JP2008096723A - 保護層形成装置、保護剤バー、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

保護層形成装置、保護剤バー、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

Info

Publication number
JP2008096723A
JP2008096723A JP2006278828A JP2006278828A JP2008096723A JP 2008096723 A JP2008096723 A JP 2008096723A JP 2006278828 A JP2006278828 A JP 2006278828A JP 2006278828 A JP2006278828 A JP 2006278828A JP 2008096723 A JP2008096723 A JP 2008096723A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protective agent
image
forming apparatus
protective
image carrier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006278828A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4842759B2 (ja
Inventor
Kumiko Hatakeyama
久美子 畠山
Toshiyuki Kahata
利幸 加幡
Masahide Yamashita
昌秀 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2006278828A priority Critical patent/JP4842759B2/ja
Priority to US11/867,512 priority patent/US7693476B2/en
Publication of JP2008096723A publication Critical patent/JP2008096723A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4842759B2 publication Critical patent/JP4842759B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cleaning In Electrography (AREA)

Abstract

【課題】像担持体に適切な量の保護層を形成し、保護剤による保護効果を維持しつつ、保護剤の無駄な消費を低減することができる保護層形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の保護層形成装置2は、像担持体1に保護剤バー21とブラシ状の保護剤供給部材22を用いて保護剤を供給する手段を有し、像担持体に供給される保護剤の全消費量に対する廃トナー中に含まれる全保護剤の量が20%以下となるように保護剤を像担持体に供給する。この保護層形成装置2においては、保護剤を塗布するための保護剤供給部材22のブラシ22aと保護剤バー21とを接触させ、ブラシ先端に不定形の保護剤を付着させ、ブラシ先端に付着した不定形の保護剤を像担持体に供給する。このように、像担持体上に供給する保護剤の量を適切に保ち、かつ不定形の保護剤による保護層を形成することにより、保護剤による保護効果を維持しつつ、無駄な消費を低減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真プロセスを用いた画像形成装置に装備され、像担持体の表面を保護する保護層を形成する保護層形成装置と、その保護層形成装置に用いられる保護剤バーと、前記保護層形成装置を有する複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置と、この画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジに関する。
電子写真プロセスを用いた画像形成装置においては、像担持体(例えば光導電性の感光体)に対して帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を施すことにより画像形成が行われる。帯電工程で生成し感光体表面に残る放電生成物および転写工程後に感光体表面に残る残トナーまたはトナー成分はクリーニングプロセスを経て除去される。
一般に用いられるクリーニング方式としては、安価で機構が簡単でクリーニング性に優れたゴムブレードが用いられている。しかし、ゴムブレードは感光体に押し当てて感光体表面の残留物を除去するため、感光体表面とクリーニングブレード間の摩擦によるストレスが大きく、ゴムブレードの磨耗や、特に有機感光体(OPC)においては感光体表面層の磨耗が生じ、ゴムブレードおよび有機感光体の寿命を短くするという問題がある。また、画像形成装置の高画質化の要求に対して、画像形成に用いられるトナーは小粒径のものになってきている。小粒径のトナーを用いた画像形成装置では、残トナーがクリーニングブレードをすり抜けていく割合が多くなり、特にクリーニングブレードの寸法精度、組み付け精度が十分でなかったり、クリーニングブレードが部分的に震動した場合には、トナーのすり抜けが激しくなってしまい、高画質の画像形成を妨げていた。
そのため、有機感光体の寿命を延ばし長期に渡って高画質を保持するには、摩擦による部材の劣化を低減し、クリーニング性を向上させる必要がある。
この要求に対して、実際には潤滑剤を感光体に供給し、クリーニングブレードで潤滑剤の皮膜を形成する方法などが採用されている。この場合、潤滑剤の塗布量が少なすぎると、感光体の磨耗、傷、ブレード劣化に対して充分な効果を発揮できず、過剰に塗布すると、感光体上に余剰な潤滑剤が蓄積されていき像流れが生じたり、余剰な潤滑剤が現像剤に混入してしまって現像剤の性能がおちてしまうなどの問題が起こるため、潤滑剤の塗布量を規定しておく必要があった。
このような問題に対して潤滑剤供給量を制御することが試みられてきた。例えば特許文献1(特開2000−75752公報)に記載の従来技術では、感光体の駆動距離に応じて潤滑剤の供給量を制御した構成の画像形成装置を提案している。すなわち、特許文献1に記載の従来技術においては、帯電方式が接触帯電のタンデム機でA3縦およそ1250枚に相当する感光体の駆動距離525mとなるまでに潤滑剤を少なくとも0.4g以上塗布するとしている。この従来技術の画像形成装置は、特定の画像形成を行う上では優れている。しかし、多種多様な画像形成を行うと、特に感光体を使用し始めた初期の段階での不具合が多かった。さらに、潤滑剤の固体バーからブラシを用いて潤滑剤を供給する場合、潤滑剤が感光体上に膜状に付着して、感光体に潤滑性を与えるに必要な量よりもはるかに多い潤滑剤の粉が発生して、余剰の潤滑剤の粉は、廃トナーと共に捨てられてしまうため、潤滑剤バーの消費速度が非常に速く、感光体の本体の寿命より前に潤滑剤バーを交換する必要があった。
また、近年、帯電工程においては、帯電ローラ等の帯電部材に対して直流(DC)電圧に交流(AC)電圧を重畳して帯電する、いわゆるAC帯電が用いられる。このAC帯電は、感光体の帯電電位の均一性が高い、オゾンや窒素酸化物(NOx)等の酸化性ガスの発生が少ない、装置を小型化できる等の優れた性能を有している反面、印加する交流電圧の周波数に応じ、1秒間に数百〜数千回もの正負放電が帯電部材と感光体の間で繰り返されるため、感光体はこの多数の放電を受けて表面層の劣化が加速される。この劣化に対して、感光体に潤滑剤を塗布しておくと、AC帯電のエネルギーは先ず潤滑剤に吸収され、感光体には到達し難くなるため、感光体は保護される。また、帯電ローラを感光体に近接したシステムを用いて、直流電圧に交流電圧を重畳したAC帯電による帯電を行った場合、感光体に形成された潤滑剤の皮膜はAC帯電を受けて消失する。この消失速度はコロナ放電の場合と比較して非常に速いため、潤滑剤による皮膜の形成状況はコロナ放電の場合と大きく異なる。AC帯電をかけながら画像形成を行いつつ潤滑剤を塗布する手段を用いた場合、潤滑剤の供給量にもよるが、潤滑剤が感光体表面に供給され、皮膜を形成して感光体を保護する効果よりも、AC帯電を受けて感光体表面が劣化進行する現象の方が速く起こりやすい。
この問題を回避するために、潤滑剤の供給量を多くするには、潤滑剤を押し固めて成型した潤滑剤バーに潤滑剤を塗布するためのブラシを強く押し当てて、潤滑剤の粉を多く生成する必要があるため、潤滑剤の消費量が非常に多くなってしまい、潤滑剤バーの寿命が短くなってしまっていた。一方、潤滑剤の供給量を抑えて、感光体表面に充分な量の潤滑剤が均一に塗られていないと、AC帯電を受けて劣化の進行が加速してしまうという問題があった。
このような問題に対して、特許文献2(特開2005−17469公報)に記載の従来技術においては、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を塗布しながらAC帯電を受けることによる感光体表面の劣化についての評価を充分に行っている。しかし、AC帯電から感光体を守るために潤滑剤を塗布した際の画像への影響や、クリーニング性については評価が行われていないため、現実的なシステムにそのまま展開することはできない。すなわち、特許文献2に記載の従来技術で開示されている画像形成装置では、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を塗布した後、AC帯電工程を通過する前にクリーニングブレードなどで潤滑剤を全体に延ばす機構が付与されていない。そのため、このステアリン酸亜鉛塗布手法について詳細に調べていくと、塗布された潤滑剤は粉または塊のまま存在し、感光体表面の潤滑剤が載っている場所と載っていない場所のムラが生じ、供給された潤滑剤は粉または塊のまま帯電工程を通過し、感光体表面上で潤滑剤が載っている部分は感光体表面の膜が削られないが、潤滑剤が載っていない部分では感光体表面が潤滑剤によって保護されず、表面層の膜削れが起こり、実際の使用条件下で画像形成を行うと、トナーの入力や画像部、非画像部の影響による偏磨耗によって画像にスジ等の異常が出てしまう。さらに、AC帯電からの保護のため、より多く潤滑剤を供給するために、潤滑剤バーにブラシを強く押し当てる必要があるため、潤滑剤の消費量は非常に多くなってしまっていた。また、より多くの潤滑剤を供給すると、感光体上に供給される潤滑剤の粉の量も増え、感光体上の潤滑剤の粉は、帯電工程を通過する際に帯電ローラに飛翔または移動し、帯電ローラ上で溶けて、トナーの外添剤等のトナー成分を巻き込みながら固まり、局所的に潤滑剤が溶けて固まった部分は抵抗が高くなってしまうため、帯電ムラが生じてしまうという問題があった。
また、特許文献2に記載の従来技術においては、ステアリン酸亜鉛塗布直後の潤滑剤の塗布状態は評価しているが、AC帯電後の潤滑剤の感光体上の塗布状態の評価は行っていない。しかし、近接帯電方式で交流電圧を印加する場合の初期および経時での状態でのステアリン酸亜鉛の存在状況について詳細に調べてみると、感光体を使い始める際に感光体表面の潤滑剤の塗布にムラがある場合、潤滑剤が載っている箇所は一旦潤滑剤が形成されたところにAC帯電がかかり、潤滑剤の皮膜が消失するが、再度潤滑剤を供給すると皮膜が再形成される。一方、塗布ムラのため潤滑剤が載っていない部分にAC帯電がかかり、一旦感光体表面が劣化した部分については、劣化した感光体表面上に潤滑剤を塗布しても潤滑剤が保持されにくいことがわかった。そのため、初期に皮膜が形成されずにAC帯電を受けてしまった部分は、潤滑剤が保持されないままの状態で経時で劣化が進み、初期に潤滑剤の皮膜が形成された部分は、潤滑剤の供給があれば皮膜が改めて形成され劣化が進みにくく、初期で潤滑剤の塗布ムラがあると局所的な劣化が進行してしまうことになる。このようなことから、特許文献2に記載の従来技術のように、潤滑剤の塗布にムラがある場合や、経時で潤滑剤の保持が確保されない場合は、感光体の劣化や、高画質な画像を保持できないことがわかってきた。
ステアリン酸亜鉛の感光体への供給方法については、一般的に、ステアリン酸亜鉛の棒にブラシを押し当て、ステアリン酸亜鉛の粉を作り、そのステアリン酸亜鉛の粉を感光体上に落下、付着させ、ブレード等によりステアリン酸亜鉛の粉を粉砕し、引き延ばす方法をとっている。ステアリン酸亜鉛の感光体上への存在量を増やすためには、感光体に供給するステアリン酸亜鉛の粒子を大きく、あるいは粒子の数を多くすることが一般に考えられ、ステアリン酸亜鉛の棒にブラシを押し当てる力を強くすることが多いが、ブラシが押し当てられて生成した潤滑剤の粒子は、一部は感光体に保持されるが、大半はクリーニングブレードやトナーに付着して廃棄されていた。また、帯電工程に帯電ローラによるAC帯電を用いた場合、感光体上にステアリン酸亜鉛の粒子が多いと、前述したように、帯電ローラに様々な物質が付着し、さらにそれらの物質が固着してしまい、帯電ローラの抵抗を部分的に高め、その部分の帯電不良を引き起こす問題が発生しやすかった。
このように、感光体の保護効果を高めるために、感光体に供給する潤滑剤の粉の量を増やすと、感光体上に保持される潤滑剤の量は増えるが、それ以上に、感光体上に保持されずに廃棄される潤滑剤の量が増えてしまい、結果的に潤滑剤バーの寿命を大幅に短くしてしまっていた。
特開2000−75752公報 特開2005−17469公報 特開昭52−36016号公報
本発明は上述の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、帯電工程において感光体等の像担持体がAC帯電による大きなエネルギーを受けて帯電され、画像形成をしながら保護剤の塗布を行う画像形成装置において、像担持体表面に塗布した保護剤が放電を受けて消失し、像担持体のAC帯電からの保護効果を果たし、像担持体表面が放電を受けて劣化する現象を未然に防止し、保護剤を像担持体に供給する際に生じる粉の発生を抑制して、像担持体上に保持されずに廃棄される保護剤の量を抑制し、AC帯電からの像担持体保護効果に優れていて、像担持体とクリーニングブレード間の摩擦による像担持体の磨耗が小さくて、像担持体のクリーニング性を良好に保ち、現像剤中に保護剤の混入がなく、かつ帯電手段に付着物が固着することにより発生する帯電不良による異常画像のない、消耗品やユニット交換をしなくても、長期に渡って高画質が実現可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
そして本発明は、上記の目的を達成するために、像担持体に適切な量の保護層を形成することができ、保護剤バーの消費量も低減することができる保護層形成装置を提供すること、および、その保護層形成装置に用いるのに最適な保護剤バーを提供することを目的とし、さらには、その保護層形成装置を画像形成部に備え、上記の目的を達成し得る画像形成装置を提供すること、および、その画像形成装置に装備されるプロセスカートリッジを提供することを目的としている。
上述の目的を達成するため、本発明では以下のような解決手段を採っている。
本発明の第1の手段は、帯電手段で像担持体を一様に帯電し、帯電した前記像担持体の表面に潜像形成手段で潜像を形成し、該潜像を現像手段により少なくともトナーを含有する現像剤により現像してトナー像を形成し、前記像担持体の表面に形成されたトナー像を転写手段で被転写体に転写した後、転写後の像担持体表面の残留トナーをクリーニング手段で除去する構成の画像形成装置に装備され、前記像担持体の表面に保護剤を供給して該像担持体の表面を保護する保護層を形成する保護層形成装置において、前記像担持体に、保護剤バーとブラシ状の保護剤供給部材を用いて保護剤を供給する手段を有し、前記像担持体に供給される保護剤の、全消費量に対する、廃トナー中に含まれる全保護剤の量が、20%以下となるように前記保護剤を前記像担持体に供給することを特徴とする。
本発明の第2の手段は、第1の手段の保護層形成装置において、前記保護剤を塗布するための前記保護剤供給部材のブラシと前記保護剤バーとを接触させ、前記保護剤供給部材のブラシ先端に不定形の保護剤を付着させ、基本的にブラシ先端に付着した前記不定形の保護剤を前記ブラシを介して前記像担持体に供給することを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、第1または第2の手段の保護層形成装置において、前記保護剤バーを前記保護剤供給部材のブラシに押し当てて前記保護剤を前記ブラシに移行させる押圧力付与機構と、前記保護剤供給部材により像担持体上に供給された保護剤を薄層化する保護層形成機構とを有することを特徴とする。
本発明の第4の手段は、第1〜第3の何れか1つの手段の保護層形成装置に用いられる保護剤バーであって、棒状の保護剤からなり、該保護剤の表面の鉛筆硬度が、5Bより軟らかいことを特徴とする。
また、本発明の第5の手段は、第4の手段の保護剤バーにおいて、前記保護剤は、50〜130℃に少なくとも一つの吸熱ピーク温度を有することを特徴とする。
本発明の第6の手段は、第4または第5の手段の保護剤バーにおいて、前記保護剤中に、両親媒性(親水性と疎水性)の有機物を含有することを特徴とする。
また、本発明の第7の手段は、第6の手段の保護剤バーにおいて、前記保護剤中の両親媒性の有機物のHLB値(界面活性剤の水と油の親和性を示す値:Hydrophile-Lipophile Balance)が1.0〜6.5に設定されていることを特徴とする。
さらに本発明の第8の手段は、第6または第7の手段の保護剤バーにおいて、前記保護剤中の両親媒性の有機物が非イオン系界面活性剤であることを特徴とする。
本発明の第9の手段は、第4〜第8のいずれか1つの手段の保護剤バーにおいて、前記保護剤中に、両親媒性の有機物及び疎水性の有機物を含有することを特徴とする。
また、本発明の第10の手段は、第9の手段の保護剤バーにおいて、前記保護剤中に含有される疎水性の有機物をパラフィンとすることを特徴とする。
さらに本発明の第11の手段は、第9の手段の保護剤バーにおいて、前記保護剤中に含有される疎水性有機化合物(A)と両親媒性の有機物(B)の重量比A/Bが、10/90〜97/3であることを特徴とする。
本発明の第12の手段は、第1〜第3の何れか1つの手段の保護層形成装置において、第4〜第11のいずれか1つの手段の保護剤バーを用いたことを特徴とする。
