JP2008083026A - 電磁波を用いた検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】検体の有効な利用を可能とする検査装置及び方法を提供する。
【解決手段】電磁波を用いて検体の情報を取得するための検査装置は、伝送路12と、電磁波発生手段11と、電磁波検出手段14と、壁構造体13を有する。伝送路12は、基板10に形成されて電磁波を伝播させる。電磁波発生手段11は、電磁波を発生して伝送路12に供給する。電磁波検出手段14は、伝送路12を伝播してきた電磁波を検出する。壁構造体は、被測定対象が伝送路12を伝播する電磁波と相互作用する領域内において伝送路12に沿って伸びて基板10の面から、この領域の内側に向かって、立ち上がった側壁部を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波を用いて、検体の情報(物性、同定、濃度、存否など)を取得するための検査装置及び検査方法に関する。特には、周波数30GHz乃至30THzの周波数領域の少なくとも一部を含む周波数の電磁波(本明細書では、テラヘルツ波と呼ぶ)を用いる検査装置及び検査方法に関する。
近年、テラヘルツ波を発生、検出する手段が開発されたのに伴い、テラヘルツ波を利用した技術が注目されている。例えば、テラヘルツ波の応用分野として、X線に替わる安全な透視検査装置としてイメージングを行う技術がある。また、物質の吸収スペクトルや複素誘電率を調べて結合状態を調べる分光技術、生体分子の解析技術、通信技術などが研究、開発されている。
こうした技術に関連して、非特許文献1は、伝送路型テラヘルツセンサに関する論文を開示している。図16(a)、(b)の104から108は、非特許文献1の伝送路型テラヘルツセンサを模式的に示している。ここでは、基板104の上に、テラヘルツ波発生部107とテラヘルツ波検出部108を集積化し、それらを含む様にポリエチレン容器105を設置し、検体導入孔106から検体を導入する。
また、伝送路型テラヘルツセンサに関し、伝送線路近傍に、或る波長オーダの周期性をもって検体を配置する技術が開示されている(特許文献1参照)。いずれの技術においても、検体を伝送路の上ないし近傍に堆積している。そして、伝送路を伝播する電磁波と検体を相互作用させることで、伝送路型テラヘルツセンサとして動作させている。
Appl.Phys.Lett.,88,212511,2006 特開2006-153852号公報

検体の塗布方法の一つとして、検体が溶媒に包含された溶液を準備し(例えば、DNAならばリン酸緩衝液など)、マイクロインジェクタの様な微小量滴下装置などで伝送路上に塗布することが考えられる。この滴下装置の滴下制御量は、溶液の濃度が十分薄い場合、数10ピコリットルオーダで制御できるが、濃度が濃くなると、制御できる溶液の量も多くなることが分かった。溶液の濃度が十分薄いと、滴下される溶液が存在する領域は、数10ピコリットルオーダの微小液滴にできるので、伝送路近傍のみに制御することができる。ところが、溶液の濃度が濃くなり、制御できる滴下量(例えば数10ナノリットルオーダ)が多くなると、この領域は、伝送路を超えて、広範囲に広がることを確認した。伝送路上に滴下した溶液が乾燥した後、検体は、溶液が存在していた領域において、或る分布でもって存在する。具体的には、検体は、下地である基板の材質、平坦性にもよるが、溶液の存在していた領域の中で、選択的に、外側に円環状ないし環状に形成される。以後、この円環状ないし環状に形成される部分を、メニスカス部分と呼ぶこともある。
このような現象は、溶液の蒸発と重力が引き起こす溶質の濃度差による対流の影響によって、以下の様に説明できる。溶液中に一様に溶けた検体は、マイクロインジェクタによる溶液の滴下後、基板上で略半球状に形成される。略半球状に形成された溶液は、気相つまり大気と接触した面から蒸発をし、その結果、略球面の外側の溶質濃度が内部に比べて高くなる。従って、溶質濃度の密度勾配を生じ、検体濃度の高い部分(つまり溶液の外側)が、検体濃度の低い部分(つまり溶液の内部)の下に外側から下に潜り込むという流れの密度対流が発生する。その際も溶液蒸発が進んでいるので、結果として、検体がメニスカス状に堆積することになる。
前述したように、制御可能な溶液の滴下量が多い場合、図14に示す様に、伝送路121上に対し、検体は、伝送路121を含む広範囲な領域において円環状122に形成される。この場合、滴下した検体の量に対し、一部の検体、具体的には、伝送路121と円環状122の部分が交わる近傍の領域に存在する検体しか、伝送路を伝播する電磁波との相互作用に寄与していないと考えられる。
そこで、非特許文献1のように、伝送路を伝播する電磁波との相互作用領域を増やすために、溶液が分布する領域を限定し、メニスカス部分の内部を埋めるように、検体を堆積する手法がある。この場合、溶液の濃度が高いと、区切られた領域によっては、溶液が該領域内に入り込まないので、溶液の濃度によって、適切な領域を設定することが望まれる。こうしたとき、この領域内に被測定サンプルを充填するために、相当量の溶液が必要となることがある。伝送路を伝播する電磁波と検体が相互作用する領域は、伝送路近傍である。そのため、伝送路において、センシングに寄与する領域は多いものの、使用した検体に対し、センサの動作に寄与する検体量は少ないと考えられる。
