JP2008081455A - 日焼け止め板状粒子の製造方法、紫外線散乱層転写シート - Google Patents
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Abstract
【課題】化粧品を製造するための粒子、および色材、水性インキ等を製造するための工業用粒子として好適である、厚みが薄くて均一の厚みの日焼け止め板状粒子の製造方法を提供するものである。さらに、粒径のバラツキを均一にできるようにし、任意の外観形状に形成できる製造方法を提供するものである。
【解決手段】基材上に少なくとも紫外線散乱層を設けた紫外線散乱層転写シートを被転写体に対して、紫外線散乱層を熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとり粉砕する日焼け止め板状粒子の製造方法である。さらに、サーマルヘッドを用いて紫外線散乱層を任意の形状に熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとる日焼け止め板状粒子の製造方法である。紫外線散乱層転写シートは、基材上に熱可塑性樹脂を主成分とした紫外線散乱層を設けたものである。必要に応じて、紫外線散乱層の上に接着層を設けたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】基材上に少なくとも紫外線散乱層を設けた紫外線散乱層転写シートを被転写体に対して、紫外線散乱層を熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとり粉砕する日焼け止め板状粒子の製造方法である。さらに、サーマルヘッドを用いて紫外線散乱層を任意の形状に熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとる日焼け止め板状粒子の製造方法である。紫外線散乱層転写シートは、基材上に熱可塑性樹脂を主成分とした紫外線散乱層を設けたものである。必要に応じて、紫外線散乱層の上に接着層を設けたものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、日焼け止め板状粒子の製造方法及び日焼け止め板状粒子に関し、特に化粧品用粒子などとして有用な、厚さが数μmの日焼け止め板状粒子に関する。
酸化チタンは隠蔽力のある白色顔料をして化粧料に使用されている。微粒子状の酸化チタンには、有害な紫外線を散乱、吸収する安全性の高い紫外線散乱剤として広く用いられている。しかし、微粒子状の酸化チタンは、1次粒子が凝集しやすく紫外線散乱性能を低下させた。また、凝集することで皮膚への塗りに伸びがなくなり、塗った後で滑らかさがない問題があった。
そこで、特許文献1では、スメクタイト等の層状粘土鉱物の表面を酸化チタンで被覆した日焼け止め板状粒子が提案された。この板状粒子は、天然物の層状粘土鉱物を原料としているので、厚みのバラツキの多いものであった。そのため、皮膚への塗り性に好適な厚みのものは、加工粒子の一部であるため効率が悪く、塗り適正が劣るものであった。また、図1で示す最大粒径dは、バラツキが大きく皮膚への塗りにおいて大きい粒径の粒子の上下に、小さい粒子が存在したりして塗りムラを起こしていた。さらに、素材は無機物であるのでソフト感にかけるものであった。
特許文献2には、板状の酸化亜鉛を含有する紫外線防御化粧料が提案されている。しかし、この板状粒子も特許文献1の板状粒子と同じ理由で、皮膚への塗り適正、塗り効率に劣るものであった。
従来品では、厚みのコントロールが難しく均一な厚みの日焼け止め板状粒子を得られることはできなかった。本発明は、この問題を解決するものであり、厚さが薄くて均一の厚さの日焼け止め板状粒子の製造方法を提供するものである。また、化粧料に配合すると無機物では得られないソフト感を与え皮膚へ塗り適正のよい有機物を主材とする板状粒子とするものである。さらに、粒径のバラツキを均一にできるようにしたり、紫外線散乱の効率の高い粒子を提供するものである。ついでこの製造方法で作られた日焼け止め板状粒子を、化粧品用粒子以外の色材等の工業用粒子などとして有用な粒子とし提供するものである。
第1発明は、基材上に少なくとも紫外線散乱層を設けた紫外線散乱層転写シートを被転写体に対して、紫外線散乱層を熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとり粉砕する日焼け止め板状粒子の製造方法である。
第2発明は、基材上に少なくとも紫外線散乱層を設けた紫外線散乱層転写シートを被転写体に対して、サーマルヘッドを用いて紫外線散乱層を任意の形状に熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとる日焼け止め板状粒子の製造方法である。
