JP2008088003A - コンクリートの配合方法及びコンクリート - Google Patents

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雅則 杉崎
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政美 仲丸
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Abstract

【課題】秀れた施工性と、これまでにない高い耐久性(強度)を備えた高性能なコンクリートを実現し得る画期的な技術を提供する。
【解決手段】セメントなどの粉体と水とを配合するコンクリートの配合方法であって、前記粉体として、所定容積のセメントを配合すると共に、このセメントより粒度が小さく且つこのセメントの粒子間の空隙に充填し得る粒度を有する空隙充填粉末(例えば高炉スラグ微粉末4000,高炉スラグ微粉末6000)を前記セメントの空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合すると共に、この空隙充填粉末より更に粒度が小さく且つこの空隙充填粉末の粒子間の微小空隙に充填し得る粒度を有する微小空隙充填粉末(例えば珪酸質微粉末)を前記空隙充填粉末の微小空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合する。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリートの配合方法,及びその配合方法により配合したコンクリートに関するものである。
従来から、コンクリートの中性化(アルカリ性であるコンクリートが外部環境の影響によりそのアルカリ性を失い中性に近づく現象)や塩害,凍害など、コンクリートの耐久性低下を如何にして抑止するかが、この種のコンクリートにおける重要な課題とされている。
例えば、コンクリートの中性化は、主に大気中などに含まれる二酸化炭素がコンクリートの表面から侵入(浸透)し、このコンクリート内に拡散することによる炭酸化現象が原因であり、その進行に伴いコンクリート自身の強度劣化を招くことはないものの、コンクリート内部の鉄筋を腐食させ、この腐食した鉄筋の発錆に伴う膨張力によりコンクリートのひび割れや剥離などを発生させるものである。
また、例えば塩害は、主にコンクリートの表面から塩分(塩化物イオン)や水や酸素など、鉄筋腐食を促進する物質が侵入(浸透)してコンクリート内に拡散し、鉄筋に到達してこの鉄筋を腐食させ、この腐食した鉄筋の発錆に伴う膨張力によりコンクリートのひび割れや剥離などを発生させるものである。特に、塩害は、酸素の浸透性や塩化物イオンの蓄積速度,内部の水分含有量,コンクリートの密実性などの多くの要因が影響するために、その鉄筋腐食の進行を正確に予測することがかなり難しく耐久年数の予測などが極めて困難で、この点においても非常に厄介な劣化現象である。
このように、中性化や塩害によるコンクリートの劣化(耐久性低下)は、主にコンクリートの表面から二酸化炭素や塩分,水,酸素などの物質が内部に侵入(浸透)して鉄筋腐食を招くことが原因である。
また、例えば凍害は、コンクリートの表面から浸透した水が凍結融解を繰り返すことが原因によるコンクリートの劣化現象であり、前述の中性化や塩害と同様に、コンクリートの表面から内部に浸透する物質(水)が原因によるものである。
従って、仮にコンクリートが粗(低密度)で空隙を多く有する構造の場合には、透気性や透水性も高く、それだけコンクリートの表面の空隙から上記鉄筋腐食などのコンクリートの劣化減少の原因となる種々の物質の侵入が容易で、それだけ中性化や塩害,凍害の進行も早いなど、耐久性上多くの問題を有することとなる。
そこで、従来においては、コテや仕上げ材などの保護コーティングで、コンクリートの表面を覆ってしまうことでこの表面の空隙から鉄筋腐食の原因となる物質が内部へと侵入することを阻止する施工(例えば、特開2003−342084号公報)を実施しているが、しかし、このような保護コーティングの施工はそれだけ余計にコストがかかるうえに、例えばこの保護コーティングが何かの衝撃により、或いは経年劣化により剥がれ落ちてしまうと、そこから鉄筋腐食の原因となる物質の侵入を許してしまうなど、表面保護信頼性が十分ではなく、根本的な解決方法とは言えない。
