JP2008097987A - 燃料電池セル、燃料電池システム及び携帯用電子機器 - Google Patents

燃料電池セル、燃料電池システム及び携帯用電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】クロスオーバー現象の発生を抑制でき、かつ発電に必要な燃料を十分に供給することのできる、発電性能に優れた燃料電池セル及び燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池セル1は、燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6を燃料極2に接触させてなる。燃料電池用燃料を固体状又はゲル状にすることで、燃料電池用燃料が非流動的になり、燃料電池用燃料を燃料極に留まらせることができ、燃料電池用燃料が電解質膜に浸透することもなく、クロスオーバー現象の発生を抑制することができる。また、燃料電池用固体状燃料又は燃料電池用ゲル状燃料の表面は非常に高濃度の燃料雰囲気となっているため、発電に必要な燃料電池用燃料を十分に燃料極2に供給することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池セル、燃料電池システム及び携帯用電子機器に関する。
近年、環境問題や資源問題への対策が重要になっており、その対策の一つとして、液体燃料としての有機溶媒と水とを直接供給して発電することのできる燃料電池の開発が活発に行われている。
特に、液体燃料としてメタノールを用い、その改質・ガス化を行うことなく直接メタノールを供給して発電することのできるダイレクトメタノール形燃料電池は、構造がシンプルであり、かつ小型化・軽量化が容易であるため、携帯型小型電子機器用、コンピュータ用等のコンシューマ電源をはじめ、種々の分散型電源、可搬型電源として有望である。
このような液体燃料を直接供給して発電する燃料電池は、基本的構成は固体高分子型燃料電池と同様で、プロトン導電性を有する固体高分子電解質膜からなる電解質を介して両側に空気極(カソード)と燃料極(アノード)とを接合した膜/電極接合体(MEA)を、空気極側セパレータと燃料極側セパレータとで支持したセルが複数個積層された構成を有する。
ダイレクトメタノール形燃料電池では、下記式(1)〜(3)で示すように、燃料極(アノード)側にメタノール水溶液が供給され、空気極(カソード)側に酸化剤ガスとしての空気が供給されると、燃料極では、メタノールと水とが反応して二酸化炭素が生成されるとともに、水素イオンと電子とが放出され、空気極では、空気中の酸素が電解質を通過してきた水素イオンと電子とを取り込んで水が生成され、外部回路に起電力を生じさせる。そして、生成された水は、反応に寄与しなかった空気とともに空気極側から排出され、生成された二酸化炭素は、反応に寄与しなかったメタノール水溶液とともに燃料極側から排出される。
(燃料極)CHOH + HO → CO + 6H + 6e…(1)
(空気極)6H + 3/2O + 6e → 3HO…(2)
(全反応)CHOH + 3/2O → CO + 2HO…(3)
このようなダイレクトメタノール形燃料電池は、標準電極電位は水素とほとんど同じなので、理論的には水素を使用した固体高分子型燃料電池(PEFC)と同様の発電性能が得られるはずであるが、メタノールと水とを液体状態で燃料極へ送り込むとメタノールの一部が空気極側に抜けてしまうクロスオーバー現象により、理論値よりも発電性能が低下してしまう問題がある。そこで、クロスオーバー現象の発生を抑制する方法として、メタノールを液体状態で供給するのではなく、メタノールを気化させて燃料極側へ供給する方法が提案されている(特許文献1,2参照)。
特許第3413111号公報 特開2006−54082号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に記載された気化供給型の燃料電池は、クロスオーバー現象の発生を抑制するという点では液体供給型の燃料電池より優れているが、発電に十分な量の水や燃料を供給できないため、液体供給型の燃料電池に比べ発電性能が劣るという問題がある。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、クロスオーバー現象の発生を抑制でき、かつ発電に必要な燃料を十分に供給することのできる、発電性能に優れた燃料電池セル及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、燃料電池用固体状燃料又は燃料電池用ゲル状燃料を燃料極に接触させてなることを特徴とする燃料電池セルを提供する(請求項1)。かかる発明(請求項1)によれば、燃料電池用燃料を固体状又はゲル状にすることで、燃料電池用燃料が非流動的になり、燃料電池用燃料を燃料極に留まらせることができ、液体供給型の燃料電池のように燃料電池用燃料が電解質膜に浸透することもなく、クロスオーバー現象の発生を抑制することができる。また、燃料電池用固体状燃料又は燃料電池用ゲル状燃料の表面は非常に高濃度の燃料雰囲気となっており、気化燃料をバルクでコントロールする気化供給型燃料電池のように燃料不足に陥ることもなく、発電に必要な燃料電池用燃料を十分に燃料極に供給することができる。
上記発明(請求項1)においては、前記燃料電池用固体状燃料が、燃料電池用燃料を保持させた多孔性材料であることが好ましい(請求項2)。多孔性材料は、燃料電池用燃料と接触させるだけで容易に細孔内に燃料電池用燃料を取り込むことができるため、かかる発明(請求項2)によれば、燃料電池用燃料を容易に固体状にすることができ、かかる燃料電池用固体状燃料を燃料極に容易に接触させることができる。
