広いほうが大きいことがわかる。しかも、低周波領域では高周波領域に比べて受音位置のずれによる音圧の変動が小さく受音位置のずれに対する余裕がある。したがって、低周波領域では左フロントスピーカ4の正相信号を右フロントスピーカ5の逆相信号でクロストークキャンセルすれば、音圧差を大きく確保でき、干渉の効果を高くすることができる。
一方、クロストークキャンセルによる効果のある周波数には上限がある。すなわち、音圧特性の変動周期が狭い周波数領域では、わずかな受音位置のずれにより音圧が大きく変動して音像の定位が不安定になり、正常にクロストークキャンセルが行われなくなる。したがってこのような高周波数領域では、むしろクロストークキャンセル制御を行わないほうがよい。
以上ことから、本実施の形態では、図6で示したように3つの周波数帯域に分けて制御する。まず左右のフロントスピーカ同士でクロストークキャンセルした方が有効な周波数帯域を周波数帯域Wとする。次に、センタスピーカでクロストークキャンセルした方が有効な周波数帯域を周波数帯域Wとする。そしてクロストークキャンセルを行うと音像の定位が不安定になる周波数帯域を周波数帯域Wとする。また、全周波数領域(W+W+W)、又は周波数帯域Wの上限までの周波数帯域(W+W)を周波数帯域Wとする。これら周波数帯域W、W、Wをどのような周波数で区分けするかは、実際に受聴して決定するとよい。なお、センタスピーカ6は左右フロントスピーカ4、5の中間にあるため周波数帯域Wの上限周波数の約2倍が周波数帯域Wの上限周波数の目安となる。
本実施の形態では、図6に示した3つの周波数帯域W、W、Wに分けて制御するため、クロストークキャンセル用フィルタ24、26、28の伝達関数h〜hは、上記周波数帯域ごとにそのLPF(Low Pass Filter)、BPF(Band Pass Filter)のフィルタ特性(図6に例を示したようなフィルタ特性)に従って下記のように重み付けされて設定される。
なお、以下の説明では左側のクロストークキャンセル用フィルタ24、26、28について説明するが、右側のクロストークキャンセル用フィルタ25、27、29についても対称性を考慮して同様に考えることができる。
クロストークキャンセル用フィルタ24の伝達関数hは周波数帯域Wにおいてhに設定される。周波数帯域Wを全周波数領域とした場合には、全周波数領域において伝達関数hが求められて設定される。また、周波数帯域Wの上限までを周波数帯域Wとした場合には、クロストークキャンセル用フィルタ24の伝達関数hは、周波数帯域Wの上限まで求められて設定され、周波数帯域Wにおいては特に設定せず、クロストークキャンセル用フィルタ24に入力された信号をそのまま出力に通過させる。
クロストークキャンセル用フィルタ26の伝達関数hは周波数帯域Wに設定されたBPFのゲイン特性に従って設定される。すなわち、伝達関数hは周波数帯域Wでは伝達関数hに設定され、それ以外の周波数帯域で0に設定される。
クロストークキャンセル用フィルタ28の伝達関数hは周波数帯域Wに設定されたLPFのゲイン特性に従って設定される。すなわち、伝達関数hは周波数帯域Wでは伝達関数hに設定され、周波数帯域Wを超える周波数帯域で0に設定される。
このとき上記(1)式、(2)式は、下記のように変換される。
周波数帯域Wにおいて、
(1)式;hLsL*Ls=(h1*hLL+h3*hRL)*Ls・・・(1−1
(2)式;hLsR*Ls=(h1*hLR+h3*hRR)*Ls・・・(2−1
周波数帯域Wにおいて、
(1)式;hLsL*Ls=(h1*hLL+h2*hCL)*Ls・・・(1−2
(2)式;hLsR*Ls=(h1*hLR+h2*hCR)*Ls・・・(2−2
全周波数領域を周波数帯域Wとした場合の周波数帯域Wにおいて、
(1)式;hLsL*Ls=(h1*hLL)*Ls・・・(1−3
(2)式;hLsR*Ls=(h1*hLR)*Ls・・・(2−3
伝達関数h〜hがこのように周波数帯域ごとにLPF、BPFの重み付けがされることにより、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ26の伝達関数hが0に設定され右フロントスピーカ5でクロストークキャンセルが行われ、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ28の伝達関数hが0に設定されセンタスピーカ6によりクロストークキャンセルが行われ、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ26の伝達関数hとクロストークキャンセル用フィルタ28の伝達関数hが0に設定されクロストークキャンセルが行われないようになる。なお、クロストークキャンセル用フィルタ24、26、28は、周波数ごとにフィルタ係数を設定することができるデジタルフィルタとして構成されているので、伝達関数h〜hは周波数ごとに上記(1−1)式〜(2−3)式に従い求めて設定することができる。
図7は本実施の形態を実現するシステムの一例を示したものである。
図7において、7はシステム操作を行う受聴者である。82はキー入力部である。受聴者7からスピーカの間隔データと視聴位置までの距離データが入力される。83は制御マイコンである。制御マイコン83は、キー入力判定、表示部制御、周波数帯域W、W、Wの上下限周波数の決定などを行う。84は液晶表示装置などの表示部である。85はCDやDVDなどの音声信号媒体から音声を再生する再生装置である。86はデコーダである。再生装置85からの出力データはCDやDVDなどの特有のフォーマットになっているので、このフォーマットに従ったデータ構成から連続したPCM(Pulse Code Modulation)信号にデコーダ85で変換処理される。87はクロストークキャンセル処理及びローパスフィルタ処理(LPF)やバンドパスフィルタ処理(BPF)を行うDSP(Digital Signal Processor)である。88はアンプ部である。4は左フロントスピーカ、5は右フロントスピーカ、6はセンタスピーカである。
