JP2008081921A - 耐熱性無機繊維製品の製造方法及び該方法により製造された耐熱性無機繊維製品 - Google Patents

耐熱性無機繊維製品の製造方法及び該方法により製造された耐熱性無機繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性および強度に優れ、排ガスフィルター用材料として好適に用いられる耐熱性無機繊維製品を省資源で製造でき、経済的に有利な製造方法を提供する。
【解決手段】無機基材繊維と該繊維を被覆する無機セラミック層とからなる無機繊維からなる耐熱性無機繊維製品の製造方法であって、(1)無機基材繊維からなる繊維製品を溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物で被覆処理して、該無機基材繊維を被覆する溶融性シリコーン樹脂層または硬化性シリコーン組成物層を形成し、(2)該溶融性シリコーン樹脂層を不融化処理して非溶融性シリコーン樹脂層とし、または、該硬化性シリコーン組成物層を硬化させてシリコーン硬化物層とし、(3)該非溶融性シリコーン樹脂層または該シリコーン硬化物層を非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度で加熱してセラミック化させる製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性および強度に優れ、排ガスフィルター用材料として有用である耐熱性無機繊維製品の、省資源の点で有利な製造方法に関する。
車両や産業機械等から排出される排気ガスは大気汚染の見地から問題視されている。特にディーゼルエンジン車両においては、主にNOxとカーボンを主体とする浮遊粒子状物質とを除去することが重要な課題である。
このような背景のもと、多種多様な排ガス浄化装置が提案されている。ディーゼルエンジン車両における一般的な排ガス浄化装置としては、エンジンの排気マニホールドに連結された排気管の途上にケーシングを設け、その中に微細な孔を有するフィルタを配置した構造のものが挙げられる(特許文献1)。しかし、このような装置では、温度分布に起因するクラックの発生や溶損が問題となっている。この問題を解決するため、金属不織布(特許文献2)や炭化ケイ素系不織布(特許文献3)を用いた排ガス浄化装置が提案されている。しかしながら、これらの不織布は短繊維であるため強度が低く、その製造のためにはジメチルジクロロシランからポリシランを合成し、さらに、ポリカルボシランやポリチタノカルボシランを合成することが必要であり、製造プロセスが複雑であり、非常に高価である。
特開平6−92753号公報 特開平9−262414号公報 特開2004−60096号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、耐熱性および強度に優れ、排ガスフィルター用材料として好適に用いられる耐熱性無機繊維製品を省資源で製造でき、経済的に有利な製造方法及び該方法により製造された耐熱性無機繊維製品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、無機基材繊維からなる無機基材繊維製品を溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物で被覆処理して、該無機基材繊維を被覆する溶融性シリコーン樹脂層または硬化性シリコーン組成物層を形成し、
該溶融性シリコーン樹脂層を不融化処理して非溶融性シリコーン樹脂層とし、または、該硬化性シリコーン組成物層を硬化させてシリコーン硬化物層とし、
該非溶融性シリコーン樹脂層または該シリコーン硬化物層を非酸化性雰囲気下で加熱焼成することにより得られる耐熱性無機繊維製品が上記課題を解決することを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、第一に、
無機基材繊維と該無機基材繊維を被覆する耐熱性無機セラミック層とからなる耐熱性無機繊維からなる耐熱性無機繊維製品の製造方法であって、
無機基材繊維からなる無機基材繊維製品を溶融性シリコーン樹脂で被覆処理して、該無機基材繊維を被覆する溶融性シリコーン樹脂層を形成し、
該溶融性シリコーン樹脂層を不融化処理して非溶融性シリコーン樹脂層とし、
該非溶融性シリコーン樹脂層を非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度で加熱して、耐熱性無機セラミック層に転化させる
ことを含む製造方法を提供する。
本発明は、第二に、
無機基材繊維と該無機基材繊維を被覆する耐熱性無機セラミック層とからなる耐熱性無機繊維からなる耐熱性無機繊維製品の製造方法であって、
無機基材繊維からなる無機基材繊維製品を硬化性シリコーン組成物で被覆処理して、該無機基材繊維を被覆する硬化性シリコーン組成物層を形成し、
該硬化性シリコーン組成物層を硬化させてシリコーン硬化物層とし、
該シリコーン硬化物層を非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度で加熱して、耐熱性無機セラミック層に転化させる
ことを含む製造方法を提供する。
本発明は、第三に、上記製造方法により製造された耐熱性無機繊維製品を提供する。
本発明は、第四に、上記耐熱性無機繊維製品を含む排ガスフィルターを提供する。
本発明の製造方法により得られる耐熱性無機繊維製品は、無機基材繊維として例えばガラス繊維等の高強度で汎用されている材料を利用することができ、その上に耐熱性に優れる耐熱性無機セラミック層を設けることで耐熱性および強度に優れているものである。そのため、この耐熱性無機繊維製品は、高温に晒される排ガスフィルター用材料、特に、ディーゼルエンジン等からの排ガスに含まれる浮遊粒子状物質を除去するための排ガスフィルター用材料として好適に用いることができる。更に、本発明の製造方法により、このような耐熱性無機繊維製品を、資源の無駄な消費を抑制しつつ製造することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本明細書において、「シリコーン樹脂」とは、分岐状シロキサン単位(即ち、T単位と称される三官能性シロキサン単位及び/又はQ単位と称される四官能性シロキサン単位)を必須のシロキサン単位として含んでなり、三次元構造を有するオルガノポリシロキサンを意味する。該シリコーン樹脂は、場合によっては、D単位と称される直鎖状シロキサン単位及び/又はM単位と称され、分子鎖末端に位置する一官能性シロキサン単位を含んでいてもよい。
また、本明細書において「非溶融性シリコーン樹脂」とは、軟化点を有しないシリコーン樹脂を意味する。したがって、このシリコーン樹脂は温度を高めていくと溶融しないで熱分解を起こす。非溶融性シリコーン樹脂の熱分解温度は約400℃を超える温度である。
なお、本明細書において「軟化点」は、JIS K 2207に規定の軟化点試験方法(環球法)に準拠して測定された温度を意味する。また、室温とは特記しない限り15〜35℃の範囲の温度を意味する。
本明細書において「無機基材繊維」とは、無機物からなる繊維であって、上記の耐熱性無機セラミック層で被覆される基材となる繊維を意味する。無機基材繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維等が挙げられる。無機基材繊維の繊維径としては、例えば、0.1〜50μm、好ましくは1〜30μmが挙げられる。
本明細書において「繊維製品(textile)」とは、繊維;糸(yarnまたはthread);織布、不織布等の布帛(fabric);繊維束等を意味する。本明細書において「無機基材繊維製品」とは、無機基材繊維からなる繊維製品を意味する。
[耐熱性無機繊維製品]
本明細書の耐熱性無機繊維製品は、無機基材繊維と該無機基材繊維を被覆する耐熱性無機セラミック層(即ち、耐熱性無機セラミック物質からなる層)とからなる耐熱性無機繊維からなる繊維製品である。該耐熱性無機セラミック層は、ケイ素、炭素および酸素を含んでなり、ケイ素、炭素および酸素の平均元素比が下記組成式(1):
SiCaOb (1)
(式中、aは0.5≦a≦3.0を満たす数であり、bは1.0≦b≦4.0を満たす数である。)
で表わされ、Si−O−Si結合からなるシロキサン骨格を有し、水素の質量分率が0〜1質量%である非晶質無機セラミック物質からなると考えられる。上記において、bはより典型的にはbは1.0≦b≦3.0を満たす数である。また、通常、a+bは2.0≦a+b≦4.0、好ましくは1.7〜3.5を満たす数である。本発明の耐熱性無機繊維製品は、優れた耐熱性を有し、具体的には、空気中で1000℃まで加熱しても、熱分解せず、加熱前の形状を保持することができる。
上記組成式(1)は、前記耐熱性無機セラミック層中のケイ素、炭素および酸素の平均元素比が1:a:bであることを表わす。aが0.5よりも小さいと、耐熱性無機繊維製品の強度の点で不利である。一方、aが3.0よりも大きいと、耐熱性の点で不利である。また、bが1.0よりも小さいと、経済性の点で不利である。一方、bが4.0よりも大きいと、耐熱性無機繊維製品の強度の点で不利である。更に、前記耐熱性無機セラミック層全体に対する水素の質量分率は、好ましくは0〜0.5質量%である。該質量分率が1質量%よりも大きいと、耐熱性の点で不利である。なお、該耐熱性無機セラミック層は実質的にケイ素、炭素及び酸素からなり、場合によりさらに水素を含む。これら以外の元素、例えば、白金族金属である白金、パラジウム、ロジウム等の第8族元素や原料中に含まれるカリウム、ナトリウムなどは、本発明の目的、効果を損なわない限り含まれてもよいが、その含有量は2.0質量%以下、特に0〜1.0質量%であることが好ましい。特に、白金族金属である白金、パラジウム、ロジウム等の第8族元素は後述する加熱分解反応を良好に促進する作用を有する。