以上のように、伝送路型テラヘルツセンサにおいては、検体の利用効率に改善の余地がある。
上記課題に鑑み、本発明の検査装置は、電磁波を用いて被測定対象の情報を取得するための検査装置であって、次の特徴を有する。本検査装置は、基板に形成された電磁波を伝播させるための伝送路と、電磁波を発生して伝送路に供給するための電磁波発生手段と、伝送路を伝播してきた電磁波を検出するための電磁波検出手段と、壁構造体を有する。前記壁構造体は、被測定対象が伝送路を伝播する電磁波と相互作用する領域内において伝送路に沿って伸びて基板の面から、該領域の内側に向かって、立ち上がった側壁部を有する。
また、上記課題に鑑み、本発明の検査方法は、上記検査装置を用いて被測定対象の情報を取得するための検査方法であって、被測定対象内の検体と伝送路を伝播する電磁波との相互作用の結果を検出することによって、検体を検査することを特徴とする。また、本発明の検査方法は、基板上に滴下される被測定対象内の検体の温度依存性をモニタする温度依存性モニタ手段を有する上記の検査装置を用いて被測定対象の情報を取得するための検査方法である。そして、被測定対象内の検体と伝送路を伝播する電磁波との相互作用の温度依存性を検出することによって、検体を検査することを特徴とする。
本発明の検査装置及び方法では、典型的には、周波数30GHz以上30THz以下の領域の周波数成分を含む電磁波を用いて、測定検体の分析ないし情報の取得を行う。更に、生体材料などの指紋スペクトルを取得する為には、0.1THzから10THz程度の領域の周波数成分を含む電磁波を用いるのが、好適である。
本発明の検査装置及び方法によれば、上記壁構造体を設けることによって、検体の有効な利用が可能となる。
以下、本発明の検査装置及び方法の実施形態を説明する。実施形態では、伝送路が形成された領域に検体が広がる様に、溶液などの被測定対象から析出する検体のメニスカス部分が伝送路上又はその近傍に堆積するか、或いは溶液などの被測定対象内の検体がそうした領域内に止まることを補助する壁構造体を設ける。すなわち、伝送路を伝播する電磁波の電場分布が及んで電磁波と相互作用する領域において、その領域の内側に向かって、伝送路が形成された面から立ち上がって側壁部を形成する部分を有する壁構造体を設ける。この領域の範囲は、例えば、伝播電磁波の電場分布のピーク値の1/e以上の電場が存在する領域を含む部位として定義される。そうした部位に壁構造体を設置すれば、堆積する検体と電磁波が効率的に相互作用を起こし、伝送路を伝播する電磁波の伝播状態に効果的に影響を与えることができる。
壁構造体の1つの形態は、基板上に滴下される被測定対象から析出する検体の少なくとも一部が、伝送路を伝播する電磁波と相互作用する領域内に堆積することを補助する上述の堆積補助構造体である。しかし、壁構造体は、基板上に滴下される被測定対象内の検体の少なくとも一部が、伝送路を伝播する電磁波と相互作用する領域内に規制されることを補助するための規制補助構造体としても機能できる。溶液などの被測定対象内の検体が伝送路上又はその近傍の領域内に止まることを補助する役目を持つ典型例は、後述する第4の実施例のように被測定対象を冷凍保持する場合である。この場合は、溶液などの被測定対象から検体が析出してメニスカス部分が形成される前に、上記領域内に規制された被測定対象を冷凍して測定を行うことになる。以下の説明においては、主として、メニスカス部分が伝送路上又はその近傍に選択的に堆積することを補助する堆積補助構造体を説明するが、該構造体は、被測定対象内の検体が上記領域内に規制されることを補助する規制補助構造体として用いることもできる。
溶液などの被測定対象から析出する検体のメニスカス部分が伝送路上ないしその近傍に堆積することを補助するための構造体としては、例えば、図3に示す様なダム状の液溜め構造がある。例えば、マイクロインジェクタ32から検体を含む溶液33を液溜め構造31の内部に滴下すると、溶液は液溜め構造31の内部に留まり、検体は液溜め構造31の内壁の形状、材質の影響を受けて堆積する。この液溜め構造31の内側の側壁部を、伝送路近傍にあり且つ伝送路から見て溶液が広がる方向の側に形成することで(典型的には、伝送路のある領域を囲い込む態様で形成することで)、検体を選択的に伝送路上ないしその近傍に堆積することが可能となる。上述したように、こうした構成は、溶液内の検体が伝送路上又はその近傍の領域内に規制されることを補助する役目を担う規制補助構造体として用いることもできる。
