JP2008074746A - エゾウコギ抽出物を含有する体重増加抑制剤、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 体重増加抑制効果を示すエゾウコギを用いた薬剤を提供すること、及びその薬剤をエゾウコギから製造する方法を提供すること。
【解決手段】 エゾウコギの表面部を炭化度が約10%以上となるまで焼いた後に、適当な溶媒(例えば、約70℃の温水、エタノール、エタノールと水の混合溶液)を用いて約1昼夜に渡ってエキスを抽出する。これを遠心分離して、抽出液1と残渣とに分離する。残渣に4倍量の溶媒を加えて、約1昼夜抽出した後に遠心分離し、抽出液2と残渣とに分離する。抽出液1及び抽出液2は、体重増加抑制効果を備えている。この作用本体は、カフェ酸誘導体であった。
【選択図】 なし

Description

本発明は、体重増加抑制効果があるエゾウコギを用いた薬剤、及びその薬剤をエゾウコギから製造する方法等に関するものである。
ウコギ科ウコギ属に分類される植物であるエゾウコギの有効成分を抽出したエキスは、従来よりストレスに起因する胃粘膜損傷、免疫機能の低下、高血圧等を予防することで知られている。エゾウコギは、中国では、刺五加と呼ばれており、血圧調整、強壮、精神安定、リウマチ性関節痛等に用いられる。また、旧ソ連では、Siberian Ginseng(旧学名“Eleutherococus senticosus Maxim”)と呼ばれており、降圧作用、精腺や副腎皮質機能亢進作用、抗ストレス作用を有することが知られている。
エゾウコギの効果は、同じウコギ科で、より高価な朝鮮人参の効果と類似しているため、朝鮮人参に代わる安価な漢薬として用いられる。朝鮮人参の有効成分のほとんどは、すでに明らかにされているといわれる。一方、エゾウコギの有効成分や、その生化学的な作用機構はそれほど明らかにされておらず、さらなる解明が待望されている。
本発明者は、長らくエゾウコギの研究に携わっており、多くの研究開発を行ってきている。例えば、特開2002−284695号公報、特開2002−3391号公報、特開2005−206509号公報には、本発明者の成果の一部が開示されている。
また、特開2005−304422号公報には、霊芝とエゾウコギとを組合せることによって、抗肥満効果が認められたと開示されている。しかしながら、エゾウコギの作用については、十分に解明されているとは言い難い状況である。
ところで、肥満は、遺伝的要因・ライフスタイル・環境要因などの複数の要因が相互作用して生じる態様であると考えられており、特に先進国では広く蔓延している。デスクワーク中心の生活、高脂肪・高カロリーの食事、家族的に肥満になりやすい遺伝因子などの要因は全て肥満の発生に寄与し得る。肥満の発生を抑えるために、適当な運動、カロリー・脂肪を抑えた食事などの多くの方法が提唱されているが、これまでに決め手となる方法はなかった。
特開2002−284695号公報 特開2002−3391号公報 特開2005−206509号公報 特開2005−304422号公報
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、体重増加抑制効果を示すエゾウコギを用いた薬剤を提供すること、及びその薬剤をエゾウコギから製造する方法等を提供することにある。
課題を解決するための手段、発明の作用、及び発明の効果
本発明者は、鋭意努力して検討した結果、エゾウコギの抽出物、特にエゾウコギの表面を炭化させた後に得た抽出物に、体重増加抑制効果があることを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。これまで、エゾウコギの抽出物が単独で体重増加抑制効果を示すことは知られておらず、この知見ははじめて知られたものである。加えて、この抽出物中には、これまで知られていなかった新規なカフェ酸誘導体が含まれており、この物質が作用本体であることを見出した。
こうして、第1の発明に係る体重増加抑制剤は、エゾウコギの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。このとき、前記エゾウコギの表面部を炭化度が約10%以上となるまで焼いた後に、この材料を溶媒にかけて抽出した抽出物を含有することが好ましい。また、本発明においては、下記式1で表されるカフェ酸誘導体
を含有することが好ましい。
第2の発明に係る体重増加抑制剤の製造方法は、(1)エゾウコギの表面部を炭化度が約10%以上となるまで焼く修治加工工程、及び(2)修治加工工程後のエゾウコギを溶媒にかけて抽出物を得る抽出工程、を含むことを特徴とする。このとき、前記修治加工工程は、エゾウコギを金属板材の表面で焼くことが好ましい。また、本発明においては、上記式1で表されるカフェ酸誘導体を含有することが好ましい。
