JP4834824B2 - アディポネクチン産生増強剤 - Google Patents

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Description

本発明は、医薬品あるいは健康食品添加物として有用な、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生増強及び促進剤、2型糖尿病血糖降下剤および高脂血症治療剤に関する。
細胞から放出され細胞間相互作用を媒介することにより生体の働きを制御するサイトカインの1つとして、最近アディポネクチンという蛋白質性因子が同定され、その不足が2型糖尿病や動脈硬化症等の生活習慣病の発症に密接に関連していることが明らかになった。そして、直接的な注射投与や当該遺伝子を組みこんだアデノウイルスベクターの導入・発現で血中アディポネクチン濃度を増加させることにより、糖尿病モデルマウスの血糖値を低下させたり、動脈硬化につながる血管病変の形成を抑制できることが実験的に証明された(非特許文献1〜3)。実際の応用でも、肥満の改善剤(US Patent Application 20020132773)、抗炎症剤、単球系細胞の増殖抑制剤(特許文献1)、肝繊維化抑制剤(特許文献2)等としてアディポネクチンを使用する方法が開発されている。このように、体外で生産されたアディポネクチンの投与も有用であるが、体内におけるその産生不良を改善したり、さらなる増強をはかることは、長期にわたる生活習慣病の予防と治療にとって非常に重要である。
アディポネクチンは主として脂肪組織の脂肪細胞により産生される。脂肪細胞は中胚葉由来の前駆脂肪細胞からさまざまなホルモンの影響下で分化して生じる。実験的な分化の誘導は、インスリンと糖質グルココルチコイドの存在下に、cAMP分解酵素阻害剤であるイソブチルメチルキサンチン(IBMX)(非特許文献4)、非ステロド系抗炎症剤のインドメタシン(非特許文献5)、2型糖尿病の治療薬であるチアゾリジンジオン類(TZD)(特許文献3、 非特許文献6)、血管拡張剤のプロスタサイクリン(PGI2)(非特許文献7)等を作用させることにより行なわれるが、実際に分化した細胞によるアディポネクチンの産生が上記IBMXを用いたLoefflerらの研究やTZDを用いたMaedaらの研究において確認された。また、Maedaらの研究では糖尿病モデルマウスにおいてTZDを経口摂取させた群では摂取させていない群よりも血中アディポネクチン濃度が顕著に上昇したことが確認され、さらにヒトの場合でも耐糖能の低下している患者においてTZDの服用による血中アディポネクチン濃度の上昇が確認されている。
特開2000-256208号公報 特開2002-363094号公報 米国特許第6153432号明細書 下村伊一郎他、実験医学、Vol. 20, No.12, 1762−1767 (2002) A.H. Berg et al., Nature Medicine, 7, 947−953 (2001) Y. Okamoto, Circulation, 106, 2767−2770 (2002) A.K.G. Loeffler, Horm. Metab. Res., 32, 548−554 (2000) H. Ye et al., Biochem. J., 330, 803−809 (1998) N. Maeda et al., Diabetes, 50, 2094−2099 (2001) R. Negrel et al., Biochem.J.、257, 399−405 (1989)
従来より、体内のアディポネクチンレベルを上昇させる医薬品がすでに知られているが、いずれも安全性や副作用の点で問題がある。すなわち、IBMXは医薬品として認可されたものではないし、TZDは肝毒性が強く、さらにインドメタシンやプロスタサイクリン等も本来別の薬理活性を持つ医薬品であるため、生活習慣病の予防や軽い段階での治療に簡単に用いられるものではない。従って、糖尿病や動脈硬化が急増しその対策が社会問題となっている現在、これらの生活習慣病の予防、治療に手軽に利用できる薬剤として、アディポネクチンの体内産生を促進、増強する作用を持つ安全な物質の開発が求められている。このような観点から、例えば大豆蛋白を含む飼料で飼育した糖尿病モデルマウスにおけるアディポネクチンの血中濃度の上昇(A. Nagasawa et al., Horm. Metab. Res., 34, 635−639 (2002))が報告されているが、効果としては十分なものではない。本発明者等は最近、カレー粉の原料で食用となるウコン根茎の有機溶媒抽出物やそれに含まれるクルクミンが培養脂肪細胞のアディポネクチン産生を促進、増強することを見出し特許出願した(特願2003-292718)。クルクミンは強力な抗酸化作用(特開2003-064360)を持つと共に、抗糖尿病・抗うつ病・抗腫瘍・抗炎症作用等を持つ生理活性物質であることが明らかにされ各方面で使用されている(特開2003-128539、特開2003-113117、特開2003-055202、Chan et al., Biochem. Pharmacol., 55, 1955-1962(1998))。