JP2008081396A - 非晶質無機セラミック物質及びその製造方法 - Google Patents

非晶質無機セラミック物質及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、他の材料との濡れ性、強度および弾性率に優れ、複合材料用の強化材料、排ガスフィルター材料等として有用な材料を提供する。
【解決手段】ケイ素、炭素および酸素を含んでなり、ケイ素、炭素および酸素の平均元素比が下記組成式(1): SiCaOb (1)(式中、aは0.5≦a≦3.0を満たす数であり、bは0.5≦b≦4.0を満たす数である。)で表わされ、Si−O−Si結合からなるシロキサン骨格を有し、水素の質量分率が0〜1質量%である非晶質無機セラミック物質。
【選択図】図3

Description

本発明は、耐熱性等に優れる新規な非晶質無機セラミック物質及びその製造方法、並びに、該セラミック物質からなる無機繊維、無機不織布及びそれらの製造方法に関する。さらに、本発明は該無機繊維又は無機不織布を強化材料として含む複合材料などに関する。
従来、複合材料の強化材料としては主にガラス繊維及び炭素繊維が知られている。特に炭素繊維を用いた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、鋼やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)と比べて強度及び弾性率で優れており、優れた機械的な特性を有している。しかしながら、近年、二酸化炭素による地球温暖化や原油価格の高騰により、原油消費量の削減が要求されるようになった結果、各種部材の軽量化が必須となっている。このような軽量化を実現するためにCFRP等の量を減らすと、得られる強度が不足してしまう。このように、これらの強化材料は要求される特性をすべて満たすことはできない。
この改善として、炭素繊維とアルミニウム等の軽金属との複合材料が検討されているが、炭素繊維と軽金属との濡れ性が悪かったり、高温で軽金属と炭素が反応して強度が劣化することがある。
一方、1975年に矢島らによって開発されたケイ素系繊維は、軽金属との濡れ性がよく、耐熱性もあり、高温で軽金属と繊維が反応して強度が劣化するという問題もない。また、オルガノポリシロキサンから多結晶質炭化ケイ素繊維を製造する方法も検討されている。しかしながら、これらの繊維を製造するには1600℃以上の高温熱処理が必要であり、また、これらの繊維は、フェニル基を含有するため、Si/C元素比が低く、熱処理時の炭素消失率が大きいので、省資源化の観点から問題があり、経済面でも不利である。
近年、ポリマーブレンドを紡糸し、極細のケイ素系繊維を調製する方法が提案されている。この方法では、ケイ素系繊維となるケイ素前駆体としてのポリカルボシランとマトリックスとなる熱分解消失性樹脂という2種類を原料として使用する。具体的には、熱分解消失性樹脂中にケイ素前駆体を分散混合し、次いで溶融紡糸した後に熱処理する。これらの原料を用いるこの方法では製造工程中で水素が大量に発生し、安全性に問題がある(特許文献1,2)。
また、炭素繊維と一酸化ケイ素ガスとを反応させて炭化ケイ素繊維を生成させた後に熱処理を行なう方法も提案されている。この方法では、減圧下高温での気相反応を行わなければならないため、より簡便な方法が望まれる(特許文献3)。
車両や産業機械等から排出される排気ガスは大気汚染の原因となるため問題視されている。特にディーゼルエンジン車両においては、主にNOxとカーボンを主体とする浮遊粒子状物質の除去が重要な課題である。
このような背景のもと多種多様な排ガス浄化装置が提案されている。ディーゼルエンジン車両における一般的な排ガス浄化装置としては、エンジンの排気マニホールドに連結された排気管の途上にケーシングを設け、その中に微細な孔を有するフィルタを配置した構造のものがあるが、この材料は温度分布に起因するクラックの発生や溶損が問題となっている(特許文献4)。この問題を解決するため、金属不織布(特許文献5)や炭化ケイ素系不織布(特許文献6)をフィルターとして用いた排ガス浄化装置が提案されている。しかしながらこれらの材料は短繊維であるため強度が低かったり、ジメチルジクロロシランからポリシランを合成し、さらに、ポリカルボシランやポリチタノカルボシランを合成しなければならないという原料合成上の問題から非常に高価であるという問題を抱えている。
特開平6−101117号公報 特開2004−360115号公報 特開平7−18520号公報 特開平6−92753号公報 特開平9−262414号公報 特開2004−60096号公報
そこで、本発明は、耐熱性、他の材料との濡れ性、強度及び弾性率に優れ、特に繊維などの種々の形状の成形体又は不織布の形態をとることができ、複合材料用の強化材料、排ガスフィルター材料等として有用な材料、及び該材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、固体状のシリコーンを非酸化性雰囲気下において加熱、焼成することにより得られるケイ素−炭素−酸素系セラミック物質が上記目的を達成できることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、第一に、
ケイ素、炭素及び酸素を含んでなり、ケイ素、炭素及び酸素の平均元素比が下記組成式(1):
SiCaOb (1)
(式中、aは0.5≦a≦3.0を満たす数であり、bは0.5≦b≦4.0を満たす数である。)
で表わされ、Si−O−Si結合からなるシロキサン骨格を有し、水素の質量分率が0〜1質量%である非晶質無機セラミック物質を提供する。このセラミック物質は例えば繊維状態又は不織布の状態で提供することもできる。この無機セラミック物質は例えば次の製造方法により得られる。
即ち、本発明は、第二に、非溶融性固体状シリコーンを非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度において加熱することを含む、上記非晶質無機セラミック物質の製造方法を提供する。この製造方法において、出発材料として使用される非溶融性固体状シリコーンの好ましい例として、非溶融性シリコーン樹脂及び硬化性シリコーン組成物の硬化物が挙げられる。
本発明の上記非晶質無機セラミック物質は様々な形態の製品の材料として有用であり、例えばプラスチック材料や金属材料のための強化材料として利用することができる。
そこで、本発明は、第三に、
金属材料及び高分子材料の一方又は両方と、強化材料として上記の非晶質無機セラミック物質とを含む複合材料を提供する。このとき、非晶質無機セラミック物質は上述した繊維又は不織布の状態であることが好ましい。
また、該セラミック物質は不織布の状態で排ガスフィルター材料として有用である。
即ち、本発明は、第四に、上記無機不織布を含む排ガスフィルターを提供する。該フィルターは排ガスに含まれる浮遊粒子状物質を除去するのに有用であり、排ガス装置に用いることができる。例えば、トラック、バス等の大型自動車、ディーゼル機関車等の鉄道車両、建設機械、農業用機械、船舶等のディーゼル機関を用いた産業用機械、工場、家庭用燃料電池から排出される排気ガスの浄化に用いることができる。
本発明の非晶質無機セラミック物質は、耐熱性、濡れ性、強度及び弾性率に優れているので種々の形態に成形することにより様々な用途に利用することができる。特に、このような優れた特性のために、繊維状又は不織布状の該セラミック物質は、金属材料、プラスチック材料をベースとする複合材料用の強化材料として好適に用いることができる。
また、この非晶質無機セラミック物質は種々の成形体、さらには誘電特性、絶縁特性、又は電導性を有するパターン化成形体、ガラス、炭素材料等の無機材料からなる線材や繊維に耐熱性を付与する被覆材料などとしても使用することができる。
本発明の不織布状の非晶質無機セラミック物質は、耐熱性及び強度に優れているので、高温に晒される排ガスフィルター用材料、特に、ディーゼルエンジン等からの排ガスに含まれる浮遊粒子状物質を除去するための排ガスフィルター用材料として好適に用いることができる。
また、本発明の製造方法によれば、上記の非晶質無機セラミック物質を、資源の無駄な消費を抑制しつつ製造することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本明細書において、「固体状シリコーン」とは、室温において固体であるシリコーンを意味する。シリコーンはオルガノポリシロキサンベースの高分子物質であり、場合により充填剤その他の成分を含む組成物の状態でもよい。室温とは特記しない限り15〜35℃の範囲の温度を意味する。
「シリコーン樹脂」とは、分岐状シロキサン単位(即ち、T単位と称される三官能性シロキサン単位及び/又はQ単位と称される四官能性シロキサン単位)を必須のシロキサン単位として含んでなり、三次元構造を有するオルガノポリシロキサンを意味する。該シリコーン樹脂は、場合によっては、D単位と称される直鎖状シロキサン単位及び/又はM単位と称され、分子鎖末端に位置する一官能性シロキサン単位を含んでいてもよい。
また、本明細書において高分子物質が「非溶融性」であるとは軟化点を有しないことを意味し、したがって、非溶融性の高分子物質は温度を高めていくと溶融しないで熱分解を起こす。よって、「非溶融性固体状シリコーン」とは軟化点を有しない固体状シリコーンを意味し、「非溶融性シリコーン樹脂」とは、軟化点を有しないシリコーン樹脂を意味する。非溶融性固体状シリコーンの熱分解温度は約400℃を超える温度である。
なお、本明細書において「軟化点」は、JIS K 2207に規定の軟化点試験方法(環球法)に準拠して測定された温度を意味する。
[非晶質無機セラミック物質]
本発明の非晶質無機セラミック物質(以下、単に「セラミック物質」ともいう。)は前記の通りであり、即ち、ケイ素、炭素及び酸素を含み、Si−O−Si結合からなるシロキサン骨格を有する非晶質無機セラミック物質からなり、ケイ素、炭素及び酸素の平均元素比が下記組成式(1):
SiCaOb (1)
(式中、aは0.5≦a≦3.0を満たす数であり、bは0.5≦b≦4.0を満たす数である。)
で表わされ、水素の質量分率が0〜1質量%である物質である。上記において、aは、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上であり、また、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下である。また、bは好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.2以上であり、またbは好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下である。また、通常、a+bは2.0≦a+b≦4.0、好ましくは1.7〜3.5を満たす数である。
上記組成式(1)は、前記非晶質無機セラミック物質中のケイ素、炭素及び酸素の平均元素比が1:a:bであることを表わす。aが0.5よりも小さいと、繊維等の該物質からなる成形体の強度の点で不利である。一方、aが3.0よりも大きいと、耐熱性の点で不利である。また、bが0.5よりも小さいと、経済性の点で不利である。一方、bが4.0よりも大きいと、成形体の強度の点で不利である。更に、該セラミック物質全体に対する水素の質量分率は、好ましくは0〜0.5質量%である。該質量分率が1質量%よりも大きいと、耐熱性の点で不利である。なお、該セラミック物質は実質的にケイ素、炭素及び酸素からなり、場合によりさらに水素を含む。これら以外の元素(例えば原料中に含まれる、カリウム、ナトリウムなどの元素)は本発明の目的、効果を損なわない限り含まれてもよいが、その含有量は2.0質量%以下、特に0〜1.0質量%であることが好ましい。また、a+bは成形体の強度の点で、通常、2.0≦a+b≦4.0の範囲であり、好ましくは1.7〜3.5の範囲である。
上記の非晶質無機セラミック物質は様々な形態において提供される。例えば、特定の形状に成形された成形体として提供され、代表的には例えば繊維の形態で提供される。また、さらに、該繊維からなる不織布としても提供される。
本明細書で「不織布」には、ボンデッドファブリック、フェルトなどいずれの公知の不織布も含まれる。
以下、繊維状又は不織布状のセラミック物質をそれぞれ単に「無機繊維」及び「無機不織布」ともいう。
本発明の無機繊維は、例えば、0.1〜50μmの直径を有する。この範囲において繊維として形状を保持し易く安定に容易に製造することが可能である。直径の下限は好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、上限は好ましくは30μm以下である。太すぎると不織布の製造が困難となり易い。
