JP2008089486A - 被膜付着量測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機樹脂被膜層と、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜の付着量を同時に精度よく測定できる被膜付着量測定方法を提供する。
【解決手段】金属板上に堆積された有機樹脂被膜層と、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜の付着量を測定する方法であって、赤外干渉フィルタとして、有機樹脂被膜層を構成する有機樹脂に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光のみを検出できる有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタと、有機樹脂被膜層に含有される無機酸塩に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光のみを検出できる無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタとを備え、有機樹脂ピーク強度測定用及び無機酸塩ピーク強度測定用の赤外干渉フィルタを通して検出された赤外光の吸光度を用いて回帰分析を行い、有機樹脂被膜層と、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層とのそれぞれの付着量を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属板上に施された被膜の付着量を測定する被膜付着量測定方法に関する。
めっき鋼板等の金属板上に化成処理被膜や有機樹脂被膜等の被膜が施された表面処理金属板においては、その被膜の付着量が、金属板の耐食性、化成処理性及び導電性等の特性に直接的な影響を与える指標となっている。このため、金属板の特性を保証するためには、操業ライン上で、金属板上に施された被膜の付着量を連続的に測定し、この結果に基づいて操業条件を変更することにより、被膜の付着量を制御する必要がある。
金属板上に施された被膜の付着量を操業ライン上で測定する装置としては、蛍光X線分析法を用いた装置や、赤外分光法を用いた装置が挙げられる。
蛍光X線分析法を用いた装置では、金属板上に施された被膜に大気中でX線を照射し、被膜に含有される元素から発生する蛍光X線(特性X線)の強度を測定する。そして、予め作成しておいた蛍光X線の強度と被膜の付着量との関係を示す検量線を用いて、測定された蛍光X線の強度から被膜の付着量を算出する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、軽金属元素の蛍光X線の波長は長く、大気中で吸収され易いため、上述の特許文献1に記載の装置では、軽金属元素の検出感度が低い。このため、上述の特許文献1に記載の装置には、重金属元素の含有量が少ない被膜の測定では分析精度が著しく低下するという問題があった。つまり、この蛍光X線分析法を用いた装置は、クロメート被膜のように被膜中にクロム等の重金属元素が含まれる場合には有効に適用されるが、重金属元素を含まない有機樹脂被膜に適用することは困難である。
一方、赤外分光法を用いた装置は、主成分が樹脂等の重金属元素を含まない有機樹脂被膜の付着量測定においても好適に用いることができる。この赤外分光法を用いた装置では、金属板上に施された被膜に赤外光を照射し、被膜からの反射光を受光して、被膜に含有された有機樹脂に由来する結合や官能基の特性吸収帯の赤外吸光度を測定する。そして、予め作成しておいた赤外吸光度と被膜の付着量との関係を示す検量線を用いて、測定された赤外吸光度から被膜の付着量を算出する(例えば、特許文献2参照)。
このとき、測定の迅速化を図るため、予め測定する被膜の特性吸収帯のうちの指標とする吸収帯の波長(以下、吸収ピーク波長と記す。)を把握しておき、この吸収ピーク波長の赤外光のみを検出可能とする赤外干渉フィルタを用いて、吸収ピーク波長の赤外吸光度から付着量の算出が行われている。有機樹脂を含有する被膜の付着量を測定する場合には、被膜に含有されるC−H結合、C−O結合、又はC=O結合等有機樹脂由来の吸収ピーク波長に合わせて、例えば、2.5μm以上6.3μm以下の範囲で中心波長が設定されたピーク強度測定用赤外干渉フィルタが用いられている。
ところで、近年、表面処理金属板の加工性及び潤滑性の向上を目的に、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニル、ポリアクリル等のC(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、H(水素)を主成分とする化合物からなる有機樹脂に、リン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩等の無機酸塩を含有させた被膜が適用されるようになってきている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭62−137552号公報 特開平5−157519号公報 特開平7−268641号公報