図8はスピーカの間隔と受聴者までの距離から、周波数帯域W、Wの上限周波数、バンドパスフィルタの上限周波数と下限周波数を求め、クロストークキャンセル制御の最適化を行う処理フローチャートである。
まず、ステップS1において、クロストークキャンセル制御を行う各スピーカ4、5、6の相互間隔がキー入力部82から入力され、制御マイコン83はこのデータを読み込む。
次に、ステップS2において、センタスピーカ6から受聴者7の受聴位置までの距離がキー入力部82から入力され、制御マイコン83はこのデータを読み込む。
ステップS3において、入力された前記各スピーカ間の間隔と前記センタスピーカから受聴者までの距離からセンタスピーカ6によるクロストークキャンセル制御の効果があるか否かが判定される。
ステップS3において、効果がないと判定された場合には処理を終了する。これは各スピーカ4、5、6の相互間隔やセンタスピーカ6から受聴者7の受聴位置までの距離から判断して、効果的なスイートスポット領域が得られないような場合が相当する。
ステップS3において、効果があると判定された場合には、ステップS4に進みセンタスピーカ6により制御する上限周波数(周波数帯域Wの上限周波数)を決定する。
次にステップS5に進み、入力された前記各スピーカ間の間隔と前記センタスピーカから受聴者までの距離から左右フロントスピーカ4、5によるクロストークキャンセル制御の効果があるか否かが判定される。
ステップS5において効果がないと判定された場合にはステップS7に進み、センタスピーカ6によるクロストークキャンセル処理を開始し、処理を終了する。
ステップS5において効果があると判定された場合にはステップS6に進み、センタスピーカ6により制御する下限周波数(周波数帯域Wの下限周波数)を決定し、また左右フロントスピーカ4、5により制御する上限周波数(周波数帯域Wの上限周波数)を決定し、クロストークキャンセル処理開始のステップS7に進む。
本実施の形態によれば、周波数帯域Wでは右フロントスピーカ5でクロストークキャンセルが行われるので、低周波領域の音声信号のクロストークキャンセルでの両耳での音圧差を付け易くなるという効果を奏する。なお、このとき周波数帯域Wは低周波数領域なので受音位置のずれによる音圧変動が小さく、サラウンド効果のある周波数領域は広く確保することができる。
また、周波数帯域Wではセンタスピーカ6によりクロストークキャンセルが行われるのでサラウンド効果のある周波数領域をより高周波領域まで拡大でき、また、同一周波数であれば左右フロントスピーカでクロストークキャンセルするよりもスイートスポットの範囲が拡大できる。
また、周波数帯域Wではクロストークキャンセルが行われないので受音位置のずれにより音圧変動が大きく変動しない。この場合、仮想スピーカは実現できないが、不自然な音像を定位することはなく、かつ音質の劣化を防ぐことができるという効果を奏する。
(第2の実施の形態)
図9は本発明による音声再生装置の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態では左右仮想サラウンドスピーカ33、34を生成する他に、実際の左右フロントスピーカ4、5の位置より外側に左右仮想フロントスピーカ38、39を生成する。
図9において、1は左チャンネルLの信号源、2は右チャンネルRの信号源、3はセンタチャンネルCの信号源である。4は左フロントスピーカ、5は右フロントスピーカ、6はセンタスピーカである。センタスピーカ6は左フロントスピーカ4と右フロントスピーカ5のほぼ中間位置に配置される。テレビ受信機などの表示装置があるものは左フロントスピーカ4と右フロントスピーカ5のほぼ中間位置であって、表示装置の上側又は下側に設けられる。7は受聴者である。また、22は左サラウンドチャンネルLsの信号源、23は右サラウンドチャンネルRsの信号源である。
24〜29はクロストークキャンセル用フィルタであり、クロストークキャンセル用フィルタ24は左サラウンドチャンネルLsの信号源22から左フロントスピーカ4の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ25は右サラウンドチャンネルRsの信号源23から右フロントスピーカ5の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ26は左サラウンドチャンネルLsの信号源22からセンタスピーカ6の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ27は右サラウンドチャンネルRsの信号源23からセンタスピーカ6の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ28は左サラウンドチャンネルLsの信号源22から右フロントスピーカ5の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ29は右サラウンドチャンネルRsの信号源23から左フロントスピーカ4の間に備わり伝達関数hが設定されている。クロストークキャンセル用フィルタ24〜29は、周波数ごとにフィルタ係数を設定することができるデジタルフィルタとして構成されている。