本発明の第13の手段は、像担持体を帯電する帯電手段と、帯電された像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体上の潜像を少なくともトナーを含有する現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写手段と、転写後の像担持体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段と、前記像担持体の表面に保護剤を供給して該像担持体の表面を保護する保護層を形成する保護層形成手段とを有する画像形成部を備えた画像形成装置において、前記保護層形成手段として、第1〜第3、第12の何れか1つの手段の保護層形成装置を有することを特徴とする。
本発明の第14の手段は、第13の手段の画像形成装置において、前記帯電手段が、帯電部材に直流電圧と交流電圧を重畳して印加することにより前記像担持体の帯電を行うことを特徴とする。
また、本発明の第15の手段は、第13または第14の手段の画像形成装置において、前記像担持体には、予め保護剤が塗布されていることを特徴とする。
さらに本発明の第16の手段は、第13または第14の手段の画像形成装置において、前記像担持体の使用開始前に、装置内で前記帯電手段、現像手段および転写手段が前記像担持体に接触していない状態で保護剤を塗布した像担持体を用いたことを特徴とする。
本発明の第17の手段は、第13〜第16の何れか1つの手段の画像形成装置において、前記画像形成部を複数並設し、該複数の画像形成部でトナー色の異なる画像を形成し、各色のトナー像を被転写体に重ね合わせて転写して多色またはフルカラー画像を形成することを特徴とする。
また、本発明の第18の手段は、第13〜第17の何れか1つの手段の画像形成装置において、前記被転写体は、シート状の転写媒体、あるいは、ベルト状もしくはドラム状の中間転写媒体であることを特徴とする。
本発明の第19の手段は、第13〜第18の何れか1つの手段の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、前記画像形成部を構成する像担持体、保護層形成装置、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、前記像担持体と前記保護層形成装置と、前記帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つとを、カートリッジ内に備えたことを特徴とする。
また、本発明の第20の手段は、画像形成装置であって、第19の手段のプロセスカートリッジを着脱可能に備えたことを特徴とする。
本発明の保護層形成装置においては、像担持体に、保護剤バーとブラシ状の保護剤供給部材を用いて保護剤を供給する手段を有し、像担持体に供給される保護剤の、全消費量に対する、廃トナー中に含まれる全保護剤の量が、20%以下となるように保護剤を像担持体に供給する。そして、この保護層形成装置においては、保護剤を塗布するための保護剤供給部材のブラシと保護剤バーとを接触させ、保護剤供給部材のブラシ先端に不定形の保護剤を付着させ、基本的にブラシ先端に付着した不定形の保護剤をブラシを介して像担持体に供給する。このように、像担持体に供給する保護剤の量を規定することによって、像担持体上の保護剤の量を適切に保つことができ、保護剤の無駄な消費を低減することができる。さらには、像担持体に不定形の保護剤を適量供給するとともに、保護層形成機構により薄層化することにより、保護剤が像担持体上で不定形な保護膜となって保持されやすくなる。これにより、帯電手段(例えば帯電ローラ等)の汚れ等による異常画像が起こらず、消耗品の交換頻度が少なく、長期に渡って高画質画像を出力可能な画像形成装置を実現することができる。
本発明の保護層形成装置に用いられる保護剤バーは、棒状の保護剤からなり、該保護剤の表面の鉛筆硬度が、5Bより軟らかいことにより、像担持体上に保護剤粒子をほとんど存在させない保護剤バーを実現することができる。
また、本発明の保護剤バーにおいては、保護剤は、50〜130℃に少なくとも一つの吸熱ピーク温度を有することにより、像担持体上に保護剤を膜状に付着することが容易で、像担持体の保護効果が高い保護剤バーを実現することができる。
さらに本発明の保護剤バーにおいては、保護剤中に、両親媒性(親水性と疎水性)の有機物を含有すること、前記保護剤中の両親媒性の有機物のHLB値(界面活性剤の水と油の親和性を示す値:Hydrophile-Lipophile Balance)が1.0〜6.5に設定されていること、前記保護剤中の両親媒性の有機物が非イオン系界面活性剤であることにより、像担持体の保護効果が高い保護剤バーを実現することができる。
また、本発明の保護剤バーにおいては、前記保護剤中に、両親媒性の有機物及び疎水性の有機物を含有すること、前記保護剤中に含有される疎水性の有機物をパラフィンとすること、さらには、前記保護剤中に含有される疎水性有機化合物(A)と両親媒性の有機物(B)の重量比A/Bが、10/90〜97/3であることにより、像担持体上に保護剤粒子をほとんど存在させずに、像担持体上に保護剤を膜状に付着することが容易で、像担持体の保護効果が高い保護剤バーを実現することができる。
本発明の画像形成装置では、画像形成部に上記の保護剤バーを用いた保護層形成装置を有することにより、像担持体上に適量の保護剤を供給して膜状に付着させた保護層を形成することができ、これにより、帯電手段(例えば帯電ローラ等)の汚れ等による異常画像が起こらず、消耗品の交換頻度が少なく、長期に渡って高画質画像を出力可能な画像形成装置を実現することができる。
また、帯電手段が、帯電部材に直流電圧と交流電圧を重畳して印加することにより像担持体の帯電を行うことにより、像担持体の帯電電位の均一性が高い、オゾンやNOx等の酸化性ガスの発生が少ない、小型な画像形成装置を実現することができる。
さらに、像担持体には予め保護剤が塗布されているか、あるいは、像担持体の使用開始前に、装置内で帯電手段、現像手段および転写手段が像担持体に接触していない状態で保護剤を塗布した像担持体を用いることにより、初期の画像が安定していて、また、長期に渡って画像を出力した際も、安定的に高画質画像を出力可能な画像形成装置を実現することができる。
さらにまた、画像形成部を複数並設し、該複数の画像形成部でトナー色の異なる画像を形成し、各色のトナー像を被転写体に重ね合わせて転写して多色またはフルカラー画像を形成する構成とすることにより、異常画像が起こらず、消耗品の交換頻度が少なく、長期に渡って高画質な多色またはフルカラー画像を出力可能な画像形成装置を実現することができる。
本発明のプロセスカートリッジにおいては、上記の画像形成装置の画像形成部を構成する像担持体、保護層形成装置、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、前記像担持体と前記保護層形成装置と、前記帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つとを、カートリッジ内に備えたことにより、像担持体や消耗品の寿命が長いプロセスカートリッジを実現することができる。また、このプロセスカーリッジを用いることにより、プロセスカートリッジの寿命が長く、高画質の画像形成が可能な画像形成装置を実現することができる。
本発明者らは、保護剤を像担持体(例えば、光導電性の感光体とする)に供給する量を増やしつつも、保護剤バーの寿命を延ばすために、感光体上に保持される保護剤と保持されない保護剤について詳細に調べたところ、保護剤バーにブラシを押し当て保護剤の粒を生成して感光体上に供給する場合、粒の保護剤は感光体上に載った後、一部はクリーニングブレードで感光体上に押し付けられ、膜状となって感光体上に保持されるが、大半は、クリーニングブレードによって堰き止められ、クリーニングブレードで堰き止められた廃トナーと共に、廃トナーボトルへと送られ廃棄されていることが判ったため、この廃棄される保護剤の量を減らすことで、保護剤バーの寿命を延ばすことができることを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明は、帯電手段で感光体を一様に帯電し、帯電した前記感光体の表面に潜像形成手段で潜像を形成し、該潜像を現像手段により少なくともトナーを含有する現像剤により現像してトナー像を形成し、前記感光体の表面に形成されたトナー像を転写手段で被転写体に転写した後、転写後の感光体表面の残留トナーをクリーニング手段で除去する構成の画像形成装置に装備され、前記感光体の表面に保護剤を供給して該感光体の表面を保護する保護層を形成する保護層形成装置において、前記感光体に、保護剤バーとブラシ状の保護剤供給部材を用いて保護剤を供給する手段を有し、前記感光体に供給される保護剤の、全消費量に対する、廃トナー中に含まれる全保護剤の量が、20%以下(より好ましくは15%、さらに好ましくは10%)となるように前記保護剤を前記感光体に供給することを特徴としている。そして、本発明の画像形成装置では、この保護層形成装置を画像形成部に有することを特徴としている。
保護剤の全消費量に対する、廃トナー中に含まれる全保護剤の量が20%以上である場合、保護剤の消費速度が速く、保護剤バーの交換頻度が感光体本体の交換頻度に対して高すぎるため好ましくない。また、廃トナー中に保護剤が多く含まれているということは、保護剤が感光体以外の場所に移動しやすいことを意味し、感光体上の保護剤が帯電手段(例えば帯電ローラ)に移動して、帯電ローラを汚染し、帯電ムラを引き起こしやすくしてしまう。
本発明の保護層形成装置は、保護剤を塗布するためのブラシを保護剤バーに接触させ、ブラシ先端に不定形の保護剤を付着させ、基本的にブラシ先端に付着した不定形の保護剤をブラシを介して感光体に供給することを特徴としている。
廃棄する保護剤の量を減らし、また、保護剤を感光体以外の場所に移動させないためには、保護剤が塊・粉状で感光体上に供給されるのではなく、不定形または膜状の形状で供給されることが望ましい。すなわち、保護剤が塊・粉状で感光体上に供給された場合、保護剤の大半がクリーニングブレードで堰き止められて、廃トナーボトルに捨てられてしまい、また、感光体上に供給された感光体の粒の一部は、帯電ローラの直下を通過する際に帯電ローラに移動したり、現像手段を通過する際に現像剤に混入してしまいやすいが、不定形・膜状で感光体上に付着した保護剤は本質的に感光体上に保持されて、感光体を保護し、クリーニングブレードで堰き止められて廃棄されたり、帯電ローラまたは現像剤に移動しない。
粉ではなく、不定形の形状で感光体に保護剤を供給する方法としては、保護剤バーにブラシを押し当てブラシの先端で保護剤を削ることで保護剤の粉を生成して、粉を感光体上に落下させて供給するのではなく、保護剤バーに接触させたブラシ先端が保護剤を掬い取り、掬い取られた保護剤がブラシ先端に不定形で付着し、付着した不定形の保護剤がブラシの回転によって感光体に移動し供給されることによって、感光体上に存在する保護剤は本質的に不定形となり、大量の保護剤がクリーニングブレードで堰き止められて廃棄されてしまったり、現像剤の粒が現像剤中に混入したり、帯電ローラに付着物が固着して、帯電不良が発生することを防止できる。また、感光体に不定形の保護剤を適量供給するとともに、保護層形成機構により薄層化することにより、保護剤が感光体上で不定形な保護膜となって保持されやすくなるので、より保護効果が向上する。
本発明の保護剤バーの表面の硬度は、鉛筆硬度で5B、さらに好ましくは6Bよりも柔らかい。保護剤バーの表面の硬度が鉛筆硬度5Bよりも硬いと、保護剤はブラシをこすりつけることにより、粒子になりやすく、帯電ローラに付着して帯電ムラを引き起こしやすいため、好ましくない。また、仮に粒子にならなかったとしても、硬いブラシを用いなければならなくなるため、感光体に傷が生じやすくなり好ましくない。
感光体の保護剤は、画像形成装置中に配設された感光体近傍で使用されるため、連続使用の元では、駆動系などの熱源から発生する熱のため、室温より高い温度雰囲気下に曝されることが多い。よって、使用中に保護剤の形状を維持するには、ある程度の温度までは、保護剤組成物の溶融などの相変化を生じないようにする必要がある。
また、同時に、電気的ストレスから感光体表面を確実に保護するためには、保護剤は感光体表面で延展し、保護剤層を形成することが好ましく、このような形態をとるには、保護剤組成物の分子間相互作用力が高すぎない方が好ましい。
分子間相互作用力が大きいと、一旦確定した相内構造を変化させるには大きなエネルギーが必要となるため、示差熱分析計などによって測定される吸熱ピーク発生温度は高くなる。
よって、保護剤バーの形状を維持しつつ、保護剤層形成時の延展性を確保するためには、保護剤バー中の保護剤は50℃〜130℃に少なくとも1つの吸熱ピーク温度を有することが好ましい。なお、本発明における吸熱ピーク温度とは、示差熱分析計を用いた、昇温時の示差熱プロフィールにおける、吸熱ピーク位置の温度を指す。
本発明の保護層形成装置に用いる保護剤バーは、保護剤中に両親媒性(親水性と疎水性)の有機物を含有している。両親媒性の有機物は、一分子中に親水性を示す構造と親油性(疎水性)を示す構造の両方を有しているため、分子内の親水性部位で感光体表面の親水部に吸着し、かつ吸着後に当該箇所を疎水化させる作用により、感光体表面を保護すると考えられている。
さらに、この吸着した両親媒性の有機化合物の疎水性構造部分と、疎水性有機化合物が、分子間力等に起因する分子間相互作用により複合化しつつ均質な保護剤層が形成されると考えられる。
感光体表面に形成された保護剤層は、疎水性の部位を最表面近傍に向けているため、感光体表面近傍の大気中に多くの親水性の物質が含まれていても、これらを吸着しにくく、例えば湿度が高い使用状態でも、感光体表面の抵抗を低下させることがなく、静電潜像電荷の散逸を防ぐことができる。
また、感光体表面に保護剤層が形成された後には、帯電工程や転写工程の電気的ストレスは、保護剤層を形成している保護剤に対して加えられるため、保護剤の分子鎖が切断、酸化、親水化といった作用を受けることとなる。
これにより、保護剤は部分的に分解されるが、感光体への電気的ストレスは激減し、上述の感光体の劣化が抑制されるため、極めて長期間に渉る感光体の使用を可能にするものである。
また、電気的ストレスにより劣化した保護剤成分は、親水性を示すようになるが、保護剤層中に余剰に存在する両親媒性の有機化合物の親水性部分に取り囲まれ、感光体表面に形成された保護剤層中で逆ミセル状態を形成して、やはり周辺の湿度による影響を受けなくなる。
前記両親媒性の有機化合物(B)は、感光体表面への吸着と保護剤劣化成分の取り込みによる表面疎水化機能を併せ持つことが重要である。電気的ストレスを受けて劣化した保護剤と共に、周辺の両親媒性の有機化合物(B)が逆ミセルに類する形態をとるには、そのHLB値(界面活性剤の水と油の親和性を示す値:Hydrophile-Lipophile Balance)の設定が重要であり、この値を1.0〜6.5の範囲とすることにより、湿度に対してより良好な安定状態にすることができるため好ましい。
HLB値は、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値であり、値が大きいほど水への親和性が高くなる。なお、本発明のHLB値は、下記の式(1)のいわゆる川上式により算出した。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo) 式(1)
ここで、Mwは親水性部分の分子量、Moは親油基の分子量、logは常用対数を示している。
本発明の保護剤中の、両親媒性の有機化合物(B)は、非イオン界面活性剤であることが好ましい。
両親媒性の有機化合物は、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤やこれらの複合物等に類別されるが、本発明の保護剤は、上述のように感光体上に保護剤層を形成し、画像形成工程を経るため、感光体の電気的な特性に対して悪影響を与えないようにする必要がある。
両親媒性の有機化合物として非イオン系界面活性剤を用いることにより、界面活性剤自身がイオン解離することがなくなるため、使用環境、特に湿度が、大幅に変動した場合にも、気中放電などによる電荷のリークを抑制することができ、画像品質を高度に維持することができる。
また、該非イオン系界面活性剤は、下記の化学式(1)のアルキルカルボン酸と多価アルコール類とのエステル化物であることが好ましい。
2n+1COOH 化学式(1)
ただし、式中のnは15〜35の整数を示す。
上記の化学式(1)のアルキルカルボン酸として直鎖アルキルカルボン酸を用いることにより、両親媒性の有機化合物が吸着した像担持体表面で、両親媒性の有機化合物の疎水性部分が配列しやすくなり、担持体表面への吸着密度が特に高くなるため、好ましい様態である。
1分子中のアルキルカルボン酸エステルは疎水性を示し、その数が多い方が気中放電により発生した解離性物質が像担持体表面に吸着するのを防ぎ、かつ帯電領域での像担持体表面への電気的ストレスを小さくするためには有効である。しかしながら、アルキルカルボン酸エステルの占める割合が多くなりすぎると、親水性を示す多価アルコール類の部分が覆い隠されてしまい、像担持体の表面状態によっては十分な吸着性能が発現しないことがある。
よって、両親媒性の有機化合物の1分子当りの平均エステル結合数は、1から3個であることが好ましい。
これら両親媒性の有機化合物の1分子当りの平均エステル結合数は、異なるエステル結合数を持つ複数の両親媒性の有機化合物から1種以上を選択し、混合して調整することもできる。
両親媒性の有機化合物としては、前述のように陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
陰イオン系界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸アルキル塩、長鎖脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩等の、疎水性部位の末端に陰イオン(アニオン)を有し、これと、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオン、アルミニウム、亜鉛等の金属イオン、アンモニウムイオン等が結合した化合物が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤の例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の、疎水性部位の末端に陽イオン(カチオン)を有し、これと、塩素、フッ素、臭素等や、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオン、炭酸イオン、水酸イオン等が結合した化合物が挙げられる。
