JP2008096435A - 原子炉用燃料集合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】積極的燃料管理を可能にするための改善された寸法安定性を有する核燃料集合体を提供する。
【解決手段】制御棒ガイドシンブルとスペーサーグリッド支持スリーブとの間に第2のジョイントを追加することによって燃料の骨組構造の横方向剛度を高める。
【選択図】 図6
【解決手段】制御棒ガイドシンブルとスペーサーグリッド支持スリーブとの間に第2のジョイントを追加することによって燃料の骨組構造の横方向剛度を高める。
【選択図】 図6
Description
本発明は原子炉用燃料集合体、具体的には、原子炉の運転中、特に燃焼サイクルが長く続く際に起こる可能性のある集合体の曲がりを軽減するための補強用骨組構造を備えた核燃料集合体に係わる。
典型的な原子炉は内部に炉心を収容する反応容器を含む。反応容器から半径方向に内方へ間隔を置いてほぼ円筒形の炉心バレルが存在し、バレル内には(以下「バッフル構造」と呼称する)フォーマー/バッフル・システムが存在し、このシステムによって、円筒形バレルから、内部に配列されている燃料集合体によって形成される炉心の方形階段状の周縁への移行が可能になる。
炉心は多数の細長い燃料集合体から成る。それぞれの燃料集合体は反応して熱を発生する核分裂性物質を内蔵する複数の燃料棒を含む。それぞれの燃料集合体の燃料棒は燃料集合体の全長に沿って軸方向に間隔を保つ複数のグリッドによって規則的な配列に保持され、燃料集合体の複数の細長い制御棒ガイドシンブルに固定されている。制御棒ガイドシンブルはその上下端が上方ノズル及び下方ノズルによってそれぞれ一括されている。上下ノズル、制御棒ガイドシンブル、計装用チューブ及びグリッドはすべて互いに固定され、燃料棒を所要の間隔で且つ互いに平行な配列に維持する構造枠組みである燃料集合体骨組を形成する。
原子炉の運転中、通常、例えば水のような冷却流体が複数の入口ノズルから反応容器内へ送入される。冷却流体は反応容器と炉心バレルに間に画定される環状領域を流下し、反応容器内に画定される下方プレナムに流入し、次いで、炉心の燃料集合体内を上昇した後、炉心バレルを貫通する複数の出口ノズルを通って反応容器から流出する。燃料集合体の燃料棒が冷却流体に与える熱エネルギーは流体によって反応容器から運び去られる。炉心バレルには透孔が存在するから、バレルとバッフル構造との間にも炉心内よりも高圧で冷却流体が存在する。但し、流体が反応容器と炉心バレルの間の環状領域を流下するのに伴って、バッフル構造が炉心バレルと協働して冷却流体を燃料集合体から分離させる。
上述したように、バッフル構造は炉心の燃料集合体を囲む。多くの場合、バッフル構造はボルトによって互いに接合されたプレートから形成されている。これらのボルトは弛むことがあり、その結果、バッフル構造のプレート間に小さいギャップが発生する。その場合、バッフルの外側には炉心内よりも高い流耐圧が存在するから、炉心外部から半径方向に炉心内部へバッフル構造ギャップを通って冷却流体が噴出する。原子炉によっては、事故の際に炉心の冷却を可能にするため、バッフル構造にスロット及び透孔を設ける場合がある。ボルトの弛みが原因でギャップが発生する場合と同様に、冷却流体がバッフルのスロット及び透孔を通って炉心内へ噴流となって流入する。燃料集合体グリッドに設けた混合羽根の作用下に炉心内を上向きに上昇する冷却流体の乱流に加えて、このような横方向の流体圧が燃料集合体構造に小さい横方向歪みを発生させる可能性がある。
