JP2008082408A - ゴムホース及びゴムホースの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基端側の曲げ変形を抑えて座屈を防止する副補強コード層の形成が容易なゴムホースの提供。
【解決手段】筒状ゴム膜9に、主補強コード層10と、筒状ゴム膜9の基端付近を補強する副補強コード層13a、13b、13c、13dとを埋設する。副補強コード16を螺旋状に巻き付けながら、ホース中心軸方向に複数回往復させて、副補強コード層13a、13b、13c、13dを形成する。共通の副補強コード16によって複数の副補強コード層13a、13b、13c、13dを連続して形成する。副補強コード層13a、13b、13c、13dの形成の自動化が図れる。
【選択図】 図2
【解決手段】筒状ゴム膜9に、主補強コード層10と、筒状ゴム膜9の基端付近を補強する副補強コード層13a、13b、13c、13dとを埋設する。副補強コード16を螺旋状に巻き付けながら、ホース中心軸方向に複数回往復させて、副補強コード層13a、13b、13c、13dを形成する。共通の副補強コード16によって複数の副補強コード層13a、13b、13c、13dを連続して形成する。副補強コード層13a、13b、13c、13dの形成の自動化が図れる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、コンクリートポンプ車のブーム側と先端ホースとの間に介装されるドッキングホースなどのゴムホースに関するものである。
一般に、生コンクリートの打設には、生コンクリートの吐出口を高所や遠方に導くためのブームを備えたコンクリートポンプ車を使用することが多い。
図5にコンクリートポンプ車の一例を示す。コンクリートポンプ車101は、ブーム102の先端にドッキングホース103を介して先端ホース104を取り付けて構成され、コンクリートポンプ105が圧送する生コンクリートをブーム102に沿って配置した流通管106を流通させて先端ホース104から吐出するようになっている。
ブーム104の先端には、ドッキングホース103を沿わせる湾曲形状のホースガイド107が設けられている。このホースガイド107は、ブーム102の先端をほぼ水平に向けた際、ドッキングホース103を全体として下方に向けて90°程度かつ滑らかに湾曲させて、先端ホース104を生コンクリートの打設部位に導くものである。
ところで、ホースガイド107は、コンクリートポンプ車101の部品点数を多くして重量を重くしたり、湾曲形状の嵩張りが狭い場所での生コンクリート打設の邪魔になったり、先端ホース104の左右の移動を阻害したりするため、このホースガイド107を省略することが求められる。
ただ、単にホースガイド107を省略した場合、先端ホース104やその内部の生コンクリートの重量などの荷重が先端側に負荷されたドッキングホース103は、全体としては下方に向けて90°程度に曲げられるものの、荷重の作用線からの距離が長い基端側に曲げ変形が集中しやすく、ドッキングホース103の基端側に、その円形断面を押し潰したように変形しようとする座屈が生じやすい。
このような基端側への曲げ変形の集中を防止する技術として、例えば特許文献1は、多層の補強コード層を設けると共に、その層数を先端側に向かって数段階で減少させることにより、先端側よりも基端側の曲げ剛性を高めるようにした曲げホースを開示している。
実公昭55−18624(第2頁左欄第6行〜第32行)
ところが、補強コード層を形成するには、予めスダレコードをバイアス裁断し、これを手作業で所定の角度及び位置に貼り付けるという作業が必要であり、特許文献1の曲げホースのように補強コード層の層数を多くすると、その分、補強コード層の形成に手間が掛かりやすい。
本発明は、基端側の曲げ変形を抑えて座屈を防止する副補強コード層の形成が容易なゴムホースの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るゴムホースは、筒状ゴム膜と、この筒状ゴム膜を全長に渡って補強するよう主補強コードを配列してなる主補強コード層と、この主補強コード層よりも外側から筒状ゴム膜の全長又は基端から全長よりも短い範囲を補強する副補強コード層とを備えたものであり、その副補強コード層を、副補強コードをホース中心軸に対して傾斜させつつ周方向かつ二列に配列すると共に、各列の副補強コードの傾斜方向を互いに交差するよう設定したものである。さらに、副補強コードは、主補強コード層を螺旋状に取り巻きつつホース中心軸方向に複数回往復することにより、周方向かつ二列に配列している。
