JP2008081248A - ウエブとローラの摩擦力算出方法、および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】正確且つ簡単にウエブとローラの摩擦力を把握する。
【解決手段】ドライバ21、22により、ウエブ11の搬送速度Vを一定として、ウエブに対して正負の二点で一定のスリップ率S+、S−を与えるような回転速度V0でテストローラ17を回転させる。そして、このときのテストローラ17上下流におけるウエブ11のテンション差ΔT+、ΔT−をテンションピックアップ15a、15bで測定する。(X、Y)=(S+、ΔT+)および(S−、|ΔT−|)の二点を通る直線LのY切片bを、搬送速度Vと回転速度V0が同じときの摩擦力として、算出回路27で算出する。
【選択図】図4
【解決手段】ドライバ21、22により、ウエブ11の搬送速度Vを一定として、ウエブに対して正負の二点で一定のスリップ率S+、S−を与えるような回転速度V0でテストローラ17を回転させる。そして、このときのテストローラ17上下流におけるウエブ11のテンション差ΔT+、ΔT−をテンションピックアップ15a、15bで測定する。(X、Y)=(S+、ΔT+)および(S−、|ΔT−|)の二点を通る直線LのY切片bを、搬送速度Vと回転速度V0が同じときの摩擦力として、算出回路27で算出する。
【選択図】図4
Description
本発明は、ウエブとこれを搬送するローラとの摩擦力を算出する方法、および装置に関する。
磁気テープや写真フィルムの製造設備では、コイル状に巻き回した原反ロールからウエブを連続的に繰り出しながら、所定の厚さの磁性塗膜あるいは感光塗膜をウエブの一方の表面に塗着させて乾燥させた後、再度コイル状に巻き取っている。このような製造設備には、ウエブを搬送するためのローラが多数設けられている。
近年、磁気テープや写真フィルムを用いる装置の小型化に伴って、ウエブの薄手化、および平滑化が促進されている。このため、ローラによる搬送中に、ウエブに擦り傷や引きつれしわ、ローラ跡が残るいわゆる面写りなどが発生することがあり、製品歩留りが悪くなるという問題があった。この問題を解決するために、ローラ本体の周面に微細な平坦部と凹部とを設け、凹部の深さを平均で5μm以上50μm以下とし、平坦部の占有面積率を50%以上70%以下としたウエブ案内ローラが提案されている(特許文献1参照)。
特開2003−146505号公報
ウエブの擦り傷や引きつれしわ、面写りなどの問題に正しく対処するためには、ウエブとローラの摩擦力を把握することが先決である。ウエブとローラの摩擦力を把握し、これにしたがって設備設計を行えば、擦り傷や引きつれしわ、面写りなどの発生を抑制することができる。
従来、ローラの摩擦力を把握する方法としては、外力を強制的に加えてウエブに対してローラをスリップさせ、このときのローラ上下流におけるウエブのテンション差ΔTより摩擦力を算出する方法と、ウエブの搬送中に回転方向と逆のトルクをローラに徐々に与えていき、ローラがスリップしたときのトルク値、あるいはローラ上下流におけるウエブのテンション差ΔTより摩擦力を算出する方法とがある。
しかしながら、前者の方法では、ウエブの搬送速度とローラの回転速度が異なるため、ウエブとローラの摩擦現象で支配的な境界潤滑の状態が変化し、ウエブの搬送速度とローラの回転速度が同じとき(ウエブに対するローラのスリップ率が0%のとき)の、本来求めるべき摩擦力(以下、真の摩擦力と表現する。)を得ることができない。
一方、後者の方法では、真の摩擦力を測定することはできるが、例えば、ウエブの幅が180mmと狭く、搬送速度が300m/minと高速で、ローラのラップ角が小さい場合など、ローラの摩擦力が比較的小さい場合には、スリップした瞬間を同定することが極めて困難であるという問題があった。また、両者の方法とも、スリップによりウエブに傷が付き、これにより発生した微粉塵がローラに付着して、摩擦力の測定値に誤差が生じるという問題があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、正確且つ簡単にウエブとローラの摩擦力を把握することができるウエブとローラの摩擦力算出方法、および装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ウエブとこれを搬送するローラとの摩擦力を算出する方法であって、前記ウエブの搬送速度を一定として、前記ウエブに対して正負の二点で一定のスリップ率S+、S−を与えるような回転速度で前記ローラを回転させ、このときの前記ローラ上下流における前記ウエブのテンション差ΔT+、ΔT−を測定し、(X、Y)=(S+、ΔT+)および(S−、|ΔT−|)の二点を通る直線のY切片を、前記摩擦力として算出することを特徴とする。
