JP2008096752A - 定着装置及び該定着装置を有する画像形成装置 - Google Patents

定着装置及び該定着装置を有する画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】互いに圧接した定着ローラと加圧ローラとの間に、トナー像を担持した記録媒体を通し、その記録媒体上のトナー像を圧力と熱の作用で定着する定着装置において、発泡ゴムの表層を有する定着ローラが早期に劣化することを阻止する。
【解決手段】支軸14のまわりに揺動可能なレバー13に加圧ローラ2を回転可能に支持し、そのレバー13をカム20の回転によって揺動させて定着ローラ1に対する加圧ローラ2の当接圧を変更可能とし、定着動作時には、定着ローラ1と加圧ローラ2の当接圧をトナー像に適した大きさにし、定着装置の作動停止時には、定着ローラ1に対する加圧ローラ2の当接圧を弱める。
【選択図】図1

Description

本発明は、互いに圧接した第1及び第2の定着部材の間にトナー像を担持した記録媒体を通過させ、熱と圧力の作用により前記トナー像を記録媒体に定着する定着装置と、その定着装置を備えた画像形成装置に関するものである。
上記形式の定着装置は従来より周知である(特許文献1参照)。かかる定着装置には、第1及び第2の定着部材が直接圧接する形式のものと、定着ベルトを介して第1及び第2の定着部材が圧接する形式のものとがあるが、いずれの形式の定着装置においても、第1及び第2の定着部材が、トナー像の定着動作時に必要とされる大きな圧接力で常時、当接していると、第1及び第2の定着部材の表面に常に、大きな圧力が加えられるので、第1の定着部材又は第2の定着部材、或いはその両方の定着部材が早期に劣化するおそれがある。
そこで、第1の定着部材と第2の定着部材の圧接力を変化させることができるように構成し、定着装置の作動停止時には、第1の定着部材と第2の定着部材の圧接力を弱め、或いは両定着部材を互いに離間させるように構成することが好ましい。ところが、定着装置をこのように構成すると、当該定着装置のコストが大きく上昇し、かかる定着装置を備えた画像形成装置のコストが大幅に上昇するおそれを免れない。
特開2000−155492号公報
本発明の目的は、第1の定着部材に対する第2の定着部材の圧接力を変化させ、又は第2の定着部材を第1の定着部材に対して接離させることができると共に、コストの上昇を効果的に抑えることのできる定着装置と、該定着装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形式の定着装置において、前記第2の定着部材が第1の定着部材に対して接近又は離間する方向に移動できるように該第2の定着部材を保持した揺動可能なレバーと、回転することにより前記レバーを揺動させて、前記第1の定着部材に対する第2の定着部材の圧接力を変化させ、又は第2の定着部材を第1の定着部材に対して接離させるカムと、該カムを回転駆動する駆動モータと、該駆動モータの回転、停止を制御する制御部とを具備し、前記駆動モータの作動によって前記カムが回転しているときに、前記制御部において、前記駆動モータに供給される電流値を検知し、該電流値の変化に基づいて、カムの回転停止信号を生ぜしめ、該カムを停止させることを特徴とする定着装置を提案する(請求項1)。
また、上記請求項1に記載の定着装置において、前記レバーに当接する前記カムの周面は、該カムの回転中心からの半径が最小の第1の領域と、該回転中心からの半径が最大の第2の領域と、前記第1の領域と第2の領域との間に位置し、その半径が、前記最小の半径から最大の半径へと漸次変化している移行領域と、該移行領域とは反対側の第1の領域の端部に接続され、その半径が、前記第2の領域の半径よりも小さく、かつ前記第1の領域から離れるに従って、前記最小の半径よりも漸次大きくなっている第3の領域とから成り、定着装置の作動停止時には、回転を停止したカムの前記第1の領域が位置する側と反対側の第3の領域の端部が前記レバーに当接しており、該カムが第1の方向に回転することにより、当該カムの第3の領域、第1の領域、移行領域及び第2の領域が順次、前記レバーに当接し、定着動作時には、回転を停止したカムの前記移行領域が位置する側と反対側の第2の領域の端部が前記レバーに当接するように構成することができる(請求項2)。
