JP2008076125A - 凝固シェル厚測定方法および装置 - Google Patents

凝固シェル厚測定方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複雑な機構を伴わずに、十分なリフトオフで鋳片に対して非接触に超音波の透過信号を計測し、鋳片の厚みを測定することが可能な凝固シェル厚測定方法および装置を提供することを目的とする。
【解決手段】連続鋳造される鋳片を挟んで、該鋳片の対向する面に一対に配置した、圧電型振動子と局部水浸ノズルから構成される、第一の超音波センサーおよび第二の超音波センサーと、該第一および第二の超音波センサーに送信波を送信する波形送信部と、前記第一および第二の超音波センサーの受信信号を増幅する超音波信号受信部と、前記局部水浸ノズルの流量を制御する流量制御部と、前記超音波信号受信部からの信号から、鋳片内部を通過するのに要した時間tおよび鋳片の厚みDを求め、求めた厚みD、時間tと、鋳片の凝固部での音速と未凝固部の音速から凝固シェルの厚みの算出を行う演算部とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼材の連続鋳造において、鋳片の凝固層の厚み(凝固シェル厚み)を測定する凝固シェル厚測定方法および装置に関するものである。
連続鋳造では、鋳型に溶鋼を注入し、鋳型内で溶鋼が鋳型と接して冷却されて薄い凝固層(凝固シェル)を形成させて、徐々に鋳型から鋳片を引き抜きながら冷却して凝固シェルを鋳片中心に向かって成長させて、完全に凝固した鋳片を製造する。
鋳型内から鋳片を引き抜いた際に、鋳型内で形成される凝固シェルの厚みが十分ではなかったり、輻射熱により凝固シェルが溶解して薄くなったりすると、溶鋼の静圧に耐えられずに鋳型直下で凝固シェルが破れ、溶鋼が流出するブレークアウトが起きてしまう。一度、ブレークアウトが起きると、連続鋳造の長時間操業停止や連続鋳造設備損傷といった重大事故となる。そのため、鋳型直下で起きるブレークアウトを予知するために凝固シェルの厚みを測定する必要がある。
これまでに凝固シェルの厚みを測定する方法として、鋳片内部を透過する超音波の伝播時間t、凝固シェルの厚みd、鋳片の厚みD、凝固シェルでの音速Vs、および未凝固部での音速VLが、以下の(1)式の関係にあることを利用する方法が知られている。
Figure 2008076125
さらに(1)式から、凝固シェルの厚みdは、鋳片の厚みD、凝固シェルでの音速Vs、未凝固部での音速VL、および鋳片内部を透過する超音波の伝播時間tが得られれば、(2)式により求めることが可能となる。
Figure 2008076125
しかしながら、(2)式から凝固シェル厚を求める際、鋳片の厚みDの誤差が凝固シェルの厚みdの測定誤差に大きく影響するため、凝固シェルの厚みを精度良く測定するには、超音波が透過した部位での鋳片の厚みDの正確な計測が必要となってくる。
これに対して、特許文献1では、電磁超音波センサーにタッチロールを取り付け、昇降装置によって、計測時のみ電磁超音波センサーを鋳片に設置させ、電磁超音波センサーの昇降量から鋳片の厚みも同時に計測する技術が開示されている。
以下に、発明の開示で参照する文献についても、合わせて記載する。
特開昭60−31008号公報 W.KURTZ and B.Lux: Arch.Eisenhhutten wes.,39 (1968),S521
しかしながら、電磁超音波センサーの感度を十分にとるためには、リフトオフ(センサーと鋳片とのギャップ)を数mm程度にする必要があり、特許文献1で開示されている技術のようにタッチロールでセンサーを鋳片に押し付ける方法では、数100℃以上を超え、かつスケールも多い環境下で連続的に使用すると、センサーと鋳片の間にスケールが詰まってセンサーを破壊したり、倣いロールが固着して、センサーが鋳造ロールに巻き込まれたりするなどの問題がある。