ここで、本発明を適用するに際して用いる概念的な構成例を、図4で説明する。図4において、41は、テラヘルツ波を発生する電磁波発生手段、42は、テラヘルツ波を伝送する伝送路、43は、テラヘルツ波を検出する電磁波検出手段である。また、44は、周波数が30GHzから30THzの少なくとも一部の周波数帯域を含む電磁波、45は被測定対象内の検体、46は、溶液などの被測定対象から析出する検体のメニスカス部分が伝送路42上に選択的に堆積することを補助するための液溜め構造である。ここで言う液溜め構造46では、検体45が伝送路42上ないしその近傍に選択的に堆積することを補助するための構造体のうちの少なくとも一部の領域が、伝送路近傍にて伝送路42に沿って存在している。更に、前記検体45を滴下する面に対して段差による高い面を有し、その段差部分による側壁部によって検体45を含む被測定対象を一定領域に閉じ込めておくことができる構造体である(図3参照)。
上記テラヘルツ波の周波数領域(30GHz以上30THz)は、分子間の相互作用や、分子の立体構造の変化に起因する特性の変化が現れる周波数領域である。そのため、巨視的な分子の特性変化を観察するのに適した領域であるといえる。
テラヘルツ波を発生して伝送路42に供給する電磁波発生手段41としては、低温成長ガリウムヒ素(LT-GaAs)を用いた光伝導素子を集積化する方法がある。また、パラメトリック発生器やBWO(後進行波管)や量子カスケードレーザと、アンテナなどの外部結合手段を用いてデバイスに入射させる方法がある。また、テラヘルツ波を検出する電磁波検出手段43としては、LT-GaAsを使用した光伝導素子を用いる。ただし、これに限るものではなく、EO結晶(電気光学結晶)やボロメータや超伝導トンネル接合素子やショットキーダイオードなどを用いてもよい。
検体45は、例えば、溶媒に溶かして、その溶液をマイクロインジェクタ(不図示)などの微小量塗布手段を用いて伝送路上に塗布する。例えば、検体45として、DNAなどを分析したい時には、これをリン酸緩衝液の中に入れる。DNA濃度しては、例えば、0.5μg/μlで、量は数十nlである。液溜め構造46は、溶液を滴下した後の検体45の存在領域を規制するもので、ここでは、具体的には、誘電体材料の高さ数μmの桶構造である。液溜め構造46によって、溶液をその中に閉じ込めておくことが可能となり、その結果、検体45の配置位置制御が容易に可能となる。
液溜め構造46の下地(溶液が滴下される場所)が平坦な場合には、検体45は、溶液を滴下して基板上に保持される時の形態の外周上(つまり、液溜め構造46の側壁と下地面との交線に沿う形状)に沿って、メニスカス状に堆積する。尚、下地は、プラズマエッチングなどの工程を経た後では、非平坦性を持つ故に、この場合は、液溜め構造46で規制されて保持された検体はメニスカス状ではなく下地の非平坦性のパターンに従った形状に沿って堆積する。これは、あまり好ましいものではないが、いずれにせよ、液溜め構造46を伝送路近傍に配置することによって、伝送路上ないしその近傍に、メニスカス状または非平坦性のパターンに従った形状に検体を堆積させることが可能となる。その結果、伝送路42を伝播する電磁波44と検体45との相互作用領域を増やすことが可能となる。
以上に説明した様に、上記実施形態の検査装置では、堆積補助構造体を設けることによって、検体と伝送路を伝播する電磁波との相互作用領域を増やすことが可能となり、検体の利用効率を上げることができる。
次に、本発明による検査装置のより具体的な実施例について説明する。
(第1の実施例)
図1は、本発明を適用できる検査装置の構成を示す平面図である。本実施例では、電磁波発生手段として、LT-GaAsによる光伝導素子11を用いる。また、電磁波検出手段として、電磁波発生手段と同様に、LT-GaAsによる光伝導素子14を用いる。また、伝送路として、マイクロストリップライン12を用いる。マイクロストリップライン12は、2つの金属層の間に誘電体を挟み込んだ形態をしている。マイクロストリップラインは、低周波乃至テラヘルツ波において、電磁波の不要な伝播モードが抑制される構造であるため、伝搬損失や分散特性が比較的良好である。また、作製し易いなどの特徴もある。本実施例では、基板10上のマイクロストリップライン12は、直線状であり、その一部分に光伝導素子11と14が、約1mmの間隔でもって集積化されている。マイクロストリップライン12の誘電体を挟み込む2つの金属層としてはTi/Auを積層し、誘電体層にはBCB(ベンゾシクロブテン)を用いる。BCBは、テラヘルツ波の領域で比較的透明であり、薬品耐性が良いことやエッチングなどの加工がしやすいという特徴がある。本実施例は、更に、電磁波発生手段の光伝導素子11にバイアス電圧を印加するための電極部15や、各種の電極パッド19を備えている。
本実施例の伝送路12の近傍には、溶液から析出する主としてメニスカス状の検体16の一部が、伝送路上に沿って選択的に堆積することを補助するための構造体がある。本実施例では、この構造体として、溶液を一定領域に閉じ込めておくための液溜め構造13を用いる。
図15は、本実施例の伝送路として適応できるマイクロストリップラインの電界分布に関する解析結果である。図15は、マイクロストリップラインに関し、線幅で規格化した幅Wの領域に対する電界強度分布を示している。例えば、W=1の場合、マイクロストリップラインを構成するストリップラインの両縁部分の電界強度を示す。図15によると、電場分布のピーク値の1/e以上の電場が存在する領域は、およそ3Wであることが分かる。別の言い方をすると、ストリップラインの縁から、ほぼ1線路幅分の領域において、検出感度を有することが分かる。このことから、マイクロストリップライン12を伝播する電磁波と相互作用させるには、この領域に構造を配置することが望ましいことが分かる。