さらに、上記請求項2に記載の定着装置において、定着動作終了後に、前記カムが前記第1の方向と反対の第2の方向に回転することにより、該カムの第2の領域、移行領域、第1の領域及び第3の領域が順次、前記レバーに当接し、定着装置の作動停止時には、回転を停止したカムの前記第1の領域が位置する側と反対側の第3の領域の端部が前記レバーに当接するように構成することもできる(請求項3)。
また、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置において、前記第1及び第2の定着部材のうちの少なくとも一方の定着部材は、発泡ゴムより成る表層を備えていると有利である(請求項4)。
さらに、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置において、前記第1及び第2の定着部材の一方の定着部材は発泡ゴムより成る表層を有し、該表層の肉厚をSとしたとき、定着装置の作動停止時に第1及び第2の定着部材が圧接したときの食い込み量が、前記肉厚Sの10%以下であると有利である(請求項5)。
また、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置において、画像形成装置のプリント動作開始時に、最初の記録媒体の先端が、前記第1及び第2の定着部材のニップ部に達する時点までに、第1及び第2の定着部材がトナー像の定着に適した圧接力で当接しているように構成すると有利である(請求項6)。
さらに、本発明は、上記目的を達成するため、上記請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置を備えた画像形成装置を提案する(請求項7)。
本発明によれば、第1の定着部材に対する第2の定着部材の圧接力を変化させ、又は第2の定着部材を第1の定着部材に対して接離させることができると共に、駆動モータに供給される電流値の変化に基づいて、カムの回転停止信号を生ぜしめ、当該カムを停止させるように構成されているので、カムの回転停止信号を生ぜしめるために、カムの回転位置を検知するセンサを設ける必要はなく、これによって定着装置のコスト上昇を効果的に抑えることができる。
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
図1は図示していない画像形成装置本体内に配置された定着装置の一例を示す部分断面図である。ここに示した定着装置は、第1の定着部材の一例である定着ローラ1と、第2の定着部材の一例である加圧ローラ2を有していると共に、定着ローラ1に対して平行に延びる加熱ローラ3が配置され、この加熱ローラ3と定着ローラ1には、無端ベルトより成る定着ベルト4が巻き掛けられている。
定着ローラ、加圧ローラ及び加熱ローラは適宜な形態に構成できるものであるが、図1に一例として示した定着ローラ1は、金属製の軸5と、その軸5のまわりに固定された発泡ゴムより成る表層6とから成り、その軸5が定着装置の図示していないフレームに回転可能に支持されている。同じく、加圧ローラ2は、金属製の筒状体により構成され、該加圧ローラ2の長手方向各端部が、定着ローラ1に対して接近又は離間する方向に移動可能であって、かつ回転可能に定着装置のフレームに組み付けられている。同様に、加熱ローラ3も、金属製の筒状体により構成され、その長手方向各端部が、定着装置のフレームに回転可能に支持されている。加圧ローラ2は、後述するように、定着ベルト4を介して定着ローラ1に圧接する。また加圧ローラ2と加熱ローラ3の内部には、例えばハロゲンランプより成るヒータ7、8が配置されている。
