JP2008090683A - 車載用ナビゲーション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 乗員の操作なしに運転に必要な視覚能力が反映された視力反映情報を取得することが可能な車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 車両の前方視野を連続撮影する撮影手段と、連続撮影された画像データから、前方視野に存在する障害物を特定する障害物特定手段と、運転者の運転状態を検出する運転状態検知手段と、特定された障害物と、検出された運転状態とに基づいて運転者の視覚能力が反映された視力反映情報を取得する視力反映情報取得手段と、を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置として提供可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車載用ナビゲーション装置に関するものである。
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
近年、自動車走行中の障害物や、信号、標識などを素早く的確に判断することが必要なことから、動体視力の測定が重要視されている。動体視力とは、動く物体を見る能力、すなわち、自分が動いていて静止している物体を見る場合、あるいは自分が静止していて動く物体を見る場合、あるいは自分が動いていて動く物体を見る場合などの視覚能力をいい、一般に静止視力より約20〜30%低下するといわれている。また、車速、疲労、加齢などの要素により動体視力の低下は加速、増幅され、高速になると、動体視力は半減するといわれている。
そこで、車両に乗車しながら運転者の視覚の状態を判断することができる車載表示制御装置を、車載用ナビゲーション装置の機能の一部として適用したものが考案されている(特許文献1参照)。
特開2005−96645号公報
特許文献1の構成では、ランドルド環による静止視力、中心視力、色盲の測定を行うことができる。しかし、車両停止状態で視力測定を実施するため、運転中に実際に必要となる他の視力(動体視力,中心外視力,深視力など)を測定することができない。また、視力測定のタイミングも制限される。さらに、視力測定のために乗員がスイッチや音声などによって何らかの応答をしなくてはならず、運転の妨げになる場合もある。
また、ランドルド環等の検査視標を遠方から所定の速度で検査対象となる方の眼に向かって移動し、視標を判読できたところで被検者が応答スイッチを押すことにより、そのときの視標位置に基づいて動体視力を測定する動体視力検査装置が知られている。しかし、走行中の車内では、このような検査方法を用いることはできない。
上記問題を背景として、本発明の課題は、乗員の操作なしに運転に必要な視覚能力が反映された視力反映情報を取得することが可能な車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置は、車両の前方視野を連続撮影する撮影手段と、連続撮影された画像データから、前方視野に存在する障害物を特定する障害物特定手段と、運転者の運転状態を検出する運転状態検知手段と、特定された障害物と、検出された運転状態とに基づいて運転者の視覚能力が反映された視力反映情報を取得する視力反映情報取得手段と、を備えることを特徴とする。
上記構成によって、通常の運転動作の中で運転者がスイッチや音声などによって応答することなく、車両の運転に必要な各種の視力測定(視力反映情報の取得)が可能となる。
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転状態検知手段は、運転者が障害物の出現に対処する運転状態である障害物対処運転状態を検知するように構成することもできる。
車両の運転に必要な各種の視力(視覚能力)の良し悪しは、障害物の出現に対して如何に迅速に対処できるかによって判断できる。ただ漫然と車両の前方を見ているだけでは、障害物の出現に対して迅速に対処できず、障害物対処運転状態に移行できない。上記構成によっても、障害物対処運転状態を検知することで、通常の運転動作の中で運転者がスイッチや音声などによって応答することなく、視力反映情報を取得することが可能となる。
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転状態検知手段は、車両のハンドル操舵角を検出するハンドル操舵角検出手段を含み、ハンドル操舵角に基づいて障害物対処運転状態を検知するように構成することもできる。
ハンドル操舵角検出手段は、広く普及しているパワーステアリング装置に用いられている。また、近年、高級車を中心に普及し始めている、走行車速に合わせてハンドル操作とタイヤの切れ角の関係をフレキシブルに変え、低速から高速まで、あらゆる状況で優れた操作性・走行安定性を実現するギヤ比可変ステアリングシステムであるVGRS(Variable Gear Ratio Steering:バリアブル・ギヤ・レシオ・ステアリング)にも用いられている。そして、ハンドル操作により障害物を回避することも多い。上記構成によって、既に車両に装着されている部品を用いて低コストな構成により障害物対処運転状態を確実に検知することが可能となる。