しかし、上記特許文献3に記載されているような無機酸塩を含有する有機樹脂被膜は、無機酸塩が含まれていることから、C−H結合、C−O結合及びC=O結合等有機樹脂由来の吸収ピーク波長での赤外吸光度が弱くなる。このため、上述の特許文献2に記載の装置では、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜の付着量を精度よく測定できないという問題がある。
特に、金属板上に独立した上層の有機樹脂層と下層の無機酸塩を含有する有機樹脂層とを有する二層積層被膜の付着量を同時に測定しようとした場合、下層の無機酸塩を含有する有機樹脂層の付着量の測定値は上層の有機樹脂層の存在に大きく影響を受け、下層の付着量測定値に対して大きな誤差を与える要因となり得る。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、有機樹脂被膜層と、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜の付着量を同時に精度よく測定できる被膜付着量測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有する。
[1]赤外光源と、赤外干渉フィルタと、赤外検出器とを備えた赤外分光光度計を用いて、金属板上に堆積された有機樹脂被膜層と、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜の付着量を測定する方法であって、
前記赤外干渉フィルタとして、前記有機樹脂被膜層を構成する有機樹脂に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光のみを検出できる有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタと、前記有機樹脂被膜層に含有される無機酸塩に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光のみを検出できる無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタとを備え、
前記有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタ及び無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタを通して検出された赤外光の吸光度を用いて回帰分析を行い、前記有機樹脂被膜層と、前記無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜のそれぞれの付着量を算出することを特徴とする被膜付着量測定方法。
[2]上記[1]において、さらに、赤外干渉フィルタとして、1つ以上のバックグラウンド測定用赤外干渉フィルタを備え、該バックグラウンド測定用赤外干渉フィルタを通して検出された赤外光の吸光度を用いて、有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタ及び無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタを通して検出された赤外光の吸光度の補正を行い、有機樹脂被膜層と、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜のそれぞれの付着量を算出することを特徴とする被膜付着量測定方法。
[3]上記[1]または[2]において、無機酸塩がリン酸塩であり、
有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタが、3.2μm以上、3.6μm以下の範囲で設定された中心波長を有し、無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタが8.3μm以上、9.5μm以下の範囲で設定された中心波長を有するものであることを特徴とする被膜付着量測定方法。
[4]上記[2]または[3]において、バックグラウンド測定用赤外干渉フィルタが、3.6μm以上、8.3μm以下の範囲で、且つ、有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタ及び無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタの中心波長と重ならないように設定された中心波長を有するものであることを特徴とする被膜付着量測定方法。
本発明によれば、有機樹脂被膜層と、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜の付着量を同時に精度よく測定できる被膜付着量測定方法が提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例を説明する。
以下の実施形態の説明においては、金属板上に、下層樹脂被膜として無機酸塩であるリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層と、上層樹脂被膜として無機酸塩を含有しない有機樹脂被膜層との二層が積層された場合の、それぞれの被膜の付着量を測定する方法について説明する。但し、本発明においては、前記無機酸塩としては、リン酸塩に限定されるものではなく、ホウ酸塩、ケイ酸塩等の他の無機酸塩においても同様に適用できる。また、前記上層樹脂被膜及び下層樹脂被膜の積層順が逆の場合、被膜が三層以上積層している場合、上層樹脂被膜と下層樹脂被膜の有機樹脂が異なる場合においても適用できる。