また、例えば、コンクリートの外側表面からコンクリート内の鉄筋に到達するまでの距離、即ち、かぶりを厚く確保することで鉄筋腐食の原因となる物質が実際に鉄筋に到達することを阻止するという対策が実施されているが、このようにかぶりを厚く設ければ、それだけ余計なコンクリートを要しコストがかかるという問題を有するだけでなく、例えばかぶり不足などの施工時の不具合により鉄筋腐食の原因となる物質の侵入を容易とする懸念もあるなど、やはり根本的な解決方法とは言えない(また、前記かぶりを厚く設けることは、コンクリート構造物の自重増加を招き、耐力面からもコスト増の原因となるなどの実用上の弊害がある。)。
尚、コンクリートのフレッシュ時の単位水量を減らすことで、コンクリートに形成される空隙の量を減らすことが可能(即ち、フレッシュ時に含有される水のうち、セメントとの水和反応により消費されずに残った残余の水(自由水)がコンクリートの空隙形成の原因となる為、この水量を減らすことでコンクリートの空隙の量が減らすことが可能)で、これにより鉄筋腐食の原因となる物質の侵入を阻止し、ひいては、中性化の進行速度の遅延や、塩害による鉄筋の腐食,凍害の抑止が可能でそれだけ空隙の形成を抑止可能であるが、しかし、単位水量を減らすと、フレッシュコンクリートのワーカビリティやコンシステンシーなどの粘性(流動性)が大きく変わってしまいコンクリート施工時の作業性を損ねるといった施工性上の問題もあることから、耐久性上(中性化の抑止や塩害の阻止)の観点のみで単位水量を減らすことはできず、このように、この種のコンクリートにおいて高い耐久性(強度)と、秀れた施工性との双方の両立は非常に難しいのが現状である。
特開2003−342084号公報
本発明は、上述のような問題点に鑑みて完成したもので、セメントの粒子間の空隙に、空隙充填粉末や微小空隙充填粉末などの微細な粒子を緻密に充填し、高密度を実現すると共に、好適なワーカビリティやコンシステンシーを得るために必要となる単位水量を最小限に抑えることができ、これにより、高い耐久性(強度)と秀れた施工性とを備えた極めて高性能なコンクリートを実現し得る画期的な技術を提供することを課題とする。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
セメントなどの粉体と水とを配合するコンクリートの配合方法であって、前記粉体として、所定容積のセメントを配合すると共に、このセメントより粒度が小さく且つこのセメントの粒子間の空隙に充填し得る粒度を有する空隙充填粉末を前記セメントの空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合すると共に、この空隙充填粉末より更に粒度が小さく且つこの空隙充填粉末の粒子間の微小空隙に充填し得る粒度を有する微小空隙充填粉末を前記空隙充填粉末の微小空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合することを特徴とするコンクリートの配合方法に係るものである。
また、予め単位粉体量を設定,若しくは水/粉体比を設定したうえで、前記セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末を夫々、前記粉体に対して内割により所定の質量%配合することを特徴とする請求項1記載のコンクリートの配合方法に係るものである。
また、前記セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々の空隙比若しくは粒度分布から前記粉体が最密となる理論濃密空隙比又は理論濃密組成を求め、この理論濃密空隙比又は理論濃密組成に基づいて前記セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々の配合量を設定することを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のコンクリートの配合方法に係るものである。
また、前記空隙充填用粉末として、潜在水硬性を有する粉末を採用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリートの配合方法に係るものである。
また、前記空隙充填用粉末として、高炉スラグ微粉末4000若しくは高炉スラグ微粉末6000のいずれか若しくは双方を採用することを特徴とする請求項4記載のコンクリートの配合方法に係るものである。
また、前記微小空隙充填用粉末として、珪酸質微粉末を採用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリートの配合方法に係るものである。