さらに、鋳型直下では巨大な昇降装置を取り付けるスペースを確保することが困難であり、また複雑な機構を伴う装置はメンテナンスの面でも好ましくないという問題もある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、複雑な機構を伴わずに、十分なリフトオフで鋳片に対して非接触に超音波の透過信号を計測し、鋳片の厚みを測定することが可能な凝固シェル厚測定方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、連続鋳造される鋳片を挟んで、該鋳片の対向する面に配置された、圧電型振動子と局部水浸ノズルから構成される、第一の超音波センサーおよび第二の超音波センサーを用いて、局部水浸法により鋳片の凝固シェル厚を求める鋳片の凝固シェル厚測定方法であって、第一の超音波センサーから超音波を送信して、第二の超音波センサーで超音波の透過信号を受信して、第一の超音波センサーの振動子から第二の超音波センサーの振動子まで伝播するのに要した時間t1を計測するステップと、第一の超音波センサーから超音波を送信して、前記鋳片表面で反射した表面反射信号を第一の超音波センサーで受信して、第一の超音波センサーの圧電型振動子から対向する鋳片表面までの距離W1を超音波が伝播するのに要した時間t2を計測するステップと、第二の超音波センサーから超音波を送信して、前記鋳片表面で反射した表面反射信号を第二の超音波センサーで受信して、第二の超音波センサーの圧電型振動子から対向する鋳片表面までの距離W2を超音波が伝播するのに要した時間t3を計測するステップと、前記時間t1,時間t2、時間t3から、鋳片内部を通過するのに要した時間tおよび鋳片の厚みDを求め、求めた厚みD、時間tと、鋳片の凝固部での音速と未凝固部の音速から凝固シェルの厚みを測定するステップとを備えたことを特徴とする凝固シェル厚測定方法である。
また本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の凝固シェル厚測定方法において、前記凝固シェルの厚みを測定するステップは、前記時間t1から前記時間t2および時間t3を減算して前記時間tを求め、前記時間t2に水中音速を乗じて前記距離W1を求め、前記時間t3に水中音速を乗じて前記距離W2を求め、第一の超音波の圧電型振動子と第二の超音波の圧電型振動子との距離Daから前記距離W1と距離W2を減算して鋳片の厚みDを求めることを特徴とする凝固シェル厚測定方法である。
また本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の凝固シェル厚測定方法において、前記局部水浸ノズルの流量を、前記透過信号が所望の受信信号レベルになるように制御することを特徴とする凝固シェル厚測定方法である。
また本発明の請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の凝固シェル厚測定方法において、前記時間t1を計測するステップは、超音波の送受信を複数回行い、超音波の受信信号強度が所定値以上の場合のみ、時間t1を算出することを特徴とする凝固シェル厚測定方法である。
また本発明の請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の凝固シェル厚測定方法において、鋳片が第一の超音波センサーと第二の超音波センサーとの間に存在していない時に、第一の超音波センサーの局部水浸部と第二の超音波センサーの局部水浸部を結合して、一方の超音波センサーから超音波を送信し、もう一方の超音波センサーで透過信号を受信し、超音波が伝播するのに要した時間t4を計測し、この時間t4から前記距離Daを校正することを特徴とする凝固シェル厚測定方法である。
また本発明の請求項6に係る発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の凝固シェル厚測定方法において、前記時間t1を計測するステップと、前記時間t2を計測するステップおよび時間t3を計測するステップは、異なる時間に行うようにしたことを特徴とする凝固シェル厚測定方法である。