[非晶質無機セラミック物質の製造方法]
該非晶質無機セラミック物質は、例えば、非溶融性固体状シリコーンを非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度において加熱することにより得られる。
上記の製造方法によれば、非溶融性固体状シリコーン内に存在する水素原子の脱離が進行して無機セラミック化する。そこで、以下の説明において、この過程を単に「セラミック化」とも称する。
非晶質無機セラミック物質を特定形状の成形体として得るには、非溶融性固体状シリコーンを当該特定形状に成形した後に上記の加熱処理に供すればよい。
例えば、繊維状又は不織布状の非晶質無機セラミック物質は、それぞれ、非溶融性固体状シリコーンを繊維状又は不織布状に形成した後に上記の加熱処理を施すことにより得ることができる。
以下、上記の製造方法について説明する。
出発材料として使用される非溶融性固体状シリコーンとしては、例えば、非溶融性シリコーン樹脂及び硬化性シリコーン組成物の硬化物が挙げられる。まず、非溶融性シリコーン樹脂について説明する。
−非溶融性シリコーン樹脂−
非溶融性シリコーン樹脂は溶融性シリコーン樹脂を不融化することにより得られる。不融化は例えば溶融性シリコーン樹脂を無機酸で処理することにより行うことができる。無機酸で処理することにより溶融性シリコーン樹脂中に残存するヒドロカルビルオキシ基及びシラノール基が脱水縮合する結果架橋反応が進行し、三次元網状構造が高密度化する結果、シリコーン樹脂は非溶融性になると考えられる。非溶融性シリコーン樹脂は高温においても溶融しないので、例えば繊維状である場合に繊維同士が融着することはなく、また、続く非酸化性雰囲気下での加熱処理において溶融しない。
ここで、「溶融性シリコーン樹脂」とは、室温において固体であるが、軟化点を有するシリコーン樹脂を意味する。即ち、このシリコーン樹脂は温度を高めていくと軟化点において溶融ないしは軟化する。
上記の不融化処理に使用される無機酸としては、例えば、塩化水素ガス等のガス状のもの、及び、塩酸、硫酸等の液状のものが挙げられる。無機酸の種類及び濃度は、原料として用いた溶融性シリコーン樹脂に含まれるフェニル基の量に応じて、適宜選択できる。溶融性シリコーン樹脂に含まれるフェニル基の量が少ない場合、例えば、溶融性シリコーン樹脂中のケイ素原子に結合した有機基及び水酸基の合計に対するフェニル基の割合(以下、「フェニル基含有率」とする。)が0〜5モル%である場合は、好ましくは50質量%以下の濃度の塩酸、より好ましくは30質量%以下の濃度の塩酸、更により好ましくは10〜25質量%の濃度の塩酸を用いることができる。これにより、不融化時に、シロキサンの平衡化反応が生じにくくなるので、成形体の形状を保持しやすい。一方、溶融性シリコーン樹脂に含まれるフェニル基の量が多い場合、例えば、フェニル基含有率が5モル%を超え、25モル%以下である場合は、好ましくは塩化水素ガス、濃硫酸等を用いることができる。これにより、フェニル基の量が多いために立体障害が大きい場合でも、不融化反応の進行が速くなりやすい。
無機酸での処理は、無機酸としてガス状のものを用いる場合は、例えば、無機酸の含まれる雰囲気に溶融成形した成形体を接触させることによって行うことができ、無機酸として液状のものを用いる場合は、例えば、無機酸中に成形体を浸漬することによって行うことができる。処理の温度は、例えば、5〜50℃、好ましくは10〜30℃であり、不融化の時間は、例えば、10〜50時間でよい。
溶融性シリコーン樹脂は溶融、成形(例えば、溶融紡糸)の温度に適した軟化点を有することが望ましい。換言すると、成形に適した流動性を持つと作業性と成形性がともに良好となる。具体的には、後述するように、成形は通常50〜200℃の温度において行われるが、その場合には溶融性シリコーン樹脂の軟化点は40〜150℃、特に40〜100℃の範囲にあることが好ましい。溶融、成形の温度に対して軟化点が高すぎると成形の際のシリコーン樹脂の流動性が低くて作業性が低下し、軟化点が近くて流動性が高すぎると成形性が劣り、紡糸の場合には断線し易い。溶融性シリコーン樹脂の溶融、成形は、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で、好ましくはアルゴンガス雰囲気下で行われる。
該溶融性シリコーン樹脂としては、例えば、下記平均組成式(2):
R1 mR2 n(OR3)p(OH)qSiO(4-m-n-p-q)/2 (2)
(式中、R1は独立に水素原子、又はアリール基以外の同一もしくは異種のカルボニル基を含んでいてもよい1価炭化水素基を示し、R2はフェニル基を示し、R3は同一もしくは異種の炭素原子数1〜4の1価炭化水素基を示し、mは0.1≦m≦2を満たす数であり、nは0≦n≦2を満たす数であり、pは0≦p≦1.5を満たす数であり、qは0≦q≦0.35を満たす数であり、ただし、p+q>0であり、0.1≦m+n+p+q≦2.6である。)
で表されるシリコーン樹脂が挙げられる。
上記R1は、好ましくは、独立に水素原子、又はアリール基以外の同一もしくは異種のカルボニル基を含んでいてもよい炭素原子数1〜8の1価炭化水素基である。R1の具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;アクリロイル基、メタクリロイル基等のアシル基が挙げられる。原料の入手の容易さの観点から、R1として特に水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基を好適に用いることができる。R1が水素原子の場合、シリコーン樹脂中に存在する反応性のSi-H基は、非溶融性シリコーン樹脂からなる成形体(例えば、繊維)を加熱してセラミック化するときに相互に融着するのを防止する効果がある。
上記mは0.1≦m≦2を満たす数であり、mは、好ましくは1.5以下であり、mは、好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.5以上である。mの値がこの範囲内にあると、溶融して成形する(例えば、溶融紡糸)時の溶融性シリコーン樹脂の粘度及び流動性を成形性及び作業性の点で適度なものにしやすい。また、加熱によりセラミック化の際の減量を低く抑えやすい。
上記Rはフェニル基であり、溶融性シリコーン樹脂の融点ないし軟化点を上げる作用を有するので、溶融紡糸時の粘度及び流動性の調節に利用できる。
上記nは0≦n≦2を満たす数であり、nは、好ましくは1.5以下であり、好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上である。nの値がこの範囲内にあると、フェニル基の含有量が多くなりすぎず、非溶融性シリコーン樹脂を加熱してセラミック化する際の減量を低く抑えやすい。
上記R3で表される炭素原子数1〜4の1価の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が工業的にも好ましく用いられる。R3が炭素原子数5以上の1価炭化水素基だと、OR3で表わされる基の反応性は低くなりやすく、非溶融性シリコーン樹脂からなる成形体を加熱してセラミック化する際に繊維等の成形体同士の融着が起りやすい。
上記pはORで表されるケイ素原子結合ヒドロカルビルオキシ基の含有量を示し、0≦p≦1.5を満たす数であり、pは、好ましくは1.2以下であり、pは、好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上である。pの値がこの範囲内にあると、シリコーン樹脂中のヒドロカルビルオキシ基の含有量が多すぎず、シリコーン樹脂の分子量を高く維持しやすい。そのため、非溶融性シリコーン樹脂成形体を加熱してセラミック化する際のケイ素、炭素の脱離による減量を抑制できる。
上記qはケイ素原子結合水酸基の含有量を示し、0≦q≦0.35を満たす数であり、好ましくは0≦q≦0.3を満たす数であり、特に好ましくは0である。qは、製造上、溶融性シリコーン樹脂にわずかに残存する水酸基の含有量を表わす。qの値がこの範囲内にあると、シラノール基の反応性を溶融性シリコーン樹脂全体として抑制でき、溶融性シリコーン樹脂の保存安定性ならびに溶融成形時の安定性及び作業性が向上する。
p+qはヒドロカルビルオキシ基と水酸基の合計量を示し、p+q>0である。ヒドロカルビルオキシ基(好ましくはアルコキシ基)及び/又は水酸基は前述した不融化処理において加水分解縮合反応により架橋を形成する上で必要である。これらの基は合計で、溶融性シリコーン樹脂中に1〜15質量%存在することが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
m+n+p+qは、0.1≦m+n+p+q≦2.6を満たす数である。m+n+p+qがこの範囲内にあると、非溶融性シリコーン樹脂を加熱してセラミック化する際に減量を抑制できる。
溶融性シリコーン樹脂の分子量は、上述した適度の軟化点を有する程度であることが好ましい。例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」とする。)により測定した重量平均分子量が、ポリスチレン換算で好ましくは600以上、より好ましくは1,000〜10,000の範囲内である。
溶融性シリコーン樹脂としては、上記条件を満たすシリコーン樹脂であれば、特に限定されないが、分子中にメチル基を有することが好ましい。溶融性シリコーン樹脂は、一種単独で用いても、分子構造や含まれるシロキサン単位の割合の異なる二種以上を併用してもよい。
このような溶融性シリコーン樹脂は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、目的とする溶融性シリコーン樹脂の構造中に含まれるシロキサン単位の割合に応じて、相当するオルガノクロロシラン類を、場合により炭素原子数1〜4のアルコールの存在下に共加水分解し、副生する塩酸及び低沸点成分を除去することによって目的物を得ることができる。またアルコキシシラン類、シリコーンオイルや環状シロキサンを出発原料とする場合には、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸等の酸触媒を使用し、場合によって加水分解のための水を添加して、重合反応を進行させた後、使用した酸触媒や低沸点成分を同様に除去することによって目的とするシリコーン樹脂を得ることができる。
−硬化性シリコーン組成物の硬化物−
次に、前記非晶質無機セラミック物質の製造方法において出発原料として用いる非溶融性固体状シリコーンの別の例である硬化性シリコーン組成物の硬化物について説明する。
このような硬化性シリコーン組成物としては、公知のものを使用することができる。その具体例としては、付加硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型、縮合硬化型のシリコーン組成物等が挙げられる。付加硬化型シリコーン組成物としては、例えば、分子鎖末端部分(片末端又は両末端)及び分子鎖非末端部分のどちらか一方又はその両方にビニル基等のアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを白金族金属系触媒の存在下で反応(ヒドロシリル化付加反応)させることにより硬化するシリコーン組成物を挙げることができる。紫外線硬化型シリコーン組成物としては、例えば、波長200〜400nmの紫外線のエネルギーにより硬化するシリコーン組成物が挙げられる。この場合、硬化機構には特に制限はない。その具体例としては、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基を有するオルガノポリシロキサンと光重合開始剤とを含有するアクリルシリコーン系シリコーン組成物、メルカプト基含有オルガノポリシロキサンとビニル基等のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと光重合開始剤とを含有するメルカプト−ビニル付加重合系シリコーン組成物、熱硬化性の付加反応型と同じ白金族金属系触媒を用いた付加反応系シリコーン組成物、エポキシ基を有するオルガノポリシロキサンとオニウム塩触媒とを含有するカチオン重合系シリコーン組成物などが挙げられ、いずれも紫外線硬化型シリコーン組成物として使用することができる。電子線硬化型シリコーン組成物としては、ラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサンに電子線を照射することで開始するラジカル重合により硬化するいずれのシリコーン組成物も使用することができる。縮合硬化型シリコーン組成物としては、例えば、両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサン又はテトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシラン等の加水分解性シラン及び/もしくはその部分加水分解縮合物とを有機錫系触媒等の縮合反応触媒の存在下で反応させることにより硬化するシリコーン組成物、あるいは両末端がトリアルコキシシロキシ基、ジアルコキシオルガノシロキシ基、トリアルコキシシロキシエチル基、ジアルコキシオルガノシロキシエチル基等のアルコキシ含有シロキシ基又はアルコキシ含有シロキシアルキル基で封鎖されたオルガノポリシロキサンを有機錫系触媒等の縮合反応触媒の存在下で反応させることにより硬化するシリコーン組成物などを挙げることができる。しかし、前記の固体状シリコーンを寸法精度良く得る上では、体積収縮の少ない付加硬化型が好ましい。