図1に、本発明に係る被膜付着量測定方法を実施するための測定装置の一構成例を示す。図1に示す被膜付着量測定装置1は、赤外分光光度計2と、データ処理装置3とを備える。なお、この被膜付着量測定装置1は、金属板4上に堆積された被膜の上方に設置される。さらに、前記赤外分光光度計2は、図1に示すように、赤外光源21と、赤外干渉フィルタ22と、赤外検出器23とを備えている。
このような装置構成において、本発明に係る被膜付着量測定方法は、前記赤外干渉フィルタとして、前記上層の有機樹脂被膜層を構成する有機樹脂に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光のみを検出できる有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタと、前記下層の有機樹脂被膜層に含有される無機酸塩であるリン酸塩に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光のみを検出できる無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタとを備え、前記有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタ及び無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタを通して検出された赤外光の吸光度を用いて回帰分析を行い、前記上層の有機樹脂被膜層と、前記下層の無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜のそれぞれの付着量を算出するものである。
ここで、前記有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタとしては、上層の有機樹脂被膜層を構成するC−H結合に由来する特性吸収帯の赤外光のみを検出できるように、3.2μm以上、3.6μm以下の範囲で設定された中心波長を有する赤外干渉フィルタを用いることが好ましい。さらに、前記有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタの感度をより良好にするためには、3.3μm以上3.5μm以下の範囲で設定された中心波長を有する赤外干渉フィルタを用いることがより好ましい。
また、前記無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタとしては、下層の無機酸塩被膜に含有されるリン酸塩に由来する特性吸収帯の赤外光のみを検出できるように、8.3μm以上、9.5μm以下の範囲で設定された中心波長を有する赤外干渉フィルタを用いることが好ましい。さらに、前記無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタの感度をより良好にするためには、8.5μm以上9.2μm以下の範囲で設定された中心波長を有する赤外干渉フィルタを用いることがより好ましい。
このように、本発明においては、上層の有機樹脂被膜層については、それを構成する有機樹脂に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光(C−H結合に由来する特性吸収帯の赤外光)のみを検出できる有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタを通して得られた赤外吸光度を用いて付着量を測定する。そして、下層の無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層については、それに含有されるリン酸塩に由来する特性吸収帯の赤外光のみを検出できる無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタを通して得られた赤外吸光度を用いて付着量を測定する。これにより、それぞれの有機樹脂被膜層の付着量を精度よく測定できる。
さらに、本発明においては、より精度良く二層積層被膜のそれぞれの付着量を測定するために、バックグラウンド測定用赤外干渉フィルタを設け、バックグラウンドの赤外吸光度を測定するとよい。バックグラウンド測定用赤外干渉フィルタの中心波長は、前記有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタ及び無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタの透過波長域に干渉して誤差が生じないように、3.6μm以上、8.3μm以下の範囲で、且つ、前記有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタ及び無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタの中心波長と重ならないように設定することが好ましい。
バックグラウンド測定に用いる赤外干渉フィルタは1つでも構わないが、多ければ多いほど精度良く二層積層被膜のそれぞれの付着量を測定できるため、2つ以上設けることが好ましい。
