JP2008078590A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、電極間での短絡を防止することが可能な有機EL素子を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上にパターン状に形成された電荷注入輸送層と、上記電荷注入輸送層上にパターン状に形成された発光層と、上記発光層上に形成された第2電極層とを有し、上記電荷注入輸送層のパターンのエッジが、上記発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されていることを特徴とする有機EL素子を提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、正孔注入輸送層や電子注入輸送層等を有する有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンスをELと略す場合がある。)素子およびその製造方法に関するものである。
EL素子は、対向する2つの電極から注入された正孔および電子が発光層内で結合し、そのエネルギーで発光層中の蛍光物質を励起し、蛍光物質に応じた色の発光を行うものであり、自発光の面状表示素子として注目されている。その中でも、有機物質を発光材料として用いた有機EL素子は、印加電圧が10V弱であっても高輝度な発光を実現できるなど発光効率が高く、単純な素子構造で発光が可能であり、特定のパターンを発光表示させる広告その他低価格の簡易表示ディスプレイへの応用が期待されている。
有機EL素子の層構成としては、例えば、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極などが知られている。正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層の導電性が高い場合、発光層にピンホール等の欠陥があると、陽極および陰極間で短絡が発生し、発光不良の原因となる。また一般的に、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等はパターン状に形成されることがある(例えば特許文献1参照)。例えば、陽極の上に、正孔注入層および発光層をパターン状に形成し、発光層上に陰極を形成した場合、正孔注入層のパターンの端部では正孔注入層が露出しているため、正孔注入層の導電性が高いと、正孔注入層と陰極とが接触して短絡が生じることがある。短絡は、ディスプレイの画像不良の原因となるだけでなく、回路や装置の故障にもつながるため、未然に防ぐ必要がある。
特開2005−197155公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電極間での短絡を防止することが可能な有機EL素子を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上にパターン状に形成された電荷注入輸送層と、上記電荷注入輸送層上にパターン状に形成された発光層と、上記発光層上に形成された第2電極層とを有し、上記電荷注入輸送層のパターンのエッジが、上記発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されていることを特徴とする有機EL素子を提供する。
本発明によれば、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されているので、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触するのを防ぎ、電荷注入輸送層の導電性が高い場合であっても、電極間での短絡を防止することが可能である。
上記発明においては、上記発光層が、上記電荷注入輸送層の全面を覆うように形成されていてもよい。これにより、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触するのを回避することができるからである。
また、本発明は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上にパターン状に形成された電荷注入輸送層と、上記電荷注入輸送層上にパターン状に形成された発光層と、上記発光層上に形成された第2電極層とを有する有機EL素子の製造方法であって、上記電荷注入輸送層のパターンのエッジが上記発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の上記電荷注入輸送層およびパターン状の上記発光層を形成するパターン形成工程を有することを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の電荷注入輸送層およびパターン状の発光層を形成するので、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触していない有機EL素子を得ることができる。したがって、電荷注入輸送層の導電性が高い場合であっても、電極間での短絡を防止することが可能な有機EL素子を得ることができる。
上記発明においては、上記パターン形成工程が、パターン状の上記電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の上記発光層を形成する発光層形成工程を有していてもよい。このような工程を行うことにより、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触するのを回避することができるからである。
また、上記発明においては、上記パターン形成工程が、上記電荷注入輸送層のパターンのエッジが上記発光層のパターンのエッジと略同一に配置されるように、パターン状の上記電荷注入輸送層およびパターン状の上記発光層を形成するパターニング工程と、パターン状の上記電荷注入輸送層のみをサイドエッチングするサイドエッチング工程とを有していてもよい。サイドエッチング工程を行うことにより、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触するのを防ぐことができるからである。また、異なるパターンとなるように電荷注入輸送層および発光層をパターニングするよりも、略同一のパターンとなるように電荷注入輸送層および発光層をパターニングする方が、簡便であるからである。
この際、上記パターニング工程にて、フォトリソグラフィー法により、上記電荷注入輸送層および上記発光層をパターニングすることが好ましい。フォトリソグラフィー法では、フォトレジスト層の露光条件を適宜選択することにより、電荷注入輸送層および発光層のパターンを容易に調整することができるからである。
この場合、上記パターニング工程が、上記第1電極層が形成された基板上に上記電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、上記電荷注入輸送層上に上記発光層を形成する発光層形成工程と、上記発光層上にフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、上記フォトレジスト層をパターン露光し、現像することにより、上記フォトレジスト層をパターニングするフォトレジスト層パターニング工程と、上記フォトレジスト層が除去された部分の上記発光層および上記電荷注入輸送層を除去することにより、上記発光層および上記電荷注入輸送層をパターニングする発光層・電荷注入輸送層パターニング工程とを有し、上記パターン形成工程が、残存する上記フォトレジスト層を剥離する剥離工程を有し、上記サイドエッチング工程後に、上記剥離工程を行うことが好ましい。パターニングされた発光層上に残存するフォトレジスト層を剥離することなく、サイドエッチングを行うことにより、フォトレジスト層によって、電荷注入輸送層をサイドエッチングするときの発光層表面へのダメージを防ぐことができるからである。
本発明においては、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されているので、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触することがなく、電荷注入輸送層の導電性が高い場合であっても、電極間での短絡を防止することができるという効果を奏する。
以下、本発明の有機EL素子およびその製造方法について詳細に説明する。
A.有機EL素子
まず、本発明の有機EL素子について説明する。
本発明の有機EL素子は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上にパターン状に形成された電荷注入輸送層と、上記電荷注入輸送層上にパターン状に形成された発光層と、上記発光層上に形成された第2電極層とを有し、上記電荷注入輸送層のパターンのエッジが、上記発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されていることを特徴とするものである。
本発明の有機EL素子について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、有機EL素子10においては、基板1上に、第1電極層2がパターン状に形成され、この第1電極層2のパターン間に絶縁層3が形成され、第1電極層2上に、パターン状の正孔注入輸送層4(電荷注入輸送層)および発光層5が形成され、発光層5上に第2電極層6が形成されている。また、発光層5が正孔注入輸送層4の全面を覆うように形成され、正孔注入輸送層4のパターンのエッジが、発光層5のパターンのエッジよりも内側に配置されている。
このような有機EL素子においては、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置され、電荷注入輸送層の全面が発光層に覆われているので、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触することがなく、電荷注入輸送層の導電性が高い場合であっても、電極間での短絡を防止することが可能である。
図2は、本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されている有機EL素子としては、図1に例示するものに限定されるものではなく、図2に例示する有機EL素子の製造方法により得られるものであってもよい。
図2に例示する有機EL素子の製造方法においては、まず、基板11上に第1電極層12をパターン状に形成し、この第1電極層12のパターン間に絶縁層13を形成し、第1電極層12および絶縁層13の上に正孔注入輸送層14(電荷注入輸送層)および発光層15を形成する(図2(a))。次に、発光層15上にポジ型フォトレジストを塗布して、フォトレジスト層21を形成する(図2(b))。次いで、少なくとも発光領域22のフォトレジスト層21が残存するように、フォトマスク23を介してフォトレジスト層21をパターン露光した後、フォトレジスト現像液により現像し、洗浄することにより、パターン状のフォトレジスト層21´を形成する(図2(c)および(d))。次に、フォトレジスト層の除去により露出した部分の発光層および正孔注入輸送層を除去することにより、パターン状の発光層15´および正孔注入輸送層14´を形成する(図2(e))。
次に、パターン状の正孔注入輸送層14´のみをサイドエッチングする(図2(f))。これにより、正孔注入輸送層14´´のパターンのエッジを、発光層15´のパターンのエッジよりも内側に配置することができる。
次いで、残存するフォトレジスト層21´を剥離する(図2(g))。そして最後に、発光層15´上に第2電極層16を形成する(図2(h))。
一般に、第2電極層には、金属や金属酸化物等が用いられる。図2(g)に例示するようなパターン状の発光層15´上に、金属や金属酸化物等を蒸着法により成膜した場合、金属や金属酸化物等は、発光層のパターンの端部を回り込むことができずに、直線的に堆積する。このため、図2(h)に例示するように、サイドエッチングされた正孔注入輸送層の部分は空隙hになると考えられる。すなわち、正孔注入輸送層14´´のパターンの端部と第2電極層16との間には空隙hが存在することになると想定される。
このような有機EL素子においては、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されており、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層との間に空隙が存在すると考えられるので、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触することがなく、電荷注入輸送層の導電性が高い場合であっても、電極間での短絡を防止することが可能である。