両イオン系界面活性剤の例としては、ジメチルアルキルアミンオキシド、N−アルキルベタイン、イミダゾリン誘導体、アルキルアミノ酸等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤の例としては、長鎖アルキルアルコール、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリグルコキシド、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の、アルコール化合物、エーテル化合物、アミド化合物等が挙げられる。また、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の長鎖アルキルカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ヘキシトール等の多価アルコールやこれらの部分無水物とのエステル化合物も好ましい形態として挙げられる。
エステル化合物のより具体的な例としては、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノパルチミン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、ジパルチミン酸グリセリル、トリパルチミン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、トリミスチン酸グリセリル、パルチミン酸ステアリン酸グリセリル、モノアラキジン酸グリセリル、ジアラキジン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ステアリン酸ベヘン酸グリセリル、セロチン酸ステアリン酸グリセリル、モノモンタン酸グリセリル、モノメリシン酸グリセリル等のアルキルカルボン酸グリセリルやこの置換物、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノパルチミン酸ソルビタン、ジパルチミン酸ソルビタン、トリパルチミン酸ソルビタン、ジミリスチン酸ソルビタン、トリミスチン酸ソルビタン、パルチミン酸ステアリン酸ソルビタン、モノアラキジン酸ソルビタン、ジアラキジン酸ソルビタン、モノベヘン酸ソルビタン、ステアリン酸ベヘン酸ソルビタン、セロチン酸ステアリン酸ソルビタン、モノモンタン酸ソルビタン、モノメリシン酸ソルビタン等のアルキルカルボン酸ソルビタンやこの置換物等が挙げられるが、これらに限るものではない。
なお、これらの両親媒性の有機化合物は単一の種類を用いても良いし、複数種類を併用しても良い。
本発明の画像形成装置に用いる保護剤バーの保護剤には、両親媒性の有機化合物(B)の他に、疎水性有機化合物(A)を混合していることが好ましい。疎水性有機化合物を混合することにより、保護剤バーにしなやかさが付与さるとともに、両親媒性有機化合物が感光体表面全体に付着しやすくなるような役目を担う。また、疎水性有機化合物は、一般に柔らかいため、保護剤バーは鉛筆硬度で5Bよりも柔らかい状態を維持できるようになるため、保護剤バーに保護剤供給部材のブラシを擦り付けても、保護剤の粒子はほとんど発生せず、ブラシの先端に保護剤が移行しやすくなり好ましい。
本発明の画像形成装置に用いる保護剤バーの保護剤中の疎水性有機化合物の含有量としては、10〜97重量%、好ましくは、20〜90重量%である。疎水性有機化合物の含有量が10重量%以下では、保護剤バーが脆くなり、保護剤バーにブラシを擦り付けると保護剤の粒子が多数発生しやすく、また、感光体全面に保護剤が膜状に付着し難く好ましくない。疎水性有機化合物の含有量が97重量%以上では、感光体とクリーニングブレードとの摩擦力が大きくなり好ましくない。また、疎水性有機化合物は帯電のエネルギーにより酸化分解して、イオン導電性物質となり、潜像がボケてしまうことが多く好ましくない。しかし、両親媒性有機化合物が3重量%以上含有していれば、疎水性有機化合物が酸化分解してイオン導電性物質となったとしても、そのイオン導電性物質を両親媒性有機化合物が包み、導電性を付与できなくするため、ボケの発生は非常に少なくなる。
本発明の画像形成装置に用いる保護剤バーの保護剤中の疎水性有機化合物としては、重量平均分子量Mw基準で、350〜850であることが好ましく、400〜800であることが更に好ましい。
具体的には、疎水性有機化合物の例としては、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素、脂環式不飽和炭化水素や芳香族炭化水素に分類される炭化水素類の他に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパーフルオロアルキルエーテル(PFA)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂やフッ素系ワックス類、ポリメチルシリコーン、ポリメチルフェニルシリコーン等のシリコーン樹脂やシリコーン系ワックス類等が挙げられる。また、疎水性有機化合物としては、これらに限られるものではないが、特に脂肪族飽和炭化水素が、両親媒性の有機化合物との相溶性が高く、両親媒性の有機化合物を感光体全面に膜状に付着させることができ、経済的にも安価であるため、非常に好ましい。従来、脂肪族飽和炭化水素はトナー中に含まれており、脂肪族飽和炭化水素が感光体上に付着することは、所謂ワックスフィルミングと呼ばれ、異常画像を発生させるものとして、脂肪族飽和炭化水素が感光体に付着しないような、工夫を講じていた。しかし、両親媒性の有機化合物と混合して用いることで、両親媒性の有機化合物の延展し難い欠点を補いながら、感光体に付着しても異常画像を発生しないことは、新しい発見である。
脂肪族飽和炭化水素としては、分子内の結合が、反応性が低く安定した飽和結合のみからなる、脂肪族飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素が好ましく、中でもノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびシクロパラフィン等のパラフィン類が、付加反応が生じ難く化学的に安定であり、実使用の大気中で酸化反応を生じにくいため、経時安定性の面で好ましく用いられる。
さらにまた、疎水性有機化合物がノルマルパラフィンを含むことにより、両親媒性の有機化合物(B)中の親油性部位と緩やかな相互作用が行われ、感光体保面に形成した保護剤層を常にリフレッシュしつつ使用することができ、保護層内に逆ミセルの状態で存在する劣化物の除去性が確実なものとなるため、より好ましい。
前述のように感光体表面に形成された保護剤層は電気的ストレスに曝され、劣化するため、疎水性有機化合物(A)の分子量が小さすぎると、十分な保護効果が発現しなくなることがある。
また一方で、疎水性有機化合物(A)の分子量が大きすぎると、保護層形成時に十分な延展性が得られず、感光体上に保護剤成分が粉粒体となって付着し被覆層を形成しないことがある。このような状態では、疎水性有機化合物(A)の感光体保護への寄与は小さく、感光体の保護は、表面に吸着した両親媒性の有機化合物(B)負うところとなる。
疎水性有機化合物(A)の分子量としては、重量平均分子量Mw基準で、350〜850であることが好ましく、400〜800であることが更に好ましい。
また、保護剤バーは、画像形成装置中に配設された感光体の近傍で使用されるため、連続使用の元では、駆動系などの熱源から発生する熱のため、室温より高い温度雰囲気下に曝されることが多い。よって、使用中に保護剤バーの形状を維持するためには、ある程度の温度までは、保護剤組成物の溶融などの相変化を生じないようにする必要がある。
また同時に、電気的ストレスから感光体表面を確実に保護するためには、保護剤は感光体表面で延展し、保護剤層を形成することが好ましく、このような形態をとるには、保護剤組成物の分子間相互作用力が高すぎない方が好ましい。
分子間相互作用力が大きいと、一旦確定した相内構造を変化させるには大きなエネルギーが必要となるため、示差熱分析計などによって測定される吸熱ピーク発生温度は高くなる。
よって、前記保護剤バーの形状を維持しつつ、感光体表面に保護剤層を形成する時の延展性を確保するためには、保護剤バーの保護剤は、50℃〜120℃に少なくとも1つの吸熱ピーク温度を有することが好ましい。なお、本発明における吸熱ピーク温度とは、示差熱分析計を用いた、昇温時の示差熱プロフィールにおける、吸熱ピーク位置の温度を指す。
また、前記感光体保護剤中で、疎水性有機化合物(A)と両親媒性の有機化合物(B)が完全固溶状態になっていると、保護剤の劣化成分が両親媒性の有機化合物(B)中へ、取り込まれ難くなることあるため、疎水性有機化合物(A)と両親媒性の有機化合物(B)は、一方が他方に分散した状態または部分固溶した状態であることが好ましい。このような状態は、疎水性有機化合物(A)と両親媒性の有機化合物(B)の吸熱ピーク温度の差を大きく取り、固化する温度に差を設けることにより、制御性良く実現することができるため、感光体の保護剤は、40〜70℃の範囲および80℃〜130℃の範囲に、少なくとも1つずつの吸熱ピーク温度を有することが好ましいものである。
また、保護剤分子の末端部分の結合が切断されて劣化した場合には、末端部分は低分子量となるため、帯電領域のエネルギー等によって気化し、その大部分は気流によって画像形成系外に排出される。気化した劣化保護剤成分のうち、比較的分子量が大きめで、周辺部材の温度で凝縮するものは、帯電部材等へ付着または吸着することがあるが、これらの低分子量成分は、引き続き行われる帯電過程で容易に分解され、他の低分子量成分と同様に、画像形成系外へ排出されるため、周辺部材への経時的な蓄積は、殆ど発生しない。
従って、例えば金属元素を含む潤滑剤成分等が分解、酸化して、金属酸化物となり、帯電部材に蓄積して汚染し、高抵抗化するような不具合は、本発明の感光体保護剤の使用により、解消することができる。
本発明の画像形成装置では、感光体等の像担持体表面において、接触または近接帯電方式で直流電圧に交流電圧を重畳したAC帯電方式を用いる。接触または近接帯電には帯電ローラ等が用いられるが、帯電ローラを用いた系ではオゾンやNOxなどの酸化性ガスの発生が少なく、大きなスペースを必要としないため、小型の画像形成装置や像担持体を4本並べて配置したタンデム方式に有効である。また、直流電圧に交流電圧を重畳することにより、像担持体の帯電電位を安定的に均一に保持することができる。
本発明の画像形成装置は、使用前の像担持体表面に予め保護剤(潤滑剤)が塗布されている。使用開始後に、画像形成を行いながら像担持体表面に保護剤を適量塗布する場合、帯電工程やトナー入力があるため保護剤をAC帯電に耐えられるほど十分な量、表面全体に均一に塗布することは非常に困難であるが、帯電工程、転写工程および現像工程のない系においては、像担持体表面に保護剤をAC帯電に耐えられるほど十分な量、表面全体に均一に塗布することは比較的容易である。また、像担持体上で保護剤が載っていない部分がAC帯電を受け一旦劣化すると、その後に保護剤を新たに供給しても保護剤が像担持体表面に保持されにくいが、保護剤が存在しているところで、AC帯電によって保護剤が劣化消失しても新たな保護剤が供給されると像担持体表面を被覆しやすいため、像担持体を使用する前の段階で、保護剤が均一に十分な量を塗られた像担持体は、その後にAC帯電による放電を受け、画像形成を行いながら保護剤を供給しても、従来よりも少ない保護剤供給量で像担持体表面は保護剤が均一で十分な量の状態を保持できる。
ここで、使用前の像担持体とは、画像形成を一枚も行っていない感光体を指すものとする。
本発明の画像形成装置は、像担持体使用開始前に像担持体表面に、装置内で帯電手段、現像手段および転写手段が像担持体に接触していない状態で保護剤を塗布し、帯電手段、現像手段および転写手段がない系では像担持体表面に保護剤を均一に十分な量塗布する。このことによって、保護剤の塗布ムラのため保護剤が存在していない部分で劣化が起こり、劣化が進行していくことを未然に防ぐことができる。
保護剤を像担持体使用開始前に予め塗布する方法は、像担持体使用開始前に装置内で帯電手段、現像手段および転写手段が作動しない状態にして、保護剤を塗布する手段のみを作動させて行う方法の他に、装置外で予め保護剤を塗布してもよい。装置内または装置外での保護剤供給手段としては、保護剤バーおよび感光体にブラシを接触させながら回転させて保護剤を掻き取り、かき取った保護剤をブラシの回転によって回転中の感光体に供給する方法や、保護剤バーをそのまま感光体に押し当てながら感光体を回転させて供給する方法が考えられる。
以下に図面を参照して本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は本発明の保護層形成装置を備えた画像形成部の要部構成例を示す概略要部構成図である。
像担持体であるドラム状の感光体1に対向して配設された保護層形成装置2は、感光体を保護する保護剤を棒状(円柱状、四角柱状、六角柱状等)にした保護剤バー21と、この保護剤バー21と接触するブラシ22aを有し保護剤バー21からブラシ22aに移行した保護剤を感光体1へ供給する保護剤供給部材22と、保護剤バー21を保護剤供給部材22のブラシ22aに押し当てて保護剤を保護剤供給部材22のブラシ22aに移行させる押圧力付与機構23と、保護剤供給部材22により感光体上に供給された保護剤を薄層化する保護層形成機構24等から主に構成されている。
本発明による保護剤バー21は、バネやスプリング等の押圧部材からなる押圧力付与機構23からの押圧力により、保護剤供給部材22のブラシ22aに押し当てられ、保護剤バー21からブラシ22aに保護剤が移行する。保護剤供給部材22は感光体1と線速差をもって回転してブラシ22aの先端で感光体表面を摺擦し、この際に保護剤供給部材22のブラシ22aの表面に保持された不定形の保護剤を、感光体1の表面に供給する。
また、感光体1の表面に供給された保護剤は、物質種の選択によっては供給時に十分な保護層にならない場合がある。このため、より均一な保護層を形成するために、感光体表面の保護剤は、例えばブレード状の部材24aと、そのブレード状の部材24aを感光体ドラム1の表面に押し当てるバネやスプリング等の押圧部材24bとを持つ保護層形成機構24により薄層化され、感光体表面の保護層となる。このように、感光体1に不定形の保護剤を適量供給するとともに、保護層形成機構24により薄層化することにより、保護剤が感光体上で不定形な保護膜となって保持されやすくなる。これにより、帯電手段(例えば帯電ローラ等)3の汚れ等による異常画像が起こらず、消耗品の交換頻度が少なく、長期に渡って高画質画像を出力可能な画像形成装置を実現することができる。
保護層が形成された感光体1は、帯電手段(帯電装置)である例えば図示しない高電圧電源により直流電圧もしくはこれに交流電圧を重畳させた電圧を印加した帯電ローラ3を、接触または近接させ、微小空隙での放電による感光体1の帯電が行われる。この際、保護層の一部は電気的ストレスにより分解や酸化が生じ、また、保護層表面への気中放電生成物の付着が生じる。上述の分解生成物や酸化物、気中放電生成物は、一般に親水性であるか、もしくは親水性基を含んでいる。
本発明の感光体保護剤は、その組成物として、一分子内に親水性の部分と疎水性の部分を有する両親媒性の有機化合物(B)を含んでいる。また、一方の組成物として、疎水性有機化合物(A)を併せて含んでいる。よって、感光体表面が電気的ストレスにより親水性となった部分には、両親媒性の有機化合物(B)が吸着することにより、表面を疎水化させると共に、周辺の疎水性有機化合物(A)の存在により、電気的ストレスを感光体表面へ、直接負荷させることが防止される。
代わりに、感光体保護剤の一部は、電気的ストレスに曝され劣化し、部分的に親水性となるが、余剰に存在する、適度なHLB値を持つ両親媒性の有機化合物(B)と共に逆ミセルに類する形態となって、疎水性有機化合物(A)中に分散するため、保護層による感光体保護効果と、劣化した保護剤の除去性を両立させることが可能となる。
劣化した保護剤は、通常のクリーニング機構により、感光体1に残存したトナー等の他成分と共に、クリーニング手段であるクリーニング装置4により除去される。クリーニング装置4は、上述の保護層形成機構24と兼用にしても良いが、感光体表面の残存物を除去する機能と、保護層を形成する機能とは、適切な部材の摺擦状態が異なることがあるため、機能を分離し、図1に示すように、保護層形成装置2よりも感光体回転方向上流側にクリーニング装置)4設けることが好ましい。また、これを言い換えると、保護層形成装置2は、クリーニング手段であるクリーニング装置4から帯電手段である帯電ローラ3に至る部分に設けることが好ましい。なお、図1の例では、クリーニング装置4は、ブレード状のクリーニング部材(クリーニングブレード)41と、このクリーニング部材41を感光体表面に押し当てるクリーニング押圧機構42等から構成されるが、これに限るものではなく、ブラシ状やローラ状のクリーニング部材等を用いても良い。
保護層形成機構24に用いるブレード状部材24aの材料は、特に制限されるものではなく、例えばクリーニングブレード用材料として一般に公知の、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体を、単独またはブレンドして使用することができる。また、これらのゴムブレードは、感光体1との接点部部分を低摩擦係数材料でコーティングや含浸処理しても良い。また、弾性体の硬度を調整するために、他の有機フィラーや無機フィラーに代表される充填材を分散しても良い。
これらのブレード状部材24aは、ブレード支持体24cに、先端部が感光体表面へ押圧当接できるように、接着や融着等の任意の方法によって固定される。ブレード状部材24aの厚みについては、押圧で加える力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね0.5〜5mm程度であれば好ましく使用でき、1〜3mm程度であれば更に好ましく使用できる。
また、支持体24cから突き出し、たわみを持たせることができるブレード状部材24aの長さ、いわゆる自由長についても同様に押圧で加える、力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、概ね1〜15mm程度であれば好ましく使用でき、2〜10mm程度であれば更に好ましく使用できる。
保護層形成用のブレード状部材24aの他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要によりカップリング剤やプライマー成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマー等の層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、更に必要であれば表面研摩等を施して用いても良い。
弾性金属ブレードの厚みは、0.05〜3mm程度であれば好ましく使用でき、0.1〜1mm程度であればより好ましく使用できる。
また、弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施しても良い。