また、40〜45はクロストークキャンセル用フィルタであり、クロストークキャンセル用フィルタ40は左チャンネルLの信号源1から左フロントスピーカ4の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ41は右チャンネルRの信号源2から右フロントスピーカ5の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ42は左チャンネルLの信号源1からセンタスピーカ6の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ43は右チャンネルRの信号源2からセンタスピーカ6の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ44は左チャンネルLの信号源1から右フロントピーカ5の間に備わり伝達関数hが設定され、クロストークキャンセル用フィルタ45は右チャンネルRの信号源2から左フロントスピーカ4の間に伝達関数hが設定される。クロストークキャンセル用フィルタ40〜45は、周波数ごとにフィルタ係数を設定することができるデジタルフィルタとして構成されている。35、36、37は信号加算器である。
各スピーカから受聴者7の耳までの伝達関数はそれぞれ図9のようになっている。すなわち左フロントスピーカ4から受聴者7の左耳までの伝達関数はhLL、左フロントスピーカ4から受聴者7の右耳までの伝達関数はhLR、右フロントスピーカ5から受聴者7の左耳までの伝達関数はhRL、右フロントスピーカ5から受聴者7の右耳までの伝達関数はhRR、センタスピーカ6から受聴者7の左耳までの伝達関数はhCL、センタスピーカ6から受聴者7の左耳までの伝達関数はhCRである。
左仮想サラウンドスピーカ33、右仮想サラウンドスピーカ34は左右サラウンドチャンネルLs、Rsの信号を、クロストークキャンセル用フィルタ24〜29を通して左右フロントスピーカ4、5、センタスピーカ6から音声出力することにより実現される仮想スピーカである。各仮想サラウンドスピーカ33、34から受聴者7の耳までの伝達関数は、左仮想サラウンドスピーカ33から受聴者7の左耳まではhLsL、左仮想サラウンドスピーカ33から受聴者7の右耳まではhLsR、右仮想サラウンドスピーカ34から受聴者7の左耳まではhRsL、右仮想サラウンドスピーカ34から受聴者7の右耳まではhRsRである。
例えば左仮想サラウンドスピーカ33を図9の位置に定位させるには下記の関係を満足するようにクロストークキャンセル用フィルタ24、26の伝達関数h、h、hを設定する。
hLsL*Ls=(h1*hLL+h2*hCL+h3*hRL)*Ls・・・(1)
hLsR*Ls=(h1*hLR+h2*hCR+h3*hRR)*Ls・・・(2)
・・・
なお、実際に(1)式、(2)式から伝達関数h、h、hを求めるには、第1の実施の形態と同じく、(1−1)式〜(2−3)式を使って周波数帯域ごとに求める。このとき右仮想サラウンドスピーカ34に関するクロストークキャンセル用フィルタ25、27、29の伝達関数h、h、hも対称性を利用して同様に設定でき、左仮想サラウンドスピーカ33と対称な位置に定位する。
また、左仮想フロントスピーカ38、右仮想フロントスピーカ39は左右チャンネル信号を、クロストークキャンセル用フィルタ40〜45を通して左右フロントスピーカ4、5、センタスピーカ6から音声出力することにより実現される仮想スピーカである。各仮想フロントスピーカ38、39から受聴者7の耳までの伝達関数は、左仮想フロントスピーカ38から受聴者7の左耳まではhLL’、左仮想フロントスピーカ38から受聴者7の右耳まではhLR’、右仮想フロントピーカ39から受聴者7の左耳まではhRL’、右仮想フロントスピーカ39から受聴者7の右耳まではhRR’である。
例えば左仮想フロントスピーカ38を図9の位置に定位させるには下記の関係を満足するようにクロストークキャンセル用フィルタ40、42、44の伝達関数h、h、hを設定する。
hLL'*L=(h4*hLL+h5*hCL+h6*hRL)*L・・・(3)
hLR'*L=(h4*hLR+h5*hCR+h6*hRR)*L・・・(4)
なお、実際に(3)式、(4)式から伝達関数h、h、hを求めるには、後述のように(3−1)式〜(4−3)式を使って周波数帯域ごとに求める。このとき右仮想フロントスピーカ39に関するクロストークキャンセル用フィルタ41、43、45の伝達関数h、h、hも対称性を利用して同様に設定でき、左仮想フロントスピーカ38と対称な位置に定位する。上記伝達関数hLL、hLR、hRL、hRR、hCL、hCR、hLsL、hLsR、hRsL、hRsR、LL’、hLR’、hRL’、hRR’は実測により求めることができる。
本実施の形態は、第1の実施の形態の左右サラウンドチャンネルLs、Rsに対する伝達関数24〜29を設けたのと同様に、伝達関数40〜45を設けている。
クロストークキャンセル用フィルタ24〜29は第1の実施の形態と同じに考えることができる。また、クロストークキャンセル用フィルタ40〜45に関しても、クロストークキャンセル用フィルタ24〜29と同様に考えることができる。すなわち、周波数帯域を図6で示したように3つの周波数帯域W、W、Wに分けて制御する。本実施の形態でも、伝達関数h〜hは、上記周波数帯域ごとに下記のように重み付けされて設定される。
なお、以下の説明では左側のクロストークキャンセル用フィルタ24、26、28、40、42、44について説明するが、右側のクロストークキャンセル用フィルタ25、27、29、41、43、45についても対称性を考慮して同様に考えることができる。
クロストークキャンセル用フィルタ40の伝達関数hは周波数帯域Wにおいてhに設定される。周波数帯域Wを全周波数領域とした場合には、全周波数領域において伝達関数hが求められて設定される。また、周波数帯域Wの上限までを周波数帯域Wとした場合には、クロストークキャンセル用フィルタ40の伝達関数hは、周波数帯域Wの上限まで求められて設定され、周波数帯域Wにおいては特に設定せず入力信号をそのまま出力に通過させる。
クロストークキャンセル用フィルタ42の伝達関数hは周波数帯域Wに設定されたBPFのゲイン特性に従って設定される。すなわち、伝達関数hは周波数帯域Wでは伝達関数hに設定され、それ以外の周波数帯域で0に設定される。
クロストークキャンセル用フィルタ44の伝達関数hは周波数帯域Wに設定されたLPFのゲイン特性に従って設定される。すなわち、伝達関数hは周波数帯域Wでは伝達関数hに設定され、周波数帯域Wを超える周波数帯域で0に設定される。