本実施例では、液溜め構造13は、図2の様な桶の構造18を取り、液溜め構造13の側壁のうちの少なくとも一辺とマイクロストリップライン12の間の距離は、線路17の端から線路幅の1倍以内の距離であるのが望ましい。つまり、マイクロストリップライン12の線路幅が10μmであるとすると、液溜め構造13の少なくとも一辺は、マイクロストリップライン12の線路端から10μm程度以内にあることが望ましい。すなわち、マイクロストリップライン12における電磁波の伝搬モードは、電磁波は線路の中心の両側に線路幅の3倍程度以内に納まるので、液溜め構造13はこのことを考慮して形成するのが望ましい。従って、本実施例では、壁構造体(液溜め構造13)の側壁部と伝送路(マイクロストリップライン12)の端との距離が、該伝送路の幅に対して1倍以内になっている。しかし、これに制限されるものではない。液溜め構造13の辺とマイクロストリップライン12が上記距離以上に離れているという形態を排除するものではない。液溜め構造13の材料は、上記特徴に鑑みてマイクロストリップライン12に用いたBCBを用いるのが好適であるが、テラヘルツ波の領域で低損失な材料であれば、これに限るものではない。
次に、本実施例の作製プロセス例を述べる。まず、熱酸化膜付Si(シリコン)基板を用い、この上に、金属層を積層する。これは、後述する光伝導素子11、14に用いるLT-GaAsを基板上に接合するためのAuSn(金すず)ハンダ層を積層する際に必要な層である。本作製例ではTi/Pd/Au(チタン/パラジウム/金)をスパッタリングと電界メッキによる方法で積層する。次に、光伝導素子11、14としてLT-GaAs薄膜を作り込む領域に、LT-GaAs薄膜を転写するためのAuSnハンダ層を積層する。AuSnハンダ層の積層法には、AuとSnの同時蒸着法や、互いにAuとSnを交互に電界メッキなどで積層していく方法がある。
テラヘルツ波の発生及び検出に使用するLT-GaAs薄膜の転写の手法を以下に述べる。SI-GaAs(高抵抗ガリウムヒ素)基板上に、エッチングストップ層としてAlAs(アルミニウムヒ素)犠牲層を積層する。その後、250℃の低温でエピタキシャル成長させてアニールしたLT-GaAsに、スパッタリングや蒸着で金属層を積層する。そして、ボンディング装置などを使用して、LT-GaAsチップの金属面とSi基板上の金属面を熱圧着や超音波圧着などで接合させる。その後、GaAs基板とAlAs犠牲層をウエットエッチングで選択的に除去することによって、LT-GaAsの薄膜を転写することができる。その後、LT-GaAsを発生用と検出用に分離するために、フォトリソグラフィとウエットエッチングを用いて、LT-GaAsの不要部分の除去を行う。尚、ここでは、薄膜として、GaAs系について述べたが、これに限らない。他の半導体として、インジウムリン(InP)やインジウムヒ素(InAs)を用いてもよい。また、有機半導体で、光伝導性があるものを用いてもよい。
次に、誘電体材料を積層する。誘電体材料はBCBを用いる。誘電体材料はこれに限るものではなく、ポリシラン、ポリイミド、テフロン(登録商標)、ポリオレフィンなどを用いてもよい。誘電体材料としては、高周波伝送路の特性上、伝送路における誘電損失を小さくするために、誘電正接が小さい材料を選ぶのがよい。積層には、スピンコータを用いて塗布した後、オーブンやホットプレートなどでキュアする。
次に、再度フォトリソグラフィとドライエッチング工程を行い、BCBの一部の領域を除去し、LT-GaAs薄膜面を露出させる。これは、GND部分と伝送路部分を利用してLT-GaAsにバイアス電圧を垂直にまたは水平に印加できる様に、伝送路の金属層をLT-GaAs面と接触させるためである。また更に、テラヘルツ波を発生、検出できる様に、LT-GaAsにフェムト秒レーザを照射するためである。
プロセス例を以下に示す。GND層となる金属層の上に薄膜のLT-GaAsを転写した状態の基板に、BCBを積層する。BCBは、先ほど述べた様に、スピンコータなどを使用して塗布する。そして、AZ4620などのフォトレジストを塗布して露光、現像し、BCB層の上にパターニングをする。レジストは誘電体をエッチングする際に用いるガスに対して耐性の強い選択比の良好なレジストを用いるのがよい。BCBのエッチングには、O2及びCF4を用いる。
ドライエッチングの方法でBCBをエッチングした後、レジストを除去する。除去する方法としては、例えば、酸素プラズマを用いたアッシングやアセトンなどの有機溶剤を使用して溶融させる。
LT-GaAs薄膜面を露出させた後、伝送路と電極パッドを形成する。方法はフォトリソグラフィとリフトオフを用いて行う。伝送路は、露出したLT-GaAs薄膜の上を通過する様に形成する。伝送路の金属幅は、BCB層の誘電率と積層厚にも依存するが、例えばBCBを5μm程度の厚みで積層した場合、金属幅は約10μm程度になる。