従って、クルクミンを含むアディポネクチン産生増強,促進剤の安全性は高い。しかしながら、クルクミンはその強烈な黄色が製品の嗜好性や商品価値に不都合な場合がある。クルクミンの応用に当たり、抗酸化性を維持したままその黄色を消す方法として還元反応でテトラヒドロクルクミンに変換する方法(特開平11-235192)があるが、本発明者の実験ではテトラヒドロクルクミンはクルクミンに比べて、アディポネクチン産生促進作用は著しく減少していた。また、クルクミンの応用にあたりそれを含むウコン根茎の抽出物や粗精製品をそのまま提供する方法は安価に製造できるというメリットがあるが、他方、独特の芳香や苦味成分が混在するというデメリットもある。そこで、本発明の課題は、クルクミンのように着色しておらず、ウコンよりもさらに広く用いられる食用作物成分であって、アディポネクチン産生増強促進作用に優れ、かつ安全な物質からなる動物脂肪細胞のアディポネクチン産生増強あるいは促進剤、並びに2型糖尿病血糖降下剤および高脂血症治療剤を提供することにある。
かかる状況において、本発明者らは鋭意検討の結果、一般の家庭で日常的に用いられる生姜の成分であるジンゲロール、とりわけ(+)-[6]-ジンゲロール((+)−(1a))や、漢方薬の高良姜から見出だされた (+)-5-hydroxy-7-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-1-phenyl-3-heptanone((+)−2)が目的の生物活性を持つことを発見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下(1)〜(20)に示すとおりである。
(1) 下記式1で示されるジンゲロール化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。


・・・・1
(但し、式中、nは4,6または8を表す)

(2) ジンゲロール化合物が下記式1aで表される右旋性[6]-ジンゲロールであることを特徴とする、上記(1)に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
・・・・1a

(3) 上記(または(2)に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を含有することを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤

(4) 植物抽出物がショウガ科ショウガ属の植物の抽出物であることを特徴とする、上記(3)に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤

(5) ショウガ科ショウガ属の植物が生姜(Zingiber officinale)であることを特徴とする、上記(4)に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤

(6) 上記(1)または(2)に記載の化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とするとする、2型糖尿病血糖降下剤。

(7) 上記(1)または(2)に記載の化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症治療剤。

(8) 上記(1)又は(2)に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上とを活性成分として含有することを特徴とする、2型糖尿病血糖降下剤。

(9) 上記(1)又は(2)に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症治療剤。
本発明の化合物1、化合物2、あるいはそれらを含む植物抽出物は、動物脂肪細胞におけるアディポネクチンの産生を増強ないし促進作用を有する。また、これらの化合物や植物抽出物はアディポネクチンの産生増強に伴い2型糖尿病における血糖や血中脂質濃度を減少させる効果を有する。
一方、アディポネクチンの産生増強物質として知られている前記したTZDやインドメタシン等の物質は、安全性、副作用の問題を抱えているのに対し、本発明の化合物は、従来から、食用とされる生姜や食用もしくは漢方薬として用いられる高良姜の成分として、喫食あるいは服用されていたものであり、又後記する実験例からも本発明の薬剤は安全性が高いものといえる。
さらに、上記したように、アディポネクチンは、インスリンが産生されているにもかかわらず血糖値が低下しないいわゆる生活習慣病の2型糖尿病を予防、治療する効果を有するが、上記本発明の化合物は、このアディポネクチンの産生増強及び促進を通じて、2型糖尿病血糖降下作用及び高脂血症治療作用を有する。さらに、これのみでなく動脈硬化につながる血管病変の抑制、肥満改善、抗炎症、単球系細胞の増殖抑制、肝繊維化抑制等、多くの重要な生理作用を有するものであり、本発明により提供される薬剤は、安全で極めて有用な薬剤である。
