JP2010011083A - バイノーラル収音再生システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】予め収音用マイクロフォン2R,2Lにより収録された収録音声信号の補正を行いスピーカに供給する補正フィルタと、スピーカで再生された収録音声信号を聴取者5の耳道領域に備えられた収音用マイクロフォン2R,2Lにより収音して得られた再生音声信号に対して補正を行う適応フィルタとを備え、適応フィルタは、前記再生音声信号と収録音声信号との差分に基きスピーカから収音用マイクロフォン2R,2Lまでの伝達特性と逆の特性を算出し、補正フィルタが、算出された特性により前記収録音声信号の補正を行う。
【選択図】図1
Description
このバイノーラル収音再生方式は、左右の耳の耳道入口付近または耳道内にそれぞれマイクロフォンを配置して、収音するステレオ収音手法である。
このマイクロフォンにより収音された音声信号をヘッドフォン等により耳道入口付近で再生することによって、収音された場所の音場をより忠実に再現する。
この場合、収音時と再生時の頭部伝達関数(HRTF:Head-Related Transfer Function)が原理的には一致するため、より忠実な音場再現が可能となる。
この関連技術では、リアルヘッド収音されたバイノーラル信号のヘッドフォンによる再生を行う際に、収音に用いたマイクロフォン(または、それに特性が近似したマイクロフォン)を耳に装着し、さらにヘッドフォンを装着して、適応フィルタにより逐次、ヘッドフォンからマイクロフォンまでの合成特性と逆の特性を求め、得られた合成逆特性を補正フィルタにより、バイノーラル信号としての通常の音声信号に重畳することによってマイクロフォンやヘッドフォンの特性を補正する。
また、バイノーラル収音された音声のバイノーラル再生時には、ヘッドフォンを装着する必要があり、ラウドスピーカによりバイノーラル再生を行うことが、想定されていない。
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、バイノーラル収音された音声を、収音時の音場により忠実に再現再生するバイノーラル収音再生システム、を提供することを、その目的とする。
次に、本発明の実施形態について、その基本的構成内容を説明する。
また、ヘッドフォン3R,3Lは、聴取者5の左右の耳にそれぞれに装着されたマイクロフォン2R,2Lをそれぞれ覆うように装着され、マイクロフォン2Rは、再生装置1の右再生系に、マイクロフォン2Lは、再生装置1の左再生系にそれぞれ接続され、収音された音声を再生装置1に入力する。
マイクロフォン2Rは、図2(A)、(B)に示すように、聴取者5の耳介にかけられる耳掛け21、音声の収音を行うマイク部22、および聴取者5の耳道内に挿入されるプローブ23により構成される。尚、マイクロフォン2Lについても、マイクロフォン2Rと同様の構成を有するものとする。
ここで、録音者4の右耳に装着されたマイクロフォン2Rは、それぞれ、録音者4の両耳に到達する音声信号(生音)が阻害されることなく聴取されるように、録音者4の耳道を塞ぐことのないプローブ型を有するものとする。尚、図3は、マイクロフォン2Rが右耳の耳道に装着された場合を例示している。
尚、録音デバイス6は、ステレオ収音可能なデバイスであれば、ディジタルデバイスでもアナログデバイスでもよい。
再生装置1は、ヘッドフォン3に接続されて設けられ、データ記憶部7に記録された入力音声信号SR、およびSLを再生する。
再生装置1の右再生系は、図5に示すように、補正フィルタ12R、遅延素子13R、適応処理部14R、および加算器15Rからなる。又、再生装置1の左再生系は、補正フィルタ12L、遅延素子13L、適応処理部14L、および加算器15Lからなる。
以下、再生装置1の右チャンネル再生系の構成内容について詳説する。
これにより、補正フィルタ12(12R,12L)は、バイノーラル収音された音声信号がヘッドフォン聴取される場合に、音声信号におけるヘッドフォンから耳までの間の特性をフラットにする補正することができる。
