JP2008080028A - 衛生用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】液分に対し優れた吸収性を示し、もって拭き取り性にも優れ、使用後のべたつきがなくまたは抑制し、かつ液分の裏抜けを防止または抑制できるものとする。
【解決手段】パルプを原料として、高吸収剤及び制汗剤が含有されている衛生用紙である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンタオル等の衛生用紙に係り、詳しくは使用者の汗や油分、あるいは鼻水に対し吸収効果の高い衛生用紙に関する。
従来、衛生用紙として、ティッシュペーパー等が市場に多く提供されている。この種の衛生薄葉紙は、例えば風邪などの際に鼻をかんだり、排便の際に汚物を拭き取ったり、化粧落しなどに使用されていることはもちろんであるが、この他にもかなりの割合で、ふきんの代わりとしてテーブルや床などにこぼした液体の拭き取りにも使用されている。
しかし、これまで使用されてきた衛生用紙は、肌触り感を向上させることに重点を置いて開発されており、吸収(以下断りのない限り、油分や鼻水などの吸収性も含む)性については、パルプ繊維の高い吸収性に頼る傾向にある。
しかし、大量の鼻水などの場合、吸収した水分が裏抜けしてしまうことがあり、これが手に付着したり、強度が弱いために水分を若干多めに吸収しただけでシートが破れてしまう(湿潤紙力が低い)ことが多く使用者に不快感を与えていた。この場合に米坪を上げたり、ラミネート加工する等してシートの強度を向上させることは行われていたが、この方法の場合にはコストが余計にかかってしまううえ、シートの柔軟性が損なわれるので使用感が悪くなるため好ましくない。
上記問題点に鑑み、撥水剤を含有させることによりコストを掛けずに裏抜けを少なくした技術が提案されている。例えば特許文献1では、第1セルロースプライと、第2セルロースプライとを含み、これら各セルロースプライの合わせ面部分に撥水剤(サイズ剤、疎水性化学物質)を印刷又はスプレー塗布したトイレットティッシュ又は前記各セルロースプライの間に撥水剤層を介在させたトイレットティッシュが提案されている。
しかしながら、上記特許文献1記載のトイレットティッシュ製品では撥水剤による層が中間層として形成されているものであるため、この撥水剤中間層に水分がそのまま残存し、製品がベタ付き易いという問題があった。また、撥水剤を多く添加すると吸収性が損なわれて製品本来の機能を果たせなくなる虞がある。
そこで、特許文献2には、第4級アンモニウム塩又はサイズ剤を添加することで、衛生薄葉紙として機能し得る程度の吸収性を維持しつつ、ムラ無く水分の裏抜けを低減しようとするものが提案されている。
しかし、その効果は限られたものであり、大量の鼻水などの液分には対応できない。
特表2002−519533号公報 特開2006−42881号公報
そこで本発明の主たる課題は、液分に対し優れた吸収性(もって拭き取り性にも優れることになる)を示し、使用後のべたつきがなくまたは抑制し、かつ液分の裏抜けを防止または抑制できる衛生用紙を提供することにある。
他の課題は、化粧落しなどに使用したときにおいて、制汗剤(発汗抑制剤)が肌に触れることにより、べたつき感を低減でき、特に2枚目以降の使用の際にその効果が高く、高吸収剤の吸収効果と相まって、べたつき感がなくむしろさらさらした感じを与え得る衛生用紙を提供することにある。
前記課題を解決した本発明は次掲のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
パルプを原料として、高吸収剤が含有されていることを特徴とする衛生用紙。
(作用効果)
本発明における「高吸収剤」としては、液分(特に水分)を吸収膨潤して、体積のたとえば数十倍以上吸収する機能を有する材料をいう。これは、紙おむつに分野において使用されているものをそのまま、あるいはより微粉末化した状態で使用できる。その例示は、周知のように、変性カルボキシメチルセルロース、自己架橋ポリアクリル酸塩及び澱粉グラフト共重合体の群から選ばれたものを例示できる。
したがって、液分が高吸収剤と接触するとその内部に取り込まれるので、使用面においてべたつき感を低減できる。また、用紙を拭き取り用に使用した場合、液分を速やかに吸収体するから、拭き取り性にも優れることになる。しかも、大量の液分と接触した場合においても、液分の裏抜けを防止または抑制できるのである。
<請求項2項記載の発明>
パルプを原料として、高吸収剤及び制汗剤が含有されていることを特徴とする衛生用紙。
(作用効果)
制汗剤は、発汗抑制剤(あるいは耐汗剤)とも呼ばれる。この制汗剤が少なくとも表面または表面近傍に存在させると、用紙を化粧落しなどに使用したときにおいて、制汗剤が肌に触れることにより、肌からの発汗抑制効果を発揮し、べたつき感を低減でき、特に2枚目以降の使用の際にその効果が高いものとなる。さらに、高吸収剤の吸収効果と相まって、べたつき感がなくむしろさらさらした感じを与え得るものとなる。
<請求項3項記載の発明>
前記高吸収剤がプライ間に介在している請求項1または2記載の衛生用紙。
