JP2008074234A - ウォータージェット推進船 - Google Patents

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Abstract

【課題】 停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速できるようにする。
【解決手段】 船体1に、船底の水取入口3から船尾端の吹出口4に至るウォータージェット管路5と推進用ポンプ6を備えたウォータージェット推進器2を設けてウォータージェット推進船を形成する。船体1上に水タンク18を設け、ウォータージェット管路5における推進用ポンプ6の上流側近傍位置に、昇圧ポンプ20付きの水送給管路19を介して接続して水送給装置Iを形成する。ウォータージェット推進船を停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速させるときには、水タンク18の水を、昇圧ポンプ20により昇圧してウォータージェット管路5内へ送給することで、推進用ポンプ6の回転駆動速度を高める際に吸入される水が不足しないようにすることで、ウォータージェット推進器2の吹出口4より多量の水を急速に噴出させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ウォータージェット推進船に関するもので、詳しくは、高い機動性が得られるようにしたウォータージェット推進船に関するものである。
一般に、ウォータージェット推進船に搭載されるウォータージェット推進器2は、図6に示す如く、船体1の船底又は喫水線よりも下方の船側に開口させた水取入口3(図では船底に水取入口3を開口させた場合が示してある。)から船尾端に開口する吹出口4に達するウォータージェット管路5を設け、該管路5の船尾寄り所要個所の内側に、推進用ポンプ6を構成するための羽根車(推進用プロペラ)6aを回転可能に配置すると共に、該羽根車6aを、主軸(プロペラ軸)7を介して船体1内の主機8の出力軸に連結した構成としてある。これにより、上記主機8により主軸7を介して上記推進用ポンプ6の羽根車6aを回転駆動させることで、上記水取入口3から上記管路5内へ取り入れられる水を上記推進用ポンプ6にて昇圧し、しかる後、上記吹出口4より後方の空中又は水中にジェットとして噴出させて、その反動で船体1の推進力を得るようにしてある。
又、ウォータージェット推進船では、船底の吸入口9より吸入管10を経て取り入れた冷却用海水を主機8の冷却水循環管11へ導いて該主機8を冷却するようにしてあり、該主機8の冷却に供した後の冷却排水は、通常、所要の動力により排水ポンプを運転することで船外へ排出させるようにしている。しかし、この場合は、上記排水ポンプの運転のための動力が必要とされる。
そこで、上記排水のための動力を不要にできるようにするために、図6に示した如く、上記主機8の冷却水循環管11の出口側に接続した逆止弁14付きの排水管12の下流側端部の吐出口13を、上記ウォータージェット管路5における推進用ポンプ6よりも上流側位置に開口するよう接続した構成とすることが提案されている。これにより、ウォータージェット推進船の航行時に上記主機8により推進用ポンプ6の羽根車6aが回転駆動されているときには、上記ウォータージェット管路5内が水取入口3から吹出口4へ向かう水の流れによって負圧になることを利用して、上記排水管12内の冷却排水を、該ウォータージェット管路5内へ吸引して排出させると共に、上記給入管10を通して新たな冷却用海水を上記主機8の冷却水循環管11へ送ることができるとされている。15は停泊、停船時に使用するための排水ポンプ16を備えた補助排水管であり、該補助排水管15は、上記排水管12における逆止弁14よりも上流側位置より分岐させて、下流側端部の吐出口17を船底に開口させて接続してある。
又、図示してはいないが、ウォータージェット推進船の船底内のドレン口に接続した逆止弁付きのドレン管の下流側端部の吐出口を、上記主機8の冷却排水の排水管12の吐出口13と同様に、上記ウォータージェット管路5における推進用ポンプ6よりも上流側位置に開口するように接続して、ウォータージェット推進船の航行時に上記ウォータージェット管路5内が負圧になることを利用して、別途動力を要することなく船底部の排水を吸引して排出させるようにすることも考えられている(たとえば、特許文献1参照)。
更に、上記したと同様のウォータージェット推進器の主機8としては、ディーゼルエンジン等に比して重量や容積に対する発生馬力の大きいガスタービンエンジンが用いられるようになってきていることや、ウォータージェット推進船の船体の幅方向に、上記のようなウォータージェット推進器が複数基搭載されるようになっていることも従来知られている(たとえば、特許文献2参照)。
ところで、上記した如きウォータージェット推進器2を用いたウォータージェット推進は、高速航行に適した推進方式とされているが、ウォータージェット推進船の低速域での機動性を高めるために、たとえば、停止状態や、非常に遅い速度で航行している状態から急激な加速を行うことが望まれることがある。
実開平5−84599号公報 特開2005−125991号公報