このとき上記(3)式、(4)式は、下記のように変換される。
周波数帯域Wにおいて、
(3)式;hLL'*L=(h4*hLL+h6*hRL)*L・・・(3−1
(4)式;hLR'*L=(h4*hLR+h6*hRR)*L・・・(4−1
周波数帯域Wにおいて、
(3)式;hLL'*L=(h4*hLL+h5*hCL)*L・・・(3−2
(4)式;hLR'*L=(h4*hLR+h5*hCR)*L・・・(4−2
全周波数領域を周波数帯域Wとした場合の周波数帯域Wにおいて、
(3)式;hLL'*L=(h4*hLL)*L・・・(3−3
(4)式;hLR'*L=(h4*hLR)*L・・・(4−3
(3−1)〜(4−3)式によって伝達関数h〜hが求められて設定されることにより、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ42の伝達関数hが0に設定され右フロントスピーカ5でクロストークキャンセルが行われ、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ44の伝達関数hが0に設定されセンタスピーカ6によりクロストークキャンセルが行われ、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ42の伝達関数hとクロストークキャンセル用フィルタ44の伝達関数hが0に設定されクロストークキャンセルが行われないようになる。
本実施の形態によれば、周波数帯域Wでは右フロントスピーカでクロストークキャンセルが行われるので、低周波領域の音声信号のクロストークキャンセルでの両耳での音圧差を付け易くなるという効果を奏する。なお、このとき周波数帯域Wは低周波数領域なので受音位置のずれによる音圧変動が小さく、サラウンド効果のある周波数領域は広く確保することができる。
また、周波数帯域Wではセンタスピーカ6によりクロストークキャンセルが行われるのでサラウンド効果のある周波数領域をより高周波領域まで拡大でき、また、同一周波数であれば左右フロントスピーカでクロストークキャンセルするよりもスイートスポットの範囲が拡大できる。
また、周波数帯域Wではクロストークキャンセルが行われないので受音位置のずれにより音圧変動が大きく変動しない。この場合、仮想スピーカは実現できないが、不自然な音像を定位することはなく、かつ音質の劣化を防ぐことができるという効果を奏する。
(第3の実施の形態)
図10は本発明による音声再生装置の第3の実施の形態を示すものである。
図10において、1は左チャンネルLの信号源、2は右チャンネルRの信号源、3はセンタスチャンネルCの信号源である。4は左フロントスピーカ、5は右フロントスピーカ、6はセンタスピーカである。センタスピーカ6は左フロントスピーカ4と右フロントスピーカ5のほぼ中間位置に配置される。テレビ受信機などの表示装置があるものは左フロントスピーカ4と右フロントスピーカ5のほぼ中間位置であって、表示装置の上側又は下側に設けられる。7は受聴者である。また、22は左サラウンドチャンネルLsの信号源、23は右サラウンドチャンネルRsの信号源である。
46〜53はクロストークキャンセル用フィルタであり、クロストークキャンセル用フィルタ46、48は左サラウンドチャンネルLsの信号源22から左フロントスピーカ4の間に備わり伝達関数h11、h12が設定され、クロストークキャンセル用フィルタ47、49は右サラウンドチャンネルRsの信号源23から右フロントスピーカ5の間に備わり伝達関数h11、h12が設定され、クロストークキャンセル用フィルタ50は左サラウンドチャンネルLsの信号源22からセンタスピーカ6の間に備わり伝達関数h13が設定され、クロストークキャンセル用フィルタ51は右サラウンドチャンネルRsの信号源23からセンタスピーカ6の間に備わり伝達関数h13が設定され、クロストークキャンセル用フィルタ52は左サラウンドチャンネルLsの信号源22から右フロントスピーカ5の間に備わり伝達関数h14が設定され、クロストークキャンセル用フィルタ53は右サラウンドチャンネルRsの信号源23から左フロントスピーカ4の間に備わり伝達関数h14として設定されている。クロストークキャンセル用フィルタ46〜53は、周波数ごとにフィルタ係数を設定することができるデジタルフィルタとして構成されている。54、55、56は信号加算器である。
各スピーカから受聴者7の耳までの伝達関数はそれぞれ図10のようになっている。すなわち左フロントスピーカ4から受聴者7の左耳までの伝達関数はhLL、左フロントスピーカ4から受聴者7の右耳までの伝達関数はhLR、右フロントスピーカ5から受聴者7の左耳までの伝達関数はhRL、右フロントスピーカ5から受聴者7の右耳までの伝達関数はhRR、センタスピーカ6から受聴者7の左耳までの伝達関数はhCL、センタスピーカ6から受聴者7の右耳までの伝達関数はhCRである。
57、58は左右サラウンドチャンネルL、Rの信号を、クロストークキャンセル用フィルタ46〜53を通して左右フロントスピーカ4、5、センタスピーカ6から音声出力することにより実現される仮想サラウンドスピーカであり、左仮想サラウンドスピーカ57、右仮想サラウンドスピーカ58を示す。
各仮想スピーカから受聴者7の耳までの伝達関数は、左仮想サラウンドスピーカ57から受聴者7の左耳までの伝達関数はhLsL、左仮想サラウンドスピーカ57から受聴者7の右耳までの伝達関数はhLsR、右仮想サラウンドスピーカ58から受聴者7の左耳までの伝達関数はhRsL、右仮想サラウンドスピーカ58から受聴者7の右耳までの伝達関数はhRsRである。上記伝達関数hLL、hLR、hRL、hRR、hCL、hCR、hLsL、hLsR、hRsL、hRsRは実測により求めることができる。
例えば左仮想サラウンドスピーカ57を図10の位置に定位させるには、下記(5−1)式〜(6−2)式の関係を満足するように、クロストークキャンセル用フィルタ46、48、50、52の伝達関数h11、h12、h13、h14を周波数帯域ごとに設定する。