以下、上述の硬化型のシリコーン組成物の代表例について、無機フィラー以外の成分に焦点をあてて詳述するが、いずれの組成物も必要に応じて無機フィラー、その他の周知慣用の添加物を含むことができる。
<付加硬化型シリコーン組成物>
付加硬化型シリコーン組成物として、具体的には、例えば、
(a)ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン、
(b)ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 全硬化性シリコーン組成物中のアルケニル基1モル当たり、本(b)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5.0モルとなる量、及び
(c)白金族金属系触媒 有効量
を含有する付加硬化型シリコーン組成物が挙げられる。
・(a)成分
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、付加硬化型シリコーン組成物のベースポリマーであり、珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有する。(a)成分としては公知のオルガノポリシロキサンを使用することができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された(a)成分のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量はポリスチレン換算で好ましくは3,000〜300,000程度である。更に、(a)成分のオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、100〜1,000,000mPa・sであることが好ましく、200〜100,000mPa・s程度であることが特に好ましい。(a)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には、分子鎖(主鎖)がジオルガノシロキサン単位((R2SiO2/2単位)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基((R3SiO1/2)で封鎖された、分岐を有しない直鎖状構造、又は分子鎖が該ジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる、分岐を有しない環状構造を有するが、RSiO3/2単位やSiO4/2単位を含んだ分岐状構造を部分的に有していてもよい(ここで、Rは同一又は異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の一価炭化水素基である。)。
(a)成分としては、例えば、下記平均組成式(3):
SiO(4-c)/2 (3)
(式中、Rは上記のとおりであり、cは好ましくは1.5〜2.8、より好ましくは1.8〜2.5、更により好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数ある。)
で示され、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが用いられる。
上記Rで示される一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換した基、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
この場合、Rのうち少なくとも2個はアルケニル基(特に、炭素原子数が好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6のアルケニル基)である。なお、アルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合する全有機基中(即ち、前記平均組成式(3)においてRで示される非置換又は置換の全一価炭化水素基中)、好ましくは0.01〜20モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%である。(a)成分のオルガノポリシロキサンが直鎖状構造を有する場合、このアルケニル基は、分子鎖末端及び分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよいが、組成物の硬化速度、硬化物の物性等の点から、少なくとも一個のアルケニル基が分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
上記Rは、基本的には上記のいずれであってもよいが、アルケニル基はビニル基であることが好ましく、アルケニル基以外の一価炭化水素基はメチル基又はフェニル基であることが好ましい。
(a)成分の具体例としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2008081396
なお、上記一般式中のRは、アルケニル基を表さないこと以外は、Rと同様である。g及びhはg≧1、h≧0を満たす整数であり、g+hはこのオルガノポリシロキサンの分子量及び粘度が上記の値となる数である。
・(b)成分
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を少なくとも2個(通常、2〜200個)、好ましくは3個以上(通常、3〜100個)含有する。(b)成分は、(a)成分と反応し、架橋剤として作用する。(b)成分の分子構造は特に制限されず、例えば、線状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等の、従来製造されているいずれのオルガノハイドロジェンポリシロキサンも(b)成分として使用することができる。(b)成分が線状構造を有する場合、SiH基は、分子鎖末端及び分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよい。また、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)が、通常、2〜300個、好ましくは4〜150個程度であり、25℃において液状であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが(b)成分として好ましく使用できる。
(b)成分としては、例えば、下記平均組成式(4):
SiO(4-d-e)/2 (4)
(式中、Rは同一又は異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が1〜10の一価炭化水素基であり、d及びeは、好ましくは0.7≦d≦2.1、0.001≦e≦1.0、かつ0.8≦d+e≦3.0、より好ましくは1.0≦d≦2.0、0.01≦e≦1.0、かつ1.5≦d+e≦2.5を満足する正数である。)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。上記Rとしては、例えば、上記平均組成式(3)中のRと同様の基(ただし、アルケニル基を除く。)が挙げられる。
上記平均組成式(4)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
(b)成分の添加量は、(a)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、本(b)成分中のSiH基の量が0.1〜5.0モル、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モルとなる量である。該添加量が上記SiH基の量が0.1モルより少なくなる量であると、該組成物から得られる硬化物の架橋密度が低くなりすぎ、該硬化物の耐熱性が悪影響を受ける。また、該添加量が上記SiH基の量が5.0モルより多くなる量であると、該硬化物中に脱水素反応による発泡が生じてしまい、更に該硬化物の耐熱性が悪影響を受ける。
・(c)成分
(c)成分の白金族金属系触媒は、(a)成分と(b)成分との付加硬化反応(ヒドロシリル化)を促進させるための触媒として使用される。(c)成分としては、公知の白金族金属系触媒を用いることができるが、白金もしくは白金化合物を用いることが好ましい。(c)成分の具体例としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレンアルコール類等との錯体が挙げられる。
(c)成分の添加量は、触媒としての有効量であり、希望する硬化速度に応じて適宜増減すればよいが、(a)成分に対して白金族金属に換算して質量基準で好ましくは0.1〜1,000ppm、より好ましくは1〜200ppmの範囲である。
付加硬化型シリコーン組成物を硬化させる温度条件は、好ましくは60℃〜180℃より好ましくは80℃〜160℃である。硬化時間は、1分〜3時間、さらにより好ましくは3分〜2時間である。また、必要に応じて2次硬化を行ってもよく、その際の温度条件としては好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際の硬化時間は好ましくは10分〜48時間さらに好ましくは30分〜24時間である。
<紫外線硬化型シリコーン組成物>
紫外線硬化型シリコーン組成物として、具体的には、例えば、
(d)紫外線反応性オルガノポリシロキサン、及び
(e)光重合開始剤
を含有する紫外線硬化型シリコーン組成物が挙げられる。
・(d)成分
(d)成分の紫外線反応性オルガノポリシロキサンは、通常、紫外線硬化型シリコーン組成物においてベースポリマーとして作用する。(d)成分は、特に限定されず、好ましくは1分子中に少なくとも2個、より好ましくは2〜20個、特に好ましくは2〜10個の紫外線反応性基を有するオルガノポリシロキサンである。このオルガノポリシロキサン中に複数存在する前記紫外線反応性基は、全て同一でも異なっていてもよい。
(d)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には、分子鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基もしくはトリオルガノシリルエチル基等のトリオルガノシリル置換アルキル基で封鎖された、分岐を有しない直鎖状構造、又は分子鎖が該ジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる、分岐を有しない環状構造を有することが好ましいが、三官能性シロキサン単位やSiO2単位等の分岐状構造を部分的に含有してもよい。(d)成分のオルガノポリシロキサンは、直鎖状構造を有する場合、紫外線反応性基を、分子鎖末端及び分子鎖末端でない部分のどちらか一方にのみ有していても、その両方に有していてもよいが、少なくとも分子鎖両末端に紫外線反応性基を有することが好ましい。
該紫外線反応性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;アクリロイル基、メタクリロイル基等のアルケニル基以外の脂肪族不飽和基;メルカプト基;エポキシ基;ヒドロシリル基等が挙げられ、好ましくはアクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、及びヒドロシリル基が挙げられ、より好ましくはアクリロイル基及びメタクリロイル基が挙げられる。
該紫外線反応性基は、その種類に応じて、(d)成分のオルガノポリシロキサン中に主鎖を構成するケイ素原子に直接結合していてもよいし、アルキレン基等の連結基を介して珪素原子に結合していてもよい。