ここで、上記遅延データ送出機能における遅延時間tは、ヘッドフォン3Rからマイクロフォン2Rまでの音声伝播時間を含む時間値が、あらかじめ設定されているものとする。
また、加算器15Rは、加算(減算)結果である残差データe(k)を適応フィルタ14Rに送出する(残差データ出力機能)。
これにより、適応フィルタ14Rは、ヘッドフォン3Rからマイクロフォン2Rまでの逆特性を同定することができる。
そこで、本実施形態では、ヘッドフォンからマイクロフォンまでの逆特性の同定を行う適応フィルタ14R,14Lを、特許第4067269号に開示された高速H∞フィルタ(FHF:高速算出フィルタ)により構成するものとする。これにより、上記逆特性を高速に同定することが可能となる。
尚、本実施形態では、右チャンネル再生系について説明したが、左チャンネル再生系についても、右チャンネル再生系の補正フィルタ12R、遅延素子13R、適応フィルタ14R、および加算器15Rそれぞれに対応した、補正フィルタ12L、遅延素子13L、適応フィルタ14L、および加算器15Lにより構成され、ヘッドフォン3Lおよびマイクロフォン2Lを含み同様に機能するものとする。
ここでは、本実施形態(図5)と同様に、聴取者にマイクロフォン2(2R,2L)およびヘッドフォン3(3R,3L)が装着されている。
尚、適応フィルタXは、入力される加算結果eが最小となるように、当該適応フィルタにおけるフィルタ特性を同定する。これにより、適応フィルタは、ヘッドフォン3Rからマイクロフォン2Rまでの伝達特性を同定することができる。
又、ヘッドフォン3Rにより収録音声信号が再生され、これをマイクロフォン2Rで収音した音声信号が、適応フィルタYを介して加算部に入力される。尚、適応フィルタYは、音声信号に対して予め設定されたフィルタ係数に基き補正処理を行う。
遅延素子Dは、実施形態1の遅延素子13Rと同様に、入力された収録音声信号に対して、予め設定された時間分だけ遅延処理を行い、この遅延処理された遅延音声データを加算部に出力する。
ここでは、適応フィルタYからの音声信号と、遅延素子Dを介して入力される音声信号とが、加算部で加算処理され、加算結果eが適応フィルタに出力される。
これにより、適応フィルタYは、ヘッドフォン3Rからマイクロフォン2Rまでの伝達特性の逆特性(逆伝達特性)を同定することができる。
この周波数特性の形状は、ほぼフラットとなっており、これにより、図9に示す逆伝達特性の時間波形が、図7に示される伝達特性の逆特性となっていることが確認できる。
これにより、本実施形態の構成によって、上記適応フィルタYに対応する適応フィルタ14Rが、上述のヘッドフォン3Rからマイクロフォン2Rまでの伝達特性の逆伝達特性を有効に同定することができることが分かる。
しかしながら、この場合、伝達特性から逆伝達特性を求める処理量が膨大になるという不都合がある。また、同定された伝達特性(図7(A))から求められた逆特性は、畳み込み処理を行った場合に、伝達特性をフラットにできない特性が含まれてしまうという不都合がある。
ここで、上述のように、聴取者5がマイクロフォン2R,2Lおよびヘッドフォン3R,3Lを装着して、前述のように収録されたバイノーラル信号を再生する場合について、説明する。
補正フィルタ12Rでは、送り込まれた音声データDRに対して、予め設定されたフィルタ係数(補正特性)による補正処理が行われ、音声信号s(k)としてヘッドフォン3R、および遅延素子13Rに送出される。
尚、上記再生音声データx(k)は、再生装置1に予め設けられたA/D(Analog/Digital)コンバータによりA/D変換され、デジタル音声信号として供給される。
適応フィルタ14Rでは、送り込まれた差分e(k)および信号x(k)に基き差分e(k)を最小とするように特性が自己設定される。また、同定された逆特性は、補正フィルタ12Rに通知される。
次に、本発明に係る実施形態2のシステムについて説明する。ここで、前述した実施形態1と同一の部分については、同一の符号を付するものとする。