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における運転状態検知手段は、車両のブレーキ踏み込み量を検出するブレーキ状態検出手段を含み、ブレーキ踏み込み量に基づいて障害物対処運転状態を検知するように構成することもできる。
ABS(Anti Lock Brake System:アンチロック・ブレーキ・システム)の普及も相まって、ブレーキ踏み込み量等のブレーキの状態を検出する手段は、車量に必須のものとなっている。上記構成によって、既に車両に装着されている部品を用いて低コストな構成により障害物対処運転状態を確実に検知することが可能となる。
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、連続撮影された画像データにおいて障害物が最初に出現した画像フレームが撮影されてから、障害物対処運転状態が検知されるまでの反応時間を測定する反応時間測定手段を備え、視力反映情報取得手段は、反応時間に基づいて運転者の動体視力および中心外視力の少なくとも一方が反映された視力反映情報を取得するように構成することもできる。
動体視力には2種類あり、その一つがDVA(Dynamic Visual Acuity)動体視力と呼ばれる横方向の動きを識別する能力である。これは、車両の前方を横切る物体を識別する際に必要な視力である。もう一つが前後方向の動きを判断するKVA(Kinetic Visual Acuity)動体視力で、手前に向かって迫ってくるものを識別する能力である。これは、車両を運転しているときに信号機や標識を見るときにも必要な視力である。運転免許試験場でも、視野の中を素早く動く映像を視認する検査を動体視力検査と称している。また、網膜の中心以外の、周りの部分を使って見る視力のことを中心外視力という。中心外視力が良いと、広範囲の物体を視界に捉えることができるので、周囲と自分の位置関係を把握するのに役立つ。上記構成によって、運転をしながら運転者が特別に意識することなく、動体視力検査あるいは中心外視力検査と同等の内容を実施でき、運転者の動体視力が反映された視力反映情報を取得することができる。
また、本発明の車載用ナビゲーション装置における障害物特定手段は、画像データの連続する画像フレームから、加速度を有する移動物体を検出し、加速度が予め定められる閾値を上回る移動物体を飛び出し物として特定するように構成することもできる。また、飛び出しに対応して、障害物対処運転に移行する時間が短いほど、運転時に必要な視力が良いと判定できる。
車両の運転中にヒヤリとすることの要因は、歩道や脇道からの歩行者あるいは車両の飛び出しによるものが多い。飛び出しに迅速に対処できるかによって、運転者の視覚能力の良し悪しが分かるといってもよい。上記構成によって、撮影手段以外の他のセンサ等の検出手段を用いずに飛び出し物を特定することが可能となる。
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車両と障害物との距離を測定する距離測定手段を備え、視力反映情報取得手段は、車両と障害物との距離と、ブレーキ踏み込み量とに基づいて深視力が反映された視力反映情報を取得するように構成することもできる。
深視力は遠近感や立体感を見る視力のことである。遠近感や立体感に問題があると、車両と障害物との距離感を掴み難くなり、その結果がブレーキタイミングとして現れる。上記構成によって、既に車両に装着されている部品を用いて低コストな構成により、深視力が反映された視力反映情報を取得することが可能となる。
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、視力反映情報に基づき、運転者の視覚能力の低下を検知する視覚能力低下検知手段と、視覚能力の低下を報知する情報を出力する視覚能力低下情報出力手段と、を備えるように構成することもできる。
上記構成によって、通常の運転動作の中で運転者がスイッチや音声などによって応答することなく視力反映情報が取得され、その結果、運転者は視覚能力が低下していることを認識することが可能となる。
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、道路地図データを記憶する道路地図データ記憶手段と、視覚能力の低下を検知した場合に、車両の現在位置と道路地図データとに基づいて、視覚能力を回復させるための休息施設への案内経路を検索する経路検索手段と、案内経路にしたがって、休息施設へ案内する経路案内手段と、を備えるように構成することもできる。
上記構成によって、運転者は視覚能力が低下していることを認識することが可能となるとともに、適切な休息施設へ案内されて、視覚能力を回復することが可能となる。