さらにまた、中性子経済を最大限にまで高めるためには、燃料集合体の構造部品すべてをジルカロイで形成することが極めて望ましい。これとは対照的に、燃料集合体を支持する反応容器の内部構造は304ステンレススチールから形成する場合が多い。これら材料間の熱膨張の差と放射線成長係数の差が燃料集合体に作用して横方向歪みを発生させる力を増大させる。このような歪みの総量を制限する上限といえば、燃料集合体間の横方向間隙の総量だけである。すべての構造がジルカロイからなる集合体なステンレスやインコネル構造を含む集合体と比較してこのような変形を生じ易い。なぜなら、ジルカロイはその弾性率が比較的低く、照射条件下ではステンレススチールやインコネルよりもクリープする率が大きく、典型的な原子炉サイクルの期間よりも短い期間でやや屈曲した形状となる。このような変形は燃料交換を複雑化し、集合体間の不均一な間隔のため局部的な電力密度に僅かながら偏差を生じ、制御棒の完全な挿入を困難にするからである。
隣接する燃料集合体間の公称横方向間隔は燃料集合体グリッドの外が寸法によって決定される。燃焼集合体の屈曲に関して、ステンレススチールまたはインコネルのグリッドに比べて、ジルカロイのグリッドは2つの明確な相違点を有する。第1に、ジルカロイから成るグリッドの場合には、初期間隔が照射に起因する横方向拡大に対する許容量を含まねばならない。さもなければ、照射される集合体間の間隔が燃料交換の際に個々の集合体の抜出と挿入を困難にするまでに狭くなる。第2に、ステンレススチール容器内部構造とジルカロイグリッドとの間の膨張差は運転温度における間隔を著しく(50%までも)拡大して、運転中に集合体がさらに大きく屈曲するスペースを提供することになる。
集合体の中央平面付近に1つまたは2つ以上のステンレススチールまたはインコネルのグリッドを使用することによって屈曲を軽減することが提案されている。このようなグリッドは屈曲を制限するであろうが、2つの理由から望ましい解決策ではない。第1に、単一のジルカロイグリッドを単一のステンレススチールと置き換えた場合、無駄な中性子吸収が増えることになる。第2に、ジルカロイよりも大きいステンレススチールグリッドの横方向剛度がステンレススチールグリッドの比較的狭い横方向間隔と結びついて、地震による障害または事故状態、例えば、冷却材の損失などと関連する衝撃負荷をステンレススチールグリッドに集中させるから、極度に強力なグリッドを必要とする。
屈曲する燃料集合体に関する関心の高まりとともに、原子炉運転の効率を高めるため、燃料サイクルに亘って燃焼を維持する戦略が採用されている。燃料集合体の屈曲が大きくなると、その結果として、燃焼度が高められ、炉心内で滞留時間が長くなる。一般に、上記炉心内の運転環境、即ち、中性子束、高温、苛酷な環境などが負荷要因(押下力、重力、など)と協働して、燃料集合体の横方向剛度を変化させ、燃料集合体に歪み形成を誘発する条件を発生させる。より積極的に燃料を管理するには、即ち、燃料燃焼度と炉心内での滞留時間を最大限に改善するには歪み抵抗を高められた燃料集合体が必要である。
従って、長い燃料燃焼サイクルに亘って屈曲に抵抗する高い横方向剛度を有する改良された燃料集合体構造が要求される。
無駄な中性子吸収を増大させることのない改良された燃料集合体を提供することも本発明の目的である。
さらにまた、製造コストを著しく増大させることのない改良された燃料集合体を提供することも本発明の目的である。
本発明は、積極的な燃料管理を可能にする燃料集合体の寸法安定性を高めること、即ち、燃焼度を高め、炉心内での滞留時間を伸ばし、燃料集合体の屈曲に伴う燃料棒クラスター制御集合体の不完全な挿入、取扱事故などが起こる確率を軽減することによって達成される。燃料集合体の寸法安定性は、制御棒ガイドシンブルとスペーサーグリッドスリーブとの間に追加の膨らみジョイントを導入して燃料集合体骨組構造の横方向剛度を高めることによって達成される。この追加の膨らみジョイントは膨らみジョイント間の「遊び」を縮小して骨組構造の横方向剛度を高める。
