JP2008096039A - 冷蔵庫 - Google Patents

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功一 古賀
Takayoshi Iwai
隆賀 岩井
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Abstract

【課題】発火源となり得る脱臭装置のオゾン発生手段が運転している際に、万一、可燃性冷媒が冷蔵庫内に漏洩した場合でも、オゾン発生装置に起因する燃焼を防止する防爆性能と良好な脱臭性能を保持することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷凍サイクルの冷媒として可燃性冷媒を用いた冷蔵庫内に設けられ、高電圧放電によってオゾンを発生させる手段15と発生させたオゾンを分解するオゾン分解手段16とからなる脱臭装置13を送風手段22によって送風される送風経路12内に配置したものにおいて、前記オゾン発生手段の運転と送風手段の運転とは運転時間を一致させないように制御したことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、可燃性冷媒を使用した冷蔵庫に係り、特に脱臭装置として高電圧回路を有するオゾン発生器を採用している冷蔵庫の構成に関する。
近年、食文化への関心の高まりとともに冷蔵庫内には多様な食品が貯蔵されることから、庫内の臭いを強力に、且つ、メンテナンスフリーで除去する技術の開発が要望されている。このユーザーニーズに対する具体的な方法のひとつとして、例えば、特許文献1に示されているように、高電圧放電によってオゾンや紫外線を発生させる手段と、光触媒作用で空気中に含まれている臭気成分や有害物質などの分解をおこなう光触媒モジュールと、高電圧放電手段により発生させたオゾンを分解するオゾン分解手段とからなる脱臭装置を備えた冷蔵庫が商品化されている。
オゾンによる脱臭装置は、オゾン発生手段とオゾン分解手段とから構成されており、オゾン発生手段としては、上記のような高電圧放電式の発生器や紫外線ランプによるものなどがあり、オゾン分解手段の触媒としては、二酸化マンガンなどの金属酸化物や活性炭などが用いられている。
一方、フロンガスによるオゾン層破壊や地球温暖化などに対する環境保護の観点から、冷蔵庫の冷凍サイクルに使用する冷媒は、これまでのHFC(ハイドロフルオロカーボン)から、オゾン層の破壊がなく地球温暖化係数の低いイソブタンなどの炭化水素系冷媒(HC冷媒)へ切り替えられているが、炭化水素系冷媒は可燃性であることから、冷媒漏れを生じてスパークなどで引火した場合には火災に発展する可能性がある。
通常、冷蔵庫では、前記のような可燃性冷媒が漏洩しないような設計がなされているが、最悪の状況を考慮し、冷蔵庫の製造時の不具合や搬送時における衝撃によって、たとえ冷蔵庫使用時に冷媒漏れが発生したとしても冷蔵庫内に拡散するようにし、また、スパークしている電子部品に漏洩した冷媒が侵入しても、火災を発生させたり冷蔵庫が爆発しないような安全設計が施されている。
上記のように可燃性冷媒が漏れ出た場合には、前述した脱臭装置におけるオゾン発生手段も発火源となる可能性があるものであり、これを冷蔵庫に搭載するには、同様に安全設計を施す必要がある。そして、前記オゾン発生手段の安全設計としては、a.周辺部品の材料を燃え難いものに代替する方法。b.温度ヒューズなどの温度検知手段を設け、オゾン発生手段に引火しても、発火による温度上昇を検知することでオゾン発生手段への電力供給を断ち、火が周囲に移る前に脱臭装置内で燃焼を完結させる方法。また、c.オゾン発生手段への送風量(可燃性冷媒の供給量)を抑え、燃焼を抑制するとともに周辺部品への燃え移り(熱の拡散)を防ぐ方法。などがある。
図2に示すように、前述のオゾン発生手段(15)とオゾン分解手段(16)とからなる脱臭装置(13)においては、通常、オゾン分解手段(16)はオゾン発生手段の風下側にあり、オゾン発生手段(15)に風を供給することによって発生したオゾンを流下させ、オゾン分解手段(16)に吸着している臭気物質を分解している。そして、余剰オゾンもまた、オゾン分解手段(16)を通過させることによって分解し、余剰のオゾンが冷蔵室(2)内に漏れ出ないようにしている。