ところが、上記ウォータージェット推進器2は、推進用ポンプ6で昇圧させた水を吹出口4より後方へジェットとして噴出させるときの反力を推進力としているため、ウォータージェット推進船を停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急激に加速させるための大きな推進力を得るには、多量の水を速い流速で船体1後方へ噴出させる必要があるが、該ウォータージェット推進船が停止した状態や、非常に遅い速度で航行している状態のときには、ウォータージェット推進器2の推進用ポンプ6に多量の水を速やかに吸入することが困難であることから、ウォータージェット推進船は、停止状態や非常に遅い速度での航行状態からの急加速性能があまり高くないというのが実状である。
すなわち、ウォータージェット推進器2では、水取入口3から吹出口4に至る1連のウォータージェット管路5の途中位置に、推進用ポンプ6が設けてあるため、該推進用ポンプ6を用いて多量の水を昇圧させて吹出口4より速い流速で噴出させるためには、上記噴出させる多量の水と同量の水を、上記ウォータージェット管路5を通して推進用ポンプ6へ吸入する必要がある。
ところで、ウォータージェット推進船がある程度の速度で航行しているときには、外部の水が上記水取入口3を通して上記ウォータージェット管路5内へ流入して、該管路5内に、上記航行速度に応じた流速で上記水取入口3より推進用ポンプ6へ向かう水の流れが生じるようになるため、上記管路5を経て推進用ポンプ6へ水を吸入する際の抵抗が小さくなって、該推進用ポンプ6へ多量の水を容易に吸入できるようになる。しかし、ウォータージェット推進船が停止状態のときには、上記ウォータージェット管路5内の水の流速はゼロであり、又、非常に遅い速度で航行しているときには、上記管路5内にて推進用ポンプ6へ向かう水の流速は非常に遅い。
そのために、上記推進用ポンプ6の回転駆動速度を高めて該推進用ポンプ6の吸入量を急激に増加させようとしても、上記ウォータージェット管路5を通る水の抵抗が大となってしまい、上記ウォータージェット管路5を通して推進用ポンプ6へ導かれる水の量が一時的に不足するようになることから、該推進用ポンプ6で昇圧して上記吹出口4より噴出できる水の量が制限されてしまう。このことから、従来のウォータージェット推進船は、停止状態からの急発進性能や、非常に遅い速度での航行状態からの急加速性能をあまり高めることができなかった。
なお、上記推進用ポンプ6に吸入される水の量は、ウォータージェット管路5における該推進用ポンプ6よりも上流側位置の流路断面積と、該部分を流れる水の流速の積に応じて定まるため、推進用ポンプ6よりも上流側のウォータージェット管路5の径を太くして流路断面積を増加させるようにすれば、該管路5内における水の流速が遅くても、上記推進用ポンプ6に吸入させる水の量を増加させることができると考えられるが、この場合には、上記ウォータージェット管路5の径を太くすることに合わせて上記推進用ポンプ6のポンプ容量を大型化する必要が生じてしまう。
上記特許文献1には、主機8の冷却排水の排水管12や、船底部の排水のドレン管の下流側端部の吐出口を、ウォータージェット管路5に接続して、上記主機8の冷却排水や、船底部の排水を上記管路5へ流入させる考えが示されているが、これらは、ウォータージェット推進器2の運転時に、上記ウォータージェット管路5内が水取入口3から吹出口4へ向かう推進用の水の流れによって負圧になることを利用して、別途動力を要することなく上記主機8の冷却排水や船底部の排水を、上記管路5へ吸引させて排出させるためのものである。
したがって、上記のように主機8の冷却排水や船底部の排水を、ウォータージェット管路5へ吸引して、排出できるようにするためには、該管路5内の圧力が、上記主機8の冷却水循環管11の流通抵抗に抗して十分量の冷却用海水を流通させるために必要とされる吸引力や、船底部の排水を、船底部より上記ウォータージェット管路5におけるドレン管の吐出口の接続位置まで吸い上げるために必要とされる吸引力を発生できるような負圧となっている必要がある。そのため、ウォータージェット推進船が停止していて上記ウォータージェット管路5内に水の流れがない状態や、非常に遅い速度での航行のために上記管路5内における水の流速が非常に遅い状態では、該管路5内に十分な負圧が発生しないことから、上記主機8の冷却排水や、船底部の排水を、上記ウォータージェット管路5内へ流入させることはできない。
更に、上記特許文献1に示されたものでは、主機8により推進用ポンプ6を回転駆動するエネルギーの一部が、上記主機8の冷却排水や、船底部の排水をウォータージェット管路5内へ吸引することに利用されるため、上記推進用ポンプ6の回転駆動によって発生させるウォータージェット推進船の推力の減少につながる虞も懸念される。
しかも、上記特許文献1に示されたものは、主機8の冷却排水や船底部の排水を排出するための動力を不要にできるようにすることを目的としているものであるため、上記主機8の冷却排水の排水管12や、船底部の排水のドレン管に、上記ウォータージェット管路5側へ排水を送るためのポンプを設ける構成とする考えは全くなく、示唆されるものでもない。
そこで、本発明は、ウォータージェット推進器の推進用ポンプの大型化を要することなく停船状態又は非常に遅い速度で航行している状態であっても上記推進用ポンプに多量の水を速やかに吸入できるようにして、停船状態や非常に遅い速度での航行状態からの急激な加速を行うことができるウォータージェット推進船を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、船体の喫水線以下の所要個所に設けた水取入口から船尾端の吹出口に達するよう配設したウォータージェット管路と、該ウォータージェット管路の所要個所に設けた推進用ポンプとを備えたウォータージェット推進器を、船体に搭載してなるウォータージェット推進船において、上記ウォータージェット管路における上記推進用ポンプよりも上流側位置に、水を所要圧力で送給するための水送給装置を接続してなり、停止状態や非常に遅い速度で航行している状態から上記推進用ポンプの回転駆動速度を高めて急加速するときに、上記ウォータージェット管路内へ上記水送給装置より所要圧力で水を送給できるようにしてなる構成とする。