ここで、本発明において「多孔性材料」とは、表面形状が凹凸になっており、凹部の深さが孔径よりも大きい細孔を有する材料の総称であり、この細孔内に液体状又は気体状の物質を取り込むことのできる材料のことをいう。
上記発明(請求項2)においては、前記多孔性材料の比表面積が、100m/g以上であることが好ましい(請求項3)。多孔性材料の細孔内に取り込まれる燃料電池用燃料の量は、多孔性材料の比表面積に依存するのが一般的であり、体積当たりのエネルギー密度を考慮すると比表面積が大きければ大きいほど好ましいが、かかる発明(請求項3)によれば、発電に必要な燃料電池用燃料を十分に燃料極に供給することができる。
上記発明(請求項1)においては、前記燃料電池用固体状燃料が、燃料電池用燃料を取り込ませてなる分子化合物であることが好ましく(請求項4)、かかる発明(請求項4)においては、前記分子化合物が、燃料電池用燃料をゲスト分子としてホスト分子に包接させてなる包接化合物であることが好ましい(請求項5)。
分子化合物に燃料電池用燃料を接触させることで燃料電池用固体状燃料が得られるため、上記発明(請求項4,5)によれば、燃料電池用固体状燃料を燃料極に接触させることができ、発電に必要な燃料電池用燃料を十分に燃料極に供給することができる。
ここで、本発明において「包接化合物」とは、分子集合体や分子内部に有する空洞内に、イオン、原子、分子等を種々の相互作用によって取り込むことのできる化合物を意味する。包接化合物において、イオン、原子、分子等を取り込む物質をホスト分子といい、ホスト分子に取り込まれる物質をゲスト分子という。
上記発明(請求項5)においては、前記ホスト分子が、多分子系化合物であることが好ましい(請求項6)。ホスト分子としての多分子系化合物の包接能力は、ゲスト分子の大きさに左右されにくいため、かかる発明(請求項6)によれば、ホスト分子としての多分子系化合物に燃料電池用燃料を包接させた燃料電池用固体状燃料を容易に得ることができ、発電に必要な燃料電池用燃料を十分に燃料極に供給することができる。
上記発明(請求項1)においては、前記燃料電池用ゲル状燃料が、燃料電池用燃料とゲル化剤とを含み、ゲル化してなることが好ましい(請求項7)。燃料電池用燃料とゲル化剤とを接触させることで燃料電池用ゲル状燃料が得られるため、かかる発明(請求項7)によれば、燃料電池用ゲル状燃料を燃料極に容易に接触させ、燃料電池用ゲル状燃料を燃料極に留めさせることができるとともに、発電に必要な燃料電池用燃料を十分に燃料極に供給することができる。
ここで、本発明において「ゲル化剤」とは、燃料電池用燃料に溶解すると水素結合のような非共有結合によって分子が自己会合して繊維状会合体を形成し、それらが束になって網目状に絡まり、最終的には3次元網目構造を形成して燃料電池用燃料を取り込み、ゲル化することのできる化合物を意味する。
上記発明(請求項7)においては、前記ゲル化剤が、分子量10000以下の低分子有機化合物であることが好ましい(請求項8)。分子量10000以下の低分子有機化合物は、ごく少量を燃料電池用燃料に添加するだけで、燃料電池用燃料をゲル化することができるため、かかる発明(請求項8)によれば、燃料電池用燃料の含有量の多い燃料電池用ゲル状燃料を燃料極に接触させ、燃料電池用ゲル状燃料を燃料極に留めさせることができるとともに、発電に必要な燃料電池用燃料を十分に燃料極に供給することができる。
上記発明(請求項7,8)においては、前記ゲル化剤が、ジベンジリデン−D−ソルビトールであることが好ましい(請求項9)。ジベンジリデン−D−ソルビトールは、燃料電池用燃料にごく少量を添加することで燃料電池用燃料をゲル化することができるため、かかる発明(請求項9)によれば、燃料電池用燃料の含有量の高い燃料電池用ゲル状燃料を燃料極に接触させ、燃料電池用ゲル状燃料を燃料極に留めさせることができるとともに、発電に必要な燃料電池用燃料を十分に燃料極に供給することができる。
上記発明(請求項7〜9)においては、前記燃料電池用ゲル状燃料が、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール及び部分けん化型ポリビニルアルコールのうちの少なくとも1種をさらに含むことが好ましい(請求項10)。
セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、部分けん化型ポリビニルアルコール等の安定化剤をゲル化剤とともに燃料電池用燃料に溶解させると、当該安定化剤の高分子鎖がゲル化剤によって形成された繊維会合体と複雑に絡み合い、強固な網目構造を形成するため、上記発明(請求項10)によれば、燃料電池用ゲル状燃料を安定化することができ、燃料電池用ゲル状燃料を容易に燃料極に接触させ、燃料極に留めさせることができる。
上記発明(請求項10)においては、前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロースであることが好ましい(請求項11)。
上記発明(請求項1〜11)においては、前記燃料電池用固体状燃料又は前記燃料電池用ゲル状燃料が、シート状に成形されてなることが好ましい(請求項12)。
燃料電池用固体状燃料又は燃料電池用ゲル状燃料の表面は、燃料電池用燃料の高濃度雰囲気であるため、燃料電池用固体状燃料又は燃料電池用ゲル状燃料を燃料極に接触させることで、自発的に多量の燃料を燃料極に供給することができるが、燃料極に局所的に高濃度の燃料が供給されると、ネルンストロスが大きくなり、出力が低下してしまうおそれがある。そのため、上記発明(請求項12)によれば、燃料電池用固体状燃料又は燃料電池用ゲル状燃料をシート状に成形することで、燃料極に均一に燃料を供給することができる。