第3発明は、前記紫外線散乱層が、酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムから選択される1種以上からなる微粒子金属酸化物とバインダーからなる第1、2発明記載の紫外線散乱層転写シートである。
第4発明は、前記バインダーがポリスチレン、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、スチレン/アクリル共重合体、水添石油樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂より1種以上から選択されたものである第3発明記載の紫外線散乱転写シートである。
第5発明は、前記紫外線散乱層転写シートの紫外線散乱層の上に接着層を設けた第1〜4発明記載の紫外線散乱層転写シートである。
第2発明は、基材上に少なくとも紫外線散乱層を設けた紫外線散乱層転写シートを被転写体に対して、サーマルヘッドを用いて紫外線散乱層を任意の形状に熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとる日焼け止め板状粒子の製造方法である。
第3発明は、前記紫外線散乱層が、酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムから選択される1種以上からなる微粒子金属酸化物とバインダーからなる第1、2発明記載の紫外線散乱層転写シートである。
第4発明は、前記バインダーがポリスチレン、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、スチレン/アクリル共重合体、水添石油樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂より1種以上から選択されたものである第3発明記載の紫外線散乱転写シートである。
第5発明は、前記紫外線散乱層転写シートの紫外線散乱層の上に接着層を設けた第1〜4発明記載の紫外線散乱層転写シートである。
第1発明によれば、厚みが均一な極めて薄い日焼け止め板状粒子の製造が可能である。さらに、第2発明によれば最大粒径dが均一の粒子を得ることができ、配合効率の高い板状粒子が得られる。また任意の外観形状に形成できるので、意匠性に優れた日焼け止め板状粒子となり得る。日焼け止め板状粒子を化粧料に配合すると、塗り適正が良くソフト感が高いものが得られる。本発明で製造された日焼け止め板状粒子は、化粧料の原料以外に色材、水性インキ等を製造するための工業用粒子として好適である。
本発明の製造方法で用いる紫外線散乱層転写シートは、基材上に紫外線散乱層を設けたものである。基材としては、耐熱性のある基材を用いる。例えば、ポリエチレンテレフタレートを始めとするポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、アイオノマー等のプラスチックフィルム、セロファン等があり、また、これらの2種以上を積層した複合フィルムなども使用できる。中でもフィルムの耐熱性、薄膜化、コスト等からポリエステルフィルムが好適に使用できる。
これらの基材の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように紫外線散乱層に応じて適宜変更するが、通常は1.0〜50μm程度が好ましい。基材の背面には、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等からなる耐熱層を設けても良い。耐熱層の厚みは、0.05〜0.5μmの範囲が好ましい。
紫外線散乱層は、酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムから選択される1種以上からなる微粒子金属酸化物とバインダーからなるものである。微粒子金属酸化物の紫外線散乱層中の配合比率は、20〜80重量%の範囲が好ましい。前記範囲未満であると紫外線散乱効果が低いものとなる。前記範囲を超えると日焼け止め板状粒子が脆くなり板状を維持することが難しくなる。
微粒子金属酸化物の市販品は、例えば、微粒子酸化亜鉛としては、FINEX−25、FINEX−50、FINEX−75(以上、堺化学(株));MZ500シリーズ、MZ700シリーズ(以上、テイカ(株))ZnO−350(以上、住友大阪セメント(株))等が挙げられる。微粒子酸化チタンとしては、TTO−55シリーズ、TTO−51シリーズ(以上、石原産業(株));JRシリーズ、JAシリーズ(以上、テイカ(株))等が挙げられる。また、微粒子酸化セリウムとしては、ニッキ社あるいはセイミケミカル社から販売されている高純度酸化セリウムが含まれる。このうち特に酸化亜鉛又は酸化チタンであることが好ましい。