ここで、「副補強コードをホース中心軸に対して傾斜させ」とは、ホース中心軸と平行かつ補強コードを通る直線に対して、副補強コードを傾斜させることをいい、さらに「副補強コードのホース中心軸に対する傾斜角度」とは、ホース中心軸と平行かつ副補強コードを通る直線と副補強コードのなす角度のことをいう。
上記構成によれば、主に内圧や軸方向に作用する力に抵抗する主補強コード層に加えて、筒状ゴム膜の全長又は基端から全長よりも短い範囲を補強する副補強コード層を設けるので、ゴムホースの基端側の曲げ変形を抑えて曲げによる座屈を防止することができる。ここで、ゴムホースの曲げによる座屈とは、小さな曲げ半径で曲げたゴムホースがその円形断面を押し潰したように変形する挙動のことである。
特に、基端から全長よりも短い範囲に副補強コード層を設けることにより、基端側の曲げ剛性を先端側の曲げ剛性よりも大きくすることができる。これにより、ゴムホースの基端側を支持して先端側に荷重を負荷する場合に、全体として所望の角度に湾曲させつつ、その曲げ変形の基端側への集中を防止することができ、ホースガイドを設けることなく、基端側の座屈を防止することができる。
しかも、副補強コードが主補強コード層を螺旋状に取り巻きつつホース中心軸方向に複数回往復することによって副補強コード層を構成するので、この副補強コード層の形成には、スダレコードを用いた従来の構造におけるような事前のバイアス裁断を不要にでき、かつ容易に自動化を図ることができる。これにより、従来のゴムホースのようにバイアス裁断したスダレコードを手作業で貼り付けて補強コード層を形成するものよりも、副補強コード層の形成を容易にすることができる。
副補強コード層は、一層だけであってもよいが、ホース中心軸方向長さの異なる複数の副補強コード層を設けることにより、ゴムホースの曲げ剛性を徐々に変化させて滑らかに湾曲させることができ、生コンクリートなどの流体をスムーズに流通させることができる。この場合、複数の副補強コード層を共通の副補強コードによって連続して形成すれば、その自動化を図って複数の副補強コード層を容易に形成することができる。なお、一層の副補強コード層を設ける場合、基端から全長よりも短い範囲に設けるのがよい。
複数の副補強コード層を設ける場合、副補強コードのホース中心軸に対する傾斜角度は、全ての副補強コード層において一定であってもよいが、副補強コードの傾斜角度を副補強コード層ごとに異なる角度に設定し、副補強コード層の長さが短いほど、傾斜角度を小さく設定するのがよい。そうすれば、基端に近い範囲のみに配列する副補強コードの傾斜角度を小さくして、基端部の曲げ剛性をより大きくすることができるので、副補強コード層の層数を抑えつつ、基端部の曲げ剛性を先端側よりも十分に大きく設定することができる。
主補強コード層と副補強コード層との間に、主補強コード層を螺旋状に取り巻く硬鋼線を埋設してなる耐座屈層を設ければ、副補強コード層が基端側への曲げ変形の集中を防止するのに加えて、耐座屈層がゴムホースを断面円形に保とうとするので、より効果的に座屈を防止することができ、さらに、外力による変形をも防止することができる。
副補強コードのホース中心軸に対する傾斜角度を30°〜70°の範囲に設定すれば、適度な曲げ半径でゴムホースを湾曲させることができる。なお、副補強コードの傾斜角度を30°未満に設定した場合、ゴムホースの曲げ剛性が大きくなりすぎて、適度な曲げ半径で湾曲させることができず、実用的ではない。一方、副補強コードの傾斜角度を70°を超過する角度に設定した場合、副補強コード層がゴムホースの曲げ剛性を大きくするのに寄与しない。
主補強コード層を螺旋状に取り巻く副補強コードは、単数であっても複数であってもよく、副補強コードの太さなどを勘案して適宜選択することができる。主補強コード層を螺旋状に取り巻く単数の副補強コードから副補強コード層を形成すれば、副補強コードの配列を乱すことなく、かつ正確な傾斜角度で配列しやすくすることができる。一方、互いに所定のコードピッチを維持しながら主補強コード層を螺旋状に取り巻く複数の副補強コードから副補強コード層を形成すれば、ホース中心軸方向への少ない往復回数で副補強コードを配列することができ、副補強コードの配列に要する時間を短くすることができる。