表面層を形成する材料としては、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂や、フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマー等を、必要により充填剤と共に、用いることができるが、これに限定されるものではない。
また、保護層形成機構24の押圧部材24bでブレード状部材24aを感光体に押圧する力は、感光体表面の保護剤が延展し、保護層や保護膜の状態になる力で十分であり、線圧として5gf/cm以上80gf/cm以下であることが好ましく、10gf/cm以上60gf/cm以下であることがより好ましい。
また、保護剤供給部材22にはブラシ状の部材22aが好ましく用いられるが、この場合、感光体表面への機械的ストレスを抑制するためには、ブラシ繊維は可撓性を持つことが好ましい。
可撓性のブラシ繊維の具体的な材料としては、一般的に公知の材料から1種乃至2種以上を選択して使用することができる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニル及びポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂);などの内、可撓性を持つ樹脂を使用することができる。
また、撓みの程度を調整するために、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合して用いても良い。
保護剤供給部材22の支持体22bには、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の供給部材としては、例えばブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。ブラシ繊維は繊維径10〜500μm程度、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×10〜4.5×108本)のものが好ましく用いられる。
保護剤供給部材22は、供給の均一性やその安定性の面から、極カブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
また、ブラシ22aの表面には必要に応じてブラシ22aの表面形状や環境安定性などを安定化することなどを目的として、被覆層を設けても良い。被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましく、これらは、可撓性を保持し得る材料であれば、何ら限定される事無く使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル,ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。
次に図2は本発明の画像形成装置に具備されるプロセスカートリッジを用いた画像形成部(画像形成ステーション)の構成例を説明するための概略断面図である。
図2に示す画像形成部(画像形成ステーション)10は、像担持体であるドラム状の感光体1と、感光体1を帯電する帯電手段である帯電装置(図示の例では帯電ローラ)3と、帯電された感光体1にレーザー光L等を照射して静電潜像を形成する潜像形成手段(図示せず)と、感光体1上の静電潜像をトナーで現像して可視像化する現像手段である現像装置5と、感光体1上のトナー像を転写媒体(または中間転写媒体)7に転写する転写手段6と、転写後の感光体1の表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング装置4と、クリーニング装置4から帯電装置3に至る部分に配置された保護層形成装置2等を有している。そして、この画像形成部10では、感光体1とともに、保護層形成装置2、帯電装置3、現像装置5、クリーニング装置4をカートリッジ内に設けたプロセスカーリッジ11を用いている。
図2において、帯電装置3は、例えば図示しない高電圧電源により直流電圧もしくはこれに交流電圧を重畳させた電圧を印加した帯電ローラである。また、現像装置5は、トナー粒子、またはトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる現像剤を担持搬送する現像剤担持体である現像スリーブ51と、現像剤を攪拌しながら搬送する現像剤攪拌搬送部材52,53等で構成される。
感光体1に対向して配設された保護層形成装置2は、図1と同様に、保護剤バー21、保護剤供給部材22、押圧力付与機構23、保護層形成機構24等から主に構成される。
また、感光体1は、転写工程後に部分的に劣化した保護剤やトナー成分等が残存した表面となっているが、クリーニング装置4のクリーニング部材41により表面残存物が清掃され、クリーニングされる。図2では、ブレード状のクリーニング部材41は、いわゆるカウンタータイプ(リーディングタイプ)に類する角度で当接されている。
クリーニング装置4により、表面の残留トナーや劣化した保護剤が取り除かれた感光体表面へは、保護剤バー21の保護剤が保護剤供給部材22により供給され、感光体表面に供給された保護剤は、保護層形成機構24により薄層化され、不定形な皮膜状の保護層が形成される。この際、感光体表面のうち電気的ストレスにより親水性が高くなっている部分に対して、本発明で使用する保護剤は、より良好な吸着性を持つため、一時的に大きな電気的ストレスが掛かり、感光体表面が部分的に劣化をし始めても、保護剤の吸着により感光体自身の劣化の進行を防ぐことができる。
保護層が形成された感光体1は、帯電ローラ3による帯電後、レーザー光Lなどの露光によって静電潜像が形成され、現像手段である現像装置5のトナーにより現像されて可視像化され、プロセスカートリッジ外の転写手段である転写装置(転写ローラ等)6により、転写媒体(または中間転写媒体)7へ転写される。
次に図3は、本発明の保護層形成装置を具備する画像形成装置100の構成例を示す概略構成図である。
この画像形成装置100は、画像形成を行う画像形成装置本体(プリンタ部)110と、この本体110の上部に設置された原稿読取部(スキャナ部)120と、その上に設置された原稿自動給紙装置(ADF)130と、画像形成装置本体110の下部に設置された給紙部200とを備えており、複写機の機能を有している。また、この画像形成装置100は、外部装置との通信機能を有しており、装置外部のパーソナルコンピュータ等と接続することにより、プリンタやスキャナとして用いることができる。また、電話回線や光回線と接続することにより、ファクシミリとして用いることができる。
画像形成装置本体110内には、同じ構成で現像装置5のトナー色が異なる画像形成部(画像形成ステーション)10が4つ並設されており、該4つの画像形成部10でトナー色の異なる画像(例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像)を形成し、各色のトナー像を転写媒体または中間転写媒体に重ね合わせて転写して多色またはフルカラー画像を形成することができる。なお、図3の例では、4つの画像形成部10は、複数のローラに張架されたベルト状の中間転写媒体7に沿って並設されており、各画像形成部で形成された各色のトナー像は、一旦中間転写媒体7に順次重ね合わせて転写された後、二次転写装置12で紙等のシート状の転写媒体に一括して転写される。
各色の画像形成部10は図2と同様の構成であり、ドラム状の感光体1(1Y,1M,1C,1K)の周囲に、保護層形成装置2、帯電装置3、潜像形成装置8からのレーザー光等の露光部、現像装置5、一次転写装置6、およびクリーニング装置4が配置されている。また、図2と同様に、各色の画像形成部10には、感光体1とともに、保護層形成装置2、帯電装置3、現像装置5、クリーニング装置4をカートリッジ内に設けたプロセスカーリッジ11を用いている。そして、このプロセスカートリッジは、画像形成装置本体110に対して着脱自在に設けられている。
次に図3に示す画像形成装置の動作を説明する。ここでは、画像形成のための一連のプロセスについて、ネガ−ポジプロセスで説明を行う。なお、各画像形成部の動作は同じであるので、ここでは一つの画像形成部の動作を説明する。
有機光導電層を有する有機感光体(OPC)等に代表される像担持体であるドラム状の感光体1は、除電ランプ(図示せず)等で除電され、帯電部材(例えば帯電ローラ)を有する帯電装置3で均一にマイナスに帯電される。
帯電装置3による感光体1の帯電が行なわれる際には、電圧印加機構(図示せず)から帯電部材に、感光体1を所望の電位に帯電させるに適した、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した帯電電圧が印加される。
帯電された感光体1は、例えば複数のレーザー光源と、カップリング光学系と、光偏向器と、走査結像光学系等からなる、レーザー走査方式の潜像形成装置8によって照射されるレーザー光で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行なわれる。
すなわち、レーザー光源(例えば半導体レーザー)から発せられたレーザー光は、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等からなる光偏向器により偏向走査され、走査レンズやミラー等からなる走査結像光学系を介して感光体1の表面を、感光体1の回転軸方向(主走査方向)に走査する。
このようにして形成された潜像が、現像装置5の現像剤担持体である現像スリーブ51上に供給されたトナー粒子、またはトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。
潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブ51に、感光体1の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
上記のような動作で各色に対応した画像形成部10の感光体1上に形成されたトナー像は、転写ローラ等からなる一次転写装置6にて中間転写媒体7上に順次重ね合わせて一次転写される。一方、画像形成動作及び一次転写動作にタイミングを合わせて、給紙部200の多段の給紙カセット201a,201b,201c,201dの中の選択された給紙カセットから、給紙ローラ202及び分離ローラ203からなる給紙機構で紙等のシート状の転写媒体が給紙され、搬送ローラ204,205,206及びレジストローラ207を経て二次転写部に搬送される。そして、二次転写部において、中間転写媒体7上のトナー画像が二次転写装置(例えば二次転写ローラ)12にて、搬送されてきた転写媒体に二次転写される。なお、上記の転写工程において、一次転写装置6や二次転写装置12には、転写バイアスとして、トナーの帯電極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。
上記の二次転写後、転写媒体は、中間転写媒体7から分離され、転写像が得られる。また、一次転写後に感光体1上に残存するトナー粒子は、クリーニング装置4のクリーニング部材41によって、クリーニング装置4内のトナー回収室へ、回収される。また、二次転写後に中間転写媒体7上に残存するトナー粒子は、ベルトクリーニング装置9のクリーニング部材によって、クリーニング装置9内のトナー回収室へ、回収される。
図3に示した画像形成装置100は、上述の画像形成部10が中間転写媒体7に沿って複数配置された、いわゆるタンデム型で中間転写方式の画像形成装置であり、複数の画像形成部10によって各感光体1(1Y,1M,1C,1K)上に順次作成された色が異なる複数のトナー像を一旦中間転写媒体7上に順次転写した後、これを一括して紙のような転写媒体に転写する。そしてトナー像が転写された転写媒体を、搬送装置13により定着装置14へ送り、熱等によってトナーを定着する構成である。定着後の転写媒体は、搬送装置15及び排紙ローラ16により排紙トレイ17に排紙される。また、この画像形成装置100は両面プリント機能も備えており、両面プリント時には、定着装置9の下流の搬送路を切換え、片面の画像が定着された転写媒体を両面用搬送装置210を介して表裏反転し、搬送ローラ206及びレジストローラ207で二次転写部に再給紙して、裏面側に画像の転写を行う。転写後の転写媒体は、上記と同様に定着装置9に搬送されて画像が定着され、定着後の転写媒体は排紙トレイ17に排紙される。
なお、上記の構成で、中間転写媒体を用いずに、タンデム型の直接転写方式の画像形成装置とすることもでき、この直接転写方式の場合は、中間転写媒体に換えて、転写媒体を担持搬送する転写ベルト等を用い、各画像形成部10によって各感光体1(1Y,1M,1C,1K)上に順次作成された色が異なる複数のトナー像を直接、転写ベルトで搬送される紙のような転写媒体に順次転写した後、定着装置へ送り、熱等によってトナーを定着する構成としても良い。
以上に説明したような画像形成装置では、帯電装置3は、帯電部材を感光体表面に接触または近接して配設された帯電装置であることが好ましく、これにより、放電ワイヤを用いた、いわゆるコロトロンやスコロトロンと言われるコロナ放電器と比較して、帯電時に発生するオゾン量を大幅に抑制することが可能となる。
しかしながら、帯電部材を感光体表面に接触または近接して帯電を行う帯電装置3では、前述のように放電が感光体表面近傍の領域で行われるため、感光体1への電気的ストレスが大きくなりがちである。
そこで、本発明の感光体保護剤を用いた保護層形成装置2を用いることにより、長期間に渡り感光体を劣化させることなく維持できるため、経時的な画像の変動や使用環境による画像の変動を大幅に抑制でき、安定した画像品質の確保が可能となる。
次に本発明において好適に用いられる感光体について説明する。
本発明の画像形成装置に用いる像担持体である感光体は、導電性支持体の上に感光層が設けられている。感光層の構成は電荷発生材と電荷輸送材を混在させた単層型、あるいは電荷発生層の上に電荷輸送層を設けた順層型、あるいは電荷輸送層の上に電荷発生層を設けた逆層型がある。また、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため、感光層の上に保護層を設けることもできる。感光層と導電性支持体の間には下引き層が設けられていてもよい。また各層には必要により可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
感光体の導電性支持体としては、体積抵抗10^10Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法でドラム状に素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。ドラム状の支持体としては、直径が20〜150mm、好ましくは、24〜100mm、さらに好ましくは28〜70mmのものを用いることができる。ドラム状の支持体の直径が20mm以下では、ドラム周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を配置することが物理的に難しく、ドラム状の支持体の直径が150mm以上では画像形成装置が大きくなってしまい好ましくない。特に、画像形成装置が図3に示すようなタンデム型の場合には、複数の感光体を搭載する必要があるため、直径は70mm以下、好ましくは60mm以下であることが好ましい。また、特許文献3に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
本発明の画像形成装置に用いる感光体の下引層としては樹脂、あるいは白色顔料と樹脂を主成分としたもの、及び導電性基体表面を化学的あるいは電気化学的に酸化させた酸化金属膜等が例示できるが、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。白色顔料としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、中でも導電性基体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンを含有させることが最も好ましい。下引層に用いる樹脂としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂、アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂、これらの中の一種あるいは多種の混合物を例示することができる。
本発明の画像形成装置に用いる感光体の電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ顔料等のアゾ顔料、トリアリールメタン系染料、チアジン系染料、オキサジン系染料、キサンテン系染料、シアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系染料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、インダスロン系顔料、スクアリリウム系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機系顔料及び染料や、セレン、セレン−ヒ素、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アモルファスシリコン等の無機材料を使用することができ、電荷発生物質は一種あるいは多種混合して使用することができる。下引層は、一層であっても、複数の層で構成しても良い。
本発明の画像形成装置に用いる感光体の電荷輸送物質としては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、テトラゾール誘導体、メタロセン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチリルヒドラゾン化合物、エナミン化合物、ブタジエン化合物、ジスチリル化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体等の一種あるいは多種を混合して使用することができる。
上記電荷発生層、電荷輸送層の感光層を形成するのに使用する結着樹脂としては、電気絶縁性であり、それ自体公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂及び光導電性樹脂等を使用することができ、適当な結着樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネ−ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の光導電性樹脂など一種の結着樹脂あるいは多種と結着樹脂の混合物を挙げることができるが、特にこれらのものに限定されるものではない。