また、第3の発明に係るカフェ酸誘導体は、下記式1
で表される。
「エゾウコギ」とは、ウコギ科ウコギ属に分類される植物であり、学名Acanthopanax senticosus harmsが指す植物と同じである。
「抽出物」とは、エゾウコギを適当な溶媒(例えば、水(湯、熱水、蒸気を含む)、有機溶媒などを含む)に供して、抽出したものを意味している。
「表面部」とは、具体的には、断面上の表面から内部に向かって約5%〜約80%の断面積を意味している。
「焼いた」とは、材料の表面部分を火にかけることを意味している。焼く方法には、エゾウコギと火が直接に当たる方法(直火方法、網を用いて焼く方法を含む)と、エゾウコギと火の間に金属板材を介して焼く方法などが含まれる。このうち、金属板材を用いる方法では、エゾウコギの焼き方を制御しやすく、抽出物の成分が安定しやすいことから好ましい。金属板材を構成する金属としては、特に限定されず、例えば鉄、アルミ、銅、ニッケル、各種合金などが使用できる。なお、最も安価であることから、鉄板材を用いることができる。
「炭化度」とは、焼いた後の木質系生薬材料において、炭化した表面部を剥ぎ取った際に、「炭化した表面部の重量/木質系生薬材料の重量x100」(%)を意味している。炭化度は、好ましくは約5%〜約60%、更に好ましくは約10%〜約40%である。
「溶媒」とは、例えば、水または熱水、アルコール等の有機溶媒、或いはアルコール等の有機溶媒と水との適当な混合比の混合溶媒を意味している。熱水の場合には、約50℃以上に熱せられた水を用いることができる。抽出時間については、エゾウコギの量などに応じて適宜に設定することができる。一般的には、抽出時間としては、数時間以上〜約1昼夜以上が好ましく、約2昼夜がさらに好ましい。
「カフェ酸」とは、コーヒーに含まれているポリフェノールの一種であり、下記式(2)に示す構造を有している。
カフェ酸には、がん細胞転移・増殖抑制効果が知られているが、体重増加抑制効果については、知られていない。本発明に係るカフェ酸誘導体は、カフェ酸の炭素・炭素間の二重結合に酸素原子が導入されて、環状エーテルが形成された構造を有している。
本発明に係るカフェ酸誘導体(式(1))は、エゾウコギ中のクロロゲン酸が修治加工されることによって、誘導されたものであると考えられる。このため、本発明のカフェ酸誘導体を製造するには、必ずしもエゾウコギを原料とする必要はなく、例えばクロロゲン酸を多く持つ原料を修治加工することにより、製造することが可能である。
本発明によれば、エゾウコギから体重増加抑制剤を製造することができる。なお、本発明の抽出物は、経口投与物として用いることができる。また、これらの抽出物は、常法により液剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤などの剤型にすることができる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、下記の実施形態によって限定されるものではなく、その要旨を変更することなく、様々に改変して実施することができる。また、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
<実施例1> エゾウコギの修治加工方法
エゾウコギ原木(直径が、約5mm〜2cm程度:平均すると約1cm〜1.3cm程度)を3cm〜4cm程度の長さに切断し、約300gずつに分けたものを1ロットとした。修治加工工程として、網焼き方法、および鉄板(金属板材)上で焼く方法の二つの方法を実施した。また、修治加工を行わないエゾウコギ(未修治エゾウコギ)についても、抽出物(実施例2を参照)を調製した。
網焼き方法では、コンロ(KG−10BE、リンナイ株式会社製)の上に網を置き、その網上にエゾウコギを載置した。コンロの火を付け、エゾウコギの修治加工を行った。修治加工中には、エゾウコギをこまめに回転させて表面のみを焼くようにした。修治加工済みのエゾウコギの色は、こげ茶から炭化寸前までとし、黒くはならない程度とした。炎は目視できる先端が網に接しない程度の大きさとした。修治加工中のエゾウコギ付近の温度を測定しようとしたが、揺らぎが大きく測定できなかった。修治加工したエゾウコギの表面部の炭化度は、約10%であった。以下、この方法により修治加工したエゾウコギを「網焼きエゾウコギ」という。
鉄板焼き方法では、コンロ(上記と同じ)の上に、鉄板を置き、その鉄板上にエゾウコギを載置した。コンロの火を付け、エゾウコギの修治加工を行った。修治加工中には、エゾウコギをこまめに回転させて表面のみを焼くようにした。修治加工済みエゾウコギの色は、こげ茶から炭化寸前までとし、黒くはならない程度とした。修治加工中の鉄板の温度は約530℃であった。修治加工したエゾウコギの表面部の炭化度は、約10%であった。以下、この方法により修治加工したエゾウコギを「鉄板焼きエゾウコギ」という。