なお、以下の説明では左側のクロストークキャンセル用フィルタ46、48、50、52について説明するが、右側のクロストークキャンセル用フィルタ47、49、51、53についても対称性を考慮して同様に考えることができる。
本実施の形態でも図6で示したように3つの周波数帯域に分けて制御するが、第1、第2の実施の形態と異なる点は、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ48の伝達関数h12とクロストークキャンセル用フィルタ52の伝達関数h14により制御し、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ47の伝達関数h11とクロストークキャンセル用フィルタ50の伝達関数h13により制御する点である。
すなわち、クロストークキャンセル用フィルタ46、48、50、52の伝達関数h11、h12、h13、h14が、
周波数帯域Wにおいて、
hLsL*Ls=(h12*hLL+h14*hRL)*Ls・・・(5−1
hLsR*Ls=(h12*hLR+h14*hRR)*Ls・・・(6−1
周波数帯域Wにおいて、
hLsL*Ls=(h11*hLL+h13*hCL)*Ls・・・(5−2
hLsR*Ls=(h11*hLR+h13*hCR)*Ls・・・(6−2
全周波数領域を周波数帯域Wとした場合の周波数帯域Wにおいて、
hLsL*Ls=(h11*hLL)*Ls・・・(5−3
hLsR*Ls=(h11*hLR)*Ls・・・(6−3
となるように設定される。
このとき、周波数帯域Wにおいてクロストークキャンセル用フィルタ46、50の伝達関数h11、h13は0に設定され(またはh11、h13の回路は不動作とされ)、周波数帯域Wにおいてクロストークキャンセル用フィルタ48、52の伝達関数h12、h14は0に設定され(またはh12、h14の回路は不動作とされ)、周波数帯域Wにおいてクロストークキャンセル用フィルタ48、50、52伝達関数h12〜h14は0に設定され(またはh12〜h14の回路は不動作とされ)る。
クロストークキャンセル用フィルタ46、48、50、52の伝達関数h11〜h14がこのように設定されることにより、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ48、52の伝達関数h12とh14を使って右フロントスピーカ5によりクロストークキャンセルが行われ、周波数帯域Wではクロストークキャンセル用フィルタ46、50の伝達関数h11とh13を使ってセンタスピーカ6によりクロストークキャンセルが行われ、周波数帯域Wではクロストークキャンセルが行われないようになる。
本実施の形態によれば、周波数帯域W、W、Wごとに異なる伝達関数を対応させるようにしているが、第1、第2の実施の形態と同様のクロストークキャンセル制御を実現できる。したがって、周波数帯域Wでは右フロントスピーカ5でクロストークキャンセルが行われるので、低周波領域の音声信号のクロストークキャンセルでの両耳での音圧差を付け易くなるという効果を奏する。なお、このとき周波数帯域Wは低周波数領域なので受音位置のずれによる音圧変動が小さく、サラウンド効果のある周波数領域は広く確保することができる。
また、周波数帯域Wではセンタスピーカ6によりクロストークキャンセルが行われるのでサラウンド効果のある周波数領域をより高周波領域まで拡大でき、また、同一周波数であれば左右フロントスピーカでクロストークキャンセルするよりもスイートスポットの範囲が拡大できる。
また、周波数帯域Wではクロストークキャンセルが行われないので受音位置のずれにより音圧変動が大きく変動しない。この場合、仮想スピーカは実現できないが、不自然な音像を定位することはなく、かつ音質の劣化を防ぐことができるという効果を奏する。
(第4の実施の形態)
図11は本発明による音声再生装置の第4の実施の形態を示すものである。図11において、1は左チャンネルLの信号源、2は右チャンネルRの信号源、3はセンタスチャンネルCの信号源である。4は左フロントスピーカ、5は右フロントスピーカ、6はセンタスピーカである。センタスピーカ6は左フロントスピーカ4と右フロントスピーカ5のほぼ中間位置に配置される。テレビ受信機などの表示装置があるものは左フロントスピーカ4と右フロントスピーカ5のほぼ中間位置であって、表示装置の上側又は下側に設けられる。7は受聴者である。また、22は左サラウンドチャンネルLsの信号源、23は右サラウンドチャンネルRsの信号源である。
65〜70はフィルタ、59〜64はクロストークキャンセル用フィルタであり、フィルタ65とクロストークキャンセル用フィルタ59は左サラウンドチャンネルLsの信号源22から左フロントスピーカ4の間に直列に備わりLPFと伝達関数hが設定され、フィルタ66とクロストークキャンセル用フィルタ60は右サラウンドチャンネルRsの信号源23から右フロントスピーカ5の間に直列に備わりLPFと伝達関数hが設定され、フィルタ67とクロストークキャンセル用フィルタ61は左サラウンドチャンネルLsの信号源22からセンタスピーカ6の間に直列に備わりBPFと伝達関数hが設定され、フィルタ68とクロストークキャンセル用フィルタ62は右サラウンドチャンネルRsの信号源23からセンタスピーカ6の間に直列に備わりBPFと伝達関数hが設定され、フィルタ69とクロストークキャンセル用フィルタ63は左サラウンドチャンネルLsの信号源22から右フロントスピーカ5の間に直列に備わりLPFと伝達関数hが設定され、フィルタ70とクロストークキャンセル用フィルタ64は右サラウンドチャンネルRsの信号源23から左フロントスピーカ4の間に直列に備わりLPFと伝達関数hが設定されている。フィルタ65、66のLPFは、図6の全周波数領域(W+W+W)の信号、又は周波数帯域Wの上限までの周波数帯域(W+W)の信号を通過させるローパスフィルタである。フィルタ67、68のBPFは、図6の周波数帯域Wの信号を通過させるバンドパスフィルタである。フィルタ69、70のLPFは、図6の周波数帯域Wの信号を通過させるローパスフィルタである。