又、上記構成における水送給装置を、船体の所要個所に設けた水タンクと、該水タンクをウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側位置に接続する水送給管路と、該水送給管路に備えた昇圧ポンプとを具備してなる構成として、上記昇圧ポンプの運転により、上記水タンク内の水を昇圧して、上記水送給管路を経て上記ウォータージェット管路内へ送給できるようにした構成とする。
同様に、上記構成における水送給装置を、船体の喫水線以下の所要個所に設けた取水口に一端を取り付け且つ他端をウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側位置に取り付けた水送給管路と、該水送給管路の途中位置に設けた昇圧ポンプとからなる構成として、上記昇圧ポンプの運転により、上記取水口より水送給管路へ取り入れる水を昇圧して、該水送給管路を経てウォータージェット管路内へ送給できるようにした構成とする。
同様に、上記構成における水送給装置を、船体の所要位置に設けた水タンクと、該水タンクをウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側位置に接続する開閉弁を備えた水送給管路と、上記水タンクに、上記推進用ポンプを駆動する主機の排気ガス又は圧搾空気を導くガスラインとを具備してなる構成として、上記ガスラインを通して導いた上記主機の排気ガス又は圧搾空気により昇圧させた水タンク内の水を、上記開閉弁を開放作動させた水送給管路を経て上記ウォータージェット管路内へ送給できるようにした構成とする。
上述の各構成において、水送給装置によりウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側に水を送給する送給位置を、推進用ポンプに近い位置となるようにした構成とする。
更に、請求項6に対応して、船体の喫水線以下の所要個所に設けた水取入口から船尾端の吹出口に達するよう配設したウォータージェット管路と、該ウォータージェット管路の所要個所に設けた推進用ポンプとを備えたウォータージェット推進器を、船体の幅方向に複数基搭載してなるウォータージェット推進船において、全航行速度域で運転するウォータージェット推進器のウォータージェット管路と、そのとき運転を休止させるようにしてあるウォータージェット推進器のウォータージェット管路とを、開閉弁付きのバイパス管路で連通接続してなり、停止状態や非常に遅い速度で航行している状態から急加速するときに、運転を休止させているウォータージェット推進器のウォータージェット管路内の水を、運転するウォータージェット推進器のウォータージェット管路内へ、上記開閉弁を開放作動させたバイパス管路を経て導くことができるようにしてなる構成とする。
本発明のウォータージェット推進船によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)船体の喫水線以下の所要個所に設けた水取入口から船尾端の吹出口に達するよう配設したウォータージェット管路と、該ウォータージェット管路の所要個所に設けた推進用ポンプとを備えたウォータージェット推進器を、船体に搭載してなるウォータージェット推進船において、上記ウォータージェット管路における上記推進用ポンプよりも上流側位置に、水を所要圧力で送給するための水送給装置を接続してなり、停止状態や非常に遅い速度で航行している状態から上記推進用ポンプの回転駆動速度を高めて急加速するときに、上記ウォータージェット管路内へ上記水送給装置より所要圧力で水を送給できるようにしてなる構成としてあるので、上記推進用ポンプの回転駆動速度を急速に高めるときには、上記水送給管路よりウォータージェット管路内へ所要圧力で送給される水を、推進用ポンプに吸入することができて、該推進用ポンプへ導かれる水の量が不足することがなくなるため、上記回転駆動速度が急速に高められる推進用ポンプにより、多量の水を昇圧させて吹出口より後方へ急速に噴出させることができる。したがって、上記ウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急激に加速させることができる。
(2)水送給装置を、船体の所要個所に設けた水タンクと、該水タンクをウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側位置に接続する水送給管路と、該水送給管路に備えた昇圧ポンプとを具備してなる構成として、上記昇圧ポンプの運転により、上記水タンク内の水を昇圧して、上記水送給管路を経て上記ウォータージェット管路内へ送給できるようにした構成、又は、水送給装置を、船体の喫水線以下の所要個所に設けた取水口に一端を取り付け且つ他端をウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側位置に取り付けた水送給管路と、該水送給管路の途中位置に設けた昇圧ポンプとからなる構成として、上記昇圧ポンプの運転により、上記取水口より水送給管路へ取り入れる水を昇圧して、該水送給管路を経てウォータージェット管路内へ送給できるようにした構成、又は、水送給装置を、船体の所要位置に設けた水タンクと、該水タンクをウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側位置に接続する開閉弁を備えた水送給管路と、上記水タンクに、上記推進用ポンプを駆動する主機の排気ガス又は圧搾空気を導くガスラインとを具備してなる構成として、上記ガスラインを通して導いた上記主機の排気ガス又は圧搾空気により昇圧させた水タンク内の水を、上記開閉弁を開放作動させた水送給管路を経て上記ウォータージェット管路内へ送給できるようにした構成とすることにより、ウォータージェット推進船を停止状態や非常に遅い速度で航行している状態から急加速するときに、上記ウォータージェット管路内へ所要圧力で水を送給するために用いる水送給装置を容易に実現できる。
(3)水送給装置によりウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側に水を送給する送給位置を、推進用ポンプに近い位置となるようにした構成とすることにより、上記水送給管路より上記ウォータージェット管路内へ所要圧力で送給される水が、ウォータージェット管路内を通って上記推進用ポンプに達するまでの間に生じる圧力損失を抑制できる。
(4)船体の喫水線以下の所要個所に設けた水取入口から船尾端の吹出口に達するよう配設したウォータージェット管路と、該ウォータージェット管路の所要個所に設けた推進用ポンプとを備えたウォータージェット推進器を、船体の幅方向に複数基搭載してなるウォータージェット推進船において、全航行速度域で運転するウォータージェット推進器のウォータージェット管路と、そのとき運転を休止させるようにしてあるウォータージェット推進器のウォータージェット管路とを、開閉弁付きのバイパス管路で連通接続してなり、停止状態や非常に遅い速度で航行している状態から急加速するときに、運転を休止させているウォータージェット推進器のウォータージェット管路内の水を、運転するウォータージェット推進器のウォータージェット管路内へ、上記開閉弁を開放作動させたバイパス管路を経て導くことができるようにしてなる構成とすることにより、ウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い航行状態から急加速させるときには、運転するウォータージェット推進器の推進用ポンプに吸入される水の経路の流路断面積を拡大させることができる。これにより、上記ウォータージェット推進船を停止状態や非常に遅い速度で航行させていることに伴って、各ウォータージェット管路内における水の流速がゼロ又は非常に遅い流速であるとしても、上記運転するウォータージェット推進器の推進用ポンプに吸入する水の量を増大させることができるため、該推進用ポンプの回転駆動速度を高めるときに導かれる水が不足する虞を防止できるようになる。したがって、運転するウォータージェット推進器の吹出口から、後方へ多量の水を速い流速で噴出できて、上記ウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い航行状態から急加速させることが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明のウォータージェット推進船の実施の一形態を示すもので、図6に示したと同様に、船体1に、水取入口3から吹出口4に達するウォータージェット管路5と、該管路5の途中位置に設けた推進用ポンプ6と、該推進用ポンプ6を主軸7を介して回転駆動するための主機8とを具備してなるウォータージェット推進器2を備えた構成において、上記ウォータージェット管路5における上記推進用ポンプ6よりも上流側位置に、水を所要圧力で送給するための水送給装置Iとして、船体1の所要個所に設けた水タンク18を、昇圧ポンプ20を備えた水送給管路19を介して接続する。これにより、上記推進用ポンプ6を運転した状態で、上記昇圧ポンプ20を運転することで、上記水タンク18内の水を、上記昇圧ポンプ20で昇圧した後、上記水送給管路19を経て上記ウォータージェット管路5内へ送給して、該昇圧された水を、該管路5を経て上記推進用ポンプ6へ吸入させることができるようにする。
詳述すると、上記昇圧ポンプ20は、上記水タンク18内の水を、上記推進用ポンプ6の運転時における上記ウォータージェット管路5内の圧力よりも高い圧力まで昇圧できるようにしてある。更に、上記昇圧ポンプ20の運転により、上記水タンク18内の水を昇圧して、上記ウォータージェット管路5内へ送給することで、該管路5内の圧力を、上記昇圧ポンプ20を運転していない通常時の管路5内圧力に比して高めることができるようにしてある。
上記水タンク18は、該水タンク18内の水の水頭を利用して上記昇圧ポンプ20に要求される昇圧能力を抑制できるようにするという観点からすると、上記ウォータージェット管路5における上記水送給管路19の接続位置よりも上方位置に設けることが好ましい。又、ウォータージェット推進船の構造の複雑化を抑えると共に軽量化を図るという観点からすると、船体1に本来装備されているバラストタンクのような水のタンクを、上記水タンク18として利用するようにすることが好ましいが、専用の水タンク18を船体1に装備させる構成とするようにしてもよい。なお、図1では、便宜上、船体1上に上記水タンク18を支持するための支持構造の記載は省略してある。