以下、本発明の車載用ナビゲーション装置を、図面を参照しながら説明する。図1は車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行う音声合成回路24,スピーカ15,メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両101(図2参照)の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両101の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両101の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段に相当する。
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、周知のいわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、表示器10とその周辺を覆い意匠枠となるエスカッションに、操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチを配置してもよい。
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル22,およびマイク31により、種々の指示を入力することが可能である。
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。また、送受信機13を用いてインターネット等の外部ネットワークに接続可能な構成としてもよい。
また、ETC車載器17と通信することにより、ETC車載器17が路側器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器17によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行う構成をとってもよい。
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88,画像処理部89,およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行う。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行われる。また、CPU81からHDD21に対してデータの読み書きの制御ができなくなった場合のために、ROM82にナビゲーション装置100として必要最低限の動作を行うためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の障害物特定手段,反応時間測定手段,距離測定手段,視覚能力低下検知手段,経路検索手段,経路案内手段に相当する。
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
描画部87は、HDD21等に記憶された地図データ21m(後述),表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。
画像処理部89は、公知のパターン認識などの技術によってカメラ32によって撮影された画像の解析を行う画像処理回路を含んで構成される。画像処理部89では、例えば、カメラ32により撮影された映像信号に一般的な2値化処理を施すことにより、ピクセル毎のデジタル多値画像データに変換する。そして、得られた多値画像データから、一般的な画像処理手法を用いて所望の画像部分を抽出する。
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データベースである地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。なお、地図データ21mが本発明の道路地図データ記憶手段に相当する。
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報はデータベース21dとしても記憶される。
ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース21dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行うことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能なデバイスによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、メモリ9は、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても記憶内容が保持されるようになっている。また、メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをメモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8(描画部87)から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の視覚能力低下情報出力手段に相当する。