上記発明(請求項1〜12)においては、前記燃料電池用燃料が、アルコール類又はアルコール類と水とであることが好ましく(請求項13)、かかる発明(請求項13)においては、前記アルコール類が、メタノールであることが好ましい(請求項14)。
さらに、本発明は、上記発明(請求項1〜14)の燃料電池セルを有することを特徴とする燃料電池システムを提供する(請求項15)。かかる発明(請求項15)によれば、クロスオーバー現象を抑制することができ、発電性能に優れた燃料電池システムを提供することができる。
さらにまた、本発明は、上記発明(請求項15)の燃料電池システムで発電された電気を利用して駆動することを特徴とする携帯用電子機器を提供する(請求項16)。
本発明によれば、クロスオーバーを抑制でき、かつ発電に必要な燃料を十分に供給することのできる、発電性能に優れた燃料電池セル及び燃料電池システムを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池システム10は、燃料極2と、電解質膜3と、空気極4とを有する燃料電池セル1を備え、燃料電池用燃料を固体状にした燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用燃料をゲル状にした燃料電池用ゲル状燃料6とを燃料極2に接触させてなるものである。
燃料極2と空気極4とは、電気回路Lにより電気的に接続されている。燃料電池セル1及び燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6は、枠体7により四方を囲むようにして固定されているとともに、天面は開閉可能のカバー8で覆われている。
燃料電池用固体状燃料5は、例えば、燃料電池用燃料を多孔性材料に保持させたもの、燃料電池用燃料を分子化合物に取り込ませたもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
燃料電池用燃料としては、例えば、アルコール類、エーテル類、炭化水素類、アセタール類、ギ酸類等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。具体的には、燃料電池用燃料として、メタノール、エタノール、変性アルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等の炭素数1〜4の低級脂肪族アルコール類;ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類;プロパン、ブタン等の炭化水素類;ジメトキシメタン、トリメトキシメタン等のアセタール類;ギ酸、ギ酸メチル等のギ酸類等を使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち、ダイレクトメタノール形燃料電池の燃料であるメタノールを使用することが好ましい。
多孔性材料は、表面形状が凹凸になっており、凹部の深さが孔径よりも大きい細孔を有する。多孔性材料の細孔の孔径は、燃料電池用燃料成分が細孔内に入り込むことができ、当該細孔内にて保持され得る限り、特に限定されるものではない。例えば、孔径0.5nm未満のウルトラマイクロ孔、孔径0.5nm以上2nm未満のマイクロ孔、孔径2nm以上50nm未満のメソ孔、孔径50nm以上のマクロ孔に区分される細孔を有するものであればよい。このような孔径の細孔を有するものであれば、燃料電池用燃料を効果的に保持することができる。
また、多孔性材料の細孔内に保持し得る燃料電池用燃料の量は、多孔性材料の比表面積に依存するため、体積当たりのエネルギー密度を考慮すると、比表面積は大きければ大きいほど好ましい。具体的には、多孔性材料の比表面積は、100〜1500m/gであることが好ましく、200〜1500m/gであることがより好ましく、多孔性材料の嵩比容積(タップ)は、2.0〜20mL/gであることが好ましい。
多孔性材料の形状としては、例えば、粉状、粒子状、繊維状、膜状、ペレット状等が挙げられ、多孔性材料を形成する基幹となる原料としては、有機体、無機体又はこれらの複合体を使用することができる。
このような多孔性材料としては、例えば、シリカゲル、粉末シリカ、ゼオライト、活性アルミナ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、活性炭、モレキュラーシーブ、カーボン、カーボン繊維、活性白土、骨炭、多孔質ガラス;陽極酸化アルミニウム材、酸化チタン、酸化カルシウム等の無機酸化物からなる微粉末;チタン酸カルシウム、ニオブ酸ナトリウム等のペロブスキー型酸化鉱物;セピオライト、カオリナイト、モンモリロナイト、サポナイト等の粘土鉱物;イオン交換樹脂等の合成吸着樹脂等が挙げられる。これらの多孔性材料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
これらの多孔性材料のうち、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを使用することが好ましい。メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、製造方法次第で、嵩比容積をより小さくすることができるため、ダイレクトメタノール形燃料電池のようにコンパクト化が求められる製品への使用に好適である。また、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、胃腸薬製剤の原料としても使用されている材料であり、人体への安全性が認められているため、好適に使用することができる。
燃料電池用燃料を多孔性材料に保持させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、多孔性材料に燃料電池用燃料を加えて、十分に攪拌することにより、燃料電池用燃料が多孔性材料に保持された燃料電池用固体状燃料5を製造することができる。