更に、上記水送給装置Iにおける水送給管路19の上記ウォータージェット管路5に対する接続位置は、上記推進用ポンプ6の上流側近傍位置とするようにしてある。これにより、上記昇圧ポンプにて昇圧させた水を上記水送給管路19を経てウォータージェット管路5内へ流入させるときに、該昇圧された水が管路5内を通って上記推進用ポンプ6に達する間に生じる圧力損失を抑制できるようにしてある。
21は主機8の出力軸と主軸7との間に介在させたギアボックスである。その他、図6に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
以上の構成としてあるウォータージェット推進船が停止状態、あるいは、非常に遅い速度で航行しているときに、主機8による推進用ポンプ6の回転駆動速度を急速に高めると共に、上記昇圧ポンプ20の運転を開始させるようにすると、上記水タンク18内の水が、上記昇圧ポンプ20により昇圧された状態で水送給管路19よりウォータージェット管路5内へ供給されて、該管路5内の圧力が高められるようになる。このため、上記推進用ポンプ6に、上記ウォータージェット管路5内の圧力の高められた状態の水が送給されるようになることから、該推進用ポンプ6では、該ポンプ6自体の給入能力以上の容量の水の吸入が行われる。これにより、推進用ポンプ6の回転駆動速度を急速に高めても、該推進用ポンプ6に導かれる水の量が不足することがなくなるため、該回転駆動速度が急速に高められた推進用ポンプ6により、多量の水が昇圧されて吹出口4より後方へ急速に噴出されるようになる。したがって、上記吹出口4より後方へ多量の水が急速に噴出されることの反力によって、上記ウォータージェット推進船は、停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速されるようになる。
その後、上記昇圧ポンプ20の運転により水タンク18内の水がほぼ空になるか、又は、ウォータージェット推進船が、上記した停止状態や非常に遅い速度での航行状態からの急加速によって所定の速度に達すると、上記昇圧ポンプ20の運転を停止して、上記推進用ポンプ6の回転駆動による通常のウォータージェット推進に切り替えるようにすれば、上記急加速に続けてウォータージェット推進船の航行が行われるようになる。
更に、上記水タンク18には、所要の時点で、図示しないポンプを用いて船外の水を汲み上げて貯留させるようにして、次回、停止状態や非常に遅い速度での航行状態からの急加速を行う必要が生じるときまで備えるようにすればよい。
このように、本発明のウォータージェット推進船によれば、停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急激な加速を良好に行うことができて、ウォータージェット推進船の低速域での機動性を大幅に高めることが可能となる。又、上記のように推進用ポンプ6に多量の水を急速に吸入させる場合であっても、ウォータージェット管路5の径を拡大する必要はないため、上記推進用ポンプ6を大型化する必要はない。
次に、図2は本発明の実施の他の形態として、上記実施の形態の応用例を示すもので、図1に示したと同様の構成において、主機をガスタービンエンジン8aとし、更に、水送給装置Iにて水タンク18とウォータージェット管路5の所要位置とを連結する水送給管路19に設ける昇圧ポンプを、上記ガスタービンエンジン8aより排出される高温で且つ高圧の排気ガス22により駆動される形式の昇圧ポンプ20aとしたものである。
具体的には、上記ガスタービンエンジン8aの排気管23の途中位置より切替弁25を介して分岐させた排気ガスライン24を、上記昇圧ポンプ20aに接続してなる構成として、上記切替弁25の切替操作によりガスタービンエンジン8aの排気ガス22を上記排気ガスライン24を通して昇圧ポンプ20aに駆動源として供給することで、該昇圧ポンプ20aの運転を行うことができるようにしてある。
その他の構成は図1に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
本実施の形態のウォータージェット推進船によれば、通常時は、上記ガスタービンエンジン8aの排気ガス22が、上記切替弁25を通過して排気管23に導かれるようにしておく。この状態において、ウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い速度で航行している状態から急激に加速させる必要が生じた場合は、上記ガスタービンエンジン8aによる推進用ポンプ6の回転駆動速度を急速に高めると共に、上記切替弁25を切り替えて、図2に二点鎖線で示す如く、上記ガスタービンエンジン8aの排気ガス22を、排気ガスライン24を経て上記昇圧ポンプ20aへ導いて該昇圧ポンプ20aの運転を開始させる。これにより、上記水タンク18内の水が、上記昇圧ポンプ20aにより昇圧された状態でウォータージェット管路5内へ供給され、該管路5内の水の圧力が高められた状態で、上記推進用ポンプ6に送給されるようになることから、該推進用ポンプ6の回転駆動速度を急速に高めても、推進用ポンプ6へ導かれる水の量が不足することがなくなる。したがって、上記回転駆動速度が急速に高められた推進用ポンプ6により、多量の水を昇圧して吹出口4より後方へ急速に噴出することができるようになるため、その反力により、上記ウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速させることができる。したがって、本実施の形態によっても、図1に示した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態では、上記したようにウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急激に加速させた後は、上記切替弁25を、ガスタービンエンジン8aの排気ガス22を排気管23へ導くように再び切り替えて、上記昇圧ポンプ20aの運転を停止させるようにすればよく、又、所要の時点で、図示しないポンプを用いて船外の水を汲み上げて、上記水タンク18へ再び貯留させるようにして、次回、停止状態や非常に遅い速度での航行状態からの急加速を行う必要が生じるときまで備えるようにすればよい。
次いで、図3は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、船体1の幅方向に、図6に示したと同様なウォータージェット推進器2を複数基、たとえば、船体1の幅方向に3基のウォータージェット推進器2a,2b,2cを搭載すると共に、低速航行時には、中央のウォータージェット推進器2bの推進用ポンプ6の運転を休止させるようにして、左右の2基のウォータージェット推進器2aと2cの各推進用ポンプ6のみを回転駆動することにより、該左右の2基のウォータージェット推進器2aと2cにより推力を発生できる構成とする。
更に、上記低速航行時に運転を休止させるようにしてあるウォータージェット推進器2bのウォータージェット管路5bにおける上記推進用ポンプ6よりも上流側の所要個所と、左右のウォータージェット推進器2a,2cのウォータージェット管路5a,5cにおける推進用ポンプ6よりも上流側の所要個所とを、電磁弁等の開閉弁27を備えたバイパス管路26を介してそれぞれ連通接続する。
具体的には、上記各バイパス管路26は、上記ウォータージェット管路5bに連結してある船体1中央寄りの一端部より、上記左右のウォータージェット管路5a又は5cに接続してある船幅方向の両端側に位置する他端部の方へ斜め後ろ向きに延びるように配設してある。これにより、上記各バイパス管路26の開閉弁27を開放作動させるときに、上記中央のウォータージェット管路5b内へ水取入口3より取り入れられる水を、上記各バイパス管路26を経て左右に振り分けて上記左右のウォータージェット管路5a,5cへ円滑に導くことができるようにしてある。
その他、図1に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
本実施の形態によれば、ウォータージェット推進船の通常航行時は、各バイパス管路26の開閉弁を閉じた状態で各ウォータージェット推進器2a,2b,2cの推進用ポンプ6を回転駆動することにより、個々のウォータージェット推進器2aと2bと2cにて、ウォータージェット管路5a,5b,5c内へそれぞれの水取入口3より取り入れた水を、推進用ポンプ6で昇圧した後、各吹出口4より後方へ噴出させることで、その反力によりウォータージェット推進船の推力を得ることができる。
上記ウォータージェット推進船を、上記中央のウォータージェット推進器2bの運転は休止させた状態で、左右のウォータージェット推進器2aと2cの推進用ポンプ6の回転駆動速度を高めると共に、上記各バイパス管路26の開閉弁を開放作動させると、船体左舷寄りのウォータージェット推進器2aの推進用ポンプ6には、対応するウォータージェット管路5aを通して吸入する水に加えて、図3に二点鎖線で示す如く、中央のウォータージェット推進器2bのウォータージェット管路5bからもバイパス管路26を経て水を吸入できるようになり、同様に、船体右舷寄りのウォータージェット推進器2cの推進用ポンプ6には、対応するウォータージェット管路5cを通して吸入する水に加えて、図3に二点鎖線で示す如く、中央のウォータージェット推進器2bのウォータージェット管路5bからもバイパス管路26を経て水を吸入できるようになる。
したがって、上記左右のウォータージェット推進器2aと2cの各推進用ポンプ6における水の吸入経路の流路断面積は、それぞれのウォータージェット推進器2a,2cに具備されているウォータージェット管路5a,5cの流路断面積と、上記中央のウォータージェット管路5bから各バイパス管路26を経て導かれる水の経路の流路断面積の和となる。よって、上記各ウォータージェット推進器2aと2cの各推進用ポンプ6では、水の吸入経路の流路断面積を、個別に対応するウォータージェット管路5a,5cのみから水を吸入する場合に比して拡大することができるため、上記ウォータージェット推進船を停止状態や非常に遅い速度で航行させていることに伴って、上記各ウォータージェット管路5a,5b,5c内における水の流速がゼロか、あるいは、非常に遅い流速であるとしても、上記左右のウォータージェット推進器2aと2cの推進用ポンプ6には、個別に対応するウォータージェット管路5a,5cのみから水を吸入する場合よりも多量の水を吸入することができるようになる。
以上により、上記左右の各ウォータージェット推進器2aと2cの推進用ポンプ6の回転駆動速度を高めるときに、該各ポンプ6に導かれる水が不足する虞を未然に防止できるようになることから、該各ウォータージェット推進器2aと2cの吹出口4からは、後方へ多量の水を速い流速で噴出できる。よって、本実施の形態においても、上記ウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い航行状態から急加速させることが可能になる。又、上記ウォータージェット推進船の通常運転時は、上記各バイパス管路26の開閉弁27は閉止状態として、上記各ウォータージェット推進器2a,2b,2cの各推進用ポンプ6には、個別に対応するウォータージェット管路5a,5b,5cを通して導かれる水を吸入させるようにしてあるため、上記各推進用ポンプ6の大型化を図る必要はない。