この実施形態2は、実施形態1のヘッドフォンに代えて、聴取者5の前方左側にラウドスピーカ200L、前方右側にラウドスピーカ200Rを設けた点と、再生装置100内にクロストークキャンセル部50を備えた点が実施形態1の場合と相違する。
リアルヘッド収録された収録信号(左および右チャンネル音声信号)を、一対のラウドスピーカ200L,Rにて再生する場合、これを聴取する聴取者側では、クロストークの影響で音の空間的拡がり、定位感が減少してしまう。このため、図12に示すように、再生される左および右チャンネル音声信号(x1、およびx2)に対して、クロストークをキャンセルする処理(クロストークキャンセル処理)を行うことが必要となる。
実施形態1と同様に聴取者5の両耳にマイクロフォン2L、2Rをそれぞれ備え、聴取者5の前方に左ラウドスピーカ(以下「スピーカ」という)200L、および右ラウドスピーカ(以下「スピーカ」という)200Rを設け、このスピーカ200L、Rに音声信号を提供する再生装置100を備えた構成となっている。
再生装置100は、スピーカ200L、およびRにそれぞれ接続され、データ記憶部7(図示なし)に記録された入力音声信号SR、およびSLの再生を行う再生処理部11(図示なし)と、再生処理部11から入力される左チャンネル音声信号DLに補正を行う補正フィルタAと、同様に再生処理部11から入力される右チャンネル音声信号DRに対して補正を行う補正フィルタBを有する。
本実施形態の再生装置100では、上記補正フィルタA、およびBに加えて、後述するクロストークキャンセル部50内に、補正フィルタC、およびDを備えている。これら4つのフィルタそれぞれの特性は、図13に示すように、左スピーカ(200L)、および右スピーカ(200R)それぞれと聴取者の両耳それぞれとの間の伝達関数G11、G22、G12、G21に基き決定される。
このような構成により、再生される左および右チャンネル音声信号を処理することにより、左スピーカからの信号は左耳のみに到達し、右スピーカからの信号は右耳のみに到達する。
これにより、聴取者が移動することにより、聴取者の耳とラウドスピーカとの位置関係が変化した場合でも、装備されたフィルタのフィルタ関数が適応的に更新され、常に最適なクロストークキャンセルを実現することが可能となる。
本実施形態のバイノーラル収音再生システムは、図14に示すように、リアルヘッド収録された音声信号を再生するバイノーラル再生装置(以下「再生装置」という)100と、再生装置100から供給された音声信号を放音するラウドスピーカ(以下「スピーカ」という)200L、200Rとを備えた構成となっている。また、上述のように、聴取者5の左右各耳における耳道近傍には、実施形態1と同様に、装着されたマイクロフォン2(2L、2R)を備えられ、このスピーカ200L、および200Rから放音される音声をマイクロフォン2L、および2Rがそれぞれ収音する。
信号補正部41は、再生処理部11からの音声信号DLに対して、スピーカ200Lから聴取者5の左耳までの伝達関数の逆関数に基く周波数特性を付与する。これにより、スピーカ200Lから聴取者5の左耳までの音声の周波数特性をフラットに補正することができる。
尚、このフィルタ係数(1/G11)は、後述するフィルタ特性算出部61により算出(同定)され、設定される。
尚、このフィルタ係数(1/G22)は、後述するフィルタ特性算出部63により算出され、設定される。
信号補正部42は、再生処理部11からの音声信号DRに対して、スピーカ200Rから聴取者5の右耳までの伝達関数の逆関数に基く周波数特性を付与する。これにより、スピーカ200Rから聴取者5の右耳までの音声の周波数特性をフラットに補正することができる。
加算処理部31Lは、lch入力信号lw(k)からフィードバック信号b1が減算されたlch出力信号lx(k)をスピーカ200Lに供給(入力)する。また、加算処理部31Lは、加算処理されたlch出力信号lx(k)を、後述する信号補正部45に入力する。
加算処理部32Rは、rch入力信号rw(k)からフィードバック信号b2(k)が減算されたrch出力信号rx(k)をスピーカ200Rに供給(入力)する。また、加算処理部32Rは、このrch出力信号rx(k)を、後述する信号補正部46に入力する。