さらに本発明の請求項7に係る発明は、連続鋳造される鋳片を挟んで、該鋳片の対向する面に一対に配置した、圧電型振動子と局部水浸ノズルから構成される、第一の超音波センサーおよび第二の超音波センサーと、該第一および第二の超音波センサーに送信波を送信する波形送信部と、前記第一および第二の超音波センサーの受信信号を増幅する超音波信号受信部と、前記局部水浸ノズルの流量を制御する流量制御部と、前記超音波信号受信部からの信号から、鋳片内部を通過するのに要した時間tおよび鋳片の厚みDを求め、求めた厚みD、時間tと、鋳片の凝固部での音速と未凝固部の音速から凝固シェルの厚みの算出を行う演算部とを備えることを特徴とする凝固シェル厚測定装置である。
本発明では、連続鋳造される鋳片の対向する面に一対に配置した、圧電型振動子と局部水浸ノズルから構成される、第一の超音波センサーおよび第二の超音波センサーそれぞれの局部水浸部の流速を、前記鋳片表面が核沸騰膜状態に、かつ前記局部水浸部内に生じた沸騰膜及び気泡を押し流すように設定し、鋳片表面の計測する部位を冷却するようにして、第一の超音波センサーおよび第二の超音波センサーでの送受信を行うようにしたので、複雑な機構を伴わずに、十分なリフトオフで鋳片に対して非接触に超音波の透過信号を計測し、高い精度で鋳片および鋳片の凝固層の厚みを測定することが可能である。
以下、本発明について図面および数式を参照して以下に具体的に説明する。
図1は、本発明を実施するための最良の形態を示す図である。図1中、1は鋳型から引き抜かれた鋳片の凝固シェル部、2は鋳型から引き抜かれた鋳片の未凝固シェル部、3は第一の圧電型振動子、4は第二の圧電型振動子、5は第一の水柱ノズル(局部水浸ノズル)、6は第二の水柱ノズル(局部水浸ノズル)、7は水柱部、8はパルス送信手段、9は信号線接続切替用スイッチSW、10は受信信号増幅手段、11は受信信号記憶手段、12は計測評価手段をそれぞれ表す。流量制御装置は、水柱ノズルからの流量を制御する装置である。
図2は、超音波伝播経路を説明する図である。図2中、13は第一の振動子と鋳片表面までの距離W1、14は鋳片の厚みD、15は第二の振動子と鋳片までの距離W2、16は第一の振動子と第二の振動子との距離Daをそれぞれ表す。さらに、図3は、超音波伝播経路による受信信号の違いを説明する図である。
本発明では超音波の音響結合方法として、いわゆる局部水浸法、すなわち水柱法、部分水浸法、および噴流水浸法を用いている。一般的に、熱間材に対しては、音響結合に水を用いた場合、表面に生じた沸騰膜が鋳片への超音波の入射が妨げてしまうので、適用はできないとされている。本発明では局部水浸部の水を高速かつ高圧な流れとして、水柱の鋳片への衝突圧を増やして鋳片を冷却することで鋳片表面に生じる沸騰膜の状態を核沸騰膜状態にして、生じた沸騰膜および気泡を押し流すように、受信される信号強度が所定レベルになるように局部水浸部の水流の流量を流量制御装置で制御することで、鋳片との音響結合を行なう。
[第1の実施形態]
第一の圧電型振動子3と第二の圧電型振動子4は、図1に示すように、ともに各水柱ノズル(第一の水柱ノズル5および第二の水柱ノズル6)に組み込み、鋳片を挟んで対向するように配置する。このように配置することで、鋳片の透過エコーT(図2における経路1を伝播)と鋳片表面からの反射エコーS1(図2における経路2を伝播)およびS2(図2における経路3を伝播)を計測して、各伝播時間を計測して凝固シェルの厚みを測定する。
パルス送信手段8は、第一の圧電型振動子3および第二の圧電型振動子4を駆動するための電気パルスを、毎秒数100〜数1000発程度送信する送信部である。駆動された第一の圧電型振動子3および第二の圧電型振動子4からは超音波が送信され、鋳片表面で反射したエコーS1を第一の圧電型振動子3で、エコーS2及び鋳片を透過伝播した透過エコーTを第二の圧電型振動子4で受信する。