前記スリップ率S+、S−は、−5%〜5%の範囲内であることが好ましい。前記スリップ率S+、S−は、±1.5%であることが好ましい。
前記ウエブの幅は、100mm〜3000mmの範囲内であることが好ましい。
前記搬送速度は、20m/min〜300m/minの範囲内であることが好ましい。
前記ウエブに対する前記ローラのラップ角は、1°〜180°の範囲内であることが好ましい。
前記ウエブは、セルローストリアセテートから形成されるTACフィルムであることが好ましい。
また、本発明は、ウエブとこれを搬送するローラとの摩擦力を算出する装置であって、前記ウエブの搬送速度を一定として、前記ウエブに対して正負の二点で一定のスリップ率S+、S−を与えるような回転速度で前記ローラを回転させる駆動制御手段と、スリップ率S+、S−のときの前記ローラ上下流における前記ウエブのテンション差ΔT+、ΔT−を測定するテンション測定手段と、(X、Y)=(S+、ΔT+)および(S−、|ΔT−|)の二点を通る直線のY切片を、前記摩擦力として算出する算出手段とを備えることを特徴とする。
本発明のウエブとローラの摩擦力算出方法、および装置によれば、駆動制御手段により、ウエブの搬送速度を一定として、ウエブに対して正負の二点で一定のスリップ率S+、S−を与えるような回転速度でローラを回転させ、このときのローラ上下流におけるウエブのテンション差ΔT+、ΔT−をテンション測定手段で測定し、算出手段により、(X、Y)=(S+、ΔT+)および(S−、|ΔT−|)の二点を通る直線のY切片を、ウエブの搬送速度とローラの回転速度が同じときの真の摩擦力として算出するので、正確且つ簡単にウエブとローラの摩擦力を把握することができる。これにより、ウエブの擦り傷や引きつれしわ、面写りなどの抑制に寄与することができる。
図1において、本発明を実施するための摩擦力測定装置(RTS(Roller Test Stand)装置。以下、測定装置と略記する。)2は、コイル状に巻き回した原反ロール10からウエブ11を連続的に繰り出す繰り出し部12と、ウエブ11をニップして、一定の搬送速度Vで搬送する駆動ローラ13と、ウエブ11の弛みを吸収するダンサーローラ14と、ウエブ11のテンションを測定するテンションピックアップ(以下、TPと略記する。)15a、15bと、ウエブ11を再度コイル状に巻き取る巻き取り部16とを備えている。測定装置2の各部材は、摩擦力を算出するローラ(以下、テストローラという。)17に関して、ウエブ11の搬送路が略対称となるように配されている。なお、符号18は、搬送路に沿ってウエブ11を搬送するためのガイドローラである。
ウエブ11は、例えば、幅100〜3000mm、長さ100〜5000m、厚さ5〜200μm、表面粗さRa=1nm以上100nm以下のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドなどのプラスチックフィルム;紙;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンブテン重合体などの炭素数が2〜10もα−ポリオレフィン類を塗布またはラミネートした紙;アルミニウム、銅、錫などの金属箔;などからなる可撓性帯状支持体、あるいはその表面に感光塗膜などの活性層が形成されたものを含む。テストローラ17は、例えば、磁性塗膜あるいは感光塗膜をウエブ11の一方の表面に塗着させた後のラインに配され、ウエブ11の表面または裏面に接触してこれを搬送するものである。
図2において、コントローラ20は、測定装置2全体の動作を統括的に制御する。コントローラ20には、ドライバ21、22が接続されている。ドライバ21、22は、コントローラ20の制御の下に、駆動ローラ13、およびテストローラ17を回転駆動するためのモータ23、24の動作を制御する。
モータ23、24には、速度検出器25、26が接続されている。速度検出器25、26は、例えば、モータ23、24の回転数をカウントするロータリーエンコーダなどから構成される。速度検出器25は、駆動ローラ13によるウエブ11の搬送速度Vを検出する。速度検出器26は、テストローラ17の回転速度V0を検出する。速度検出器25、26は、各々の検出結果をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、速度検出器25、26から入力された検出結果に基づいて、ドライバ21、22を制御する。
算出回路27は、詳しくは後述するように、ウエブ11に対するテストローラ17のスリップ率Sや、テストローラ17の上下流におけるウエブ11のテンション差ΔT、テストローラ17の真の摩擦力bを算出する。