より具体的には、本発明はトップノズルと、ボトムノズルと、トップノズルとボトムノズルの間の縦軸方向の寸法にまたがり、それぞれが第1端をトップノズルに、第2端をボトムノズルに取り付けられ、互いに間隔を保つ複数の細長い制御棒ガイドチューブまたはシンブルを有する燃料集合体を提供する。それぞれが軸方向寸法を有する複数のセルから形成される複数のスペーサーグリッドがトップノズルとボトムノズルに間に互いに間隔を保って上下方向に配列される。制御棒ガイドチューブはそれぞれ複数のセルのうち、対応するセルの少なくとも幾つかに挿通されている。制御棒ガイドチューブは挿通されているセルのそれぞれに、軸方向に間隔を保つ2つの位置において機械的または冶金学的に固定されている。
好ましい実施例では、支持スリーブが、制御棒ガイドチューブが挿通されている複数のセルのうち、対応するセルのそれぞれに、複数のスペーサーグリッドにおいてそれぞれ機械的または冶金学的に固定されている。支持スリーブは挿通されているセルよりも所与の距離だけ上方及び下方へ延び、少なくともグリッドの軸方向寸法よりもやや上方及び下方へ延びる軸方向寸法に沿って制御棒ガイドチューブを囲む。制御棒ガイドチューブは軸方向に間隔を保つ2つの位置において、対応の支持スリーブに機械的または冶金学的に固定される。
他の好ましい実施例では、軸方向に間隔を保つ2つの位置がセルの軸方向寸法よりもそれぞれ上方及び下方である。制御棒ガイドチューブとこれと対応する支持スリーブとの接合部が互いに間隔を保つ上記2つの位置において膨らんでいることが好ましい。
本発明の詳細を明らかにするため、添付の図面を参照しながら好ましい実施態様を以下に説明する。
以下の説明において、同じ参照符号は添付図面の幾つかの図を通して同じか、または相当する部材を示す。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上方へ」及び「下方へ」などの表現は便宜上の語であり、制限的な語と解釈されるべきではない。
図面、特に図1及び2には加圧水型原子炉(PWR)を示し、全体を参照番号10で表してある。PWR 10は複数の細長い燃料集合体16から成る炉心14を格納する原子炉圧力容器12を含む。煩雑になるのを避けるため、図1には比較的少数の燃料集合体16を示してある。実際には、図2に模式的に示すように、炉心14は極めて多数の燃料集合体16から構成されている。
原子炉容器12から半径方向に内側に間隔を保ってほぼ円筒形の炉心バレル18があり、バレル18内にはフォーマー/バッフル・システム(以下「バッフル構造」と呼称する)20があり、このバッフル構造20は円筒形バレル18から、内部に配列された複数の燃料集合体16によって形成される炉心14の四角に仕切られた階段状の周縁への移行を可能にする。バッフル構造20は炉心14の燃料集合体16を囲む。典型例として、バッフル構造20は(図示しないが)ボルトを介して一体的に連結されたプレート22で形成される。炉心14とバッフル構造20は上下炉心プレート24、26間に配置され、上下炉心プレートは炉心バレル18によって支持される。
原子炉圧力容器12の上端は着脱自在な半球形クロージュア・ヘッド28によって密閉され、クロージュア・ヘッド28には複数の制御棒駆動機構30が設けられている。ここでも簡略化のため、多数の制御棒駆動機構30のうち、幾つかの機構だけを図示している。それぞれの駆動機構30は一部の燃料集合体16の上方及び内部へ選択的にロッド・クラスター制御機構32を位置決めする。