微粒子金属酸化物の平均粒径は、0.01〜0.1μmの範囲が好ましい。形状は、板状、紡錘状、針状等いずれも使用することができる。平均粒径が前記範囲未満であると紫外線散乱塗工液内で凝集しやすくなる。前記範囲を超えると透明感が損なわれ紫外線散乱効果が悪くなる。これらの微粒子金属酸化物において、その表面活性を抑えるために、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等の無機物で表面処理されたものや、ステアリン酸等の有機物で表面処理された物等も使用することができる。
バインダーは、熱可塑性樹脂を主成分として用いる。紫外線散乱層が熱転写できる範囲において、熱硬化性樹脂、UV硬化樹脂を含有していてもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、スチレン/アクリル共重合体、スチレン/マレイン酸樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系共重合体、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、水添石油樹脂、ロジン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂が挙げられ、これらの樹脂より1種以上適宜選択して用いることができる。基材との接着力が強くなる熱可塑性樹脂は、主成分としてではなく添加樹脂成分として用いる。
これらの樹脂の中でも、基材との剥離性が良好な樹脂を主成分として用いるとよい。基材との剥離性がよい樹脂としては、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、スチレン/アクリル共重合体、水添石油樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂が挙げられ、これらの樹脂より1種以上選択されたものが好ましい。
ポリスチレンとしては、スチレン樹脂、α−アルキルスチレン樹脂等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステルの単独重合体、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルとビニルトルエン、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸などとの共重合体などを挙げられる。
アクリルポリオール樹脂としては、前記のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどと、アクリル酸ヒドロキシエチル、N−メチロールアクリルアミドなどとの共重合体などが挙げられる。
スチレン/アクリル共重合体としては、スチレン系モノマーと前記のアクリル系モノマーとの共重合体などが挙げられる。
水添石油樹脂の市販品では、アルコンPシリーズ、アルコンMシリーズ(荒川化学)などが挙げられる。
ケトン樹脂としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノンあるいはメチルシクロヘキサノン等のケトン類を原料とし、これをアルカリ触媒の存在下にホルマリンと縮合反応させることによって得られる樹脂が挙げられる。
セルロース系樹脂としては、硝化綿、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
紫外線散乱層の軟化点は、40〜160℃の範囲が好ましい。前記範囲未満であると紫外線散乱層転写シートを巻き体にしたときに、ブロッキング発生がしやすくなる。前記範囲を超えると紫外線散乱層が熱転写しにくくなる。特に任意の形状に熱転写したい場合、任意の形状を形成しにくくなる。
紫外線散乱層には、熱転写性を調整するために透明感を損なわない範囲でワックス状物質を配合してもよい。ワックス状物質とは、木ロウ、ミツロウ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシンワックスなどの天然ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、酸化ワックス、エステルワックス、低分子量ポリエチレン、フィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸、ステアリルアルコール、ドコサノールなどの高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸モノグリセド、ショ糖の脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステルなどのエステル類、ステアリン酸アミド、オレイルアミドなどのアミド類およびビスアミド類などが挙げられる。紫外線散乱層中へのワックス状物質の配合は、30重量%未満であることが好ましい。前記範囲を超えると透明感が損なわれたり、日焼け止め板状粒子の剛性が低下してくる。紫外線散乱層の厚みは、0.1〜20μmの範囲が好ましい。