ここで、赤外干渉フィルタとして、有機樹脂ピーク強度測定用、無機酸塩ピーク強度測定用、バックグラウンド測定用と複数の赤外干渉フィルタを備える場合は、赤外分光光度計2においては、図1の枠外に図示すように、例えば、円盤状の保持板24の周囲に複数の赤外干渉フィルタ22を配置し、前記保持板24を回転可能に構成することが好ましい。このように構成することで、赤外光を照射している間に、複数種類の赤外干渉フィルタによる連続測定が可能となる。これにより、有機樹脂被膜層およびリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層の二層積層被膜のそれぞれの付着量を二層同時に精度よく測定できる。
なお、図1において、例えば、金属板4と赤外光源21または赤外検出器23との間の距離が設計値から変動した場合に、得られる赤外吸光度がどのように影響するかを予め調査して、距離の変動値に基づいた補正係数等を算出しておくことが好ましい。この補正係数を用いて赤外吸光度を補正することにより、より高精度に二層積層被膜のそれぞれの付着量の測定が可能となる。また、測定環境内の雰囲気を例えば、Nガスや、Arガス、Heガス、Krガス等で満たすことで、より高精度な測定を達成できる。
また、本発明においては、前記有機樹脂としては、その種類は特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニル、ポリアクリル等のC,H,O,Nを主成分とする化合物からなる樹脂を用いることが好ましい。さらに、本発明においては、前記無機酸塩としては、特に限定されないが、例えば、リン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩が該当する。さらに、本発明における前記リン酸塩としては、特に限定されないが、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸クロム、リン酸鉄を用いることができる。
以下、より具体的に本発明に係る実施形態を説明する。
上層の有機樹脂被膜層(「上層被膜」とも記す。)の付着量を測定する有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタとして、中心波長を3.4μm(波数約2940cm−1)に設定した赤外干渉フィルタを用いた。また、下層の無機酸塩としてリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層(「下層被膜」とも記す。)の付着量を測定する無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタとして、中心波長を8.9μm(波数約1120cm−1)に設定した赤外干渉フィルタを用いた。さらに、バックグラウンド測定用赤外干渉フィルタとして、中心波長が6.7μm(波数約1490cm−1),7.1μm(波数約1410cm−1),7.6μm(波数約1320cm−1)に設定された3つの赤外干渉フィルタを用いた。
データ処理装置3には、上層被膜に由来する吸収ピーク波長の赤外吸光度と上層被膜の付着量との関係を示す検量線が記憶されている。また、データ処理装置3には、事前に上層および下層ともに付着量既知の試料を用いて回帰分析を行い、上層被膜の存在による下層被膜の付着量への変動値に基づいて算出された下層被膜に含有されるリン酸塩に由来する吸収ピーク波長の赤外吸光度と下層被膜の付着量との関係を示す検量線が記憶されている。そして、このデータ処理装置3では、赤外吸光度と回帰分析によって求められた検量線とに基づいて、上層および下層の二層積層被膜のそれぞれの付着量が同時に算出されるように構成されている。
このような被膜付着量測定装置1を用いて、金属板4として亜鉛めっき鋼板上に堆積された上層被膜6および下層被膜5による二層積層被膜のそれぞれの付着量を測定する具体的な方法について説明する(図1参照)。
まず、赤外分光光度計2の赤外光源21から、亜鉛めっき鋼板4に堆積された二層積層被膜に赤外光を照射する。この赤外光は、亜鉛めっき鋼板4の表面に形成された亜鉛めっき層(図示せず)を透過できないことから、主に亜鉛めっき層と下層被膜5との界面で反射する。
このとき、照射された赤外光は、上層被膜6および下層被膜5の二層の被膜を通過して亜鉛めっき層との界面まで透過する過程において、上層被膜6の有機樹脂が有するC−H基、C−O基及びC=O基等の結合基や、下層被膜5のリン酸塩が有するP−O基及びP=O基等の結合基の振動エネルギーに相当する波長の光が吸収される。
図2は、この二層積層被膜の赤外吸収スペクトルを示す図である。図2に示すように、被膜に含有された有機樹脂由来の特性吸収帯は、3.2μm〜3.6μm付近に見られ、リン酸塩由来の特性吸収帯は、8.3μm〜9.5μm付近に見られた。ただし、リン酸塩由来の特性吸収帯には上層被膜に含有された有機樹脂由来の吸収もあることがわかった。
そして、反射した赤外光は、赤外分光光度計2の赤外干渉フィルタ22を介して、赤外検出器23に入射する。この赤外検出器23では、赤外干渉フィルタ22を通過した赤外光の強度を測定し、次式(1)を用いて各波長における赤外吸光度Aを算出する。
赤外吸光度A=−log(Ip/Cp )−[(λb2−λp)/(λb2−λb1)×{−log(Ib1/Cb1)+log(Ib2/Cb2)}] ・・・(1)