本発明の一般式1の化合物(以下、化合物1という場合がある。)とりわけ式1aの化合物(以下、化合物1aという場合がある。)式2の化合物(以下、化合物2という場合がある。)、あるいはそれらを含む植物抽出物は、それぞれ単独で、もしくはテオフィリン等キサンチン誘導体の共存下において、ヒトやマウスの前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化を促進する。それに伴いこれらの細胞におけるアディポネクチンの産生も促進・増強し、2型糖尿病モデルマウスの血糖値や血中トリグリセリド濃度を実際に減少させる効果を有する。上記したように、アディポネクチンは、インスリンが産生されているにもかかわらず血糖値が低下しないいわゆる生活習慣病の2型糖尿病を予防、治療する効果を有するが、上記本発明の化合物は、このアディポネクチンの産生増強及び促進を通じて、2型糖尿病血糖降下作用及び高脂血症治療作用を有する。さらに、これのみでなく動脈硬化につながる血管病変の抑制、肥満改善、抗炎症、単球系細胞の増殖抑制、肝繊維化抑制等、多くの重要な生理作用を有するものである。
一方、アディポネクチンの産生増強物質として知られている前記したTZDやインドメタシン等の物質は、安全性、副作用の問題を抱えている。これに対し、本発明の化合物は、原料の生姜や高良姜が食用・薬用とされており、また、ヒト前駆脂肪細胞の培養に添加した時、100μMの濃度でもネクロシスを起こさず正常な脂肪蓄積と分化を引き起こしたことから考えても、上記の動物試験において際立った体重減少を引き起こさず原因不明の死亡例も無かったことから考えても、その安全性は高い。
さらに、これらの化合物はいずれもごく薄い黄色を帯びるのみであるため、健康食品等への利用範囲は広い。
このような本発明における化合物のアディポネクチン産生増強作用はテオフィリン、カフェイン等、茶やコーヒーに通常含まれるキサンチン誘導体を併用することにより一層増大する。これは上記キサンチン誘導体によるホスホジエステラーゼの阻害で生体内セカンドメッセンジャーのcAMPレベルが上昇するためと考えられるが、従来、化合物1,1aあるいは2についてそのような相乗効果は知られていなかった。
生姜は各種調理品の薬味、香辛料として汎用されるばかりでなく、日本薬局方に生薬として収載され、風邪薬、健胃消化薬、鎮吐剤、鎮痛薬等として利用されているが、アディポネクチン産生増強作用やそれに基づく抗糖尿病作用等は知られていない。その主成分の1つであるジンゲロールについても各種の薬理作用が知られ、最近でも強心剤(特開平5-262695、US Patent Application 20030124206)、角層修復促進剤(特開平6-239736)、熱ショック蛋白合成抑制剤(特開平9-227365)、チロシナーゼ活性阻害剤(特開2003-342224)、多機能性の健康増進剤(US Patent Application 20010046523)、体重調節剤(US Patent Application 20020164387)等として利用されている。高良姜は産地の中国南部で料理の香辛料として用いられることがあるが、我が国では健胃・消化促進効果のある漢方薬として用いられ、薬理学的な研究の結果、抗潰瘍作用やプロスタグランディン生合成阻害作用のあることも明らかにされている(三川、医学のあゆみ、126、867、1983)。しかし、高良姜粗抽出物や化合物2等の成分のいずれについても、アディポネクチン産生増強作用やそれに基づく応用は未だ知られていなかったものである。
上記したように、本発明の化合物である化合物1、特に化合物1a、及び化合物2はそれぞれ単独で、もしくはテオフィリン等キサンチン誘導体の共存下において、ヒトやマウスの前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化を促進し、それに伴いこれらの細胞におけるアディポネクチンの産生も促進・増強する。これらの化合物はいずれもごく薄い黄色を帯びるのみである。これらの化合物は原料の生姜や高良姜が食用・薬用とされることから当然ながら、ヒト前駆脂肪細胞の培養に添加した時、クルクミンでは細胞に障害を与える100μMの濃度でもネクロシスを起こさず正常な脂肪蓄積と分化を引き起こしたことから考えても、安全性は高いと判断される。
本発明で使用する上記式1aで示される右旋性の[6]-ジンゲロール(化合物1a)は公知の方法で合成される(D. Enders et al., Berichte, 112, 3703 (1979))が、前述の如く生姜(Zingiber officinale)などZingiberaceae属植物の根茎等から抽出できる。本発明の他のジンゲロール(一般式1においてnが6又は8である[8]-ジンゲロールや[10]-ジンゲロール)も通常生姜に含まれていて、そこから[6]-ジンゲロールに付随して抽出される。一方、化合物2の光学活性体の合成法は現在知られておらず、本発明の如く高良姜(Alpinia officinarum)など、Alpinia属植物の根茎等から抽出する。これらの食用作物等の植物から製取する場合、不都合な夾雑物がない限り、粗抽出物や部分精製品としても本発明の用途に用いることができる。生姜の場合、エタノールによる全抽出物の培養脂肪細胞レベルでの当該活性は弱く、むしろ抑制的に作用するが、[6]-ジンゲロールを含む画分を濃縮することにより、活性は著しく強化される。生姜や高良姜根茎の抽出はエタノールの他、水や超臨界二酸化炭素等を用い公知の方法で容易に行なうことができる。また、精製は水/有機溶媒ニ相系での分配や活性炭処理、あるいは各種のクロマトグラフィー操作等公知の方法で行なえばよい。