炉心14の燃料集合体16において起こる核分裂プロセスは熱を発生させ、この熱はPWR 10の運転中、例えば軽水のような冷却流体を炉心14中に循環させることによって除かれる。具体的には、(図1に1つだけを示す)複数の入口ノズル34から原子炉圧力容器12へ冷却流体が送入される。冷却流体は原子炉容器12と炉心バレル18(及び炉心バレルに設けた熱遮蔽)の間に画定される環状の降下領域36を通って流下し、原子炉容器12の底に達し、ここで180°向きを変えた後、下方炉心プレート26を、次いで炉心14を通って上昇する。炉心14の燃料集合体16を通って上昇するに従って、燃料集合体16からの熱エネルギー移行によって冷却流体は原子炉の運転温度にまで加熱される。次いで、高温となった冷却流体は炉心バレル18を貫通する(図1には1つだけを示す)複数の出口ノズル40を通って原子炉容器12から排出される。このようにして、燃料集合体16が冷却流体に与えた熱エネルギーは流体によって原子炉圧力容器12から搬出される。
炉心バレル18には(図示しないが)圧力逃がし孔が存在するから、冷却流体はバレル18とバッフル構造20の間にも存在し、炉心14内に存在する冷却流体よりも高い圧力状態にある。但し、バッフル構造20が炉心バレル18と協働することによって、冷却流体が原子炉容器12と炉心バレル18の間の環状領域36を流下する過程で、冷却流体を燃料集合体から乖離させる。
上述したように、炉心14は多数の細長い燃料集合体16から構成されている。図3に示すように、PWR 10に使用されるタイプの燃料集合体16のそれぞれは基本構成として、集合体を下方炉心プレート26上に支持する下端構造またはボトムノズル42と、ボトムノズル42から上方へ突出する多数の縦方向に延びるガイドチューブまたはガイドシンブル44(ここではガイドチューブとガイドシンブルを同義語として使用する)とを含む。集合体16はこのほかに、ガイドシンブル44の全長に沿って軸方向に間隔を保ち、ガイドシンブル44に固定された複数の横断方向に延びるレギュラー・サイズの主支持グリッド46をも含む。主支持グリッド46は縦方向にほぼ等間隔を保ち、間隔を保って整然と配列された複数の細長い燃料棒48を支持する。さらにまた、それぞれの集合体16はその中心に位置する計装管50と、ガイドシンブル44の上端に取り付けられた上端構造またはトップノズル52をも有する。このように構成したから、燃料集合体16は各部品の集合を損なうことなく、取扱いに便利な一体的ユニットを形成する。
燃料集合体16を構成する個々の燃料棒48は核燃料ペレット54を含み、それぞれの燃料棒の両端は燃料棒を密閉するため上下端プラグ56、58によって閉鎖されている。通常、上端プラグ56とペレット54の間にプレナムばね60を介在させることによって、燃料棒48内にペレットを縦方向に密着積層状態に維持する。核分裂性物質から成る燃料ペレット54がPWR 10の炉心14に熱を発生させる無効電力を生み出す。上述したように、冷却流体が炉心14を構成する燃料集合体10のそれぞれを通過するように冷却流体を上向きにポンピングするのは燃料集合体10中に発生する熱を抽出して有用な仕事を引出すためである。
核分裂プロセスを制御するため、それぞれのロッド・クラスター制御機構32を構成する多数の制御棒62が燃料集合体16中の所定位置に配置されたガイドシンブル44内を往復動させることができる。但し、燃料集合体16のすべてがロッド・クラスター制御機構32及びこれと連携する制御棒62を有するわけではない。多くの場合、制御棒と連携する燃料集合体は連携する制御棒を持たない炉心内の他の燃料集合体と同じ構成を有する。即ち、それぞれのロッド・クラスター制御機構32は対応の燃料集合体16のトップノズル52と連携する。制御機構32は複数の半径方向に延びるアーム66を含む内側ネジを有する円筒形部材64を有する。(錨爪とも呼称される)それぞれのアーム66を1本または2本以上の制御棒62と互いに連結させることにより、制御機構32を操作して制御棒62をガイドシンブル44内へ垂直に移動させることで燃料集合体16における核分裂プロセスを制御する。これらの操作はすべて公知の態様で行なわれる。