74、75は左右サラウンドチャンネルL、Rの信号を、フィルタ65〜70、クロストークキャンセル用フィルタ59〜64を通して左右フロントスピーカ4、5、センタスピーカ6から音声出力することにより実現される仮想サラウンドスピーカであり、左仮想サラウンドスピーカ74、右仮想サラウンドスピーカ75を示す。各仮想スピーカから受聴者7の耳までの伝達関数は、左仮想サラウンドスピーカ74から受聴者7の左耳までの伝達関数はhLsL、左仮想サラウンドスピーカ74から受聴者7の右耳までの伝達関数はhLsR、右仮想サラウンドスピーカ75から受聴者7の左耳までの伝達関数はhRsL、右仮想サラウンドスピーカ75から受聴者7の右耳までの伝達関数はhRsRである。上記伝達関数hLL、hLR、hRL、hRR、hCL、hCR、hLsL、hLsR、hRsL、hRsRは実測により求めることができる。
第1の実施の形態では、クロストークキャンセル用フィルタ24〜29のフィルタ係数を図6に示した周波数帯域W、Wごとに設定されたLPFあるいはBPFの特性に合わせるようにして設定したが、本実施の形態は、フィルタ65〜70によりフィルタ特性を合わせるように設定される。
なお、以下の説明では左側のクロストークキャンセル用フィルタ59、61、63、左側のフィルタ65、67、69について説明するが、右側のクロストークキャンセル用フィルタ60、62、64、右側のフィルタ66、68、70についても対称性を考慮して同様に考えることができる。
本実施の形態と第1の実施の形態を対比すると、クロストークキャンセル用フィルタ59の伝達関数hとフィルタ65のローパスフィルタLPF特性を合わせた特性は第1の実施の形態のクロストークキャンセル用フィルタ24の伝達関数hと同じであり、クロストークキャンセル用フィルタ61の伝達関数hとフィルタ67のバンドパスフィルタBPF特性を合わせた特性は第1の実施の形態のクロストークキャンセル用フィルタ26の伝達関数hと同じであり、クロストークキャンセル用フィルタ63の伝達関数hとフィルタ69のローパスフィルタLPF特性を合わせた特性は第1の実施の形態のクロストークキャンセル用フィルタ28の伝達関数hと同じである。
したがって、本実施の形態によれば、周波数帯域Wでは右フロントスピーカ5のみでクロストークキャンセルが行われるので、低周波領域の音声信号のクロストークキャンセルでの両耳での音圧差を付け易くなるという効果を奏する。なお、このとき周波数帯域Wは低周波数領域なので受音位置のずれによる音圧変動が小さく、サラウンド効果のある周波数領域は広く確保することができる。
また、周波数帯域Wではセンタスピーカ6によりクロストークキャンセルが行われるのでサラウンド効果のある周波数領域をより高周波領域まで拡大でき、また、同一周波数であれば左右フロントスピーカでクロストークキャンセルするよりもスイートスポットの範囲が拡大できる。
また、周波数帯域Wではクロストークキャンセルが行われないので受音位置のずれにより音圧変動が大きく変動しない。この場合、仮想スピーカは実現できないが、不自然な音像を定位することはなく、かつ音質の劣化を防ぐことができるという効果を奏する。
以上、具体的な実施の形態によって本発明を説明したが、本発明は前方に設置された2チャンネルスピーカに互いの逆相の音を混入する方法、シュレーダー方式による音像定位法、頭部伝達関数を用いて任意の位置に音像を定位させる方法に適用できるがこれに限定されず、クロストークキャンセル制御を使うものに適用できる。また、上記実施の形態では音声再生装置について詳細に説明したが、映像表示装置と音声再生装置を備えたテレビ受信機などにも適用できる。また、本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することができることは言うまでもない。
本発明は、クロストークキャンセル制御を行うステレオ装置、テレビジョン受信機などの音声再生装置に利用できる。
本発明の第1の実施の形態としての音声再生装置の構成図、及びスピーカ、受聴者、仮想スピーカの位置関係を説明する図である。 本発明のクロストークキャンセル制御の干渉現象を説明する図である。 本発明の第1の実施の形態としての音声再生装置でクロストークキャンセル制御を行ったときの音圧特性を示す図である。 本発明の第1の実施の形態としての音声再生装置でクロストークキャンセル制御を行ったときの他の音圧特性を示す図である。 本発明の第1の実施の形態としての音声再生装置でクロストークキャンセル制御を行ったときの更に他の音圧特性を示す図である。 本発明のクロストークキャンセル制御の周波数帯域を説明する図である。 本発明の第1の実施の形態としてのシステム構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態の動作フローチャートである。 本発明の第2の実施の形態としての音声再生装置の構成図、及びスピーカ、受聴者、仮想スピーカの位置関係を説明する図である。 本発明の第3の実施の形態としての音声再生装置の構成図、及びスピーカ、受聴者、仮想スピーカの位置関係を説明する図である。 本発明の第4の実施の形態としての音声再生装置の構成図、及びスピーカ、受聴者、仮想スピーカの位置関係を説明する図である。 従来技術の音声再生装置の構成図、及びスピーカ、受聴者、仮想スピーカの位置関係を説明する図である。 従来技術のクロストークキャンセル制御の干渉現象を説明する図である。 従来技術の音声再生装置でクロストークキャンセル制御を行ったときの音圧特性を示す図である。 従来技術の音声再生装置で、受聴者がスイートスポット内にいるときの、本発明のクロストークキャンセルを説明する図である。 従来技術の音声再生装置で、受聴者がスイートスポット外にいるときの、本発明のクロストークキャンセルを説明する図である。
