JP5477445B2 - 炭化ケイ素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコーン組成物を用いて高純度炭化ケイ素を簡便かつ高い生産性で得ることができる製造方法に関する。
炭化ケイ素セラミックスは、常温および高温で化学的に安定であり、高温における機械的強度が優れているため、高温材料として利用されている。近年では、半導体製造分野において、耐熱性、耐クリープ性に優れた高純度の炭化ケイ素セラミックス焼結体が、ウエハーを熱処理したり、微量元素を熱拡散したりする工程でのボードやプロセスチューブなどに利用されるようになっている。ここで用いられる炭化ケイ素材料に不純物元素が含まれていると、ウエハーの加熱中にこの不純物元素がウエハーに侵入してウエハーが汚染されるという問題が生じるため、これらの用途に用いられる炭化ケイ素材料は、できるだけ高純度であることが好ましい。
炭化ケイ素粉末の製造方法として、アチソン法、シリカ還元法、気相反応法が知られている。しかしながらアチソン法で製造された炭化ケイ素には低純度の問題があり、シリカ還元法ではシリカ粉末と炭素粉末との不均一な混合に起因する均一性の問題があり、気相反応法には生産性が低いという問題がある。近年、ケイ素金属合金を出発原料とする方法(特許文献1)が報告されているが、低温で炭化ケイ素が得られるものの高圧下で反応を行うなど、工程が煩雑である。また、炭素−ケイ素結合を有しないエチルシリケートと有機化合物を混合し加熱、反応させて炭素−ケイ素結合を生成させる方法(特許文献2、3)が報告されているが、分解物の多さから生産性が高いとは言い難い。
また、炭化ケイ素は、通常、難焼結性であるため、従来、所要の形状および寸法を有する炭化ケイ素成形品を得ることは容易ではない。
特開2006−206391号公報 特開平11−171647号公報 特開2006−256937号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題を解決し、高純度炭化ケイ素を簡便かつ高い生産性で得ることができる製造方法を提供することにある。また、所要の形状および寸法を有する炭化ケイ素成形品を容易に得ることができる製造方法を提供することも本発明の課題に含まれる。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、シリコーン硬化物の無機化により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、硬化性シリコーン組成物の硬化物を非酸化性雰囲気下、1500℃を超え2600℃以下の温度において加熱することを含む炭化ケイ素の製造方法を提供する。
本発明の製造方法によれば、出発原料がシリコーン組成物であるため、シリコーン組成物の段階で高純度化が可能であり、このシリコーン組成物を加熱分解することのみで、高純度炭化ケイ素成形品を簡便かつ高い生産性で製造することができる。
また、本発明の製造方法によれば、まず、所要の形状および寸法を有するシリコーン成形体を作製し、次にこれを加熱(即ち、焼成)するだけで、所要の形状および寸法を有する炭化ケイ素成形品を容易に製造することができる。
参考例1で得られた黄緑色の固体のX線回折スペクトル(a)およびそのピークデータ(b)を、β型炭化ケイ素結晶のX線回折スペクトルのピークデータ(c)とともに示す(両ピークデータの縦軸は対数表示である)。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「室温」とは周囲温度を意味し、通常、10〜35℃の範囲で変りうる。
−硬化性シリコーン組成物−
本発明の方法において出発材料として用いる硬化性シリコーン組成物の硬化機構は特に制限されず、いずれの硬化型の硬化性シリコーン組成物も使用することができる。例えば、付加硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型、縮合硬化型のシリコーン組成物等が挙げられる。
硬化性シリコーン組成物の硬化物は、該組成物の硬化機構に応じて、該組成物を公知の方法により硬化させて得ることができる。所要の形状および寸法を有する炭化ケイ素成形品を得たい場合には、該組成物を所要の形状および寸法に成形した後に硬化させて硬化物を得ることが好ましい。
硬化性シリコーン組成物を成形する場合の成形方法としては、該組成物が室温で固体であるか液状であるかに応じて、注型、射出、押し出し等を選択することができる。注型の場合、該組成物は室温で液状であり、具体的には室温における粘度が1〜1,000,000mPa・sであることが好ましく、10〜300,000mPa・sであることがより好ましい。