したがって、通常、脱臭装置(13)におけるオゾン発生手段(15)と送風手段(16)とは、図7に示すように、同期して運転されるように制御している(例えば、特許文献2参照)。また、脱臭装置(13)の性能を確保するためには、臭い物質をオゾン分解手段(16)に供給して吸着させ、分解させる必要があり、そのため、脱臭装置の性能は、風量に大きく依存して風量が大きいほど脱臭性能は向上するものである。
特開2003−339839号公報 特開2002−156182号公報
しかしながら、前記bの方法のように、送風量が大きくなれば発火による熱を温度検知手段に伝え易くなり、より迅速に発火による温度上昇を検知できるようになるが、反面、可燃性冷媒が漏洩した場合は、発火源であるオゾン発生手段が運転しているときに、脱臭装置(13)への風の供給を抑える必要があるにもかかわらず、送風されることになり、さらに、風量が大きいと熱拡散も大きくなるものであって、cの方法に基づく防爆作用が不確実なものとなっていた。
本発明は上記の事情を考慮してなされたものであり、発火源となり得る脱臭装置におけるオゾン発生手段が運転している際に、万一、可燃性冷媒が冷蔵庫内に漏洩した場合でも、オゾン発生装置に起因する燃焼を防止する防爆性能と良好な脱臭性能を保持することができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の冷蔵庫は、冷凍サイクルの冷媒として可燃性冷媒を用いた冷蔵庫内に設けられ、高電圧放電によってオゾンを発生させる手段と発生させたオゾンを分解するオゾン分解手段とからなる脱臭装置を送風手段によって送風される送風経路内に配置したものにおいて、前記オゾン発生手段の運転と送風手段の運転とは運転時間を一致させないように制御したことを特徴とするものである。
本発明の構成によれば、オゾン発生手段が運転している際に、万一、可燃性冷媒が冷蔵庫内に漏洩した場合でも、可燃性冷媒をオゾン発生手段に供給することがないので、オゾン発生装置に起因する燃焼を防止することができるとともに、効果的な脱臭性能を発揮することができる。
以下、図面に基づき本発明の1実施形態について説明する。図1は本発明に係る冷蔵庫の縦断面図であり、断熱箱体からなる冷蔵庫本体(1)内部の貯蔵空間の最上部には冷蔵室(2)を配置し、その下方には断熱仕切壁を介して、製氷室(3)と図示しない温度切替室を左右に併置している。さらにその下方には、冷蔵室(2)よりやや高温で高湿度に保持された野菜室(4)を設け、最下部には冷凍室(5)をそれぞれ独立して配置している。
各貯蔵室は、その前面開口部に各々専用の開閉扉を設けて閉塞するとともに、冷蔵貯蔵空間および冷凍貯蔵空間のそれぞれの背面に設置した冷蔵用冷却器(6)と冷凍用冷却器(7)および各冷却器の近傍に設けたファン(8)(9)とダクトによって冷気を循環させ、各貯蔵室毎に設定した温度に冷却制御される。
冷蔵庫本体(1)の外部下方に形成した機械室には冷媒圧縮機(10)を設置しており、圧縮機(10)は、前記各冷却器(6)(7)などとともに冷凍サイクルの一環をなし、冷媒としては、イソブタンなどの炭化水素系冷媒(HC冷媒)を封入しており、吐出した高温高圧の冷媒を、断熱箱体を構成する外箱の背面や底面に配設した図示しない凝縮器および絞り装置などを経由して、冷蔵および冷凍用冷却器(6)(7)に導入し、生成された冷気を冷却ファン(8)(9)によって各貯蔵室内に供給し冷却作用をおこなうものであり、冷却器(6)(7)の周囲には、冷却運転の積算などにより発熱させて冷却器の霜取りをおこなう除霜ヒータを配置している。
そして、前記冷蔵室(2)の下方に設けた低温ケース(11)の底壁外面における下方の野菜室(4)へ連通する冷気の送風経路(12)内には、脱臭装置(13)を配設している。この脱臭装置(13)は、概略構成を図2に示すように、光触媒モジュール(15)とオゾン分解触媒(16)とを備え、送風経路(12)内を流通する冷気に含まれる臭い分子や有機物質を吸着し脱臭するものである。
光触媒モジュール(15)は、アルミナやシリカ等の多孔質セラミックからなる基体の表面に、酸化チタンに代表される光触媒粒子を固定した光触媒フィルタ(17)を2枚隣接し、この光触媒フィルタ間には、放電部として、ステンレス等の薄板をエッチングして網目状に形成した放電電極(18)を立設するとともに、前記2枚の光触媒フィルタ(17)(17)の風上と風下側には前記放電電極と同様に形成した対極(19)(19)をそれぞれ配置することで構成されている。
(20)は高圧電源部であり、高電圧発生トランス(21)により前記放電電極(18)と各対極(19)(19)との間に高電圧を印加することにより、電極間に放電を起こす。