また、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンクリートの配合方法によって配合したことを特徴とするコンクリートに係るものである。
本発明は上述のようにするから、セメントの多数の粒子間の空隙に空隙充填粉末が充填され、且つこの空隙充填粉末の多数の粒子間の微小空隙には微小空隙充填粉末が充填される。
つまり、本発明によれば、極めて高密度で空隙容積を極めて少なく抑えた構造を実現でき、それ故、空隙内の水(細孔溶液)の量が少なく、一般的なコンクリートと同様のワーカビリティやコンシステンシーなどの粘性(流動性)を有しながら、その単位水量が非常に少ないコンクリートを製造できる。
従って、本発明は、適正な施工性(粘性(流動性))を確保しつつその単位水量は少なく済むから、ブリージングや乾燥収縮を大幅に減少できる。
また、空隙が少なくコンクリート自体の透気性や透水性が極めて低い構造とすることができ、それ故、例えばコンクリートの表面に保護コーティングを施したりせずとも、コンクリートの表面から内部へと二酸化炭素や塩分,水,酸素などの鉄筋腐食の原因となる種々の物質が侵入(浸透)することを良好に阻止できる。
更に、この鉄筋腐食の原因となる物質の侵入を阻止する機能は、従来例の保護コーティングのように剥がれ落ちて機能が失われてしまう心配もなく、また、このコンクリート表面の保護コーティングや、かぶりを厚く設けるといった余計な施工コストや手間も一切不要となる。
よって、本発明は、高い耐久性(強度)と秀れた施工性(ワーカビリティやコンシステンシー)との双方を高いレベルで両立し得た極めて高機能なコンクリートを製造・実現できる画期的なコンクリートの配合方法となる。
また、請求項2記載の発明においては、粉体の配合量を決定しておいて内割でセメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末の配合量を設定する。つまり空隙充填粉末や微小空隙充填粉末の配合量を増やせば、それだけセメントの配合量(即ち、単位セメント量)が減量する(セメントに対して空隙充填粉末や微小空隙充填粉末を置換配合する)。
よって、単位粉体量や水/粉体比は一定としながら、セメントの配合量は前記空隙充填粉末や微小空隙充填粉末を配合するぶんだけ減量でき、それだけコンクリートの単位セメント量を減少させ、水和熱の発生を抑止し温度ひび割れなどの劣化を抑止できる。また、単位セメント量の減少に伴いコンクリートのアルカリ量を減少でき、アルカリシリカ反応などの種々のアルカリ骨材反応の発生も良好に抑止でき、また、セメントの原料としての石灰石などの天然資源の使用量を減らすこともでき環境面においても秀れるなど、一層秀れたコンクリートの配合方法となる。
また、請求項3記載の発明においては、セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末が最密となるような最適な配合設定を理論式から導きだして、それを基にして各粉末夫々の配合量を適正に設定していくため、一層確実に高密度で緻密な極めて高性能なコンクリートを製造でき得るコンクリートの配合方法となる。
また、請求項4,5記載の発明においては、空隙充填粉末が潜在水硬性を有している為、セメント内に含まれるアルカリなどの刺激材の刺激作用により水と反応し水和物を生成し、これが各粒子間の間隙を埋め結合力を高めるが故に、この潜在水硬性を有する空隙充填粉末と水との反応により経時的に強度向上が進行し、より長期的な観点からの耐久性(強度)向上を図り得た一層秀れたコンクリートを実現可能なコンクリートの配合方法となる。
特に、請求項5記載の発明においては、高炉において銑鉄を製造する際に副産された高炉水砕スラグを乾燥して製造できる高炉スラグ微粉末4000や高炉スラグ微粉末6000を空隙充填粉末として採用するので、セメントのような焼成工程が不要で、燃焼用のエネルギーの削減や二酸化炭素の発生の大幅削減など、環境面やリサイクル面において秀れる。また、双方ともセメントの粒子間の空隙に良好に入り込める小さい粒度を有しており、確実に空隙の緻密化が可能であり、また、例えば高炉スラグ微粉末6000のよりも安価な高炉スラグ微粉末4000と、高炉スラグ微粉末6000とを組み合わせて使用すれば、より低コストに本発明を実施できるなど、一層実用性に秀れたコンクリートの配合方法となる。更にこの高炉スラグ微粉末は高い潜在水硬性を有している為、前述の潜在水硬性による硬度向上も良好に発揮される。