この場合、多孔性材料の配合量は、燃料電池用燃料1質量部に対して0.2〜1質量部であることが好ましい。多孔性材料の配合量が上記範囲内であれば、燃料電池用燃料を効果的に多孔性材料に保持させることができるとともに、燃料電池用燃料を多孔性材料に保持させて得られた燃料電池用固体状燃料5を効果的に成形することができる。
燃料電池用燃料を多孔性材料に保持させる際の温度条件及び圧力条件は、特に限定されるものではなく、常温・常圧下で燃料電池用燃料を多孔性材料に保持させればよい。燃料電池用燃料と多孔性材料とを常温・常圧下で混合し、十分に拡販することで、燃料電池用燃料が多孔性材料に保持された燃料電池用固体状燃料5を製造することができる。なお、燃料電池用燃料として気体状の燃料を使用する場合には、加圧下で燃料電池用燃料を多孔性材料に保持させることが好ましい。
分子化合物とは、水素結合やファンデルワールス力等に代表される共有結合以外の比較的弱い相互作用によって燃料電池用燃料と結合し得る化合物であり、水化物、溶媒化物、付加化合物、包接化合物等が含まれる。このような分子化合物は、分子化合物を形成する化合物と燃料電池用燃料との接触反応により形成することができ、気体又は液体の燃料電池用燃料を固体状の化合物に変化させることができ、比較的軽量で安定的に燃料電池用燃料を貯蔵することができる。
本実施形態における分子化合物としては、ホスト化合物とゲスト化合物としての燃料電池用燃料との反応により燃料電池用燃料を包接し得る包接化合物が好ましい。
燃料電池用燃料を包接した包接化合物を形成するホスト化合物としては、有機化合物、無機化合物及び有機・無機複合化合物よりなるものが知られており、また、有機化合物において単分子系ホスト化合物、多分子系ホスト化合物、高分子系ホスト化合物等が知られている。
単分子系ホスト化合物は、ほとんどが大環状化合物である。この化合物は、環の中にその大きさや電気的雰囲気に対応したイオンや有機物を、単独で溶液中でも包接することができる。このようなホスト化合物としては、シクロデキストリン、クラウンエーテル、クリプタンド、シクロファン、アザシクロファン、カリックスアレン、シクロトリベラトリレン、スフェランド、環状オリゴペプチド等が挙げられる。
多分子系ホスト化合物は、単独ではなく分子集合体(主に結晶)の状態でゲストを包接する。このような多分子系ホスト化合物としては、尿素、1,1,6,6−テトラフェニルヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1,6,6−テトラキス(2,4−ジメチルフェニル)−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、9,10−ビス(4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、1,1,2,2−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール、4−メトキシフェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−エチリデンビスフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、テトラキス(p−メトキシフェニル)エチレン、3,6,3’,6’−テトラメトキシ−9,9’−ビ−9H−キサンテン、3,6,3’,6’−テトラアセトキシ−9,9’−ビ−9H−キサンテン、3,6,3’,6’−テトラヒドロキシ−9,9’−ビ−9H−キサンテン、没食子酸、没食子酸メチル、カテキン、ビス−β−ナフトール、α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジメタノール、ジフェン酸ビスジシクロヘキシルアミド、フマル酸ビスジシクロヘキシルアミド、コール酸、デオキシコール酸、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、テトラキス(p−ヨードフェニル)エチレン、9,9’−ビアンスリル、1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−カルボキシフェニル)エタン、アセチレンジカルボン酸、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1,2,4,5−テトラフェニルイミダゾール、2−フェニルフェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(o−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(m−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(p−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、ヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ビス(2,4−ジメチルフェニル)ヒドロキノン等が挙げられる。
高分子系ホスト化合物としては、セルロース、デンプン、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、1,1,2,2−テトラキスフェニルエタンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー、α,α,α’,α’−テトラキスフェニルキシレンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー等が挙げられる。その他に有機りん化合物、有機ケイ素化合物等も挙げられる。