最後に、液溜め構造13を作製する。フォトリソグラフィによって材料をパターニングして行う方法や、レジストをマスク材としてフォトリソグラフィによってパターニングした後、ドライエッチングで加工する方法などが考えられる。
次に、本実施例のセンシング動作を説明するが、その前に、液溜め構造13における検体16の堆積について更に簡単に説明する。緩衝液をマイクロインジェクタで液溜め構造13内に滴下すると、緩衝液の蒸発につれて、検体16は、下地及び液溜め構造13の側壁に堆積する。緩衝液の液溜め構造13内での振舞いは、内壁の濡れ性、表面張力、緩衝液の濃度などに依存する。例えば、図1のA’−A断面図に相当する図5に示す様に、液溜め構造51の側壁52の濡れ性が高い時には、緩衝液は、毛細管現象により内壁52にへばりつく様に接触して留まりつつ蒸発していく。その結果、検体54は、液溜め構造51の下地面(伝送路53が形成されている)のみならず、側壁にも堆積する。一方、図1のA’−A断面図に相当する図6に示す様に、内壁61の濡れ性が小さい時には、同じく表面張力による毛細管現象で液面は側壁62を避ける様に留まり蒸発していく。その結果、検体64は、液溜め構造61の側壁62に殆ど堆積しないで、液溜め構造61の下地面(伝送路63が形成されている)に堆積する。つまり、側壁を疎水性材料で形成することにより、側壁への検体の堆積を抑制することも可能である。これは、メニスカス部分を制御性良く効果的に形成できるので、好ましい形態である。
以上の様に、検体を所定の場所に堆積させるためには、液溜め構造13の配置場所及びその側壁の材質、更に液溜め構造13の下地(溶液が滴下される面)の材質及び平坦性を考慮する必要がある。
以上の如く作製したデバイスを用いて測定する方法にはTHz-TDS(時間領域分光法)という手法を用いて測定する方法がある。図7は、この測定に使用できる測定系の全体を示している。
フェムト秒レーザ71から出射したフェムト秒パルスレーザ光はビームスプリッタ72によって2つに分岐され、ミラー73を設置した光路を経て、1つは、本実施例の装置である基板76内にある発生側の光伝導素子11に照射される。また、もう一方は、遅延光学系74を経て、基板76内にある検出側の光伝導素子14に照射される。両光伝導素子は、伝送路12を隔てて間隔数mmと接近しているため、対物レンズ75を用いて両方のフェムト秒パルスレーザ光を集光するとよい。遅延光学系74を走査することで、テラヘルツの時間波形を取得できる。
図8は、伝送路12上にサンプル(検体)が存在する時と存在しない時(reference)の時間波形の比較の一例である。サンプルが存在する時には、電磁波はそのサンプルのマクロな複素誘電率の影響を受けて、時間遅延やパルスピークの減衰が発生する。こうして、電磁波を用いた検体の情報の取得が行われる。測定方法としては、時間領域分光法に限らない。例えば、単純に、検体非存在時の電磁波の検出強度と、検体を置いたときの測定検出強度を比較することで検体の存否を検査する様なセンシングも可能である。
上記したような構成を有することにより、検体と伝送路を伝播する電磁波とを効率的に相互作用させることが可能となる。
(第2の実施例)
図9は、本発明を適用した検査装置の第2の実施例を示す平面図である。本実施例では、伝送路92の途中に、円形の共振器構造93を設けている。そして、その共振器構造93の周りには、第1の実施例と同じ様に液溜め構造94が配置されている。堆積補助構造体である液溜め構造94は、伝送路92が形成された面から立ち上がった円形の側壁部を、共振器構造93の外側近傍に有している。
液溜め構造94は、第1の実施例と同じ様に、伝送路92を積層した後、感光性BCBをスピナーにて塗布して、その後、フォトリソグラフィにて形成することができる。フォトレジストをマスクとして、非感光性材料をドライエッチングする方法でも液溜め構造94を形成できるが、この際は、伝送路92が形成された下地の平坦性を損なわない様にする必要がある。
本実施例において、液溜め構造94の内側に検体を滴下すると、検体は、液溜め構造94の内側の円形の側壁部に沿って堆積する。従って、液溜め構造94の円形の側壁部の直ぐ内側にある共振器構造93上ないしその近傍に、検体が堆積することになる。これにより、電磁波発生手段側の光伝導素子91から出て伝送路92、93に沿って伝播し電磁波検出手段側の光伝導素子95で検出される電磁波は、検体の存在により変化する。すなわち、リング型共振器構造93上に検体を滴下することによって、リング型共振器構造93における共振周波数が変化し、それが電磁波検出手段側の光伝導素子95で検出される。こうして、例えば、検体のマクロな複素誘電率が求まり、検体の分析を行うことができる。このような構成を有することで、検体の利用効率を向上することができる。
(第3の実施例)