図示していない駆動装置によって、定着ローラ1と加圧ローラ2が図1における矢印A、B方向にそれぞれ回転駆動され、これにより定着ベルト4が矢印C方向に走行駆動され、これに伴って加熱ローラ3が矢印D方向に回転駆動される。このとき、定着ベルト4を介して定着ローラ1と加圧ローラ2が圧接しているので、これらの間にニップ部Nが形成される。しかも、ヒータ7、8がそれぞれ発熱し、これによって加熱ローラ3、定着ベルト4、定着ローラ1及び加圧ローラ2が加熱される。その際、定着ベルト4と加圧ローラ2の表面温度が温度センサ9,10,11により検知され、その検知結果に基づいて各ヒータ7、8への通電がオン、オフ制御され、これによって定着ベルト4と加圧ローラ2の表面がトナー像の定着に適した温度範囲に維持される。
転写紙又は樹脂フィルムなどから成る記録媒体Pには、画像形成装置本体内の図示していない作像部においてトナー像Tが形成され、かかるトナー像を担持した記録媒体Pは、ガイド板12によって案内されながら、矢印Eで示したように定着ローラ1と加圧ローラ2との間のニップ部N、より正確には加圧ローラ2と定着ベルト4との間に送り込まれ、ここを通過する。このとき、記録媒体P上のトナーに熱と圧力が加えられ、トナー像Tが記録媒体P上に定着される。ニップ部Nを通過した記録媒体はさらに搬送されて定着装置外に排出される。
図1に示した定着装置は、定着ローラ1より成る第1の定着部材と、加圧ローラ2より成る第2の定着部材が定着ベルト4を介して圧接しているが、第1の定着部材と第2の定着部材が直に圧接している定着装置にも本発明を適用することができる。このように、本発明の対象としている定着装置は、互いに圧接した第1及び第2の定着部材の間にトナー像を担持した記録媒体を通過させ、熱と圧力の作用によりトナー像を記録媒体に定着するように構成されている。
図1に示した定着装置においては、定着ローラ1が発泡ゴムより成る表層6を有しているが、加圧ローラ2が発泡ゴムより成る表層を有しているように構成し、或いは定着ローラ1と加圧ローラ2の両者が発泡ゴムより成る表層を有しているように構成することもできる。このように、第1及び第2の定着部材のうちの少なくとも一方の定着部材が、発泡ゴムより成る表層を備えていると、互いに圧接した第1及び第2の定着部材の間に、記録媒体搬送方向に大きな幅を持ったニップ部Nを形成することができる。このため、このニップ部Nを通る記録媒体上のトナー像Tに対して多量の熱を付与することができる。よって、記録媒体Pの搬送スピードを高めても、トナー像の定着不良が発生しない。
ところで、先の説明から了解されるように、定着ローラと加圧ローラが、トナー像の定着に適した大きな圧接力で常時当接していたとすると、定着ローラ又は加圧ローラ、或いはその両者が早期に劣化するおそれがある。図1に示した定着装置の定着ローラ1は、発泡ゴムより成る表層6を有しているので、かかる表層6に対して、常時、加圧ローラ2から大きな圧力が加えられると、早期にその表層6の硬度が低下したり、当該表層6の破泡や圧縮永久ひずみが発生し、その寿命が縮められる。
そこで、本例の定着装置は、定着ローラ1と加圧ローラ2との圧接力を変化させることができ、定着装置の待機時や画像形成装置の電源オフ時などの定着装置の作動停止時には、定着ローラ1と加圧ローラ2との圧接力を弱め、或いは定着ローラ1と加圧ローラ2を離間させることができるように構成されている。以下、これに関連する具体例を明らかにする。
図2は、図1に示した定着ローラ1、定着ベルト4及び加熱ローラ3などを取り外した状態で加圧ローラ2を上方から見た概略平面図である。この図と、図1に示すように、加圧ローラ2の近傍には、レバー13が配置されている。図3にも示すように、このレバー13の基端側には支軸14が固定され、この支軸14は、定着装置のフレームに回転可能に支持されている。これにより、レバー13は、支軸14の中心軸線のまわりに、図1に矢印F,Gで示す方向に揺動することができる。さらにこのレバー13には、円弧状に形成された一対の保持部15が形成され、図1及び図2に示すように、その各保持部15には、加圧ローラ2の長手方向各端部に嵌合した玉軸受16がそれぞれ保持されている。これにより、加圧ローラ2は、レバー13に回転可能に支持され、しかもレバー13が矢印F,G方向に揺動することによって、当該加圧ローラ2は定着ローラ1に対して接離する向きに移動することができる。このように、本例の定着装置は、第2の定着部材の一例である加圧ローラ2が、第1の定着部材の一例である定着ローラ1に対して接近又は離間する方向に移動できるように、その加圧ローラ2を保持した揺動可能なレバー13を有している。