なお、式(1)中の符号であるIp、Ib1、Ib2はそれぞれピーク強度測定用、バックグラウンド測定用1、バックグラウンド測定用2の赤外干渉フィルタをそれぞれ透過し検出させた赤外光の強度を示す。また、λp、λb1、λb2はそれぞれピーク強度測定用、バックグラウンド測定用1、バックグラウンド測定用2の赤外干渉フィルタの中心波長を示す。さらに、Cp、Cb1、Cb2はそれぞれピーク強度測定用、バックグラウンド測定用1、バックグラウンド測定用2の赤外干渉フィルタの透過率及び透過波長幅(半値幅)等の光学特性により求められる感度定数を示す。
上記方法により、上層の有機樹脂被膜層(上層被膜6)については、それを構成する有機樹脂に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光(C−H結合に由来する特性吸収帯の赤外光)のみを検出できる有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタを通して得られた赤外吸光度を用いて付着量を測定する。そして、下層の無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層(下層被膜5)については、それに含有されるリン酸塩に由来する特性吸収帯の赤外光のみを検出できる無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタを通して得られた赤外吸光度を用いて付着量を測定する。これにより、それぞれの有機樹脂被膜層の付着量が精度よく測定できる。
上述したように、本実施形態における被膜付着量測定方法によれば、有機樹脂被膜層およびリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層の二層積層被膜のそれぞれの付着量を二層同時に精度よく測定できる。
さらに、下層のリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層(下層被膜5)の付着量を測定する際に、バックグラウンド測定用赤外干渉フィルタの中心波長や有機樹脂由来の特性吸収帯に干渉しないように設定することによって、被膜中に含有されるリン酸塩由来の赤外吸光度のみを精度よく測定できる。これにより、有機樹脂にリン酸塩を含有する被膜であっても、精度よく付着量を測定できる。
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、亜鉛めっき鋼板上に、下層被膜としてリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層を0.1〜0.8g/mの範囲で、また、上層被膜として有機樹脂被膜層を0〜2.1g/m の範囲で、付着量がそれぞれ異なるように被膜を施した。
次に、これらの亜鉛めっき鋼板上に施された被膜の付着量を、上述した被膜付着量測定方法により測定した。
図3は、上層の有機樹脂被膜層の付着量を変化させた場合の赤外吸収スペクトルを示す図である。図3に示すように、有機樹脂被膜中のC−H基に由来する赤外吸収が、3.3μm付近に、C=O基に由来する吸収が6.7μm付近に見られた。
図4は、下層のリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層の付着量を変化させた場合の赤外吸収スペクトルを示す図である。図4に示すように、リン酸塩のP−O基に由来する赤外吸収が8〜9μm付近に見られた。
図3および図4に示されるように、上層の有機樹脂被膜層および下層のリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層ともに、被膜の付着量が増加するほど、赤外吸光度が大きくなっていた。
次に、亜鉛めっき鋼板上に堆積した有機樹脂被膜層(上層被膜)の付着量と、本実施形態の被膜付着量測定方法により測定した有機樹脂のC−H基に由来する赤外吸光度とを用いて、図5に示すような検量線を作成した。また、亜鉛めっき鋼板上に堆積したリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層の付着量と、本実施形態の被膜付着量測定方法により測定したリン酸塩のP−O基に由来する赤外吸光度とを用いて、図6に示すような検量線を作成した。図6の検量線を作成する際には上述のように、上層の有機樹脂被膜層の存在による下層のリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層の付着量への変動値を算出できるように回帰計算を用いた。
図5および図6に示すように、実際に亜鉛めっき鋼板上に施した被膜の付着量と、上述した被膜付着量測定方法によって測定した赤外吸光度との間には、良好な相関が見られた。この結果から、適正な測定波長の選定と回帰分析を用いることで、上層の有機樹脂被膜層および下層の無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層の付着量を精度よく測定できることを確認できた。
続いて、上述した被膜付着量測定方法の測定精度を検証した。
まず、各亜鉛めっき鋼板上に、表1に示すように有機樹脂被膜の上層およびリン酸塩を含有する有機樹脂被膜の下層のそれぞれについて被膜付着量を制御した。なお、この被膜付着量は重量法及び蛍光X線法により測定した。
また、上述した被膜付着量測定方法により、上層および下層の二層の被膜付着量を測定した。この結果は表1に本発明例として示す。なお、回帰計算を適用せずに検量線を作成し、その検量線に基づき付着量を算出した結果を比較例として示す。