図10は、本発明を適用した検査装置の第3の実施例の平面図である。基本的な構成は第1の実施例と同じである。本実施例でも、電磁波発生手段側の光伝導素子111から電磁波検出手段側の光伝導素子114まで伸びる伝送路として、第1の実施例と同じ様に、マイクロストリップライン112が基板110上に形成されている。これは曲率を持つ様に構成する。マイクロストリップライン112の曲率半径は、センサとして用いるに際して、検体を含む溶液の広がりの典型的な大きさを考慮して、数十乃至数百μm程度が望ましいが、この範囲外の大きさでも構わない。本実施例では、例えば、約200μmの曲率半径を持った伝送路とする。
マイクロストリップライン112の半径方向の外側には、基板110の面から立ち上がった側壁部を有している液溜め構造113がある。液溜め構造113は、溶液から析出する主としてメニスカス状の検体のメニスカス部分116が伝送路上ないしその近傍に選択的に堆積することを補助するために溶液を一定領域に閉じ込めておく構造体である。ここでは、堆積補助構造体であるこの液溜め構造113の側壁部は、マイクロストリップライン112から10μm程度以内にあることが望ましい。つまり、伝送路112の曲率が半径200μmであるならば、液溜め構造113の側壁部は、半径約220μmの曲率を持ち、伝送路112の半径方向外側の近傍に内側を向いて形成される。これは、マイクロストリップライン112における電磁波の伝搬モードが、電磁波は線路の中心から両側に線路幅の3倍程度以内に納まるので、液溜め構造113の側壁部はこのことを考慮して形成するのが望ましいからである。しかし、この形態に制限されるものではない。液溜め構造113の側壁部とマイクロストリップライン112が上記距離以上に離れているという形態を排除するものではない。以上の如く、本実施例では、伝送路が、曲率を持って伸びる部分を有し、堆積補助構造体113の側壁部が該曲率を持って伸びる部分に沿って伸びている。
本実施例においては、こうして、マイクロストリップライン112の信号ラインは曲率をもって形成されている。従って、検体116が包含される溶液をマイクロストリップライン112の信号ラインの曲率半径の内側に滴下するとき、検体116はメニスカス状にマイクロストリップライン112に沿って選択的に堆積する。その結果、マイクロストリップライン112を伝播する電磁波と検体116とを効率良く相互作用させることが可能である。このマイクロストリップライン112の形状は曲率を持った円形状が望ましいが、これに限るものではなく、楕円形状や直線形状などであってもよい。ただし、いずれの場合も、伝送路の形成された面から立ち上がった側壁部を伝送路の近傍に持つ堆積補助構造体を配置する必要がある。
以上のような構成を有することにより、より簡便に検体を所望の部位に塗布することが可能となる。
(第4の実施例)
本実施例は、これまでの実施例で述べた本発明の適応形態において、検体を伝送路上ないし近傍に冷凍保持するための冷却手段をさらに有している。特に、検体が揮発性の物質である場合、これまでの実施例で述べたような形態では、溶液の蒸発とともに、検体自体の量も減少することがある。そのため、本実施例では、検体が混入する溶液を冷凍することで、溶液自体を、検体を保持する保持手段として用いる。
図11は、本発明を適応できる検査装置の一概略構成図である。図11のように、本実施例は、伝送路1401、電磁波検出手段1402、冷却手段1403、生体サンプル1404を滴下する部分を有する。尚、これまで述べてきた電磁波発生手段や壁構造体等の他の構成要素については、省略している。ここでは、検体として、生体サンプル1404を用いるが、本実施例で測定できるものであれば、検体はこれに限らない。
伝送路1401は、上述したマイクロストリップラインを用いている。ただし、これに限らず、テラヘルツ波を伝播できる伝送線路であればよい。
冷却手段1403は、コールドスプレーを生体サンプル1404に噴射し、不図示の規制補助構造体としての壁構造体に沿って、生体サンプル1404を伝送路1401近傍に凍結保持する。ただし、冷却手段1403は、上記目的を達成できれば、これに限らない。例えば、伝送路1401が設けられた基板に密着して設けられるペルチェ素子等を用いて、伝送路1401を冷却し、間接的に生体サンプル1404を冷却してもよい。また、噴射ではなく、伝送路1401を取巻く雰囲気を冷却する手段を用いてもよい。
本実施例の動作を説明する。生体から抽出された生体サンプル1404は、ピペッタを用いて伝送路1401に滴下される。この時、例えば、ピペッタのような滴下手段を用いず、生体上の生体サンプル1404に、直接、伝送路1401を接触させてもよい。伝送路1401上の生体サンプル1404は、上述した壁構造体の構造に沿って、伝送路1401における電磁波が強く分布する線路1412(信号線と呼ぶこともある)近傍に展開する。この時、冷却手段1403によって、生体サンプル1404を冷凍し、伝送路1401上に保持する。この状態で、伝送路1401を伝播するテラヘルツ波の伝播状態を電磁波検出手段1402によって検出することで、検体のセンシングを行う。
本実施例では、検体を冷却することにより、分子の振動モードにおける熱的なゆらぎが低減され、測定感度が向上することが期待される。また、溶液を冷凍することにより、水分に起因するテラヘルツ波吸収も低減できるので、測定感度の向上が期待される。勿論、本実施例でも、規制補助構造体により、液体状検体を所望の部位に置くことも容易である。