本発明のゴムホースは、先端側に荷重を負荷しつつ、基端側の座屈を防止することができるので、例えば生コンクリートの打設用として、座屈による閉塞を生じさせることなく、全体として所望の角度に湾曲させて使用することができる。特に、ホース中心軸方向の両端に口金が取り付けられ、基端側の口金がコンクリートポンプ車のブーム側に接続されると共に、先端側の口金が先端ホースに接続される生コンクリート打設用のドッキングホースとして、好適に使用することができる。また、基端側の座屈を生じさせることなく先端側を自由に変位させることができるので、先端側から生コンクリートを吐出させて打設する用途に使用することにより、生コンクリート打設の作業性を高めることができる。
また、本発明は、筒状ゴム膜と、該筒状ゴム膜をその全長に渡って補強する主補強コード層と、前記筒状ゴム膜の全長又は基端から全長よりも短い範囲を補強する副補強コード層とを備えたゴムホースの製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、マンドレルの周りに内面未加硫ゴムを巻き付け、次いで、前記内面未加硫ゴムの外側にその全長に渡って主補強コードを配列して主補強コード層を形成し、さらに、前記主補強コード層よりも外側かつ前記内面未加硫ゴムの全長又は基端から全長よりも短い範囲に副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させることにより、副補強コードをホース中心軸に対して傾斜させつつ周方向かつ二列に配列すると共に、各列の副補強コードの傾斜方向を互いに交差させて前記副補強コード層を形成し、かつ、副補強コード層の外側に外面未加硫ゴムを配置し、その後、前記内面未加硫ゴム及び前記外面未加硫ゴムを加硫成形することを特徴とするゴムホースの製造方法を提供する。
この製造方法によれば、例えば一本の副補強コード又は数本から数十本の副補強コードの束を螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に一往復させることにより、傾斜方向が互いに交差する一対の副補強コード又はその束が配置され、さらに複数回往復させることにより、各方向に傾斜する副補強コードがそれぞれ周方向に配列されて、副補強コード層を構成する。副補強コードを螺旋状に巻き付けながら往復させて副補強コード層を形成するので、容易に自動化を図ることができる。
上記の製造方法において、共通の副補強コードから複数の副補強コード層を連続して形成することもできる。この場合、ホース中心軸方向の長さの長い副補強コード層を形成した後、その外側に形成する副補強コード層の長さを徐々に短くしてもよく、ホース中心軸方向の長さの短い副補強コード層を形成した後、その外側に形成する副補強コード層の長さを徐々に長くしてもよい。すなわち、本発明は、上記の製造方法を前提として、以下の製造方法を提供する。
前記副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて一層目の副補強コード層を形成した後、一層目の副補強コード層と共通の副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて二層目以降の副補強コード層を連続して形成することにより、複数の副補強コード層を形成し、さらに、複数の副補強コード層を形成する際、二層目以降の副補強コード層のホース中心軸方向長さを徐々に短くすると共に、二層目以降の副補強コード層に配列する副補強コードの傾斜角度を徐々に小さく設定することを特徴とするゴムホースの製造方法。
前記副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて一層目の副補強コード層を形成した後、一層目の副補強コード層と共通の副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて二層目以降の副補強コード層を連続して形成することにより、複数の副補強コード層を形成し、さらに、複数の副補強コード層を形成する際、二層目以降の副補強コード層のホース中心軸方向長さを徐々に長くすると共に、二層目以降の副補強コード層に配列する副補強コードの傾斜角度を徐々に大きく設定することを特徴とするゴムホースの製造方法。