前記オルガノポリシロキサンの粘度は、特に限定されないが、25℃において、25mPa・s以上であることが好ましく、100〜10,000,000mPa・sであることがより好ましく、100〜100,000mPa・sであることが特に好ましい。
(d)成分の好ましい一形態として、例えば、下記一般式(5):
Figure 2008081396
[式中、Rは同一又は異種の、紫外線反応性基を有しない非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、R及びRは各々同一又は異種の、紫外線反応性基もしくは紫外線反応性基を有する基であり、tは5〜1,000の整数であり、uは0〜100の整数であり、vは0〜3の整数であり、wは0〜3の整数であり、但し、v+w+u≧2である。]
又は、下記一般式(6):
Figure 2008081396
[式中、R、R、R、t、u、v及びwは上記一般式(5)で定義したとおりであり、kは2〜4の整数であり、r及びsは各々1〜3の整数であり、但し、vr+ws+u≧2である。]
で表される少なくとも2個の紫外線反応性基を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。
上記一般式(5)及び(6)中、Rは、同一又は異種の、紫外線反応性基を有しない非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、更により好ましくは1〜8の一価炭化水素基である。Rで表される一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルブチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの炭化水素基の炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基等で置換された基、例えば、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基等が挙げられ、好ましくはメチル基及びフェニル基が挙げられ、より好ましくはメチル基が挙げられる。また、上記Rで表される一価炭化水素基はその骨格中にスルホニル基、エーテル結合(−O−)、カルボニル基等を1種又は2種以上有してもよい。
上記一般式(5)及び(6)中、R及びRで表される紫外線反応性基は上述したとおりである。紫外線反応性基を有する基とは該紫外線反応性基が連結基を介してケイ素原子に結合している場合であり、その具体例としては、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2−{ビス(2−メタクリロイルオキシエトキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基、及び2−{(1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)ジメチルシリル}エチル基等が挙げられ、好ましくは3−メタクリロイルオキシプロピル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、2−{ビス(2−メタクリロイルオキシエトキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(1,3−ジメタクリロキシ−2−プロポキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基、及び2−{(1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)ジメチルシリル}エチル基が挙げられ、より好ましくは3−アクリロイルオキシプロピル基、2−{ビス(2−メタクリロイルオキシエトキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基、2−{ビス(1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基が挙げられる。
一般式(5)及び(6)において、R及びRは各々同一であっても異なっていてもよく、R及びRどうしが同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(5)及び(6)中、tは、通常、5〜1,000、好ましくは10〜800、より好ましくは50〜500の整数である。uは、通常、0〜100、好ましくは0〜50、より好ましくは0〜20の整数である。vは、通常、0〜3、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは1又は2である。wは、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは1又は2である。上記式(6)中、kは、通常、2〜4の整数、好ましくは2又は3である。r及びsは各々1〜3の整数、好ましくは1又は2である。更に、上記一般式(5)及び(6)で表されるオルガノポリシロキサンは、前述のとおり、前記紫外線反応性基を少なくとも2個有するので、式(5)ではv+w+u≧2となり、式(6)ではvr+ws+u≧2となる。
上記式(5)又は(6)で表されるオルガノポリシロキサンの具体例としては、下記に示すものなどが挙げられる。
Figure 2008081396
Figure 2008081396
Figure 2008081396
Figure 2008081396
[式中、Rは、90モル%がメチル基であり、10モル%がフェニル基である]
・(e)成分
(e)成分の光重合開始剤は、前記(d)成分中の紫外線反応性基の光重合を促進させる作用を有する。(e)成分は特に限定されず、その具体例としては、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンセン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントン、3,9−ジクロロキサントン、3−クロロ−8−ノニルキサントン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシアセタール、2−クロロチオキサントン、ジエチルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられ、好ましくはベンゾフェノン、4−メトキシアセトフェノン、4−メチルベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが挙げられ、より好ましくはジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが挙げられる。これらの光重合開始剤は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(e)成分の添加量は、特に限定されないが、(d)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜3質量部、更により好ましくは0.5〜3質量部である。この添加量がこの範囲内だと、本発明組成物を硬化させることにより得られる硬化物は強度及び引張り強さ等の物理特性に優れたものとなる。
紫外線硬化シリコーン組成物を硬化させる紫外線照射条件は、365nmに発光波長を持った紫外線発光ダイオードを用い、照度5〜500mW/cm2、好ましくは10〜200mW/cm2、光量0.5〜100J/cm2、好ましくは10〜50J/cm2の条件で紫外線照射を行うことで硬化させることができる。また、必要に応じて2次硬化を行ってもよく、その際の温度条件としては好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際の硬化時間は好ましくは10分〜48時間さらに好ましくは30分〜24時間である。
<縮合硬化型シリコーン組成物>
縮合硬化型シリコーン組成物として、具体的には、例えば、
(h)ケイ素原子結合水酸基又はケイ素原子結合加水分解性基を少なくとも2個、好ましくは分子鎖両末端に含有するオルガノポリシロキサン、
(i)任意成分として、加水分解性シラン及び/又はその部分加水分解縮合物、ならびに
(j)任意成分として、縮合反応触媒
を含有する縮合硬化型シリコーン組成物が挙げられる。
・(h)成分
(h)成分は、ケイ素原子結合水酸基又はケイ素原子結合加水分解性基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンであり、縮合硬化型シリコーン組成物のベースポリマーである。(h)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には、分子鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる、分岐を有しない直鎖状構造又は環状構造を有するが、分岐状構造を部分的に有していてもよい。なお、本明細書において「加水分解性基」とは、水の作用により分解して水酸基を形成しうる基を意味する。
(h)成分のオルガノポリシロキサンにおいて、加水分解性基としては、例えば、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基(即ち、イミノキシ基);メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;ビニロキシ基、イソプロペニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基等が挙げられる。
これらの加水分解性基は、例えば、トリアルコキシシロキシ基、ジアルコキシオルガノシロキシ基、トリアシロキシシロキシ基、ジアシロキシオルガノシロキシ基、トリイミノキシシロキシ基(即ち、トリケトオキシムシロキシ基)、ジイミノキシオルガノシロキシ基、トリアルケノキシシロキシ基、ジアルケノキシオルガノシロキシ基、トリアルコキシシロキシエチル基、ジアルコキシオルガノシロキシエチル基等の、2個もしくは3個の加水分解性基を含有するシロキシ基または2個もしくは3個の加水分解性基を含有するシロキシアルキル基等の形で直鎖状ジオルガノポリシロキサンの分子鎖両末端に位置していることが好ましい。
水酸基及び加水分解性基以外の、珪素原子に結合した他の原子又は基は一価炭化水素基であり、該一価炭化水素基としては、上記平均組成式(3)におけるRについて例示したものと同じ非置換または置換の一価炭化水素基が挙げられる。
(h)成分としては、例えば、下記の式:
Figure 2008081396
[上記の式中、Yは加水分解性基、xは1、2又は3、y及びzはそれぞれ1〜1000の整数である]
で表される分子鎖両末端にケイ素原子に結合した水酸基又はケイ素原子に結合した加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
上記の化学式で表されるオルガノポリシロキサンの内、両末端に加水分解性基Yを有するものの具体例としては、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端2−(トリメトキシシロキシ)エチル基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
・(i)成分
(i)成分の加水分解性シラン及び/又はその部分加水分解縮合物は任意成分であり、硬化剤として作用する。ベースポリマーである(h)成分がシラノール基以外のケイ素原子結合加水分解性基を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンである場合には、(i)成分を縮合硬化型シリコーン組成物に添加するのを省略することができる。(i)成分としては、1分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合加水分解性基を含有するシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(即ち、少なくとも1個、好ましくは2個以上の加水分解性基が残存するオルガノポリシロキサン)が好適に使用される。
前記加水分解性シランとしては、例えば、式(7):
10 SiX4-f (7)