紫外線散乱層には、通常化粧品に用いられる他の化粧品成分を必要に応じ適宜配合することができる。他の化粧品成分として、例えば無機粉末、有機粉末、無機着色顔料、有機顔料、パール顔料、天然色素、各種炭化水素、シリコーン油、油性成分、紫外線吸収剤、などが挙げられる。この中で、紫外線吸収剤を配合すると、より高い紫外線遮蔽効果を得ることができ特に好ましい。
紫外線吸収剤としては、パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、パラメトキシ桂皮酸2−エトキシエチル、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシ桂皮酸カリウム、ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジパラメトキシ桂皮酸グリセリルオクチル、トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル等の桂皮酸誘導体類、4-tert-ブチル−4'-メトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン誘導体類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等の安息香酸誘導体類、サリチル酸アミル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体等が挙げられる。その他、植物性紫外線吸収剤を挙げることができる。このうち、好ましい紫外線吸収剤は、桂皮酸誘導体類、ジベンゾイルメタン誘導体類、ベンゾフェノン誘導体類が挙げられる。
前記無機顔料として酸化チタン、酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄などが挙げられ、有機顔料として赤色202号、黄色401号、青色404号などが挙げられる。
第1発明の日焼け止め板状粒子の製造方法は、基材上に少なくとも紫外線散乱層を設けた紫外線散乱層転写シートを被転写体に対して、紫外線散乱層を熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとり粉砕する方法である。
被転写体としては、ドラム状、ロール、無端ベルト状、シート、板状のものが挙げられる。被転写体の材質は、金属、硬質プラスチック、セラミックス等が使用できる。紫外線散乱層の材質によっては、被転写体への接着力が強くなりすぎて紫外線散乱層を剥がしとることが難しい場合がある。このような場合は、被転写体の表面にシリコーン樹脂やフッ素樹脂をコーティングすると剥がしやすくなる。被転写体の表面は、平滑な面とすると紫外線散乱層を剥がしやすくなる。また平滑でないと剥がした紫外線散乱層の被転写体に面した面が平滑でなくなり、化粧料に配合した場合に肌へのスライド性が得
られにくくなる。
られにくくなる。
被転写体に紫外線散乱層を熱転写する手段としては、ヒートロール、ホットプレス、サーマルヘッドを備えた熱転写プリンタ等が挙げられる。
被転写体に熱転写した紫外線散乱層は、ブレード、刃物等の先端が鋭利にとがった物を当てて紫外線散乱層を剥がしとる。他に剥がしとる方法としては、被転写体に振動を与える、超音波を与える、被転写体とともに紫外線散乱層を溶解しない溶剤に含侵する、といった方法が挙げられる。これらの方法を組み合わせた方法であってもよい。
被転写体に熱転写した紫外線散乱層は、ブレード、刃物等の先端が鋭利にとがった物を当てて紫外線散乱層を剥がしとる。他に剥がしとる方法としては、被転写体に振動を与える、超音波を与える、被転写体とともに紫外線散乱層を溶解しない溶剤に含侵する、といった方法が挙げられる。これらの方法を組み合わせた方法であってもよい。
剥がしとった紫外線散乱層は、粉砕機により粉砕して日焼け止め板状粒子とする。粉砕機の例は、ボールミル、衝撃微粉砕機、ジェット粉砕機等が挙げられる。