以上のとおり、本発明によると、筒状ゴム膜の基端側を補強する副補強コード層を設けるので、ゴムホースの基端側の曲げ剛性を先端側よりも大きくして、基端側への曲げ変形の集中を防止することができる。しかも、副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて副補強コード層を構成するので、副補強コード層を容易に形成することができる。これにより、ゴムホースを全体として所望の角度に湾曲させつつ、基端側の座屈を防止することができる。その結果、コンクリートポンプ車のドッキングホースを支持するホースガイドなどの省略を図ることができる。
以下、本発明に係るゴムホースを実施するための最良の形態について、コンクリートポンプ車に装備するドッキングホースを例示して、図面を用いて説明する。図1は本発明に係るゴムホースとしてのドッキングホースを備えたコンクリートポンプ車の側面図である。図2はドッキングホースを示す図であり、上半分は断面図、下半分は側面図である。なお、図2において、上半分の中央部を内側の層から順に剥がすと共に、下半分の中央部から右端を外側の層から順に剥がして内部構造を示している。
ドッキングホース1は、コンクリートポンプ車2のブーム3の先端に取り付けられて、ブーム3に沿って配置された流通管4と先端ホース5との間に介装され、コンクリートポンプ6が圧送する生コンクリートを先端ホース5から吐出させるものである。このドッキングホース1は、全長に渡って同一内径であるホース本体7の両端に口金8a、8bを取り付けた構造とされ、基端側の口金8aをブーム3側に接続して、先端側の口金8bを先端ホース5に接続することにより、ホース中心軸方向の基端側を支持されると共に、先端側に先端ホース5や内部の生コンクリートの重量などの荷重を負荷されるようになっている。
ホース本体7は、筒状ゴム膜9に、主に耐圧性を高める主補強コード層10と、主に耐座屈性を高めるための耐座屈層11と、耐座屈層11を保護する繊維層12と、ホース本体7の基端から全長よりも短い範囲を補強する複数の副補強コード層13a、13b、13c、13dとを埋設してなり、筒状の内面ゴム9aの外側に主補強コード層10、耐座屈層11、繊維層12、副補強コード層13a、13b、13c、13d及びカバーゴム9bをこの順番で配置して構成される。
主補強コード層10は、スチールコードなどの主補強コード14をホース中心軸に対して、例えば静止角度(54°44′)程度に傾斜させつつホース本体7の全長に渡って周方向に配列してなる。この主補強コード層10は、例えば複数本の主補強コード14を平行に並べて薄いゴムで包んでなる二枚の帯状プライをそれぞれ螺旋状に巻き付けて形成され、二枚のプライの主補強コード14の傾斜方向が互いに交差するように設定される。
耐座屈層11は、主補強コード層10と副補強コード層13a、13b、13c、13dとの間に中間ゴム9cを配置すると共に、この中間ゴム9cに、主補強コード層10を螺旋状に取り巻く硬鋼線15を埋設してなり、座屈及び外力による変形を防止するようになっている。なお、硬鋼線15の螺旋ピッチは、ホース本体7の全長に渡って一定であってもよく、最も大きい曲げモーメントが作用する基端側において小さくしたものであってもよい。
繊維層12は、合繊コードからなり、耐座屈層11を外側から押さえて、ホース本体7を曲げることによる筒状ゴム膜9からの硬鋼線15の飛び出しを防止する。
副補強コード層13a、13b、13c、13dは、スチールコードなどの副補強コード16をホース中心軸に対して傾斜させつつ周方向かつ二列に配列すると共に、各列の副補強コード16の傾斜方向を互いに交差するよう設定してなる。この副補強コード層13a、13b、13c、13dは、一本の副補強コード16で主補強コード層10よりも外側の繊維層12を螺旋状に取り巻きつつホース中心軸方向に複数回往復させることによって形成され、さらに、複数の副補強コード層13a、13b、13c、13dが共通の副補強コード16によって連続して形成されている。
各副補強コード層13a、13b、13c、13dは、それぞれが基端から先端側に向かって所定の長さの範囲を補強するようになっており、外層側ほどホース中心軸方向長さを短く設定することにより、基端に近い部位ほど副補強コード層13a、13b、13c、13dの層数を多くしている。なお、副補強コード層13a、13b、13c、13dの層数が多い分、基端に近い部位の外径が大きくなる。
また、各副補強コード層13a、13b、13c、13dにおける副補強コード16のホース中心軸に対する傾斜角度(θa、θb、θc、θd)は、30°〜70°の範囲に設定され、ホース軸方向長さの短い外層側ほど小さい角度に設定されている(θa>θb>θc>θd)。