酸化防止剤としては、例えば以下のものが使用される。
・モノフェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソールなど。
・ビスフェノール系化合物
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
・高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
・パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−tーブチル−p−フェニレンジアミンなど。
・ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
・有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
・有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層中にレベリング剤を添加してもかまわない。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が適当である。
表面層は前述のように、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため設けられる。表面層としては、感光層よりも機械的強度の高い高分子、高分子に無機フィラーを分散させたものが例示できる。表面層に用いる高分子は、熱可塑性高分子、熱硬化性高分子、何れの高分子であっても良いが、熱硬化性高分子は機械的強度が高く、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を抑える能力が極めて高いためたいへん好ましい。表面層は薄い膜厚であれば、電荷輸送能力を有していなくても支障はないが、電荷輸送能力を有しない表面層を厚く形成すると、感光体の感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇を引き起こしやすいため、表面層中に前述の電荷輸送物質を含有させたり、保護層に用いる高分子を電荷輸送能力を有するものを用いることが好ましい。感光層と表面層との機械的強度は一般に大きく異なるため、クリーニングブレードとの摩擦により保護層が磨耗し、消失すると、すぐに感光層は磨耗していってしまうため、表面層を設ける場合には、表面層は十分な膜厚とすることが重要であり、0.01〜12μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜8μmとすることが好ましい。表面層の膜厚が0.1μm以下では、薄すぎてクリーニングブレードとの摩擦により部分的に消失しやすくなり、消失した部分から感光層の磨耗が進んでしまうため好ましくない。表面層の膜厚が12μm以上では、感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇が生じやすく、特に電荷輸送能力を有する高分子を用いる場合には、電荷輸送能力を有する高分子のコストが高くなってしまうため好ましくない。
表面層に用いる高分子としては、画像形成時の書き込み光に対して透明で、絶縁性、機械的強度、接着性に優れた物が望ましく、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。これらの高分子は熱可塑性高分子であっても良いが、高分子の機械的強度を高めるため、多官能のアクリロイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等を持つ架橋剤により架橋し、熱硬化性高分子とすることで、表面層の機械的強度は増大し、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を大幅に減少させることができる。
前述のように、表面層には電荷輸送能力を有していることが好ましく、表面層に電荷輸送能力を持たせるためには、表面層に用いる高分子と前述の電荷輸送物質を混合して用いる方法、電荷輸送能力を有する高分子を表面層に用いる方法が考えられ、後者の方法が、高感度で露光後電位上昇、残留電位上昇が少ない感光体を得ることができ好ましい。
電荷輸送層能力を有する高分子としては、高分子中に電荷輸送能力を有する基(下記の化学式(2))を例示することができる。
Figure 2008096723
上記の化学式(2)において、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わす。また、Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。
この電荷輸送能力を有する基は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の機械的強度の高い高分子の側鎖に付加することが好ましく、モノマーの製造が容易で、塗工性、硬化性にも優れるアクリル樹脂を用いることが好ましい。
電荷輸送能力を有するアクリル樹脂は、化学式(2)の基を有する不飽和カルボン酸を重合させることにより機械的強度が高く、透明性にも優れ、電荷輸送能力も高い表面層を形成することができ、単官能の化学式(2)の基を有する不飽和カルボン酸に多官能の不飽和カルボン酸、好ましくは3官能以上の不飽和カルボン酸を混合することで、アクリル樹脂は架橋構造を形成し、熱硬化性高分子となり、表面層の機械的強度は極めて高いものとなる。多官能の不飽和カルボン酸に、化学式(2)の基を付加しても良いが、モノマーの製造コストが高くなってしまうため、多官能の不飽和カルボン酸には、化学式(2)の基を付加せず、通常光硬化性多官能モノマーを用いることが好ましい。
化学式(2)の基を有する単官能不飽和カルボン酸をしては、下記の化学式(3)、化学式(4)を例示することができる。
Figure 2008096723
Figure 2008096723
なお、化学式(3)、(4)中、R は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR (R は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR (R 及びR は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Ar は置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar 、Ar は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。
多官能の不飽和カルボン酸の割合は表面層全体の、5〜75重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは、20〜60重量%である。多官能不飽和カルボン酸の割合が5重量%以下では、表面層の機械的強度が不十分であり、75%以上では、表面層に強い力が加わったときにクラックが発生しやすく、感度劣化も生じやすいため好ましくない。
表面層にアクリル樹脂を用いる場合には、上記不飽和カルボン酸を感光体に塗工後、電子線照射あるいは、紫外線等の活性光線を照射してラジカル重合を生じさせ、表面層を形成することができる。活性光線によるラジカル重合を行う場合には、不飽和カルボン酸に光重合開始剤を溶解したものを用いる。光重合開始剤は通常、光硬化性塗料に用いられる材料を用いることができる。
表面層中には表面層の機械的強度を高めるために金属、又は金属酸化物の微粒子を分散させることができる。金属酸化物としては酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。その他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。
以上の実施形態では像担持体を感光体として説明したが、本発明に係る像担持体は、感光体上に形成されたトナー像を一次転写して色重ねを行い、更に転写媒体へ転写を行う、いわゆる中間転写方式による画像形成を行う際に使用する中間転写媒体であってもよい。
中間転写媒体としては、体積抵抗10^5〜10^11Ω・cm の導電性を示すものが好ましい。表面抵抗が10^5Ω/□を下回る場合には、感光体から中間転写媒体上へトナー像の転写が行われる際に、放電を伴いトナー像が乱れるいわゆる転写チリが生じることがあり、10^11Ω/□を上回る場合には、中間転写媒体から紙などの転写媒体へトナー像を転写した後に、中間転写媒体上へトナー像の対抗電荷が残留し、次の画像上に残像として現れることがある。
中間転写媒体としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物やカーボンブラック等の導電性粒子や導電性高分子を、単独または併用して熱可塑性樹脂と共に混練後、押し出し成型したベルト状もしくは円筒状のプラスチックなどを使用することができる。この他に、熱架橋反応性のモノマーやオリゴマーを含む樹脂液に、必要により上述の導電性粒子や導電性高分子を加え、加熱しつつ遠心成型を行い、無端ベルト上の中間転写媒体を得ることもできる。
中間転写媒体に表面層を設ける際には、上述の感光体表面層に使用した表面層材料の内、電荷輸送材料を除く組成物に、適宜、導電性物質を併用して抵抗調整を行い、使用することができる。
次に、本発明の画像形成装置において好適に用いられるトナーについて説明する。
まず、本発明の画像形成装置に用いるトナーは、平均円形度が0.93〜1.00であることが好ましい。本発明では、下記の式(2)より得られた値を円形度と定義する。この円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
円形度SR=粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長 :式(2)
平均円形度が0.93〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体との接触面積が小さいために転写性に優れる。
トナー粒子に角がないため、現像装置内での 現像剤の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像が発生しない。
ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で転写媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。
トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、像担持体の表面を傷つけたり、磨耗させたりしない。
次に円形度の測定方法について説明する。
円形度は、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。
具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
本発明の画像形成装置に用いるトナーは、上記の円形度に加えて、トナーの重量平均径D4が3〜10μmであることが好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。
重量平均径D4が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすい。また、重量平均径D4が10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しい。
さらに本発明に係るトナーは、重量平均径D4と個数平均径D1の比(D4/D1)が1.00〜1.40であることが好ましい。(D4/D1)の値が1に近づくほど、そのトナーの粒度分布がシャープであることを意味する。よって、(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲では、トナー粒径による選択現像が起きないため、画質の安定性に優れる。
トナーの粒度分布がシャープであることから、摩擦帯電量分布もシャープとなり、カブリの発生が抑えられる。また、トナー粒径が揃っていると、潜像ドットに対して、緻密に、かつ整然と並ぶように現像されるので、ドット再現性に優れる。
次にトナー粒子の粒度分布の測定方法について説明する。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均径D4、個数平均径D1を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
また、このような略球形の形状のトナーとしては、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させるトナーが好ましい。この反応で製造されたトナーは、トナー表面を硬化させることで、ホットオフセットの少なくすることができ、定着装置の汚れとなって、それが画像上に表れるのを抑えることができる。
トナー作成に使用できる変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマーとしては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)が挙げられ、また、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物としては、アミン類(B)が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、ジカルボン酸(2−1)単独、およびジカルボン酸(2−1)と少量の3価以上のポリカルボン酸(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
これらの反応により、本発明のトナーに用いられる変性ポリエステル、中でもウレア変性ポリエステル(i)が作成できる。これらウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレア変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
また、本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)を結着樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
本発明において、結着樹脂のガラス転移点(Tg)は通常50〜70℃、好ましくは55〜65℃である。50℃未満ではトナーの高温保管時のブロッキングが悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステル樹脂の共存により、本発明の乾式トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。結着樹脂の貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cm2となる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110〜200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。結着樹脂の粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90〜160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましい。さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
結着樹脂は以下の方法などで製造することができる。ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。さらに(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際および(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。ウレア結合で変性されていないポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で(ii)を製造し、これを前記(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
また、本発明に用いるトナーは概ね以下の方法で製造することができるが勿論これらに限定されることはない。
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成しても良いし、あらかじめ製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いても良い。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温な方が、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステル(i)を合成する工程は水系媒体中でトナー組成物を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性荊、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及ぴその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガーフルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガーフルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及ぴ金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及ぴその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる,
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−150(ネオス社製)などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
水に難溶の無機化合物分散剤として、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましく、中でもトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒がより好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的な手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