硬化性シリコーン組成物を成形する場合、得られる成形体の強度向上を目的として、該組成物には任意成分として炭化ケイ素粉体を添加することができる。該炭化ケイ素粉体の粒子形状は特に制限されないが、該炭化ケイ素粉体の体積基準の平均粒径は、好ましくは0.01〜10μmであり、より好ましくは0.02〜1μmである。なお、本明細書において、体積基準の平均粒径とは、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定され、累積分布の50%に相当する体積基準の平均粒径をいう。炭化ケイ素粉体は、一種単独で用いても、体積基準の平均粒径等の異なる二種以上を併用してもよい。炭化ケイ素粉体は特に限定されないが、純度が高いことが好ましく、例えば、本発明の製造方法により得られた炭化ケイ素を公知の方法により粉砕して得た粉体が挙げられる。炭化ケイ素粉体を硬化性シリコーン組成物に添加する場合、その添加量は、該硬化性シリコーン組成物全体に対する該炭化ケイ素粉体の割合が室温において25〜80体積%となる量であることが好ましく、35〜70体積%となる量であることがより好ましい。
硬化性シリコーン組成物としては、上述のように特に制限なく使用することができるが、中でも好適なものとして、付加硬化型シリコーン組成物および縮合硬化型の硬化性シリコーン組成物を挙げることができる。以下、これらについて説明する。
<付加硬化型シリコーン組成物>
付加硬化型の硬化性シリコーン組成物としては、例えば、
(a)ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサン、
(b)ケイ素原子に結合した水素原子を有し、分子中の全ケイ素原子に対する該水素原子のモル比が0.2〜2.0であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および
(c)白金族金属系触媒
を含有する組成物が挙げられる。以下、各成分について説明する。
・(a)成分:アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
(a)成分のオルガノポリシロキサンは、付加硬化型シリコーン組成物のベースポリマーであり、ケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2つ有する。(a)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。(a)成分としては公知のオルガノポリシロキサンを使用することができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)により測定された(a)成分のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量はポリスチレン換算で好ましくは300〜10,000程度である。さらに(a)成分のオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、1〜10,000mPa・sであることが好ましく、10〜3,000mPa・s程度であることが特に好ましい。該粘度がこの範囲内にあると、(a)成分は、取扱が容易となり、該組成物に炭化ケイ素粉体を添加する場合には炭化ケイ素粉体との混合も容易となる。(a)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には、原料の入手のしやすさの観点から、分子鎖(主鎖)がジオルガノシロキサン単位(R SiO2/2単位)の繰返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R SiO1/2単位)で封鎖された、分岐を有しない直鎖状構造、または分子鎖が該ジオルガノシロキサン単位の繰返しからなる、分岐を有しない環状構造を有するが、三官能性シロキサン単位(RSiO3/2単位)やSiO4/2単位等の分岐構造を部分的に含有していてもよい(上記式中、Rは同一または異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の一価炭化水素基である)。
(a)成分としては、例えば、下記平均組成式(1):
SiO(4−a)/2 (1)
(式中、Rは上記で定義したとおりであり、aは好ましくは1.5〜2.8、より好ましくは1.8から2.5、さらにより好ましくは1.95〜2.05の範囲の数である。)
で示され、且つケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2つ有するオルガノポリシロキサンが用いられる。
上記Rで示される一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部または全部をフッ素原子、臭素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基等で置換した基、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
平均組成式(1)において、Rのうち少なくとも2個はアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜8、特に好ましくは炭素原子数2〜6のアルケニル基)である。(a)成分のオルガノポリシロキサンが直鎖状構造を有する場合、このアルケニル基は、分子鎖末端および分子鎖非末端のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよいが、得られる組成物の硬化速度、得られる硬化物の物性等の点から、少なくとも一個のアルケニル基が分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