なお、透過エコーTは第一の振動子で受信しても、以下の動作は同じであることはいうまでもない。なお、このとき、各振動子で受信する信号の強度が、ノイズレベルと分離できないときは、局部水浸部の水流の流量を増加させて、ノイズよりエコーT,S1,S2の信号強度を大きくさせることが好ましい。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態においては、送信する超音波の音圧を1とすると、鋳片表面からの反射エコーの音圧は0.94程度、鋳片を透過するエコーの音圧は0.12程度と小さく、さらに、鋳片を透過するエコーは鋳片内部での散乱減衰の影響をうけることから、鋳片表面からの反射エコーに比べて非常に小さい音圧となる。したがって、第1の実施形態のように、第一の振動子と第二の振動子を同時に駆動して、超音波の送受信を行い、一度に透過エコーT、反射エコーS1およびS2を計測した場合、鋳片の成分、温度など製造条件が異なる検査対象によっては、反射エコーのS1とS2の尾引きノイズに重なったり、ベースノイズに埋もれてしまい、受信信号レベルが小さい透過エコーTをS/N良く受信することができないことが起こり得る。
そこで、例えば、パルス送信毎にSW(信号線接続切替スイッチ)9-1、9-2を切り替えて、表面からの反射エコーS1およびS2を計測するタイミングと透過エコーTを計測するタイミングを異ならせて、反射エコーS1,S2と透過エコーTとを確実に分離できるようにすることが望ましい。さらに、受信信号増幅部についてもパルス送信毎に、反射エコーS1およびS2、透過エコーTに応じて適切な増幅ができるように増幅ゲインを切り替えることが好ましい。
以下に、ここでの動作を説明する。SW9-1、9-2ともにONとすると、第一の振動子と第二の振動子が同時に駆動されて超音波が送信され、図2(A)に示す経路2と経路3を伝播する、反射エコーS1が第一の振動子で、反射エコーS2が第二の振動子で受信される。また、このままSWをONとしておくと、鋳片を透過するエコーTも受信されてしまうので、透過エコーTが受信される前に、SWをOFFとする。
なお、透過エコーと受信されたエコーは、各振動子で電気信号に変換されて受信信号増幅手段で増幅され、超音波記憶手段に記憶される。このとき、記憶される信号は、図3(A)に示すような反射エコーS1と反射エコーS2が重畳された波形となる。この際、反射エコーS1とS2の伝播距離は同じであると、両者の伝播時間が同じとなるので、両者とを分離できなくなる。
したがって、計測評価手段12においては、反射エコーS1と反射エコーS2の伝播時間を読み取る際、バルジングによる水距離W1とW2の変化量も考慮し、反射エコーS1と反射エコーS2は伝播時間軸上で完全に分離できるように、つまり、反射エコーS1と反射エコーS2の伝播時間が明確に異なるように、第一の超音波振動子および第二の超音波振動子の伝播距離を異ならせて配置する必要がある。
本発明では、第一の水柱ノズルの長さN1と第二の水柱ノズルの長さN2とに、長さDsだけの差をつけることで分離できるように工夫した。ここで図4を用いて、反射エコーS1と反射エコーS2を、伝播時間軸上で完全に分離できるようにする方法を説明する。図4中、17は第一の水柱ノズルの長さN1、18は第二の水柱ノズルの長さN2、19は片側におけるバルジング量である。Dsは、凝固シェル厚みを測定する箇所における片側での最大バルジング量Db、水の音速Cwから次式で求めるようにした。
Figure 2008076125
式(3)において、αは、図4中に示す反射エコーS1の変化範囲と反射エコーS2の変化範囲との伝播時間軸上でのマージンに相当する。通常は、α=0でもよいが、確実にS1とS2とを分離するためには、α>0として、αを大きな値とすることが好ましい。
式(3)に基づいて、ノズルの長さ|N1−N2|=DsとなるようにN1とN2を設定することで、反射エコーS1とS2を伝播時間軸上で重ならないように分離して、各伝播時間を計測可能となる。
SWがOFFのときは、第一の振動子のみが駆動され超音波が送信され、図3(B)に示す経路1伝播する透過エコーTが、第二の振動子で受信される。受信されたエコーは、第二の振動子で電気信号に変換されて受信信号増幅手段10で増幅され超音波記憶手段11に記憶される。