本発明においては、電荷注入輸送層および発光層がパターン状に形成され、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されていれば、電荷注入輸送層および発光層のパターンの配置としては特に限定されるものではない。例えば図1に示すように、発光層5が正孔注入輸送層4(電荷注入輸送層)の全面を覆うように形成されていてもよく、また例えば図2(h)に示すように、正孔注入輸送層14´´(電荷注入輸送層)のみがサイドエッチングされていてもよい。
ここで、発光層が電荷注入輸送層の全面を覆うように形成されているとは、電荷注入輸送層の表面および側面の全てが発光層で覆われ、電荷注入輸送層が露出していないことを意味する。例えば図1に示すように、正孔注入輸送層4(電荷注入輸送層)のいずれの面も露出しないように発光層5が形成されている場合をいう。
なお、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されていることは、有機EL素子の断面の光学顕微鏡観察等により確認することができる。
以下、本発明の有機EL素子の各構成について説明する。
1.電荷注入輸送層
本発明における電荷注入輸送層は、第1電極層と発光層との間に形成されるものである。また、電荷注入輸送層はパターン状に形成されており、電荷注入輸送層のパターンのエッジは発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されている。
本発明において、電荷注入輸送層とは、第1電極層から発光層に電荷を安定に輸送する機能を有するものである。第1電極層と発光層との間に電荷注入輸送層が形成されているにより、発光層への電荷の注入が安定化し、発光効率を高めることができる。
電荷注入輸送層としては、陽極から注入された正孔を発光層内へ輸送する正孔注入輸送層と、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送する電子注入輸送層とがある。一般に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層する方が安定して有機EL素子を作製することができることから、第1電極層が陽極であり、電荷注入輸送層が正孔注入輸送層であることが好ましい。
以下、正孔注入輸送層および電子注入輸送層について説明する。
(1)正孔注入輸送層
本発明に用いられる正孔注入輸送層としては、発光層に正孔を注入する正孔注入層、および、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層のいずれか一方であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、または、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
正孔注入輸送層に用いられる材料としては、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではない。この正孔注入輸送層に用いられる材料としては、例えば、アリールアミン類、フタロシアニン類、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレンおよびこれらの誘導体等の導電性高分子などを挙げることができる。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
また、正孔注入輸送層の膜厚としては、その機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されるものではなく、具体的には0.5nm〜1000nm程度とすることができ、中でも10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。
なお、正孔注入輸送層の形成方法については、後述の「B.有機EL素子の製造方法」の項に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
(2)電子注入輸送層
本発明に用いられる電子注入輸送層としては、発光層に電子を注入する電子注入層、および電子を輸送する電子輸送層のいずれか一方であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、または、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
電子注入層に用いられる材料としては、発光層内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではない。この電子注入層に用いられる材料としては、例えば、アルミリチウム合金、リチウム、セシウム等のアルカリ金属やその合金;フッ化リチウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属のハロゲン化物;ストロンチウム、カルシウム等のアルカリ土類金属;フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物;酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム等の酸化物;などが挙げられる。また、電子注入層に用いられる材料として、ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム等を挙げることができる。
電子注入層の膜厚としては、その機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されるものではない。
また、電子輸送層に用いられる材料としては、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではない。この電子輸送層に用いられる電子輸送性材料としては、例えば、オキサジアゾール類、トリアゾール類、バソキュプロイン、バソフェナントロリン等のフェナントロリン類、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のアルミキノリノール錯体などが挙げられる。
電子輸送層の膜厚としては、その機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
さらに、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有する単一の層からなる電子注入輸送層に用いられる材料としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属がドープされた電子輸送性の有機材料が挙げられる。電子輸送性の有機材料としては、例えば、バソキュプロイン、バソフェナントロリン等のフェナントロリン類を挙げることができる。また、ドープする金属としては、例えば、Li、Cs、Ba、Sr等が挙げられる。
上記の単一の層からなる電子注入輸送層の膜厚としては、電子注入機能および電子輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
なお、電子注入輸送層の形成方法については、後述の「B.有機EL素子の製造方法」の項に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
2.発光層
本発明に用いられる発光層は、電荷注入輸送層と第2電極層との間に形成されるものである。また、発光層はパターン状に形成されており、発光層のパターンのエッジは電荷注入輸送層のパターンのエッジよりも外側に配置されている。
発光層に用いられる発光材料としては、蛍光または燐光を発する材料を含み、発光するものであれば特に限定されるものではなく、発光機能と正孔輸送機能もしくは電子輸送機能とを兼ねていてもよい。
発光材料としては、色素系発光材料、金属錯体系発光材料、および高分子系発光材料を挙げることができる。
色素系発光材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
金属錯体系発光材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体、あるいは、中心金属に、Al、Zn、Be等またはTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子に、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
高分子系発光材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体等、あるいは、上記の色素系発光材料や金属錯体系発光材料を高分子化したもの等を挙げることができる。
後述の「B.有機EL素子の製造方法」の項に記載するように、発光層形成用塗工液を塗布して発光層を形成し、フォトリソグラフィー法により発光層をパターニングする場合には、フォトリソグラフィー法によって発光層を精度良くパターニングすることができるという利点を活かすという観点から、発光材料として、上記高分子系発光材料を用いることが好ましい。
また、上記発光材料には、種々の添加剤を添加することが可能である。例えば、上記発光材料には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピング剤を添加してもよい。このようなドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体を挙げることができる。
発光層の膜厚としては、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、具体的には2nm〜200nm程度とすることができる。
なお、発光層の形成方法については、後述の「B.有機EL素子の製造方法」の項に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
3.第1電極層および第2電極層
本発明に用いられる第1電極層および第2電極層は、一方が陽極であり他方が陰極であれば、いずれが陽極であってもよく陰極であってもよい。一般に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層する方が安定して有機EL素子を作製することができることから、第1電極層が陽極であり、第2電極層が陰極であることが好ましい。
陽極には、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料が好ましく用いられる。仕事関数の大きい導電性材料としては、例えば、In−Sn−O(ITO)、Au等が挙げられる。一方、陰極には、電子が注入し易いように仕事関数の小さい導電性材料が好ましく用いられる。仕事関数の小さい導電性材料としては、例えば、MgAg等のMg合金、AlLi、AlCa、AlMg等のAl合金、Caなどが挙げられる。
導電性材料としては、一般に金属材料が用いられるが、有機物や無機化合物を用いてもよい。また、陽極および陰極には、複数の材料を混合して用いてもよい。
また、第1電極層および第2電極層は、透明性を有していても有さなくてもよく、光の取り出し面に応じて適宜選択される。例えば図1に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合、第1電極層2は透明性を有することが好ましい。この場合、第2電極層6に透明性は要求されない。一方、例えば図1に示す有機EL素子においてトップエミッション型とする場合、第2電極層6は透明性を有することが好ましい。この場合、第1電極層2に透明性は要求されない。また、例えば図1に示す有機EL素子において両面から光を取り出す場合には、第1電極層2および第2電極層6はいずれも透明性を有することが好ましい。
透明性を有する導電性材料としては、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、Zn−O−Al、Zn−Sn−O等を好ましいものとして例示することができる。また、透明性が要求されない場合、導電性材料としては、金属を用いることができ、具体的にはAu、Ta、W、Pt、Ni、Pd、Cr、あるいは、Al合金、Ni合金、Cr合金等を挙げることができる。
陽極および陰極のいずれであっても、抵抗が比較的小さいことが好ましい。
第1電極層および第2電極層の厚みとしては、2nm〜200nm程度で設定することができる。
第1電極層および第2電極層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等を挙げることができる。
4.基板
本発明に用いられる基板は、透明性を有していても有さなくてもよい。例えば図1に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合、基板1は透明性を有することが好ましい。一方、例えば図1に示す有機EL素子においてトップエミッション型とする場合、基板1に透明性は要求されない。また、例えば図1に示す有機EL素子において両面から光を取り出す場合には、基板1は透明性を有することが好ましい。