(式中、R10は非置換又は置換の一価炭化水素基、Xは加水分解性基、fは0又は1である。)で表されるものが好ましく用いられる。前記R10としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基が特に好ましく挙げられる。前記Xとしては、例えば、前記(h)成分におけるケイ素原子結合加水分解性基Yとして例示したものすべてが挙げられる。
該加水分解性シランの具体例としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルオルソシリケート等、及びこれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
(i)成分の加水分解性シラン及び/又はその部分加水分解縮合物を用いる場合、その添加量は、(h)成分100質量部に対して好ましくは0.01〜20質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部である。(i)成分を用いる場合、その添加量が上記範囲内にあると、本発明組成物の貯蔵安定性、接着性及び硬化速度は特に良好である。
・(j)成分
(j)成分の縮合反応触媒は任意成分であり、上記(i)成分の加水分解性シラン及び/又はその部分加水分解縮合物が、例えば、アミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等を有する場合には使用しなくてもよい。(j)成分の縮合反応触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等の有機チタンキレート化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラブチレート等の有機ジルコニウム化合物;ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ(2−エチルヘキサノエート)等の有機スズ化合物;ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;ヘキシルアミン、燐酸ドデシルアミン等のアミン化合物、及びその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩;酢酸カリウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;グアニジル基含有有機ケイ素化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(j)成分の縮合反応触媒を用いる場合、その添加量は、特に制限されず、触媒としての有効量でよいが、(h)成分100質量部に対して好ましくは0.01〜20質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部である。(j)成分を用いる場合、その添加量が上記範囲内にあると、本発明組成物の硬化性及び貯蔵安定性は特に良好である。
縮合硬化型シリコーン組成物を硬化させるには、通常、該組成物を、湿気(例えば、25〜90%RH、好ましくは50〜85%RH)を含む雰囲気中に放置すると、雰囲気中の水分により硬化する。硬化を促進させるために加熱してもよい。また、必要に応じて2次硬化を行ってもよい。その際の温度条件としては好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際の硬化時間は好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。
−繊維状又は不織布状の非溶融性固体状シリコーンの製造−
本発明の非晶質無機セラミック物質を繊維状又は不織布状に製造するには、熱処理に供する非溶融性固体状シリコーンを予め繊維状又は不織布状に製造する必要がある。そこで、非溶融性固体状シリコーンを繊維状又は不織布状に製造する方法を説明する。
・<1>繊維状非溶融性固体状シリコーンの製造:
・・製造方法1−1:
溶融性シリコーン樹脂を溶融紡糸して溶融性シリコーン樹脂繊維を得、該溶融性シリコーン樹脂繊維を上述の不融化処理に供して繊維状の非溶融性固体状シリコーンを得る方法。
該方法において、溶融紡糸は、従来公知の方法で行うことができるが、例えば、100μm〜1mmのオリフィス直径を有するモノフィラメント紡糸装置を用いて、50〜200℃の温度にて行うことができる。その場合には溶融性シリコーン樹脂の軟化点は40〜150℃、特に40〜100℃の範囲にあることが好ましい。溶融紡糸の温度に対して軟化点が高すぎると溶融紡糸の際のシリコーン樹脂の流動性が低くて好ましくない。溶融紡糸は、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で、好ましくはアルゴンガス雰囲気下で行われる。リールへの巻き取り速度は、例えば、100〜1,000m/分、好ましくは200〜500m/分である。溶融紡糸によって得られる溶融性シリコーン樹脂繊維は、所要の無機繊維の直径に応じて選択されるが、例えば、0.1〜50μm、好ましくは5〜30μmの直径を有する。
溶融紡糸の好ましい方法としてメルトブロー法が挙げられる。この場合も、溶融シリコーン樹脂が吐出される紡糸ノズルの直径は100μm〜1mm程度が好ましい。メルトブロー法では、通常、紡糸ノズルの周囲に溶融物の吐出方向と同一方向に加熱ガスを噴出させるノズルが複数設けられ、紡糸ノズルから吐出された溶融状態のシリコーン樹脂を一定距離保温ないし加熱するようになっている。この加熱ガスの噴出速度は30〜300m/s程度であり、速度が速いほど細かい繊維が得られる。
・・製造方法1−2:
室温にて液状の硬化性シリコーン組成物を孔から連続的に吐出させて糸引きし、糸引き中に該硬化性シリコーン組成物を硬化させて繊維状の硬化シリコーン(即ち、硬化シリコーン繊維)を得る方法。
この方法に用いられる硬化性シリコーン組成物は室温において液状であり、室温において好ましくは100〜1,000,000mPa.s、より好ましくは200〜100,000mPa.sの粘度を有する。この方法により得られる硬化シリコーン繊維は、そのまま加熱処理に付すことで繊維状の非晶質無機セラミック物質が得られるし、不織布化した(後述の製造方法2−3及び2−4参照)後に加熱処理に付すことで不織布状の非晶質無機セラミック物質を得ることができる。
この硬化シリコーン繊維の繊維径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmである。繊維径がこの範囲内にあると、硬化性シリコーン組成物の硬化速度が十分に速くなりやすいので、繊維形状を保持しやすく、繊維の製造が容易となりやすい。また、得られた繊維の凝集が起こりにくいので、不織布の製造が容易となりやすい。
該方法で硬化性シリコーン組成物を吐出させる上記の孔としては、例えば、紡糸ノズルのノズル孔が挙げられる。孔の内径は、所望の繊維径や硬化性シリコーン組成物の吐出速度などに応じて適宜選択することができるが、例えば、100μm〜1mm程度である。孔の形としては、例えば、円、楕円等が挙げられる。孔の数は、1個でも複数個でもよい。孔の数が複数個の場合、孔の並び方としては、例えば、直線状、円状、同心円状、放射状、格子状等が挙げられる。また、孔の数が複数個の場合、孔の間隔としては、例えば、0.01〜50mm、好ましくは0.1〜10mmが挙げられる。
硬化性シリコーン組成物の吐出速度は、例えば、100〜10,000m/分程度である。吐出速度が速いほど、繊維径の小さい繊維が得られる。硬化性シリコーン組成物を孔から連続的に吐出させるときの温度は、硬化性シリコーン組成物が液状を保つ限り、特に制限されず、硬化性シリコーン組成物の種類に応じて適宜選択される。該温度としては、例えば、室温が挙げられる。上記の方法によりシリコーン繊維を製造する場合、雰囲気としては、例えば、空気;アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスが挙げられる。
通常、上記の孔の下方には、上記の方法により得られたシリコーン繊維を捕集できるように、受器が配置される。受器の形状、材料等は特に制限されない。受器の形状としては、例えば、板状、皿状、無蓋容器状、袋状、帯状等が挙げられる。受器の材料としては、例えば、金属、プラスチック、ゴム、ガラス等が挙げられる。これらの材料は、該受器が通気性を有するように、例えば、メッシュ構造を有することが望ましい。上記の孔から受器までの高さは、糸引き中に硬化性シリコーン組成物が硬化できるものであれば特に制限されず、該シリコーン組成物の吐出速度や硬化速度等に応じて適宜選択される。
各硬化性シリコーン組成物及びその硬化方法は上述した通りであるが、当該方法において特に求められる操作等について各硬化性シリコーン組成物ごとに説明する。
(付加硬化型シリコーン組成物の場合)
糸引き中の付加硬化型シリコーン組成物を加熱装置により加熱することで、該シリコーン組成物中でヒドロシリル化反応を進行させ、該シリコーン組成物を硬化させて、シリコーン繊維を得ることができる。加熱装置は、糸引き中の該シリコーン組成物が所望の温度に加熱されるように、通常、糸引き中の該シリコーン組成物の経路の近傍に配置される。加熱装置としては、例えば、ヒーター等が挙げられる。加熱温度は、繊維径に応じて、すなわち、上記孔の直径や付加硬化型シリコーン組成物の吐出速度に応じて適宜選択されるが、好ましくは80〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。また、必要に応じて2次硬化を行ってもよく、その際の温度条件としては好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際の硬化時間は好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。
(紫外線硬化型シリコーン組成物の場合)
糸引き中の紫外線硬化型シリコーン組成物に紫外線を照射することで、該シリコーン組成物を硬化させて、シリコーン繊維とすることができる。紫外線照射装置は、糸引き中の該シリコーン組成物に紫外線が照射されるように配置される。紫外線照射装置としては、例えば、紫外線ランプ、紫外線発光ダイオード等が挙げられる。紫外線照射条件は、繊維径に応じて、すなわち、上記孔の直径や紫外線硬化型シリコーン組成物の吐出速度に応じて適宜選択される。
(縮合硬化型シリコーン組成物の場合)
糸引き中に縮合硬化型シリコーン組成物を、湿気(例えば、25〜90%RH、好ましくは50〜85%RH)を含む雰囲気中を通過させることにより、硬化させて、シリコーン繊維とすることができる。
・<2>不織布状非溶融性固体状シリコーンの製造:
・・製造方法2−1(溶融性シリコーン樹脂を用いる乾式法):
溶融性シリコーン樹脂を溶融紡糸して溶融性シリコーン樹脂繊維を形成し、
該溶融性シリコーン樹脂繊維を受器上に吸引捕集することにより不織布を形成し、
該不織布を不融化処理して非溶融性シリコーン樹脂系不織布を得る方法。
この方法によれば、フェルト状の不織布が得られる。
該製造方法において、溶融性シリコーン樹脂から溶融性シリコーン樹脂繊維を形成する工程は、繊維状非溶融性固体状シリコーンの製造方法1−1と同じである。この方法においても、溶融紡糸の方法はメルトブロー法が好ましい。
溶融紡糸された溶融性シリコーン樹脂繊維を受器上に吸引しつつ捕集することにより該繊維からなる不織布が形成される。紡糸ノズルから糸引きされる方向は特に限定されず、鉛直下方、斜め下方、側方など挙げられ、糸引きされた繊維を受ける受器の配置位置は糸引きの方向に応じて紡糸された繊維を適切に受け止め、捕集できるように配置し構成する。典型的には、紡糸ノズルから鉛直下方に重力により落下させる形で糸引きし、受器は紡糸ノズルの鉛直下方に水平に配置する。いずれの場合でも受器の背後から吸引しながら行うことが好ましい。吸引捕集することにより繊維どうしが効果的に絡まり、高強度の不織布が得られる。吸引速度は2〜10m/s程度の範囲が好ましい。
受器の形状、材料等は特に制限されず、例えば製造方法1−2に関して説明した通りである。上記の孔から受器までの高さは、作業環境の温度、湿度等にもより、制限するものではないが、例えば、20〜150cmが挙げられる。上記の方法を実施する際には、受器上に不織布が一定の均一な厚さで形成されるように、受器を一定の方向に連続的に移動させることが望ましい。その際の受器の移動速度は0.01〜5m/s、好ましくは0.05〜2m/sである。このような移動性受器の例としてはベルトコンベアーのベルトが挙げられる。
受器表面への硬化シリコーン繊維の吸引捕集は、例えば、気流、静電気などにより行うことができるが、好ましくは気流により行われる。吸引捕集を気流により行う場合、受器の材料としては通気性のあるものが選択される。この受器のおもて面側から背面側へ向かう気流を形成さ、この気流により吸引捕集を行う。吸引捕集を静電気により行う場合、受器の材料としては帯電性のものが選択され、例えば、金属、プラスチックが挙げられる。