また、請求項6記載の発明においては、微小空隙充填粉末として、マイクロフィラー効果を有する極小粒度で、しかも粒度分布も安定的(均一)な珪酸質微粉末を採用することで、この微小空隙充填用粉末が確実に細孔構造の緻密化、即ち、セメントや空隙充填用粉末の粒子間の空隙への微粒子の充填による高密度化を達成し得、上述したような本発明の秀れた作用効果を確実に発揮し得るコンクリートの配合方法となる。
また更に、珪酸質の微粉末故に、ポゾラン反応による中,長期的なコンクリート耐久性(強度)の向上をも図り得る。即ち、この微小空隙充填粉末としての珪酸質微粉末が、セメント内で水和反応を示し、微粒子同志を結合する結合能力を有する水和物を生成することで、コンクリートの耐久性(強度)の向上を一層助長でき、この点、一層秀れたコンクリートの配合方法となる。
また、請求項7記載の発明においては、前述した請求項1に係る発明と同様の作用効果を発揮する極めて実用性に秀れたコンクリートとなる。
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明は、セメントなどの粉体と水とを配合するコンクリートの配合方法であって、前記粉体として、次のものを配合している。
1.所定容積のセメント
2.セメントより粒度が小さく、且つこのセメントの多数の粒子間の空隙に充填し得る
粒度を有する空隙充填粉末
3.空隙充填粉末より更に粒度が小さく、且つこの空隙充填粉末の多数の粒子間の微小
空隙に充填し得る粒度を有する微小空隙充填粉末
従って、本発明で配合する粉体は、単なるセメントと比して、この異なる粒度を有する上記1〜3の粉末の組み合わせによる連続的な粒度分布を有する緻密な構造となる。
また、上記2の空隙充填粉末は、上記1のセメントの空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合している。
また、上記3の微小空隙充填粉末は、上記2の空隙充填粉末の微小空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合している。
つまり、本発明は、セメントの空隙に充填可能な粒度の空隙充填粉末をこのセメントの空隙の全容積を満たす量だけ配合し、且つこの空隙充填粉末の微小空隙に充填可能な粒度の微小空隙充填粉末をこの空隙充填粉末の微小空隙の全容積を満たす量だけ配合している為、極めて高密度で緻密な構造とすることができ、また、セメントの粒子間の空隙には上記の空隙充填粉末や微小空隙充填粉末などの微小な粉末を充填している為、それだけセメント粒子間の水(細孔溶液)の量が少なくでき、ひいては、施工上好適なワーカビリティやコンシステンシーを確保するために必要な単位水量も少なくて済むこととなる。
即ち、本発明のコンクリートの配合方法によれば、極めて高密度で、しかも施工上好適な粘性(流動性)を確保を有し、且つ必要な単位水量が非常に少なくて済む画期的なコンクリートが実現できることとなる。
従って、本発明により配合したコンクリートは、高密度で、しかも単位水量を少なく設定できるから、コンクリートのブリージングや乾燥収縮を大幅に減少できるだけでなく、空隙が少なくコンクリート自体の透気性や透水性が極めて低い構造とすることができ、それ故、例えばコンクリートの表面に保護コーティングを施したりせずとも、コンクリートの表面から内部へと二酸化炭素や塩分,水,酸素などの鉄筋腐食の原因となる種々の物質が侵入(浸透)することを良好に阻止でき、しかも、この鉄筋腐食の原因となる物質の侵入を阻止する機能は、従来例の保護コーティングのように剥がれ落ちて機能が失われてしまう心配もなく、また、このコンクリート表面の保護コーティングや、かぶりを厚く設けるといった余計な施工コストや手間も一切不要な高機能なコンクリートとなり、よって、本発明は高い耐久性(強度)と秀れた施工性とを有する高機能なコンクリートを確実にして低コストに実現し得る画期的なコンクリートの配合方法となる。
尚、空隙充填用粉末としては、例えば、セメントの粒子間の空隙に良好に入り込める微小な粒度を有する高炉スラグ微粉末4000,高炉スラグ微粉末6000のいずれか若しくは双方を採用すれば良い。これらはセメントの空隙に入り込んでこの空隙の緻密化を確実に達成できる。また、この高炉スラグ微粉末のように、潜在水硬性を有する粉末を採用した場合には、前記潜在水硬性により、空隙充填粉末がセメント内に含まれるアルカリなどの刺激材の刺激作用により水と反応して例えばカルシウムシリケート水和物やカルシウムアルミネート水和物などの水和物を生成し、これが各粒子間の間隙を埋め結合を高めるが故に、この潜在水硬性を有する空隙充填粉末と水との反応により経時的に強度向上が進行し、より長期的な高い耐久性(強度)が得られることとなる。