透明性を有する基板には、例えば、ガラス等の無機材料や、透明樹脂などを用いることができる。
上記透明樹脂としては、フィルム状に成形可能であれば特に限定されるものではないが、透明性が高く、耐溶媒性、耐熱性が比較的高いことが好ましい。このような透明樹脂としては、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフッ化ビニル(PFV)、ポリアクリレート(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、非晶質ポリオレフィン、またはフッ素系樹脂等が挙げられる。
また、透明性が要求されない場合、基板としては、金属箔等を用いることができる。
5.絶縁層
本発明においては、第1電極層のパターンの端部および非発光領域に絶縁層が形成されていてもよい。絶縁層が形成されていることにより、有機EL素子の短絡等を抑制し、長寿命で安定に発光する有機EL素子とすることができる。
絶縁層に用いられる材料としては、例えば、光硬化性樹脂等を挙げることができる。
また、絶縁層の膜厚としては、0.1μm〜10μm程度で設定することができる。中でも、ドライエッチングにより発光層をパターニングする場合には、ドライエッチング耐性が発現される程度の厚みであることが好ましい。
絶縁層の形成方法としては、一般的な絶縁層の形成方法を用いることができる。絶縁層を形成する際には、発光領域が開口部となるように、あらかじめ絶縁層をパターン状に形成してもよい。
6.その他の層
本発明においては、発光層と第2電極層との間に、第2の電荷注入輸送層が形成されていてもよい。すなわち、基板/第1電極層/電荷注入輸送層/発光層/第2の電荷注入輸送層/第2電極層の順に積層されていてもよい。
通常、湿式法で電荷注入輸送層、発光層および第2の電荷注入輸送層を形成する場合、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であるが、溶媒への溶解性が異なるように有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、多数の層を積層することができる。
第2の電荷注入輸送層としては、上記電荷注入輸送層の項に記載した、正孔注入輸送層および電子注入輸送層が挙げられる。第2の電荷注入輸送層の種類は、上記電荷注入輸送層の種類に応じて適宜選択される。例えば、電荷注入輸送層が正孔注入輸送層である場合は、第2の電荷注入輸送層は電子注入輸送層となる。
なお、第2の電荷注入輸送層のその他の点については、上記電荷注入輸送層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、発光層と電荷注入輸送層または第2の電荷注入輸送層との間に、キャリアブロック層が形成されていてもよい。キャリアブロック層は、正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層である。
B.有機EL素子の製造方法
次に、本発明の有機EL素子の製造方法について説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上にパターン状に形成された電荷注入輸送層と、上記電荷注入輸送層上にパターン状に形成された発光層と、上記発光層上に形成された第2電極層とを有する有機EL素子の製造方法であって、上記電荷注入輸送層のパターンのエッジが上記発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の上記電荷注入輸送層およびパターン状の上記発光層を形成するパターン形成工程を有することを特徴とするものである。
本発明におけるパターン形成工程において、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の発光層を形成する方法としては、特に限定されるものではない。中でも、パターン状の電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の発光層を形成する方法、あるいは、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジと略同一に配置されるように、パターン状の電荷注入輸送層および発光層を形成し、パターン状の電荷注入輸送層のみをサイドエッチングする方法が好ましい。
以下、パターン形成工程が、パターン状の電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の発光層を形成する発光層形成工程を有する場合(第1態様)、および、パターン形成工程が、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジと略同一に配置されるように、パターン状の電荷注入輸送層およびパターン状の発光層を形成するパターニング工程と、パターン状の電荷注入輸送層のみをサイドエッチングするサイドエッチング工程とを有する場合(第2態様)について、説明する。
1.第1態様
まず、本発明の有機EL素子の製造方法の第1態様について説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法の第1態様は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上にパターン状に形成された電荷注入輸送層と、上記電荷注入輸送層上にパターン状に形成された発光層と、上記発光層上に形成された第2電極層とを有する有機EL素子の製造方法であって、上記電荷注入輸送層のパターンのエッジが上記発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の上記電荷注入輸送層およびパターン状の上記発光層を形成するパターン形成工程を有し、上記パターン形成工程が、パターン状の電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の発光層を形成する発光層形成工程を有することを特徴とするものである。
本態様の有機EL素子の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図3は、本態様の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板1上に第1電極層2をパターン状に形成し、この第1電極層2のパターン間に絶縁層3を形成する(図3(a)、第1電極層形成工程および絶縁層形成工程)。次いで、第1電極層2および絶縁層3の上に、シャドウマスクを用いた蒸着法により、パターン状の正孔注入輸送層4(電荷注入輸送層)を形成する(図3(b)、電荷注入輸送層形成工程)。次いで、同様に、シャドウマスクを用いた蒸着法により、パターン状の発光層5を形成する(図3(c)、発光層形成工程)。この際、発光層形成用のシャドウマスクの開口部の面積を、正孔注入輸送層形成用のシャドウマスクの開口部の面積よりも大きくすることで、正孔注入輸送層のパターンのエッジが、発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の発光層を形成することができる。なお、図3(b)および(c)は、パターン形成工程を示す。そして最後に、発光層5上に第2電極層6を形成する(図3(d)、第2電極層形成工程)。
本態様によれば、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、かつ、パターン状の電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の発光層を形成するので、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触していない有機EL素子を得ることができる。したがって、電荷注入輸送層の導電性が高い場合であっても、電極間での短絡を防止することが可能な有機EL素子を得ることができる。
以下、本態様の有機EL素子の製造方法における各工程について説明する。
(1)パターン形成工程
本態様におけるパターン形成工程は、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の電荷注入輸送層およびパターン状の発光層を形成する工程である。また、パターン形成工程は、パターン状の電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の発光層を形成する発光層形成工程を有している。通常、このパターン形成工程は、第1電極層上にパターン状の電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程を有している。
以下、パターン形成工程における各工程について説明する。
(i)電荷注入輸送層形成工程
本態様における電荷注入輸送層形成工程は、第1電極層上にパターン状の電荷注入輸送層を形成する工程である。
電荷注入輸送層の形成方法としては、電荷注入輸送層に用いられる材料により適宜選択されるものであり、例えば、シャドウマスクを用いた真空蒸着法、スパッタリング法等、あるいは、電荷注入輸送層に用いられる材料を含む電荷注入輸送層形成用塗工液を用いたインクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、あるいは、フォトリソグラフィー法、レーザー転写法等を挙げることができる。
なお、電荷注入輸送層のその他の点については、上記「A.有機EL素子」の電荷注入輸送層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(ii)発光層形成工程
本態様における発光層形成工程は、パターン状の電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の発光層を形成する工程である。
発光層の形成方法としては、パターン状の電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の発光層を形成することができる方法であれば、特に限定されるものではない。発光層の形成方法としては、使用する発光材料により適宜選択されるものであり、例えば、上記電荷注入輸送層の形成方法と同様の方法を挙げることができる。
パターン状の電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の発光層を形成するには、例えば、シャドウマスクを用いた真空蒸着法、スパッタリング法等により電荷注入輸送層および発光層を形成する場合には、発光層形成用のシャドウマスクの開口部の面積を、電荷注入輸送層形成用のシャドウマスクの開口部の面積よりも大きくすればよい。また例えば、電荷注入輸送層形成用塗工液および発光層形成用塗工液を用いる場合には、発光層形成用塗工液の塗布面積を、電荷注入輸送層形成用塗工液の塗布面積よりも大きくすればよい。さらに例えば、フォトリソグラフィー法により電荷注入輸送層および発光層をそれぞれパターニングする場合には、発光層のパターニング時のフォトレジスト層の露光面積と、電荷注入輸送層のパターニング時のフォトレジスト層の露光面積とを調整すればよい。
なお、発光層のその他の点については、上記「A.有機EL素子」の発光層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(2)その他の工程
本態様においては、通常、基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程、および、第2電極層を形成する第2電極層形成工程が行われる。なお、第1電極層および第2電極層の形成方法等については、上記「A.有機EL素子」の第1電極層および第2電極層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
また、本態様においては、基板上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行ってもよい。なお、絶縁層の形成方法等については、上記「A.有機EL素子」の絶縁層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.第2態様
次に、本発明の有機EL素子の製造方法の第2態様について説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法の第2態様は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上にパターン状に形成された電荷注入輸送層と、上記電荷注入輸送層上にパターン状に形成された発光層と、上記発光層上に形成された第2電極層とを有する有機EL素子の製造方法であって、上記電荷注入輸送層のパターンのエッジが上記発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の上記電荷注入輸送層およびパターン状の上記発光層を形成するパターン形成工程を有し、上記パターン形成工程が、上記電荷注入輸送層のパターンのエッジが上記発光層のパターンのエッジと略同一に配置されるように、パターン状の上記電荷注入輸送層およびパターン状の上記発光層を形成するパターニング工程と、パターン状の上記電荷注入輸送層のみをサイドエッチングするサイドエッチング工程とを有することを特徴とするものである。