また、レバー13は、その自由端側に軸17を有し、その軸17の長手方向各端部には、玉軸受18がそれぞれ嵌合している。その各玉軸受18は、図1に示すように、回転軸19に固定された各カム20に当接している。これらのカム20は、回転軸20を介して一体に連結され、かつ同一の周面形状を有している。また、レバー13と定着装置のフレームには、引張ばね30の各端部が係止され、これによってレバー13は矢印G方向に回転付勢され、該レバー13が玉軸受18を介してカム20の周面に圧接している。また、上記回転軸19は、定着装置のフレームに回転可能に支持され、図1に示した駆動モータ22に、図示していないギアを介して駆動連結されている。この駆動モータ22は例えばDCモータより成り、かかる駆動モータ22が作動すると、回転軸19が回転し、これによってカム20がその回転軸19の中心軸線のまわりに回転する。これにより、玉軸受18を介してカム20に圧接したレバー13が、その支軸14の中心軸線のまわりに矢印F又はG方向に揺動し、そのレバー13に保持された加圧ローラ2が定着ローラ1に対して圧接する力が変化する。或いは、レバー13の揺動によって、加圧ローラ2を定着ローラ1に対して圧接又は離間させるように構成することもできる。また図示した例では、カム20がレバー13に玉軸受18を介して当接しているが、当該カム20を直にレバー13に当接させることもできる。
上述のように、本例の定着装置は、回転することによりレバー13を揺動させ、定着ローラ1より成る第1の定着部材に対する加圧ローラ2よりなる第2の定着部材の圧接力を変化させ、又は第2の定着部材を第1の定着部材に対して接離させるカム20と、そのカム20を回転駆動する駆動モータ22を有していると共に、その駆動モータ22の回転、停止を制御する制御部23を有している。
上述した定着装置によれば、当該定着装置がトナー像Tの定着を行う定着動作時には、加圧ローラ2を定着ローラ1に対して、トナー像Tの定着に適した大きな圧接力で当接させることができ、逆に定着装置の待機時や画像形成装置の電源オフ時などの定着装置の作動停止時には、定着ローラ1と加圧ローラ2の当接圧を弱めるか、又は加圧ローラ2を定着ローラ1から離間させることができる。これにより、定着ローラ1が早期に劣化することを防止できる。加圧ローラ2に発泡ゴムなどの軟質な表層を設けた場合には、その加圧ローラが早期に劣化することも防止できる。
図4は図1乃至図3に示したカム20を拡大して示す説明図である。符号CLは、回転軸19の中心でもあるカム20の回転中心を示している。ここに示したカム20は、その回転によって、符号Xで示す範囲の周面部分が図1に示したレバー13に玉軸受18を介して当接する。このようにレバー13に当接するカム20の周面Xは、カム20の回転中心CLからの半径Rが最小の第1の領域ARと、回転中心CLからの半径Rが最大の第2の領域ARと、第1の領域ARと第2の領域ARとの間に位置し、その半径Rが、上述の最小の半径Rから最大の半径Rに漸次変化している移行領域ARと、その移行領域ARとは反対側の第1の領域ARの端部ENに接続された第3の領域ARとから成る。第3の領域ARの半径Rは、第2の領域ARの半径Rよりも小さく、かつ第1の領域ARから離れるに従って、上述の最小の半径Rよりも漸次大きくなっている。第1の領域ARの半径Rと、第2の領域ARの半径Rは、その各領域AR,ARの範囲内において一定となっている。