上記耐熱性無機セラミック層の厚さは、例えば、1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μmである。該厚さが大きすぎても、該厚さの増加に応じた耐熱性の向上は期待できない。
[耐熱性無機繊維製品の製造方法]
本発明の耐熱性無機繊維製品は、下記の製造方法1または2により得られる。
製造方法1:
無機基材繊維と該無機基材繊維を被覆する耐熱性無機セラミック層とからなる耐熱性無機繊維からなる耐熱性無機繊維製品の製造方法であって、
無機基材繊維からなる無機基材繊維製品を溶融性シリコーン樹脂で被覆処理して、該無機基材繊維を被覆する溶融性シリコーン樹脂層を形成し、
該溶融性シリコーン樹脂層を不融化処理して非溶融性シリコーン樹脂層(即ち、非溶融性シリコーン樹脂からなる層)とし、
該非溶融性シリコーン樹脂層を非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度で加熱して、耐熱性無機セラミック層に転化させる
ことを含む製造方法。
製造方法2:
無機基材繊維と該無機基材繊維を被覆する耐熱性無機セラミック層とからなる耐熱性無機繊維からなる耐熱性無機繊維製品の製造方法であって、
無機基材繊維からなる無機基材繊維製品を硬化性シリコーン組成物で被覆処理して、該無機基材繊維を被覆する硬化性シリコーン組成物層を形成し、
該硬化性シリコーン組成物層を硬化させてシリコーン硬化物層(即ち、シリコーン硬化物からなる層)とし、
該シリコーン硬化物層を非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度で加熱して、耐熱性無機セラミック層に転化させる
ことを含む製造方法。
上記の製造方法によれば、非溶融性シリコーン樹脂層またはシリコーン硬化物層内に存在する水素原子の脱離が進行して無機セラミック化する。そこで、以下の説明において、この過程を単に「セラミック化」とも称する。
以下、順を追って説明する。
(1)溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物による被覆処理:
(1−1)溶融性シリコーン樹脂
製造方法1では無機基材繊維製品を被覆処理するために溶融性シリコーン樹脂が使用される。ここで、「溶融性シリコーン樹脂」とは、室温において固体であるが、軟化点を有するシリコーン樹脂を意味する。このシリコーン樹脂は温度を高めていくと軟化点において溶融ないしは軟化する。
製造方法1に使用される溶融性シリコーン樹脂は、塗布する際の粘度を下げるため水系エマルジョンまたは有機溶剤溶液の状態で、あるいは軟化点以上の温度で加熱して液状とした状態で無機基材繊維製品に塗布することが望ましい。具体的には、後述するように、溶融性シリコーン樹脂を加熱して液状とした状態で無機基材繊維製品に塗布する場合には、加熱温度は通常50〜200℃の温度に設定されるが、このとき溶融性シリコーン樹脂の軟化点は40〜150℃、特に40〜100℃の範囲にあることが好ましい。溶融性シリコーン樹脂を加熱して液状とした状態で無機基材繊維製品に塗布する際の温度に対して軟化点が高すぎると塗布の際のシリコーン樹脂の流動性が低くて好ましくない。
溶融性シリコーン樹脂を塗布する際の粘度を下げるために使用される溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ヘキサン、オクタン、イソパラフィンなどの脂肪族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤;又はこれらの混合溶剤などが挙げられる。なかでもトルエン、テトラヒドロフランが好ましい。
該溶融性シリコーン樹脂としては、例えば、下記平均組成式(2):
R1 mR2 n(OR3)p(OH)qSiO(4-m-n-p-q)/2 (2)
(式中、R1は独立に水素原子又はアリール基以外の同一または異種のカルボニル基を含んでいてもよい1価炭化水素基を示し、R2はフェニル基を示し、R3は同一または異種の炭素原子数1〜4の1価炭化水素基を示し、mは0.1≦m≦2を満たす数であり、nは0≦n≦2を満たす数であり、pは0≦p≦1.5を満たす数であり、qは0≦q≦0.35を満たす数であり、ただし、p+q>0であり、かつ、0.1≦m+n+p+q≦2.6である。)
で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
上記R1は、好ましくは、独立に水素原子又はアリール基以外の同一または異種のカルボニル基を含んでいてもよい炭素原子数1から8の1価炭化水素基である。R1の具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;アクリロイル基、メタクリロイル基等のアシル基が挙げられる。原料の入手の容易さの観点から、R1として特に水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基を好適に用いることができる。R1が水素原子の場合、シリコーン樹脂中に存在する反応性のケイ素原子結合水素原子(Si-H基)は、後述する不融化処理において加水分解縮合反応による架橋の形成を促進するので、無機基材繊維を被覆する非溶融性シリコーン樹脂層を焼成してセラミック化する際に耐熱性無機繊維が融着するのを防止する効果を向上させる。
上記mは0.1≦m≦2を満たす数であり、mの上限は、好ましくは1.5であり、mの下限は、好ましくは0.1、特に好ましくは0.5である。mの値がこの範囲内にあると、溶融性シリコーン樹脂の流動性は該溶融性シリコーン樹脂を加熱して液状とした状態で塗布するのに適したものとなり、作業性が向上しやすい。また、該非溶融性シリコーン樹脂層を焼成してセラミック化する段階で、該非溶融性シリコーン樹脂層の厚さが減少するのを抑制するのに有利である。
上記Rはフェニル基である。Rの含有量が多いほど、溶融性シリコーン樹脂の融点は上昇するので、Rの含有量を増減させることで、溶融性シリコーン樹脂の流動性を、該溶融性シリコーン樹脂を加熱して液状とした状態で塗布するのに適したものとすることができ、作業性を向上させることができる。
上記nは0≦n≦2を満たす数であり、nの上限は、好ましくは1.5であり、nの下限は、好ましくは0.05、特に好ましくは0.1である。nの値がこの範囲内にあると、フェニル基の含有量が多くなりすぎず、該非溶融性シリコーン樹脂層を焼成してセラミック化する段階で、該非溶融性シリコーン樹脂層の厚さが減少するのを抑制するのに有利である。また、溶融性シリコーン樹脂の流動性が該溶融性シリコーン樹脂を加熱して液状とした状態で塗布するのに適したものとなり、作業性が向上しやすい。
上記R3の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が工業的にも好ましく用いられる。R3が炭素原子数5以上の1価炭化水素基だと、OR3で表わされる基の反応性は低くなり、後述する不融化処理において加水分解縮合反応による架橋の形成が不十分となりやすいので、無機基材繊維を被覆する非溶融性シリコーン樹脂層を焼成してセラミック化する際に耐熱性無機繊維が融着しやすい。
上記pはORで表されるケイ素原子結合ヒドロカルビルオキシ基の含有量を示し、0≦p≦1.5を満たす数であり、pの上限は、好ましくは1.2であり、pの下限は、好ましくは0.05、特に好ましくは0.1である。pの値がこの範囲内にあると、シリコーン樹脂中のヒドロカルビルオキシ基の含有量が多くなりにくく、シリコーン樹脂の分子量を高く維持しやすいので、該非溶融性シリコーン樹脂を焼成してセラミック化するときに、該非溶融性シリコーン樹脂からケイ素や炭素が脱離するのを抑制する働きをする。
上記qはケイ素原子結合水酸基の含有量を示し、0≦q≦0.35を満たす数であり、好ましくは0≦q≦0.3を満たす数であり、特に好ましくは0である。qは、製造上、溶融性シリコーン樹脂にわずかに残存する水酸基の含有量を表わす。qの値がこの範囲内にあると、シラノール基の反応性は溶融性シリコーン樹脂全体として低く抑えやすく、溶融性シリコーン樹脂の保存安定性ならびに加熱して液状とした状態で塗布するときの安定性および作業性が向上しやすい。
p+qはヒドロカルビルオキシ基と水酸基の合計量を示し、p+q>0である。ヒドロカルビルオキシ基(好ましくはアルコキシ基)および/または水酸基は後述する不融化処理において加水分解縮合反応により架橋を形成する上で必要である。これらの基は合計で、溶融性シリコーン樹脂中に1〜15質量%存在することが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
m+n+p+qは、0.1≦m+n+p+q≦2.6を満たす数である。m+n+p+qがこの範囲内にあると、該非溶融性シリコーン樹脂を焼成してセラミック化するときに、該非溶融性シリコーン樹脂からケイ素や炭素を含む化合物が分解生成物として放出され失われるのを抑制する働きをする。
溶融性シリコーン樹脂の分子量は、上述した適度の軟化点を有する程度であることが好ましい。例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)により測定した重量平均分子量が、ポリスチレン換算で好ましくは600以上、より好ましくは1,000〜10,000の範囲内である。
溶融性シリコーン樹脂としては、上記条件を満たすシリコーン樹脂であれば、特に限定されないが、分子中にメチル基を有することが好ましい。溶融性シリコーン樹脂は、一種単独で用いても、分子構造や含まれるシロキサン単位の割合の異なる二種以上を併用してもよい。
このような溶融性シリコーン樹脂は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、目的とする溶融性シリコーン樹脂の構造中に含まれるシロキサン単位の割合に応じて、相当するオルガノクロロシラン類を、場合により炭素原子数1〜4のアルコールの存在下に共加水分解し、副生する塩酸および低沸点成分を除去することによって目的物を得ることができる。またアルコキシシラン類、シリコーンオイルや環状シロキサンを出発原料とする場合には、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸等の酸触媒を使用し、場合によって加水分解のための水を添加して、重合反応を進行させた後、使用した酸触媒や低沸点成分を同様に除去することによって目的とするシリコーン樹脂を得ることができる。