本態様の有機EL素子の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本態様の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板11上に第1電極層12をパターン状に形成し、この第1電極層12のパターン間に絶縁層13を形成し、第1電極層12および絶縁層13の上に正孔注入輸送層14(電荷注入輸送層)および発光層15を形成する(図2(a)、電荷注入輸送層形成工程および発光層形成工程)。次に、発光層15上にポジ型フォトレジストを塗布して、フォトレジスト層21を形成する(図2(b)、フォトレジスト層形成工程)。次いで、少なくとも発光領域22のフォトレジスト層21が残存するように、フォトマスク23を介してフォトレジスト層21をパターン露光した後、フォトレジスト現像液により現像し、洗浄することにより、パターン状のフォトレジスト層21´を形成する(図2(c)および(d)、フォトレジスト層パターニング工程)。次に、フォトレジスト層の除去により露出した部分の発光層および正孔注入輸送層を除去することにより、パターン状の発光層15´および正孔注入輸送層14´を形成する(図2(e)、発光層・電荷注入輸送層パターニング工程)。なお、図2(a)〜(e)は、パターニング工程を示す。
次に、パターン状の正孔注入輸送層14´のみをサイドエッチングする(図2(f)、サイドエッチング工程)。これにより、正孔注入輸送層14´´のパターンのエッジを、発光層15´のパターンのエッジよりも内側に配置することができる。
なお、図2(a)〜(f)は、パターン形成工程を示す。
次いで、残存するフォトレジスト層21´を剥離する(図2(g)、剥離工程)。そして最後に、発光層15´上に第2電極層16を形成する(図2(h)、第2電極層形成工程)。
上述したように、金属や金属酸化物等を用いて蒸着法により第2電極層を形成する場合、金属や金属酸化物等は、発光層のパターンの端部を回り込むことができずに、直線的に堆積するため、正孔注入輸送層14´のパターンの端部と第2電極層16との間には空隙hが存在することになると想定される。このため、正孔注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触するのを防ぐことができると考えられる。
このように本態様においては、サイドエッチング工程を行うことにより、電荷注入輸送層のパターンの端部と第2電極層とが接触するのを防ぐことができるので、電荷注入輸送層の導電性が高い場合であっても、電極間での短絡を防止することが可能である。また、異なるパターンとなるように電荷注入輸送層および発光層をパターニングするのに比べて、略同一のパターンとなるように電荷注入輸送層および発光層をパターニングするのは、簡便である。
本態様の有機EL素子の製造方法は、少なくとも1色の発光層をパターン状に形成するものであり、上記の電荷注入輸送層形成工程、発光層形成工程、フォトレジスト層形成工程、フォトレジスト層パターニング工程、および発光層・電荷注入輸送層工程を繰り返し行うことにより、2色の発光層をパターン状に形成したり、3色の発光層をパターン状に形成したりすることもできる。
図4および図5は、3色の発光層をパターン状に形成する場合の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板11上に第1電極層12をパターン状に形成し、この第1電極層12のパターン間に絶縁層13を形成し、第1電極層12および絶縁層13の上に第1正孔注入輸送層14aおよび第1発光層15aを形成する(図4(a)、第1電荷注入輸送層形成工程および第1発光層形成工程)。次に、第1発光層15a上にポジ型フォトレジストを塗布して、第1フォトレジスト層21aを形成する(図4(b)、第1フォトレジスト層形成工程)。次いで、少なくとも第1発光領域22aの第1フォトレジスト層21aが残存するように、フォトマスク23を介して第1フォトレジスト層21aをパターン露光した後、フォトレジスト現像液により現像し、洗浄することにより、パターン状の第1フォトレジスト層21a´を形成する(図4(c)および(d)、第1フォトレジスト層パターニング工程)。次に、第1フォトレジスト層の除去により露出した部分の第1発光層および第1正孔注入輸送層を除去することにより、パターン状の第1発光層15a´および第1正孔注入輸送層14a´を形成する(図4(e)、第1発光層・電荷注入輸送層パターニング工程)。
次に、パターン状の第1フォトレジスト層21a´、第1発光層15a´および第1正孔注入輸送層14a´が形成された基板11上に、第2正孔注入輸送層14bおよび第2発光層15bを形成する(図4(f)、第2電荷注入輸送層形成工程および第2発光層形成工程)。次に、第2発光層15b上にポジ型フォトレジストを塗布して、第2フォトレジスト層21bを形成する(図4(g)、第2フォトレジスト層形成工程)。次いで、少なくとも第2発光領域22bの第2フォトレジスト層21bが残存するように、フォトマスク23を介して第2フォトレジスト層21bをパターン露光した後、フォトレジスト現像液により現像し、洗浄することにより、パターン状の第2フォトレジスト層21b´を形成する(図4(h)および(i)、第2フォトレジスト層パターニング工程)。次に、第2フォトレジスト層の除去により露出した部分の第2発光層および第2正孔注入輸送層を除去することにより、パターン状の第2発光層15b´および第2正孔注入輸送層14b´を形成する(図4(j)、第2発光層・電荷注入輸送層パターニング工程)。
次に、パターン状の第1フォトレジスト層21a´、第1発光層15a´および第1正孔注入輸送層14a´、ならびにパターン状の第2フォトレジスト層21b´、第2発光層15b´および第2正孔注入輸送層14b´が形成された基板11上に、第3正孔注入輸送層14cおよび第3発光層15cを形成する(図5(a)、第3電荷注入輸送層形成工程および第3発光層形成工程)。次に、第3発光層15c上にポジ型フォトレジストを塗布して、第3フォトレジスト層21cを形成する(図5(b)、第3フォトレジスト層形成工程)。次いで、少なくとも第3発光領域22cの第3フォトレジスト層21cが残存するように、フォトマスク23を介して第3フォトレジスト層21cをパターン露光した後、フォトレジスト現像液により現像し、洗浄することにより、パターン状の第3フォトレジスト層21c´を形成する(図5(c)および(d)、第3フォトレジスト層パターニング工程)。次に、第3フォトレジスト層の除去により露出した部分の第3発光層および第3正孔注入輸送層を除去することにより、パターン状の第3発光層15c´および第3正孔注入輸送層14c´を形成する(図5(e)、第3発光層・電荷注入輸送層パターニング工程)。
なお、図4(a)〜(j)および図5(a)〜(e)は、パターニング工程を示す。
次に、パターン状の各正孔注入輸送層14a´、14b´および14c´のみをサイドエッチングする(図5(f)、サイドエッチング工程)。これにより、各正孔注入輸送層14a´、14b´および14c´のパターンのエッジを、各発光層15a´、15b´および15c´のパターンのエッジよりも内側に配置することができる。
なお、図4(a)〜(j)および図5(a)〜(f)は、パターン形成工程を示す。
次いで、残存する各フォトレジスト層21a´、21b´および21c´を剥離する(図5(g)、剥離工程)。そして最後に、各発光層15a´、15b´および15c´の上に第2電極層16を形成する(図5(h)、第2電極層形成工程)。
上記の有機EL素子の製造方法においては、第2電荷注入輸送層および第2発光層をパターニングする際には、パターニングされた第1電荷注入輸送層および第1発光層上に残存する第1フォトレジスト層を剥離することなく、第2電荷注入輸送層および第2発光層を形成するので、第2電荷注入輸送層および第2発光層を除去するときの、第1電荷注入輸送層および第1発光層へのダメージを低減することができる。また、第3電荷注入輸送層および第3発光層をパターニングする際にも、同様に、パターニングされた第1電荷注入輸送層および第1発光層上に残存する第1フォトレジスト層、ならびに、パターニングされた第2電荷注入輸送層および第2発光層上に残存する第2フォトレジスト層を剥離することなく、第3電荷注入輸送層および第3発光層を形成するので、第3電荷注入輸送層および第3発光層を除去するときの、第1電荷注入輸送層、第1発光層、第2電荷注入輸送層および第2発光層へのダメージを低減することができる。
また、第2フォトレジスト層パターニング工程にて、第2発光領域の第2フォトレジスト層が残存するように第2フォトレジスト層をパターニングするので、パターニングされた第1電荷注入輸送層および第1発光層上に、第2フォトレジスト層が残存することがない。すなわち、パターニングされた第1電荷注入輸送層および第1発光層上に積層されているフォトレジスト層は第1フォトレジスト層のみである。さらに、第2フォトレジスト層の除去により露出した部分の第2電荷注入輸送層および第2発光層も、第2発光層・電荷注入輸送層パターニング工程にて、除去されることから、第1電荷注入輸送層および第1発光層上に、第2電荷注入輸送層および第2発光層が残存することもない。したがって、パターニングされた第1電荷注入輸送層および第1発光層上に、余分な層が積層されている状態を回避することができる。これにより、複数の層を積層することから生じる膜厚ムラ等を解消することが可能となる。
さらに、第1発光層上には、剥離工程にて剥離される第1フォトレジスト層が積層されているだけであり、この第1フォトレジスト層は、各発光層・電荷注入輸送層パターニング工程後において、最上層に位置することとなる。したがって、第1フォトレジスト層を容易に速やかに剥離することができる。また、第2フォトレジスト層および第3フォトレジスト層も、同様に、各発光層・電荷注入輸送層パターニング工程後において、最上層に位置するものであり、容易に速やかに剥離することができる。
以下、本態様の有機EL素子の製造方法における各工程について説明する。
(1)パターン形成工程
本態様におけるパターン形成工程は、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の電荷注入輸送層およびパターン状の発光層を形成する工程である。また、パターン形成工程は、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジと略同一に配置されるように、パターン状の電荷注入輸送層およびパターン状の発光層を形成するパターニング工程と、パターン状の電荷注入輸送層のみをサイドエッチングするサイドエッチング工程とを有するものである。
以下、パターン形成工程における各工程について説明する。
(i)パターニング工程
本態様におけるパターニング工程は、電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジと略同一に配置されるように、パターン状の電荷注入輸送層およびパターン状の発光層を形成する工程である。
電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジと略同一に配置されるように、パターン状の電荷注入輸送層およびパターン状の発光層を形成する方法としては、特に限定されるものではない。このような方法としては、電荷注入輸送層に用いられる材料および使用する発光材料により適宜選択されるものであり、例えば、上記第1態様の電荷注入輸送層の形成方法と同様の方法を挙げることができる。
電荷注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジと略同一に配置されるように、パターン状の電荷注入輸送層およびパターン状の発光層を形成するには、例えば、シャドウマスクを用いた真空蒸着法、スパッタリング法等により電荷注入輸送層および発光層を形成する場合には、発光層形成用のシャドウマスクの開口部の面積と、電荷注入輸送層形成用のシャドウマスクの開口部の面積とを略同一にすればよい。また例えば、電荷注入輸送層形成用塗工液および発光層形成用塗工液を用いる場合には、発光層形成用塗工液の塗布面積と、電荷注入輸送層形成用塗工液の塗布面積とを略同一にすればよい。さらに例えば、フォトリソグラフィー法を用いる場合には、電荷注入輸送層および発光層を同時にパターニングすればよい。
中でも、フォトリソグラフィー法により、電荷注入輸送層および発光層をパターニングすることが好ましい。フォトリソグラフィー法では、フォトレジスト層の露光条件を適宜選択することにより、電荷注入輸送層および発光層のパターンを容易に調整することができるからである。