また、トナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料が使用でき、具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等を単独あるいは混合して用いることができる。
さらに、必要により、トナー粒子自身に磁気特性を持たせるには、フェライト、マグネタイト、マグヘマイト等の酸化鉄類、鉄、コバルト、ニッケル等の金属あるいは、これらと他の金属との合金等の磁性成分を単独または混合して、トナー粒子へ含有させればよい。また、これらの成分は、着色剤成分として使用/併用することもできる。
本発明で用いられるトナー中の着色剤の個数平均径は0.5μm以下であることが望ましく、好ましくは0.4μm以下、より好ましくは0.3μm以下が望ましい。
トナー中の着色剤の個数平均径が0.5μmより大きいときには、顔料の分散性が充分なレベルには到らず、好ましい透明性が得られないことがある。
0.1μmより小さい微小粒径の着色剤は、可視光の半波長より十分小さいため、光の反射、吸収特性に悪影響を及ぼさないと考えられる。よって、0.1μm未満の着色剤の粒子は良好な色再現性と、定着画像を有するOHPシートの透明性に貢献する。一方、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、入射光の透過が阻害されたり、散乱されたりして、OHPシートの投影画像の明るさ及び彩かさが低下する傾向がある。
さらに、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、トナー粒子表面から着色剤が脱離し、カブリ、ドラム汚染、クリーニング不良といった種々の問題を引き起こしやすいため、好ましくない。特に、0.7μmより大きな粒径の着色剤は、全着色剤の10個数%以下であることが好ましく、5個数%以下であることが、より好ましい。
また、着色剤を結着樹脂の一部もしくは全部と共に、予め湿潤液を加えた上で混練しておくことにより、初期的に結着樹脂と着色剤が十分に付着した状態となって、その後のトナー製造工程でのトナー粒子中における着色剤分散がより効果的に行なわれ、着色剤の分散粒径が小さくなり、一層良好な透明性を得ることができる。
予めの混錬に用いる結着樹脂としては、トナー用結着樹脂として例示した樹脂類をそのまま使用することができるが、これらに限定されるものではない。
前記の結着樹脂と着色剤の混合物を予め湿潤液と共に混練する具体的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤及び湿潤液を、ヘンシェルミキサー等のブレンダーにて混合した後、得られた混合物を二本ロール、三本ロール等の混練機により、結着樹脂の溶融温度よりも低い温度で混練して、サンプルを得る。
また、湿潤液としては、結着樹脂の溶解性や、着色剤との塗れ性を考慮しながら、一般的なものを使用できるが、特に、アセトン、トルエン、ブタノン等の有機溶剤や水が、着色剤の分散性の面から好ましい。
中でも、水の使用は、環境への配慮及び、後のトナー製造工程における着色剤の分散安定性維持の点から、一層好ましい。
この製法によると、得られるトナーに含有される着色剤粒子の粒径が小さくなるばかりでなく、該粒子の分散状態の均一性が高くなるため、OHPによる投影像の色の再現性がより一層良くなる。
この他、本発明の構成をとる限り、トナー中に結着樹脂や着色剤とともにワックスに代表される離型剤を含有させることもできる。
離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。これら離型剤の融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
また、トナー帯電量及びその立ち上がりを早くするために、トナー中に、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。ここで、電荷制御剤として有色材料を用いると色の変化が起こるため、無色、白色に近い材料が好ましい。
帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的には第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させる事もできるし、有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
また、トナー製造過程で水系媒体中にトナー組成物を分散させるに際して、主に分散安定化のための樹脂微粒子を添加してもよい。
使用される樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
さらに、トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。
この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
また、感光体や中間転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
これらのトナーを用いることにより、上述の如く、現像の安定性に優れる、高画質なトナー像を形成することができる。しかしながら、転写装置にて転写媒体もしくは中間転写媒体に転写されず、像担持体上に残存してしまったトナーは、その微細さや転動性の良さのために、クリーニング装置による除去が困難で通過してしまうことがある。トナーを像担持体から完全に除去するには、例えばクリーニングブレードのようなトナー除去部材を像担持体に対して強力に押しつける必要がある。この様な負荷は、像担持体やクリーニング装置の寿命を短くするだけでなく、余計なエネルギーを使用してしまうことになる。
像担持体に対する負荷を軽減した場合には、像担持体上のトナーや小径のキャリアの除去が不十分となり、これらはクリーニング装置を通過する際に、像担持体表面を傷つけ、画像形成装置の性能を変動させる要因となる。
本発明の画像形成装置は、前述の如く、感光体表面状態の変動、特に低抵抗部位の存在に対しての許容範囲に優れ、感光体への帯電性能変動等を、高度に抑制した構成であるため、上記構成のトナーと併用することにより、極めて高画質な画像を、長期にわたって安定して得ることができるものである。
また、本発明の画像形成装置は、上述のような、高品質な画像を得るに適した構成のトナーとの併用ばかりでなく、粉砕法による不定形のトナーに対しても適用でき、装置寿命を大幅に延ばすことは言うまでもない。
このような、粉砕法のトナーを構成する材料としては、通常、電子写真用トナーとして使用されるものが、特に制限なく、適用可能である。
該トナーに使用される一般的な結着剤樹脂の例としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単重合体やその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、単独あるいは混合して使用できるが特にこれらに限定するものではない。中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂より選ばれる少なくとも1種以上であることが、電気特性、コスト面等から、より好ましいものである。更には、良好な定着特性を有するものとして、ポリエステル系樹脂および/またはポリオール系樹脂の使用が、一層好ましい。
また、上述の事由により、帯電部材の被覆層に含まれる前記トナーの結着樹脂を構成する樹脂成分と同じものは、線状ポリエステル樹脂組成物、線状ポリオール樹脂組成物、線状スチレンアクリル樹脂組成物、またはこれらの架橋物の内、少なくとも一種を好ましく用いることができる。
粉砕法のトナーでは、これらの樹脂成分と共に、前述のような着色剤成分、ワックス成分、電荷制御成分等を、必要により前混合後、樹脂成分の溶融温度近傍以下で混練して、これを冷却後、粉砕分級工程を経て、トナーを作成すれば良く、また、必要により前述の外添成分を、適宜、添加混合すれば良い。
以下、具体的な実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[保護剤バー(1)の製造方法]
FT115(日本精蝋製 合成ワックス)を39重量部、トリステアリン酸ソルビタン(HLB:1.5)を61重量部を蓋付きのガラス製容器に入れ、130℃に温度制御したホットスターラーにより、攪拌しつつ溶融した。
予め83℃に加熱した内寸法12mm×8mm×350mmのアルミニウム製の金型を満たすように、溶融した保護剤処方(1)の組成物を流し込み、50℃まで室温雰囲気で放冷後、温度設定をした恒温槽にて60℃まで再加熱して、その温度で20分間保持し、その後、室温まで放冷した。
冷却後、固形物を型から外し、長手方向の両端を切断し、底面を切削して7mm×8mm×310mmの保護剤バー(1)を作成し、保護剤バーの重量を計測しておいた。保護剤バーの底面に両面テープを貼り付け金属製支持体に固定した。
この保護剤バー(10mg)について、吸熱ピークを示差熱分析計DSC−60(島津製作所製)を用いて測定したところ、52℃に吸熱ピークが得られた。
また、この保護剤バーの表面を6Bの鉛筆で引っかいたところ、スジが生じなかったが、5Bの鉛筆で引っかいたところ、スジが生じたため、この保護剤バーの鉛筆硬度は、5B〜6Bの間であることが分かった。
[保護剤バー(2)の製造方法]
ノルマルパラフィン(平均分子量640)を70重量部、モノステアリン酸ソルビタン(HLB:5.9)を30重量部を用いる以外は、保護剤バー(1)の製造方法と同様にして保護剤バー(2)を作製した。
この保護剤バー(10mg)について、吸熱ピークを示差熱分析計DSC−60(島津製作所製)を用いて測定したところ、53℃と88℃に吸熱ピークが得られた。
また、この保護剤バーの表面を6Bの鉛筆で引っかいたところ、スジが生じたため、この保護剤バーは、6Bよりも柔らかいことが分かった。
[保護剤バー(3)の製造方法]
保護剤バー(1)の製造方法において、ノルマルパラフィン(平均分子量640)を73重量部、モノステアリン酸グリセリル(HLB:3.5)を27重量部を用いる以外は、保護剤バー(1)の製造方法と同様にして保護剤バー(3)を作製した。
この保護剤バーの表面を6Bの鉛筆で引っかいたところ、スジが生じたため、この保護剤バーは、6Bよりも柔らかいことが分かった。
また、この保護剤バー(10mg)について、吸熱ピークを示差熱分析計DSC−60(島津製作所製)を用いて測定したところ、53℃と88℃に吸熱ピークが得られた。
[保護剤バー(4)の製造方法]
保護剤バー(1)の製造方法において、保護剤にステアリン酸亜鉛のみを用い、蓋付きのガラス製容器にステアリン酸亜鉛を入れ、165℃に温度制御したホットスターラーにより、攪拌しつつ溶融する以外は同様にして保護剤バー(4)を作製した。
この保護剤バーを4Bの鉛筆で引っかいたところ、保護剤バーにはスジが起こらなかったが、2Bの鉛筆で引っかくとスジが生じた。即ち、この保護剤バー表面の硬さは鉛筆硬度4B〜2Bの間であることが分かった。
[実施例1,2,3、及び比較例1]
直径30mmのアルミニウムドラム(導電性支持体)上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層を、その順に塗布した後、乾燥し、3.6μmの下引き層、約0.14μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層、約3.5μmの保護層からなる感光体を作製した。このとき、保護層の塗工はスプレー法により、それ以外は浸漬塗工法により行った。保護層には、電荷輸送層に、平均粒径0.18μmのアルミナを23.8質量%添加した処方のものを用いた。
タンデム型カラー画像形成装置(リコー製:imagio Neo C385)の図4に示すような構成のブラック用感光体ユニットの感光体1および保護剤バー22として、上記の作製した感光体及び保護剤バー(1)、(2)、(3)、(4)をそれぞれセットし、4種類の感光体ユニットを用意した。ここで、保護剤バー(1)、(2)、(3)をセットしたものを実施例1,2,3とし、保護剤バー(4)をセットしたものを比較例1とする。
次に、各感光体ユニットを画像形成装置に組み込まず、帯電も行わない状態で、感光体を130rpmで10分回転させて保護剤の塗布のみを行った。
保護剤バー(1)〜(3)の保護剤塗布後の帯電手段直下における感光体の表面を電子顕微鏡を用いて観察したところ、3視野の観察で保護剤バー(1)においては、保護剤の粒が1mm当たり5〜12個観察され、保護剤バー(2)、(3)においては、保護剤の粒が1mm当たり0〜2個観察される程度であった。
また、保護剤バー(4)の保護剤塗布後の帯電手段直下における感光体の表面を電子顕微鏡を用いて観察したところ、保護剤の粒が多数観察されたため、1mm当たりに存在する粒の数を3視野について数えたところ、その個数の平均は603個であった。
保護剤バー(2)の保護剤塗布後の感光体について、感光体表面の付着物をKBrで掻き取り、KBr法により、FT−IRで分析したところ、ノルマルパラフィンおよびモノステアリン酸ソルビタン由来のピークが検出されたことから、保護剤バー(2)の保護剤が感光体上に不定形または膜状で付着していることが分かった。
以上の観察および分析の後、感光体ユニットを画像形成装置に組み込まず、図4の構成のまま、帯電ローラに直流電圧−600V、交流電圧Peak-to-Peakで1250V、周波数900Hzを印加しながら、感光体を130rpmで2時間回転させた。
それぞれの感光体ユニットをタンデム型カラー画像形成装置(リコー製:imagio Neo C385)のブラック用画像形成ステーションにセットし、順にブラックのハーフトーン画像を出力した。実施例1〜3の保護剤バー(1)〜(3)を用いた感光体ユニットから出力した画像は高画質な画像であったが、比較例1の保護剤バー(4)を用いた感光体ユニットから出力した画像には薄いスジが見られた。
[実施例4、及び比較例2]
タンデム型カラー画像形成装置(リコー製:imagio Neo C385)のすべての色の画像形成ステーションを図1及び図2の構成になるように改造し、実施例4として、ブラック用画像形成ステーションに、保護剤バー(1)をセットした感光体ユニットを組み込んだ。また、比較例2として、シアンの画像形成ステーションには、保護剤バー(4)をセットした感光体ユニットを組み込んだ。そして、画像面積が5%のカラーチャートを、5枚ずつ、計10000枚画像形成した。
ブラックのハーフトーン画像を出力したところ、高画質の画像が得られたが、シアンのハーフトーン画像を出力したところ、スジ状の異常画像が得られた。
画像出力後の保護剤バーの重さを量り、画像出力前の重さを差し引いて、保護剤の消費量を保護剤バー(1)(ブラック用感光体ユニット)および保護剤バー(4)(シアン用感光体ユニット)について算出した。
また、トナーボトル中の廃トナーを溶剤で処理してGC−MS(島津製作所社製:GCMS−QP5000)で分析し、トリステアリン酸ソルビタン由来のピークより、トナーボトル中の保護剤の量を算出した。これらの分析より、保護剤の全消費量に対する、廃トナー中に含まれる全保護剤の量は15%と算出された。
また、ICPを用いてシアンのトナーボトル中の廃トナーの亜鉛量の定量を行い、ステアリン酸亜鉛量を算出し、保護剤の全消費量に対する、廃トナー中に含まれる全保護剤の量を算出したところ34%であった。
[実施例5,6、及び比較例3]
実施例4において保護剤バー(1)を保護剤バー(2)に換えて感光体ユニットにセットし、ブラック用画像形成ステーションに組み込んだものを実施例5とし、保護剤バー(3)を感光体ユニットにセットしてシアン用画像形成ステーションに組み込んだものを実施例6とし、マゼンタ用の画像形成ステーションには、保護剤バー(4)をセットした感光体ユニットを組み込んで比較例3とした。そして、画像面積が5%のカラーチャートを、5枚ずつ、計50000枚画像形成した。
50000枚の画像形成後、ブラックおよびシアンのハーフトーン画像を出力したところ、いずれも高画質の画像が得られたが、マゼンタのハーフトーン画像を出力したところ、帯状の地汚れが見られた。また、マゼンタ用感光体ユニットから保護剤バー(4)を取り出したところ、厚みが半分以下になっていた。
画像出力後の保護剤バーの重さを量り、画像出力前の重さを差し引いて、保護剤の消費量を保護剤バー(2)(ブラック用感光体ユニット)および保護剤バー(3)(シアン用感光体ユニット)および保護剤バー(4)(マゼンタ用感光体ユニット)について算出した。
また、ブラックおよびシアンのトナーボトル中の廃トナーを溶剤で処理してGC−MS(島津製作所社製:GCMS−QP5000)で分析し、ノルマルパラフィン由来のピークより、トナーボトル中の保護剤の量を算出した。これらの分析より、保護剤の全消費量に対する、廃トナー中に含まれる全保護剤の量はブラック用感光体ユニットにおいては3%、シアン用感光体ユニットにおいては6%と算出された。
また、ICPを用いてマゼンタのトナーボトル中の混合物質の亜鉛量の定量を行い、ステアリン酸亜鉛量を算出し、保護剤の全消費量に対する、廃トナー中に含まれる全保護剤の量を算出したところ31%であった。
本発明の保護層形成装置を備えた画像形成部の要部構成例を示す概略要部構成図である。 本発明の画像形成装置に具備されるプロセスカートリッジを用いた画像形成部(画像形成ステーション)の構成例を説明するための概略断面図である。 本発明の保護層形成装置を具備する画像形成装置100の構成例を示す概略構成図である。 保護層形成装置の別の例を示す概略要部構成図である。
符号の説明
1(1Y,1M,1C,1K):感光体(像担持体)
2:保護層形成装置
3:帯電装置(帯電手段)
4:クリーニング装置(クリーニング手段)
5:現像装置(現像手段)
6:一次転写装置(転写手段)
7:中間転写媒体(または転写媒体)
8:潜像形成装置
9:ベルトクリーニング装置
10:画像形成部(画像形成ステーション)
11:プロセスカートリッジ
12:二次転写装置
13:搬送装置
14:定着装置
15:搬送装置
16:排紙ローラ
17:排紙トレイ
21:保護剤バー
22:保護剤供給部材
22a:ブラシ
22b:支持体
23:押圧力付与機構
24:保護層形成機構
24a:ブレード状部材
24b:押圧部材
41:クリーニング部材
42:クリーニング押圧機構
51:現像スリーブ
52,53:現像剤攪拌搬送部材
100:画像形成装置
110:画像形成装置本体(プリンタ部)
120:原稿読取部(スキャナ部)
130:原稿自動給紙装置(ADF)
200:給紙部
201a〜201d:給紙カセット
202:給紙ローラ
203:分離ローラ
204,205,206:搬送ローラ
207:レジストローラ
210:両面用搬送装置