又、信号補正部45には、スピーカ200Rから聴取者5の右耳までの伝達関数(G22)の逆伝達関数(1/G22)に対応するフィルタ係数が設定される。
信号補正部45は、加算処理部31Lからのlch出力信号lx(k)に対して、スピーカ200Rから聴取者5の右耳までの伝達関数の逆関数(1/G22)に基く周波数特性を付与する処理を行い、音声信号ly(k)として信号補正部43に出力する。
尚、信号補正部45は、上記信号補正部42のフィルタ係数と同じフィルタ係数が設定される。また、信号補正部45のフィルタ係数は、後述するフィルタ特性算出部61により算出され、設定される。このため、信号補正部45のフィルタ特性は、フィルタ特性算出部61による同定の結果により、信号補正部42の特性と同じになるように更新設定される。
また、信号補正部43には、スピーカ200Lから聴取者5の右耳までのクロストークにおける伝達関数(G12)に対応するフィルタ係数が設定される。
更に、信号補正部43のフィルタ係数(G12)は、後述するフィルタ特性算出部63により算出され、設定される。このため、信号補正部43のフィルタ特性は、フィルタ特性算出部63による同定の結果により、そのフィルタ特性が更新される。
加算処理部32Rは、rch入力信号w(k)からフィードバック信号b2が減算されたrch出力信号rx(k)を、スピーカ200Rに入力すると共に、後述する信号補正部46に入力する。
又、信号補正部46には、スピーカ200Lから聴取者5の左耳までの伝達関数(G11)の逆関数(1/G11)に対応するフィルタ係数が設定される。
信号補正部46は、加算処理部32Rからのrch出力信号rx(k)に対して、スピーカ200Lから聴取者5の左耳までの伝達関数の逆関数(1/G11)に基く周波数特性を付与する処理を行い、rch音声信号ry(k)として信号補正部44に出力する。
尚、信号補正部46は、上記信号補正部41のフィルタ係数と同じフィルタ係数に設定される。つまり、信号補正部46のフィルタ係数は、後述するフィルタ特性算出部61により算出され設定される。このため、信号補正部46のフィルタ特性は、フィルタ特性算出部63による同定の結果により、更新される。
ここで、信号補正部44には、スピーカ200Rから聴取者5の左耳までのクロストークにおける伝達関数に対応するフィルタ係数(G21)が予め設定される。
また、信号補正部44のフィルタ係数は、後述するフィルタ特性算出部64により算出され、設定される。このため、信号補正部44のフィルタ特性は、フィルタ特性算出部64による同定の結果により、更新される。
又、フィルタ特性算出部61(適応フィルタに相当)は、図16に示すように、遅延手段33と、加算手段34と、適応フィルタAとを含み構成される。
遅延手段33は、入力されたリアルヘッド収音左信号(DL)を予め設定された時間(t)だけ遅延させ、この遅延させた遅延音声データad(k−t)を加算手段34に出力する(遅延データ送出機能)。
ここでは、加算手段34は、遅延音声信号ad(k−t)から出力ay(k)を減算する処理を行い、残差信号aeを生成し適応フィルタAに送出する(残差信号出力機能)。
デジタルフィルタaは、マイクロフォン2Lから入力された再生音声データlp(k)に対して、予め設定されたフィルタ係数で畳み込み処理を行い出力ay(k)を生成する。デジタルフィルタaは、生成した出力ay(k)を加算手段34に出力する(再生信号補正出力機能)。
係数決定手段aは、加算手段34から出力された残差信号ae(k)とマイクロフォン2Lから入力された再生音声データlp(k)に基いて、スピーカ200Lから聴取者5の左耳に到達する音声信号の伝達特性(G11)と逆の逆伝達特性(1/G11:逆特性)を同定し、この逆伝達特性(関数)に合わせて、デジタルフィルタaのフィルタ係数を補正する。この補正は、加算手段34から適応フィルタAに入力される残差信号ae(k)ができるだけ小さくなるように行われる。
これにより、適応フィルタAからの出力ay(k)を遅延音声信号ad(k−t)に近似させる適応処理を行うことが可能となる。