フォトリソグラフィー法により、電荷注入輸送層および発光層をパターニングする場合、パターニング工程は、通常、第1電極層が形成された基板上に電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、電荷注入輸送層上に発光層を形成する発光層形成工程と、発光層上にフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、フォトレジスト層をパターン露光し、現像することにより、フォトレジスト層をパターニングするフォトレジスト層パターニング工程と、フォトレジスト層が除去された部分の発光層および電荷注入輸送層を除去することにより、発光層および電荷注入輸送層をパターニングする発光層・電荷注入輸送層パターニング工程とを有する。
以下、フォトリソグラフィー法により電荷注入輸送層および発光層をパターニングする場合のパターニング工程における各工程について説明する。
(a)電荷注入輸送層形成工程
本態様における電荷注入輸送層形成工程は、第1電極層が形成された基板上に電荷注入輸送層を形成する工程である。
電荷注入輸送層の形成方法としては、上記「A.有機EL素子」の電荷注入輸送層の項に記載した材料等を含む電荷注入輸送層形成用塗工液を塗布する方法、あるいは、真空蒸着法等を用いることができる。電荷注入輸送層が正孔注入輸送層である場合、正孔注入輸送層の形成方法としては、製造コスト低減の観点から、正孔注入輸送層形成用塗工液を塗布する方法が好ましい。
正孔注入輸送層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上記の材料が分散もしくは溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール系、あるいは、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、正孔注入輸送層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、ディップコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、キャスティング法、フレキソ印刷法等を挙げることができる。
ここで、一般的に、膜の溶解性は、膜中の固体成分を溶剤に溶解した場合の溶解度(溶解した固形分質量/溶剤量)で定義される。このような定義では、溶解度が0.001を下回るような場合には、難溶もしくは不溶と判断されることが多い。しかしながら、上記定義において難溶もしくは不溶であると判断される溶剤を使用しても、膜を溶剤に浸漬した場合に、膜が溶解して膜減りが発生する。
特に、有機EL素子では、電荷注入輸送層や発光層の膜厚が非常に薄く、一般的に100nm以下である。このため、上記定義において溶解度が0.001以下であり、難溶もしくは不溶であると判断された溶剤に膜を浸漬した場合でも、100nm程度の膜厚であれば厚みが容易に減少してしまう。
そこで、本発明においては、膜の溶解性について、基板上に膜を形成し十分に乾燥させて、その膜を25℃で1分間溶剤に浸漬させた後、浸漬前後での膜厚を測定し、その差(浸漬前の膜厚−浸漬後の膜厚)により、以下のように定義することとした。
膜減り量が5nm以下/minの場合 … 不溶
膜減り量が5nm超/min〜20nm以下/minの場合 … 難溶
膜減り量が20nm超/minの場合 … 可溶
なお、膜の溶解性の定義については、電荷注入輸送層だけでなく、発光層およびフォトレジスト層等にも適用される。
電荷注入輸送層上に発光層形成用塗工液を塗布して発光層を形成する場合、電荷注入輸送層は発光層形成用塗工液に含まれる溶媒に対して不溶であることが好ましい。具体的には、電荷注入輸送層の溶解性は、発光層形成用塗工液の溶媒に対して、5nm以下/minであることが好ましい。これにより、発光層形成時に、発光層形成用塗工液の溶媒が電荷注入輸送層に接触しても、電荷注入輸送層は溶解されないので、安定して発光層を積層することができるからである。
本態様において、図4および図5に例示するように有機EL素子を作製する場合であって、第1正孔注入輸送層、第1発光層および第1フォトレジスト層がパターン状に形成された基板上に、第2正孔注入輸送層形成用塗工液を塗布して第2正孔注入輸送層を形成する場合には、第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒は、第1正孔注入輸送層、第1発光層および第1フォトレジスト層を溶解しないものであることが好ましい。すなわち、第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒は、第1正孔注入輸送層、第1発光層および第1フォトレジスト層の溶解性がそれぞれ5nm以下/minであることが好ましい。これは、第2正孔注入輸送層形成時に、第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒が、第1正孔注入輸送層、第1発光層および第1フォトレジスト層に接触するためである。具体的には、第2正孔注入輸送層形成時に、第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒が、第1正孔注入輸送層および第1発光層のパターンの端部、ならびに、第1フォトレジスト層のパターンの表面および端部に接触する。
上記の場合、第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒が、第1フォトレジスト層のパターンの表面および端部に接触する面積に比べて、第1正孔注入輸送層および第1発光層のパターンの端部に接触する面積は非常に小さい。このため、第2正孔注入輸送層を安定に積層する、あるいは、1画素の最小寸法値が100μmよりも小さい部分を有する場合には、第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒が、第1正孔注入輸送層および第1発光層を溶解しないことが非常に有効である。
また、第1正孔注入輸送層、第1発光層、第1フォトレジスト層、第2正孔注入輸送層、第2発光層および第2フォトレジスト層がパターン状に形成された基板上に、第3正孔注入輸送層形成用塗工液を塗布して第3正孔注入輸送層を形成する場合には、第3正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒は、第1正孔注入輸送層、第1発光層、第1フォトレジスト層、第2正孔注入輸送層、第2発光層、第2フォトレジスト層を溶解しないものであることが好ましい。
電荷注入輸送層を発光層形成用塗工液の溶媒に対して不溶なものとするには、電荷注入輸送層に、硬化性バインダ、または、熱エネルギーもしくは放射線の作用により溶解性が変化する材料を用いるか、あるいは、電荷注入輸送層および発光層にそれぞれ溶解性が異なる材料を用いればよい。
また、電荷注入輸送層を発光層形成用塗工液の溶媒に対して不溶なものとするために、電荷注入輸送層に、光開始剤等を含有させてもよい。例えば、正孔注入輸送層上に発光層形成用塗工液を塗布して発光層を形成する場合であって、発光層に高分子系発光材料を用い、正孔注入輸送層に、ポリ(3,4−アルケンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)またはその誘導体等の導電性高分子を用いた場合、一般的に、正孔注入輸送層は発光層形成用塗工液の溶媒に対して不溶なものとはならない。しかしながら、Applied physics letter, Vol 81, (2002)に記載されているような光開始剤等を、上記導電性高分子に混合することにより、紫外線照射によって硬化させることができる。
中でも、電荷注入輸送層を発光層形成用塗工液の溶媒に対して不溶なものとするには、電荷注入輸送層に、硬化性バインダ、または、熱エネルギーもしくは放射線の作用により溶解性が変化する材料を用いることが好ましい。すなわち、電荷注入輸送層形成用塗工液が、硬化性バインダ、または、熱エネルギーもしくは放射線の作用により溶解性が変化する材料を含有することが好ましい。図2(a)に示す例においては、正孔注入輸送層4(電荷注入輸送層)に、硬化性バインダ、または、熱エネルギーもしくは放射線の作用により溶解性が変化する材料を含有させることが好ましい。電荷注入輸送層が発光層形成用塗工液の溶媒に対して不溶であれば、発光層形成時に電荷注入輸送層に含まれる有機材料等が溶出するのを防ぐことができ、電荷注入輸送層の特性が低下するのを抑制することができる。
以下、電荷注入輸送層が、硬化性バインダを含有する場合と、熱エネルギーまたは放射線の作用により溶解性が変化する材料を含有する場合とに分けて説明する。
(硬化性バインダ)
電荷注入輸送層に用いられる硬化性バインダとしては、熱エネルギーまたは放射線の作用により硬化するものであることが好ましく、例えば、ゾルゲル反応液、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を挙げることができる。なお、ゾルゲル反応液とは、硬化後にゲル化する反応液をいう。
中でも、硬化性バインダは、オルガノポリシロキサンを含むことが好ましい。オルガノポリシロキサンは、汎用性が高く、入手が容易だからである。また、特殊な反応条件を必要とせず、簡便な方法によりオルガノポリシロキサンの架橋反応を進行させることができるので、オルガノポリシロキサンは取扱い易いという利点も有する。
上記オルガノポリシロキサンとしては、例えば特開2000−249821号公報に記載されているもの等を用いることができる。
電荷注入輸送層は、上記硬化性バインダと、上記「A.有機EL素子」の電荷注入輸送層の項に記載した材料とを含有することが好ましい。このような電荷注入輸送層は、正孔もしくは電子の注入効率が良く、また硬化されたものとすることができ、良好に機能するからである。
電荷注入輸送層形成用塗工液は、上記の硬化性バインダおよび材料等を、溶媒に分散もしくは溶解して調製される。例えば、硬化性バインダがオルガノポリシロキサンを含む場合には、溶媒としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系が好ましく用いられる。
電荷注入輸送層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法等が挙げられる。
電荷注入輸送層は、電荷注入輸送層形成用塗工液を塗布して得られる塗膜に硬化処理を行うことにより、形成することができる。
硬化処理としては、熱エネルギーの付与、または放射線の照射が挙げられる。熱エネルギーの付与としては、80〜250℃程度、好ましくは100〜200℃程度の温度で加熱すればよい。これにより、シランカップリング反応を進行させて、電荷注入輸送層を架橋硬化することができる。
(熱エネルギーまたは放射線の作用により溶解性が変化する材料)
ここで、材料の溶解性が変化するとは、材料の主成分が溶解もしくは分散する溶媒の極性が変化することをいう。熱エネルギーまたは放射線の作用により溶解性が変化する材料を含有する層に対して、熱エネルギーを付与または放射線を照射することにより、材料の溶解性を変化させると、その層を形成するために用いた塗工液の溶媒と、熱エネルギー付与または放射線照射後の層が溶解する溶媒とでは、極性が異なるものとなる。
材料の溶解性が変化する程度としては、熱エネルギー付与または放射線照射後の電荷注入輸送層が、電荷注入輸送層形成用塗工液に用いた溶媒に、実質的に溶解したり混和したりしない程度であればよい。具体的には、熱エネルギー付与または放射線照射後の電荷注入輸送層の溶解性が、電荷注入輸送層形成用塗工液に用いた溶媒に対して、5nm以下/minとなることを指標にすることができる。
電荷注入輸送層に用いられる、熱エネルギーまたは放射線の作用により溶解性が変化する材料としては、例えば、親水性有機材料の親水性基の一部または全部が親油性基に変換されたものであり、かつ、熱エネルギーまたは放射線の作用により親油性基の一部または全部が親水性基に戻るものが好適に用いられる。
上記の材料においては、親水性有機材料の親水性基のすべてが親油性基に変換されている必要はない。親水性基が親油性基に変換されている割合としては、一般的な非水系有機溶剤に対して、所望の濃度以上の溶解性を保持し得る程度であればよい。具体的には、水、アルコール系溶剤に溶解もしくは分散する親水性有機材料が、一般的な非水系溶剤である、トルエン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン等に0.5質量%以上溶解する程度に、親水性基が親油性基に変換されていることが好ましい。