図4は方形17 ´ 17燃料集合体のための主支持グリッド46の俯瞰図である。主支持グリッド46は卵梱包格子の態様に交互に差込まれ、例えば、溶接によって接合されて両端が開口している複数の中空セル74を画定する複数の内外ストラップ76、78を含む。17 ´ 17集合体を図示したが、本発明の原理を応用する際に、集合体を形成する燃料素子の数または集合体の幾何的形状が制約となることはない。図4に示す直交部材76、78を形成する格子ストラップの設計は実質的に同一である。格子ストラップ76、78は殆ど同じであるが、ガイドチューブ及び計装チューブの位置に合わせて一部の格子ストラップ76を他の格子ストラップ76とは異なる設計とし、一部の格子ストラップ78を他の格子ストラップ78とは異なる設計とすることがある。図4における参照符号82はガイドチューブ及び計装用シンブルに取り付けられるセルであり、参照符号84は燃料素子を支持する残りのセルである。図4には示していないが、制御棒ガイドチューブまたはシンブル及び計装用シンブルを支持するセル82には支持スリーブを設ける。支持スリーブは機械的または冶金学的にセル82の壁に固定される。機械的固定方法としては、例えば、締まりばめまたはファスナの採用が考えられ、冶金学的固定方法としては、金属界面を融着させる溶接、ろう付けなどが考えられる。制御棒ガイドチューブまたは計装用シンブルは支持スリーブ内に嵌着され、スリーブに冶金学的に結合されるか、または機械的に固定されることでグリッド46をチューブまたはシンブル44に固定する。
図5はガイドシンブル44が挿通されるセル82を形成する4本のストラップ76、78の交差態様を示す。図5に示す公知の構成では、スリーブがセル82の壁に冶金学的方法で固定され、比較的僅かの距離、例えば、約0.5乃至1.0インチ(1.27−2.54 cm)程度セルから下方に延長している。この延長分の長さにはある程度の変更があってもよいが、中性子経済に悪影響が及ばない範囲であることが好ましい。ガイドシンブル44は下方の膨らみ70によってスリーブに固定される。ガイドシンブルとグリッドセルとの各交差部においても同じ固定方法が採用される。
本発明は積極的な燃料管理(燃焼度を高め、炉心中での滞留時間を長くする)を助けるとともに、不完全なロッド・クラスター制御集合体の挿入、取扱事故及び燃料集合体の曲がりに起因するその他の結果を招く確率を軽減するため、燃料集合体の寸法安定性を高める。燃料集合体の寸法安定性は骨組構造の横方向剛度を高めることによって改善される;そのため、図6に示すように、ガイドシンブルとスペーサーグリッド支持スリーブの間に追加の膨らみジョイントを設ける。本発明では、支持スリーブ68をグリッド46から上方へ約0.5−2インチ(1.27−5.08 cm)だけ延長させる。但し、この延長分の長さにはある程度の変更があってもよいが、中性子経済に悪影響が及ばない範囲であることが好ましい。スリーブ68の延長部分86に追加の膨らみ80を設ける。この膨らみは他の膨らみ連結部と同様に、膨らみ予定位置に位置するように制御棒ガイドシンブル44にダイスを挿入し、ダイスを膨張させ、このダイスが制御棒ガイドシンブル壁及び支持スリーブ壁を膨張させることによって膨らみジョイントを形成する。この追加の膨らみ80が膨らみジョイントに生ずる「遊び」を小さくする。試験の結果から、二重に膨らみを設けることによって骨組構造の横方向剛度が40%程度増大することが立証されている。尚、本発明の概念を逸脱することなく、支持スリーブ68の下方部分と支持スリーブ86の上方部分を2つの別々のスリーブで形成し、それぞれをグリッドセル壁に冶金学的方法で固定することも可能である。便宜上、図5及び6には図示しないが、図4から明らかなように、燃料棒を支持するグリッドセル74はそれぞれその上面から延びる混合羽根を有する。