無機系ホスト化合物としては、酸化チタン、グラファイト、アルミナ、遷移金属ジカルゴゲナイト、フッ化ランタン、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、銀塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ゼオライト、シリカ、多孔質ガラス等が挙げられる。
これらのうち、包接能力がゲスト化合物の分子の大きさに左右されにくい多分子系ホスト化合物をホスト化合物として使用することが好ましい。多分子系ホスト化合物のうち、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン等のフェノール系化合物;ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)、フマル酸ビスジシクロヘキシルアミド等のアミド系ホスト化合物;2−(m−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール等のイミダゾール系ホスト化合物が包接能力の面で好ましく、特に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のフェノール系ホスト化合物が工業的に使用しやすい点で好ましい。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のホスト化合物を用いて燃料電池用燃料の包接化合物を合成する方法としては、例えば、燃料電池用燃料とホスト化合物とを混合し、直接接触させる方法が挙げられ、これにより、燃料電池用燃料を包接した包接化合物を容易に合成することができる。また、ホスト化合物を燃料電池用燃料に加熱等により溶解させた後、再結晶することによっても包接化合物を合成することができる。
包接化合物の合成に際して、燃料電池用燃料とホスト化合物とを接触させる温度は、特に制限はないが、常温〜100℃程度が好ましい。このときの圧力条件についても特に制限はないが、常圧環境下で行うことが好ましい。また、有機系燃料とホスト化合物とを接触させる時間についても特に制限はないが、作業効率等の面から0.01〜24時間程度とすることが好ましい。
このようにして得られる包接化合物は、使用したホスト化合物の種類、燃料電池用燃料との接触条件等によっても異なるが、通常、ホスト化合物1モルに対して有機系燃料分子0.1〜10モルを包接した包接化合物である。
燃料電池用ゲル状燃料6は、燃料電池用燃料に低分子有機ゲル化剤を添加してゲル化させてなるものである。
低分子有機ゲル化剤とは、分子量10000以下の有機化合物で、燃料電池用燃料に添加し、例えば、熱等のエネルギーを与えて溶解させて均一な溶液として放置しておくと、2次元的な配列で繊維状の会合体が形成され、それらが絡み合って3次元網目構造を形成し、その中に燃料電池用燃料を取り込んで、燃料電池用燃料をゲル化させることができる物質を意味する。
このような低分子有機ゲル化剤としては、例えば、ジベンジリデン−D−ソルビトール、メチルベンジリデン−D−ガラクトース、イソプロピリデングリセルアルデヒド誘導体、12−ヒドロキシステアリン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ビス−n−ブチルアミド、スピンラベル化ステロイド、コレステロール誘導体、ジアルキルリン酸アルミニウム、フェノール系環状オリゴマー、2,3−ビス−n−ヘキサデシロキシアントラセン、環状デプシペプチド、部分フッ素化アルカン、シスチン誘導体、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、トリフェニルアミン誘導体、ブチロラクトン誘導体、4級アンモニウム塩、フッ素化アルキル化オリゴマー、尿素誘導体、ビタミンH誘導体、グルコンアミド誘導体、コール酸誘導体、L−イソロイシン誘導体、L−バリン誘導体、環状ジペプチド誘導体、ジアミドやジ尿素誘導体等のシクロヘキサンジアミン誘導体等が挙げられる。これらの低分子有機ゲル化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
これらの低分子有機ゲル化剤のうち、ジベンジリデン−D−ソルビトールを使用することが好ましい。ジベンジリデン−D−ソルビトールは、ごく少量の添加で燃料電池用燃料をゲル化することができ、具体的には、燃料電池用燃料1質量部に対して0.01〜0.1質量部のジベンジリデン−D−ソルビトールを添加すればよい。ジベンジリデン−D−ソルビトールを用いて燃料電池用燃料をゲル化すれば、燃料電池用燃料の配合割合が極めて高い燃料電池用ゲル状燃料を得ることができ、燃料電池用ゲル状燃料を用いて燃料電池システムを駆動させる際のエネルギー密度の点で有利である。
しかしながら、低分子有機ゲル化剤によるゲル化原動力は、水素結合、ファンデルワールス力、π−π相互作用、静電相互作用等に代表される非共有結合的な比較的弱い力であるため、低分子有機ゲル化剤により燃料電池用燃料をゲル化した場合、得られる燃料電池用ゲル状燃料は、長期間放置したり強い外力が加わったりすると、ゲルを構成する繊維状会合体が崩壊し、固液分離してしまう等の障害を起こすおそれがある。
そこで、このような問題を解決するために、低分子有機ゲル化剤とともに燃料電池用ゲル状燃料の安定化剤として、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール及び部分けん化型ポリビニルアルコールのうちの少なくとも1種をごく少量添加するのが好ましい。これらの安定化剤を低分子有機ゲル化剤とともに燃料電池用燃料に溶解させると、安定化剤の高分子鎖が低分子有機ゲル化剤によって形成された繊維状会合体と複雑に絡み合い、より強固な3次元網目構造を形成するため、より安定な燃料電池用ゲル状燃料をえることができる。