上記Rは、基本的には上記のいずれであってもよいが、アルケニル基はビニル基であることが好ましく、アルケニル基以外の一価炭化水素基はメチル基またはフェニル基であることが好ましい。
(a)成分の具体例としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005477445
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Figure 0005477445
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なお、上記一般式中のRは、アルケニル基を表さないこと以外は、Rと同様である。bおよびcはb≧0、c≧1を満たす整数であり、b+cはこれらのオルガノポリシロキサンの分子量および粘度が上記の値(1〜10,000mPa・s、特に10〜3,000mPa・s程度)となる数である。
・(b)成分:オルガノハイドロジェンポリシロキサン
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中の全ケイ素原子に対して、ケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)のモル比が0.2〜2.0、好ましくは0.2以上で2.0未満、更に好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.7〜1.0となるようにSiH基を含有する。上記モル比が0.2未満であると非酸化性雰囲気下での焼成後の機械的強度が劣り、一方、2.0を超えると該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの製造が困難で、汎用性が少なく、経済上不利である。(b)成分は、(a)成分と反応し、架橋剤として作用する。(b)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(b)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、線状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等の、従来製造されているいずれのオルガノハイドロジェンポリシロキサンも(b)成分として使用することができる。(b)成分が線状構造を有する場合、SiH基は、分子鎖末端および分子鎖末端でない部分のどちらか一方でのみケイ素原子に結合していても、その両方でケイ素原子に結合していてもよい。また、1分子中のケイ素原子の数(または重合度)が、通常、2〜300個、好ましくは4〜150個程度であり、室温において液状であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが(b)成分として好ましく使用される。
(b)成分としては、例えば、下記平均組成式(2):
SiO(4−d−e)/2 (2)
(式中、Rは同一または異種の非置換もしくは置換の、炭素原子数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8の一価炭化水素基であり、dおよびeは、好ましくは0.7≦d≦2.1、0.001≦e≦1.0、かつ0.8≦d+e≦3.0、より好ましくは1.0≦d≦2.0、0.01≦e≦1.0、かつ1.5≦d+e≦2.5を満足する数である。)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。上記Rとしては、例えば、上記平均組成式(1)中のRと同様の基(ただし、アルケニル基を除く。)が挙げられる。
上記平均組成式(2)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CSiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
(b)成分の添加量は、(a)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1.0モル当たり、本(b)成分中のSiH基の量が0.1〜5.0モル、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モルとなる量である。該添加量が上記SiHの量が上記の範囲内となる量であると、上記付加硬化型シリコーン組成物の硬化が充分となりやすい。
・(c)成分:白金族金属系触媒