(第5の実施例)
本実施例は、第4の実施例に示した構成において、断熱機構をさらに有している。具体的には、上記信号線1412の一部に、断熱機構がパターニングされている。図12に、この断熱機構の構成例を示す。図12(a)の例は、断熱機構として、信号線1412の一部に窪み構造1413を有している。図12(b)の例では、信号線1412の一部が孤立導体1414となっている。
信号線1412の一部に、このような構造を備えることによって、信号線における熱の拡散を抑制し、こうした部分上に滴下された溶液などの液体状検体に対する冷却効果を高めることができる。尚、この目的を達成できる構造であれば、信号線1412のパターンは図12の構成に限るものではない。
(第6の実施例)
本実施例は、第4の実施例または第5の実施例に示した構成において、検体の濃度をモニタするモニタ手段をさらに有している。こうしたモニタ手段としては、図13に示すような例がある。ここでは、光源1420から光1421を溶液にあてて、その透過光を検出器1422で検出することで溶液の吸収率から上記濃度をモニタする。吸収率と濃度の関係は予め測定しておいて、そのルックアップテーブルをメモリ1424に保存しておく。処理部1423は、検出器1422からの検出信号とメモリ1424中のルックアップテーブルに基づいて濃度を決定する。
このようなモニタ手段を有することにより、例えば、常に同一濃度の条件下で、検体のセンシングを行うことが容易となるため、測定の信頼性が向上する。すなわち、モニタしていて検体の濃度が目標に達したら、これを冷凍し、電磁波発生手段を駆動して伝送路1401にテラヘルツ波を伝播させ、この伝播状態を電磁波検出手段1402によって検出する。こうして検体の測定を行うことで、測定の信頼性を高められる。
(第7の実施例)
本実施例は、上記実施例の構成において、検体の指紋スペクトルの温度依存性をモニタし、検体の構成物質を特定する温度依存性モニタ手段をさらに有している。テラヘルツ波領域における物質固有の指紋スペクトルは、検体の構造や分子間の相互作用に起因したものである。そのため、各スペクトルの温度依存性をモニタすると、検体の構成物質によって、周波数シフトの量や強度が各々異なったものとなる。これらの情報を、物質固有の指紋として利用することで、検体を構成する物質や構造を特定する精度が向上することが期待される。
検体の温度依存性をモニタする手段としては、図13に示す温度計1430、信号線上の検体の温度を制御するヒータやペルチェ素子などの温度制御手段等を用いた次のような例がある。温度計1430は、直接、検体の温度を測らなくても、測定温度と検体の温度の関係を予め把握しておけば、検体の温度を間接的に測定できる。ここで、温度制御手段で調整された各測定温度において電磁波発生手段を駆動して伝送路1401にテラヘルツ波を伝播させ、この伝播状態を電磁波検出手段1402によって検出する。そして、処理部で、温度計1430と電磁波検出手段1402からの信号に基づいて検体の指紋スペクトルの温度依存性を得る。更に、処理部は、得られた温度依存性から、予め準備してメモリ中に保存された種々の物質の指紋スペクトルの温度依存性のルックアップテーブルを参照して検体の構成物質を特定する。
(第8の実施例)
本実施例では、上述した検体を冷凍保持する検査装置のいずれかの構成、またはこれらの構成の組み合わせに対して好適に用いられる用途例を示す。具体的には、検査装置を、血中のアルコール濃度を検出するアルコール検出器として用いる。本実施例では、例えば、生物の皮膚表面の汗を採取し、汗の成分を本検査装置で分析することで、血中のアルコール濃度を算出するものである。ここでは、検体が揮発性の物質を含むが、冷凍することで揮発性の物質の蒸発を防いで正確な分析が可能となる。
(第9の実施例)
本実施例では、第8の実施例の用途例の他の用途例を示す。具体的には、検査装置を、血中の糖度を検出する糖度検出器として用いる。本実施例では、例えば、生物の皮膚表面の汗を採取し、汗の成分を分析することで、血中の糖度を算出するものである。ここでも、検体が揮発性の物質を含むが、冷凍することで揮発性の物質の蒸発を防いで正確な分析が可能となる。
以上、本発明の適応できる実施形態を明らかにすべく、実施例を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の思想の範囲内において、改良、変更、他の用途例への適応が可能である。
本発明の検査装置の第1の実施例を示す平面図である。 伝送路近傍に形成される液溜め構造の例を示す斜視図である。 液溜め構造の例を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態の概念的構成を示すブロック図である。 第1の実施例の壁構造体の側壁部の濡れ性が大きい時の様子を示す図1におけるA-A’断面図である。 第1の実施例の壁構造体の側壁部の濡れ性が小さい時の様子を示す図1におけるA-A’断面図である。 第1の実施例を用いて測定を行うときの測定系全体を示す図である。 検体のある時と無い時の検出電磁波の時間波形例の違いを示す図である。 本発明の検査装置の第2の実施例を示す平面図である。 本発明の検査装置の第3の実施例を示す平面図である。 本発明の検査装置の第4の実施例を説明する図である。 本発明の検査装置の第5の実施例を説明する図である。 本発明の検査装置の第6及び第7の実施例を説明する図である。 従来技術において伝送路上に形成される検体を示す平面図である。 伝送路の電界分布を説明する図である。 検査装置の従来技術を説明する図である。