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によってメモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき必要に応じて繋ぎ合わせる録音編集方式、文字入力情報からそれに対応する音声を合成するテキスト合成方式などがある。なお、スピーカ15が本発明の視覚能力低下情報出力手段に相当する。
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両101の速度に換算して、車両101の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両101の走行区間毎の平均車速を算出する。
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行うためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器17との接続を行ってもよい。
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
すなわち、まず、ユーザは目的地を探索する。目的地の探索方法は、例えば、地図上の任意の地点を指定する方法、目的地の所在する地域から探索する方法,目的地の電話番号から探索する方法,五十音表から目的地の名称を入力して探索する方法,あるいはユーザがよく利用する施設としてメモリ9に記憶されているものから探索する方法などがある。目的地が設定されると、位置検出器1により車両101の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行う。
通信ユニット25は周知の無線送受信機として構成され、インターネット等の公衆通信網と接続するために用いる。また、通信ユニット25を携帯電話機等の携帯通信端末(図示せず)を接続してデータ通信を行うための、携帯通信端末と制御回路8との間のインターフェース回路として構成してもよい。
カメラ32は周知のCCDビデオカメラ等で構成され、撮影された画像データは制御回路8(画像処理部89)に送られる。図2に搭載例を示す。カメラ32は、車両前方を撮影可能なように、例えば、車両室内の天井の前方中央部に取り付けられる。撮影範囲は、少なくとも運転者の視野範囲よりも広いことが望ましい。また、ダッシュパネル上(32aの位置)に取り付けてもよい。なお、カメラ32が本発明の撮影手段に相当する。
レーダ34は、電磁波あるいは超音波を発し、前方の物体からの反射波を受信することで、周知のドップラー効果を応用して、車両101と前方の物体との距離を測るためのものである。レーダ34は、例えば、図2のように、車両101の前部バンパーに取り付けられる。
ステアリングセンサ36は、周知のレゾルバ等の回転角度を電気信号に変換する素子あるいは回路を用いて構成される。ステアリングセンサ36は、例えば、図2のように、操舵ハンドル軸35aに取り付けられ、操舵ハンドル35のハンドル操舵角を検出する。なお、ステアリングセンサ36が本発明の運転状態検知手段,ハンドル操舵角検出手段に相当する。
ブレーキセンサ37は、ブレーキペダル(図示せず)の踏み込み量を検出するもので、周知のポテンショメータを含んで構成される。ブレーキペダルを踏むと、ブレーキペダルの位置によりポテンショメータの抵抗値が変化して、その抵抗値に応じて発生する電圧値が制御回路8に送られる。制御回路8では、その電圧値に基づいてブレーキペダル踏み込み量を算出する。なお、ブレーキセンサ37が本発明の運転状態検知手段,ブレーキ状態検出手段に相当する。
図3を用いて動体視力および中心外視力を含む視覚能力低下判定処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、カメラ32で撮影されて制御回路8に送られてくる画像データを、HDD21のデータベース21dの所定の領域に順次記憶(バッファリング)する(S11)。バッファリングの際には、時計IC88から日時データを取得し、これを撮影日時として、画像データを構成する1枚の静止画像データである画像フレームと対応付けて記憶する。
次に、運転者が危険回避行動を行った(すなわち、障害物対処運転状態となった)かどうか調べる。以下のいずれか一つの条件を満たす場合に、運転者が危険回避行動を行ったと判定する。
(1)ステアリングセンサ36の検出する操舵ハンドル35のハンドル操舵角が、予め定められる閾値を上回るとき。
(2)ブレーキセンサ37の検出するブレーキペダルの踏み込み量が、予め定められる閾値を上回るとき。
(3)ジャイロスコープ3の検出する車両101の回転角度が、予め定められる閾値を上回るとき。
運転者が危険回避行動を行ったと判定された場合(S12:Yes)、時計IC88から日時データを取得し、危険回避行動実行タイミングとしてメモリ9あるいはRAM83に記憶しておく。そして、バッファリングされた画像データを危険回避行動実行タイミングから順次遡って読み出し、画像処理部89において、危険回避行動の元となった危険因子(本発明の障害物、以下同じ)を特定する(S13)。危険因子が特定されたら、その危険因子が出現する最初の画像フレームを特定し、その画像フレームが撮影された日時データを取得する。