(1−2)硬化性シリコーン組成物
製造方法2では無機基材繊維製品を被覆処理するために硬化性シリコーン組成物が使用される。このような硬化性シリコーン組成物としては公知のものを使用することができる。その具体例としては付加硬化型、光硬化型、縮合硬化型のシリコーン組成物等が挙げられる。
製造方法2に使用される硬化性シリコーン組成物は、塗布する際の粘度を下げるため水系エマルジョンまたは有機溶剤溶液の状態で無機基材繊維製品に塗布することが望ましい。硬化性シリコーン組成物を塗布する際の粘度を下げるために使用される溶剤としては、例えば、溶融性シリコーン樹脂を塗布する際の粘度を下げるために使用される溶剤として前記で例示したものが挙げられる。なかでもトルエン、テトラヒドロフランが好ましい。
付加硬化型シリコーン組成物としては、例えば、分子鎖末端部分(片末端または両末端)および分子鎖非末端部分のどちらか一方またはその両方にビニル基等のアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを白金族金属系触媒の存在下で反応(ヒドロシリル化付加反応)させることにより硬化するシリコーン組成物を挙げることができる。光硬化型シリコーン組成物としては、例えば、紫外線硬化型シリコーン組成物、電子線硬化型シリコーン組成物が挙げられる。紫外線硬化型シリコーン組成物としては、例えば、波長200〜400nmの紫外線のエネルギーにより硬化するシリコーン組成物が挙げられる。この場合、硬化機構には特に制限はない。その具体例としては、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基を有するオルガノポリシロキサンと光重合開始剤とを含有するアクリルシリコーン系シリコーン組成物、メルカプト基含有オルガノポリシロキサンとビニル基等のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと光重合開始剤とを含有するメルカプト−ビニル付加重合系シリコーン組成物、熱硬化性の付加反応型と同じ白金族金属系触媒を用いた付加反応系シリコーン組成物、エポキシ基を有するオルガノポリシロキサンとオニウム塩触媒とを含有するカチオン重合系シリコーン組成物などが挙げられ、いずれも紫外線硬化型シリコーン組成物として使用することができる。電子線硬化型シリコーン組成物としては、ラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサンに電子線を照射することで開始するラジカル重合により硬化するいずれのシリコーン組成物も使用することができる。縮合硬化型シリコーン組成物としては、例えば、両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンまたはテトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシラン等の加水分解性シランおよび/もしくはその部分加水分解縮合物とを有機錫系触媒等の縮合反応触媒の存在下で反応させることにより硬化するシリコーン組成物、あるいは両末端がトリアルコキシシロキシ基、ジアルコキシオルガノシロキシ基、トリアルコキシシロキシエチル基、ジアルコキシオルガノシロキシエチル基等のアルコキシ含有シロキシ基またはアルコキシ含有シロキシアルキル基で封鎖されたオルガノポリシロキサンを有機錫系触媒等の縮合反応触媒の存在下で反応させることにより硬化するシリコーン組成物などを挙げることができる。しかし、耐熱性無機繊維製品を寸法精度よく得る上では、体積収縮の少ない付加硬化型が望ましい。
以下、上述の硬化型のシリコーン組成物の代表例について、無機フィラー以外の成分に焦点をあてて詳述するが、いずれの組成物も必要に応じて無機フィラー、その他の周知慣用の添加物を含むことができる。
<付加硬化型シリコーン組成物>
付加硬化型シリコーン組成物として、具体的には、例えば
(a)ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン、
(b)ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 全硬化性シリコーン組成物中のアルケニル基1モル当たり、本(b)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が0.1〜5モルとなる量、および
(c)白金族金属系触媒 有効量
を含有する付加硬化型シリコーン組成物が挙げられる。
・(a)成分
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、付加硬化型シリコーン組成物のベースポリマーであり、ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個含有する。(a)成分としては公知のオルガノポリシロキサンを使用することが出来る。GPCにより測定された(a)成分のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量はポリスチレン換算で好ましくは3,000〜300,000程度である。さらに(a)成分のオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、100〜1,000,000mPa・sであることが好ましく、1,000〜100,000mPa・s程度であることが特に好ましい。該粘度がこの範囲内にあると、得られる組成物は、取扱が容易となりやすい。(a)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には、原料の入手のしやすさの観点から、分子鎖(主鎖)がジオルガノシロキサン単位(R SiO2/2単位)の繰返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R SiO1/2単位)で封鎖された、分岐を有しない直鎖状構造、または分子鎖が該ジオルガノシロキサン単位の繰返しからなる、分岐を有しない環状構造を有するが、三官能性シロキサン単位(RSiO3/2単位)やSiO4/2単位等の分岐状構造を部分的に含有していてもよい(ここで、Rは同一または異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の一価炭化水素基である)。
(a)成分としては、例えば、下記平均組成式(3):
SiO(4−c)/2 (3)
(式中、Rは上記で定義したとおりであり、cは好ましくは1.5〜2.8、より好ましくは1.8から2.5、さらにより好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数である。)
で示され、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが用いられる。
上記Rで示される一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部又は全部をフッ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換した基、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
この場合、Rのうち少なくとも2個はアルケニル基(特に、炭素原子数が好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6のアルケニル基)である。なお、アルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合する全有機基中(即ち、前記平均組成式(3)においてRで示される非置換または置換の全一価炭化水素基中)、好ましくは0.01〜20モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%である。(a)成分のオルガノポリシロキサンが直鎖状構造を有する場合、このアルケニル基は、分子鎖末端および分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよいが、組成物の硬化速度、硬化物の物性等の点から、少なくとも一個のアルケニル基が分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
上記Rは、基本的には上記のいずれであってもよいが、アルケニル基はビニル基であることが好ましく、アルケニル基以外の一価炭化水素基はメチル基またはフェニル基であることが好ましい。
(a)成分の具体例としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2008081921
なお、上記一般式中のRは、アルケニル基を表さないこと以外は、Rと同様である。gおよびhはg≧1、h≧0を満たす整数であり、g+hはこのオルガノポリシロキサンの分子量および粘度が上記の値となる数である。
・(b)成分
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を少なくとも2個(通常、2〜200個)、好ましくは3個以上(通常、3〜100個)含有する。(b)成分は、(a)成分と反応し、架橋剤として作用する。(b)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、線状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等の、従来製造されているいずれのオルガノハイドロジェンポリシロキサンも(b)成分として使用することができる。(b)成分が線状構造を有する場合、SiH基は、分子鎖末端および分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよい。また、1分子中のケイ素原子の数(または重合度)が、通常、2〜300個、好ましくは4〜150個程度であり、25℃において液状であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが(b)成分として好ましく使用できる。