定着装置の待機時や画像形成装置の電源オフ時などの定着装置の作動停止時には、回転を停止したカム20の第3の領域ARの一方の端部Eが、図1に示した玉軸受18を介してレバー13に当接している。この端部Eは、第1の領域ARが位置する側と反対側の第3の領域ARの端部であって、カム20がレバー13に当接する周面Xの一方の端部でもある。この端部Eのカム回転中心CLからの半径は、第2の領域ARの半径Rよりも小さい。従って、加圧ローラ2は定着ローラ1に対して小さな圧接力で当接するか、又は加圧ローラ2が定着ローラ1から離間している。
図1に示した制御部23からの指令によって駆動モータ22が作動を開始し、図4に示したカム20が図4における反時計方向である第1の方向に回転すると、該カム20の第3の領域AR、第1の領域AR、移行領域AR及び第2の領域ARが順次、玉軸受18を介してレバー13に当接し、最終的にカム20が停止したとき、図1に示すように、カム20の第2の領域ARの一方の端部Eが、玉軸受け18を介してレバー13に当接する。この端部Eは、移行領域ARが位置する側と反対側の第2の領域ARの端部であって、カム20がレバー13に当接する周面Xの他方の端部でもある。この状態で、前述のように、図1に示した記録媒体Pが定着ローラ1と加圧ローラ2とのニップ部Nを通過し、その記録媒体P上のトナー像Tが記録媒体Pに定着される。このように、トナー像の定着動作時には、回転を停止したカムの移行領域ARが位置する側と反対側の第2の領域ARの端部Eが、玉軸受け18を介してレバー13に当接するのである。この端部Eのカム回転中心CLからの半径Rは、第3の領域ARの端部Eのカム回転中心CLからの半径よりも大きい。従って加圧ローラ2は定着ローラ1に対して、トナー像Tの定着に適した大きな圧接力で当接することができる。
定着動作終了後に、制御部23からの指令により駆動モータ22が作動を開始すると、カム20は上述の第1の方向と反対の第2の方向、すなわち図1及び図4における時計方向に回転する。これによりカム20の第2の領域AR、移行領域AR、第1の領域AR及び第3の領域ARが順次、玉軸受18を介してレバー13に当接し、第3の領域ARの一方の端部Eが玉軸受18を介してレバー13に当接したところで、カム20が停止する。このように定着装置の作動停止時には、回転を停止したカム20の第1の領域ARが位置する側と反対側の第3の領域ARの端部Eがレバー13に当接するのである。このとき、加圧ローラ2は定着ローラ1に対して弱い圧力で当接するか、又は当該加圧ローラ2が定着ローラ1から離間していることは、先に説明したとおりである。
図5の上部に示したグラフは、カム20が上述のように第1の方向に回転し、次いで第2の方向に回転したときの玉軸受18とカム20との間の当接圧を示している。このグラフの横軸は、玉軸受18に当接したカム周面の各位置を示す。この図から判るように、カム20の第2の領域ARが、玉軸受18を介してレバー13に当接したときの当接圧Pが一番大きく、カム20の周面Xの一方の端部Eが、玉軸受18を介してレバー13に圧接したときの当接圧Pは、上述の当接圧Pよりも小さい。また、カム20の第1の領域ARが玉軸受18を介してレバー13に圧接したときの当接圧Pが一番低い値を示している。
ところで、前述のように、駆動モータ22は制御部23からの指令により回転を開始し、これによってカム20が回転を始め、制御部23からの回転停止信号により駆動モータ22の回転を停止させ、カム20の回転を止めるのであるが、かかる回転停止信号を生ぜしめるために、回転しているカムの回転位置を検知する光学センサを設け、この光学センサによって、回転するカムが各停止位置の近くに至ったことを検知し、その検知信号に基づいて、制御部において回転停止信号を生ぜしめるように構成することが考えられる。このように構成すれば、カムを正しくその各停止位置で停止させることが可能である。ところが、このように構成すると、光学センサを設ける必要があるため、定着装置のコストが嵩むだけでなく、光学センサを配置するスペースを確保し、かつハーネスの配回しなどのレイアウト上の検討が必要となる欠点を免れない。