更に、図4は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、図1に示したと同様の構成において、水送給装置Iを、ウォータージェット推進器2のウォータージェット管路5における推進用ポンプ6よりも上流側位置に、船体1上に設けた水タンク18内の水を昇圧ポンプ20により昇圧して水送給管路19を経て送給できるようにした構成に代えて、船体1の船底、又は、喫水線よりも下方の船側に開口させて設けた取水口29(図では船底に取水口29を設けた場合を示してある。)に、水送給管路28の一端部を接続すると共に、該水送給管路28の他端部を、上記ウォータージェット管路5における推進用ポンプ6よりも上流側位置に接続し、更に、上記水送給管路28の途中位置に、図1に示した昇圧ポンプ20と同様の昇圧ポンプ20を設けて水送給装置Iを構成する。
その他の構成は図1に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。なお、図示する便宜上、主軸7に取り付けてあるギアボックス21及び主機8の記載は省略してある。
本実施の形態によれば、ウォータージェット推進船が停止状態、あるいは、非常に遅い速度で航行している状態のときに、推進用ポンプ6の回転駆動速度を急速に高めると共に、上記昇圧ポンプ20の運転を開始させるようにすると、上記取水口29より水送給管路28へ取り入れる水を、上記昇圧ポンプ20により昇圧させた後、上記ウォータージェット管路5内へ送給して、該管路5内の圧力を高めると共に、該昇圧された水を、上記推進用ポンプ6に吸入させることができる。したがって、図1に示した実施の形態と同様に、上記推進用ポンプ6の回転駆動速度を急速に高めるときに、該ポンプ6に導かれる水の量が不足する虞を解消できるため、吹出口4より後方へ多量の水を急速に噴出させることができるようになることから、上記ウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速させることが可能になる。
図5は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、図2に示したと同様の構成において、水送給装置Iを、水タンク18内の水を、ガスタービンエンジン8aの排気ガス22により駆動する形式の昇圧ポンプ20aにより昇圧して、ウォータージェット推進器2のウォータージェット管路5における推進用ポンプ6よりも上流側位置に送給できるようにした構成に代えて、上記水タンク18内の水を、たとえば、上記ガスタービンエンジン8aより高温、高圧で排出される排ガス22の圧力を作用させることで昇圧した後、ウォータージェット推進器2のウォータージェット管路5における推進用ポンプ6よりも上流側位置に送給できる水送給装置Iとしたものである。
具体的には、上記ウォータージェット管路5における推進用ポンプ6よりも上流側の所要位置に、水タンク18を、開閉弁31を備えた水送給管路30を介して接続する。更に、上記ガスタービンエンジン8aの排気管23の途中位置より切替弁25を介して分岐させた排気ガスライン24を、上記水タンク18の上部所要位置に接続して上記水送給装置Iを構成してある。
なお、上記水タンク18は、大気に開放されている図示しない開口部を必要に応じて閉止させることで気密状態とすることができるようにしてあると共に、後述するように、上記ガスタービンエンジン8aの排気ガス22をタンク内に導いて、該タンク内の水を昇圧させて、水送給管路30を経て上記ウォータージェット管路5へ送給するときに作用する圧力に耐え得る構造としてあるものとする。
その他の構成は図2に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
本実施の形態によれば、通常時は、上記ガスタービンエンジン8aの排気ガス22が、上記切替弁25を通過して排気管23に導かれるようにしておく。又、水送給管路30の開閉弁31を閉止状態としておく。この状態において、ウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い速度で航行している状態から急激に加速させる必要が生じた場合は、上記ガスタービンエンジン8aによる推進用ポンプ6の回転駆動速度を急速に高めると共に、上記切替弁25を切り替えて、図5に二点鎖線で示す如く、上記ガスタービンエンジン8aの排気ガス22を、排気ガスライン24を経て気密状態とした上記水タンク18内へ導いて充填させることで、該水タンク18内の水を昇圧させる。同時に、上記水送給管路30の開閉弁31を開放作動させると、上記水タンク18内にて上記ガスタービンエンジン8aの排気ガス22の圧力によって昇圧された水を、上記水送給管路30を経てウォータージェット管路5内に送給して、該管路5内の水の圧力を高めた状態で、上記推進用ポンプ6に吸入させることができる。よって、本実施の形態においても、推進用ポンプ6の回転駆動速度を急速に高めるときに、該推進用ポンプ6へ導かれる水の量が不足する虞を未然に防止できることから、推進用ポンプ6により、多量の水を昇圧して吹出口4より後方へ急速に噴出することができ、よって、ウォータージェット推進船を、停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速させることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、以下のようにしてもよい。図1、図2、図4及び図5の各実施の形態にて、ウォータージェット管路5における水送給管路19,28,30の接続位置は、該各送給管路19,28,30よりウォータージェット管路5内へ昇圧状態で供給する水が、推進用ポンプ6に達するまでに生じる圧力損失を低減させるためには、上記推進用ポンプ6の上流側近傍位置とすることが好ましいが、該接続位置は、ウォータージェット管路5の長手方向に位置変更してもよい。