(b)成分としては、例えば、下記平均組成式(4);
SiO(4−d−e)/2 (4)
(式中、Rは同一または異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の一価炭化水素基であり、dおよびeは、好ましくは0.7≦d≦2.1、0.001≦e≦1.0、かつ0.8≦d+e≦3.0、より好ましくは1.0≦d≦2.0、0.01≦e≦1.0、かつ1.5≦d+e≦2.5を満足する正数である。)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。上記Rとしては、例えば、上記平均組成式(3)中のRと同様の基(ただし、アルケニル基を除く。)が挙げられる。
上記平均組成式(4)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CSiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
(b)成分の添加量は、(a)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モル当たり、本(b)成分中のSiH基の量が0.1〜5.0モル、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モルとなる量である。該添加量が上記SiH基の量が0.1モルより少なくなる量であると、該組成物から得られる硬化物の架橋密度が低くなりすぎ、該硬化物の耐熱性が悪影響を受ける。また、該添加量が上記SiH基の量が5.0モルより多くなる量であると、該硬化物中に脱水素反応による発泡が生じてしまい、更に該硬化物の耐熱性が悪影響を受ける。
・(c)成分
(c)成分の白金族金属系触媒は、(a)成分と(b)成分との付加硬化反応(ヒドロシリル化反応)を促進させるための触媒として使用される。(c)成分としては、公知の白金族金属系触媒を用いることができるが、白金もしくは白金化合物を用いることが好ましい。(c)成分の具体例としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサンまたはアセチレンアルコール類との錯体が挙げられる。
(c)成分の添加量は、触媒としての有効量であり、希望する硬化速度に応じて適時増減すればよいが、(a)成分に対して白金族金属に換算して質量基準で好ましくは0.1〜1,000ppm、より好ましくは1〜200ppmの範囲である。
<紫外線硬化型シリコーン組成物>
紫外線硬化型シリコーン組成物として、具体的には、例えば
(d)紫外線反応性オルガノポリシロキサン、および
(e)光重合開始剤
を含有する紫外線硬化型シリコーン組成物が挙げられる。
・(d)成分
(d)成分の紫外線反応性オルガノポリシロキサンは、通常、紫外線硬化性シリコーン組成物においてベースポリマーとして作用する。(d)成分は、特に限定されず、好ましくは1分子中に少なくとも2個、より好ましくは2〜20個、特に好ましくは2〜10個の紫外線反応性基を有するオルガノポリシロキサンである。このオルガノポリシロキサン中に複数存在する前記紫外線反応性基は、全て同一でも異なっていてもよい。
(d)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には、原料の入手のしやすさの観点から、分子鎖(主鎖)がジオルガノシロキサン単位(R SiO2/2単位)の繰返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R SiO1/2単位)もしくはトリオルガノシリルエチル基等のトリオルガノシリル置換アルキル基で封鎖された、分岐を有しない直鎖状構造、または分子鎖が該ジオルガノシロキサン単位の繰返しからなる、分岐を有しない環状構造を有するが、三官能性シロキサン単位(RSiO3/2単位)やSiO4/2単位等の分岐状構造を部分的に含有していてもよい(上記式中、Rは上記で定義したとおりである)。(d)成分のオルガノポリシロキサンは、直鎖状構造を有する場合、紫外線反応性基を、分子鎖末端および分子鎖末端でない部分のどちらか一方にのみ有していても、その両方に有していてもよいが、少なくとも分子鎖両末端に紫外線反応性基を有することが好ましい。
該紫外線反応性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;アクリロイル基、メタクリロイル基等のアルケニル基以外の脂肪族不飽和基;メルカプト基;エポキシ基;ヒドロシリル基等が挙げられ、好ましくはアクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、およびヒドロシリル基が挙げられ、より好ましくはアクリロイル基およびメタクリロイル基が挙げられる。
該紫外線反応性基は、その種類に応じて、(d)成分のオルガノポリシロキサン中に主鎖を構成するケイ素原子に直接結合していてもよいし、アルキレン基等の連結基を介してケイ素原子に結合していてもよい。
前記オルガノポリシロキサンの粘度は、特に限定されないが、25℃において、100mPa・s〜1,000,000mPa・sであることが好ましく、200〜500,000mPa・sであることがより好ましく、200〜100,000mPa・sであることが特に好ましい。
(d)成分の好ましい一形態として、例えば、下記一般式(5):
Figure 2008081921
[式中、Rは同一または異種の、紫外線反応性基を有しない非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、R及びRは各々同一または異種の、紫外線反応性基もしくは紫外線反応性基を有する基であり、tは5〜1,000の整数であり、uは0〜100の整数であり、vは0〜3の整数であり、wは0〜3の整数であり、ただし、v+w+u≧2である。]
または下記一般式(6):
Figure 2008081921
[式中、R、R、R、t、u、vおよびwは上記一般式(5)で定義した通りであり、kは2〜4の整数であり、rおよびsは各々1〜3の整数であり、ただしvr+ws+u≧2である]
で表される少なくとも2個の紫外線反応性基を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。
上記一般式(5)および(6)中、Rは、同一または異種の、紫外線反応性基を有しない非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、更により好ましくは1〜8の一価炭化水素基である。Rで表される一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルブチル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基等で置換した基、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基、3−シアノプロピル基等が挙げられ、好ましくはメチル基およびフェニル基が挙げられ、より好ましくはメチル基が挙げられる。また、上記Rで表される一価炭化水素基は、その骨格中にスルホニル基、エーテル結合(−O−)、カルボニル基等を1種または2種以上有してもよい。
上記一般式(5)および(6)中、RおよびRで表される紫外線反応性基は上述したとおりである。紫外線反応性基を有する基とは該紫外線反応性基が連結基を介してケイ素原子に結合している場合であり、その具体例としては、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2−{ビス(2−メタクリロイルオキシエトキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基、および2−{(1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)ジメチルシリル}エチル基等が挙げられ、好ましくは3−メタクリロイルオキシプロピル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、2−{ビス(2−メタクリロイルオキシエトキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基、2−{(1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)ジメチルシリル}エチル基、2−{ビス(1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)メチルシリル}エチル基、および2−{(1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシ−2−プロポキシ)ジメチルシリル}エチル基が挙げられる。
一般式(5)及び(6)において、RおよびRは各々同一であっても異なっていてもよく、RおよびRどうしが同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(5)および(6)中、tは、通常、5〜1,000、好ましくは10〜800、より好ましくは50〜500の整数である。uは、通常、0〜100、好ましくは0〜50、より好ましくは0〜20の整数である。vは、通常、0〜3、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは1または2である。wは、通常、0〜3、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは1または2である。上記式(6)中、kは、通常、2〜4の整数、好ましくは2または3である。rおよびsは各々1〜3の整数、好ましくは1または2である。更に、上記一般式(5)および(6)で表されるオルガノポリシロキサンは、前述の通り、前記紫外線反応性基を少なくとも2個有するので、式(5)ではv+w+u≧2となり、式(6)ではvr+ws+u≧2となる。