符号の説明
10、110:基板
11、41、91、111:電磁波発生手段(光伝導素子)
12、17、42、53、63、92、112、1401:伝送路(マイクロストリップライン、マイクロストリップラインの信号ライン部)
13、18、31、46、51、61、94、113:壁構造体(堆積補助構造体、規制補助構造体、液溜め構造)
14、43、95、114、1402:電磁波検出手段(光伝導素子)
16、45、54、64、68、116、1404:被測定対象(検体、生体サンプル、メニスカス部分)
33:検体を含む溶液
44:電磁波
52、62:側壁部
1403:冷却手段
1413、1414:断熱機構(窪み構造、孤立導体)
1420、1422、1423、1424:濃度モニタ手段(光源、検出器、処理部、メモリ)
1430:温度依存性モニタ手段

Claims (14)

  1. 電磁波を用いて被測定対象の情報を取得するための検査装置であって、
    基板に形成された電磁波を伝播させるための伝送路と、電磁波を発生して前記伝送路に供給するための電磁波発生手段と、前記伝送路を伝播してきた電磁波を検出するための電磁波検出手段と、壁構造体を有し、
    前記壁構造体が、前記被測定対象が伝送路を伝播する電磁波と相互作用する領域内において前記伝送路に沿って伸びて前記基板の面から、該領域の内側に向かって、立ち上がった側壁部を有することを特徴とする検査装置。
  2. 前記壁構造体は、前記基板上に滴下される被測定対象から析出する検体の少なくとも一部が、伝送路を伝播する電磁波と相互作用する領域内に堆積することを補助する堆積補助構造体である請求項1に記載の検査装置。
  3. 前記壁構造体は、前記基板上に滴下される被測定対象内の検体の少なくとも一部が、伝送路を伝播する電磁波と相互作用する領域内に規制されることを補助するための規制補助構造体である請求項1に記載の検査装置。
  4. 前記伝送路が、曲率を持って伸びる部分を有し、前記壁構造体の側壁部が該曲率を持って伸びる部分に沿って伸びることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検査装置。
  5. 前記壁構造体の側壁部と前記伝送路の端との距離が、該伝送路の幅に対して1倍以内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の検査装置。
  6. 前記壁構造体の側壁部が、疎水性材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の検査装置。
  7. 前記伝送路がマイクロストリップラインであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の検査装置。
  8. 前記基板上に滴下される検体を含む被測定対象を冷却し、前記伝送路上ないし近傍に冷凍保持するための冷却手段を有することを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の検査装置。
  9. 前記伝送路の一部に、断熱機構を備えることを特徴とする請求項8に記載の検査装置。
  10. 前記基板上に滴下される検体を含む被測定対象の濃度をモニタするモニタ手段を有することを特徴とする請求項3乃至9のいずれかに記載の検査装置。
  11. 前記基板上に滴下される被測定対象内の検体の温度依存性をモニタする温度依存性モニタ手段を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の検査装置。
  12. 前記電磁波の周波数が、30GHz乃至30THzの少なくとも一部の周波数帯域を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の検査装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の検査装置を用いて被測定対象の情報を取得するための検査方法であって、
    前記被測定対象内の検体と前記伝送路を伝播する電磁波との相互作用の結果を検出することによって、前記検体を検査することを特徴とする検査方法。
  14. 請求項11または12に記載の検査装置を用いて被測定対象の情報を取得するための検査方法であって、
    前記被測定対象内の検体と前記伝送路を伝播する電磁波との相互作用の温度依存性を検出することによって、前記検体を検査することを特徴とする検査方法。
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