そこで、本例の定着装置においては、カム回転時の負荷トルクの変動に伴って、駆動モータ22に供給される電流の値が変化することに着目し、該駆動モータ22の作動によってカム20が回転しているときに、制御部23において、駆動モータ22に供給される電流値を検知し、その電流値の変化に基づいて、カム20の回転停止信号を生ぜしめ、その停止信号を駆動モータに入力して、当該駆動モータ22、ひいてはカム20の回転を停止させるように構成されている。
図5の下部のグラフは、カム20が第1の方向と第2の方向にそれぞれ回転するときの駆動モータ22への供給電流の値を示している。カム周面Xの一方の端部Eが玉軸受18を介してレバーに当接していたカム20が、Tの時点で第1の方向への回転を開始し、Tの時点でカム周面Xの他方の端部Eが玉軸受18を介してレバー13に当接して、当該カム20が停止するものとする。一方、第2の方向に回転を開始したカム20は、Tで示した時点で、カム周面Xの一方の端部Eが玉軸受18を介して当接し、当該カム20が停止するものとする。
ここで、図5にtで示した時点で、玉軸受18を介してレバー13に当接するカム周面が、移行領域ARから第2の領域ARに移行する。このとき、図5の上部のグラフからも判るように、カム20と玉軸受18の間に作用する当接圧の状態が大きく変化し、これに伴って図5の下部のグラフに示すように駆動モータ22に供給される電流値も大きく変化する。この電流値の変化を制御部23において検知して、カムの回転停止信号を生ぜしめる。そして、この回転停止信号が駆動モータ22に入力され、その時点から所定の時間経過後のTの時点で駆動モータ22とカム20の回転が停止する。
同様に、カム20が第2の方向に回転しているときに、tで示す時点で、玉軸受18を介してレバー13に当接するカムの周面が、第1の領域ARから第3の領域ARに移行し、玉軸受18とカム20との間に作用する当接圧が逆上昇し、これに伴って駆動モータ22に供給される電流値も急上昇する。これにより、制御部23において、この電流値の急上昇を検知して、カムの回転停止信号を生ぜしめ、その信号が駆動モータ22に入力され、その時点から所定時間経過後のTの時点で駆動モータ22とかム20の回転が停止する。
上述した構成によれば、光学センサを設けることなく、カムを正しく停止させることができ、これによって定着装置のコスト、ひいてはかかる定着装置を有する画像形成装置のコストの上昇を効果的に抑えることができる。
ところで、図1に示した定着装置は、前述のように、その定着ローラ1が発泡ゴムより成る表層6を有し、加圧ローラ2は剛体により構成されている。図6の(a)は、定着装置の作動停止時に、定着ローラ1と加圧ローラ2が弱い圧接力で当接したときの状態を示し、図6の(b)は、定着装置の定着動作時に、定着ローラ1と加圧ローラ2が大きな圧接力で当接したときの様子を示している。これらの図に示すように、定着ローラ1の発泡ゴムより成る表層6の肉厚をSとしたとき、図6の(a)に示すように、定着ローラ1と加圧ローラ2が弱い圧力で当接した際の食い込み量δが、肉厚Sの10%以下となるように構成することが好ましい。このように食い込み量δを小さく設定することにより、定着装置の作動停止時に表層6に作用する力を極く小さなものにすることができ、その表層6の早期の劣化をより効果的に防止することができる。この構成は、加圧ローラ2が発泡ゴムより成る表層を有しているときにも適用できるものであり、要は、第1及び第2の定着部材の一方の定着部材が発泡ゴムより成る表層を有し、その表層の肉厚をSとしたとき、定着装置の作動停止時に第1及び第2の定着部材が圧接したときの食い込み量が、上記肉厚の10%以下であるように構成するのである。
また、画像形成装置のプリント動作開始時に、最初の記録媒体の先端が、定着ローラ1と加圧ローラ2の間のニップ部Nに達する時点までに、定着ローラ1と加圧ローラ2が、トナー像の定着に適した大きな圧接力で当接しているように構成すべきである。これにより、記録媒体上のトナー像を確実に定着することができる。
以上説明した各構成は、前述のように、定着ベルト4を有しておらず、例えば定着ローラより成る第1の定着部材と、例えば加圧ローラより成る第2の定着部材が直に圧接した定着装置にも適用できるものである。