(c)成分の白金族金属系触媒は、(a)成分と(b)成分との付加硬化反応(ヒドロシリル化反応)を促進させるための触媒として使用される。(c)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。(c)成分としては、公知の白金族金属系触媒を用いることができるが、白金もしくは白金化合物を用いることが好ましい。(c)成分の具体例としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とオレフィン、アルデヒド、ビニルシロキサンまたはアセチレンアルコール類との錯体、白金とビニルシロキサンとの錯体が挙げられるが、その他の公知の付加硬化反応(ヒドロシリル化反応)用の白金族金属系触媒も使用できる。
(c)成分の添加量は、触媒としての有効量であり、希望する硬化速度に応じて適宜増減すればよいが、(a)成分に対して白金族金属に換算して質量基準で好ましくは0.1〜1,000ppm、より好ましくは1〜200ppmの範囲である。
・組成物の調製
付加硬化型シリコーン組成物は(a)〜(c)成分を常法に準じて混合することにより調製することができる。該組成物の室温における粘度は、該組成物の成形性、取り扱い性等の観点から、10〜200,000mPa・sであることが好ましく、50〜100,000mPa・sであることがより好ましい。
・組成物の硬化
付加硬化型シリコーン組成物の硬化は公知の方法により行うことができる。即ち、該組成物を室温で長時間放置するか、または加熱することにより、該組成物中で進行するヒドロシリル化反応により硬化する。
硬化速度は組成物の組成に依存するため、該含有量に応じて加熱温度の条件を適宜選択する。通常、室温〜300℃でよく、多くの場合50〜200℃でよい。硬化時間は、必要に応じて、1分〜3時間でよく、好ましくは3分〜2時間である。また、必要に応じて2次硬化を行ってもよく、その際の温度条件は、通常120℃以上でよく、多くの場合150℃〜250℃である。この際の硬化時間は通常10分〜48時間でよく、多くの場合30分〜24時間でよい。
<縮合硬化型シリコーン組成物>
縮合硬化型シリコーン組成物としては、例えば、
(α)下記平均組成式(3):
R3 mR4 n(OR5)p(OH)qSiO(4-m-n-p-q)/2 (3)
(式中、R3は独立に水素原子又はアリール基以外の、カルボニル基を含み若しくは含まない1価炭化水素基を示し、
R4はフェニル基を示し、
R5は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基を示し、
mは0.1≦m≦2を満たす数であり、
nは0≦n≦2を満たす数であり、
pは0≦p≦1.5を満たす数であり、
qは0≦q≦0.35を満たす数であり、
ただし、m+n+p+qは0.1≦m+n+p+q≦2.6を満たす数である。)
で表わされるシリコーン樹脂、
(β) 任意成分として、加水分解性シラン、その部分加水分解縮合物又はこれらの組み合わせ、および
(γ) 任意成分として、縮合反応触媒
を含有する組成物を挙げることができる。
・(α)成分:シリコーン樹脂
(α)成分として用いられるシリコーン樹脂は上記の平均組成式(3)で表されるシリコーン樹脂である。ここで、「シリコーン樹脂」とは、T単位(三官能性シロキサン単位)および/またはQ単位(四官能性シロキサン単位)を有するために三次元構造をとるオルガノポリシロキサンを意味し、場合によりM単位(一官能性シロキサン単位)および/またはD単位(二官能性シロキサン単位)を有していてもよい。
(α)成分として用いられるシリコーン樹脂は、少なくとも室温以下、特に少なくとも25℃以下において固体で、かつ40℃以上の軟化点、特に40〜100℃の軟化点を有することが好ましい。
次に、(α)成分を表す上記平均組成式(3)について説明する。
式中、R3は、好ましくは、独立に、水素原子、またはアリール基以外の、カルボニル基を含み若しくは含まない炭素原子数1〜8の1価炭化水素基である。R3の具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;アクリロイル基、メタクリロイル基等のアシル基が挙げられる。原料の入手の容易さの観点から、R3として特に水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基を好適に用いることができる。R3が水素原子の場合、シリコーン樹脂中に存在する反応性のSiH基は、前記の縮合硬化型シリコーン組成物に任意成分として添加される炭化ケイ素粉体の表面を、通常、覆っている酸化被膜(シリカ)との反応性を向上させる効果がある。
上記mは0.1≦m≦2を満たす数であり、mの上限は、好ましくは1.5以下であり、mの下限は、好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.5以上である。mの値がこの範囲内にあると、シリコーン樹脂の流動性が低くなりやすいので、比較的低温で任意成分の炭化ケイ素粉体との混合において均一化しやすく、また、硬化後の加熱処理によって得られる無機化物の質量が減少するのを低く抑えやすいので、省資源化を図りやすく、経済的にも有利となりやすい。
上記R4は、フェニル基であり、前記縮合硬化型シリコーン組成物に炭化ケイ素粉体を添加する場合には炭化ケイ素粉体との濡れ性の向上に役立つ。