測定装置2では、ウエブ11の搬送速度Vを一定として、テストローラ17の回転速度V0を変更する。つまり、ウエブ11に対するテストローラ17のスリップ率S(S=V−V0/V)を変更する。そして、TP15a、15bでウエブ11のテンションを測定する。この測定結果から、テストローラ17の上下流におけるウエブ11のテンション差ΔT(TP15bの測定値TbからTP15aの測定値Taを減算した値)を求めることができる。
図3に、ウエブ11にトリアセチルセルロースを用い、搬送速度V=100m/min、ウエブ11に対するテストローラ17のラップ角30°として、測定装置2でスリップ率Sを変更してテンション差ΔTを測定した結果の一例を示す。ここで、(A)は磁性塗膜あるいは感光塗膜が塗着されたウエブ11の塗工面側、(B)は反塗工面側をテストローラ17に接触させて測定した場合の測定結果をそれぞれ示す。また、凡例の○、□は、テストローラ17の表面形状を変えたときの実測値をそれぞれ示し、点線は実測値を近似した曲線を示す。なお、スリップ率Sが負のときは、テンション差ΔTは実際には負の値となるが、ここでは絶対値で示している。
図3において、テンション差ΔTは、スリップ率Sが0〜1%の区間で急激に増加し、その後漸増している。また、スリップ率Sが0〜−2%の区間で急激に減少し、その後漸増している。スリップ率Sが0〜1%の区間でテンション差ΔTが急激に増加するのは、ウエブ11とテストローラ17との間の空気層厚の減少が主因であると考えられる。また、スリップ率Sが0〜−2%の区間でテンション差ΔTが急激に減少するのは、空気層厚の増大が主因であると考えられる。
上記の考察、および空気層厚に不連続点が存在しないことから、本来求めるべきテストローラ17の真の摩擦力は、スリップ率Sの正負の領域で漸増している区間のテンション差ΔTの実測値を結ぶ直線L(実線で示す。)が、テンション差ΔTを表す縦軸と交わる点であると言うことができる。すなわち、適当なスリップ率Sの正負の二点S+、S−でテンション差ΔT+、ΔT−を測定し、(X、Y)=(S+、ΔT+)および(S−、|ΔT−|)の二点を通る直線のY切片を算出すれば、真の摩擦力を得ることができる。
ここで、スリップ率S+、S−としては、スリップ率Sの正負の領域で漸増している区間のテンション差ΔTの実測値を、直線Lで近似することが可能な最小値であることが好ましい。また、テストローラ17の振れ、速度検出器25、26、TP15a、15bの検出精度、測定装置2自体の機械精度(測定装置2におけるウエブ11の搬送速度ムラなど)の諸因子を加味すると、あまり小さな値は好ましくない。加えて、低速から高速の幅広い範囲(例えば、20m/min〜300m/min)の搬送速度Vでの測定を可能にすることが必要である。これらの条件を総合すると、スリップ率S+、S−は、−5%〜5%の範囲が好ましく、図3の測定結果も併せて考慮すると、±1.5%を採用することがより好ましい。また、ウエブ11に対するテストローラ17のラップ角は、1°〜180°の範囲が好ましい。
次に、図4を参照して、本発明の摩擦力算出方法の手順を説明する。まず、測定装置2にて、コントローラ20の制御の下に、ドライバ21を介してモータ23を動作させ、一定の搬送速度Vで駆動ローラ13によりウエブ11を搬送路に沿って搬送する。また、ドライバ22を介してモータ24を動作させ、スリップ率Sが±1.5%となるようにテストローラ17を回転させる。そして、このときのテストローラ17上下流におけるウエブ11のテンションをTP15a、15bで測定する。これにより、図4(1)に示すように、この測定結果から、スリップ率S+、S−=±1.5%のときのテンション差ΔT+、ΔT−が算出回路27で算出される。
次に、(2)に示すように、スリップ率S−=−1.5%におけるテンション差ΔT−を絶対値化する。そして、(3)に示すように、(X、Y)=(S+、ΔT+)および(S−、|ΔT−|)の二点を通る直線LのY切片bが算出回路27で算出され、真の摩擦力を得る。算出回路27で算出された真の摩擦力は、コントローラ20に接続されたモニタやプリンタなどの外部出力装置(図示せず)に出力される。
以上説明したように、本発明の摩擦力算出方法、および装置によれば、二点のスリップ率S+、S−でテンション差ΔT+、ΔT−をそれぞれ測定し、これらの値を用いて算出回路27で簡単な計算を行うだけで、真の摩擦力を得ることができる。このため、測定に掛かる時間が短くて済み、スリップによりウエブ11に傷が付くことも少なくなる。したがって、ウエブ11が傷付いて発生した微粉塵がテストローラ17に付着して、摩擦力の測定値に誤差が生じることがない。
ウエブの搬送中に回転方向と逆のトルクをローラに徐々に与えて摩擦力を算出する従来の方法では、ローラの摩擦力が比較的小さい場合に、スリップした瞬間を同定することが困難であるが、本発明の摩擦力算出方法によれば、ローラの摩擦力が比較的小さい場合でも、確実に真の摩擦力を得ることができる。