なお、後述の実施例7で示されるように動物のレベルでは生姜の全抽出物(粗エキス)がジンゲロール濃縮分画(実験例7におけるSG-1)と同様に強力な血糖降下作用を示すが、粗エキスの約3分の一を占めるヘキサン可溶性分画(SG-2)は血糖降下作用がないばかりか、血中トリグリセリド濃度をかえって上昇させたり、アディポネクチンレベルの低下を引き起こす等有害作用を表す。従って、生姜粗エキスのままでも血糖降下剤、高脂血症治療剤として使用できるが、ヘキサン可溶性の低極性物質を除去しておく方が好ましい場合もある。
一方、上記したように、これらの化合物1あるいは化合物2やそれを含む抽出物と組み合わせてアディポネクチンの産生をさらに増強するために使用するキサンチン誘導体はテオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つまたは2つ以上の混合物であるが、これらキサンチン化合物は茶葉やコーヒー豆、カカオ豆等から抽出できるし、公知の方法で容易に合成もできる。
本発明に用いる場合、これらキサンチン誘導体あるいはこれを含む抽出物は、化合物1、化合物2あるいはそれらを含む粗抽出物に混合してもよいし、単独で飲用水等に添加し、化合物1や2の化合物を含む飲用水等の摂取後、引き続いて飲用摂取することにより利用してもよい。本発明に用いる場合、これらの化合物の添加量は精製の方法や程度により生理的に安全な範囲内で適宜加減する。
例えば式1aの[6]-ジンゲロールの添加量は飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり数mg以下とする。キサンチン誘導体の添加量については常用されるコーヒーや緑茶に含まれる濃度に準ずるものとする。すなわち、カフェインは飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり0.1mgから0.5mg(約3mM)、テオフィリンは飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり0.01mgから0.05mg(約0.3 mM)、テオブロミンは飲用水の1mlもしくは食物の1gあたり0.1mgから2mg(約10mM)等を目安にするが、総摂取量や摂取形態に応じて、生理的に安全な範囲内で適宜増減する。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
化合物1の単離
新鮮生姜根茎620gを厚さ約5mmのスライスとし、1400mlのエタノールに浸漬し室温に1週間放置した。エタンールを回収し、同量の新しいエタノールを加えてさらに1週間抽出した。エタノール溶液を合わせロータリーエバポレーターで濃縮し、油状残渣に水120mlと酢酸エチル500mlを加え、分液漏斗中で激しく振とうした。静置、分離後、酢酸エチル層を回収し、水層は酢酸エチル200mlで再度抽出した。酢酸エチル層を合わせ、水100mlで洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、エバポレーターで濃縮して油状物2.5gを得た。これをヘキサンで充填したシリカゲルカラム(Wakogel C-300、直径2.5cm、高さ30cm)に吸着させ、300mlのヘキサンを流し、次いで10、20、30、50%のアセトンを含むヘキサン各400mlで順次溶離した。溶出液は50〜75mlづつ分画した。予備試験のフラクションをヒト前駆脂肪細胞に加えた結果から、脂肪蓄積促進作用(脂肪細胞分化促進作用)はシリカゲルの薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン=4:3の混合液で展開)においてRf0.58でFeCl3-K3[Fe(CN)6]混液の噴霧により濃青色を呈するスポットである見当がついていたので、上記溶出液中で、ほぼ当該スポットの化合物のみを含む分画(20%から30%のアセトン含有ヘキサンで溶出)を合わせ、エバポレーターで濃縮し364mgの黄色オイルを得た。これをさらに分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、厚さ0.5mm、ヘキサン:アセトン=2:1の混液で展開)で精製し、純粋な化合物1aの277mgを薄黄色のオイルとして得た。このオイルの一部を少量のヘキサンと混和しフリーザーに放置すると結晶化したが融点は室温付近であった。旋光度測定において右旋性を示した。[α]D 23+27.5°(C=1, CHCl3)。高分解能のマススペクトル測定ではm/z 294.1819 に分子イオンピークを示したので分子式はC17H26O4 と決定した(calcd. C17H26O4=294.1830)。 1H-NMR (CDCl3) と13C-NMR(CDCl3)の測定結果は表1にまとめてある。これらの結果を解析し、また文献[メルクインデックス(12版)、p.751、4431、及び同項に引用されている文献]に記載されたスペクトル等諸性質との比較から、得られた化合物1aを(+)-(S)-ジンゲロール[(S)-5-Hydroxy-1-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-3-decanone]と同定した。