図1は、該方法によるシリコーン系不織布の製造段階の一例を示す概略図である。紡糸ノズル1を通して供給される溶融したシリコーン樹脂2は、ノズル孔3から吐出されて鉛直下方へ落下する。紡糸ノズル1の本数は一本でもよいし、複数本でもよい。紡糸ノズル1が複数本ある場合、その配列の仕方は多様であるが、受器上の一定範囲の領域にシリコーン繊維が均一な量で落下することが望ましい。例えば、ノズル1の先端が水平な直線上に同じ高さで等間隔に配列されてもよいし、水平な平面上に二次元的に配列されていてもよい。二次元的配列は、円を構成してもよいし、更に二重以上の同心円状でもよいし、放射状でもよい。
落下中の溶融シリコーン樹脂2はノズル1から出ると外気に触れ冷却され固化し、シリコーン樹脂繊維4となる。
シリコーン樹脂繊維4は、ベルトコンベヤーのベルト5の表面に到達する。矢印7はベルト5の移動方向を示す。ベルト5は通気性を有する構造であり、例えば、金属、プラスチック、ゴム等でできている。ベルト5の下方からの吸引により、矢印8の方向に、上方からベルト5を通して下方へ向かう気流が形成される。ベルト5の表面に到達したシリコーン繊維4はベルト5の下方への気流によりベルト5上に吸引捕集される。その際にシリコーン樹脂繊維4が絡み合い、ベルト5の移動方向7に向かってシリコーン系不織布6が連続的に形成される。
・・製造方法2−2(溶融性シリコーン樹脂を用いる湿式法):
溶融性シリコーン樹脂を溶融紡糸して溶融性シリコーン樹脂繊維を形成し、
該シリコーン樹脂繊維を不融化処理して非溶融性シリコーン樹脂繊維を得、
得られた非溶融性シリコーン樹脂繊維をバインダーを含む水性媒体に分散してスラリーを調製し、
該スラリーから抄造することにより不織布状非溶融性固体状シリコーンを得る方法。
この方法によれば、ボンデッドファブリックとして不織布が得られる。
溶融性シリコーン樹脂繊維の形成は上記製造方法1−1と同様に、また該繊維の不融化処理は前述のように行われる。こうして得られた非溶融性シリコーン樹脂繊維は、バインダーを含む水性媒体、例えば水とバインダーを含む水溶液に添加され、該繊維の水性スラリーが調製される。用いるバインダーとしては、例えば、有機バインダーとしてカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、無機バインダーとしてコロイダルシリカやコロイダルアルミナなどが挙げられる。バインダーの量は繊維に対して極力少ないほうがよく、具体的には繊維に対して3質量%以下が好ましく、通常0.05〜3質量%の範囲であり、より好ましくは1質量%以下である。
スラリー中の非溶融性シリコーン樹脂繊維の濃度は、通常、0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%である。
スラリー中に分散した非溶融性シリコーン樹脂繊維から該繊維の不織布を抄造する工程は、通常の製紙工程と基本的に同じ手法でよい。
・・製造方法2−3(硬化性シリコーン組成物を用いる乾式法):
製造方法1−2と同様にして糸引き中に該硬化性シリコーン組成物を硬化させて硬化シリコーン繊維を得、該硬化シリコーン繊維を受器に吸引捕集して硬化シリコーン繊維からなるシリコーン不織布を得る方法。
この方法によれば、フェルト状の不織布が得られる。
硬化シリコーン繊維の受器への吸引捕集は製造方法2−1と同様に行えばよく、受器も同様に連続的に移動させることが好ましい。
図2は、本製造方法によりシリコーン不織布を製造する過程を説明する概略図である。紡糸ノズル1を通して供給される硬化性シリコーン組成物2aは、ノズル孔3から吐出されて鉛直下方へ落下する。紡糸ノズル1の本数は一本でもよいし、複数本でもよい。紡糸ノズル1が複数本ある場合、その配列の仕方は多様であるが、受器上の一定範囲の領域にシリコーン繊維が均一な量で落下することが望ましい。例えば、ノズルの先端が水平な直線上に同じ高さで等間隔に配列されてもよいし、水平な平面上に二次元的に配列されていてもよい。二次元的配列は、円を構成してもよいし、更に二重以上の同心円状でもよいし、放射状でもよい。
落下中の硬化性シリコーン組成物2aの落下経路の近傍には、該組成物の種類に応じ、該組成物を硬化させるための装置9が配置される。硬化性シリコーン組成物2aが付加硬化型シリコーン組成物である場合、装置9は加熱装置であり、硬化性シリコーン組成物2aは、装置9の近傍を通過するときに加熱されて硬化し、硬化シリコーン繊維4となる。硬化性シリコーン組成物2aが紫外線硬化型シリコーン組成物である場合、装置9は紫外線照射装置であり、硬化性シリコーン組成物2aは、装置9の近傍を通過するときに紫外線を照射されて硬化し、硬化シリコーン繊維4となる。硬化性シリコーン組成物2aが縮合硬化型シリコーン組成物である場合、雰囲気中に含まれる湿気により硬化性シリコーン組成物2aは硬化し、硬化シリコーン繊維4となるので、装置9は必須ではないが、硬化を促進させるために装置9として加熱装置を配置してもよい。
形成された硬化シリコーン繊維4は、ベルトコンベヤーのベルト5の表面に到達する。矢印7はベルト5の移動方向を示す。ベルト5は図1の場合と同様であり、下方へ向かう気流が形成される。ベルト5の表面に到達した硬化シリコーン繊維4はベルト5上に吸引捕集される。その際に硬化シリコーン繊維4が絡み合い、ベルト5の移動方向7に向かってシリコーン不織布6が連続的に形成される。
なお、ベルト5の下方からの吸引を行わない場合、シリコーン不織布6は形成されず、代わりに、ベルト5の表面に到達した硬化シリコーン繊維4はベルト5上に綿状に捕集される。このようにして捕集した綿状の硬化シリコーン繊維4からは湿式法において水性分散液からの抄造による不織布製造に利用することができる。
・・製造方法2−4(硬化性シリコーン組成物を用いる湿式法):
製造方法1−2と同様にして糸引き中に該硬化性シリコーン組成物を硬化させて硬化シリコーン繊維を得、該硬化シリコーン繊維をバインダーを含む水性媒体に分散させてスラリーを得、
該スラリーから抄造することにより硬化シリコーン繊維からなるシリコーン不織布を得る方法。
この方法によれば、ボンデッドファブリックとして不織布が得られる。
該方法の場合、得られた硬化シリコーン繊維を、非溶融性シリコーン樹脂繊維の代わり使用する以外が製造方法2−2において説明した通りに、バインダーを含む水性媒体に分散させてスラリーを得、該スラリーからシリコーン不織布を抄造する。
−非酸化性雰囲気での加熱−
本発明の非晶質無機セラミック物質の製造方法によれば、上記のようにして得られた非溶融性固体状シリコーンは非酸化性雰囲気下、400〜1500℃で加熱される。この加熱の温度は600℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましい。また、該加熱の温度は1300℃以下が好ましく、1100℃以下がより好ましい。したがって、典型的には、600〜1300℃が好ましく、800〜1100℃がより好ましい。この加熱処理によりシリコーン中に存在する炭素-水素結合の切断と水素の脱離が起り、セラミック化が進行する。しかし、かかる温度における加熱処理では被処理体中に存在するケイ素及び炭素の脱離はほとんど進行せず、生成物中に有効に保持される。非溶融性固体状シリコーン中に第8族金属元素、例えば白金族金属である白金、パラジウム、ロジウム等が存在すると上記の反応が促進される。その存在量は0.1〜5000ppmが好ましく、10〜1000ppmがより好ましい。所望により、非溶融性固体状シリコーン中に所要量添加しておくことができる。第8族元素の不存在下では上記加熱は600℃以上で行うことが好ましい。
非酸化性雰囲気は、加熱時に非溶融性シリコーン樹脂の酸化を十分に防ぐことができるものであれば特に制限されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気である。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられ、実用的には窒素ガスが好ましい。
−用途−
本発明の非晶質無機セラミック物質は、金属材料及び高分子材料の一方又は両方を含む複合材料用の強化材料として用いることができる。該セラミック物質は上記の繊維状又は不織布の形で用いることが好ましい。代表的には、金属材料と無機繊維及び/又は無機不織布とを含んでなる複合材料、及び高分子材料と無機繊維及び/又は無機不織布とを含んでなる複合材料が挙げられる。該金属材料としては、例えば、アルミニウム、チタンなどの軽金属が挙げられる。該高分子材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂が挙げられる。本発明の複合材料は、金属材料及び高分子材料の一方又は両方と本発明の無機繊維及び/又は無機不織布とを混合することにより製造することができる。通常、基材である金属材料及び/又は高分子材料がマトリックスを形成しその中に無機繊維及び/又は無機不織布が分散してなる構造を形成する。該セラミック物質の添加量は、該複合材料全体において、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。該添加量がこの範囲内にあれば、得られる複合材料の強度が十分となりやすい。
本発明の無機不織布は、耐熱性及び強度に優れ、排ガスフィルター用材料、特に、浮遊粒子状物質を除去するための排ガスフィルター用材料、例えば、トラック、バス等の大型自動車、ディーゼル機関車等の鉄道車両、建設機械、農業用機械、船舶等のディーゼル機関を用いた産業用機械、工場、家庭用燃料電池などから排出される排気ガスの浄化に好適に用いることができる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、分子量は、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。また、繊維中の構成元素の平均元素比を単に「元素比」という。更に、「Me」はメチル基を、「i-Pr」はイソプロピル基を、「Ph」はフェニル基を表わす。以下の実施例における実験は特記しない限り室温において行った。
[実施例1]
シロキサン単位としてMeSiO3/2単位のみを含み、5質量%の水酸基を有する溶融性シリコーン樹脂(分子量:1000、平均組成式:Me(OH)0.2SiO1.3、元素比:SiCH3.2O1.5、軟化点65℃)(以下、溶融性シリコーン樹脂αという)を0.05cmのオリフィス直径を有するモノフィラメント紡糸装置を用いてアルゴンガス雰囲気下で130〜140℃の温度で溶融紡糸した。リールへの巻き取り速度は250m/分であった。これにより、約20μmの直径を有するシリコーン樹脂繊維が得られた。得られたシリコーン樹脂繊維の走査型電子顕微鏡写真(スケール:一目盛り5μm)を図3に示す。
得られたシリコーン樹脂繊維を20質量%の濃度の塩酸に浸漬し、室温で2日間放置した。この繊維を、廃水がpH6になるまで水で洗い、その後約200℃の温度で加熱乾燥した。この繊維を、以下のとおり、非酸化性雰囲気下で加熱した。すなわち、この繊維を、アルミナボートに入れ、横型管状炉中で、窒素ガス雰囲気下、100℃/時間の昇温速度で室温から1000℃まで約10時間かけて加熱し、続けて1000℃で1時間保持した。その後、200℃/時間の割合で室温まで冷却した。これにより黒色の繊維を得た。得られた黒色繊維の走査型電子顕微鏡写真(スケール:一目盛り5μm)を図4に示す。この加熱の前後で測定した繊維の質量を比較することで、加熱前の質量に対する加熱により損失した質量の割合(以下、「加熱による損失率」とする。)を算出したところ、14.6%だった。
加熱によるセラミック化の前後における電子顕微鏡写真から、繊維の形状、寸法がほとんど変化しないことが確認された。
この黒色の繊維の元素比をFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)のEDX分析(エネルギー分散X線分析)によって測定したところ、SiC1.1O1.7であった。
また、繊維全体に対する水素の質量分率(以下、単に「水素の質量分率」とする。)をFE−SEMのEDX分析によって測定したところ、0.1質量%以下であった。
上記の黒色繊維をフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)(製品名:AVATAR360;ニコレージャパン株式会社製)を使用し、KBr錠剤法にて測定したところ、図5に示す吸収スペクトルが得られた。1083cm−1にSi−O−Si結合由来の吸収が見られ、シロキサン骨格の存在が確認された。