上記式(5)および(6)で表されるオルガノポリシロキサンの具体例としては、下記に示すものなどが挙げられる。
Figure 2008081921
Figure 2008081921
Figure 2008081921
Figure 2008081921
[上記式中、Rは90モル%がメチル基であり、10モル%がフェニル基である]
・(e)成分
(e)成分の光重合開始剤は、前記(d)成分中の紫外線反応性基の光重合を促進させる作用を有する。(e)成分は特に限定されず、その具体例としては、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントン、3,9−ジクロロキサントン、3−クロロ−8−ノニルキサントン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシアセタール、2−クロロチオキサントン、ジエチルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられ、好ましくはベンゾフェノン、4−メトキシアセトフェノン、4−メチルベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが挙げられ、より好ましくはジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが挙げられる。これらの光重合開始剤は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(e)成分の添加量は、特に限定されないが、(d)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜3質量部、更により好ましくは0.5〜3質量部である。この添加量がこの範囲内にあると、得られる耐熱性無機繊維製品において繊維間の融着が生じにくい。
<縮合硬化型シリコーン組成物>
縮合硬化型シリコーン組成物として、具体的には、例えば、
(h)ケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合加水分解性基を少なくとも2個、好ましくは分子鎖両末端に含有するオルガノポリシロキサン、
(i)任意成分として、加水分解性シランおよび/またはその部分加水分解縮合物、ならびに
(j)任意成分として、縮合反応触媒
含有する縮合硬化型シリコーン組成物が挙げられる。
・(h)成分
(h)成分は、ケイ素原子結合水酸基又はケイ素原子結合加水分解性基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンであり、縮合硬化型シリコーン組成物のベースポリマーである。(h)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には、分子鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる、分岐を有しない直鎖状構造又は環状構造を有するが、分岐状構造を部分的に有していてもよい。なお、本明細書において「加水分解性基」とは、水の作用により分解して水酸基を形成しうる基を意味する。
(h)成分のオルガノポリシロキサンにおいて、加水分解性基としては、例えば、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキし基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基(即ち、イミノキシ基);メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;ビニロキシ基、イソプロペニルオキシ基,1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基等が挙げられる。
これらの加水分解性基は、例えば、トリアルコキシシロキシ基、ジアルコキシオルガノシロキシ基、トリアシロキシシロキシ基、ジアシロキシオルガノシロキシ基、トリイミノキシシロキシ基(即ち、トリケトオキシムシロキシ基)、ジイミノキシオルガノシロキシ基、トリアルケノキシシロキシ基、ジアルケノキシオルガノシロキシ基、トリアルコキシシロキシエチル基、ジアルコキシオルガノシロキシエチル基等の、2個もしくは3個の加水分解性基を含有するシロキシ基または2個もしくは3個の加水分解性基を含有するシロキシアルキル基等の形で直鎖状ジオルガノポリシロキサンの分子鎖両末端に位置していることが好ましい。
水酸基及び加水分解性基以外の、ケイ素原子に結合した他の原子又は基は一価炭化水素基であり、該一価炭化水素基としては、上記平均組成式(3)におけるRについて例示したものと同じ非置換または置換の一価炭化水素基が挙げられる。
(h)成分としては、例えば、下記の式:
Figure 2008081921
[上記の式中、Yは加水分解性基、xは1、2または3、yおよびzはそれぞれ1〜1,000の整数である]
で表される分子鎖両末端にケイ素原子に結合した水酸基又はケイ素原子に結合した加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
上記の化学式で表されるオルガノポリシロキサンの内、両末端に加水分解性基Yを有するものの具体例としては、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端メチルジメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリエトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端2−(トリメトキシシロキシ)エチル基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
・(i)成分
(i)成分の加水分解性シランおよび/またはその部分加水分解縮合物は任意成分であり、硬化剤として作用する。ベースポリマーである(h)成分がシラノール基以外のケイ素原子結合加水分解性基を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンである場合には、(i)成分を縮合硬化型シリコーン組成物に添加するのを省略することができる。(i)成分としては、1分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合加水分解性基を含有するシランおよび/またはその部分加水分解縮合物(即ち、少なくとも1個、好ましくは2個以上の加水分解性基が残存するオルガノポリシロキサン)が好適に使用される。
前記加水分解性シランとしては、例えば、式(7):
10 SiX4−f (7)
(式中、R10は非置換または置換の一価炭化水素基、Xは加水分解性基、fは0または1である。)
で表されるものが好ましく用いられる。前記R10としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基が特に好ましく挙げられる。前記Xとしては、例えば、前記(h)成分におけるケイ素原子結合加水分解性基Yとして例示したものすべてが挙げられる。
該加水分解性シランの具体例としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルオルソシリケート等、およびこれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
(i)成分の加水分解性シランおよび/またはその部分加水分解縮合物を用いる場合、その添加量は、(h)成分100質量部に対して好ましくは0.01〜20質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部である。(i)成分を用いる場合、その添加量が上記範囲内にあると、上記縮合硬化型シリコーン組成物の貯蔵安定性および硬化速度は特に良好である。
・(j)成分
(j)成分の縮合反応触媒は任意成分であり、上記(i)成分の加水分解性シランおよび/またはその部分加水分解縮合物が、例えば、アミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等を有する場合には使用しなくてもよい。(j)成分の縮合反応触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソブロピルチタネート等の有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等の有機チタンキレート化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラブチレート等の有機ジルコニウム化合物;ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ(2−エチルヘキサノエート)等の有機スズ化合物;ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;へキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物、およびその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩;酢酸カリウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン:グアニジル基含有有機ケイ素化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(j)成分の縮合反応触媒を用いる場合、その添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量でよいが、(h)成分100質量部に対して好ましくは0.01〜20質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部である。(j)成分を用いる場合、その添加量が上記範囲内にあると、本発明の製造方法により上記縮合硬化型シリコーン組成物を用いて得られる耐熱性無機繊維製品において繊維間の融着が生じにくい。