化合物2の単離
高良姜(Alpinia officinarum)の細断した乾燥根茎54 gを室温において2週間250mlのエタノールで抽出した。エタノールを濾別し、残渣は再度100 mlのエタノールで抽出した。エタノール抽出液を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、2.45gの油状残渣を得た。この残渣の0.5gをへキサンで充填したシリカゲルのカラム(Wakogel C-300、直径1.8cm、高さ16cm)に吸着させ、0、5、10、20、30、40、60、80、100%のアセトンを含むヘキサン50mlづつで溶出した。これらの分画について実施例1と同様にヒト前駆脂肪細胞の分化促進活性を検定したところ、主要な活性は40%アセトン含有分画にあった。同分画を濃縮し、150 mgの残渣を得た。このうち50mgを分取の薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、0.5mm厚、ベンゼン:酢酸エチル=5:1の混合溶媒で展開)で精製し、化合物2(25mg)を薄黄色のオイルとして得た。旋光度を測定したところエタノール中で右旋性であった、[α]D 23 +3.4°(c=1, EtOH)。高分解能マススペクトルはm/z= 328.1627に分子イオンピークを示したことから分子式はC20H24O4と決定された(calcd. C20H24O4=328.1673)。 1H-NMR (CDCl3) と13C-NMR(CDCl3)の測定結果は表1にまとめてある。これらのスペクトルを解析し、さらに推定された構造について高良姜の既知成分に関する文献(井上ら、薬学雑誌、98、1255−1257(1978);F. Kikuchi et al., Chem. Pharm. Bull., 30, 2279−2282 (1982 )) に記載された比旋光度及びスペクトルと比較した結果、得られた化合物を(+)-(R)-5-hydroxy- 7-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-1-phenyl-3-heptanoneと決定した。
正常ヒト前駆脂肪細胞(三光純薬製)を10%のFBSと2mMグルタミンを添加したPBM培地(PBM増殖培地、PBMは三光純薬製)で4日間前培養後、細胞をEDTA-トリプシン液で回収し、PBM増殖培地に4 x 104 cells/mlの割合で懸濁し、あらかじめコラーゲンでコートした96-wellプレートに0.2 mlづつ植え込んだ。5%のCO2存在下、37℃で3日間培養後、培地をPBM基本分化培地[PBM増殖培地にインスリン(10μg/ml)とデキサメタソン(0.1μM)を添加したもの]にさらに300μMのテオフィリンを添加もしくは添加していない培地に交換した(0.2 ml/well)。これらの各ウェルに前記の実施例1〜2で得た化合物、粗抽出物のエタノール溶液(10 mM又は10 mg/ml)を2μlづつ添加した。コントロールには2μlのエタノールのみを添加した。10日間インキュベート後、細胞をホルマリン固定し、次いでORO試薬(Ramirez-Zacarias et al., Histochemistry, 97, 493−497 (1992))とGiemsa試薬で染色した。これらの細胞の顕微鏡観察から、サンプルを添加した場合に赤い粒子で示される脂肪球を蓄積した脂肪細胞が増加すること、また、サンプルに加えてテオフィリンを加えると脂肪細胞の増加が一層促進されることを確認した。結果の顕微鏡写真を図1に示す。
実施例3と同様に培養した正常ヒト前駆脂肪細胞(三光純薬製)をPBM増殖培地に4 x 104 cells/mlの割合で懸濁し、コラーゲンでコートした12-wellプレートに2 mlづつ植え込んだ。4日間培養後、培地をPBM基本分化培地に交換した(2 ml/well)。この培養物に20 mMのテオフィリン水溶液を最終濃度100μMまたは300μMになるように添加し、次いで前記の実施例1〜2で得た化合物(30 mM)のエタノール溶液を6.7 μlづつ、または粗抽出物(20 mg/ml)のエタノール溶液を5 μlづつ添加した。コントロールには6.7 μlのエタノールのみを添加した。10日間インキュベート後、培地を吸引除去し、PBSで2回洗浄後、各ウェルの細胞を1 mlのPBSと共にセルスクレーパーで剥がし、遠心分離(6000 rpm、3分)で集めた。