受信信号増幅手段以降は、図中に記載されていないA/D変換器によってデジタル化することで、PCやDSPなどを用いてソフトウェア的に実現している。受信信号記憶手段10は、パルス送信手段8からの送信パルスに対応した受信信号を記憶する際、一発ずつでも構わないし、複数の信号を記憶していっても良い。
次に、計測評価手段について説明する。計測評価手段12では、透過エコーTと反射エコーS1およびS2から、凝固シェルの厚みdを算出する。
まず、受信信号記憶手段に記憶された信号を用いて、図3(B)に示す透過エコーTから経路3を伝播するのに要した時間t1を、鋳片表面からの反射エコーS1から経路1(距離=2×W1)および反射エコーS2から経路2(距離=2×W2)を伝播するのに要した時間t2,t3を計測する。
各伝播時間の計測は、それぞれにゲートを設け、ゲート内での最大振幅のエコーを探索し、そのエコーの伝播時間を計測するようにする。超音波が鋳片内部を透過するのに要した時間tと時間t1、t2、t3との関係は、次式(4)で表される。
Figure 2008076125
したがって、式(4)を変形した式(5)から、時間t1、t2、t3を計測することによって、時間tが算出される。
Figure 2008076125
また、時間t2とt3、および水の音速Cwから、次式(6)および(7)で距離W1と距離W2を算出することができる。
Figure 2008076125
Figure 2008076125
これより、鋳片の厚みDを振動子間の距離Daと距離W1および距離W2を用いて、数式(8)を用いて求める。
Figure 2008076125
算出された鋳片の厚みD、鋳片内部のみを伝播するのに要した時間t、予め設定される凝固シェルでの音速Vs、未凝固部の音速VLとから、前述の(2)式を用いて凝固シェルの厚みdを算出する。未凝固部の音速VLは、非特許文献1で報告されている、実験値3930m/sとすればよい。
また、凝固シェルでの音速Vsは温度で変化するので、解析的や操業経験的に温度に関する情報に基づいて設定すればよい。例えば、鋳造速度や水柱部の流速の設定値や測定値に基づいて設定するようにすればよい。このときは、鋳造速度が速ければ鋳片温度が高くなるので音速Vsを遅めに設定し、鋳造速度が遅ければ鋳片温度が低くなるので音速Vsを速めに設定する。また水柱部の流速が速ければ鋳片温度が低くなるので音速Vsを速めに設定し、流速が遅ければ温度が高くなるので音速Vsを遅めに設定する。また、鋳片の表面温度を測定して、その表面温度に基づいて設定してもよい。
なお、振動子間の距離Daについては、鋳片が第一の超音波センサーと第二の超音波センサーとの間を通過していないときに、第一の水柱ノズルの水柱部と第二の水柱ノズルの水柱部を繋げて、第一の超音波センサーから超音波を送信し、第二の超音波センサーで透過エコーRwを受信して、その伝播時間t4を計測し、この時間t4から次式で距離Daを校正するようにしてもよい。これにより、熱による超音波振動子間の距離の変化や、経時変化による誤差をなくすことができる。
Figure 2008076125
なお、SW9-1、9-2を同時に切り替えて、透過エコーTと反射エコーS1,S2とを2回の測定で分離するようにしたが、SW9-1とSW9-2をONにするタイミングを異ならせて、第一の振動子と第二の振動子を駆動を異なるタイミングにして、取り込むようにしてもよい。この場合は、測定は3回となるが、この場合には、第一の超音波振動子と第二の超音波振動子の受信は完全に分離されるので、伝搬距離を同じであっても、検出が可能である。
図5は、本発明の一実施例を示す図である。図中、20はタイミング制御手段、21は受信信号初期増幅手段、22はスイッチSW2、23は有効信号選出手段、24は操業データベース、25は鋳造速度制御手段、26は表示手段である。なお、図1と符号が重なる部分については、説明を省略する。