また更に、高炉スラグ微粉末4000,高炉スラグ微粉末6000は、いずれも製造時、セメントのような焼成工程が不要で、高炉において銑鉄を製造する際にこれら粉末を副産できるので、燃焼用のエネルギーの削減や二酸化炭素の発生の大幅削減など、環境面やリサイクル面においても秀れる。
微小空隙充填粉末としては、例えば、珪酸質微粉末を採用すれば良い。特に、例えばシリカフュームなど、マイクロフィラー効果を奏する程に極小粒度のものを採用すれば、微小空隙充填用粉末により確実に細孔構造の緻密化、即ち、セメントや空隙充填用粉末の粒子間の空隙への微粒子の充填による高密度化を達成し得、ひいては透気性,透水性の減少による機密性,水密性,化学的安定性の向上などの秀れた作用を発揮し得ることとなる。
また更に、この微小空隙充填粉末としての珪酸質微粉末が、セメント内で水和反応を示し、微粒子同志を結合する結合能力を有する水和物を生成する、所謂ポゾラン効果により、コンクリートの耐久性(強度)が一層向上されることとなる。
以上のように、本発明は、コンクリートを極めて高密度な構造としただけでなく、更に前述したようなポゾラン効果や、潜在水硬性による中,長期的な耐久性(強度)においても極めて高い特性を備える極めて高性能なコンクリートを実現できることとなる。
また、例えば、予め単位粉体量を設定,若しくは水/粉体比を設定したうえで、前記セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末を夫々、前記粉体に対して内割で所定質量%配合することとした場合、つまり、粉体の配合量(セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末の総配合量)は予め固定で、この粉体の配合量に対して内割でセメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末を夫々何質量%配合するか設定することとした場合、空隙充填粉末や微小空隙充填粉末を配合する分だけ、セメントの配合量は減量することとなる。
よって、セメントに変わって空隙充填粉末や微小空隙充填粉末を配合するので、それだけセメント量を少なくでき、水和熱の発生を抑止し温度ひび割れなどの防止策にもなる。
また、セメント量が減るとそれだけアルカリ量が減少するため、それだけ例えばアルカリシリカ反応などのアルカリ骨材反応を抑止できることとなる。
また、セメント量が減ることで、このセメントの原料となる石灰石などの天然資源の使用量を減らせることにもなるから環境上においても高い実用性を有することとなる。
また、例えば、セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々の空隙比若しくは粒度分布から前記粉体が最密となる理論濃密空隙比又は理論濃密組成を求め、この理論濃密空隙比又は理論濃密組成に基づいてセメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々の配合量を設定することとした場合には、これらセメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々を的確な配合量設定により、一層確実に高密度なコンクリートが得られるコンクリートの配合方法となる。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、セメントなどの粉体と水とを配合するコンクリートの配合方法であって、前記粉体として、所定容積のセメントを配合すると共に、このセメントより粒度が小さく且つこのセメントの粒子間の空隙に充填し得る粒度を有する空隙充填粉末を前記セメントの空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合すると共に、この空隙充填粉末より更に粒度が小さく且つこの空隙充填粉末の粒子間の微小空隙に充填し得る粒度を有する微小空隙充填粉末を前記空隙充填粉末の微小空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合する。