定着装置の一例を示す部分断面図である。 加圧ローラとレバーの概略平面図である。 レバーの斜視図である。 カムの説明図である。 カムの回転に伴って、そのカムと玉軸受との間に作用する当接圧が変化する様子と、そのときの駆動モータへの供給電流が変化する様子を説明するグラフである。 定着ローラと加圧ローラが圧接した状態を示す説明図である。
符号の説明
6 表層
13 レバー
20 カム
22 駆動モータ
23 制御部
AR,AR,AR,AR 領域
CL 回転中心
,E 端部
N ニップ部
P 記録媒体
,R,R 半径
S 肉厚
T トナー像
δ 食い込み量

Claims (7)

  1. 互いに圧接した第1及び第2の定着部材の間にトナー像を担持した記録媒体を通過させ、熱と圧力の作用により前記トナー像を記録媒体に定着する定着装置において、
    前記第2の定着部材が第1の定着部材に対して接近又は離間する方向に移動できるように該第2の定着部材を保持した揺動可能なレバーと、回転することにより前記レバーを揺動させて、前記第1の定着部材に対する第2の定着部材の圧接力を変化させ、又は第2の定着部材を第1の定着部材に対して接離させるカムと、該カムを回転駆動する駆動モータと、該駆動モータの回転、停止を制御する制御部とを具備し、前記駆動モータの作動によって前記カムが回転しているときに、前記制御部において、前記駆動モータに供給される電流値を検知し、該電流値の変化に基づいて、カムの回転停止信号を生ぜしめ、該カムを停止させることを特徴とする定着装置。
  2. 前記レバーに当接する前記カムの周面は、該カムの回転中心からの半径が最小の第1の領域と、該回転中心からの半径が最大の第2の領域と、前記第1の領域と第2の領域との間に位置し、その半径が、前記最小の半径から最大の半径へと漸次変化している移行領域と、該移行領域とは反対側の第1の領域の端部に接続され、その半径が、前記第2の領域の半径よりも小さく、かつ前記第1の領域から離れるに従って、前記最小の半径よりも漸次大きくなっている第3の領域とから成り、定着装置の作動停止時には、回転を停止したカムの前記第1の領域が位置する側と反対側の第3の領域の端部が前記レバーに当接しており、該カムが第1の方向に回転することにより、当該カムの第3の領域、第1の領域、移行領域及び第2の領域が順次、前記レバーに当接し、定着動作時には、回転を停止したカムの前記移行領域が位置する側と反対側の第2の領域の端部が前記レバーに当接する請求項1に記載の定着装置。
  3. 定着動作終了後に、前記カムが前記第1の方向と反対の第2の方向に回転することにより、該カムの第2の領域、移行領域、第1の領域及び第3の領域が順次、前記レバーに当接し、定着装置の作動停止時には、回転を停止したカムの前記第1の領域が位置する側と反対側の第3の領域の端部が前記レバーに当接する請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記第1及び第2の定着部材のうちの少なくとも一方の定着部材は、発泡ゴムより成る表層を備えている請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記第1及び第2の定着部材の一方の定着部材は発泡ゴムより成る表層を有し、該表層の肉厚をSとしたとき、定着装置の作動停止時に第1及び第2の定着部材が圧接したときの食い込み量が、前記肉厚Sの10%以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の定着装置。
  6. 画像形成装置のプリント動作開始時に、最初の記録媒体の先端が、前記第1及び第2の定着部材のニップ部に達する時点までに、第1及び第2の定着部材がトナー像の定着に適した圧接力で当接しているように構成した請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の定着装置を備えた画像形成装置。
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