また、上記の材料においては、親油性基のすべてが親水性基に戻る必要はない。親油性基が親水性基に戻る割合としては、電荷注入輸送層が発光層形成用塗工液の溶媒に溶解しない程度であればよい。具体的には、トルエン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン等に0.5質量%以上溶解する材料が、トルエン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン等に不溶もしくは難溶になる程度に、親油性基が親水性基に戻ることが好ましい。この際、完全に当初の親水性有機材料に戻らなくてもよい。
上記親水性有機材料としては、親水性基を有し、水に分散もしくは溶解するものであればよく、電荷注入輸送層に求められる機能に応じて適宜選択される。例えば、正孔注入輸送層に用いられる親水性有機材料としては、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、トリフェニルアミンやトリフェニルジアミン等のアリールアミン類などが挙げられる。ポリアルキルチオフェン誘導体およびポリアニリン誘導体は、ポリスチレンスルホン酸等の酸によりドーピングされていてもよい。
また、親水性基としては、変換反応の容易さから、塩を含まない、スルホン酸基、カルボン酸基、水酸基が好ましい。
上記の正孔注入輸送層に用いられる親水性有機材料としては、変換処理に対する耐久性、精製の容易さ、コストの点から、ポリスチレンスルホン酸もしくはポリチオフェンスルホン酸またはそれらの誘導体を含んでいることが好ましい。
親水性有機材料における親水性基を親油性基に変換する方法としては、熱エネルギーまたは放射線の作用により親油性基の一部または全部が親水性基に戻ることから、保護反応を利用する方法であることが好ましい。ここで、保護反応とは、親水性基を誘導体化して、一時的に親水性基に保護基を導入する反応をいう。保護反応としては、エステル化、アセチル化、トシル化、トリフェニルメチル化、アルキルシリル化、またはアルキルカルボニル化であることが好ましい。
具体的な保護反応としては、スルホン酸基やカルボン酸基の少なくとも一部を、五酸化リンや塩化チオニルなどの塩素化剤により、スルホクロリド基やカルボニルクロリド基に変換し、これらの塩化物にメタノールやエタノール等のアルコールを反応させてエステル化する方法が挙げられる。
このように親水性有機材料の親水性基の一部または全部が親油性基に変換された材料は、親水性基に保護基が導入されたために、溶解性が親水性から親油性に変化する。
電荷注入輸送層形成用塗工液は、上記の親水性有機材料の親水性基の一部または全部が親油性基に変換された材料を、溶媒に分散もしくは溶解することにより調製することができる。この際、溶媒としては、親油性の材料を分散もしくは溶解できるものが用いられる。このような溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。
また、電荷注入輸送層形成用塗工液中の、親水性有機材料の親水性基の一部または全部が親油性基に変換された材料の濃度としては、材料の成分または組成によって異なるものではあるが、通常、0.1質量%以上で設定され、好ましくは1質量%〜5質量%程度である。
電荷注入輸送層は、上記電荷注入輸送層形成用塗工液を塗布して得られる塗膜に、熱エネルギーを付与または放射線を照射して、塗膜の溶解性を変化させることにより、得ることができる。上記電荷注入輸送層形成用塗工液の塗布後には、乾燥を行ってもよい。電荷注入輸送層形成用塗工液塗布後の塗膜の溶解性は、親油性となっている。
この塗膜に熱エネルギーを付与または放射線を照射すると、上記保護反応により導入された保護基が脱離し、揮散する。具体的には、エステル化されたスルホン酸基やカルボン酸基に、熱エネルギーを付与または放射線を照射すると、エステル結合が分解され、フリーまたは塩の状態のスルホン酸基やカルボン酸基が復元される。
保護基が脱離すると、膜の溶解性が親油性から親水性に変化する。このように親水性となった膜は、電荷注入輸送層形成用塗工液に用いた溶媒には混和しなくなる。すなわち、熱エネルギー付与または放射線照射後の電荷注入輸送層は、電荷注入輸送層形成用塗工液の溶媒に対して不溶となる。
熱エネルギーの付与としては、例えば、約200〜220℃で約60〜90分間加熱処理すればよい。この加熱処理は、電荷注入輸送層形成用塗工液塗布後の乾燥と同時に行ってもよい。
また、放射線としては、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線の照射条件としては、例えば、200〜250mJ/cm程度(波長:400nm以下)で設定することができる。また、電子線の照射条件としては、例えば、500kV以上、35mAで設定することができる。
なお、電荷注入輸送層のその他の点については、上記「A.有機EL素子」の電荷注入輸送層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(b)発光層形成工程
本態様における発光層形成工程は、電荷注入輸送層上に発光層を形成する工程である。
本態様において、複数色の発光層をパターン状に形成する場合、各発光層にはそれぞれ異なる種類の発光材料が用いられる。
発光層の形成方法としては、上記「A.有機EL素子」の発光層の項に記載した発光材料等を含む発光層形成用塗工液を塗布する方法、あるいは、真空蒸着法等を用いることができる。中でも、製造コスト低減の観点から、発光層形成用塗工液を塗布する方法が好ましい。
電荷注入輸送層上に発光層形成用塗工液を塗布して発光層を形成する場合には、電荷注入輸送層を形成する材料が発光層形成用塗工液に混合したり溶解したりするのを防ぐとともに、発光材料本来の発光特性を保つために、発光層形成用塗工液には、電荷注入輸送層を溶解しない溶媒を用いることが好ましい。具体的には、発光層形成用塗工液に用いられる溶媒は、電荷注入輸送層の溶解性が5nm以下/minであることが好ましい。
例えば、正孔注入輸送層を形成する材料が水系溶媒やジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DIMSO)、アルコール等の極性溶媒に溶解する場合には、上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンの各異性体およびそれらの混合物、メシチレン、テトラリン、p−シメン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ブチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンの各異性体およびそれらの混合物等の芳香族系;アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジグライム等のエーテル系;ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1−クロロナフタレン等の塩素系;シクロヘキサノンなどが好ましく用いられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本態様において、図4および図5に例示するように有機EL素子を作製する場合であって、第2正孔注入輸送層上に、第2発光層形成用塗工液を塗布して第2発光層を形成する場合には、第1発光層は、第2発光層形成用塗工液の溶媒に対して、不溶、難溶および可溶のいずれであってもよい。第2発光層形成前において、第1発光層は、第2正孔注入輸送層によって覆われているため、第2発光層形成用塗工液の溶媒に対して可溶であっても、その溶媒に接触することがなく、溶解しないからである。
また、第3正孔注入輸送層上に、第3発光層形成用塗工液を塗布して第3発光層を形成する場合には、第1発光層および第2発光層は、第3発光層形成用塗工液の溶媒に対して、不溶、難溶および可溶のいずれであってもよい。
発光層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、ディップコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、キャスティング法、フレキソ印刷法等を挙げることができる。
上記発光層形成用塗工液の塗布後は、乾燥を行ってもよい。
本態様における発光層は硬化剤を含まないものであり、また発光層形成時には硬化・架橋処理を行わない。このため、発光層は、発光層形成用塗工液の溶媒に対して可溶な状態のままとなっている。
なお、発光層のその他の点については、上記「A.有機EL素子」の発光層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(c)フォトレジスト層形成工程
本態様におけるフォトレジスト形成工程は、発光層上にフォトレジスト層を形成する工程である。
本態様に用いられるフォトレジストは、ポジ型およびネガ型のいずれであってもよい。中でも、フォトレジストの剥離し易さを考慮すると、ポジ型フォトレジストが好ましい。フォトレジストとしては、一般的なものを用いることができ、例えば、ノボラック系樹脂、ゴム+ビスアジド系樹脂等を挙げることができる。
本態様において、図4および図5に例示するように有機EL素子を作製する場合、フォトレジスト層としては第1、第2および第3の3種類を用いているが、いずれも便宜上使い分けているだけであり、すべて同様のフォトレジスト層であってもよい。
また、フォトレジストに用いられるフォトレジスト溶媒としては、発光層上にフォトレジストを塗布した際に発光層がフォトレジストに混合したり溶解したりするのを防ぐために、発光材料等を溶解しないものであることが好ましい。具体的には、フォトレジスト溶媒は、発光層の溶解性が5nm以下/minであることが好ましい。
具体的には、フォトレジスト溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系;プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のセロソルブアセテート系;プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系;メタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール系;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系;シクロヘキサン、デカリンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本態様において、図4および図5に例示するように有機EL素子を作製する場合であって、第1電荷注入輸送層、第1発光層および第1フォトレジスト層がパターン状に形成された基板上に、第2正孔注入輸送層形成用塗工液を塗布して第2正孔注入輸送層を形成する場合には、第1フォトレジスト層は、第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒に対して不溶であることが好ましい。すなわち、第1フォトレジスト層の溶解性は、第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒に対して5nm以下/minであることが好ましい。これにより、第2正孔注入輸送層形成時に、第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒が第1フォトレジスト層に接触しても、第1フォトレジスト層は溶解されないので、安定して第2正孔注入輸送層を積層することができるからである。
また、第1電荷注入輸送層、第1発光層および第1フォトレジスト層がパターン状に形成され、第2電荷注入輸送層、第2発光層および第2フォトレジスト層がパターン状に形成された基板上に、第3正孔注入輸送層形成用塗工液を塗布して第3正孔注入輸送層を形成する場合には、第1フォトレジスト層および第2フォトレジスト層は、第3正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒に対して不溶であることが好ましい。すなわち、第1フォトレジスト層および第2フォトレジスト層の溶解性は、第3正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒に対して5nm以下/minであることが好ましい。これにより、第3正孔注入輸送層形成時絵に、第3正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒が第1フォトレジスト層および第2フォトレジスト層に接触しても、第1フォトレジスト層および第2フォトレジスト層は溶解されないので、安定して第3正孔注入輸送層を積層することができるからである。
第1フォトレジスト層を第2正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒に対して不溶なものとするためには、第1フォトレジスト層と第2正孔注入輸送層とに溶解性が異なる材料を用いればよい。また、第1フォトレジスト層および第2フォトレジスト層を第3正孔注入輸送層形成用塗工液の溶媒に対して不溶なものとするために、第1フォトレジスト層および第2フォトレジスト層と第3正孔注入輸送層とに溶解性が異なる材料を用いればよい。