上記nは0≦n≦2を満たす数であり、nの上限は、好ましくは1.5以下であり、nの下限は、好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上である。nの値がこの範囲内にあると、フェニル基の含有量が多くなりにくく、硬化後の加熱処理によって無機化物の質量が減少するのを低く抑えやすいので、省資源化を図りやすく、経済的にも有利となりやすい。
上記R5の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が工業的にも好ましく用いられる。R5の炭素原子数が4を超えると、OR5で表わされる基の反応性は低くなりやすく、硬化後の加熱処理によって無機化物の形状が変形する原因となる。
上記pは0≦p≦1.5を満たす数であり、pの上限は、好ましくは1.2以下であり、pの下限は、好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上である。pの値がこの範囲内にあると、シリコーン樹脂中のOR5で表わされる基の含有量が多くなりすぎず、シリコーン樹脂の分子量を高く維持しやすいので、硬化後の加熱処理時に材料からの炭素やケイ素の脱離、気化による損失を低く抑えやすい。
上記qは、0≦q≦0.35を満たす数であり、好ましくは0≦q≦0.3を満たす数であり、特に好ましくは0である。qは、製造上、シリコーン樹脂にわずかに残存するシラノール基の含有量を表わす。qの値がこの範囲内にあると、シラノール基の反応性はシリコーン樹脂全体として低く、シリコーン樹脂の保存安定性および作業性が向上しやすい。
m+n+p+qは、0.1≦m+n+p+q≦2.6を満たす数である。m+n+p+qがこの範囲内にあると、硬化後の加熱処理時に材料からの炭素やケイ素の脱離、気化による損失を低く抑えやすい。
シリコーン樹脂の分子量は、硬化後の加熱処理時に材料からの炭素やケイ素の脱離、気化による損失を低く抑えることができる限り、特に限定されるものではない。例えば、GPCにより測定したシリコーン樹脂の質量平均分子量は、ポリスチレン換算で好ましくは600以上、より好ましくは1,000〜10,000の範囲内である。
このようなシリコーン樹脂としては、上記条件を満たすものであれば、特に限定されない。(α)成分のシリコーン樹脂は、一種単独で用いても、分子構造や含まれるシロキサン単位の割合の異なる二種以上を併用してもよい。
このようなシリコーン樹脂は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、目的とするシリコーン樹脂の構造中に含まれるシロキサン単位の割合に応じて、相当するオルガノクロロシラン類を、場合により炭素原子数1〜4のアルコール存在下に共加水分解し、副生する塩酸および低沸点成分を除去することによって目的物を得ることができる。またアルコキシシラン類、シリコーンオイルや環状シロキサンを出発原料とする場合には、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸等の酸触媒を使用し、場合によって加水分解のための水を添加して、重合反応を進行させた後、使用した酸触媒や低沸点成分を同様に除去することによって目的とするシリコーン樹脂を得ることができる。
・(β)成分:加水分解性シラン、その部分加水分解縮合物又はこれらの組み合わせ
(β)成分の加水分解性シラン、その部分加水分解縮合物又はこれらの組み合わせは硬化剤として作用するが、任意成分であり必ずしも使用する必要はない。(β)成分は1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。(β)成分としては、1分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合加水分解性基を含有するシラン、その部分加水分解縮合物(即ち、少なくとも1個、好ましくは2個以上の加水分解性基が残存するオルガノポリシロキサン)又はこれらの組み合わせが好適に使用される。なお、本明細書において「加水分解性基」とは、水の作用により分解して水酸基を形成しうる基を意味する。
前記加水分解性シランとしては、例えば、式(4):
SiX4-f (4)
(式中、Rは非置換または置換の一価炭化水素基、Xは加水分解性基、fは0または1である。)
で表されるものが好ましく用いられる。前記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基が特に好ましく挙げられる。前記Xとしては、例えば、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基(即ち、イミノキシ基);メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;ビニロキシ基、イソプロペニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基等が挙げられる。