(作用効果)
高吸収剤は、粉末または微粉末であり、また水などに分散することも適していないので、粉末または微粉末の状態で、プライ間に介在させることが望ましい。高吸収剤を用紙外表面に分散させる場合に比較して、この形態によると、高吸収剤の飛散(分散)を防止できる。
<請求項4項記載の発明>
前記高吸収剤が、変性カルボキシメチルセルロース、自己架橋ポリアクリル酸塩及び澱粉グラフト共重合体の群から選ばれた一種または二種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生用紙。
<請求項5項記載の発明>
前記制汗剤が、塩化ヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムフェノールスルホン酸、タンニン酸、アルミニウムナフタリンスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウム、ジルコニウム塩、塩化ヒドロキシジルコニウム、アルミニウム−ジルコニウム複合塩、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、p−フェノールスルホン酸亜鉛、銀化合物、銅化合物及びカリウム化合物から群から選ばれた一種または二種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生用紙。
以上のとおり本発明によれば、液分に対し優れた吸収性を示し、もって拭き取り性にも優れ、使用後のべたつきがなくまたは抑制し、かつ液分の裏抜けを防止または抑制できる。
また、化粧落しなどに使用したときにおいて、制汗剤(発汗抑制剤)が肌に触れることにより、べたつき感を低減でき、特に2枚目以降の使用の際にその効果が高く、高吸収剤の吸収効果と相まって、べたつき感がなくむしろさらさらした感じを与え得るものとなる。
以下、本発明の実施形態について詳説する。
本発明の薄葉紙の原紙としては、公知のものを限定無く用いることができるが、特にパルプ原料におけるNBKP配合率(JIS P 8120)が30.0〜80.0%、特に40.0〜70.0%であるものが好適である。米坪(JIS P 8124)は、1プライ当たり10.0〜35.0g/m2が望ましい。紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は2プライ(2枚重ね)で100〜300μm、1プライの場合はその半分であるのが望ましい。クレープ率(((製紙時のドライヤーの周速)−(リール周速))/(製紙時のドライヤーの周速)×100)は15.0〜26.0が望ましい。
本発明の原紙としては、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)が、2プライで縦方向130cN/25mm以上、特に280〜310cN/25mm、横方向40cN/25mm以上、特に60〜100cN/25mmのものを用いるのが好ましく、1プライの場合はその半分であるのが望ましい。原紙の乾燥紙力が低過ぎると、製造時に破れや伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、紙力剤を内添(ドライヤーパートよりも前の段階、例えばパルプスラリーに添加)する、パルプのフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、NBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の手法を適宜数組み合わせることができる。
紙力としては湿潤紙力を確保することが重要であり、この湿潤紙力剤としては、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。
原紙には、柔軟剤、保湿剤、油性成分などを含有させることができる。
これらの添加成分を含む薬液量としては、原紙に対して5〜35重量%が望ましい。特に好ましい範囲は20〜30重量%である。薬液含有量が少な過ぎると効果が乏しくなるだけでなく、原紙に対する塗布量が安定しなくなり、多過ぎるとべとつくようになり、さらさら感や滑らか感が阻害される。薬液を含有させるための方法としては、スプレー塗布、ロール塗布、浸漬等、公知の付与方法を用いることができる。
前記薬液は、60〜100重量%程度、特に80〜95重量%程度の有効成分と、0〜40重量%程度、特に5〜20重量%程度の水分等の非有効成分とで構成することができる。
本発明では、高吸収剤を含有させる。この高吸収剤としては、変性カルボキシメチルセルロース、自己架橋ポリアクリル酸塩及び澱粉グラフト共重合体の群から選ばれた一種または二種以上であるものを代表例として挙げることができるが、その他、公知のものも当然に使用できる。
高吸収剤は、衛生用紙が複数プライからなり、それらのプライは適宜の部分で接合されるので、高吸収剤をプライ間に介在させるのが望ましい。高吸収剤は原紙に対して、0.5重量%〜15重量%含有させるのが望ましい(前記薬液の有効成分中、0.1重量%〜35重量%)。少ないと効果がでないし、過度に多いと、使用時においてざらつき感を生じさせとともに、吸収によって膨潤が過度に多くなる。