画像処理によってバッファリングされた画像データから対象物(障害物)を特定し、対象物出現以降の時間の算出方法に関する技術については、例えば、特開2001−50713号公報に開示されている。
そして、特定された危険因子が現れてから、運転者が危険回避行動を取るまでの反応時間を算出する(S14)。反応時間は、運転者が危険回避行動を行ったと判定された際の日時データと、上記で特定された危険因子が出現する最初の画像フレームが撮影された際の日時データとの差から求められる。
次に、算出された反応時間から動体視力を算出する(S15)。動体視力は、例えば、図4のような、予めデータベース21dに記憶される、上記で算出された反応時間と動体視力との関係を表すデータテーブルから求める。図4の例では、反応時間が短いほど動体視力は良好で数値が大きくなる。
次に、危険因子が出現した位置から中心外視力を算出する(S16)。危険因子が出現した位置は、車両の走行方向を基準(0°)とした左右の角度として表すことができる。そこで、中心外視力は、例えば、図5のような、予めデータベース21dに記憶される、角度と中心外視力との関係を表すデータテーブルから求める。図5の例では、角度が大きいほど中心外視力は良好で数値が大きくなる。
また、反応時間を一定として、運転者が危険回避行動を行ったと判定された際の日時データからその反応時間分だけ遡った日時データに相当する画像フレームを取得し、その画像フレームにおける危険因子の位置を、運転者がその危険因子を最初に認識した位置として、車両の走行方向を基準とした角度として表すようにして深視力を算出してもよい。また、反応時間に年齢毎に定められる係数を乗じて、年齢による補正を行ってもよい。年齢は、運転開始時に運転者により操作スイッチ群7等によって入力される。
そして、これら視力反映情報として得られた動体視力あるいは中心外視力のいずれか一方が、各々に予め定められた閾値を下回る場合(S17:Yes)、視覚能力が低下していることを検知したので、その旨を出力する視覚能力低下情報出力処理を行う(S18,後述)。
図6のフロー図と、図7A〜図7Dの画像フレームを用いて、脇道からの車両(障害物)の飛び出しに遭遇した例を挙げて、加速度を有する移動物体を判定する飛び出し物判定処理について説明する。図7A〜図7Dは、脇道から車両が飛び出した際の画像フレームを時系列的に示したものである。まず、障害物(車両)が撮影された最初の画像フレーム(図7A)と次の画像フレーム(図7B)とから、車両の速度を算出する(S31)。図7A,図7Bの画像フレームの撮影日時データは既知である。また、カメラ32の仕様(撮影範囲)から、脇道から出てきた車両の移動距離L1も算出できるので、移動距離L1を図7A,図7Bの画像フレームの撮影日時の差で割ったものを速度として算出することができる。
同様に、次の画像フレーム(図7B)とその次の画像フレーム(図7C)とから、移動距離L2と画像フレームの撮影日時の差とから脇道から出てきた車両の速度を算出する。そして、これら二つの車速から車両の加速度を算出する(S32)。同様に、図7Cの画像フレームと図7Dの画像フレームにおいて、移動距離L3と画像フレームの撮影日時の差とから車両の速度が算出され、次いでその時点での車両の加速度が算出される。
また、走行時に撮影される連続画像から、加速する障害物を特定する方法は、例えば、特開2002−314989号公報に開示されている。
算出された加速度が予め定められる閾値を超えた場合(S33:Yes)、その障害物(車両)は飛び出し物と判定する(S34)。
飛び出し物判定処理は、例えば、ステップS14において実行され、動体視力あるいは中心外視力を算出する際に、飛び出し物であるかどうかが加味される。すなわち、飛び出し物である場合には、反応時間に予め定められる、例えば1より小さい係数が反映される。例えば、飛び出し物に対しての反応時間が短いということは、動体視力がより良好であるといえる。また、視野外から現れる物体をいち早く認識できるということであるので、中心外視力もより良好であるといえる。
図3の動体視力および中心外視力を含む視覚能力低下判定処理における障害物には、車両,歩行者,車両,歩行者,前記以外の路上障害物,標識(一旦停止等),交通信号機(黄信号,赤信号)を含む。交通信号機の場合は、信号が青信号から黄信号に変化したときのような、車両101を減速あるいは停止させる信号に変化した時点を障害物の出現と特定する。
図8を用いて、深視力を含む視覚能力低下判定処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、上述と同様にカメラ32で撮影された画像データをバッファリングする(S51)。
次に、車速センサ23から取得した車速データから、車両101が停止しているかを調べる。例えば、車速が5km/hを下回るときを停止と判定する。車両101が停止している場合(S52:Yes)、車両101が停止した時点から遡って、バッファリングされた画像データを順次読み出して、車両前方の障害物を特定する(S53)。