また、図3において、直線LのY切片は、スリップ率S=0.5〜1.0%のときのテンション差ΔTと略一致している。したがって、本発明は、搬送速度Vの全測定範囲に対して、スリップ率S=0.5〜1.0%のときの摩擦力を算出することが可能な方法であると換言することもできる。
2 摩擦力測定装置(測定装置)
11 ウエブ
15a、15b テンションピックアップ(TP)
17 テストローラ
20 コントローラ
21、22 ドライバ
27 算出回路
11 ウエブ
15a、15b テンションピックアップ(TP)
17 テストローラ
20 コントローラ
21、22 ドライバ
27 算出回路
Claims (8)
- ウエブとこれを搬送するローラとの摩擦力を算出する方法であって、
前記ウエブの搬送速度を一定として、前記ウエブに対して正負の二点で一定のスリップ率S+、S−を与えるような回転速度で前記ローラを回転させ、このときの前記ローラ上下流における前記ウエブのテンション差ΔT+、ΔT−を測定し、
(X、Y)=(S+、ΔT+)および(S−、|ΔT−|)の二点を通る直線のY切片を、前記摩擦力として算出することを特徴とするウエブとローラの摩擦力算出方法。 - 前記スリップ率S+、S−は、−5%〜5%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のウエブとローラの摩擦力算出方法。
- 前記スリップ率S+、S−は、±1.5%であることを特徴とする請求項1または2に記載のウエブとローラの摩擦力算出方法。
- 前記ウエブの幅は、100mm〜3000mmの範囲内であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のウエブとローラの摩擦力算出方法。
- 前記搬送速度は、20m/min〜300m/minの範囲内であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のウエブとローラの摩擦力算出方法。
- 前記ウエブに対する前記ローラのラップ角は、1°〜180°の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のウエブとローラの摩擦力算出方法。
- 前記ウエブは、セルローストリアセテートから形成されるTACフィルムであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のウエブとローラの摩擦力算出方法。
- ウエブとこれを搬送するローラとの摩擦力を算出する装置であって、
前記ウエブの搬送速度を一定として、前記ウエブに対して正負の二点で一定のスリップ率S+、S−を与えるような回転速度で前記ローラを回転させる駆動制御手段と、
スリップ率S+、S−のときの前記ローラ上下流における前記ウエブのテンション差ΔT+、ΔT−を測定するテンション測定手段と、
(X、Y)=(S+、ΔT+)および(S−、|ΔT−|)の二点を通る直線のY切片を、前記摩擦力として算出する算出手段とを備えることを特徴とするウエブとローラの摩擦力算出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006262673A JP2008081248A (ja) | 2006-09-27 | 2006-09-27 | ウエブとローラの摩擦力算出方法、および装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8780484B2 (en) | 2012-08-30 | 2014-07-15 | International Business Machines Corporation | Tape friction measurement |
-
2006
- 2006-09-27 JP JP2006262673A patent/JP2008081248A/ja active Pending
Cited By (2)
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US8780484B2 (en) | 2012-08-30 | 2014-07-15 | International Business Machines Corporation | Tape friction measurement |
US9064533B2 (en) | 2012-08-30 | 2015-06-23 | International Business Machines Corporation | Tape friction measurement |
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