上清を捨て、各チューブの細胞を1%のTween 20を含むlysis緩衝液の10μlと共にピペッティングし、次いでボルテックス処理で破壊・抽出した。これを遠心分離にかけ(12000 rpm、20分)上清を回収し、蛋白濃度を測定した。上清の一定量を取り0.75 mg/mlの蛋白濃度においてSDS処理し、ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動を行ない、常法によるウェスタンブロッティングでアディポネクチンを検出した。用いた1次抗体はケミコン社製のhuman anti-adiponectin, mouse monoclonal antibody (Catalog No. MAB3604)であり、2次抗体はZymed社製のrabbit anti-mouse Ig G1-HRP conjugate (Catalog No. 61-0120)である。バンドの検出にはAmersham Biosciences 社製ECL Plus測定キットを用いた。さらに、比較のためβ-アクチンもウェスタンブロッティングで検出したが、用いた1次抗体はSanta Cruz社製のanti-b-actin (C-11, sc-1615)であり、2次抗体はZymed社製のrabbit anti-goat IgG(H+L)-HRP conjugate (Catalog No. 81-1620)である。結果を図2に示すが、サンプルの添加でアディポネクチンの産生が増強されることがわかる。
正常ヒト前駆脂肪細胞を、実施例4と同様の条件下で10日間培養後培地を捨て、PBS(1 ml/well)で1回洗浄後、各ウェルの細胞を0.3 mlのイソゲン(和光純薬製)と混和しRNAを抽出した。イソゲンの製造元から添付の説明書にしたがってDNAと蛋白質を除き、全RNAをイソプロピルアルコールで沈殿させ、エタノールで洗い、風乾後、10μlの水に溶かし、RNA量を260/280nmにおける吸光度から求めた。このRNAをプロメガ社の逆転写酵素システムでcDNAとし、このテンプレートを用いてアディポネクチン遺伝子発現をPCRで確認した。プライマーとして、ヒトアディポネクチンのプライマーは文献(Yokota et al., J. Clin. Invest., 109, 1303−1310 (2002))に記載の5’-TGTTGCTGGGAGCTGTTCTATG-3’及び5’-ATGTCTCCCTTAGGACCAATAAG-3’を用い、対照用のβ−アクチンのプライマーは5’-GACGAGGCCCAGAGCAAGAGA-3’及び5’-TAGATGGGCACAGTGTGGGTGA-3’ (マウス、ヒト共通部分)を用いた。PCRはパーキン・エルマー社製のAmpliTaq DNA polymeraseを用い、添付のマニュアルに従って行なった。アディポネクチン遺伝子検出の場合、変性は94℃で1分、アニーリングは60℃で1分、重合は72℃で1分間行ない、全部で34回繰返した。アクチン遺伝子については変性は94℃で1分、アニーリングは64℃で1分、重合は72℃で1分間行ない、全部で28回繰返した。PCR産物の電気泳動結果を図3に示す。サンプルを添加して培養した細胞では明らかにアディポネクチンの発現がコントロールよりも増加している。次いでこの結果を定量PCRで確認した。コルベット社製のRotor-Gene 2000 Real-Time Cyclerを用い、Qiagen社製のQuantiTect SYBR Green PCRシステムでβ-アクチンに対するアディポネクチンの遺伝子の相対的な発現量を定量した。プライマーは上記と同様である。結果を図4に示す。アディポネクチン遺伝子の発現はコントロールに比べて、100μMの化合物1aの添加で10倍に増強されることを確認した。生姜の粗抽出物では増加が見られないが、これは粗抽出物には阻害物も含まれていることを示す。
生姜根茎の乾燥チップ(田沼商会製)1500gを2.4リットルのエタノールと混合し、室温においてミキサーで粉砕、抽出した。不溶物を濾別し、不溶物をさらに4.0リットルのエタノールで抽出した。エタノール溶液を合わせロータリーエバポレーターで濃縮し、粗エキス78.6gを油状物として得た。この抽出物56.1gを1リットルのヘキサン−酢酸エチル(4:1)で抽出後、少量のシリカゲル(約20g、和光純薬製)およびアミノ樹脂(約5g、MERK製)を加え、不要物を吸着除去し、粗ジンゲロール含有抽出物40.5gを得た。これを1リットルの98%メタノールに溶解し、2.4リットルのへキサンを加え、分配後、メタノール層とヘキサン層の溶媒をそれぞれ留去して、ジンゲロール含有抽出物(SG-1)17.8g、へキサン可溶物(SG-2)15.5gを得た。TLC分析の結果、ジンゲロールの含量は粗エキス、SG-1、SG-2においてそれぞれ9%(w/v)、29%(w/v)、及び0.1%以下(w/v)であった。