また、空隙充填用粉末としては、潜在水硬性を有する粉末を採用しており、具体的には、高炉スラグ微粉末4000若しくは高炉スラグ微粉末6000のいずれか若しくは双方を採用するものとする(本実施例では、図3に図示した粒度分布を有する高炉スラグ微粉末6000のみを採用する。)。尚、この高炉スラグ微粉末6000より安価な高炉スラグ微粉末4000と組み合わせて採用すれば、低コストに本実施例を実施できるし、他にも、コンクリートの使用用途やコンクリート構造物の建設環境,耐久年数などの求められる種々の性能に応じて双方を適宜組み合わせて(若しくは組み合わせずに)採用すれば良い。
また、微小空隙充填用粉末としては、珪酸質微粉末を採用しており、特にセメントの粒子や空隙充填用粉末の粒子間の間隙を埋めるマイクロフィラー効果を奏する超微小粒子であるシリカフューム(比表面積200000cm/g程度)などを採用する(具体的には、このシリカフュームを更に精選し、本実施例に好適な適宜な粒度分布を有する珪酸質微粉末を生成してこれを本実施例の微小空隙充填用粉末として採用する。)。
図3は、本実施例の粉体を構成するセメント,高炉スラグ微粉末6000及び珪酸質微粉末の夫々の粒度分布を示す図であり、この図3に図示した粒度分布を有するセメント,珪酸質微粉末を本実施例では採用するものである。
このように、互いに粒度を有する部材の組み合わせによる連続粒度分布によりコンクリートの緻密化を実現するものである。
尚、図3に図示するセメントの粒度分布は、あくまで有る特定のセメントの粒度分布であって、この他にもセメントには粒度分布の異なる多数の種類がある。本実施例で使用するセメントや空隙充填用粉末,微小空隙充填用粉末は、図3に図示したような粒度分布を有するものに限られるものではなく、採用するセメントの粒度分布を測定し、この測定したセメントの粒度分布に応じた適宜な粒度分布を有する空隙充填用粉末及び微小空隙充填用粉末を選定して採用するか、或いは空隙充填用粉末及び微小空隙充填用粉末は予め選定しておき、これらの各粒度分布に応じた適宜な粒度分布を有するセメントを選定して採用することで、例えば図3に図示したような連続分布によるコンクリートの緻密化(高密度化)を達成するものである。
本実施例では、予め単位粉体量を設定,若しくは水/粉体比を設定したうえで、前記セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末を夫々、前記粉体に対して内割により所定の質量%配合するようにしている。
具体的には、これらセメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々の空隙比若しくは粒度分布から前記粉体が最密となる理論濃密空隙比又は理論濃密組成を求め、この理論濃密空隙比又は理論濃密組成に基づいて前記セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々の配合量を設定する。
更に詳述すると、本実施例では下記の通りにして各部材の配合量を設定する。
尚、図1,2は、粉体粒子を球で表したモデル図である。
セメントの粒子の平均直径を0.017mmとする。
<モデル1の場合>
図1に図示したモデル1の場合には、球体(セメントの粒子)の容積は次の式(数式1)の通りである。
Figure 2008088003
この球体を、縦,横,奥行きが夫々1000mmの方形状の箱体に充填した際、この箱体に充填可能な球体の個数(充填個数)は次の式(数式2)の通りである。
Figure 2008088003
従って、上記数式1,数式2より、この方形状の箱体に充填した球体の総容積は次の式(数式3)の通りである。
Figure 2008088003
よって、箱体中の球体の実績率((箱体の容積)/(球体の充填容積)比)は52%である。
また、図1中、球体Aの中心座標(0,0,0)とすると、球体Dの中心座標(2r,2r,2r)である。
従って、モデル1の場合の最大空隙(距離)は次の式(数式4)の通りである。
Figure 2008088003
<モデル2の場合>
図2に図示したモデル2の場合には、球体(セメントの粒子)の容積は次の式(数式5)の通りである。
Figure 2008088003
この球体を、縦,横,奥行きが夫々1000mmの方形状の箱体に充填した際、この箱体に充填可能な球体の個数(充填個数)は次の式(数式6)の通りである。
Figure 2008088003
従って、上記数式5,数式6より、この方形状の箱体に充填した球体の総容積は次の式(数式7)の通りである。
Figure 2008088003
よって、箱体中の球体の実績率((箱体の容積)/(球体の充填容積)比)は74%である。
また、図2中、球体Aの中心座標(0,0,0)とすると、球体Bの中心座標(r,r,r√2),球体Cの中心座標(2r,2r,2r√2),球体Dの中心座標(2r,2r,0)である。