上記の黒色繊維をX線回折法により測定したところ、図6に示すX線回折スペクトルが得られた。この回折図から明らかなように回折ピークは全く認められず、該繊維は非晶質物質からなることが確認された。
該繊維のアスペクト比(繊維の平均直径/繊維の平均長)を求めたところ、2,000以上であった。
[実施例2]
実施例1で使用した溶融性シリコーン樹脂の代わりに、シロキサン単位として約60モル%のMeSiO3/2単位及び約40モル%のi-PrSiO3/2単位を含み、5質量%の水酸基を有する溶融性シリコーン樹脂(分子量:1000、平均組成式:(Me)0.6(i-Pr)0.4(OH)0.2SiO1.3、元素比:SiC1.8H4.8O1.5、軟化点75℃)(以下、溶融性シリコーン樹脂βという)を用いた以外は、実施例1と同様にして黒色の繊維を得た。加熱による損失率は17.8%であり、黒色の繊維の元素比はSiC1.2O1.7であり、水素の質量分率は0.1質量%以下であった。
該繊維のアスペクト比(繊維の平均直径/繊維の平均長)を求めたところ、2,000以上であった。
[実施例3]
実施例1で使用した溶融性シリコーン樹脂の代わりに、シロキサン単位として約60モル%のPhSiO3/2単位、約20モル%のPh2SiO単位及び約20モル%のMeSiO3/2単位を含み、5質量%の水酸基を有する溶融性シリコーン樹脂(分子量:1000、平均組成式:Ph(Me)0.2(OH)0.3SiO1.1、元素比:SiC6.2H5.9O1.4、軟化点92℃)(以下、溶融性シリコーン樹脂γという)を用い、20質量%塩酸処理を98質量%硫酸処理に変更した以外は、実施例1と同様にして黒色の繊維を得た。加熱による損失率は51.2%であり、黒色の繊維の元素比はSiC1.4O1.5であり、水素の質量分率は0.1質量%以下であった。
該繊維のアスペクト比(繊維の平均直径/繊維の平均長)を求めたところ、2,000以上であった。
[比較例1]
実施例1において加熱を窒素ガス雰囲気下で行う代わりに空気雰囲気下で行った以外は、実施例1と同様にして白色の繊維を得た。加熱による損失率は17.8%であり、白色の繊維の元素比はSiC0.1O1.7であった。この白色の繊維は、炭素の含有率が非常に低く、非常に脆かった。また該繊維はアスペクト比が約10で短いものであった。
[実施例4]
−乾式法−
(a)ケイ素原子に結合したビニル基を含有する下記式のジオルガノポリシロキサン 90質量部
Figure 2008081396
(式中、nは該シロキサンの25℃における粘度が600mPa・sとなるような数である。)
(b)ケイ素原子に結合した水素原子を有する下記式のジオルガノポリシロキサン 10質量部
Figure 2008081396
(c)白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液(白金元素含有量0.5質量%;ヒドロシリル化触媒) 0.15質量部
上記の(a)及び(b)成分をプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製混合機)に投入し、室温にて一時間攪拌した。その後、(c)成分を該プラネタリーミキサーに投入し、室温にて30分攪拌して、付加硬化型シリコーン組成物を得た。
図2に示すとおりにして、この組成物からシリコーン不織布を得た。20本の紡糸ノズル1(断面形状:円、内径:500μm)を一直線上に1mmの間隔で配列させた。ノズル孔3から下方に10〜50cmの範囲にわたって装置9として加熱装置を配置させた。落下中の組成物2aと装置9との間には水平方向に50mmの間隔をあけた。ノズル孔3から下方に100cmの位置にベルトコンベヤーのベルト5を水平に配置させた。ベルト5の材料として通気性の構造を有するゴム製ベルトを用いた。ベルト5を2cm/sの移動速度で矢印7の方向に移動させた。ベルト5の下方から5m/sの吸引速度で吸引して、上方からベルト5を通して矢印8で示す下方へ向かう気流を形成させた。
アルゴンガス雰囲気下、室温にて、上記の付加硬化型シリコーン組成物を紡糸ノズル1から50m/sの速度で吐出させて落下させた。落下中の該組成物を装置9により180℃に加熱して硬化させ、シリコーン繊維4を形成させた。シリコーン繊維4をベルト5の表面で吸引捕集することで絡み合わせ、ベルト5の移動方向に向かってシリコーン不織布6を連続的に形成させた。得られた不織布におけるシリコーン繊維の繊維径をSEM(走査電子顕微鏡)により測定したところ、約3μmであった。該不織布の厚みは1mmであった。
このシリコーン不織布を、アルミナボートに入れ、雰囲気式電気炉で、窒素ガス雰囲気下、100℃/時間の昇温速度で室温から1000℃まで約10時間かけて加熱し、続けて1000℃で1時間保持した。その後、200℃/時間の割合で室温まで冷却した。これにより茶色の不織布を得た。加熱による損失率を算出したところ、14.6%だった。得られた不織布における繊維の繊維径をSEMにより測定したところ、約3μmであった。該不織布の厚みは1mmであった。この茶色の不織布における繊維の元素比をFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)のEDX分析(エネルギー分散X線分析)によって測定したところ、SiC1.3O1.7であった。また、繊維全体に対する水素の質量分率をFE−SEMのEDX分析によって測定したところ、0.1質量%以下であった。
この無機不織布を900℃の空気に150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、1.2%であり、加熱前後の形状をSEMにより観察したところ、変化は見られなかった。
[実施例5]
−湿式法−
実施例4においてベルト5の下方からの吸引を行わなかった以外は、実施例4と同様にして、シリコーン不織布の代わりに、ベルト5上で綿状に捕集されたシリコーン繊維4を得た。この繊維の繊維径をSEMにより測定したところ、約3μmであった。この繊維10質量部を、1質量%カルボキシメチルセルロース水溶液100質量部に加え、振とう機にて100往復/分の速度で2時間振とうし、スラリーを形成させた。200メッシュ(JIS Z 8801-1に規定)のストレーナーを用いてこのスラリーからシリコーン不織布を抄造した。得られた不織布におけるシリコーン繊維の繊維径をSEMにより測定したところ、約3μmであった。該不織布の厚みは0.8mmであった。
このシリコーン不織布から実施例4と同様に加熱して茶色の不織布を得た。加熱による損失率を算出したところ、16.3%だった。得られた不織布における繊維の繊維径をSEMにより測定したところ、約3μmであった。該不織布の厚みは0.8mmであった。この茶色の不織布における繊維の元素比を実施例4と同様にして測定したところ、SiC1.4O1.7であった。また、水素の質量分率を実施例4と同様にして測定したところ、0.1質量%以下であった。
この無機不織布を900℃の空気に150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、1.4%であり、加熱前後の形状をSEMにより観察したところ、変化は見られなかった。
[実施例6]
下記式
Figure 2008081396
で示される液状のオルガノポリシロキサン 100質量部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン 2質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド 1質量部、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(メトキシシロキサンオリゴマー) 1質量部、及び下記式
Figure 2008081396
で示されるチタンキレート化合物 0.1質量部を混合して紫外線硬化型シリコーン組成物を得た。
図2に示すとおりにして、この組成物からシリコーン不織布を得た。20本の紡糸ノズル1(断面形状:円、内径:500μm)を一直線上に1mmの間隔で配列させた。ノズル孔3から下方に10〜50cmの範囲にわたって装置9としてメタルハライド水銀灯2灯(80W/cm、エネルギー量400mJ/s)を配置させた。落下中の組成物2aと該水銀灯との間には水平方向に50mmの間隔をあけた。ノズル孔3から下方に100cmの位置にベルトコンベヤーのベルト5を水平に配置させた。ベルト5が通気性を有するように、ベルト5として実施例4と同様のものを用いた。ベルト5を2cm/sの移動速度で矢印7の方向に移動させた。ベルト5の下方から5m/sの吸引速度で吸引して、上方からベルト5を通して下方へ向かう気流を形成させた。
アルゴンガス雰囲気下、室温にて、上記の紫外線硬化型シリコーン組成物を紡糸ノズル1から50m/sの速度で吐出させて落下させた。落下中の該組成物に上記水銀灯から紫外線を照射して該組成物を硬化させ、シリコーン繊維4を形成させた。シリコーン繊維4をベルト5の表面で吸引捕集することで絡み合わせ、ベルト5の移動方向に向かってシリコーン不織布6を連続的に形成させた。得られた不織布におけるシリコーン繊維の繊維径をSEMにより測定したところ、約3μmであった。該不織布の厚みは1mmであった。
このシリコーン不織布から実施例4と同様に加熱して茶色の不織布を得た。加熱による損失率を算出したところ、13.4%だった。得られた不織布における繊維の繊維径をSEMにより測定したところ、約3μmであった。該不織布の厚みは1mmであった。この茶色の不織布における繊維の元素比を実施例4と同様にして測定したところ、SiC1.2O1.6であった。また、水素の質量分率を実施例4と同様にして測定したところ、0.1質量%以下であった。
この無機不織布を900℃の空気に150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、1.0%であり、加熱前後の形状をSEMにより観察したところ、変化は見られなかった。
[実施例7]
下記式
Figure 2008081396
で示される両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 100質量部にチタンキレート触媒 0.1質量部を加え、よく攪拌して縮合硬化型シリコーン組成物を得た。
図2に示すとおりにして、この組成物からシリコーン不織布を得た。20本の紡糸ノズル1(断面形状:円、内径:500μm)を一直線上に1mmの間隔で配列させた。ノズル孔3から下方に10〜50cmの範囲にわたって装置9として実施例4におけるものと同様の加熱装置を配置させた。落下中の組成物2aと装置9との間には水平方向に50mmの間隔をあけた。ノズル孔3から下方に100cmの位置にベルトコンベヤーのベルト5を水平に配置させた。ベルト5が通気性を有するように、ベルト5の材料として実施例4と同様のものを用いた。ベルト5を2cm/sの移動速度で矢印の方向に移動させた。ベルト5の下方から5m/sの吸引速度で吸引して、上方からベルト5を通して下方へ向かう気流を形成させた。
アルゴンガス雰囲気下(50%RH)、室温にて、上記の縮合硬化型シリコーン組成物を紡糸ノズル1から50m/sの速度で吐出させて落下させた。落下中の該組成物を雰囲気中の湿気により硬化させて、シリコーン繊維4を形成させた。また、該組成物を装置9により180℃に加熱することで硬化を促進させた。シリコーン繊維4をベルト5の表面で吸引捕集することで絡み合わせ、ベルト5の移動方向に向かってシリコーン不織布6を連続的に形成させた。得られた不織布におけるシリコーン繊維の繊維径をSEMにより測定したところ、約3μmであった。該不織布の厚みは1mmであった。
このシリコーン不織布から実施例4と同様に加熱して茶色の不織布を得た。加熱による損失率を算出したところ、14.2%だった。得られた不織布における繊維の繊維径をSEMにより測定したところ、約3μmであった。該不織布の厚みは1mmであった。この茶色の不織布における繊維の元素比を実施例4と同様にして測定したところ、SiC1.3O1.6であった。また、水素の質量分率を実施例4と同様にして測定したところ、0.1質量%以下であった。
この無機不織布を900℃の空気に150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、1.1%であり、加熱前後の形状をSEMにより観察したところ、変化は見られなかった。
[実施例8]
−乾式法−