符号の説明
1・・・左チャンネルLの信号源
2・・・右チャンネルRの信号源
3・・・センタチャンネルCの信号源
4・・・左フロントスピーカ
5・・・右フロントスピーカ
6・・・センタスピーカ
7・・・受聴者
8〜11、24〜29、40〜53、59〜64・・・クロストークキャンセル用フィルタ
12、13、30〜32、35〜37、54〜56、71〜73・・・信号加算器
14、38・・・左仮想フロントスピーカ
15、39・・・右仮想フロントスピーカ
33、57、74・・・左仮想サラウンドスピーカ
34、58、75・・・右仮想サラウンドスピーカ
21・・・スイートスポット
22・・・左サラウンドチャンネルLsの信号源
23・・・右サラウンドチャンネルRsの信号源
65〜70・・・フィルタ
82・・・キー入力部
83・・・制御マイコン
84・・・表示部
85・・・再生装置
86・・・デコーダ
87・・・DSP(Digital Signal Processor)
88・・・アンプ部

Claims (14)

  1. 少なくとも左フロントスピーカと、右フロントスピーカと、前記左フロントスピーカと前記右フロントスピーカのほぼ中間位置に配置されたセンタスピーカを備えた音声再生装置において、
    第1の周波数帯域において前記左右のフロントスピーカ同士でクロストーク信号を仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する第1クロストークキャンセル手段と、
    前記第1の周波数帯域を超える高周波側の第2の周波数帯域において前記左フロントスピーカ又は前記右フロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカにより仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する第2クロストークキャンセル手段を備えたことを特徴とする音声再生装置。
  2. 前記第1クロストークキャンセル手段は、前記左フロントスピーカのクロストーク信号を前記右フロントスピーカの信号により仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する手段と、前記右フロントスピーカのクロストーク信号を前記左フロントスピーカの信号により任意の仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する手段を具備し、
    前記第2クロストークキャンセル手段は、前記左フロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカの信号により仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する手段と、前記右フロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカの信号により仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成する手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の音声再生装置。
  3. 前記第2の周波数帯域を超える高周波帯域ではクロストーク信号を干渉しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音声再生装置。
  4. クロストーク信号を干渉することによる効果が得られないときはクロストークキャンセルを行わないことを特徴とする請求項3に記載の音声再生装置。
  5. 前記第1クロストークキャンセル手段は、
    左チャンネル信号源の信号を基に前記左フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記右フロントスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記左チャンネル信号源からの信号を前記右フロントスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタと、
    右チャンネル信号源の信号を基に前記右フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記左フロントスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記右チャンネル信号源からの信号を前記左フロントスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の音声再生装置。
  6. 前記第2クロストークキャンセル手段は、
    前記左チャンネル信号源の信号を基に前記左フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記センタスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記左チャンネル信号源からの信号を前記センタスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタと、
    前記右チャンネル信号源の信号を基に前記右フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記センタスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記右チャンネル信号源からの信号を前記センタスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタを備えたことを特徴とする請求項5に記載の音声再生装置。