高吸収剤の平均粒径は、3〜15μm(特に望ましくは5〜10μm)が望ましい。高吸収剤の粒径が小さ過ぎてもさらさら感は担保されるが、紙繊維からの離脱量が多く、また高吸収剤が毛穴に入り肌トラブルの原因となるおそれがある。反対に粒径が15μmを超えて大き過ぎると滑らか感の向上効果が低下する。
本発明において、高吸収剤と共に、耐汗剤(発汗抑制剤)を併用することが特に好ましい。この制汗剤としては、塩化ヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムフェノールスルホン酸、タンニン酸、アルミニウムナフタリンスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウム、ジルコニウム塩、塩化ヒドロキシジルコニウム、アルミニウム−ジルコニウム複合塩、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、p−フェノールスルホン酸亜鉛、銀化合物、銅化合物及びカリウム化合物から群から選ばれた一種または二種以上を使用できる。他の公知の制汗剤も使用できる。
制汗剤は原紙に対して、0.5重量%〜20重量%含有させるのが望ましい(前記薬液の有効成分中、0.1重量%〜50重量%)。少ないと効果がでないし、過度に多いと、安定配合することが困難で、使用時に皮膚上での白化も引き起こしやすくなり、使用感が低下する。
この制汗剤は、前記薬液中に分散させるほか、スプレー塗布、ロール塗布、浸漬等、公知の付与方法によって原紙に含有させることができる。
前記制汗剤は消臭効果も生じる。
必要により、用紙表面に他のパウダーを含有させることができ、その例としては、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機物粉体や、金属石鹸(ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等)、コーンスターチ、小麦粉、米デンプン、馬鈴薯澱粉、小麦粉タンパク質等の有機物粉体を単独または複数種組み合わせて用いることができる。このうち、タルクや澱粉がさらさら感を与えるのに最適であり、例示の他のパウダーではさらさら感の効果が顕著でない。
本発明において有効成分の主成分として、他に保湿剤を含有させることができる。保湿剤としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類、グルコール系薬剤およびその誘導体、セタノール(セチルアルコール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール、流動パラフィン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せで用いることができる。保湿剤は、パウダーを除いた主成分中60〜80重量%、特に65〜75重量%含有するのが好ましい。
保湿剤として、グリセリンを採用して、主成分中60〜80重量%含有させるのが特に望ましい。
他に有効な保湿剤としては、流動パラフィンがあるが、その量は保湿成分中に10%以下、特に0.5〜5%とするのが望ましい。
さらに、保湿剤として、前掲中のうち炭素数14〜24(18〜22がより好ましい)の直鎖又は分岐鎖(直鎖が好ましい)のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールが有効である。好ましくは、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられ、また、セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物であるセトステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールの混合物が挙げられる。特に、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。この脂肪族アルコールの添加量としては、保湿成分中に10%以下、特に0.5〜5%とするのが望ましい。
また、他の有効成分として、薬液中に油性成分、乳化成分、抗カビ成分、消泡成分などを含有させることができる。これらの成分としては、5重量%以下が望ましい。特に油性成分が多過ぎるとべたつき感が増し、乳化成分が多過ぎると泡立ち易くなるため、風合いの悪化や操業性の悪化という問題がある。
油性成分としては、ワセリン等の石油若しくは鉱物油由来成分、ミンク油やラノリン油、スクワラン等の動物油由来成分、オリーブ油、ホホバ油、ローズヒップ油、アーモンド油、ユーカリ油、アボカド油、ツバキ油、大豆油、サフラワー油、ゴマ油、月見草油、ひまわり油等の植物由来成分、アルキルメチルシリコーン等のシリコーン油、流動パラフィンを用いることができる。特に流動パラフィンは好適である。
さて、本発明においては紙用柔軟剤を使用する。紙用柔軟剤としては、有効成分中の主成分中に3〜18重量%使用するのが望ましい。