(β)成分の具体例としては、例えば、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルオルソシリケート等の加水分解性シラン;およびこれらの部分加水分解縮合物が挙げられる。
(β)成分の加水分解性シラン、その部分加水分解縮合物又はこれらの組み合わせを用いる場合、その添加量は、(α)成分のシリコーン樹脂100質量部に対して好ましくは0.01〜20質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部である。(β)成分を用いる場合、その添加量が上記範囲内にあると、本発明組成物の貯蔵安定性、接着性および硬化速度は特に良好である。
・(γ)成分:縮合反応触媒
(γ)成分の縮合反応触媒は任意成分であり必ずしも添加する必要はない。上記(β)成分の加水分解性シラン、その部分加水分解縮合物又はこれらの組み合わせが、例えば、アミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等を有する場合には使用しなくてもよい。(γ)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。(γ)成分の縮合反応触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等の有機チタンキレート化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラブチレート等の有機ジルコニウム化合物;ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ(2−エチルヘキサノエート)等の有機スズ化合物;ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;ヘキシルアミン、燐酸ドデシルアミン等のアミン化合物、およびその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩;酢酸カリウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;グアニジル基含有有機ケイ素化合物等が挙げられる。
(γ)成分の縮合反応触媒を用いる場合、その添加量は、特に制限されず、触媒としての有効量でよいが、(α)成分100質量部に対して好ましくは0.01〜20質量部、特に好ましくは0.1〜10質量部である。(γ)成分を用いる場合、その添加量が上記範囲内にあると、本発明組成物の硬化性および貯蔵安定性は特に良好である。
上記の縮合硬化型シリコーン組成物においては、(β)成分と(γ)成分は極力少なくすることが好ましく、使用しないことがより好ましい。即ち、好ましい縮合硬化型シリコーン組成物は、加熱処理の前後における成形体の形状および寸法の保持性が良好である点で、実質的に(α)成分のみ、もしくは、(α)成分および炭化ケイ素粉体のみからなる組成物である。なお、ここで、実質的に(α)成分のみ、もしくは、(α)成分および炭化ケイ素粉体のみからなるとは、不可避的に含まれる程度の微量のその他の成分の混入は許容され、有意な量の混入は除外される意味である。
・組成物の調製
縮合硬化型シリコーン組成物が(β)成分、(γ)成分および/または炭化ケイ素粉体を含有する場合、該組成物は、(α)成分を無溶剤の状態で、即ち、室温で液状の(α)成分をそのままの状態で、もしくは、室温で固体の(α)成分を加熱して溶融させ液状とした状態で、または、(α)成分を水に乳化させて水系エマルジョンとした状態で、または、(α)成分をトルエン、テトラヒドロフランなどの有機溶剤に溶解させて有機溶剤溶液とした状態で、(β)成分、(γ)成分および/または炭化ケイ素粉体と混合することにより、調製することができる。
室温で液状の(α)成分をそのまま無溶剤の状態で他の成分と混合する場合、(α)成分の25℃における粘度は、好ましくは1〜50,000mPa・s、より好ましくは10〜10,000mPa・sである。室温で固体の(α)成分を加熱して溶融させ液状とした状態で他の成分と混合する場合、加熱温度は、液状の(α)成分の粘度が好ましくは1〜50,000mPa・s、より好ましくは10〜10,000mPa・sとなるように設定される。(α)成分を水系エマルジョンまたは有機溶剤溶液とした状態で他の成分と混合する場合、該水系エマルジョンまたは該有機溶剤溶液は、25℃における粘度が好ましくは1〜50,000mPa・s、より好ましくは10〜10,000mPa・sとなるように調製される。
縮合硬化型シリコーン組成物が室温で液状である場合、該組成物の室温における粘度は、該組成物の成形性、取り扱い性等の観点から、10〜200,000mPa・sであることが好ましく、50〜100,000mPa・sであることがより好ましい。該組成物が室温で固体である場合、該組成物の成形性、取り扱い性等の観点から、加熱して溶融させ液状とした該組成物の粘度が好ましくは10〜200,000mPa・s、より好ましくは50〜100,000mPa・sとなるように加熱温度は設定される。