加算手段35は、適応フィルタBからの出力by(k)とマイクロフォン2Rから入力された再生音声データ(マイクロフォン入力信号)rp(k)とが入力される。
加算手段35は、マイクロフォン入力信号(プラス成分)rp(k)と出力信号by(k)(マイナス成分)とを加算する処理を行う(加算処理機能)。
ここでは、入力信号rp(k)から出力信号by(k)が減算されることにより、残差信号be(k)を生成される。加算手段35は、この残差信号be(k)を、適応フィルタBに送出する(残差信号出力機能)。
デジタルフィルタbは、入力されたリアルヘッド収音左信号(DL)に対して予め設定されたフィルタ係数で畳み込み処理を行い、出力by(k)を生成する。また、デジタルフィルタbは、生成した出力by(k)を加算手段35に出力する(収録信号補正出力機能)。
又、フィルタ特性算出部63は、図17に示すように、遅延手段36と、加算手段37と、適応フィルタCとを含み構成される。
遅延手段36は、入力されたリアルヘッド収音右信号(DR)を予め設定された時間(t)だけ遅延させ、この遅延させた遅延音声データcd(k−t)を加算手段37に出力する(遅延データ送出機能)。
ここでは、加算手段34は、遅延音声信号cd(k−t)から出力cy(k)を減算する処理を行い残差信号ceを生成して適応フィルタCに送出する(残差信号出力機能)。
デジタルフィルタcは、マイクロフォン2Rから入力された再生音声データrp(k)に対して、予め設定されたフィルタ係数で畳み込み処理を行い出力cy(k)を生成する。デジタルフィルタcは、生成した出力cy(k)を加算手段37に出力する(再生信号補正出力機能)。
係数決定手段cは、加算手段37から出力された残差信号ce(k)とマイクロフォン2Rから入力された再生音声データrp(k)に基いて、スピーカ200Rから聴取者5の右耳に到達する音声信号の伝達特性(G22)と逆の逆伝達特性(1/G22:逆特性)を算出し、この逆特性に合わせて、デジタルフィルタcのフィルタ係数を補正する。この補正は、加算手段37から適応フィルタCに入力される残差信号ce(k)ができるだけ小さくなるように行われる。
これにより、適応フィルタCからの出力cy(k)を遅延音声信号cd(k−t)に近似させる適応処理を行うことが可能となる。
加算手段38は、適応フィルタDからの出力dy(k)とマイクロフォン2Lから入力された再生音声データ(左マイクロフォン入力信号)lp(k)とが入力される。
加算手段38は、左マイクロフォン入力信号(プラス成分)lp(k)と出力信号dy(k)(マイナス成分)とを加算する処理を行う(加算処理機能)。
ここでは、左マイクロフォン入力信号lp(k)から出力信号dy(k)が減算されることにより、残差信号de(k)を生成される。加算手段38は、この残差信号de(k)を、適応フィルタDに送出する(残差信号出力機能)。
デジタルフィルタdは、入力されたリアルヘッド収音右信号(DR)に対して予め設定されたフィルタ係数で畳み込み処理を行い、出力dy(k)を生成する。また、デジタルフィルタdは、生成した出力dy(k)を加算手段38に出力する(収録信号補正出力機能)。
これにより、ラウドスピーカによる再生であっても、聴取者の耳道領域にヘッドフォンによる再生時(実施形態1)と等価な再生環境を構築することができる。また、使用するステレオラウドスピーカの変更や、聴取者の聴取位置の変動に対して、特性を動的に追従させて更新することが可能となる。
そこで、本実施形態では、上記フィルタ係数の算出処理に、特許第4067269号に開示された高速H∞フィルタ(FHF:高速算出フィルタ)を用いるものとする。
また、このFHFを用いて一定時間毎に適応フィルタA(1/G11)、B(G12)、C(1/G22)、およびD(G21)のフィルタ係数を算出し、算出されたフィルタ係数を信号補正部41〜46のフィルタ係数として用いることにより、聴取者5が移動することによって各伝達関数が変化した場合でも、聴取者5とスピーカとの位置変動に追従してクロストークキャンセル処理を行うことが可能となる。
2L,2R マイクロフォン(収音用マイクロフォン)
3L,3R ヘッドフォン
4 録音者
5 聴取者