この紙用柔軟剤としては、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤および両性イオン界面活性剤のなかから適宜選択して用いることができる。また、これらは消泡効果を示しエマルジョン安定性の点にも寄与する。
アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸塩系、スルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、燐酸エステル塩系などを用いることができる。特にアルキル燐酸エステル塩が好ましい。
非イオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート、プロピレングリコールモノステアレートなどの多価アルコールモノ脂肪酸エステル、N−(3−オレイロシキ−2−ヒドロキシプロピル)ジエタノールアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビット密ロウ、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどを用いることができる。
カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、アミン塩、またはアミンなどをもちいることができる。
また、両性イオン界面活性剤としては、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する第2級または第3級アミンの脂肪族誘導体、または複素環式第2級または第3級アミンの脂肪族誘導体などを用いることができる。
前掲のなかで、柔軟効果が高いのはカチオン系界面活性剤である。特に第4級アンモニウム塩、とりわけ、下記一般式(A)で表される化合物(成分(A))が最適である。
Figure 2008080028
(式中、R1は、炭素数6〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基又はR3−O−R4−を示し、R2は、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示し、それぞれ異なっていても良い。R3は炭素数6〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、R4は炭素数1〜6の直鎖のアルキレン基を示す。X-は陰イオンを示す。)
成分(A)において、R1及びR2は以下に示すものが紙の柔らかさの観点から好ましい。
上記一般式(A)において、R1としては、炭素数6〜24であり、12〜24が好ましく、16〜22がより好ましく、20〜22がさらに好ましい。また、R1は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基又はR3−O−R4−であり、R1、R3は直鎖が好ましく、またアルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基が特に好ましい。R2は、炭素数1〜6、好ましくは1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基若しくは炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、それぞれ異なっていても良い。R2は直鎖のアルキル基が好ましい。R4は炭素数1〜6の直鎖のアルキレン基であり、炭素数2〜4が好ましい。
-としては、陰イオンであり、ハロゲンイオン、例えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオン、又は有機アニオン、例えば酢酸イオン、クエン酸イオン、乳酸イオン、グリコレート、リン酸イオン、硝酸イオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、並びにメチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオン等のアルキル硫酸イオン等が挙げられ、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンが好ましく、特に塩素イオン、メチル硫酸イオン又はエチル硫酸イオンが好ましい。