図1に即して説明する。紡糸装置を用いて、実施例1で使用したものと同じ溶融性シリコーン樹脂αを130〜140℃の温度で溶融させたもの2を、直径500μmの紡糸ノズル1の孔3からアルゴンガス雰囲気下50m/sの速度でメルトブロー法により紡糸した。そして、ノズル1の下方に受器として配置したベルトコンベヤーのベルト5上に紡糸した繊維4を捕集する際、ベルト5は2cm/sの速度で矢印7の方向に運転させ、ベルト5の下側から5m/sの吸引速度で矢印8の方向に吸引し続けた。その結果、ベルト5上にシリコーン樹脂不織布6が形成された。SEMにより不織布の繊維径を観察したところ、不織布の繊維径は約3μmの直径を有しており、該不織布の厚みは1mmであった。
得られた溶融性シリコーン樹脂不織布を20質量%の濃度の塩酸に浸漬し、室温で2日間放置した。その後、その不織布を、廃水がpH6になるまで水で洗い、約200℃の温度で加熱乾燥したところ、加熱前後の繊維形状をSEMにより観察したところ変化は認められなかった。
この溶融性シリコーン樹脂不織布を、以下のとおり、非酸化性雰囲気下で加熱した。すなわち、この繊維を、アルミナボートに入れ、雰囲気式電気炉で、窒素ガス雰囲気下、100℃/時間の昇温速度で室温から1000℃まで約10時間かけて加熱し、その後温度を1000℃で1時間保持した。その後、200℃/時間の割合で室温まで冷却した。これにより茶色の無機不織布を得た。
・加熱損失:
上記の加熱の前後で測定した不織布の質量を比較することで、加熱による損失率を算出したところ、14.6%だった。この加熱後の不織布の繊維径は約3μmの直径を有していた。
・構成元素分析:
この茶色の無機不織布の元素比をFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)のEDX分析(エネルギー分散X線分析)によって測定したところ、SiC1.1O1.7であった。
・水素分率:
該無機不織布を構成する水素の質量分率(即ち、全構成元素に対する水素の質量分率(質量%)をFE−SEMのEDX分析によって測定したところ、検出限界である0.1質量%以下であった。
・耐熱性評価:
該無機不織布を空気中に900℃で150時間暴露した。この加熱前後に計量した質量から質量損失率を算出したところ、0.9%であった。また、加熱前後の不織布の繊維の形状変化をSEMにより観察したところ、変化は認められなかった。
[実施例9]
−湿式法−
紡糸装置を用いて、実施例8で用いたものと同じ溶融性シリコーン樹脂αを130〜140℃の温度に溶融させたもの2を、直径500μmの紡糸ノズル1の孔3からアルゴンガス雰囲気下で50m/sの速度でメルトブロー法により紡糸した。ベルト5の下側から吸引を行わなかったため、ベルト5上に綿状の溶融性シリコーン樹脂繊維4を得た。この際の綿状繊維径は約3μmの直径を有していた。
この綿状繊維10質量部を、1質量%カルボキシメチルセルロース水溶液100質量部に加え、振とう機にて100往復/分の速度で2時間振とうし、スラリーを調製した。このスラリーから200メッシュのストレーナーを用いて抄造し、溶融性シリコーン樹脂不織布を得た。該不織布の厚みは0.8mmであった。
得られた溶融性シリコーン樹脂不織布を実施例8と同様に不融化処理し、加熱処理を行ったところ、茶色の無機不織布を得た。この際の不織布の繊維径は約3μmの直径を有していた。
・加熱損失:
この加熱による損失率を算出したところ、14.2%だった。
・構成元素分析:
この茶色の不織布の元素比をFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)のEDX分析(エネルギー分散X線分析)によって測定したところ、SiC1.1O1.7であった。この際の不織布の繊維径は約3μmの直径を有していた。
・耐熱性評価:
この無機不織布を空気中900℃で150時間暴露を行った。この加熱による損失率を算出したところ、1.1%であり、加熱前後の形状変化をSEMにより観察したところ見受けられなかった。
[実施例10]
実施例8で用いた溶融性シリコーン樹脂αの代わりに、実施例3で使用したものと同じ溶融性シリコーン樹脂γを用い、不融化処理を20質量%塩酸処理から98質量%硫酸処理に変更した以外は、実施例8と同様にして不織布を得た。SEMにより不織布の繊維径を観察したところ、不織布の繊維径は約3μmの直径を有しており、該不織布の厚みは1mmであった。
・加熱損失:
加熱による損失率は51.2%であった。
・構成元素分析:
茶色の不織布の元素比はSiC1.4O1.5であり、水素の質量分率は0.1質量%以下であった。
乾式法によりシリコーン樹脂からシリコーン系不織布を製造する過程を説明する概略図である。 乾式法によりシリコーン硬化性組成物からシリコーン系不織布を製造する過程を説明する概略図である。 実施例1で得られたシリコーン樹脂繊維の走査型電子顕微鏡写真(スケール:一目盛り5μm)を示す。 実施例1で加熱により得られた黒色繊維の走査型電子顕微鏡写真(スケール:一目盛り5μm)を示す。 実施例1で得られた、本発明の無機繊維のFT−IRで測定した赤外線吸収スペクトルを示す。 実施例1で得られた、本発明の無機繊維のX線回折スペクトルを示す。
符号の説明
1 紡糸ノズル
2 シリコーン樹脂溶融物
2a 硬化性シリコーン組成物
3 ノズル孔
4 シリコーン繊維
5 ベルトコンベヤーのベルト
6 シリコーン不織布
7 ベルトの移動方向
8 エアの吸引方向
9 装置(例、加熱装置)

Claims (23)

  1. ケイ素、炭素および酸素を含んでなり、ケイ素、炭素および酸素の平均元素比が下記組成式(1):
    SiCaOb (1)
    (式中、aは0.5≦a≦3.0を満たす数であり、bは0.5≦b≦4.0を満たす数である。)
    で表わされ、Si−O−Si結合からなるシロキサン骨格を有し、水素の質量分率が0〜1質量%である非晶質無機セラミック物質。
  2. 繊維状である請求項1に記載の非晶質無機セラミック物質。
  3. 平均径が0.1〜50μmの繊維状である請求項2に係る非晶質無機セラミック物質。
  4. 不織布状である請求項1に記載の非晶質無機セラミック物質。
  5. 平均径が0.1〜50μmの繊維からなる不織布状である請求項4に係る非晶質無機セラミック物質。
  6. 非溶融性固体状シリコーンを非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度において加熱することを含む請求項1に記載の非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  7. 前記非溶融性固体状シリコーンが、溶融性シリコーン樹脂を不融化処理して得られた非溶融性シリコーン樹脂である請求項6に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  8. 前記溶融性シリコーン樹脂が下記平均組成式(2):
    R1 mR2 n(OR3)p(OH)qSiO(4-m-n-p-q)/2 (2)
    (式中、R1は独立に水素原子、アリール基以外のカルボニル基を含んでいてもよい1価炭化水素基を示し、R2はフェニル基を示し、R3は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基を示し、mは0.1≦m≦2を満たす数であり、nは0≦n≦2を満たす数であり、pは0≦p≦1.5を満たす数であり、qは0≦q≦0.35を満たす数であり、ただし、p+q>0であり、かつ、0.1≦m+n+p+q≦2.6である。)
    で表わされるものである請求項7に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  9. 前記溶融性シリコーン樹脂の不融化処理を、該溶融性シリコーン樹脂を無機酸で処理することにより行う請求項7に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  10. 前記非溶融性固体状シリコーンが硬化性シリコーン組成物の硬化物である請求項6に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  11. 前記硬化性シリコーン組成物が付加硬化型シリコーン組成物である請求項10に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  12. 前記硬化性シリコーン組成物が光硬化型シリコーン組成物である請求項10に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  13. 前記硬化性シリコーン組成物が縮合硬化型シリコーン組成物である請求項10に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  14. 前記の非溶融性固体状シリコーンが繊維状又は不織布状であり、前記の非晶質無機セラミック物質が繊維状又は不織布状で得られる請求項6に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  15. 前記の非溶融性固体状シリコーンが繊維状であって、該繊維状の非溶融性固体状シリコーンが、溶融性シリコーン樹脂を溶融紡糸して溶融性シリコーン樹脂繊維を得、該溶融性シリコーン樹脂繊維を不融化処理して得られたものである請求項14に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  16. 前記の非溶融性固体状シリコーンが繊維状であって、該繊維状の非溶融性固体状シリコーンが、室温にて液状の硬化性シリコーン組成物を孔から連続的に吐出させて糸引きし、糸引き中に該硬化性シリコーン組成物を硬化させて得られた硬化シリコーン繊維である請求項14に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  17. 前記の非溶融性固体状シリコーンが不織布状であって、該不織布状の非溶融性固体状シリコーンが、溶融性シリコーン樹脂を溶融紡糸してシリコーン樹脂繊維を形成し、
    該シリコーン樹脂繊維を受器上に吸引捕集することにより不織布を形成し、
    該不織布を不融化処理して得られた非溶融性シリコーン樹脂不織布である請求項14に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  18. 前記溶融性シリコーン樹脂の溶融紡糸を、メルトブロー法で行う請求項15又は17に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  19. 前記の非溶融性固体状シリコーンが不織布状であって、該不織布状の非溶融性固体状シリコーンが、溶融性シリコーン樹脂を溶融紡糸して溶融性シリコーン樹脂繊維を形成し、
    該シリコーン樹脂繊維を不融化処理して非溶融性シリコーン樹脂繊維を得、
    得られた非溶融性シリコーン樹脂繊維をバインダーを含む水性媒体に分散してスラリーを調製し、
    該スラリーから抄造することにより得られた非溶融性シリコーン樹脂不織布である請求項14に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  20. 前記の非溶融性固体状シリコーンが不織布状であって、該不織布状の非溶融性固体状シリコーンが、室温にて液状の硬化性シリコーン組成物を孔から連続的に吐出させて糸引きし、
    糸引き中に該硬化性シリコーン組成物を硬化させて硬化シリコーン繊維を得、
    該硬化シリコーン繊維を受器に吸引捕集して得られたシリコーン不織布である請求項14に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  21. 前記の非溶融性固体状シリコーンが不織布状であって、該不織布状の非溶融性固体状シリコーンが、室温にて液状の硬化性シリコーン組成物を孔から連続的に吐出させて糸引きし、
    糸引き中に該硬化性シリコーン組成物を硬化させて硬化シリコーン繊維を得、
    該硬化シリコーン繊維をバインダーを含む水性媒体に分散させてスラリーを得、
    該スラリーから抄造することにより得られたシリコーン不織布である請求項14に係る非晶質無機セラミック物質の製造方法。
  22. 金属材料および高分子材料の一方または両方と、強化材料として請求項1〜5のいずれか1項に記載の非晶質無機セラミック物質とを含む複合材料。
  23. 請求項4又は5に記載の不織布状非晶質無機セラミック物質を含む排ガスフィルター。
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