これにより、ホース本体7の基端に近いほど、副補強コード層13a、13b、13c、13dの層数が多く、かつ傾斜角度の小さい副補強コード16が配列されるので、基端に近いほどホース本体7の剛性が大きく設定される。なお、副補強コード16には、スチールコードに代えてアラミッドコードも採用可能である。
次に、ドッキングホースの製造方法を説明する。図3は副補強コードを巻き付ける様子を示す図である。
まず、マンドレル17に口金8a、8bを互いに間隔を空けて取り付け、口金8a、8bの内端部に掛かるように、その間のマンドレル17の周りに内面未加硫ゴムを巻き付ける。次いで、内面未加硫ゴムの外側に二枚の帯状プライを螺旋状に巻き付けることにより、内面未加硫ゴムの外側全長に渡って主補強コード14を配列して主補強コード層10を形成する。主補強コード層10の周りに中間未加硫ゴムを巻き付けると共に、この中間未加硫ゴムに主補強コード層10を螺旋状に取り巻く硬鋼線15を埋設して耐座屈層11を形成し、その外側に合繊コードを巻き付けて繊維層12を形成する。
さらに、繊維層12の外側でホース本体7の基端から全長よりも短い所定の範囲に、未加硫ゴムで被覆した副補強コード16を螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させることにより、一層目の副補強コード層13aを形成する。
ここで、繊維層12に副補強コード16を巻き付ける様子を説明する。図3に示すように、まず、一本の副補強コード16の始点16aを基端付近に配置し、マンドレル17を中心軸周りに一定速度で回転させながら基端側に移動させることにより、ホース中心軸に対して傾斜角度(θa)で先端側に向けて螺旋状に巻き付ける。巻き付け位置が所定の位置に達したとき、中心軸周りに一定速度で回転させたまま中心軸方向の移動を止めることにより、傾斜角度を90°に変化させ、周方向に所定の長さだけ巻き付けて折り返し部16bとする。
中心軸周りに一定速度で回転させたまま先端側に移動させることにより、傾斜角度を90°から変化させて、傾斜角度(−θa)で基端側に向けて螺旋状に巻き付ける。巻き付け位置が基端に達したとき、中心軸周りに一定速度で回転させたまま中心軸方向の移動を止めることにより、傾斜角度を90°に変化させ、周方向に所定の長さだけ巻き付けて始点16aの近傍に導く。これにより、副補強コード16がホース中心軸方向に一往復して、傾斜方向が互いに交差する一対の副補強コード16が配置される。
巻き付け位置を周方向にずらしながら、複数回往復させることにより、各方向に傾斜する副補強コード16がそれぞれ周方向に配列されて、一層目の副補強コード層13aが構成される。なお、往復ごとに、折り返し部16bの位置をホース中心軸方向にわずかにずらすことにより、折り返し部16bの重なりによる凹凸を防止する。
一層目の副補強コード層13aを形成した後、この一層目の副補強コード層13aと共通の副補強コード16を一層目と同じ手順で螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて二層目以降の副補強コード層13b、13c、13dを連続して形成する。その際、二層目以降の副補強コード層13b、13c、13dのホース中心軸方向長さを徐々に短くすると共に、二層目以降の副補強コード層13b、13c、13dに配列する副補強コード16の傾斜角度(θb、θc、θd)を徐々に小さく設定する。なお、傾斜角度(θb、θc、θd)をするほど、副補強コード16の間隔が大きくなる。
その後、副補強コード層13a、13b、13c、13dの外側に外面未加硫ゴムを配置し、内面未加硫ゴム、中間未加硫ゴム及び外面未加硫ゴムを加硫成形してドッキングホース1を得る。
次に、本発明に係るゴムホースとしてのドッキングホース(本発明品)に下方荷重を負荷したときの様子を従来のドッキングホース(従来品)と比較して説明する。
比較するドッキングホースは、いずれも、呼び径が4B(100A)で、内径がφ101.6mm、口金8a、8bを含む長さが1030mm、可とう部の長さが657mmである。内面ゴム9aは、ゴム硬さ(Hs)が65の天然ゴムからなり、厚さが8mmである。カバーゴム9bは、ゴム硬さ(Hs)が65の天然ゴムからなり、厚さが2.5mmである。中間ゴム9cは、ゴム硬さ(Hs)が65の天然ゴムからなり、厚さが4mmである。
主補強コード層10は、二枚の帯状プライを螺旋状に巻き付けることにより、主補強コード14としてのスチールコードをホース中心軸に対して55°で傾斜させつつ周方向に配列してなる。スチールコードは、φ1.0mmで、ゴム被覆した厚さが1.5mm、破断強度が600N/本である。