支持スリーブの長さは制御棒ガイドシンブルが挿通されている隣接のセルに向かって、上方の膨らみが混合羽根の邪魔にならないように張出すように設定されている。上下別体のスリーブ68、86を使用する場合、上方膨らみ80が形成される下方スリーブのサイズにばらつきを生ずるという溶接上の重大なミスを避けるように下方スリーブのサイズを等長に揃えることも重要である。従って、本発明がスリーブの長さを従来よりも長く設定するのは下記の3つの理由からである:(i)ガイドシンブルの被支持長さを長くする;(ii)グリッドの混合羽根と第2の膨らみ80とが接触する可能性を無くする;及び(iii)上下別体のスリーブを採用する場合の製造ミスの可能性を軽減する。
結果として、二重に膨らみジョイントを形成することは燃焼度を高め、炉心内での滞留時間を長くするという積極的な燃料管理を助ける骨組構造及び燃料集合体の横方向剛度にとって極めて有益である。二重に膨らみジョイントを設けた骨組構造設計は他の燃料集合体特性に、例えば、圧力損失などのような悪影響を及ぼすことがない。この設計変更は膨らみジョイントを利用するPWRまたはVVER燃料集合体を対象に容易に実施することができる。
燃料集合体の歪抵抗は燃料集合体の横方向剛度に左右される。燃料集合体の横方向剛度は燃料棒全体の剛度と骨組構造の剛度との組み合わせである。
燃料棒全体の剛度は主として燃料棒の幾何的形状とスペーサーグリッドのスプリング力によって決定される。残念ながら、グリッド・スプリング力は炉心で放射線を浴びる間に低下し、燃料棒全体の剛度も低下する。製造時のスプリング力が高くても、長期間で見れば集合体の横方向剛度について有益な結果は得られない。
骨組構造の剛度はガイドシンブルの数、位置及び幾何的形状とその協働能力によって決定される。放射線を浴びている間に骨組構造の剛度が著しく変化することはない。ガイドシンブルの数、位置及び幾何的形状は炉心の内部構造の設計によって予め決定されるのが普通であり、既存の原子力発電所を対象に変更を加えることは不可能である。上述したように、ガイドシンブルはスペーサーグリッドを介して互いに連結されている。多くの場合、スペーサーグリッドの設計はガイドシンブル44との界面として機能する支持スリーブを含む。特に支持グリッドとガイドシンブルが冶金学的に接合し難い異質の材料、例えば、ジルカロイとインコネルから成る場合、機械的接合を可能にする支持スリーブが必要とされる。スリーブは摩擦力(締まりばめ)、溶接または膨らみジョイントを利用してガイドシンブルに接合することができる。骨組構造の横方向剛度はこの接合に著しく依存する。従って、骨組構造の剛度を高める合理的な方法はガイドシンブルとスペーサーグリッドスリーブとの間の接合を改良することにある。
従来、燃料集合体の設計はガイドシンブルをスペーサーグリッドスリーブを連結するのに膨らみジョイントを採用する場合が多い。典型例としては、上述したように、それぞれのスペーサーグリッド位置においてガイドシンブルを対応のスペーサーグリッドスリーブに連結するのに1つの膨らみが利用される。膨らみジョイントの「遊び」が骨組構造の横方向剛度を低下させることが知られている。
上記式において、α=コネクション係数;NGT=ガイドチューブ及び計装用チューブの数;IGT=ガイドチューブまたは計装用チューブの慣性モーメント;a=ガイドチューブの中心から屈曲主軸までの距離;及びFGT=ガイドチューブの断面積。
ガイドシンブルのコネクション係数は単一膨らみジョイントの場合には約0.3である。膨らみジョイントの「遊び」は著しく縮小できる。しかし、製造上の制約(例えば:利用できる製法)及び設計上の制約(例えば、圧力損失の限界)を考慮すると、このような改善策を採用する技術的選択には限界がある。