Figure 2008089486
本発明に係る被膜付着量測定方法では、上層および下層の被膜付着量が正確に測定できることが確認できた。また、比較例1,2で示されるように回帰分析を用いずに下層被膜の付着量を求めた場合には、測定に大きな誤差を与えることが確認された。
次に、上述した被膜付着量測定方法を用いて、各付着量の被膜に対して100回ずつ付着量の測定を行った。そして、得られた付着量から、標準偏差及び相対標準偏差を算出した。この結果を表2に示す。
Figure 2008089486
表2に示すように、いずれの付着量であっても3%以下の相対標準偏差が得られており、被膜の付着量を精度よく測定できることが確認できた。
本発明に係る被膜付着量測定方法を実施するための測定装置の一構成例を示す。 二層積層被膜の赤外吸収スペクトルを示す図である。 上層の有機樹脂被膜層の付着量を変化させた場合の赤外吸収スペクトルを示す図である。 下層のリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層の付着量を変化させた場合の赤外吸収スペクトルを示す図である。 亜鉛めっき鋼板上に堆積した有機樹脂被膜層についての検量線を示す図である。 亜鉛めっき鋼板上に堆積したリン酸塩を含有する有機樹脂被膜層についての検量線を示す図である。
符号の説明
1 被膜付着量測定装置
2 赤外分光光度計
21 赤外光源
22 赤外干渉フィルタ
23 赤外検出器
3 データ処理装置
4 金属板
5 下層被膜
6 上層被膜

Claims (4)

  1. 赤外光源と、赤外干渉フィルタと、赤外検出器とを備えた赤外分光光度計を用いて、金属板上に堆積された有機樹脂被膜層と、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜の付着量を測定する方法であって、
    前記赤外干渉フィルタとして、前記有機樹脂被膜層を構成する有機樹脂に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光のみを検出できる有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタと、前記有機樹脂被膜層に含有される無機酸塩に由来する特定の吸収ピーク波長の赤外光のみを検出できる無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタとを備え、
    前記有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタ及び無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタを通して検出された赤外光の吸光度を用いて回帰分析を行い、前記有機樹脂被膜層と、前記無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜のそれぞれの付着量を算出することを特徴とする被膜付着量測定方法。
  2. さらに、赤外干渉フィルタとして、1つ以上のバックグラウンド測定用赤外干渉フィルタを備え、該バックグラウンド測定用赤外干渉フィルタを通して検出された赤外光の吸光度を用いて、有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタ及び無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタを通して検出された赤外光の吸光度の補正を行い、有機樹脂被膜層と、無機酸塩を含有する有機樹脂被膜層との二層積層被膜のそれぞれの付着量を算出することを特徴とする請求項1に記載の被膜付着量測定方法。
  3. 無機酸塩がリン酸塩であり、
    有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタが、3.2μm以上、3.6μm以下の範囲で設定された中心波長を有し、無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタが8.3μm以上、9.5μm以下の範囲で設定された中心波長を有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の被膜付着量測定方法。
  4. バックグラウンド測定用赤外干渉フィルタが、3.6μm以上、8.3μm以下の範囲で、且つ、有機樹脂ピーク強度測定用赤外干渉フィルタ及び無機酸塩ピーク強度測定用赤外干渉フィルタの中心波長と重ならないように設定された中心波長を有するものであることを特徴とする請求項2または3に記載の被膜付着量測定方法。
JP2006272389A 2006-10-04 2006-10-04 被膜付着量測定方法 Pending JP2008089486A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013231666A (ja) * 2012-04-27 2013-11-14 Sekisui Engineering Co Ltd 検出装置
WO2015099227A1 (ko) * 2013-12-26 2015-07-02 주식회사 포스코 백색도 및 부착량 동시측정장치

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