遺伝的に2型糖尿病を発症するKK-Ay/Ta Jc1マウス(オス、5週令、13匹、日本クレア社製)を実施例6で得たサンプル(粗エキス、SG-1、SG-2)を添加し、もしくは添加しないで調製した飼料で4週間にわたり飼育した。これらのマウスの体重と摂餌量を定期的に測定し、また1週間に1度採血して血糖値、血中アディポネクチンレベル、血漿トリグリセリド濃度を測定した。マウスの数はSG-1群は4匹、他群は各3匹。飼料は日本クレア社製のCE-2粉末飼料の120 gあたりサンプルのエタノール溶液(0.2 g/ml)の6 ml又はエタノールの6 mlを加え、さらに2.4 gの馬鈴薯澱粉を水48 mlと混合・加熱して調製したゲルを加え全体を乳鉢と乳棒でよく混和後、直径15 cmのシャーレに固く充填し、その状態で3、4日風乾して調製した固形飼料を自由摂取させた。水は水道水をオートクレーブで滅菌したものを自由摂取させた。血糖やアディポネクチン測定のためのプラズマ(血漿)は、血液をマウス尾部先端から1回あたり9μl採取し、これを直ちに3μlのヘパリン溶液(50 mg/ml)と混合、遠心分離(12000 rpm、12分)で血球を除いて調製した。このプラズマ中のグルコースとトリグリセリド濃度をそれぞれグルコースCII-テストワコー及びトリグリセリドE-テストワコー(いずれも和光純薬工業株式会社製)で測定した。一方、プラズマの2μlを水8μl及び2x SDS緩衝液の10μlと混合後、95℃で5分加熱処理し、電気泳動の試料とした。ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動(各レーン2μlをアプライ)とウェスタンブロッティングによるアディポネクチンの検出は実施例4と同様にして行った。ただし、1次抗体はケミコン社製のmouse anti-adiponectin, mouse monoclonal antibody (Catalog No. MAB3608)を用いた。また、泳動後のゲルについて、分子量8万前後の部分をCBB試薬で染色し血清アルブミンを検出した。これらのバンドをスキャナーで画像としてパソコンに取り込み、ゲル・プロ・アナライザー(ソフトウェア)でバンドの濃さを数値化した。これらの値から血清アルブミンを基準にした血中アディポネクチンの相対的なレベルを求めた。結果を表1、表2、図5、図6に示す。表1に示すように、各群のマウスの平均体重に顕著な差はない。ただし、SG-1群マウスの平均体重がコントロール群よりやや低めの時期が給餌開始後1〜3週間の間続いたが、4週目には差はなくなった。表2はSG-1又は生姜粗エキスを混合した飼料群では他群より摂食が10%前後抑制されることを示す。図5aは血漿中のグルコース濃度は7週令から9週令の間、生姜粗エキス又はSG-1添加飼料群ではコントロール群よりも顕著に低く、糖尿病発症による血糖増加がジンゲロールを含む生姜抽出物の投与で効果的に抑制されることを示している。また、KK-Ay/Taマウスは糖尿病の進行と肥満に伴い血中脂肪も増加するので高脂血症のモデルにもなっている(特開2004-168720)。本実験で血漿トリグリセリドを測定した結果(図5b)では、生姜粗エキス又はSG-1添加飼料群はコントロール群よりも低い値を示しており、ジンゲロールを含む生姜抽出物が血中脂肪を減少させることが確認された。図6は8〜10週令における血中アディポネクチンの測定結果であるが、生姜粗エキス又はSG-1の飼料添加によりコントロール群に比べ血中アディポネクチンレベルが上昇する傾向のあることを示す。なお、粗エキスの約3分の一を占めるヘキサン可溶性分画(SG-2)は図5aに示すように血糖降下作用がないばかりでなく、血漿トリグリセリド濃度をかえって上昇させたり(図5b)、アディポネクチンレベルの低下を引き起こす(図6)ことがわかった。
なお、本表及び以下の表において数値は平均値(av)と標準偏差(sd)である。
別の2型糖尿病モデルマウス(BKS.Cg-+Leprdb /+Leprdb /Jc1、日本クレア製、6週令、6匹)を実施例7と同様にジンゲロール濃縮分画のSG-1を添加し、もしくは添加しないで調製した固形飼料で4週間にわたり飼育し、体重、摂餌量、血糖値、血漿トリグリセリド濃度を定期的に測定した。マウスの数は各群3匹。体重と摂餌量の測定結果を表3、表4に示す。SG-1飼料群の平均体重はコントロール群の体重より小さかったが、その差は最大で12%(給餌2週間目)であり、4週目には3%以下に縮まった(表3)。一方、摂餌量には大きな差があり、SG-1群はコントロール群より20%から50%も食べる量が少なかった(表4)。すなわち、SG-1は過度の体重減少を引き起こさずに摂食を抑制する。血糖値及び血漿トリグリセリド濃度の測定結果を図7に示すが、SG-1飼料群は7〜10週令の間、コントロール群よりも顕著に低い値を示し、SG-1の血糖降下、高脂血症治療効果が確認された。