耐座屈層11は、φ4mmの硬鋼線15をコイル状に巻き付けて中間ゴム9cに埋設してなる。硬鋼線15の螺旋のピッチは全長に渡って18mmである。耐座屈層11の外側に配置する繊維層12は合繊コードからなる。
本発明品の副補強コード層13a、13b、13c、13dは、副補強コード16としてのスチールコードをホース中心軸に対して傾斜させつつ周方向に配列してなり、ホース本体7の基端から所定の範囲に設けている。副補強コード層13a、13b、13c、13dのホース軸方向長さは、内側から一層目が550mmで、二層目以降が450mm、350mm、300mm、250mmの順に徐々に短くなっている。スチールコードの傾斜角度は、内側から一層目が60°で、二層目以降が50°、45°、40°、35°の順に徐々に小さくなっている。スチールコードは、φ1.0mmで、ゴム被覆後の径が1.5mm、破断強度が600N/本である。
従来品は、副補強コード層13a、13b、13c、13dを設けない点を除いて、他の構成は、本発明品と同じである。
図4はドッキングホースに下方荷重を負荷した状態の模式図である。図4に示すように、コンクリートポンプ車2のブーム3を想定した支持部18に、基端側の口金8aを水平方向に向けて取り付けて、先端側の口金8bに、先端ホース5を想定した下方荷重19を取り付け、下方荷重19の負荷によって本発明品及び従来品のドッキングホースを全体として90°に湾曲させた。
図4において、Aはドッキングホースの基端から200mmの位置であり、Bはドッキングホースの基端から400mmの位置、Cはドッキングホースの基端から600mmの位置、Dはドッキングホースの基端から800mmの位置である。
下方荷重19の重さを徐々に大きくしていったところ、本発明品は、下方荷重19が200kgに至るまで全く座屈を生じなかった。これにより、先端ホース5及びその内部の生コンクリートの重量である150kg程度を十分に上回る下方荷重19に、本発明品が座屈することなく耐えることが確認できた。
また、下方荷重19が200kgのときの各部位における曲げ半径は、Aの位置で500mm、Bの位置で400mm、Cの位置で350mm、Dの位置で250mmであった。このように、座屈を防止するよう基端側の曲げ剛性を大きくする分、先端側を曲げ変形しやすくするので、全体として90°に湾曲する。
これに対して、従来品は、下方荷重19が80kgのとき、Aの位置に座屈を生じ始め、下方荷重19が120kgに至ったとき、Aの位置における曲げ半径が200mm以下になり完全に座屈した。
上記構成によれば、副補強コード層13a、13b、13c、13dを設けることにより、基端側の剛性を先端側よりも大きくしている。これにより、曲げモーメントの大きい基端側の曲げ変形を抑えて座屈やクビレを防止しつつ、曲げモーメントの小さい先端側の曲げ半径を小さくしてドッキングホース1を全体として柔軟に湾曲させることができる。しかも、複数の副補強コード層13a、13b、13c、13dの長さを徐々に短くすると共に、副補強コード16の傾斜角度を徐々に小さくするので、全体を滑らかに湾曲させ、生コンクリートをスムーズに流して閉塞を防止することができる。
また、主に耐圧性を高める主補強コード層10に加えて副補強コード層13a、13b、13c、13dを設けるので、この副補強コード層13a、13b、13c、13dは、内圧に抵抗する必要がない。これにより、副補強コード16の傾斜角度を比較的自由に設定して、ドッキングホース1の剛性を所望の大きさに設定することができる。
ドッキングホース1の耐座屈性を高めることにより、コンクリートポンプ車のブーム先端に取り付けていたホースガイドを省略することができ、その分、コンクリートポンプ車の重量を低減することができ、さらに、建物の窓枠からのブームの挿入を可能にするなど、狭い場所での打設を容易にすることができる。また、ドッキングホース1の左右移動がホースガイドによって規制されることがないので、その分、生コンクリートの打設の作業性を向上させることができる。
ドッキングホース1のホース本体7のうち、一層目の副補強コード層13aよりも内側の内面ゴム9a、主補強コード層10、耐座屈層11及び繊維層12は、従来のゴムホースと同じ構造であり、これらの成型に特別な設備を必要としない。