<実施例2> エゾウコギの抽出物を得る抽出工程
上記3種類のエゾウコギ(未修治エゾウコギ、網焼きエゾウコギ、及び鉄板焼きエゾウコギ)について、下記4種類の抽出方法を用いて、抽出工程を実施した。
(1)熱水抽出法
エゾウコギに4倍量(w/v)の約70℃の温水を加えて、1昼夜に渡って抽出を行った。抽出後の溶液を遠心分離して、抽出液1−1と残渣1−1とに分離した。残渣1−1については、更に4倍量の約70℃の温水中に入れて、有効成分を約1昼夜抽出した。抽出後の溶液を遠心分離して、抽出液1−2と残渣1−2とに分離した。
上記抽出液1−1と抽出液1−2とを混合した後、ろ紙(ADVANTEC社製、ろ紙No.5A)を用いて吸引ろ過し、ロータリーエバポレータで適当に濃縮した後、凍結乾燥し、エゾウコギ抽出物を得た。
なお、抽出液1−1と抽出液1−2とは、エキス含量を増加させるために混合したものであり、いずれか一方を単独で用いても、本実施例の効果を奏することができる。
(2)水・エタノール併用法−1
エゾウコギに4倍量(w/v)の約70℃の温水を加えて、1昼夜に渡って抽出を行った。抽出後の溶液を遠心分離して、抽出液2−1と残渣2−1とに分離した。残渣2−1については、更に4倍量の約60℃のエタノール中に入れて、有効成分を約1昼夜抽出した。抽出後の溶液を遠心分離して、抽出液2−2と残渣2−2とに分離した。
上記抽出液2−1と抽出液2−2とについては、それぞれ別々に、ろ紙(ADVANTEC社製、ろ紙No.5A)を用いて吸引ろ過し、ロータリーエバポレータで適当に濃縮した後、凍結乾燥した。抽出液2−1と抽出液2−2から得た凍結乾燥物を混合し、エゾウコギ抽出物を得た。
なお、抽出液2−1と抽出液2−2から得た凍結乾燥物は、エキス含量を増加させるために混合したものであり、いずれか一方を単独で用いても、本実施例の効果を奏することができる。
(3)水・エタノール併用法−2
エゾウコギに4倍量(w/v)の水を加えて、オートクレーブ処理(105℃、60分間)を行った後、約70℃として、1昼夜に渡って抽出を行った。抽出後の溶液を遠心分離して、抽出液3−1と残渣3−1とに分離した。残渣3−1については、更に4倍量の約60℃のエタノール中に入れて、有効成分を約1昼夜抽出した。抽出後の溶液を遠心分離して、抽出液3−2と残渣3−2とに分離した。
上記抽出液3−1と抽出液3−2とについては、それぞれ別々に、ろ紙(ADVANTEC社製、ろ紙No.5A)を用いて吸引ろ過し、ロータリーエバポレータで適当に濃縮した後、凍結乾燥した。抽出液3−1と抽出液3−2から得た凍結乾燥物を混合し、エゾウコギ抽出物を得た。
なお、抽出液3−1と抽出液3−2から得た凍結乾燥物は、エキス含量を増加させるために混合したものであり、いずれか一方を単独で用いても、本実施例の効果を奏することができる。
(4)水・エタノール混合法
エゾウコギに4倍量(w/v)の約60℃の水・エタノール混合液(水:エタノール=50:50、または95:5)を加えて、1昼夜に渡って抽出を行った。抽出後の溶液を遠心分離して、抽出液4−1と残渣4−1とに分離した。残渣4−1については、更に4倍量の約70℃の水・エタノール混合液(水:エタノール=50:50、または95:5)中に入れて、有効成分を約1昼夜抽出した。抽出後の溶液を遠心分離して、抽出液4−2と残渣4−2とに分離した。
上記抽出液4−1と抽出液4−2とを混合した後、ろ紙(ADVANTEC社製、ろ紙No.5A)を用いて吸引ろ過し、ロータリーエバポレータで適当に濃縮した後、凍結乾燥し、エゾウコギ抽出物を得た。
なお、抽出液4−1と抽出液4−2から得た凍結乾燥物は、エキス含量を増加させるために混合したものであり、いずれか一方を単独で用いても、本実施例の効果を奏することができる。
各エゾウコギ抽出物については、必要に応じて蒸留水に溶解して用いた。
<実施例3> エゾウコギ抽出物の効果確認試験
4週齢オスSDラットを用いて、エゾウコギ抽出物の効果確認試験を行った。一群当り8匹のラットを5群に分け、次の通りの処理を行った。
C1群(陰性コントロール):1週間の予備飼育後、通常食(ND)を与えた。飲料水として、水(H2O)を自由摂取させた。
C2群(陽性コントロール):1週間の予備飼育後、35%高脂肪食(HFD)を与えた。飲料水として、水(H2O)を自由摂取させた。
A1群:1週間の予備飼育後、HFDを与えた。飲料水として、未修治エゾウコギを上記実施例2(表4の20)の方法で抽出した乾燥エキス(ASH)を35%HFDの中に9%含有(ASH9%)するように餌を調整し、それを自由摂取させた。