本発明で使用する日焼け止め板状粒子において、一般に、図1中tで示される厚さは、紫外線散乱層転写シートの紫外線散乱層の厚みで決まる。紫外線散乱層の厚みは、基材上に樹脂塗工液を塗布する塗布量によって決まり、容易にコントロールできるものである。例えば、塗布厚み2.0μmを設計値とすれば、塗布厚みのバラツキは1.8〜2.2μmの範囲内に収めることが出来るので、粉砕された日焼け止め板状粒子の厚みのバラツキは、ほぼこの塗布厚みのバラツキに順じて1.8〜2.2μmの範囲となり特許文献1の製造方法に比べ格段にバラツキの小さいものになる。
また、図1中dで示される粒径(一個の日焼け止め板状粒子のうちの最大粒径)も、得られたポリマーの粉砕の程度により容易に調整することができ、更にこれらの調整により、種々のアスペクト比(d/t)の日焼け止め板状粒子を得ることができる。
本発明の日焼け止め板状粒子を化粧料に配合する場合には、日焼け止め板状粒子の厚さtは0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.5〜2.5μmである。
また、化粧料に配合する場合の日焼け止め板状粒子の好ましい平均粒径は、1〜60μmであり、より好ましくは15〜55μmである。更に、日焼け止め板状粒子総量の70%以上のアスペクト比は約4.5〜45であることが好ましい。
化粧料中に配合する日焼け止め板状粒子として上記した範囲のものを用いれば、嵩高であると共に薄く、透明性が良いものであるため、化粧料中での分散性が優れ、柔らかな感触でスライド性も良く、肌に密着し、経時での色ぐすみがなく塗布膜の透明感が持続し、化粧効果の高さにおいて良好なものを得ることができる。
化粧料において使用される日焼け止め板状粒子の含有量は、特に制限はないが、化粧料全体に対して0.5〜60%が好ましく、更に好ましくは3〜40%である。日焼け止め板状粒子の含有量がこの範囲であれば、分散性が優れ、かつ肌に塗布する際の柔らかな感触、スライド性、肌への密着感、経時における化粧膜の色ぐすみのなさ、透明感の持続性等化粧効果の高さ等において特に良好な化粧料が得られるので好ましい。
また、日焼け止め板状粒子は、フッ素化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、ロウ、油脂、炭化水素等を用いて表面処理を施し、処理粒子としたものを用いてもよい。日焼け止め板状粒子に表面処理を施す表面処理方法は、常法により行うことができる。
また化粧料に配合される日焼け止め板状粒子は、日焼け止め板状粒子の樹脂成分が異なるものや、形状が異なるもの及びその表面処理方法が異なるもの等、異なる種類の粒子を2種以上併用してもよい。
第2発明は、被転写体への紫外線散乱層の熱転写を、コンピュータで制御されるサーマルヘッドを用いて任意の形状に紫外線散乱層を熱転写した後、紫外線散乱層をブレード等を使用して剥がしとる日焼け止め板状粒子の製造方法である。任意の形状とは、例えば、○型、△型、□型、星型等が挙げられる。サーマルヘッドを使えば同一の形状を熱転写するのみならず異なった形状を同時に熱転写して混在させてもよい。例えば、○型、△型、□型の形状を並べて同数づつ被着体へ熱転写する。熱転写された紫外線散乱層を剥がすことにより○型、△型、□型の形状の日焼け止め板状粒子が混在した日焼け止め板状粒子を得ることができる。
サーマルヘッドを使えばこれらの単純な形状のもの以外にもキャラクターや動物、昆虫等の複雑な形状でも作成できる。任意の形状の日焼け止め板状粒子は、前記の日焼け止め板状粒子の機能の他に意匠性を与えることができる。特に日焼け止め板状粒子を着色すると顕著な意匠性を与えることができる。
サーマルヘッドで熱転写した紫外線散乱層は、図1の最大粒径のバラツキが前記の粉砕して粒子とする方法に比べ少なくなる。粉砕方法による粒子は、粒子の大きいものによる粗さが目立ったり、平均粒径よりかなり小さい例えば粒径が1μm以下の粒子は粒子含有の効果がないといった問題がある。しかし、サーマルヘッドによる日焼け止め板状粒子の製造方法は、粒径がそろっているのでこれらの問題がなく、配合効率がよいものとなる。
サーマルヘッドには、ワープロ機に使用されるシリアルタイプとFAX機、バーコードプリンタ等に使用されるラインタイプがあるが、いずれのタイプでも使用できる。製造速度を重視するのであればラインタイプを使用するとよい。
紫外線散乱層の材質と被転写体の材質の組み合わせによっては、紫外線散乱層が被転写体に熱転写しにくい場合がでてくる。そのような場合は、紫外線散乱層転写シートの紫外線散乱層の上に接着層を設けるとよい。(第5発明)接着層は、接着剤樹脂を主成分とするものである。熱転写の感度を上げる等必要に応じて紫外線散乱層で挙げたワックス状物質を含有させることができる。