  7. 前記第1クロストークキャンセル手段は、
    左サラウンドチャンネル信号源の信号を基に前記左フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記右フロントスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記左サラウンドチャンネル信号源からの信号を前記右フロントスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタと、
    右サラウンドチャンネル信号源の信号を基に前記右フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記左フロントスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記右サラウンドチャンネル信号源からの信号を前記左フロントスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタを備えたことを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の音声再生装置。
  8. 前記第2クロストークキャンセル手段は、
    前記左サラウンドチャンネル信号源の信号を基に前記左フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記センタスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記左サラウンドチャンネル信号源からの信号を前記センタスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタと、
    前記右サラウンドチャンネル信号源の信号を基に前記右フロントスピーカから出力されるクロストーク信号を前記センタスピーカから出力される信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するように、前記右サラウンドチャンネル信号源からの信号を前記センタスピーカに通過させるクロストークキャンセル用フィルタを備えたことを特徴とする請求項7に記載の音声再生装置。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の音声再生装置と、映像表示装置を備えたことを特徴とする映像音声再生装置。
  10. 少なくとも左フロントスピーカと、右フロントスピーカと、前記左フロントスピーカと前記右フロントスピーカのほぼ中間位置に配置されたセンタスピーカによりクロストーク信号を仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するクロストークキャンセル方法において、
    第1の周波数帯域において前記左右のフロントスピーカ同士でクロストーク信号を仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成し、
    前記第1の周波数帯域を超える高周波側の第2の周波数帯域において前記左フロントスピーカ又は前記右フロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカにより仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成することを特徴とするクロストークキャンセル方法。
  11. 前記第1の周波数帯域において前記左右のフロントスピーカのクロストーク信号を前記左右のフロントスピーカの信号を使って仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成し、
    前記第2の周波数帯域において前記左右のフロントスピーカのクロストーク信号を前記センタスピーカの信号により仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成することを特徴とする請求項10に記載のクロストークキャンセル方法。
  12. 前記第2の周波数帯域を超える高周波帯域ではクロストーク信号を干渉しないことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のクロストークキャンセル方法。
  13. クロストーク信号を干渉することによる効果が得られないときはクロストークキャンセルを行わないことを特徴とする請求項12に記載のクロストークキャンセル方法。
  14. 左右のフロントスピーカのクロストーク信号をセンタスピーカの信号で仮想スピーカからの出力信号と同じ信号に合成するクロストークキャンセル方法において、
    前記左右のフロントスピーカ及び前記センタスピーカの各スピーカ間の間隔を入力する工程と、
    前記センタスピーカから受聴者までの距離を入力する工程と、
    入力された前記各スピーカ間の間隔と前記センタスピーカから受聴者までの距離からセンタスピーカによるクロストークキャンセル制御が有効か否かを判定する工程と、
    センタスピーカによるクロストークキャンセル制御が有効なとき前記センタスピーカによりクロストークキャンセル制御する上限周波数を決定する工程と、
    入力された前記各スピーカ間の間隔と前記センタスピーカから受聴者までの距離から前記左右のフロントスピーカによるクロストークキャンセル制御が有効か否かを判定する工程と、
    前記左右のフロントスピーカによるクロストークキャンセル制御が有効なとき前記センタスピーカによりクロストークキャンセル制御する下限周波数と前記左右のフロントスピーカによりクロストークキャンセル制御する上限周波数を決定する工程とを備えたことを特徴とするクロストークキャンセル方法。
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