一般式(A)の化合物として、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、N−アルキル−N,N−ジヒドロキシエチル−N−メチルアンモニウム塩、モノアルキルトリエチルアンモニウム塩、モノアルケニルトリメチルアンモニウム塩、塩化炭化水素オキシアルキレントリメチルアンモニウム塩、などが挙げられる。具体的には、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムなどの臭化モノアルキルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化水素添加牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化硬化パーム油アルキルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、等の塩化モノアルキルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸べヘニルトリメチルアンモニウム等のエチル硫酸モノアルキルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。また、塩化オレイルトリメチルアンモニウム等の塩化モノアルケニルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の塩化炭化水素オキシアルキレントリメチルアンモニウムなどが挙げられる(ここでの「炭化水素オキシアルキレン」は、基「R3−O−R4−」を意味する。)。
上記成分(A)と、前記脂肪族アルコール(B)とを併用すると、成分(A)の柔軟効果がより高まることが知見されている。
さらに別の有効成分としては、ビタミンC、ビタミンE等の各種ビタミン、グリシン、アスパラギン酸、アルギニン、アラニン、シスチン、システィンなどのアミノ酸、アロエエキス、アマチャエキス、アシタバエキス、カリンエキス、キュウリエキス、スギナエキス、トマトエキス、ノバラエキス、ヘチマエキス、ユリエキス、レンゲソウエキスなどの植物抽出エキス、キトサン、尿素、ハチミツ、ローヤルゼリー等を用いることができる。各種ビタミンや植物抽出エキス等の成分は、有効成分中0.000001〜0.001重量%含有されているのが好ましい。
また、メントール、カンファー、シクロヘキサノールなどの昇華成分を有効成分中に3%以下の割合で添加することができる。
他方、本発明の薄葉紙は製造方法によって限定されるものではないが、折り畳んで積層する製品形態、例えば箱詰め型のティシューペーパーの場合、抄造した原紙に薬液を付与した後、インターフォルダ等の折り畳み装置で折り畳むよりも、折り畳み装置内で折り畳みのために原紙を搬送する過程で薬液を付与するようにすると、効率良く製造でき、また薬液や水分の蒸発も少なく、品質の安定した製品を製造できるようになるため好ましい。なお、後者の方法としては、本出願人による特願2004−251874号を例示することができる。
いずれにしても、上述の成分は内添、外添あるいは転写などの方法によって原紙に含有させることができる。
(実施例1〜15、比較例1〜5)
表1〜4に示す組成の配合成分をビーカーに入れ、撹拌乳化することにより、添加剤を製造した。各添加剤のpH(25℃)は約5であった。さらに、広葉樹晒クラフトパルプを抄造し、得られた坪量13g/m2の衛生用紙の原紙に対し、乾燥パルプ100重量部に対して各表に示す重量部(有効分換算)となる量の各添加剤を塗布した。前記塗布方法は、各添加剤をイオン交換水にて2倍希釈した水分散液を原紙表面にスプレー塗布した。その後、紙常温条件下で1日乾燥させ被試験紙とした。高吸収剤についてははプライ間に散布した。
表1の例は、各成分の有無を中心にまとめたものである。表2及び表3は高吸収剤の粒径に基づく相違を、表4は高吸収剤を有しない比較例をそれぞれ示す。
試験及び評価方法は下記のとおりである。
<柔らかさの試験方法>
柔らかさの評価は、被験者30名により、紙の表面を手で触った際の柔らかさについて5点満点(5点:柔らかいと感じる、4点:やや柔らかいと感じる、3点:柔らかいとあまり感じない、2点:ややかたいと感じる、1点:かたいと感じる)で点数をつけ、平均点を評価値とした。
<手触り感の試験方法>
手触り感の評価は、被験者30名により、紙の表面を手で触った際の滑らか感について5点満点(5点:滑らかさを感じる、4点:やや滑らかさを感じる、3点:滑らかをあまり感じない、2点:ややざらざらしている、1点:ざらざらしている)で点数をつけ、平均点を評価値とした。
<制汗性の試験方法>
制汗性の評価は、30人の被験者に、右腋下を実施例で拭き、左腋下を比較例で拭き、その後、軽い運動をしてもらい、発汗具合を官能評価。制汗効果が良いと感じた場合を「○」とし、悪いと感じた場合を「×」とした。やや悪いと感じた場合を「△」とした。
<湿潤紙力の向上の試験方法>
湿潤状態として筆により濡らした状態におけるティシューペーパーの縦(長手方向)及び横(短手方向)の引張強度値[N/25mm]を、JIS P8113に準じた方法に従って測定した。
比較例では、ティシューペーパーの湿潤状態における紙力の確保を適正に測ることができなかったが、実施例では、湿潤引張強度の値を大きく、即ち、家庭用薄葉紙の紙力を向上させることができた。
<吸油性の試験方法>
吸脂性の評価も実際に被験者に試料を使用してもらい、使用後に吸脂による試料の変色が明瞭に発現している試料を合格(表中:○)、反対にあまり発現していない試料を不合格(表中:×)として評価した。
<吸水性の試験方法>