正常ヒト前駆脂肪細胞を96-wellプレートでインスリンとデキサメタソンの存在下にテオフィリン及び/又は化合物1a、2、もしくは高良姜粗抽出物を添加、培養し、10日後に細胞内脂肪球をORO色素で染色した細胞の顕微鏡写真である。ORO染色後、全体をギムザで染色した。AとEのウェルにはコントロールとして2μlのエタノールのみ添加、BとFには10 mMの化合物1aのエタノール溶液を2μlづつ添加、CとGには10mMの化合物2のエタノール溶液を2μlづつ添加、DとHには高良姜の粗抽出物のエタノール溶液(5mg/ml)を2μlづつ添加した。また、EからHの培地は300μMのテオフィリンを含むが、AからDにはテオフィリンを含まないように調製した。 正常ヒト前駆脂肪細胞にインスリン(10μg/ml)、0.1μMのデキサメタソン、及び0〜300μMのテオフィリンの存在下において、100μMの化合物1a、2、もしくは生姜または高良姜の粗抽出物(50mg/ml)を添加し10日間培養後、細胞を回収しアディポネクチンの生成をウェスタンブロット法で検出した結果である。各ウェルの細胞についてβ−アクチンを検出した結果を上段に、アディポネクチンの検出結果を下段に示してある。 正常ヒト前駆脂肪細胞にインスリン(10μg/ml)、0.1μMのデキサメタソン、及びテオフィリン(100μM、粗抽出物の場合は300μM)の存在下において、100μMの化合物1a、2、もしくは高良姜の粗抽出物(50mg/ml)を添加し10日間培養後、RNAを抽出し、β−アクチンとアディポネクチンのmRNAをRT-PCR法で増幅、PCR産物(それぞれ長さ332bp及び235 bp)を寒天ゲル電気泳動で検出した結果である。なお、図中の+は逆転写酵素(RT)を添加してPCRを行ない、−は同酵素を添加せずにPCRを行なったことを示す。 正常ヒト前駆脂肪細胞にインスリン、デキサメタソン、及び100μMのテオフィリンの存在下において100μMの化合物1a、化合物2、または50 mg/mlの生姜もしくは高良姜の粗抽出物を添加、10日間培養後、RNAを抽出し、定量PCR法でβ−アクチンに対するアディポネクチン遺伝子の相対的発現量を求め、コントロールに対する増加比率で表したグラフである。 生姜粗エキス、SG-1、SG-2を添加した飼料、及びこれらを添加しないコントロールの飼料で飼育したKK-Ay/Ta Jc1マウスの7〜10週令における血糖値(a)又は血漿トリグリセリド濃度(b)を測定した結果を示すグラフである。SG-1群は4匹、他群は各3匹。図中、棒グラフは平均値、エラーバーは標準偏差、n = 6〜12である。星印はコントロール群の対応する値に比べてp<0.01(**)またはp<0.05(*)で有意に低いことを示す。 図5の実験に用いたKK-Ay/Ta Jc1マウスの8〜10週令における血中アディポネクチンレベルを測定した結果を示すグラフである。図中、棒グラフは平均値、エラーバーは標準偏差、n = 12〜20である。 生姜抽出物SG-1を添加した飼料、及び添加しない飼料で飼育したBKS.Cg-+Leprdb/+Leprdb /Jc1マウス(各群3匹)の7〜10週令における血糖値と血漿中トリグリセリド濃度を示すグラフである。図中、棒グラフは平均値、エラーバーは標準偏差、n = 6〜9(血糖値)又は2〜9(トリグリセリド値)である。星印はコントロール群の対応する値に比べてp<0.01(**)またはp<0.05(*)で有意に低いことを示す。

Claims (9)

  1. 下記式1で示されるジンゲロール化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。


    ・・・・1
    (但し、式中、nは4,6または8を表す)
  2. ジンゲロール化合物が下記式1aで表される右旋性[6]-ジンゲロールであることを特徴とする、請求項1に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
    ・・・・1a
  3. 請求項1または2に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を含有することを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤
  4. 植物抽出物がショウガ科ショウガ属の植物の抽出物であることを特徴とする、請求項3に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤
  5. ショウガ科ショウガ属の植物が生姜(Zingiber officinale)であることを特徴とする、請求項4に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤
  6. 請求項1または2に記載の化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、2型糖尿病血糖降下剤。
  7. 請求項1または2に記載の化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症治療剤。
  8. 請求項1又は2に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、2型糖尿病血糖降下剤。
  9. 請求項1又は2に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症治療剤。
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