障害物が特定された場合(S54:Yes)、車両101とその障害物との距離を算出する(S55)。距離の算出は、以下の方法のいずれを用いてもよい。
(1)撮影範囲はカメラ32の仕様によって決まっているので、画像フレームにおける障害物の位置から距離を算出する。
(2)レーダ34を用いて、常時前方との距離を測定し、測定結果を画像フレームに関連付けて記憶しておく。そして、障害物が特定可能な画像フレームに関連付けられて記憶されている距離の値を用いる。
次に、車両101を停止させるためにブレーキペダルを踏み始めたときの日時データを取得する(S56)。ブレーキセンサ37で検出されるブレーキの踏み込み量のデータは、一定周期等の所定のタイミングでサンプリングが行われ、その結果は時計IC88から取得される日時データとともにデータベース21d等に記憶される。よって、障害物が特定された最初の画像フレームが撮影された日時データから後であって、ブレーキ踏み込み量が、ブレーキペダルを踏んでいない状態から踏み込んだ状態に変化したときの日時データを取得する。
次に、深視力を算出する(S57)。算出方法は、例えば、ブレーキペダルを踏み始めたときの車両101とその障害物との距離(ほぼ制動距離に等しい)を算出し、その距離をブレーキペダルを踏み始めたときの車両101の車速で割ったものを算出し、その算出された制動距離(m)と車速(km/h)との比と、深視力との関係を表すデータテーブルから深視力を算出する。
この場合、車速も一定周期等の所定のタイミングでサンプリングが行われ、その結果は時計IC88から取得される日時データとともにデータベース21d等に記憶される。
図9に制動距離と車速との比と、深視力との関係を表すデータテーブルの一例を示す。制動距離と車速との比が大きいということは、制動距離に余裕があるということになるので、制動距離と車速との比が大きいほど深視力が良好で大きな値となる。
そして、視力反映情報として得られた深視力が予め定められた閾値を下回る場合(S58:Yes)、視覚能力が低下していることを検知したので、その旨を出力する視覚能力低下情報出力処理を行う(S59,後述)。
図10A〜図10Dは、前方に信号待ちで停車している車両(障害物)を発見して停止する際の、カメラ32で撮影された画像フレームを時系列的に示したものである。図10Dが車両101が停止した際の画像フレームである。例えば、ブレーキペダルを踏み込んだタイミングが図10Aの画像フレームが撮影されたタイミングであれば深視力がより良好と判定され、図10Bの画像フレームが撮影されたタイミングであれば深視力が良好と判定され、図10Cの画像フレームが撮影されたタイミングであれば深視力が低下していると判定される。
図10Cの画像フレームが撮影されたタイミングでブレーキペダルを踏み込んだ場合は、急ブレーキとなると考えられるので、踏み込み量の変化が通常のブレーキ操作よりも多くなる。よって、ブレーキペダルの踏み込み量の変化率を測定して、ブレーキペダルの踏み込み量の変化率が大きくなるにつれて値が小さくなる係数を予め定めておき、その係数を図9の深視力に加味してもよい。
図11〜図14を用いて、視覚能力低下情報出力処理について説明する。まず、位置検出器1から車両101の現在位置情報を取得する(S71)。次に、地図データ21mを参照し、車両101の現在位置から所定の距離内、あるいは所定の走行時間内の範囲で、視覚能力を回復させるための休息施設を検索する(S72)。
休息施設は、例えば、病院等の医療行為を受けられる施設,パーキングエリア(PA)やサービスエリア,ドライブイン等の長時間車両を止めて休息が可能な施設,あるいは温泉・浴場が挙げられる。
検索の結果、休息施設が見つからなかった場合(S73:No)は、表示器10に、図12のような休息を勧告するメッセージを表示する(S75)。スピーカ15から同様の音声メッセージを送出してもよい。
一方、休息施設が見つかった場合(S73:Yes)は、その休息施設についての案内を実施する(S74)。図13に、休憩施設をリスト表示した場合の表示器10における表示例を示す。このとき、施設名あるいは番号をタッチあるいはクリック等すると、選択された休憩施設までの案内経路が検索されて経路案内が行われる。
また、図14のように車両101の現在位置Pから最も近い休憩施設を選択して、その休憩施設までの経路を案内するようにしてもよい。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。 カメラ・レーダの搭載例を示す図。 動体視力および中心外視力を含む視覚能力低下判定処理を説明するフロー図。 反応時間と動体視力との関係を表すデータテーブルの一例を示す図。 危険因子が出現した角度と中心外視力との関係を表すデータテーブルの一例を示す図。 飛び出し物判定処理を説明するフロー図。 飛び出し物判定処理を説明する画像フレームを示す図。 図7Aに続く飛び出し物判定処理を説明する画像フレームを示す図。 図7Bに続く飛び出し物判定処理を説明する画像フレームを示す図。 図7Cに続く飛び出し物判定処理を説明する画像フレームを示す図。 深視力を含む視覚能力低下判定処理を説明するフロー図。 制動距離と車速との比と、深視力との関係を表すデータテーブルの一例を示す図。 深視力を含む視覚能力低下判定処理を説明する画像フレームを示す図。 図10Aに続く、深視力を含む視覚能力低下判定処理を説明する画像フレームを示す図。 図10Bに続く、深視力を含む視覚能力低下判定処理を説明する画像フレームを示す図。 図10Cに続く、深視力を含む視覚能力低下判定処理を説明する画像フレームを示す図。 視覚能力低下情報出力処理を説明するフロー図。 視覚能力低下情報出力時の表示画面例を示す図。 視覚能力低下情報出力時の表示画面の別例を示す図。 視覚能力低下情報出力時の表示画面のさらに別例を示す図。