B1群:1週間の予備飼育後、HFDを与えた。飲料水として、網焼きエゾウコギを上記実施例2(表4の21)の方法で抽出した乾燥エキス(MASH1)を35%HFDの中に9%含有(MASH1 9%)するように餌を調整し、それを自由摂取させた。
B2群:1週間の予備飼育後、HFDを与えた。飲料水として、鉄板焼きエゾウコギを上記実施例2(表4の22)の方法で抽出した乾燥エキス(MASH2)を35%HFDの中に9%含有(MASH2 9%)するように餌を調整し、それを自由摂取させた。
上記5群のいずれについても、3ヶ月間の飼育を行った後、C1群を比較対照(100%)として、一日あたりの水摂取率(water intake/d(%))、一日あたりの食餌摂取率(food intake/d(%))、一日あたりの体重増加率(BW gain /d(%))、腎臓周囲の白色脂肪細胞の割合(WATr(%))、精巣周囲の白色脂肪細胞の割合(WATt(%))、及び血漿中各種マーカーを測定した。血漿中マーカーとして、中性脂肪(TG)、遊離脂肪酸(NEFA)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、グルコース(Glucose)、インスリン(Insulin)、アディポネクチン(Adiponectin)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、レプチン(Leptin)、及びレジスチン(Resistin)を測定した。
結果を表1〜表3、及び図1に示した。
表中、一日あたり水分摂取量、一日あたり食餌摂取量、一日あたり体重増加量、体重あたりの腎臓周囲白色脂肪組織重量、及び体重あたりの精巣周囲の白色脂肪組織重量については、C1群(ND,H2O)を100%としたときの百分率を平均値で示した。また、血漿中マーカーについては、平均値±標準誤差で示した。表中の記号(A)は、C1群(ND,H2O)との間で有意差(p<0.05)が認められたことを、(B)は、C2群(HFD,H2O)との間で有意差(p<0.05)が認められたことをそれぞれ意味している。
図1は、C2群(H2O/HFD)では、C1群(H2O/ND)に比べると、WATrが肥大したが、B2群(MASH2/HFD)では、HFDを摂取したにもかかわらず、WATrはC2群と同程度の大きさ(或いは、逆に縮小)であったことを示している。
これらの結果から、次のことが明らかとなった。
修治加工したエゾウコギ抽出物(特に、B2群(MASH2)は、高脂肪食条件下、A1群(ASH)の1日あたりの体重増加率の低下作用をさらに増強させた(32.3%低下 vs ASH)。
修治加工したエゾウコギ抽出物(特に、B2群(MASH2))は、高脂肪食条件下、A1群(ASH)の脂肪重量減少作用の増強を引き起こした。その増強効果は、腰回り及び下腹部の内臓脂肪重量の顕著な低下を示した(WATr:25.2%低下 vs ASH,WATt:18.6%低下 vs ASH)。
修治加工したエゾウコギ抽出物(特に、B2群(MASH2))のみ、高脂肪食条件下、統計学的に有意な摂食行動の抑制作用を示した(20.5%低下 vs ASH))。ただし、節水行動には影響を及ぼさなかった。
B1群(MASH1)及びB2群(MASH2)は、高脂肪食条件下、A1群(ASH)と同様に中性脂肪(TG)の合成を抑制し、かつTGの分解をさらに促進させている可能性が示唆された。
B1群(MASH1)及びB2群(MASH2)は、高脂肪食条件下、A1群(ASH)と同様に高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)値を増加させた。一方、B1群(MASH1)のみ、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)値を増加させた。
B1群(MASH1)及びB2群(MASH2)は、高脂肪食による血糖値の増加を顕著に抑制した。
B1群(MASH1)及びB2群(MASH2)は、A1群(ASH)と同様に高脂肪食によるインスリン値の増加を顕著に抑制した。また、未修治及び修治エゾウコギは、アディポネクチンを増加させ、レジスチンを減少させた。一方、ASHのみ高脂肪食によるレプチン値の増加を顕著に抑制した。
このように、エゾウコギ抽出物は、体重増加抑制効果を示すことが明らかとなった。
<実施例4> エゾウコギ抽出物中の有効成分の分離精製
次に、エゾウコギ抽出物の有効成分を分離するため、各抽出物をHPLCに供した。HPLCの条件は、次の通りであった。
カラム : Hypersil ODS−2 column(200 x 4.6mm, 5μm)
移動相 : MeOH:0.2M NaHPO(pH 3.6)=15:85
流量 : 1.0 ml/min.