従って、モデル2の場合の最大空隙(距離)は次の式(数式8)の通りである。
Figure 2008088003
以上から、セメントの平均直径を0.017mmとした場合
1.モデル1の場合、実績率52%,最大空隙は0.0062mm,空隙率は48%
2.モデル2の場合、実績率74%,最大空隙は0.0035mm,空隙率は26%
よって、その中央値は実績率63%,最大空隙は0.0049mm,空隙率は37%となる。
従って、セメントの配合量に対して、37%(質量%)の空隙充填粉末を配合する。
同様の計算手法により、空隙充填粉末の実績率を算出して求められた空隙率から、空隙充填粉末に対して微小空隙充填粉末の配合割合(質量%)を決定する。
このように、最密となるセメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末の配合割合(質量%))を求めた上で、配合する粉体量に対して内割で各部材の配合量を決定する。
尚、このセメントや空隙充填粉末(高炉スラグ微粉末6000),微小空隙充填粉末(珪酸質微粉末)の配合割合は、コンクリートの強度設定や流動性設定,コンクリートの外観向上,使用用途,構造物の建設環境,耐久年数など、求められる種々の性能に応じて夫々の部材の配合量を調整することで、これらの性能を具備した高機能コンクリートが実現可能である。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
本実施例に係るコンクリートの配合方法の粒子間の最大空隙を算出するための粒子モデル図である。 本実施例に係るコンクリートの配合方法の粒子間の最大空隙を算出するための粒子モデル図である。 本実施例に係るコンクリートの配合方法の粉体を構成するセメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々の粒度分布を示す図である。

Claims (7)

  1. セメントなどの粉体と水とを配合するコンクリートの配合方法であって、前記粉体として、所定容積のセメントを配合すると共に、このセメントより粒度が小さく且つこのセメントの粒子間の空隙に充填し得る粒度を有する空隙充填粉末を前記セメントの空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合すると共に、この空隙充填粉末より更に粒度が小さく且つこの空隙充填粉末の粒子間の微小空隙に充填し得る粒度を有する微小空隙充填粉末を前記空隙充填粉末の微小空隙の全容積と略等しい若しくはそれ以上の所定容積配合することを特徴とするコンクリートの配合方法。
  2. 予め単位粉体量を設定,若しくは水/粉体比を設定したうえで、前記セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末を夫々、前記粉体に対して内割により所定の質量%配合することを特徴とする請求項1記載のコンクリートの配合方法。
  3. 前記セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々の空隙比若しくは粒度分布から前記粉体が最密となる理論濃密空隙比又は理論濃密組成を求め、この理論濃密空隙比又は理論濃密組成に基づいて前記セメント,空隙充填粉末及び微小空隙充填粉末夫々の配合量を設定することを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のコンクリートの配合方法。
  4. 前記空隙充填用粉末として、潜在水硬性を有する粉末を採用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリートの配合方法。
  5. 前記空隙充填用粉末として、高炉スラグ微粉末4000若しくは高炉スラグ微粉末6000のいずれか若しくは双方を採用することを特徴とする請求項4記載のコンクリートの配合方法。
  6. 前記微小空隙充填用粉末として、珪酸質微粉末を採用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンクリートの配合方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンクリートの配合方法によって配合したことを特徴とするコンクリート。
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