吸水速度を測定。測定器具として、デジタルマイクロピペット、ストップウォッチ、三脚台を使用し、試料2枚重ねを一組として中央部直径40mm以上の穴のある支持台に置き、デジタルマイクロピペットに蒸留水を0.3ml取り、約10mmの高さから試験片に滴下し、水滴が試験片に接触した瞬間から、水が完全に吸収されて紙表面の反射が消えるまでの時間をストップウォッチで0.01秒単位で測定。試験は5回行い、その平均値を小数点第1位まで記録する試験要領によって得た数値とする。
吸水速度は3.5〜35秒、好ましくは5.5〜35秒の範囲であることが望ましいので、実施例においては、3.5〜35秒の範囲を「良い(○)」とし、それ以外を「悪い(×)」とした。
<拭き取り性の試験方法>
拭き取り性は、実際に30人の被験者に、実施例および比較例の試料を使用して、テーブル上に滴下した1ccの水滴、及び1ccの油滴を、一度の拭き取り操作による拭き取り性を評価した。拭き残しがほとんどない場合を「○」とし、拭き残しがある場合を「×」とする評価とした。拭き残しがやや残っている場合を「△」とした。
<消臭性>
消臭性の評価は、実施例および比較例を、臭気サンプル(一般に臭いが強いと言われている食品「くさや」を使用)と一緒に密閉容器内に60分間放置し、その後、実施例および比較例、臭気サンプルをそれぞれ取り出して、容器内の臭いを30人の被験者が評価(官能評価)。臭いがないと感じた場合を「○」とし、臭いがあると感じた場合を「×」とする評価とした。
<総合評価>
上記8項目の官能評価に於いて、紙力向上、吸水性、吸油性、拭き取り性及び消臭性の判定が全て「良い(○)」であり、且つ、「柔らかさ」と「手触り感」との平均合計が9点以上の場合は、総合評価を「とても良い(◎)」とし、「柔らかさ」と「手触り感」との平均合計が7点以上9点未満の場合は、「良い(○)」とした。なお、制汗効果については、制汗剤を含有させていない場合は評価していない。
制汗効果、紙力向上、吸水性、吸油性、拭き取り性及び消臭性の判定が、いずれか一つでも「悪い(×)」である場合、又は、「柔らかさ」と「手触り感」との平均合計が7点未満の場合には、総合評価を「悪い(×)」とした。
Figure 2008080028
Figure 2008080028
Figure 2008080028
Figure 2008080028
(実施例16)
下記組成の薬液〔pH5(25℃)〕を、基本的には上記実施例8と同様の方法で製造し、これに柔軟剤として「塩化アルキルトリメチルアンモニウム」を、保湿成分として「グリセリン」及び「セトステアリルアルコール」を、界面活性剤として「脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン」を、防腐剤として「安息香酸ナトリウム」を、pH調整剤として「クエン酸(50%)」をさらに加えた。
(重量%)
澱粉グラフト共重合体 10.0
ミョウバン(AlK(SO42・H2O) 10.0
塩化アルキルトリメチルアンモニウム 7.5
グリセリン 60.0
セトステアリルアルコール 0.35
脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.35
安息香酸ナトリウム 0.5
クエン酸(50%) 適量
水 残部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
合計 100.0
本実施例16によって得られた衛生用紙は、液分に対し優れた吸収性(もって拭き取り性にも優れることになる)を示し、使用後のべたつきがなく、しかも柔軟性及び滑らかさに優れたものであることを確認した。
本発明は、ティシューペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、クレープ紙等の薄葉紙に適用可能なものである。

Claims (5)

  1. パルプを原料として、高吸収剤が含有されていることを特徴とする衛生用紙。
  2. パルプを原料として、高吸収剤及び制汗剤が含有されていることを特徴とする衛生用紙。
  3. 前記高吸収剤がプライ間に介在している請求項1または2記載の衛生用紙。
  4. 前記高吸収剤が、変性カルボキシメチルセルロース、自己架橋ポリアクリル酸塩及び澱粉グラフト共重合体の群から選ばれた一種または二種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生用紙。
  5. 前記制汗剤が、塩化ヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムフェノールスルホン酸、タンニン酸、アルミニウムナフタリンスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウム、ジルコニウム塩、塩化ヒドロキシジルコニウム、アルミニウム−ジルコニウム複合塩、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、p−フェノールスルホン酸亜鉛、銀化合物、銅化合物及びカリウム化合物から群から選ばれた一種または二種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生用紙。
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