カラム温度 : 30℃
測定波長 : 300nm
注入量 : 20μl
図2には、各サンプルのHPLCチャートを示した。これらとは別に、コントロール物質として、クロロゲン酸、カフェ酸、及びフェルラ酸を流したところ、保持時間(t)は、それぞれ、6.3min、13.5min、及び37.3minであった。このことより、ピークJはクロロゲン酸であり、ピークKはカフェ酸であることが分かった。一方、ピークL(t=4.3min)については、成分が不明であった。ピークLは、ピークK(カフェ酸)及びピークJ(クロロゲン酸)の減少に連れて、増加することが分かった。このことから、ピークLは、カフェ酸の誘導体であることが示唆された。
図3には、各種エゾウコギ抽出物について、クロロゲン酸(ピークJ)と、未知成分(ピークL)との量比を示した。
各サンプルの調製方法は、下表4に示す通りであった。
ピークLの大きさと、体重増加抑制効果との間には、強い相関が認められた。このため、ピークLを分離し、物理化学的に解析した。
ピークLについて、質量分析を行ったところ、分子量は196であった。また、NMRによる分析の結果、ピークLは、下記式1に示すカフェ酸誘導体であることが分かった。
このように、本実施形態によれば、エゾウコギを用いた体重増加抑制剤を提供でき、かつその薬剤をエゾウコギから製造する方法を提供することができた。
3ヶ月飼育後の(A)C1群(H2O/ND)、(B)C2群(H2O/HFD)、及び(C)B2群(MAS2/HFD)の腎臓周囲の白色脂肪細胞(WATr)をオスミューム染色して観察した顕微鏡写真図である。 各種エゾウコギ抽出物のHPLCチャートである。それぞれ、(A)未修治エゾウコギ抽出物、(B)網焼きエゾウコギ抽出物、及び(C)鉄板焼きエゾウコギ抽出物のHPLCチャートを示している。また、ピークJはクロロゲン酸を、ピークKはカフェ酸を、ピークLはカフェ酸誘導体を示している。 各種エゾウコギ抽出物をHPLCにかけたときの、クロロゲン酸(ピークJ)と、カフェ酸誘導体(ピークL)との量比を示す図である。横軸の番号は、表4に示した。

Claims (7)

  1. エゾウコギの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする体重増加抑制剤。
  2. 前記エゾウコギの表面部を炭化度が約10%以上となるまで焼いた後に、この材料を溶媒にかけて抽出した抽出物を含有することを特徴とする請求項1に記載の体重増加抑制剤。
  3. 下記式1で表されるカフェ酸誘導体
    を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の体重増加抑制剤。
  4. (1)エゾウコギの表面部を炭化度が約10%以上となるまで焼く修治加工工程、及び(2)修治加工工程後のエゾウコギを溶媒にかけて抽出物を得る抽出工程、を含むことを特徴とする体重増加抑制剤の製造方法。
  5. 前記修治加工工程は、エゾウコギを金属板材の表面で焼くことを特徴とする請求項4に記載の体重増加抑制剤の製造方法。
  6. 下記式1で表されるカフェ酸誘導体
    を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の体重増加抑制剤の製造方法。
  7. 下記式1
    で表されるカフェ酸誘導体。
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