符号の説明
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群
8 制御回路(障害物特定手段,反応時間測定手段,距離測定手段,視覚能力低下検知手段,経路検索手段,経路案内手段)
10 表示器(視覚能力低下情報出力手段)
12 リモコン端末
15 スピーカ(視覚能力低下情報出力手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21d データベース
21m 地図データ(道路地図データ記憶手段)
22 タッチパネル
31 マイク
32 カメラ(撮影手段)
34 レーダ
36 ステアリングセンサ(運転状態検知手段,ハンドル操舵角検出手段)
37 ブレーキセンサ(運転状態検知手段,ブレーキ状態検出手段)
89 画像処理部
100 車載用ナビゲーション装置

Claims (9)

  1. 車両の前方視野を連続撮影する撮影手段と、
    前記連続撮影された画像データから、前記前方視野に存在する障害物を特定する障害物特定手段と、
    運転者の運転状態を検出する運転状態検知手段と、
    特定された前記障害物と、検出された前記運転状態とに基づいて前記運転者の視覚能力が反映された視力反映情報を取得する視力反映情報取得手段と、
    を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
  2. 前記運転状態検知手段は、前記運転者が前記障害物の出現に対処する運転状態である障害物対処運転状態を検知する請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
  3. 前記運転状態検知手段は、前記車両のハンドル操舵角を検出するハンドル操舵角検出手段を含み、前記ハンドル操舵角に基づいて前記障害物対処運転状態を検知する請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
  4. 前記運転状態検知手段は、前記車両のブレーキ踏み込み量を検出するブレーキ状態検出手段を含み、前記ブレーキ踏み込み量に基づいて前記障害物対処運転状態を検知する請求項2または請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置。
  5. 前記連続撮影された画像データにおいて前記障害物が最初に出現した画像フレームが撮影されてから、前記障害物対処運転状態が検知されるまでの反応時間を測定する反応時間測定手段を備え、
    前記視力反映情報取得手段は、前記反応時間に基づいて前記運転者の動体視力および中心外視力の少なくとも一方が反映された前記視力反映情報を取得する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
  6. 前記障害物特定手段は、前記画像データの連続する画像フレームから、加速度を有する移動物体を検出し、前記加速度が予め定められる閾値を上回る移動物体を飛び出し物として特定する請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
  7. 前記車両と前記障害物との距離を測定する距離測定手段を備え、
    前記視力反映情報取得手段は、前記車両と前記障害物との距離と、前記ブレーキ踏み込み量とに基づいて深視力が反映された前記視力反映情報を取得する請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
  8. 前記視力反映情報に基づき、前記運転者の視覚能力の低下を検知する視覚能力低下検知手段と、
    前記視覚能力の低下を報知する情報を出力する視覚能力低下情報出力手段と、
    を備える請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
  9. 車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
    道路地図データを記憶する道路地図データ記憶手段と、
    前記視覚能力の低下を検知した場合に、前記車両の現在位置と前記道路地図データとに基づいて、前記視覚能力を回復させるための休息施設への案内経路を検索する経路検索手段と、
    前記案内経路にしたがって、前記休息施設へ案内する経路案内手段と、
    を備える請求項8に記載の車載用ナビゲーション装置。
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