Claims (20)

  1. 帯電手段で像担持体を一様に帯電し、帯電した前記像担持体の表面に潜像形成手段で潜像を形成し、該潜像を現像手段により少なくともトナーを含有する現像剤により現像してトナー像を形成し、前記像担持体の表面に形成されたトナー像を転写手段で被転写体に転写した後、転写後の像担持体表面の残留トナーをクリーニング手段で除去する構成の画像形成装置に装備され、前記像担持体の表面に保護剤を供給して該像担持体の表面を保護する保護層を形成する保護層形成装置において、
    前記像担持体に、保護剤バーとブラシ状の保護剤供給部材を用いて保護剤を供給する手段を有し、前記像担持体に供給される保護剤の、全消費量に対する、廃トナー中に含まれる全保護剤の量が、20%以下となるように前記保護剤を前記像担持体に供給することを特徴とする保護層形成装置。
  2. 請求項1記載の保護層形成装置において、
    前記保護剤を塗布するための前記保護剤供給部材のブラシと前記保護剤バーとを接触させ、前記保護剤供給部材のブラシ先端に不定形の保護剤を付着させ、基本的にブラシ先端に付着した前記不定形の保護剤を前記ブラシを介して前記像担持体に供給することを特徴とする保護層形成装置。
  3. 請求項1または2記載の保護層形成装置において、
    前記保護剤バーを前記保護剤供給部材のブラシに押し当てて前記保護剤を前記ブラシに移行させる押圧力付与機構と、前記保護剤供給部材により像担持体上に供給された保護剤を薄層化する保護層形成機構とを有することを特徴とする保護層形成装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の保護層形成装置に用いられる保護剤バーであって、
    棒状の保護剤からなり、該保護剤の表面の鉛筆硬度が、5Bより軟らかいことを特徴とする保護剤バー。
  5. 請求項4記載の保護剤バーにおいて、
    前記保護剤は、50〜130℃に少なくとも一つの吸熱ピーク温度を有することを特徴とする保護剤バー。
  6. 請求項4または5記載の保護剤バーにおいて、
    前記保護剤中に、両親媒性(親水性と疎水性)の有機物を含有することを特徴とする保護剤バー。
  7. 請求項6記載の保護剤バーにおいて、
    前記保護剤中の両親媒性の有機物のHLB値(界面活性剤の水と油の親和性を示す値:Hydrophile-Lipophile Balance)が1.0〜6.5に設定されていることを特徴とする保護剤バー。
  8. 請求項6または7記載の保護剤バーにおいて、
    前記保護剤中の両親媒性の有機物が非イオン系界面活性剤であることを特徴とする保護剤バー。
  9. 請求項4〜8のいずれか1項に記載の保護剤バーにおいて、
    前記保護剤中に、両親媒性の有機物及び疎水性の有機物を含有することを特徴とする保護剤バー。
  10. 請求項9記載の保護剤バーにおいて、
    前記保護剤中に含有される疎水性の有機物をパラフィンとすることを特徴とする保護剤バー。
  11. 請求項9記載の保護剤バーにおいて、
    前記保護剤中に含有される疎水性有機化合物(A)と両親媒性の有機物(B)の重量比A/Bが、10/90〜97/3であることを特徴とする保護剤バー。
  12. 請求項1〜3の何れか1項に記載の保護層形成装置において、
    請求項4〜11のいずれか1項に記載の保護剤バーを用いたことを特徴とする保護層形成装置。
  13. 像担持体を帯電する帯電手段と、帯電された像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体上の潜像を少なくともトナーを含有する現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体上のトナー像を被転写体に転写する転写手段と、転写後の像担持体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段と、前記像担持体の表面に保護剤を供給して該像担持体の表面を保護する保護層を形成する保護層形成手段とを有する画像形成部を備えた画像形成装置において、
    前記保護層形成手段として、請求項1〜3、12の何れか1項に記載の保護層形成装置を有することを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項13記載の画像形成装置において、
    前記帯電手段が、帯電部材に直流電圧と交流電圧を重畳して印加することにより前記像担持体の帯電を行うことを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項13または14記載の画像形成装置において、
    前記像担持体には、予め保護剤が塗布されていることを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項13または14記載の画像形成装置において、
    前記像担持体の使用開始前に、装置内で前記帯電手段、現像手段および転写手段が前記像担持体に接触していない状態で保護剤を塗布した像担持体を用いたことを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項13〜16の何れか1項に記載の画像形成装置において、
    前記画像形成部を複数並設し、該複数の画像形成部でトナー色の異なる画像を形成し、各色のトナー像を被転写体に重ね合わせて転写して多色またはフルカラー画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  18. 請求項13〜17の何れか1項に記載の画像形成装置において、
    前記被転写体は、シート状の転写媒体、あるいは、ベルト状もしくはドラム状の中間転写媒体であることを特徴とする画像形成装置。
  19. 請求項13〜18の何れか1項に記載の画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、
    前記画像形成部を構成する像担持体、保護層形成装置、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、前記像担持体と前記保護層形成装置と、前記帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうちの少なくとも1つとを、カートリッジ内に備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  20. 請求項19記載のプロセスカートリッジを着脱可能に備えたことを特徴とする画像形成装置。
JP2006278828A 2006-10-06 2006-10-12 保護層形成装置、保護剤バー、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Expired - Fee Related JP4842759B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006278828A JP4842759B2 (ja) 2006-10-12 2006-10-12 保護層形成装置、保護剤バー、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
US11/867,512 US7693476B2 (en) 2006-10-06 2007-10-04 Image forming apparatus with protective agent applying unit and process cartridge