(1−3)溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物による被覆処理の方法
無機基材繊維製品を溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物で被覆処理する方法としては、例えば、無溶剤の状態で溶融性シリコーン樹脂を用いる方法、すなわち溶融性シリコーン樹脂を加熱して溶融させ、液状とした状態で無機基材繊維製品に塗布し、塗布した溶融性シリコーン樹脂を室温まで冷却して固化する方法;無溶剤の状態で硬化性シリコーン組成物を用いる方法、すなわち、室温で液状の硬化性シリコーン組成物はそのままの状態で、室温で固体の硬化性シリコーン組成物は加熱して溶融させ、液状とした状態で、無機基材繊維製品に塗布する方法;溶融性シリコーン樹脂を、または、硬化性シリコーン組成物が水に対して安定である場合には、該硬化性シリコーン組成物をノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等の乳化剤によって水に乳化させて水系エマルジョンを調製し、該水系エマルジョンを無機基材繊維製品に塗布し、乾燥させる方法;溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物をトルエンやテトラヒドロフランなどの有機溶剤に溶解させて有機溶剤溶液を調製し、該溶液を無機基材繊維製品に塗布し、乾燥させる方法等が挙げられる。
溶融性シリコーン樹脂、または、室温で固体の硬化性シリコーン組成物を加熱して液状とした状態で塗布する場合、液状の溶融性シリコーン樹脂または液状の硬化性シリコーン組成物の粘度が通常1〜50,000mPa・s、好ましくは10〜10,000mPa・sとなるように、加熱温度は設定される。具体的には、該加熱温度は通常50〜200℃の温度に設定される。室温で液状の硬化性シリコーン組成物を無溶剤の状態で塗布する場合、該硬化性シリコーン組成物の粘度は、通常1〜50,000mPa・s、好ましくは10〜10,000mPa・sである。
室温で液状の硬化性シリコーン組成物をそのままの状態で塗布する場合には、該組成物は室温で通常1〜50,000mPa・s、好ましくは10〜10,000mPa・sの粘度を有する。
溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物を水系エマルジョンまたは有機溶剤溶液として塗布する場合、該水系エマルジョンまたは該有機溶剤溶液は、25℃における粘度が通常1〜50,000mPa・s、好ましくは10〜10,000mPa・sとなるように調製される。該粘度がこれらの範囲内にあると、無機基材繊維を被覆する溶融性シリコーン樹脂層または硬化性シリコーン組成物層の厚さが均一となりやすい。
この場合、水系エマルジョンまたは有機溶剤溶液中の溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物の濃度は所要の粘度が得られるように選択され、通常、1〜60質量%、好ましくは5〜50質量%の範囲である。
溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物を無機基材繊維製品に塗布する方法としては、例えば、含浸、スプレー塗布などの方法を採用することができる。無機基材繊維製品を溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物で被覆処理する際には、無機基材繊維製品を構成する全無機基材繊維が溶融性シリコーン樹脂層または硬化性シリコーン組成物層で被覆されることが望ましい。上記の被覆処理により、無機基材繊維を被覆する溶融性シリコーン樹脂層または硬化性シリコーン組成物層が形成される。
溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物の被覆量は、無機基材繊維製品に対して、通常0.01〜100質量%、好ましくは0.1〜50質量%である。該被覆量がこの範囲内にあると、無機基材繊維間での融着が生じにくく、均一な厚さでの被覆が容易となりやすく、また、経済的にも有利となりやすい。
(2)溶融性シリコーン樹脂層の不融化処理または硬化性シリコーン組成物層の硬化:
製造方法1では、次に、上記の工程で無機基材繊維製品を構成する無機基材繊維上に形成された溶融性シリコーン樹脂層の不融化処理が行なわれる。また、製造方法2では、次に、上記の工程で無機基材繊維製品を構成する無機基材繊維上に形成された硬化性シリコーン組成物層の硬化が行なわれる。
(2−1)溶融性シリコーン樹脂層の不融化処理
製造方法1において、不融化処理の前のシリコーン樹脂層は溶融性であるので高温に付されると溶融、軟化するが、不融化処理により非溶融性シリコーン樹脂層に転換される。不融化処理は、例えば、該シリコーン樹脂層を酸で処理することにより行うことができる。酸で処理することにより溶融性シリコーン樹脂層中に残存するヒドロカルビルオキシ基およびシラノール基が脱水縮合する結果架橋反応が進行し、三次元網状構造が高密度化する。その結果溶融性シリコーン樹脂層は非溶融性シリコーン樹脂層になると考えられる。不融化処理により得られる非溶融性シリコーン樹脂層は高温に付しても溶融しないので、非溶融性シリコーン樹脂層で被覆された無機基材繊維同士の融着は起らない。
上記の不融化処理に使用される酸としては、例えば、塩化水素ガス等のガス状のもの、および、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸等の液状のものが挙げられる。酸の種類および濃度は、原料として用いた溶融性シリコーン樹脂に含まれるフェニル基の量に応じて、適宜選択できる。溶融性シリコーン樹脂に含まれるフェニル基の量が少ない場合、例えば、溶融性シリコーン樹脂中のケイ素原子に結合した有機基および水酸基の合計に対するフェニル基の割合(以下、「フェニル基含有率」とする。)が0〜5モル%である場合は、好ましくは50質量%以下の濃度の塩酸、より好ましくは30質量%以下の濃度の塩酸、更により好ましくは10〜25質量%の濃度の塩酸を用いることができる。これにより、不融化処理時に、シロキサンの平衡化反応が生じにくくなるので、無機基材繊維同士の融着が生じにくい。一方、溶融性シリコーン樹脂に含まれるフェニル基の量が多い場合、例えば、フェニル基含有率が5モル%を超え、25モル%以下である場合は、好ましくは塩化水素ガス、濃硫酸等を用いることができる。これにより、フェニル基の量が多いために立体障害が大きい場合でも、不融化反応の進行が速くなりやすい。
酸での処理は、酸としてガス状のものを用いる場合は、例えば、酸の含まれる雰囲気に溶融性シリコーン樹脂で被覆処理された無機基材繊維製品を接触させることによって行うことができ、酸として液状のものを用いる場合は、例えば、酸中に溶融性シリコーン樹脂で被覆処理された無機基材繊維製品を浸漬することによって行うことができる。処理の温度は、例えば、5〜50℃、好ましくは10〜30℃であり、不融化処理の時間は、例えば、10〜50時間でよい。
(2−2)硬化性シリコーン組成物層の硬化
製造方法2において、硬化性シリコーン組成物層を硬化させることにより得られるシリコーン硬化物層は高温に付しても溶融しないので、シリコーン硬化物層で被覆された無機基材繊維同士の融着は起らない。代表的な硬化性シリコーン組成物の硬化条件を説明する。
・付加硬化型シリコーン組成物の場合:
付加硬化型シリコーン組成物で被覆処理された無機基材繊維製品を加熱することで、該組成物中でヒドロシリル化反応が進行し、該組成物は硬化する。硬化速度は該組成物の被覆厚に依存する、すなわち、該組成物の塗布量に依存するため、硬化時の温度条件は、該塗布量に応じて適宜選択されるが、好ましくは80〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。硬化時間は、好ましくは1分〜3時間、より好ましくは3分〜2時間である。また、必要に応じて2次硬化を行ってもよく、その際の温度条件は、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際の硬化時間は好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。
・紫外線硬化型シリコーン組成物の場合:
紫外線硬化型シリコーン組成物で被覆処理された無機基材繊維製品に紫外線を照射することで、該組成物中で光重合開始剤による硬化反応が進行し、該組成物は硬化する。硬化速度は該組成物の被覆厚に依存する、すなわち、該組成物の塗布量に依存するため、硬化時の紫外線照射条件は、該塗布量に応じて適宜選択される。紫外線照射は、例えば、365nmに発光波長を有する紫外線ランプまたは紫外線発光ダイオードを用い、好ましくは5〜500mW/cm、より好ましくは10〜200mW/cmの照度、および好ましくは0.5〜100J/cm、より好ましくは10〜50J/cmの光量にて行うことができる。また、必要に応じて2次硬化を行ってもよく、その際の温度条件は、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際の硬化時間は好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。