・組成物の硬化
縮合硬化型シリコーン組成物は、湿気(例えば、25〜90%RH、好ましくは50〜85%RH)を含む雰囲気中に放置すると、雰囲気中の水分により硬化する。該組成物の硬化を促進させるために、300℃以下(例えば、40〜300℃)の温度で加熱してもよい。また、必要に応じて2次硬化を行ってもよい。その際の温度条件は、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃〜250℃である。この際の硬化時間は好ましくは10分〜48時間、さらに好ましくは30分〜24時間である。
該シリコーン組成物が(α)成分および(β)成分を含み、(γ)成分の縮合反応触媒を含まない場合には、該組成物を加熱処理する。これにより該組成物中で縮合反応が進行し、該組成物は硬化する。硬化速度は該組成物中のシリコーン樹脂の含有量に依存するため、硬化時の温度条件は、該含有量に応じて適宜選択されるが、好ましくは100〜300℃、より好ましくは150〜250℃である。硬化時間は、1分〜3時間でよく、好ましくは3分〜2時間でよい。また、必要に応じて2次キュアを行ってもよく、その条件は上述したとおりである。
−シリコーン硬化物の無機化−
硬化性シリコーン組成物の硬化物は非酸化性雰囲気下で加熱処理に供され、シリコーンの無機化が起こる。
この加熱処理は非酸化性雰囲気下、好ましくは不活性ガス雰囲気下で行う。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられ、特に、高純度の炭化ケイ素を得るにはアルゴンガスが好ましい。
また、該加熱処理は1500℃を超え2600℃以下の範囲の温度で行われる。この加熱の温度は1600℃以上が好ましい。また、該加熱の温度は2100℃以下が好ましく、2000℃以下がより好ましい。したがって、典型的には、1600〜2100℃が好ましく、1600〜2000℃がより好ましい。この加熱処理により、まず、400〜1500℃の範囲の温度で、シリコーンに含まれる炭素−水素結合の開裂が起こり水素は材料から脱離するが、炭素およびケイ素は脱離せずに無機化が進行する。この温度範囲では、無機化により生じた無機セラミック物質中に酸素が多く残存するため、炭化ケイ素の生成は十分ではない。1500℃を超えると一酸化炭素の脱離が始まり、やがて炭化ケイ素となる。また2600℃を超えると炭化ケイ素の昇華が激しい。
また、加熱処理の完了点は、例えば加熱生成物を1800℃で1時間加熱しても質量減少が1質量%未満となった時である。
なお、硬化性シリコーン組成物を所要の形状および寸法に成形した後に硬化させて得られたシリコーン硬化物に対する加熱処理は、金型のような成形型の場合にはシリコーン硬化物を脱型した後行い、砂型の場合には脱型せずに行えばよい。
以下に、実施例及び参考例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例及び参考例に限定されるものではない。なお、本実施例及び参考例において、分子量は、GPCにより測定し、ポリスチレン換算した重量平均分子量である。また、加熱処理による生成物中の構成元素の平均元素比を単に「元素比」といい、元素組成式:SiCg(式中、gは0以上の数である。)で表わす。この元素組成式は、前記生成物中のケイ素および炭素の平均元素比が1:gであることを表わす。更に、「Me」はメチル基を表わす。
参考例1]
シリコーン成分として下記(A)および(B)成分、そして白金族金属系触媒として下記(C)成分をそれぞれ下記に示す量で使用した。
・(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を有する、下記の平均式(5)で表されるジオルガノポリシロキサン 55質量部
Figure 0005477445
・(B)ケイ素原子に結合した水素原子を有する、下記の平均式(6)で表されるジオルガノポリシロキサン 45質量部((A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基1.0モル当たり、本(B)成分中のSiH基の量は1.0モルである)
Figure 0005477445
(一分子中の全ケイ素原子に対するSiH基のモル比:0.625)
・(C)白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金元素含有量0.5質量%) (A)成分に対して白金元素に換算して質量基準で50ppmとなる量
上記の(A)および(B)成分をプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製混合機の登録商標)に投入し、室温にて1時間攪拌し、その後、(C)成分を投入し、室温にて30分攪拌し、室温における粘度50mPa・sの硬化性シリコーン組成物を得た。この硬化性シリコーン組成物を80℃にて1時間加熱して硬化させた。