副補強コード16を巻き付けることによって副補強コード層13a、13b、13c、13dを形成するので、スダレコードを用いた補強コード層におけるような事前のバイアス裁断や手作業による貼り付けを不要にでき、副補強コード層13a、13b、13c、13dの形成を容易にすることができる。また、マンドレル17を回転及び軸方向移動させるだけで副補強コード16を巻き付けることができるので、単純な制御により、副補強コード層13a、13b、13c、13dを高精度に形成することができ、安定的で安価な製品を得ることができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、副補強コード層13a、13b、13c、13dは、内側の一層目の副補強コード層13aのホース中心軸方向長さを他の層よりも長く設定する代わりに、これを他の層よりも短くすることができる。すなわち、複数の副補強コード層13a、13b、13c、13dを形成する際、内側の一層目の副補強コード層13aを短く設定して、二層目以降の副補強コード層13b、13c、13dを徐々に長くするようにしてもよい。この場合、二層目以降の副補強コード層13b、13c、13dに配列する副補強コード16の傾斜角度(θb、θc、θd)を徐々に大きく設定するのがよい。
また、副補強コード層13a、13b、13c、13dは、単数の副補強コード16から形成するだけでなく、例えば数本から数十本程度の複数の副補強コード16で互いに所定のコードピッチを維持しながら主補強コード層10を螺旋状に取り巻いて形成することもできる。
主補強コード層10は、帯状プライを巻き付けて形成する代わりに、主補強コード14を螺旋状に巻き付けて形成することができ、さらに、主補強コード層10と副補強コード層13a、13b、13c、13dとを連続して一体に形成することもできる。
一層目の副補強コード層13aは、ホース本体7の全長を補強する長さに設定することができ、これにより、繊維層12を省略することができる。例えば、一層目の副補強コード層13aを全長に形成し、二層目以降を全長の70%、全長の50%、全長の30%、全長の15%の長さに形成し、その副補強コード16の傾斜角度を一層目で55°程度とし、二層目以降を5°程度ずつ徐々に小さくして、長さの短い層ほど副補強コード16の傾斜角度を小さくすることができる。
また、一層の副補強コード層13aのみを設けることもでき、耐座屈層11を省略することもできる。副補強コード16を被覆する未加硫ゴムを所望の量に設定することにより、外面未加硫ゴムの巻き付けを省略することもできる。
また、本発明に係るゴムホースは、基端側を支持され、先端側に荷重を負荷されるものであればよく、コンクリートポンプ車のドッキングホースに限らず、他のコンクリート打設用ホースや、コンクリート打設以外の用途のゴムホースであってもよい。
1 ドッキングホース
9 ゴム膜
10 主補強コード層
11 耐座屈層
13a、13b、13c、13d 副補強コード層
16 副補強コード
9 ゴム膜
10 主補強コード層
11 耐座屈層
13a、13b、13c、13d 副補強コード層
16 副補強コード
Claims (11)
- 筒状ゴム膜と、該筒状ゴム膜をその全長に渡って補強するよう主補強コードを配列してなる主補強コード層と、該主補強コード層よりも外側から前記筒状ゴム膜の全長又は基端から全長よりも短い範囲を補強する副補強コード層とを備えたゴムホースであって、
前記副補強コード層は、副補強コードをホース中心軸に対して傾斜させつつ周方向かつ二列に配列すると共に、各列の副補強コードの傾斜方向を互いに交差するよう設定してなり、前記副補強コードは、主補強コード層を螺旋状に取り巻きつつホース中心軸方向に複数回往復することにより、周方向かつ二列に配列されたことを特徴とするゴムホース。 - ホース中心軸方向長さの異なる複数の副補強コード層が設けられ、該複数の副補強コード層が共通の副補強コードによって連続して形成されたことを特徴とする請求項1に記載のゴムホース。
- 前記副補強コードのホース中心軸に対する傾斜角度が副補強コード層ごとに異なる角度に設定され、副補強コード層の長さが短いほど、前記傾斜角度が小さく設定されたことを特徴とする請求項2に記載のゴムホース。
- 前記主補強コード層と副補強コード層との間に、主補強コード層を螺旋状に取り巻く硬鋼線を埋設してなる耐座屈層が設けられたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のゴムホース。