・縮合硬化型シリコーン組成物層の場合:
縮合硬化型シリコーン組成物で被覆処理された無機基材繊維製品を、湿気(例えば、25〜90%RH、好ましくは50〜85%RH)を含む雰囲気中に放置することで、雰囲気中の水分により該組成物中で縮合反応が進行し、該組成物は硬化する。硬化を促進させるために加熱してもよい。また、必要に応じて2次硬化を行ってもよく、その際の温度条件は、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際の硬化時間は好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。
(3)非溶融性シリコーン樹脂層またはシリコーン硬化物層のセラミック化:
無機基材繊維を被覆する非溶融性シリコーン樹脂層またはシリコーン硬化物層は、非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度で加熱することによって、特に、炭素−水素結合の開裂と水素の脱離が起ってセラミック化し、ケイ素炭素酸素系非晶質無機セラミック物質からなる耐熱性無機セラミック層となる。この加熱の温度は、600℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましい。また、該加熱の温度は、1300℃以下が好ましく、1100℃以下がより好ましい。従って、典型的には、600〜1300℃が好ましく、800〜1100℃がより好ましい。加熱が前記の温度範囲内で行われると、非溶融性シリコーン樹脂層またはシリコーン硬化物層中の炭素−水素結合の開裂と水素の脱離が十分となりやすい一方、ケイ素や炭素の脱離は起こりにくい。このように原料中のケイ素、炭素は生成物である非晶質無機セラミック物質中に有効に利用されるので、資源の無駄な損失は抑制される。
上記の熱分解反応は第8族元素、例えば白金族金属である白金、パラジウム、ロジウム等が微量存在すると良好に進行する。第8族元素は非溶融性シリコーン樹脂層またはシリコーン硬化物層中に0.1〜5,000ppm存在することが好ましく、より好ましくは10〜2000ppm、更により好ましくは10〜1,000ppm、更に一層より好ましくは50〜1000ppmである。この場合、例えば、原料である溶融性シリコーン樹脂または硬化性シリコーン組成物に第8族元素を所要量添加しておく。付加硬化型シリコーン組成物は通常白金族金属を触媒として含んでいる。第8族元素の不存在下では、600℃以上で加熱することが望ましい。
非酸化性雰囲気は、焼成時に非溶融性シリコーン樹脂層またはシリコーン硬化物層の酸化を十分に防ぐことができるものであれば特に制限されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気である。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられ、実用的には窒素ガスが好ましい。
[用途]
本発明の製造方法により製造された耐熱性無機繊維製品は、耐熱性および強度に優れ、排ガスフィルター用材料、特に、浮遊粒子状物質を除去するための排ガスフィルター用材料、例えば、トラック、バス等の大型自動車、ディーゼル機関車等の鉄道車両、建設機械、農業用機械、船舶等のディーゼル機関を用いた産業用機械、工場、家庭用燃料電池などから排出される排気ガスの浄化に好適に用いることができる。
以下に、実施例および比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、分子量は、GPCにより測定し、ポリスチレン換算した重量平均分子量である。また、「Me」はメチル基を、「Ph」はフェニル基を表わす。以下の実施例における実験は室温において行った。
[実施例1]
シロキサン単位としてMeSiO3/2単位のみを含み、5質量%の水酸基を有する溶融性シリコーン樹脂(分子量:1000、平均組成式:Me(OH)0.2SiO1.3、軟化点65℃)をテトラヒドロフランに溶解し、10質量%テトラヒドロフラン溶液(25℃での粘度:100mPa・s)とした。この溶液に無機基材繊維製品として直径10μmのガラス繊維からなるガラス繊維束を浸した後、室温にて乾燥させた。この処理後のガラス繊維束の質量は、未処理のガラス繊維束の質量に対して10%増加していた。
得られた繊維束を20質量%の濃度の塩酸に浸漬し、室温で2日間放置した。その後、この繊維束を、廃水がpH6になるまで水で洗い、約200℃の温度で加熱乾燥した。
この繊維束を、以下のとおり、非酸化性雰囲気下で加熱した。すなわち、この繊維束を、アルミナボートに入れ、雰囲気式電気炉で、窒素ガス雰囲気下、100℃/時間の昇温速度で室温から1000℃まで約10時間かけて加熱し、その後温度を1000℃で1時間保持した。その後、200℃/時間の割合で室温まで冷却した。これにより茶色の繊維束を得た。得られた繊維束では、繊維間に融着は認められなかった。
・加熱損失:
この加熱の前後で測定した繊維束の質量を比較することで、加熱前の質量に対する加熱により損失した質量の割合(以下、「加熱による損失率」とする。)を算出したところ2.1%だった。この加熱後の繊維束における繊維の繊維径は約10μmであった。また、加熱前後の繊維の形状変化をSEM(走査電子顕微鏡)により観察したところ、変化は認められなかった。
・耐熱性評価:
この繊維束を空気に900℃で150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、0.9%であった。また、加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
[実施例2]
実施例1において、無機基材繊維製品として、直径10μmのガラス繊維からなるガラス繊維束の代わりに直径10μmの炭素繊維からなる炭素繊維束を使用した以外は、実施例1と同様にして、溶融性シリコーン樹脂による被覆処理を行った。この処理後の炭素繊維束の質量は、未処理の炭素繊維束の質量に対して10%増加していた。
この炭素繊維束から実施例1と同様にして黒色の繊維束を得た。得られた繊維束では、繊維間に融着は認められなかった。加熱による損失率は2.3%であった。加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
この繊維束を空気に900℃で150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、2.1%であった。また、加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
[実施例3]
実施例1で用いたのと同様の溶融性シリコーン樹脂の10質量%テトラヒドロフラン溶液に無機基材繊維製品としてガラスクロス1080(商品名、(株)有沢製作所製)を浸した後、マングルにて絞り、室温にて乾燥させた。この処理後のガラスクロスの質量は、未処理のガラスクロスの質量に対して10%増加していた。
このガラスクロスから実施例1と同様にして茶色の無機繊維織布を得た。得られた織布では、繊維間でも織布としても融着は認められなかった。加熱による損失率は0.6%であった。加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
この織布を空気に900℃で150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、1.2%であった。また、加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
[実施例4]
実施例1で用いた溶融性シリコーン樹脂の代わりに、シロキサン単位として約60モル%のPhSiO3/2単位、約20モル%のPh2SiO単位および約20モル%のMeSiO3/2単位を含み、5質量%の水酸基を有する溶融性シリコーン樹脂(分子量:1000、平均組成式:Ph(Me)0.2(OH)0.3SiO1.1、軟化点92℃)を用い、20質量%塩酸処理を98質量%硫酸処理に変更した以外は、実施例1と同様にして茶色の繊維束を得た。溶融性シリコーン樹脂による被覆処理後のガラス繊維束の質量は、被覆処理前のガラス繊維束の質量に対して10%増加していた。得られた繊維束では、繊維間に融着は認められなかった。加熱による損失率は5.2%であった。加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
この繊維束を空気に900℃で150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、1.2%であった。また、加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
[比較例1]
無処理のガラスクロス1080((株)有沢製作所製)をアルミナボートに入れ、雰囲気式電気炉で、窒素ガス雰囲気下、100℃/時間の昇温速度で室温から1000℃まで約10時間かけて加熱し、続けて1000℃で1時間保持した。その後、200℃/時間の速度で室温まで冷却したところ、銀色の、全体に融着が起った棒状のガラスが得られた。繊維の原形は認められなかった。
[実施例5]
(a)ケイ素原子に結合したビニル基を含有する下記式のジオルガノポリシロキサン 90質量部
Figure 2008081921

(式中、iは該シロキサンの25℃における粘度が600mPa・sとなるような数である。)
(b)ケイ素原子に結合した水素原子を有する下記式のジオルガノポリシロキサン 10質量部
Figure 2008081921

(c)白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/トルエン溶液(白金元素含有量0.5質量%;ヒドロシリル化触媒) 0.15質量部
上記の(a)および(b)成分をプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製混合機)に投入し、室温にて一時間攪拌した。その後、(c)成分を該プラネタリーミキサーに投入し、室温にて30分攪拌し、付加硬化型シリコーン組成物を得た。