なお、完全けん化型ポリビニルアルコールは、アルコール等の燃料電池用燃料に不溶であるため、ポリビニルアルコールを安定化剤として使用する場合は、部分けん化型ポリビニルアルコールを使用することが好ましく、特にけん化度が70以下の部分けん化型ポリビニルアルコールを使用することが好ましい。
このような安定化剤としては、セルロース誘導体を使用することが好ましく、特にヒドロキシプロピルセルロースを使用することが好ましい。
このような安定化剤は、燃料電池用燃料に対してごく少量添加すればよく、具体的には、燃料電池用燃料1質量部に対して、0.001〜0.05質量部程度の安定化剤を添加すればよい。
燃料電池用燃料をゲル化する方法としては、燃料電池用燃料に低分子有機ゲル化剤と、必要に応じて安定化剤とを添加して溶解させればよく、添加する順序や溶解させる方法に特に制限はない。例えば、燃料電池用燃料に低分子有機ゲル化剤と安定化剤とを加えて、加熱しながら十分に攪拌することにより、低分子有機ゲル化剤と安定化剤とが燃料電池用燃料に溶解する。その後、そのまま室温で放冷しておけば、徐々にゲル化が進行し、概ね0.01〜24時間程度の室温放置で完全にゲル化して、燃料電池用ゲル状燃料を得ることができる。
このようにして得られた燃料電池用ゲル状燃料は、低分子有機ゲル化剤及び安定化剤の配合量が10質量%未満であることが好ましい。低分子有機ゲル化剤及び安定化剤の配合量が上記範囲内であれば、燃料電池用燃料の含有率が90質量%を超えることになり、体積当たりのエネルギー密度が原液メタノールと略同等である燃料電池用ゲル状燃料として利用することができる。
このようにして得られる燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6は、燃料電池セル1の燃料極2に接触させるように配置される。これにより、発電に必要な燃料を十分に燃料極に供給することができ、かつクロスオーバー現象の抑制も可能である。
燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6の形状は、粉状、粒状、ペレット状、繊維状、シート状等のあらゆる形状が可能であるが、シート状であることが好ましい。燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6の表面は、燃料電池用燃料が高濃度雰囲気となっており、自発的に多量の燃料電池用燃料を燃料極に供給することができ、また、燃料極において燃料電池用燃料の供給量が不均一になってしまうと、ネルンストロスが大きくなり、出力が低下してしまうおそれがある。したがって、燃料極に供給される燃料電池用燃料は、燃料極のどの部分にも均一に供給されることが好ましく、その方策として燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6をシート状に成形することが好ましい。
燃料電池用固体状燃料5をシート状に成形する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、多孔性材料に燃料電池用燃料を保持させた燃料電池用固体状燃料や、ホスト分子に燃料電池用燃料を包接させた燃料電池用固体状燃料では、得られる燃料電池用固体状燃料の形状が粉末状や粒子状のものが多いため、粉末状や粒子状の燃料電池用固体状燃料を、バインダー等を用いて圧縮成形する方法が挙げられる。
ダイレクトメタノール形燃料電池に使用する燃料電池用燃料がメタノール及び/又はメタノール水溶液であることを勘案すると、燃料電池用固体状燃料の成形に適したバインダーは、メタノールであることが好ましく、メタノールと接触すると増粘する性質を有し、その粘化作用により粒子同士の結合に寄与する物質とメタノールとを併用することが好ましい。
メタノール及び/又はメタノール水溶液と接触すると増粘する性質を有するバインダーとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート等のセルロース誘導体;アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー等のアクリル酸系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA)等の水溶性ポリマー;ポリビニルピロリドン(PVP)等の水・アルコール両溶性ポリマー;デンプン、コーンスターチ、糖蜜、乳糖、セルロース、ゼラチン、デキストリン、アラビアゴム等の糖類化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
なお、バインダーとしてメタノールを使用する場合には、燃料電池用燃料であるメタノールを多孔性材料やホスト分子に取り込ませる工程を省略してもよい。この場合、多孔性材料やホスト分子にバインダーとしてのメタノールを加えて成形することで、燃料電池用燃料であるメタノールを多孔性材料やホスト分子に取り込ませつつ、燃料電池用固体状燃料5を成形することができる。
バインダーとしてメタノールとセルロース誘導体又はPVPとを併用する場合、バインダーにおけるメタノールとセルロース誘導体又はPVPとの配合比(質量基準)は、1000:1〜10:1であることが好ましい。配合比がこの範囲内であれば、燃料電池用固体状燃料5を効果的に成形することができる。
バインダーを用いて燃料電池用固体状燃料5を成形する方法としては、例えば、多孔性材料とメタノールとセルロース誘導体とを接触させた粘性流体を、目的とする大きさの型に充填し、圧縮成形する方法等が挙げられる。