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006278828A JP4842759B2 (ja) 2006-10-12 2006-10-12 保護層形成装置、保護剤バー、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008096723A true JP2008096723A (ja) 2008-04-24
JP4842759B2 JP4842759B2 (ja) 2011-12-21

Family

ID=39379635

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006278828A Expired - Fee Related JP4842759B2 (ja) 2006-10-06 2006-10-12 保護層形成装置、保護剤バー、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4842759B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008233241A (ja) * 2007-03-16 2008-10-02 Ricoh Co Ltd 保護剤、保護膜形成装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

Citations (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5593533A (en) * 1978-12-13 1980-07-16 Matsushita Electric Ind Co Ltd Magnetic recording medium
JPS5971131A (ja) * 1982-10-14 1984-04-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 磁気記録媒体
JPS6343168A (ja) * 1986-08-08 1988-02-24 Sharp Corp 自動両面複写機
JPH01118182A (ja) * 1987-10-30 1989-05-10 Sharp Corp クリーニングブレード
JPH01118183A (ja) * 1987-10-30 1989-05-10 Sharp Corp クリーニングブレード
JPH01149082A (ja) * 1987-12-07 1989-06-12 Konica Corp 画像形成方法及びその装置
JPH05119676A (ja) * 1991-10-28 1993-05-18 Ricoh Co Ltd 電子写真記録装置
JPH05210338A (ja) * 1990-12-27 1993-08-20 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JPH05307343A (ja) * 1992-04-30 1993-11-19 Ricoh Co Ltd 感光体のクリーニング装置
JPH06186897A (ja) * 1992-12-18 1994-07-08 Hokushin Ind Inc クリーニング装置
JPH10282853A (ja) * 1997-04-09 1998-10-23 Ricoh Co Ltd 電子写真記録装置のクリーニング器
JPH11167324A (ja) * 1997-12-02 1999-06-22 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2000122501A (ja) * 1998-10-20 2000-04-28 Hokushin Ind Inc 潤滑剤供給ロール及びその製造方法
JP2000162938A (ja) * 1998-11-27 2000-06-16 Ricoh Co Ltd 画像形成装置および画像形成装置の像担持体への潤滑剤塗布装置
JP2001183859A (ja) * 1999-12-27 2001-07-06 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2001331063A (ja) * 2000-05-22 2001-11-30 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2002244485A (ja) * 2001-02-21 2002-08-30 Canon Inc 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2004021109A (ja) * 2002-06-19 2004-01-22 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置のクリーニング装置
JP2005018047A (ja) * 2003-06-06 2005-01-20 Ricoh Co Ltd 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2005099649A (ja) * 2003-08-26 2005-04-14 Ricoh Co Ltd 画像形成装置および複写装置
JP2005121760A (ja) * 2003-10-15 2005-05-12 Ricoh Co Ltd クリーニング装置および画像形成装置
JP2005171107A (ja) * 2003-12-12 2005-06-30 Ricoh Co Ltd 電子写真用潤滑剤、潤滑剤塗布装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2006030955A (ja) * 2004-06-14 2006-02-02 Ricoh Co Ltd 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び転写カートリッジ

Patent Citations (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5593533A (en) * 1978-12-13 1980-07-16 Matsushita Electric Ind Co Ltd Magnetic recording medium
JPS5971131A (ja) * 1982-10-14 1984-04-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 磁気記録媒体
JPS6343168A (ja) * 1986-08-08 1988-02-24 Sharp Corp 自動両面複写機
JPH01118182A (ja) * 1987-10-30 1989-05-10 Sharp Corp クリーニングブレード
JPH01118183A (ja) * 1987-10-30 1989-05-10 Sharp Corp クリーニングブレード
JPH01149082A (ja) * 1987-12-07 1989-06-12 Konica Corp 画像形成方法及びその装置
JPH05210338A (ja) * 1990-12-27 1993-08-20 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JPH05119676A (ja) * 1991-10-28 1993-05-18 Ricoh Co Ltd 電子写真記録装置
JPH05307343A (ja) * 1992-04-30 1993-11-19 Ricoh Co Ltd 感光体のクリーニング装置
JPH06186897A (ja) * 1992-12-18 1994-07-08 Hokushin Ind Inc クリーニング装置
JPH10282853A (ja) * 1997-04-09 1998-10-23 Ricoh Co Ltd 電子写真記録装置のクリーニング器
JPH11167324A (ja) * 1997-12-02 1999-06-22 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2000122501A (ja) * 1998-10-20 2000-04-28 Hokushin Ind Inc 潤滑剤供給ロール及びその製造方法
JP2000162938A (ja) * 1998-11-27 2000-06-16 Ricoh Co Ltd 画像形成装置および画像形成装置の像担持体への潤滑剤塗布装置
JP2001183859A (ja) * 1999-12-27 2001-07-06 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2001331063A (ja) * 2000-05-22 2001-11-30 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2002244485A (ja) * 2001-02-21 2002-08-30 Canon Inc 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2004021109A (ja) * 2002-06-19 2004-01-22 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置のクリーニング装置
JP2005018047A (ja) * 2003-06-06 2005-01-20 Ricoh Co Ltd 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2005099649A (ja) * 2003-08-26 2005-04-14 Ricoh Co Ltd 画像形成装置および複写装置
JP2005121760A (ja) * 2003-10-15 2005-05-12 Ricoh Co Ltd クリーニング装置および画像形成装置
JP2005171107A (ja) * 2003-12-12 2005-06-30 Ricoh Co Ltd 電子写真用潤滑剤、潤滑剤塗布装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2006030955A (ja) * 2004-06-14 2006-02-02 Ricoh Co Ltd 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び転写カートリッジ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008233241A (ja) * 2007-03-16 2008-10-02 Ricoh Co Ltd 保護剤、保護膜形成装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4842759B2 (ja) 2011-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5086646B2 (ja) 像担持体用保護剤及びその製造方法、並びに保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP4801574B2 (ja) 像担持体用保護剤、及び保護層形成装置、並びに画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP5107079B2 (ja) 像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5239531B2 (ja) 像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5037909B2 (ja) 像担持体用保護剤、及び保護層形成装置、並びに画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP2009282160A (ja) 像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2010039304A (ja) 像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2011138106A (ja) 画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジ
JP2010061126A (ja) 画像形成装置、保護剤、及びプロセスカートリッジ
JP2009222805A (ja) 画像形成装置、保護剤塗布装置及びプロセスカートリッジ
JP5278070B2 (ja) 像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置およびプロセスカートリッジ
JP4890304B2 (ja) 保護剤塗布装置、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置
JP5315620B2 (ja) 保護剤塗布装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP4939090B2 (ja) 像担持体用保護剤、及び保護層形成装置、並びに画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP5884261B2 (ja) 画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジ
JP2010085459A (ja) 像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP4886329B2 (ja) 像担持体用保護剤、及び保護層形成装置、並びに画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP4938583B2 (ja) 像担持体保護剤、保護層形成装置、画像形成方法、画像形成装置、およびプロセスカートリッジ
JP5062741B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジ
JP4842759B2 (ja) 保護層形成装置、保護剤バー、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP4820264B2 (ja) 保護層形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP5444603B2 (ja) 画像形成装置およびこれに用いる保護剤バー
JP5186803B2 (ja) 画像形成装置
JP2012013885A (ja) 画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5617204B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090626

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110719

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110809

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110914

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111004

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111006

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141014

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees