JP4834824B2 - アディポネクチン産生増強剤 - Google Patents
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(但し、式中、nは4,6または8を表す)
(2) ジンゲロール化合物が下記式1aで表される右旋性[6]-ジンゲロールであることを特徴とする、上記(1)に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
(3) 上記(1)または(2)に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を含有することを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
(4) 植物抽出物がショウガ科ショウガ属の植物の抽出物であることを特徴とする、上記(3)に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
(5) ショウガ科ショウガ属の植物が生姜(Zingiber officinale)であることを特徴とする、上記(4)に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
(6) 上記(1)または(2)に記載の化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とするとする、2型糖尿病血糖降下剤。
(7) 上記(1)または(2)に記載の化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症治療剤。
(8) 上記(1)又は(2)に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上とを活性成分として含有することを特徴とする、2型糖尿病血糖降下剤。
(9) 上記(1)又は(2)に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症治療剤。
一方、アディポネクチンの産生増強物質として知られている前記したTZDやインドメタシン等の物質は、安全性、副作用の問題を抱えているのに対し、本発明の化合物は、従来から、食用とされる生姜や食用もしくは漢方薬として用いられる高良姜の成分として、喫食あるいは服用されていたものであり、又後記する実験例からも本発明の薬剤は安全性が高いものといえる。
さらに、上記したように、アディポネクチンは、インスリンが産生されているにもかかわらず血糖値が低下しないいわゆる生活習慣病の2型糖尿病を予防、治療する効果を有するが、上記本発明の化合物は、このアディポネクチンの産生増強及び促進を通じて、2型糖尿病血糖降下作用及び高脂血症治療作用を有する。さらに、これのみでなく動脈硬化につながる血管病変の抑制、肥満改善、抗炎症、単球系細胞の増殖抑制、肝繊維化抑制等、多くの重要な生理作用を有するものであり、本発明により提供される薬剤は、安全で極めて有用な薬剤である。
一方、アディポネクチンの産生増強物質として知られている前記したTZDやインドメタシン等の物質は、安全性、副作用の問題を抱えている。これに対し、本発明の化合物は、原料の生姜や高良姜が食用・薬用とされており、また、ヒト前駆脂肪細胞の培養に添加した時、100μMの濃度でもネクロシスを起こさず正常な脂肪蓄積と分化を引き起こしたことから考えても、上記の動物試験において際立った体重減少を引き起こさず原因不明の死亡例も無かったことから考えても、その安全性は高い。
さらに、これらの化合物はいずれもごく薄い黄色を帯びるのみであるため、健康食品等への利用範囲は広い。
生姜は各種調理品の薬味、香辛料として汎用されるばかりでなく、日本薬局方に生薬として収載され、風邪薬、健胃消化薬、鎮吐剤、鎮痛薬等として利用されているが、アディポネクチン産生増強作用やそれに基づく抗糖尿病作用等は知られていない。その主成分の1つであるジンゲロールについても各種の薬理作用が知られ、最近でも強心剤(特開平5-262695、US Patent Application 20030124206)、角層修復促進剤(特開平6-239736)、熱ショック蛋白合成抑制剤(特開平9-227365)、チロシナーゼ活性阻害剤(特開2003-342224)、多機能性の健康増進剤(US Patent Application 20010046523)、体重調節剤(US Patent Application 20020164387)等として利用されている。高良姜は産地の中国南部で料理の香辛料として用いられることがあるが、我が国では健胃・消化促進効果のある漢方薬として用いられ、薬理学的な研究の結果、抗潰瘍作用やプロスタグランディン生合成阻害作用のあることも明らかにされている(三川、医学のあゆみ、126、867、1983)。しかし、高良姜粗抽出物や化合物2等の成分のいずれについても、アディポネクチン産生増強作用やそれに基づく応用は未だ知られていなかったものである。
本発明に用いる場合、これらキサンチン誘導体あるいはこれを含む抽出物は、化合物1、化合物2あるいはそれらを含む粗抽出物に混合してもよいし、単独で飲用水等に添加し、化合物1や2の化合物を含む飲用水等の摂取後、引き続いて飲用摂取することにより利用してもよい。本発明に用いる場合、これらの化合物の添加量は精製の方法や程度により生理的に安全な範囲内で適宜加減する。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
新鮮生姜根茎620gを厚さ約5mmのスライスとし、1400mlのエタノールに浸漬し室温に1週間放置した。エタンールを回収し、同量の新しいエタノールを加えてさらに1週間抽出した。エタノール溶液を合わせロータリーエバポレーターで濃縮し、油状残渣に水120mlと酢酸エチル500mlを加え、分液漏斗中で激しく振とうした。静置、分離後、酢酸エチル層を回収し、水層は酢酸エチル200mlで再度抽出した。酢酸エチル層を合わせ、水100mlで洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥し、エバポレーターで濃縮して油状物2.5gを得た。これをヘキサンで充填したシリカゲルカラム(Wakogel C-300、直径2.5cm、高さ30cm)に吸着させ、300mlのヘキサンを流し、次いで10、20、30、50%のアセトンを含むヘキサン各400mlで順次溶離した。溶出液は50〜75mlづつ分画した。予備試験のフラクションをヒト前駆脂肪細胞に加えた結果から、脂肪蓄積促進作用(脂肪細胞分化促進作用)はシリカゲルの薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン=4:3の混合液で展開)においてRf0.58でFeCl3-K3[Fe(CN)6]混液の噴霧により濃青色を呈するスポットである見当がついていたので、上記溶出液中で、ほぼ当該スポットの化合物のみを含む分画(20%から30%のアセトン含有ヘキサンで溶出)を合わせ、エバポレーターで濃縮し364mgの黄色オイルを得た。これをさらに分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、厚さ0.5mm、ヘキサン:アセトン=2:1の混液で展開)で精製し、純粋な化合物1aの277mgを薄黄色のオイルとして得た。このオイルの一部を少量のヘキサンと混和しフリーザーに放置すると結晶化したが融点は室温付近であった。旋光度測定において右旋性を示した。[α]D 23+27.5°(C=1, CHCl3)。高分解能のマススペクトル測定ではm/z 294.1819 に分子イオンピークを示したので分子式はC17H26O4 と決定した(calcd. C17H26O4=294.1830)。 1H-NMR (CDCl3) と13C-NMR(CDCl3)の測定結果は表1にまとめてある。これらの結果を解析し、また文献[メルクインデックス(12版)、p.751、#4431、及び同項に引用されている文献]に記載されたスペクトル等諸性質との比較から、得られた化合物1aを(+)-(S)-ジンゲロール[(S)-5-Hydroxy-1-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-3-decanone]と同定した。
高良姜(Alpinia officinarum)の細断した乾燥根茎54 gを室温において2週間250mlのエタノールで抽出した。エタノールを濾別し、残渣は再度100 mlのエタノールで抽出した。エタノール抽出液を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、2.45gの油状残渣を得た。この残渣の0.5gをへキサンで充填したシリカゲルのカラム(Wakogel C-300、直径1.8cm、高さ16cm)に吸着させ、0、5、10、20、30、40、60、80、100%のアセトンを含むヘキサン50mlづつで溶出した。これらの分画について実施例1と同様にヒト前駆脂肪細胞の分化促進活性を検定したところ、主要な活性は40%アセトン含有分画にあった。同分画を濃縮し、150 mgの残渣を得た。このうち50mgを分取の薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、0.5mm厚、ベンゼン:酢酸エチル=5:1の混合溶媒で展開)で精製し、化合物2(25mg)を薄黄色のオイルとして得た。旋光度を測定したところエタノール中で右旋性であった、[α]D 23 +3.4°(c=1, EtOH)。高分解能マススペクトルはm/z= 328.1627に分子イオンピークを示したことから分子式はC20H24O4と決定された(calcd. C20H24O4=328.1673)。 1H-NMR (CDCl3) と13C-NMR(CDCl3)の測定結果は表1にまとめてある。これらのスペクトルを解析し、さらに推定された構造について高良姜の既知成分に関する文献(井上ら、薬学雑誌、98、1255−1257(1978);F. Kikuchi et al., Chem. Pharm. Bull., 30, 2279−2282 (1982 )) に記載された比旋光度及びスペクトルと比較した結果、得られた化合物を(+)-(R)-5-hydroxy- 7-(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)-1-phenyl-3-heptanoneと決定した。
Claims (9)
- 下記式1で示されるジンゲロール化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
・・・・1
(但し、式中、nは4,6または8を表す)
- ジンゲロール化合物が下記式1aで表される右旋性[6]-ジンゲロールであることを特徴とする、請求項1に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
- 請求項1または2に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を含有することを特徴とする、動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
- 植物抽出物がショウガ科ショウガ属の植物の抽出物であることを特徴とする、請求項3に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
- ショウガ科ショウガ属の植物が生姜(Zingiber officinale)であることを特徴とする、請求項4に記載の動物脂肪細胞におけるアディポネクチン産生の増強もしくは促進剤。
- 請求項1または2に記載の化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、2型糖尿病血糖降下剤。
- 請求項1または2に記載の化合物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症治療剤。
- 請求項1又は2に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、2型糖尿病血糖降下剤。
- 請求項1又は2に記載の化合物を含有する植物抽出物と、テオフィリン、カフェイン、もしくはテオブロミンのいずれか1つ以上を活性成分として含有することを特徴とする、高脂血症治療剤。
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