図6は、有効信号選出手段における信号判定方法を説明する図である。実施例ではパルス送信毎にタイミング制御手段によりSW1とSW2を切り替えて、透過エコーTと表面反射エコーS1およびS2を交互に受信できるようにしている。
透過エコーTを受信したときは、SW2をch1に切り替え、受信された透過エコーTは受信信号初期増幅手段21で初期増幅され、さらに受信信号増幅手段10で増幅することで、極小さな信号を図中には記載されていないA/D変換器で、十分にA/D変換できる信号振幅のレベルまで増幅し、超音波記憶手段11に記憶する。
表面反射エコーを受信したときは、SW2をch2に切り替えて、受信信号初期増幅手段で増幅された信号を超音波記憶手段11に記憶する。
前述したとおり、本発明では水を介して音響結合を行なう。しかし、沸騰膜や気泡を除去しきれず、音響結合することができないときがある。このとき、透過エコーTのエコーレベルは低下する。音響結合することができなかったときは、伝播時間t1を計測することができなくなり、凝固シェルの厚みを算出することができない。そこで、有効信号選出手段23で音響結合されたときの超音波エコーのみを選出して、計測評価手段14で凝固シェル厚みを算出するようにしている。
図6に示すように、超音波記憶手段にはパルス送信毎にSW1とSW2が切り替わり、交互に表面反射エコーS1およびS2と透過エコーTが記憶される。この交互に記憶された反射エコーS1およびS2と透過エコーTを一組として、凝固シェルの厚みの算出を行なう。
有効信号選出手段23では、透過エコーTに対して、時間軸方向にゲート範囲と信号レベルに対して判定用閾値を設定する。十分に音響結合していれば、強い透過信号が受信されるが、音響結合されていなければ、超音波は透過せずに透過エコーTは弱まるので、ゲート内の信号の強さが判定閾値以上であれば、十分に音響結合されて透過してきた有効な振動であると判定し、閾値より低ければ、十分に音響結合されていない無効な信号であると判定する。図6の場合、(1)と(3)の組が有効と判定しており、これら有効と判定されたとき信号のみを用いて計測評価手段で凝固シェルの厚みの算出を行なう。
24は操業データベースで、ブレークアウトの発生有無、凝固シェルの厚み、鋳造速度、冷却パターンや冷却水量などをデータベース化しておく。また25は、鋳造速度制御手段で、算出された凝固シェル厚みを操業データベースと照らし合わせる。照らし合わせ結果、ブレークアウト発生の危険があると判定した場合は、鋳造速度を遅くしてシェルが十分に成長するように制御する。そして、26は表示手段であり、算出された凝固シェル厚みを表示する。
本発明を実施するための最良の形態を示す図である。 超音波伝播経路を説明する図である。 超音波伝播経路による受信信号の違いを説明する図である。 水柱ノズルの長さの設定方法を説明する図である。 本発明の第一の実施例を説明する図である。 有効信号選出手段における信号判定方法を説明する図である。
符号の説明
1 鋳型から引き抜かれた鋳片の凝固シェル部
2 鋳型から引き抜かれた鋳片の未凝固シェル部
3 第一の圧電型振動子
4 第二の圧電型振動子
5 第一の水柱ノズル(局部水浸ノズル)
6 第二の水柱ノズル(局部水浸ノズル)
7 水柱部
8 パルス送信手段
9 信号線接続切替用スイッチSW
10 受信信号増幅手段
11 受信信号記憶手段
12 計測評価手段
13 第一の振動子と鋳片表面までの距離W1
14 鋳片の厚みD
15 第二の振動子と鋳片までの距離W2
16 第一の振動子と第二の振動子との距離Da
17 第一の水柱ノズルの長さN1
18 第二の水柱ノズルの長さN2
19 片側におけるバルジング量
20 タイミング制御手段
21 受信信号初期増幅手段
22 スイッチSW2
23 有効信号選出手段
24 操業データベース
25 鋳造速度制御手段
26 表示手段

Claims (7)

  1. 連続鋳造される鋳片を挟んで、該鋳片の対向する面に配置された、圧電型振動子と局部水浸ノズルから構成される、第一の超音波センサーおよび第二の超音波センサーを用いて、局部水浸法により鋳片の凝固シェル厚を求める鋳片の凝固シェル厚測定方法であって、