燃料電池用ゲル状燃料6をシート状に成形する方法としては、例えば、燃料電池用燃料にゲル化剤と必要に応じて安定化剤とを添加し、必要に応じて加熱し又は攪拌して、ゲル化剤や安定化剤を燃料電池用燃料に溶解させ、その溶液を目的とする大きさの型に流し込み、そのまま放冷しておけばシート状の燃料電池用ゲル状燃料6を得ることができる。
このようにしてシート状に成形された燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6は、それ自体を燃料極2に接触させても発電は可能であるが、例えば、燃料電池用燃料がメタノール水溶液である場合、燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6の表面では、水発散量よりもメタノール発散量の割合が高く、燃料極2ではメタノールと水とが等モルずつ反応することを考慮すると、メタノールが過剰に燃料極2に供給されてしまうおそれがある。
このような点を考慮すると、シート状の燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6は、図2に示すように、2層構造にしてメタノールと水との供給バランスを調整できるようにすることが好ましい。具体的には、第1層の第1の燃料電池用固体状燃料5A又は第1の燃料電池用ゲル状燃料6Aにおける燃料電池用燃料を水(又はメタノール水溶液)とし、第2層の第2の燃料電池用固体状燃料5B又は第2の燃料電池用ゲル状燃料6Bにおける燃料電池用燃料をメタノールとし、第1の燃料電池用固体状燃料5A又は第1の燃料電池用ゲル状燃料6Aを燃料極2に接触させるようにするとともに、第2の燃料電池用固体状燃料5B又は第2の燃料電池用ゲル状燃料6Bを第1の燃料電池用固体状燃料5A又は第1の燃料電池用ゲル状燃料6Aに積層することが好ましい。
第1の燃料電池用固体状燃料5A又は第1の燃料電池用ゲル状燃料6Aにおいて、燃料電池用燃料としてメタノール水溶液が保持されている場合、そのメタノール濃度は、特に限定されるものではないが、0〜50質量%であることが好ましい。
このような第1の燃料電池用固体状燃料5A及び第2の燃料電池用固体状燃料6Bは、燃料電池用燃料を多孔性材料に保持させたものであってもよいし、燃料電池用燃料をホスト分子に取り込ませたものであってもよいし、それらのいずれかの組み合わせであってもよい。
また、燃料電池用固体状燃料5と燃料電池用ゲル状燃料6とを組み合わせて燃料極2に積層するようにしてもよい。この場合、燃料電池用固体状燃料5を燃料極2に接触させるようにしてもよいし、燃料電池用ゲル状燃料6を燃料極2接触させるようにしてもよい。
例えば、水の保持能力の高いメタケイ酸アルミン酸マグネシウムや粉末シリカ等の多孔性材料に燃料電池用燃料を保持させた燃料電池用固体状燃料5を燃料極2に接触させるようにし、かかる燃料電池用固体状燃料5に、燃料電池用燃料にジベンジリデン−D−ソルビトールを添加してゲル化させてなる燃料電池用ゲル状燃料6を積層すればよい。
さらに、図3に示すように、例えば、燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用ゲル状燃料6を3つの領域に分割し、水を保持させてなる燃料電池用固体状燃料5又は水をゲル化させてなる燃料電池用ゲル状燃料6と、燃料電池用燃料を保持させてなる燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用燃料をゲル化させてなる燃料電池用ゲル状燃料6とを燃料極2に接触させるようにしてもよい。この場合、両端の領域に水を保持させてなる燃料電池用固体状燃料5又は水をゲル化させてなる燃料電池用ゲル状燃料6を配置し、それらに挟まれた領域に燃料電池用燃料を保持させてなる燃料電池用固体状燃料5又は燃料電池用燃料をゲル化させてなる燃料電池用ゲル状燃料6を配置することができる。このようにして、燃料電池用燃料と水との燃料極2への供給バランスを調整することができる。
以上説明したような燃料電池セル1を有する燃料電池システム10としては、特に限定されるものではなく、例えば、ダイレクトメタノール形燃料電池システム、固体高分子型燃料電池システム、固体酸化物型燃料電池システム等が挙げられる。
また、このような燃料電池システム10は、例えば、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ等の携帯型電子機器に当該燃料電池システムを電気的に接続することで、これらの携帯型電子機器の電源として好適に利用することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例は、以下の燃料電池を用いて行った。
触媒層を塗布した電極をNafion112膜(デュポン社製)に熱圧着して膜電極接合体(MEA)を調製した。電極面積は20cmであり、燃料極側電極としてPt−Ru/Cを使用し、空気極側電極としてPt/Cを使用した。このMEAを自作の実験用燃料電池に組み込み、電流−電圧測定を行った。なお、電流−電圧の制御には、電子負荷装置(製品名:PLZ164WA,菊水電子社製)を使用した。
[実施例1]
粉末状のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム5gに10質量%メタノール水溶液13gを加えて十分に攪拌し、粉末状の固体状燃料を得た。得られた粉末状の固体状燃料10gを燃料極に接触させ、電流−電圧測定を行い、出力評価を行った。
結果を図4に示す。
[実施例2]