この組成物をテトラヒドロフランに溶解し、10質量%テトラヒドロフラン溶液(25℃での粘度:50mPa・s)とした。この溶液に無機基材繊維製品として直径10μmのガラス繊維からなるガラス繊維束を浸した後、室温にて乾燥させた。この処理後のガラス繊維束の質量は、未処理ガラス繊維束の質量に対して10%増加していた。
得られた繊維束を約150℃の温度で30分加熱することにより、塗布された上記組成物を硬化させた。
この繊維束を、以下のとおり、非酸化性雰囲気下で加熱した。すなわち、この繊維束を、アルミナボートに入れ、雰囲気式電気炉で、窒素ガス雰囲気下、60℃/時間の昇温速度で室温から600℃まで約10時間かけて加熱し、その後温度を600℃で8時間保持した。その後、200℃/時間の割合で室温まで冷却した。これにより黒色の繊維束を得た。得られた繊維束では、繊維間に融着は認められなかった。
加熱による損失率は5.5%だった。この加熱後の繊維束における繊維の繊維径は約10μmであった。また、加熱前後の繊維の形状変化をSEM(走査電子顕微鏡)により観察したところ、変化は認められなかった。
この繊維束を空気に900℃で150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、0.3%であった。また、加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
[実施例6]
下記式
Figure 2008081921

で示される液状のオルガノポリシロキサン 100質量部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン 2質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド 1質量部、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(メトキシシロキサンオリゴマー) 1質量部、および下記式
Figure 2008081921

で示されるチタンキレート化合物 0.1質量部を混合して紫外線硬化型シリコーン組成物を得た。
この組成物をテトラヒドロフランに溶解し、10質量%テトラヒドロフラン溶液(25℃での粘度:150mPa・s)とした。この溶液に無機基材繊維製品として直径10μmのガラス繊維からなるガラス繊維束を浸した後、室温にて乾燥させた。この処理後のガラス繊維束の質量は、未処理ガラス繊維束の質量に対して10%増加していた。
得られた繊維束にメタルハライド水銀灯2灯(照度80W/cm、エネルギー量400mJ/s)から紫外線を照射することにより、塗布された上記組成物を硬化させた。
この繊維束から実施例5と同様にして黒色の繊維束を得た。得られた繊維束では、繊維間に融着は認められなかった。加熱による損失率は6.2%であった。加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
この繊維束を空気に900℃で150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、0.2%であった。また、加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
[実施例7]
下記式
Figure 2008081921

で示される両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン 100質量部にチタンキレート触媒 0.1質量部を加え、よく攪拌して縮合硬化型シリコーン組成物を得た。
この組成物をテトラヒドロフランに溶解し、10質量%テトラヒドロフラン溶液(25℃での粘度:500mPa・s)とした。この溶液に無機基材繊維製品として直径10μmのガラス繊維からなるガラス繊維束を浸した後、室温にて乾燥させた。この処理後のガラス繊維束の質量は、未処理ガラス繊維束の質量に対して10%増加していた。
得られた繊維束を180℃に加熱しながら50%RHの空気中に1時間放置することにより、塗布された上記組成物を硬化させた。
この繊維束から実施例5と同様にして黒色の繊維束を得た。得られた繊維束では、繊維間に融着は認められなかった。加熱による損失率は5.8%であった。加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
この繊維束を空気に900℃で150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、0.3%であった。また、加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
[実施例8]
実施例5において、無機基材繊維製品として、直径10μmのガラス繊維からなるガラス繊維束の代わりに直径10μmの炭素繊維からなる炭素繊維束を使用した以外は、実施例5と同様にして、付加硬化型シリコーン組成物による被覆処理を行った。この処理後の炭素繊維束の質量は、未処理の炭素繊維束の質量に対して10%増加していた。
この炭素繊維束から実施例5と同様にして黒色の繊維束を得た。得られた繊維束では、繊維間に融着は認められなかった。加熱による損失率は9.3%であった。加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
この繊維束を空気に900℃で150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、2.1%であった。また、加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
[実施例9]
実施例5で用いたのと同様の付加硬化型シリコーン組成物の10質量%テトラヒドロフラン溶液に無機基材繊維製品としてガラスクロス1080(商品名、(株)有沢製作所製)を浸した後、マングルにて絞り、室温にて乾燥させた。この処理後のガラスクロスの質量は、未処理のガラスクロスの質量に対して10%増加していた。
このガラスクロスから実施例5と同様にして黒色の無機繊維織布を得た。得られた織布では、繊維間でも織布としても融着は認められなかった。加熱による損失率は5.3%であった。加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
この織布を空気に900℃で150時間暴露した。この加熱による損失率を算出したところ、0.3%であった。また、加熱前後の繊維の形状と寸法の変化をSEMにより観察したところ、形状にも寸法にも変化は認められなかった。
[比較例2]
無処理のガラスクロス1080((株)有沢製作所製)をアルミナボートに入れ、雰囲気式電気炉で、窒素ガス雰囲気下、60℃/時間の昇温速度で室温から600℃まで約10時間かけて加熱し、続けて600℃で8時間保持した。その後、200℃/時間の速度で室温まで冷却したところ、銀色の、全体に融着が起った棒状のガラスが得られた。繊維の原形は認められなかった。

Claims (8)

  1. 無機基材繊維と該無機基材繊維を被覆する耐熱性無機セラミック層とからなる耐熱性無機繊維からなる耐熱性無機繊維製品の製造方法であって、
    無機基材繊維からなる無機基材繊維製品を溶融性シリコーン樹脂で被覆処理して、該無機基材繊維を被覆する溶融性シリコーン樹脂層を形成し、
    該溶融性シリコーン樹脂層を不融化処理して非溶融性シリコーン樹脂層とし、
    該非溶融性シリコーン樹脂層を非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度で加熱して、耐熱性無機セラミック層に転化させる
    ことを含む製造方法。
  2. 前記溶融性シリコーン樹脂が下記平均組成式(2):
    R1 mR2 n(OR3)p(OH)qSiO(4-m-n-p-q)/2 (2)
    (式中、R1は独立に水素原子又はアリール基以外のカルボニル基を含んでいてもよい1価炭化水素基を示し、R2はフェニル基を示し、R3は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基を示し、mは0.1≦m≦2を満たす数であり、nは0≦n≦2を満たす数であり、pは0≦p≦1.5を満たす数であり、qは0≦q≦0.35を満たす数であり、ただし、p+q>0であり、かつ、0.1≦m+n+p+q≦2.6である。)
    で表わされるものである請求項1に係る製造方法。
  3. 前記溶融性シリコーン樹脂層の不融化処理を、該溶融性シリコーン樹脂層を酸で処理することにより行う請求項1または2に係る製造方法。
  4. 無機基材繊維と該無機基材繊維を被覆する耐熱性無機セラミック層とからなる耐熱性無機繊維からなる耐熱性無機繊維製品の製造方法であって、
    無機基材繊維からなる無機基材繊維製品を硬化性シリコーン組成物で被覆処理して、該無機基材繊維を被覆する硬化性シリコーン組成物層を形成し、
    該硬化性シリコーン組成物層を硬化させてシリコーン硬化物層とし、
    該シリコーン硬化物層を非酸化性雰囲気下、400〜1500℃の温度で加熱して、耐熱性無機セラミック層に転化させる
    ことを含む製造方法。
  5. 前記硬化性シリコーン組成物が付加硬化型シリコーン組成物、光硬化型シリコーン組成物または縮合硬化型シリコーン組成物である請求項4に係る製造方法。
  6. 前記無機基材繊維がガラス繊維、炭素繊維またはアルミナ繊維である請求項1〜5のいずれか1項に係る製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により製造された耐熱性無機繊維製品。
  8. 請求項7に記載の耐熱性無機繊維製品を含む排ガスフィルター。
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