上記のように、脱臭装置(13)は、電源回路(20)に通電して放電電極(18)と対極(19)との間に電圧を与えることで電極間に放電が起き、この空間放電機構で発生した紫外線が光触媒フィルタ(17)(17)に照射されることで光触媒を活性化させ、発生した活性酸素の水酸化ラジカル(遊離基)の強い酸化作用で光触媒フィルタ(17)(17)の表面に付着した臭気ガス成分や有機化合物の結合を分解し、無臭化若しくは低臭気化することで脱臭するものである。
そして、菌細胞膜を脆化させ抗菌をおこなうとともに、酸化分解作用によって光触媒フィルタ(17)(17)表面の微生物の繁殖を抑制して、脱臭装置(13)や貯蔵室壁表面の汚れを分解除去する。また、上記光触媒による脱臭装置(13)は、臭気物質の酸化分解による脱臭作用のみでなく、果実等から発生して食品を熟成、すなわち老化させるホルモンであるエチレンを分解する作用を有しており、このエチレン分解作用による食品鮮度の保持効果を得ることができる。
そしてまた、前記放電電極(18)と対極(19)が放電すると、紫外線とともに、図3に示すように、オゾンが発生するものであり、前記光触媒モジュール(15)は、紫外線による活性酸素の発生で有機物質を分解させる機能と同時に、オゾン発生手段として機能し、臭気成分を含んだ冷気を発生させたオゾンと混合し反応させることで、臭気成分を酸化分解して脱臭するものである。
この光触媒モジュール(15)から風下側の送風経路(12)内には、所定距離を空けて、2酸化マンガンを主体にしたハニカム形状の焼結体を触媒としたオゾン分解手段(16)を設置しており、送風経路(12)に流入した臭気物質を触媒の表面に吸着しオゾンで分解するとともに、臭気物質と反応しないでそのまま流下する余剰オゾンを分解するようにしている。
しかして、前記送風経路(12)におけるオゾン発生手段である光触媒モジュール(15)の風上側には風下側へ冷蔵室(2)内の冷気を送る専用の送風装置であるファン(22)を設けており、図4に示すように、光触媒モジュール(15)の運転と送風手段(22)の運転とは、運転時間を一致させないように制御している。
すなわち、双方の運転開始時間は同期させるが、開始後の運転時間は、光触媒モジュール(15)の運転時間をファン(22)の運転時間より短く設定することによって、光触媒モジュールの運転をファンの運転終了時間より早く終了するようにしている。
この構成により、オゾン発生手段である光触媒モジュール(15)の運転時間は、送風手段であるファン(22)の運転時間内となるため、オゾンが発生している間はファン(22)が必ず運転されていることによって、臭気物質は、風下に流れてオゾン分解手段(16)に吸着し、あるいは、送風経路(12)中でオゾンによって分解されることになり、また、余剰のオゾンもオゾン分解手段(16)により分解される。
そして、オゾン発生が終了してから所定時間後にファン(22)が停止することになるので、発生したオゾンの一部が自然循環で逆流し、送風経路(12)外に流出して冷蔵室(2)内に侵入するようなことがなく、オゾン臭による不快感や人体への弊害を防ぐことができる。
また、万一可燃性冷媒の漏洩を生じたとしても、光触媒モジュール(15)の運転時間が比較的短く、可燃性冷媒を供給する送風運転の早期段階で高電圧の発生が終了するので、脱臭装置(13)部で引火し燃焼に至る可能性を小さくすることができる。
前記光触媒モジュール(15)とファン(22)との運転時間の関係は、上記制御に限らず、図5に示すように、ファン(22)の運転開始に対して光触媒モジュール(15)の運転開始時期を所定時間早くしたタイミングからスタートし、ファン(22)の運転を開始して所定時間後の送風運転中にオゾン発生を停止させるように制御してもよい。
このようにオゾン発生のタイミングを早い時期にずらすことで、発生させたオゾンをファン(22)による送風によって、効果的に送風経路(12)内の臭気物質と反応させ、脱臭することができ、しかも、ファン(22)の送風運転と光触媒モジュール(15)のオゾン発生運転との重なり合う時間を少なくして、オゾン発生中の送風運転時間を短くできるので、光触媒モジュール(15)への可燃性冷媒の供給量を抑制することができ、万一可燃性冷媒が冷蔵庫内に漏洩し、さらに燃焼が生じても、これが拡散して爆発などにいたることを未然に防ぐことができる。
また、前記実施例とは逆に、図6のように、ファン(22)の運転を停止させる時期より所定時間前のタイミングから光触媒モジュール(15)の運転をスタートさせ、送風運転の停止後にオゾンの発生を終了させるようにしてもよい。