また、第2フォトレジスト層形成工程にて用いられるフォトレジスト溶媒は、第1電荷注入輸送層、第1発光層および第1フォトレジスト層を溶解するものであってもよく溶解しないものであってもよい。第2フォトレジスト層形成前において、第1電荷注入輸送層、第1発光層および第1フォトレジスト層は、第2電荷注入輸送層および第2発光層によって覆われているため、フォトレジスト溶媒に対して可溶であっても、その溶媒に接触することがなく、溶解しないからである。
さらに、第3フォトレジスト層形成工程にて用いられるフォトレジスト溶媒は、第1電荷注入輸送層、第1発光層、第1フォトレジスト層、第2電荷注入輸送層、第2発光層、第2フォトレジスト層を溶解するものであってもよく溶解しないものであってもよい。
フォトレジストの塗布方法としては、基板上の全面に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、スプレーコート法、フレキソ印刷法等が用いられる。
フォトレジスト層の膜厚は、特に限定されるものではないが、後述する発光層・電荷注入輸送層パターニング工程にて、発光層および電荷注入輸送層をドライエッチングする場合には、0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.5μm〜5μmの範囲内である。フォトレジスト層の膜厚が上記範囲であれば、レジスト機能を保ったまま、加工精度の高いドライエッチングが可能となるからである。
(d)フォトレジスト層パターニング工程
本態様におけるフォトレジスト層パターニング工程は、フォトレジスト層をパターン露光し、現像することにより、フォトレジスト層をパターニングする工程である。
フォトレジスト層をパターン露光する方法としては、例えば、フォトマスクを介して露光する方法、レーザー描画法など、一般的な方法を用いることができる。
パターン露光の際、ポジ型フォトレジストを用いた場合には、少なくとも発光領域が非露光領域となるように露光し、ネガ型フォトレジストを用いた場合には、少なくとも発光領域が露光領域となるように露光する。
本態様に用いられるフォトレジスト現像液としては、発光材料等を溶解しないものであれば特に限定されるものではない。具体的には、フォトレジスト現像液は、発光層の溶解性が5nm以下/minであることが好ましい。このようなフォトレジスト現像液としては、一般的に使用されている有機アルカリ系現像液を使用できる。また、フォトレジスト現像液として、無機アルカリ系現像液や、第1フォトレジスト層の現像が可能な水溶液を使用することもできる。
また、フォトレジスト層を現像した後は、水で洗浄するのが好ましい。
(e)発光層・電荷注入輸送層パターニング工程
本態様における発光層・電荷注入輸送層パターニング工程は、フォトレジスト層が除去された部分の発光層および電荷注入輸送層を除去することにより、発光層および電荷注入輸送層をパターニングする工程である。
発光層および電荷注入輸送層の除去方法としては、発光層および電荷注入輸送層を溶解する溶媒を用いるウェットエッチング、およびドライエッチングのいずれも用いることができる。中でも、混色等が生じにくく、また高精細なパターニングが可能であることから、ドライエッチングが好ましい。
ウェットエッチングでは、フォトレジスト層を溶解することなく、発光層および電荷注入輸送層を溶解することができる溶媒を用いて、フォトレジスト層が除去された部分の発光層および電荷注入輸送層を溶解して除去する。この際に使用できる溶媒としては、上述した発光層形成用塗工液、正孔注入輸送層形成用塗工液、電子注入輸送層形成用塗工液等に用いられる溶媒を例示することができる。
また、ウェットエッチングでは、超音波浴中で発光層および電荷注入輸送層の除去を行ってもよい。超音波浴を用いることにより、例えば発光層のパターンの線幅が細くなったり、発光層から発光材料等が流出したりするのを防ぐことができ、高精度のパターニングが可能となるからである。また、短時間で高精度のパターニングが可能となる点でも好ましい。
この超音波浴に用いる超音波の条件は、25℃、20〜100kHzの発振周波数で、0.1〜60秒間が好ましい。このような条件とすることで、短時間で精度の高いパターニングが可能となるからである。
また、ドライエッチングでは、フォトレジスト層の膜厚が発光層および電荷注入輸送層よりもかなり厚いことから、基板に対して全体的にドライエッチングを行うことにより、フォトレジスト層が除去された部分の発光層および電荷注入輸送層を除去することができる。ドライエッチングを用いれば、エッチングの端部をよりシャープとすることができるため、発光層および電荷注入輸送層のパターンの端部に存在する膜厚不均一領域をより狭くすることができ、その結果、より高精細なパターニングが可能となる。
ドライエッチングの方法としては、例えば、大気圧プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、不活性ガスによるプラズマエッチング、レーザー、イオンビーム等によるエッチングなどを用いることができる。
反応性イオンエッチングでは、有機膜が化学的に反応を受け、分子量の小さい化合物となることにより、気化・蒸発して除去される。このため、反応性イオンエッチングを用いた場合には、エッチング精度が高く、短時間での加工が可能となる。
また、大気圧プラズマエッチングを用いた場合には、真空装置を要することがなく、処理時間の短縮およびコストの低減が可能である。大気圧プラズマエッチングでは、プラズマ化した大気中の酸素によって有機物が酸化分解することを利用する。この際、ガスの置換および循環によって、反応雰囲気のガス組成を任意に調整してもよい。
さらに、ドライエッチングに際して、酸素単体または酸素を含むガスを用いてもよい。酸素単体または酸素を含むガスを用いることで、有機膜の酸化反応による分解除去が可能であり、不要な有機物を除去することができるからである。
(ii)サイドエッチング工程
本態様におけるサイドエッチング工程は、パターン状の電荷注入輸送層のみをサイドエッチングする工程である。本工程においては、電荷注入輸送層のパターンの端部から中心部に向けてエッチングする。
本態様において、図4および図5に例示するように、3色の発光層をパターン状に形成する場合、サイドエッチング工程は、各発光層・電荷注入輸送層パターニング工程後に毎回行ってもよく、最後の発光層・電荷注入輸送層パターニング工程後に1回のみ行ってもよい。中でも、工程の簡略化の観点から、最後の発光層・電荷注入輸送層パターニング工程後に1回のみサイドエッチング工程を行うことが好ましい。
電荷注入輸送層のパターンの端部をエッチングする方法としては、電荷注入輸送層を溶解する溶媒を用いるウェットエッチング、およびドライエッチングのいずれも用いることができる。
ウェットエッチングでは、電荷注入輸送層を溶解することができる溶媒を用いて、電荷注入輸送層のパターンの端部を溶解する。エッチャントとしては、電荷注入輸送層を溶解することができる溶媒であれば特に限定されるものではないが、中でも、発光層を溶解しない溶媒であることが好ましく、さらにはフォトレジスト層を溶解しない溶媒であることが好ましい。この際に使用できる溶媒としては、上述した正孔注入輸送層形成用塗工液等に用いられる溶媒を例示することができる。
なお、ウェットエッチングおよびドライエッチングのその他の点については、上記発光層・電荷注入輸送層パターニング工程の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
電荷注入輸送層のパターンの端部を所望の部分だけエッチングするには、エッチング時間を適宜調整すればよい。
(iii)剥離工程
本態様におけるパターン形成工程では、通常、サイドエッチング工程後に、残存するフォトレジスト層を剥離する剥離工程が行われる。パターニングされた発光層上に残存するフォトレジスト層を剥離することなく、サイドエッチングを行うことにより、フォトレジスト層によって、電荷注入輸送層をサイドエッチングするときの発光層表面へのダメージを防ぐことができる。
フォトレジスト層を剥離する方法としては、フォトレジスト剥離液に基板を浸漬させる方法、フォトレジスト剥離液をシャワー状に基板に噴出する方法等を用いることができる。
フォトレジスト剥離液は、発光層および電荷注入輸送層を溶解せずに、フォトレジスト層を溶解することができるものであれば特に限定されるものではなく、使用するフォトレジストおよび発光材料の組み合わせ等により異なるものであり、適宜選択される。具体的には、フォトレジスト剥離液は、フォトレジスト層の溶解性が20nm超/minであり、発光層および電荷注入輸送層の溶解性がそれぞれ20nm以下/min、中でも5nm以下/minであることが好ましい。
このようなフォトレジスト剥離液としては、上述したフォトレジスト溶媒を使用することができる。また、ポジ型フォトレジストを用いた場合は、フォトレジスト現像液をフォトレジスト剥離液として用いることができる。さらに、フォトレジスト剥離液として、強アルカリ水溶液、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等、それらの混合物、および、市販のフォトレジスト剥離液を用いてもよい。
(2)その他の工程
本態様においては、通常、基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程、および、第2電極層を形成する第2電極層形成工程が行われる。なお、第1電極層および第2電極層の形成方法等については、上記「A.有機EL素子」の第1電極層および第2電極層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
また、本態様においては、基板上に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行ってもよい。なお、絶縁層の形成方法等については、上記「A.有機EL素子」の絶縁層の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(正孔注入輸送層の形成)
第1電極層としてITO膜がパターン状に形成された基板(6インチ□、板厚1.1mm)を準備し、洗浄した。また、正孔注入輸送層形成用塗工液として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)の水分散体(バイエル社製、Baytron P)を用いた。上記基板上に、スクリーン印刷にて、上記正孔注入輸送層形成用塗工液を塗布し、発光領域に対応させて、膜厚800Åのドットパターン状の正孔注入輸送層を形成した。
(発光層の形成)
ポリビニルカルバゾール 70重量部と、オキサジアゾール 30重量部と、ジシアノメチレンピラン誘導体 1重量部とを、モノクロロベンゼン 4900重量部に混合分散し、赤色発光層用形成用塗工液を調製した。上記正孔注入輸送層上に、スクリーン印刷にて、この赤色発光層形成用塗工液を塗布し、正孔注入輸送層の全面を覆うように、発光層を形成した。その後、100℃で1時間乾燥した。
(第2電極層の形成)
次に、上記発光層上に、Caを500Åの厚みで蒸着し、さらに、保護層としてAgを2500Åの厚みで蒸着して、第2電極層を形成した。このようにして、有機EL素子を得た。
(発光特性の評価)
ITO電極側を正極、金属電極側を負極として、ソースメーターに接続し、直流電流を印加したところ、10V印加時に発光層より発光が認められた。短絡による素子特性の劣化は確認されなかった。
[実施例2]
(正孔注入輸送層の形成)
第1電極層としてITO膜がパターン状に形成された基板(6インチ□、板厚1.1mm)を準備し、洗浄した。また、正孔注入輸送層形成用塗工液として、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)の水分散体(バイエル社製、Baytron P)を用いた。この正孔注入輸送層形成用塗工液 0.5mlを、上記基板の中心部に滴下して、2500rpmで20秒間のスピンコーティングを行った。これにより、膜厚800Åの正孔注入輸送層を形成した。
(発光層の形成)
ポリビニルカルバゾール 70重量部と、オキサジアゾール 30重量部と、ジシアノメチレンピラン誘導体 1重量部とを、モノクロロベンゼン 4900重量部に混合分散し、赤色発光層用形成用塗工液を調製した。この赤色発光層形成用塗工液 1mlを、上記正孔注入輸送層が形成された基板の中心部に滴下して、2000rpmで10秒間のスピンコーティングを行った。これにより、膜厚800Åの発光層を形成した。
(フォトレジスト層の形成)
ポジ型フォトレジスト(東京応化社製、OFPR-800)2mlを、上記の正孔注入輸送層および発光層が形成された基板の中心部に滴下して、500rpmで10秒間、さらに2000rpmで20秒間のスピンコーティングを行った。得られた塗膜の膜厚は約1μmであった。その後、80℃で30分間プリベークを行った。