接着剤樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、石油系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などの1種または2種以上が挙げられる。接着層の軟化点は転写性の点から、45〜120℃の範囲が好ましい。軟化点が前記範囲未満であるとブロッキングしやすくなる。前記範囲を超えると熱転写性が低下してくる。接着層の厚みは、0.1〜1.5μmが適当である。
基材からの紫外線散乱層の剥離性がよくない場合は、基材上と紫外線散乱層の間に離型層を設けてもよい。離型層は、ワックス状物質を主成分とし、接着剤樹脂を配合するものである。ワックス状物質は、前記の紫外線散乱層で挙げたものを使用できる。接着剤樹脂は前記の接着層で挙げた樹脂を使用できる。離型層の厚みは、0.1〜1.0μmの範囲が好ましい。前記範囲未満であると離型性が低下してくる。前記範囲を超えると日焼け止め板状粒子の透明感が損なわれてくる。また、熱転写した紫外線散乱層の表面の平滑性が低下してくる。
基材上に紫外線散乱層を設ける方法は、有機溶剤に微粒子金属酸化物、バインダー等を溶解、分散させたものをグラビアコート法、バーコート法等で塗布、乾燥して形成することができる。同様に離型層、接着層、耐熱層も各々の塗工液を用意して、塗布、乾燥して形成することができる。
紫外線散乱層転写シートが基材上に紫外線散乱層のみで構成されたもので、被転写体に熱転写しにくい場合は、前記の接着層、離型層を設ける方法の他に、被転写体の表面に接着剤層を設けても良い。接着剤層は、接着層の成分と同じものを使用できる。接着剤層の厚みは、接着層の厚みと同程度に設ければよい。
本発明で製造された日焼け止め板状粒子を化粧料に配合すると、柔らかでソフト感が高く紫外線遮蔽効果が高いものとなる。また、この粒子は板状であるので、パウダー又はリキッド化粧品に配合された場合に、ころころと転がるいわゆるローリング効果を発現しないが、肌上では展延方向に配向され易い。このことが滑らかさ、いわゆる滑り性、感触の良さとして肌に感じられると同時に肌全体に均一に広がり、粒子の伸び、着きなどの化粧効果に優れる。また、本発明の粒子は、人間の皮脂及び化粧品中に含まれる油剤などによっても、明度、彩度が低下し難く、粒子の黒ずみいわゆる色ぐすみ現象の原因とならない。更に、本発明の粒子は屈折率も低く、純度も高く皮脂による色ぐすみ現象を起こしにくいため、透明感のあるナチュラルな化粧仕上がりと十分な化粧持ち効果を与える。
(実施例1〜3)背面にシリコーン系樹脂からなる厚み0.2μmの耐熱層を設けた厚み2.5μmのポリエステルフィルム(PET)の上に、表1の紫外線散乱層塗工液を厚みが2.0μmになるように塗布、乾燥して紫外線散乱層を形成して紫外線散乱層転写シートを作成した。
(実施例4)実施例3の紫外線散乱層上に表2の接着層塗工液を厚み0.3μmになるように塗布、乾燥して実施例4の紫外線散乱層転写シートを作成した。
実施例1〜3の紫外線散乱層転写シートを12.7mm幅のコアにスリットして巻いたものを下記の条件で紫外線散乱層を被転写体に熱転写した。
熱転写条件
熱転写プリンタ:アルプス電気製MD5000
熱転写パターン:図2で示す直径約40μmのドット形状を羅列印刷
被転写体:厚み0.2μmのステンレス板
熱転写条件
熱転写プリンタ:アルプス電気製MD5000
熱転写パターン:図2で示す直径約40μmのドット形状を羅列印刷
被転写体:厚み0.2μmのステンレス板
被転写体に熱転写されたドット形状の紫外線散乱層をカッター刃で剥がし落として日焼け止め板状粒子を得た。得られた日焼け止め板状粒子を下記の方法で評価した。評価結果は、表1の通りであった。
(1)熱転写性
被転写体に熱転写したものを金属顕微鏡で確認した。
○:被転写体にドット形状に熱転写している。
△:ドット形状にきれいに熱転写できない。
×:基材と紫外線散乱層との接着力が強く熱転写できない。
(2)日焼け止め板状粒子の厚み
得られた日焼け止め板状粒子の電子顕微鏡写真をとり10個の粒子の厚みを計測して厚みのバラツキを調べた。
(3)日焼け止め板状粒子の形状と粒径
得られた日焼け止め板状粒子の金属顕微鏡写真より、5個の粒子の形状確認をし、粒径dを計測した。実施例1〜3の日焼け止め板状粒子は、いずれも円形のドット形状であった。粒径は、いずれも35〜45μmの範囲内のバラツキの少ないものであった。
(1)熱転写性
被転写体に熱転写したものを金属顕微鏡で確認した。
○:被転写体にドット形状に熱転写している。
△:ドット形状にきれいに熱転写できない。
×:基材と紫外線散乱層との接着力が強く熱転写できない。
(2)日焼け止め板状粒子の厚み
得られた日焼け止め板状粒子の電子顕微鏡写真をとり10個の粒子の厚みを計測して厚みのバラツキを調べた。
(3)日焼け止め板状粒子の形状と粒径