このようにすれば、送風運転を終了させる所定時間前の時点からオゾンを発生させ、送風停止後に停止させるので、前記実施例と同様に、送風運転とオゾン発生運転との重なり合う時間を少なくして光触媒モジュール(15)への洩れた可燃性冷媒の供給量を抑制することができるとともに、オゾン発生時間の後半の一部はファン(22)が停止しているので、万一燃焼を生じても拡散を防いで防爆効果を向上できる。その際、発生したオゾンは送風経路(12)内に留まり、その周辺近傍の経路壁面に付着した微生物や汚れを分解除去することができる。
なお、ファン(22)は、特に図示しないが、前記とは逆に、脱臭装置(13)の風下側に配置するようにしてもよい。この場合は、冷蔵室(2)内に存在するアンモニアなどの腐食性ガスをファン(22)に至る前に脱臭装置(13)で吸着し分解することができるため、ファンにおける電子部品などの腐食を防ぐことができる。また、ファン(22)の下流側においては乱流を生じることから、ファン(22)は脱臭装置(13)の風下側に配置する方が、設置スペースの削減のためには有利であり、脱臭装置(13)に対してより均一な送風をおこなうことができる。
また、脱臭装置(13)への送風手段としては、冷気循環のための冷蔵用ファン(8)の送風力を流用するのではなく、上記のように、冷蔵庫における脱臭装置(13)の送風経路(12)内に脱臭専用のファン(22)を設けるようにした方がよい。このようにすれば、圧力損失が大きい脱臭装置(13)による冷蔵庫全体の冷気循環送風量の低下を引き起こすことなく、冷却性能の劣化を防ぐことができ、脱臭装置(13)への送風を独立して制御することができる。
なお、上記実施例においては、脱臭装置(13)を冷蔵室(2)の下方の冷気通路(12)に配置した構成で説明したが、冷凍室(5)、あるいは他の貯蔵空間に配置しても同様の効果を得られることは言うまでもない。
また、上記実施例におけるオゾン発生手段は、光触媒フィルタ(17)および放電電極(18)と対極(19)とからなる光触媒モジュール(15)で構成した空間放電機構としたが、これに限らず、オゾン発生電極と、昇圧トランスからなる沿面放電式のオゾン発生器から構成したものでもよい。
本発明の1実施形態を示す冷蔵庫の縦断面図である。 図1における脱臭装置の概略構成を示す縦断面図である。 図2の脱臭装置におけるオゾンの発生状態を示す縦断面図である。 図1の冷蔵庫における送風手段とオゾン発生手段との運転状況を示すタイミングチャートである。 図4の他の実施例を示すタイミングチャートである。 図4のさらに他の実施例を示すタイミングチャートである。 図4〜6に対応する従来のタイミングチャートである。
符号の説明
1 冷蔵庫本体
2 冷蔵室
12 送風経路
13 脱臭装置
15 光触媒モジュール
16 オゾン分解手段
17 光触媒フィルタ
18 放電電極
19 対極
20 電源回路
21 高電圧トランス
22 ファン

Claims (6)

  1. 冷凍サイクルの冷媒として可燃性冷媒を用いた冷蔵庫内に設けられ、高電圧放電によってオゾンを発生させる手段と発生させたオゾンを分解するオゾン分解手段とからなる脱臭装置を送風手段によって送風される送風経路内に配置したものにおいて、前記オゾン発生手段の運転と送風手段の運転とは運転時間を一致させないように制御したことを特徴とする冷蔵庫。
  2. オゾン発生手段の運転時間を送風手段の運転時間より短くしたことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
  3. オゾン発生手段と送風手段との運転開始時間を同期させ、オゾン発生手段の運転終了時間を送風手段の運転終了時間より早くしたことを特徴とする請求項2記載の冷蔵庫。
  4. オゾン発生手段と送風手段との運転開始時期を異ならせたことを特徴とする請求項2記載の冷蔵庫。
  5. 脱臭装置への送風を専用におこなう送風手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の冷蔵庫。
  6. オゾンを発生させる高電圧放電手段が、放電電極と光触媒モジュールとから構成されていることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
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