(正孔注入輸送層および発光層のパターニング)
次に、アライメント露光機に、露光マスクと上記フォトレジスト層が形成された基板とを配置し、上記基板の非発光領域に紫外線露光した。レジスト現像液(東京応化社製、NMD-3)で20秒間現像した後、水洗し、露光領域のフォトレジスト層を除去した。その後、120℃で30分間ポストベークした。
次に、酸素プラズマを用いた反応性イオンエッチングにより、フォトレジスト層が除去された部分の正孔注入輸送層および発光層を除去した。
次に、得られた基板を純水中に5分間浸漬させ、正孔注入輸送層のサイドエッチングを行った。その後、100℃で1時間乾燥した。
純水浸漬後の基板を光学顕微鏡にて観察したところ、正孔注入輸送層の端部が純水で浸食されて、正孔注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側になっていることを確認した。
(フォトレジスト層の剥離)
次いで、アセトンを用いて、残存するフォトレジスト層を除去した。
(第2電極層の形成)
次に、上記発光層上に、Caを500Åの厚みで蒸着し、さらに、保護層としてAgを2500Åの厚みで蒸着して、第2電極層を形成した。このようにして、有機EL素子を得た。
(発光特性の評価)
ITO電極側を正極、金属電極側を負極として、ソースメーターに接続し、直流電流を印加したところ、10V印加時に発光層より発光が認められた。短絡による素子特性の劣化は見られなかった。
[比較例1]
実施例2において、正孔注入輸送層および発光層のパターニングの際に、得られた基板を純水中に浸漬しなかった以外は、実施例2と同様にして有機EL素子を作製した。
(発光特性の評価)
ITO電極側を正極、金属電極側を負極として、ソースメーターに接続し、直流電流を印加したところ、10V印加時に発光層より発光が認められた。しかしながら、部分的に、正孔注入輸送層および第2電極層間で短絡が確認され、基板上の配線に焼きつきが生じた。
[実施例3]
(第1電極層の形成)
透明ガラス基板上に、マスクを介して、酸化インジウム錫(ITO)を蒸着して、第1電極層をパターン状に形成した。
(第1正孔注入輸送層の形成)
ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)の水分散体(バイエル社製、Baytron P)に、有機官能基としてグリシド基(-CHOCH2)を有するγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東芝シリコーン社製、TSL8350)を、PEDOT/PSS固形分に対して10重量%添加し、正孔注入輸送層形成用塗工液を調製した。上記基板上の全面に、この正孔注入輸送層形成用塗工液をスピンコート法により、乾燥後の膜厚が800Åとなるように塗布し、ホットプレートで100℃、10分間加熱して硬化処理を行い、第1正孔注入輸送層を形成した。
(第1発光層の形成)
ポリビニルカルバゾール 70重量部と、オキサジアゾール 30重量部と、ジシアノメチレンピラン誘導体 1重量部とを、モノクロロベンゼン 4900重量部に混合分散し、赤色発光層用形成用塗工液を調製した。この赤色発光層形成用塗工液 1mlを、上記第1正孔注入輸送層が形成された基板の中心部に滴下して、2000rpmで10秒間のスピンコーティングを行った。これにより、膜厚800Åの第1発光層を形成した。
(第1フォトレジスト層の形成)
上記第1発光層上の全面に、ポジ型フォトレジスト(東京応化社製、OFPR-800)をスピンコート法により、乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗布し、乾燥させ、第1フォトレジスト層を形成した。
(第1正孔注入輸送層および第1発光層のパターニング)
第1発光領域が遮光部となるように設計されたフォトマスク(ライン幅(遮光部)85μm、スペース幅(透過部)215μm)を用いて、アライメント露光機により紫外線を照射した。次いで、レジスト現像液(東京応化社製、NMD-3)により露光領域の第1フォトレジスト層を除去した。
その後、大気圧プラズマ装置によりドライエッチングを行い、第1フォトレジスト層が除去された部分の第1正孔注入輸送層および第1発光層を除去した。
(第2正孔注入輸送層の形成)
次に、残った第1フォトレジスト層を剥離することなく、上記基板上の全面に、上記正孔注入輸送層形成用塗工液をスピンコート法により、乾燥後の膜厚が800Åとなるように塗布し、ホットプレートで100℃、10分間加熱して硬化処理を行い、第2正孔注入輸送層を形成した。
(第2発光層の形成)
ポリビニルカルバゾール 70重量部と、オキサジアゾール 30重量部と、クマリン6 1重量部とを、モノクロロベンゼン 4900重量部に混合分散し、緑色発光層用形成用塗工液を調製した。この緑色発光層形成用塗工液 1mlを、上記第2正孔注入輸送層が形成された基板の中心部に滴下して、2000rpmで10秒間のスピンコーティングを行った。これにより、膜厚800Åの第2発光層を形成した。
(第2フォトレジスト層の形成)
上記第2発光層上の全面に、ポジ型フォトレジスト(東京応化社製、OFPR-800)をスピンコート法により、乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗布し、乾燥させ、第2フォトレジスト層を形成した。
(第2正孔注入輸送層および第2発光層のパターニング)
上記フォトマスクを用い、このフォトマスクを基板に対して1ピッチ分(100μm)ずらして配置し、アライメント露光機により紫外線を照射した。次いで、レジスト現像液(東京応化社製、NMD-3)により露光領域の第2フォトレジスト層を除去した。
その後、大気圧プラズマ装置によりドライエッチングを行い、第2フォトレジスト層が除去された部分の第2正孔注入輸送層および第2発光層を除去した。
(第3正孔注入輸送層の形成)
次に、残った第1フォトレジスト層および第2フォトレジスト層を剥離することなく、上記基板上の全面に、上記正孔注入輸送層形成用塗工液をスピンコート法により、乾燥後の膜厚が800Åとなるように塗布し、ホットプレートで100℃、10分間加熱して硬化処理を行い、第3正孔注入輸送層を形成した。
(第3発光層の形成)
ポリビニルカルバゾール 70重量部と、オキサジアゾール 30重量部と、ペリレン 1重量部とを、モノクロロベンゼン 4900重量部に混合分散し、青色発光層用形成用塗工液を調製した。この青色発光層形成用塗工液 1mlを、上記第3正孔注入輸送層が形成された基板の中心部に滴下して、2000rpmで10秒間のスピンコーティングを行った。これにより、膜厚800Åの第3発光層を形成した。
(第3フォトレジスト層の形成)
上記第3発光層上の全面に、ポジ型フォトレジスト(東京応化社製、OFPR-800)をスピンコート法により、乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗布し、乾燥させ、第3フォトレジスト層を形成した。
(第3正孔注入輸送層および第3発光層のパターニング)
上記フォトマスクを用い、このフォトマスクを基板に対して2ピッチ分(200μm)ずらして配置し、アライメント露光機により紫外線を照射した。次いで、レジスト現像液(東京応化社製、NMD-3)により露光領域の第3フォトレジスト層を除去した。
その後、大気圧プラズマ装置によりドライエッチングを行い、第3フォトレジスト層が除去された部分の第3正孔注入輸送層および第3発光層を除去した。
得られた基板を光学顕微鏡により観察したこところ、各正孔注入輸送層および各発光層はライン幅85μm、スペース幅15μmのパターンを有するものであった。
(各正孔注入輸送層のサイドエッチング)
次に、得られた基板をアルカリ水溶液中に5分間浸漬させ、正孔注入輸送層のサイドエッチングを行った。
アルカリ水溶液浸漬後の基板を光学顕微鏡にて観察したところ、正孔注入輸送層の端部がアルカリ水溶液で浸食されて、正孔注入輸送層のパターンのエッジが発光層のパターンのエッジよりも内側になっていることを確認した。
(各フォトレジスト層の剥離)
次に、未露光領域の残存している各フォトレジスト層をフォトレジスト溶媒に10分間浸漬し、フォトレジスト層部分のみ完全に除去した。その後、そのまま100℃で1時間乾燥させた。
(第2電極層の形成)
次いで、露出した各発光層上に、Caを500Åの厚みで蒸着し、さらに、保護層としてAgを2500Åの厚みで蒸着して、第2電極層を形成した。このようにして、有機EL素子を得た。
(発光特性の評価)
ITO電極側を正極、金属電極側を負極として、ソースメーターに接続し、直流電流を印加したところ、10V印加時にRGB三色の各発光層より発光が認められた。短絡による焼きつきや発光不良は確認されなかった。
本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の有機EL素子の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の有機EL素子の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の有機EL素子の製造方法の他の例を示す工程図である。
符号の説明
1、11 … 基板
2、12 … 第1電極層
3、13 … 絶縁層
4、14、14´、14´´ … 正孔注入輸送層
5、15、15´ … 発光層
6、16 … 第2電極層
21、21´ … フォトレジスト層
10 … 有機EL素子

Claims (7)

  1. 基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上にパターン状に形成された電荷注入輸送層と、前記電荷注入輸送層上にパターン状に形成された発光層と、前記発光層上に形成された第2電極層とを有し、
    前記電荷注入輸送層のパターンのエッジが、前記発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記発光層が、前記電荷注入輸送層の全面を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上にパターン状に形成された電荷注入輸送層と、前記電荷注入輸送層上にパターン状に形成された発光層と、前記発光層上に形成された第2電極層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
    前記電荷注入輸送層のパターンのエッジが前記発光層のパターンのエッジよりも内側に配置されるように、パターン状の前記電荷注入輸送層およびパターン状の前記発光層を形成するパターン形成工程を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記パターン形成工程が、パターン状の前記電荷注入輸送層の全面を覆うように、パターン状の前記発光層を形成する発光層形成工程を有することを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記パターン形成工程が、前記電荷注入輸送層のパターンのエッジが前記発光層のパターンのエッジと略同一に配置されるように、パターン状の前記電荷注入輸送層およびパターン状の前記発光層を形成するパターニング工程と、パターン状の前記電荷注入輸送層のみをサイドエッチングするサイドエッチング工程とを有することを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記パターニング工程にて、フォトリソグラフィー法により、前記電荷注入輸送層および前記発光層をパターニングすることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記パターニング工程が、前記第1電極層が形成された基板上に前記電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、前記電荷注入輸送層上に前記発光層を形成する発光層形成工程と、前記発光層上にフォトレジスト層を形成するフォトレジスト層形成工程と、前記フォトレジスト層をパターン露光し、現像することにより、前記フォトレジスト層をパターニングするフォトレジスト層パターニング工程と、前記フォトレジスト層が除去された部分の前記発光層および前記電荷注入輸送層を除去することにより、前記発光層および前記電荷注入輸送層をパターニングする発光層・電荷注入輸送層パターニング工程とを有し、
    前記パターン形成工程が、残存する前記フォトレジスト層を剥離する剥離工程を有し、
    前記サイドエッチング工程後に、前記剥離工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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