得られた日焼け止め板状粒子の金属顕微鏡写真より、5個の粒子の形状確認をし、粒径dを計測した。実施例1〜3の日焼け止め板状粒子は、いずれも円形のドット形状であった。粒径は、いずれも35〜45μmの範囲内のバラツキの少ないものであった。
(実施例4)実施例4の紫外線散乱層転写シートを下記の条件で紫外線散乱層を被転写体に熱転写した。熱転写された被転写体を加温したメタノール溶液中に24時間浸漬して接着層のポリアミド樹脂を溶解させ、紫外線散乱層のみを剥離させた。遊離した星型の日焼け止め板状粒子収集し、メタノールを乾燥除去して日焼け止め板状粒子を作成した。粒子をカットして断面の電子顕微鏡写真をとった。写真より厚みは、1.8〜2.2μmの範囲内のものでバラツキの少ないものであった。粒子をルーペで確認するといずれの粒子も星型の形状をなしており、粒径dは1.6〜2.4mmの範囲で揃っていた。
熱転写条件
熱転写プリンタ:アルプス電気製MD5000
熱転写パターン:粒径dが約2mmの星型を羅列
被転写体:厚み0.2μmの銅板
熱転写プリンタ:アルプス電気製MD5000
熱転写パターン:粒径dが約2mmの星型を羅列
被転写体:厚み0.2μmの銅板
(実施例5)実施例1の紫外線散乱層転写シートを厚み0.2μmのステンレス板と合わせラミネーター(フジプラ製ラミパッカーLPA3301)に通して紫外線散乱層をステンレス板の全面に熱転写した。紫外線散乱層をカッター刃で剥がし落としてたものを収集し、液体窒素中に投入して機械粉砕することで日焼け止め板状粒子を得た。粒子の電子顕微鏡写真をとって、粒子の厚みを計測すると1.8〜2.2μmの範囲内のものであった。形状は、ばらついているが、粒子の表面は、平滑性の高いものであることが確認できた。
Claims (5)
- 基材上に少なくとも紫外線散乱層を設けた紫外線散乱層転写シートを被転写体に対して、紫外線散乱層を熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとり粉砕することを特徴とする日焼け止め板状粒子の製造方法。
- 基材上に少なくとも紫外線散乱層を設けた紫外線散乱層転写シートを被転写体に対して、サーマルヘッドを用いて紫外線散乱層を任意の形状に熱転写した後、紫外線散乱層を剥がしとることを特徴とする日焼け止め板状粒子の製造方法。
- 前記紫外線散乱層が、酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムから選択される1種以上からなる微粒子金属酸化物とバインダーからなることを特徴とする請求項1、2記載の紫外線散乱層転写シート。
- 前記バインダーがポリスチレン、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、スチレン/アクリル共重合体、水添石油樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂より1種以上から選択されたものである請求項3記載の紫外線散乱転写シート。
- 前記紫外線散乱層転写シートが紫外線散乱層の上に接着層を設けたことを特徴とする請求項1〜4記載の紫外線散乱層転写シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006264446A JP2008081455A (ja) | 2006-09-28 | 2006-09-28 | 日焼け止め板状粒子の製造方法、紫外線散乱層転写シート |
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JP2006264446A JP2008081455A (ja) | 2006-09-28 | 2006-09-28 | 日焼け止め板状粒子の製造方法、紫外線散乱層転写シート |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014185249A1 (ja) * | 2013-05-14 | 2014-11-20 | ダイセル・エボニック株式会社 | 紫外線散乱剤を含有する樹脂粉体及びその製造方法並びに化粧料 |
CN112138671A (zh) * | 2020-09-25 | 2020-12-29 | 盘锦富添石油化工发展有限公司 | 一种用于石油树脂的加氢催化剂及其制备方法和应用 |
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2006
- 2006-09-28 JP JP2006264446A patent/JP2008081455A/ja active Pending
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