    第一の超音波センサーから超音波を送信して、第二の超音波センサーで超音波の透過信号を受信して、第一の超音波センサーの振動子から第二の超音波センサーの振動子まで伝播するのに要した時間t1を計測するステップと、
    第一の超音波センサーから超音波を送信して、前記鋳片表面で反射した表面反射信号を第一の超音波センサーで受信して、第一の超音波センサーの圧電型振動子から対向する鋳片表面までの距離W1を超音波が伝播するのに要した時間t2を計測するステップと、
    第二の超音波センサーから超音波を送信して、前記鋳片表面で反射した表面反射信号を第二の超音波センサーで受信して、第二の超音波センサーの圧電型振動子から対向する鋳片表面までの距離W2を超音波が伝播するのに要した時間t3を計測するステップと、
    前記時間t1,時間t2、時間t3から、鋳片内部を通過するのに要した時間tおよび鋳片の厚みDを求め、求めた厚みD、時間tと、鋳片の凝固部での音速と未凝固部の音速から凝固シェルの厚みを測定するステップとを備えたことを特徴とする凝固シェル厚測定方法。
  2. 請求項1に記載の凝固シェル厚測定方法において、
    前記凝固シェルの厚みを測定するステップは、
    前記時間t1から前記時間t2および時間t3を減算して前記時間tを求め、前記時間t2に水中音速を乗じて前記距離W1を求め、前記時間t3に水中音速を乗じて前記距離W2を求め、第一の超音波の圧電型振動子と第二の超音波の圧電型振動子との距離Daから前記距離W1と距離W2を減算して鋳片の厚みDを求めることを特徴とする凝固シェル厚測定方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の凝固シェル厚測定方法において、
    前記局部水浸ノズルの流量を、前記透過信号が所望の受信信号レベルになるように制御することを特徴とする凝固シェル厚測定方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の凝固シェル厚測定方法において、
    前記時間t1を計測するステップは、
    超音波の送受信を複数回行い、超音波の受信信号強度が所定値以上の場合のみ、時間t1を算出することを特徴とする凝固シェル厚測定方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の凝固シェル厚測定方法において、
    鋳片が第一の超音波センサーと第二の超音波センサーとの間に存在していない時に、第一の超音波センサーの局部水浸部と第二の超音波センサーの局部水浸部を結合して、一方の超音波センサーから超音波を送信し、もう一方の超音波センサーで透過信号を受信し、超音波が伝播するのに要した時間t4を計測し、この時間t4から前記距離Daを校正することを特徴とする凝固シェル厚測定方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の凝固シェル厚測定方法において、
    前記時間t1を計測するステップと、前記時間t2を計測するステップおよび時間t3を計測するステップは、異なる時間に行うようにしたことを特徴とする凝固シェル厚測定方法。
  7. 連続鋳造される鋳片を挟んで、該鋳片の対向する面に一対に配置した、圧電型振動子と局部水浸ノズルから構成される、第一の超音波センサーおよび第二の超音波センサーと、
    該第一および第二の超音波センサーに送信波を送信する波形送信部と、
    前記第一および第二の超音波センサーの受信信号を増幅する超音波信号受信部と、
    前記局部水浸ノズルの流量を制御する流量制御部と、
    前記超音波信号受信部からの信号から、鋳片内部を通過するのに要した時間tおよび鋳片の厚みDを求め、求めた厚みD、時間tと、鋳片の凝固部での音速と未凝固部の音速から凝固シェルの厚みの算出を行う演算部とを備えることを特徴とする凝固シェル厚測定装置。
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