6 録音デバイス
7 データ記録部
11 再生処理部
12L,12R 補正フィルタ
13L,13R 遅延素子(遅延信号出力手段)
14L,14R 適応フィルタ
15L,15R 加算器(残差検出手段)
200L,200R ラウドスピーカ
50 クロストークキャンセル部
31L,32R 加算処理部
33,36 遅延手段(遅延信号出力手段)
34,35,37,38 加算手段(残差検出手段)
41,42 信号補正部(再生音声補正フィルタ)
43,44,45,46 信号補正フィルタ
61,63 フィルタ特性算出部(再生音声適応フィルタ)
62,64 フィルタ特性算出部
Claims (8)
- 収音用マイクロフォンにより予め収録された収録音声信号の補正を行いスピーカに供給する補正フィルタと、
前記スピーカで前記供給された収録音声信号が再生され予め聴取者の耳道領域に備えられた前記収音用マイクロフォンにより収音された再生音声信号に対して補正を行う適応フィルタと、
前記収録音声信号を取得し予め設定された時間遅延させて出力する遅延信号出力手段と、
前記適応フィルタを介して取得された再生音声信号と前記遅延信号出力手段からの収録音声信号との差分を算出し、その差分を前記適応フィルタに送出する残差検出手段とを備え、
前記適応フィルタは、前記再生音声信号と前記差分とに基き、前記スピーカから前記収音用マイクロフォンまでの伝達特性と逆の特性を算出する逆特性同定機能を有し、
前記補正フィルタが、前記特性により前記収録音声信号の補正を行うことを特徴とするバイノーラル収音再生システム。 - 前記請求項1に記載のバイノーラル収音再生システムにおいて、
前記適応フィルタは、前記残差検出手段から送出された差分に基き当該差分が最小となるように前記適応フィルタにおける特性を更新する適応特性更新機能を特徴とするバイノーラル収音再生システム。 - 前記請求項1、2に記載のバイノーラル収音再生システムにおいて、
前記スピーカを前記聴取者の耳道領域に装着されるヘッドフォンとすることを特徴としたバイノーラル収音再生システム。 - 前記請求項1、2に記載のバイノーラル収音再生システムにおいて、
前記スピーカを少なくとも左右2つのチャンネルを有する左および右ラウドスピーカとして備え、
前記補正フィルタを介して前記左および右ラウドスピーカそれぞれに供給される前記収録音声信号に対して、前記左ラウドスピーカから前記聴取者の右耳に到達する音声および前記右ラウドスピーカから聴取者の左耳に到達する音声をキャンセルする補正を行うクロストークキャンセル部を備えたことを特徴とするバイノーラル収音再生システム。 - 前記請求項1乃至4の何れか1つに記載のバイノーラル収音再生システムにおいて、
前記クロストークキャンセル部は、前記収録音声信号に対して、前記左及び右スピーカと前記聴取者の左および右耳それぞれとの間の伝達特性と逆の伝達特性と、前記左および右スピーカと前記聴取者の右および左耳それぞれとの間の伝達特性とを付与する補正を行う再生音声補正フィルタを有し、
前記再生音声信号と前記収録音声信号とに基き前記再生音声補正フィルタにおける前記伝達特性の算出を行うと共に、前記伝達特性を前記再生音声補正フィルタに設定する再生音声適応フィルタを備えたことを特徴とするバイノーラル収音再生システム。 - 前記請求項1乃至3の何れか1つに記載のバイノーラル収音再生システムにおいて、
前記適応フィルタとして当該適応フィルタにおける特性を高速に算出する高速算出フィルタを用いることを特徴としたバイノーラル収音再生システム - 前記請求項5に記載のバイノーラル収音再生システムにおいて、
前記再生音声適応フィルタとして当該再生音声適応フィルタにおける各伝達特性を高速に算出する高速算出フィルタを用いることを特徴としたバイノーラル収音再生システム。 - 前記請求項1乃至7の何れか1つに記載のバイノーラル収音再生システムにおいて、
前記収音用マイクロフォンは、耳道を塞ぐことなく耳道内に挿入可能なプローブ形状を有することを特徴とするバイノーラル収音再生システム。
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