得られたシリコーン硬化物を炭素でできた容器に入れ、雰囲気炉内で、アルゴンガス雰囲気下、100℃/時間の昇温速度で18時間かけて温度を1800℃まで高め、1800℃で2時間保持した後、室温まで冷却し、黄緑色の固体を得た。この黄緑色の固体をLECO社製の分析装置CS-444LS(商品名)による炭素分析にかけたところ、炭素の質量比は30.3質量%であった。また、この黄緑色の固体をLECO社製の分析装置TC436(商品名)による酸素分析にかけたところ、酸素の質量比は0.2質量%以下であった。上記の黄緑色の固体の元素比をFE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)のEDX分析(エネルギー分散X線分析)により測定したところ、SiC1.02であった。更に、上記の黄緑色の固体をX線回折法により測定したところ、図1(a)に示すX線回折スペクトルが得られた。このスペクトルのピークデータ(図1(b))をβ型炭化ケイ素結晶のX線回折スペクトルのピークデータ(図1(c))と比較したところ、両者はよく一致し、上記の黄緑色の固体はβ型炭化ケイ素結晶からなることが確認された。
[実施例
シロキサン単位としてMeSiO3/2単位のみを含み、5質量%の水酸基を有するシリコーン樹脂(分子量:1000、平均組成式:Me(OH)0.2SiO1.3、軟化点65℃)100質量部をアルミシャーレに入れ、200℃で1時間加熱して硬化させた。得られたシリコーン硬化物を参考例1と同様にして加熱処理し、黄緑色の固体を得た。この黄緑色の固体に対して参考例1と同様の分析にかけたところ、炭素の質量比は30.4質量%であり、酸素の質量比は0.2質量%以下であり、元素比はSiC1.02であった。
参考例2
参考例1で用いた(A)〜(C)成分および炭化ケイ素粉体として下記(D)成分をそれぞれ下記に示す量で使用した。
・(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を有する、上記の平均式(5)で表されるジオルガノポリシロキサン 55質量部
・(B)ケイ素原子に結合した水素原子を有する、上記の平均式(6)で表されるジオルガノポリシロキサン 45質量部
・(C)白金−ジビニルテトラメリルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金元素含有量0.5質量%) (A)成分と(B)成分の合計量に対し0.15質量%となる量
・(D)参考例1の黄緑色の固体をボールミルを用いて粉砕することにより得られた炭化ケイ素粉体(体積基準の平均粒径:10μm) 327質量部(この量は、室温において該炭化ケイ素粉体が該シリコーン組成物全体の50体積%となる量に該当する)
上記の(A)、(B)および(D)成分をプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製混合機の登録商標)に投入し、室温にて1時間攪拌し、その後、(C)成分を投入し、室温にて30分攪拌し、室温における粘度3,000mPa・sの硬化性シリコーン組成物を得た。130mm×190mmの開口部を持つ厚み4mmのスクリーンマスクに、上記で得られた組成物75gを流し込んだ。その後、空気中、125℃で1時間加熱して、シリコーン硬化物を得た。スクリーンマスクから脱型した後、このシリコーン硬化物を参考例1と同様にして加熱処理し、黄緑色の固体(寸法:130mm×190mm×4mm)を得た。この黄緑色の固体に対して参考例1と同様の分析にかけたところ、炭素の質量比は30.3質量%であり、酸素の質量比は0.2質量%以下であり、元素比はSiC1.02であった。

Claims (4)

  1. (α)下記平均組成式(3):
    R 3 m R 4 n (OR 5 ) p (OH) q SiO (4-m-n-p-q)/2 (3)
    (式中、R3は独立に水素原子又はアリール基以外の、カルボニル基を含み若しくは含まない1価炭化水素基を示し、
    R 4 はフェニル基を示し、
    R5は炭素原子数1〜4の1価炭化水素基を示し、
    mは0.1≦m≦2を満たす数であり、
    nは0であり、
    pは0≦p≦1.5を満たす数であり、
    qは0≦q≦0.35を満たす数であり、
    ただし、m+n+p+qは0.1≦m+n+p+q≦2.6を満たす数である。)
    で表わされるシリコーン樹
    から成る縮合硬化型シリコーン組成物を所要の形状および寸法に成形した後に硬化させて得られた硬化物を、非酸化性雰囲気下、1500℃を超え2600℃以下の温度において加熱することを含む、所要の形状および寸法に形成された状態の炭化ケイ素成形体の製造方法。
  2. 前記平均組成式(3)中のR3がメチル基を示す、請求項1に記載の製造方法。
  3. (α)シリコーン樹脂がT単位を含む三次元構造を有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記平均組成式(3)中のpが0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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