- 前記副補強コードのホース中心軸に対する傾斜角度は、30°〜70°の範囲に設定されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴムホース。
- 前記副補強コード層は、主補強コード層を螺旋状に取り巻く単数の副補強コードから形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴムホース。
- 前記副補強コード層は、互いに所定のコードピッチを維持しながら主補強コード層を螺旋状に取り巻く複数の副補強コードから形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴムホース。
- ホース中心軸方向の両端に口金が取り付けられ、基端側の口金がコンクリートポンプ車のブーム側に接続されると共に、先端側の口金が先端ホースに接続されるドッキングホースとされたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のゴムホース。
- 筒状ゴム膜と、該筒状ゴム膜をその全長に渡って補強する主補強コード層と、前記筒状ゴム膜の全長又は基端から全長よりも短い範囲を補強する副補強コード層とを備えたゴムホースの製造方法であって、
マンドレルの周りに内面未加硫ゴムを巻き付け、次いで、前記内面未加硫ゴムの外側にその全長に渡って主補強コードを配列して主補強コード層を形成し、さらに、前記主補強コード層よりも外側かつ前記内面未加硫ゴムの全長又は基端から全長よりも短い範囲に副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させることにより、副補強コードをホース中心軸に対して傾斜させつつ周方向かつ二列に配列すると共に、各列の副補強コードの傾斜方向を互いに交差させて前記副補強コード層を形成し、かつ、副補強コード層の外側に外面未加硫ゴムを配置し、その後、前記内面未加硫ゴム及び前記外面未加硫ゴムを加硫成形することを特徴とするゴムホースの製造方法。 - 前記副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて一層目の副補強コード層を形成した後、一層目の副補強コード層と共通の副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて二層目以降の副補強コード層を連続して形成することにより、複数の副補強コード層を形成し、さらに、複数の副補強コード層を形成する際、二層目以降の副補強コード層のホース中心軸方向長さを徐々に短くすると共に、二層目以降の副補強コード層に配列する副補強コードの傾斜角度を徐々に小さく設定することを特徴とする請求項9に記載のゴムホースの製造方法。
- 前記副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて一層目の副補強コード層を形成した後、一層目の副補強コード層と共通の副補強コードを螺旋状に巻き付けながらホース中心軸方向に複数回往復させて二層目以降の副補強コード層を連続して形成することにより、複数の副補強コード層を形成し、さらに、複数の副補強コード層を形成する際、二層目以降の副補強コード層のホース中心軸方向長さを徐々に長くすると共に、二層目以降の副補強コード層に配列する副補強コードの傾斜角度を徐々に大きく設定することを特徴とする請求項9に記載のゴムホースの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006261628A JP2008082408A (ja) | 2006-09-27 | 2006-09-27 | ゴムホース及びゴムホースの製造方法 |
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JP (1) | JP2008082408A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013151994A (ja) * | 2012-01-25 | 2013-08-08 | Bridgestone Corp | 高圧ホース |
-
2006
- 2006-09-27 JP JP2006261628A patent/JP2008082408A/ja not_active Withdrawn
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