粉末状のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム5gに5質量%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液14gを加えて十分に攪拌し、第1の固体状燃料を得た。また、粉末状のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム5gにメタノール13.5gを加えて十分に攪拌し、第2の固体状燃料を得た。第1の固体状燃料3gを、50mm×50mmの正方形シートを作製するための型に入れて、振動させて表面を平らにした。その後、第2の固体状燃料3gを型に加えて、圧縮成形を行った。得られたシート状の固体状燃料を、第1の固体状燃料が燃料極に接触するようにし、電流−電圧測定を行い、出力評価を行った。
結果を図4に示す。
[比較例1]
メタノール3gに水97gを加えて十分に攪拌し、3質量%メタノール水溶液を調製した。得られた3質量%メタノール水溶液8gを燃料極に供給し、電流−電圧測定を行い、出力評価を行なった。
結果を図4に示す。
[比較例2]
メタノール10gに水90gを加えて十分に攪拌し、10質量%メタノール水溶液を調製した。得られた10質量%メタノール水溶液8gを燃料極に供給し、電流−電圧測定を行い、出力評価を行なった。
結果を図4に示す。
図4に示すように、燃料電池からの出力は、実施例2のシート状固体状メタノールが最も高く、次いで実施例1の粉末状固体状メタノールであり、どちらのタイプの固体状メタノールでもメタノール水溶液を供給した場合に比べて出力が高かった。一方、比較例1及び比較例2のメタノール水溶液に関しては、濃度が3質量%でも10質量%でも出力に大きな違いはみられなかった。
本発明の一実施形態に係る燃料電池システム(その1)を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池システム(その2)を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池システム(その3)を示す概略図である。 実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2における電流−電圧曲線測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1…燃料電池セル
2…燃料極
5…燃料電池用固体状燃料
6…燃料電池用ゲル状燃料
10…燃料電池システム

Claims (16)

  1. 燃料電池用固体状燃料又は燃料電池用ゲル状燃料を燃料極に接触させてなることを特徴とする燃料電池セル。
  2. 前記燃料電池用固体状燃料が、燃料電池用燃料を保持させた多孔性材料であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 前記多孔性材料の比表面積が、100m/g以上であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記燃料電池用固体状燃料が、燃料電池用燃料を取り込ませてなる分子化合物であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セル。
  5. 前記分子化合物が、燃料電池用燃料をゲスト分子としてホスト分子に包接させてなる包接化合物であることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池セル。
  6. 前記ホスト分子が、多分子系化合物であることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池セル。
  7. 前記燃料電池用ゲル状燃料が、燃料電池用燃料とゲル化剤とを含み、ゲル化してなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セル。
  8. 前記ゲル化剤が、分子量10000以下の低分子有機化合物であることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池セル。
  9. 前記ゲル化剤が、ジベンジリデン−D−ソルビトールであることを特徴とする請求項7又は8に記載の燃料電池セル。
  10. 前記燃料電池用ゲル状燃料が、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール及び部分けん化型ポリビニルアルコールのうちの少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の燃料電池セル。
  11. 前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池セル。
  12. 前記燃料電池用固体状燃料又は前記燃料電池用ゲル状燃料が、シート状に成形されてなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の燃料電池セル。
  13. 前記燃料電池用燃料が、アルコール類、又はアルコール類及び水であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の燃料電池セル。
  14. 前記アルコール類が、メタノールであることを特徴とする請求項13に記載の燃料電池セル。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の燃料電池セルを有することを特徴とする燃料電池システム。
  16. 請求項15に記載の燃料電池システムで発電された電気を利用して駆動することを特徴とする携帯用電子機器。
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