骨組構造の横方向剛度を高めるため、本発明は第1膨らみから充分距離を保つ第2膨らみを導入することによって、図6に示すようにガイドシンブルをスペーサーグリッドに連結する。図7に示すように、骨組構造の剛度改善が立証された。この改善の結果として、骨組構造の剛度は40%も高くなった(ガイドシンブルのコネクション係数は0.42まで高められた)。
従って、二重に膨らみジョイントを設けることによって、燃焼度を高め、炉心内での滞留時間を伸ばすという積極的な燃料管理にとって有益な、骨組構造及び燃料集合体の横方向剛度の顕著な改善を可能にする。このような二重の膨らみジョイントを有する骨組設計は他の燃料集合体特性(例えば:圧力損失、など)に悪影響を及ぼすことはない。この設計変更は膨らみジョイントを利用するPWRまたはVVER燃料集合体を対象に容易に実施することができる。
本発明の具体的な実施例の詳細を以上に説明したが、当業者ならば、開示の全体的な内容に照らして、上記実施例の細部に種々の変更を加えることができるであろう。従って、開示した特定の実施例はあくまでも説明のためのものであって本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の範囲は後記する特許請求項の前内容及びその等価物によって定義される。
Claims (9)
- 原子炉用燃料集合体であって、
トップノズルと;
ボトムノズルと;
トップノズルとボトムノズルの間の縦軸方向の寸法にまたがり、それぞれが第1端をトップノズルに、第2端をボトムノズルに取り付けられ、互いに間隔を保つ複数の細長い制御棒ガイドチューブと;
それぞれがトップノズルとボトムノズルの間に軸方向寸法を有して順次直列に間隔を保って配列された複数のセルから形成される複数のスペーサーグリッドにおいて、これら複数のセルのうち、上下方向の対応セルの少なくとも幾つかに制御棒ガイドチューブがそれぞれ挿通され、制御棒ガイドチューブが挿通されるスペーサーグリッドのセルのそれぞれに、軸方向に間隔を保つ2つの位置において、制御棒ガイドチューブが機械的または冶金学的に固定されるように構成された前記スペーサーグリッドから成る前記原子炉用燃料集合体。 - 制御棒ガイドチューブが挿通される複数のセルのうち、対応するセルのそれぞれに、複数のスペーサーグリッドにおいて、機械的または冶金学的にそれぞれ固定された支持スリーブをも含み、支持スリーブが、それぞれが挿通されるセルよりも上方及び下方へ所定距離だけ延びて制御棒ガイドチューブを囲み、制御棒ガイドチューブが対応する支持スリーブに、2つの軸方向に間隔を保つ位置において、機械的または冶金学的に固定されている請求項1に記載の燃料集合体。
- 軸方向に間隔を保つ2つの位置がセルの軸方向寸法よりも所与の距離だけそれぞれ上方及び下方である請求項2に記載の燃料集合体。
- 制御棒ガイドチューブが互いに間隔を保つ2つの位置における膨らみによって対応の支持スリーブにそれぞれ固定されている請求項3に記載の燃料集合体。
- スペーサーグリッドはセルの少なくとも幾つかの上面から延びる混合羽根を有し、互いに間隔を保つ2つの位置のうち上方位置における膨らみが対応の制御棒ガイドチューブが取り付けられているグリッドの混合羽根よりも上方に位置する請求項4に記載の燃料集合体。
- 所与の距離が焼く0.5−2.0インチ(1.27−5.08 cm)である請求項3に記載の燃料集合体。
- 支持スリーブが上方支持スリーブと下方支持スリーブから成り、上方支持スリーブが対応のグリッドセルの上部に固定され、下方支持スリーブがこのグリッドセルの下部に固定されている請求項2に記載の燃料集合体。
- 上方支持スリーブと下方支持スリーブが同じ寸法を有する請求項7に記載の燃料集合体。
- セルが互いに差込まれた卵梱包パターンのストラップの格子から形成されている請求項1に記載の燃料集合体。
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