図1、図2及び図5の各実施の形態における水タンク18の配置は、船体1の上部構造や、艤装品の配置等に応じて適宜変更してもよい。又、水タンク18内の水は、推進用ポンプ6で多量の水を効率よく吸入させるという観点からすると、昇圧ポンプ18又はガスタービンエンジン8aの排気ガス22の圧力を利用して昇圧させた後、ウォータージェット管路5内へ送給することが好ましいが、上記水タンク18を、ウォータージェット管路5よりも所要寸法上方位置に配設すると共に、該水タンク18と上記ウォータージェット管路5とを、図5に示した水送給管路30と同様の開閉弁31付きの水送給管路30を介して接続してなる構成とすることにより、ウォータージェット推進船を停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速させる際に、上記開放弁31を開放操作して、上記水タンク18内の水を、該水の有する位置エネルギーを利用して上記ウォータージェット管路5内へ圧送させるようにしてもよい。
図5の実施の形態では、水送給装置Iにおける水タンク18に、推進用ポンプ6を駆動するガスタービンエンジン8aの排ガス22を導く排ガスライン24を接続してなる構成として、上記水タンク18内の水を、上記ガスタービンエンジン8aの排ガス22の圧力を作用させることで昇圧させるものとして説明したが、上記水タンク18に、船体1に搭載してある図示しない圧搾空気タンク(空気ボンベ)等の所要の圧搾空気供給源より圧搾空気を導くことができるようにしてあるガスラインを接続してなる構成として、上記水タンク18内の水を、上記ガスラインを通して導く圧搾空気の圧力を作用させることで昇圧させ、この昇圧された水タンク18内の水を、水送給管路30を経てウォータージェット管路5内に送給させるようにしてもよい。
図3の実施の形態では、船体1の幅方向に3基のウォータージェット推進器2a,2b,2cを備え、且つ低速航行時に中央のウォータージェット推進器2bを休止状態として、左右の2基のウォータージェット推進器2aと2cのみを運転するようにしてあるウォータージェット推進船に適用するものを示したが、船体1の幅方向に4基のウォータージェット推進器2を備えると共に、低速航行時に船体中央寄りの2基のウォータージェット推進器2を休止状態として、左右の舷側寄りの2基のウォータージェット推進器2のみを運転するようにしてあるウォータージェット推進船に適用して、船体1中央を挟んで右側と左側の2基ずつのウォータージェット推進器2の各ウォータージェット管路5同士を、開閉弁27を備えたバイパス管路26を介して連通接続してなる構成として、上記ウォータージェット推進船を停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速させる際に、上記各バイパス管路26の開閉弁27を開放作動させることで、休止状態とするようにしてある船体中央寄りの2基のウォータージェット推進器2のウォータージェット管路5から、それぞれの左右外側に位置する2基のウォータージェット推進器2のウォータージェット管路5へ上記各バイパス管路26を経て導く水を、上記左右外側に位置する2基のウォータージェット推進器2の推進用ポンプ6へ吸入させるようにしてもよい。更には、ウォータージェット推進船を所要の航行速度以下の低速で航行させる際に休止させるようにしてあるウォータージェット推進器2のウォータージェット管路5から、ウォータージェット推進船を停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速させる際に運転するウォータージェット推進器2のウォータージェット管路5へ水を導くことができるようにすれば、船体1の幅方向に設けるウォータージェット推進器2の数は増減してもよく、又、船体1の幅方向に設けるウォータージェット推進器2の数、及び、ウォータージェット推進船を停止状態や非常に遅い速度での航行状態から急加速させる際に運転するウォータージェット推進器と、休止状態とするウォータージェット推進器2の配置に応じて、上記バイパス管路26の配置は適宜変更してもよい。その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明のウォータージェット推進船の実施の一形態を示す概略切断側面図である。 本発明の実施の他の形態を示す概略切断側面図である。 本発明の実施の更に他の形態を示す概略切断平面図である。 本発明の実施の更に他の形態を示す概略切断側面図である。 本発明の実施の更に他の形態を示す概略切断側面図である。 従来のウォータージェット推進船の一例の概略を示す切断側面図である。
符号の説明
I 水送給装置
1 船体
2,2a,2b,2c ウォータージェット推進器
3 水取入口
4 吹出口
5,5a,5b,5c ウォータージェット管路
6 推進用ポンプ
8 主機
8a ガスタービンエンジン
18 水タンク
19 水送給管路
20,20a 昇圧ポンプ
22 排気ガス
24 排気ガスライン(ガスライン)
26 バイパス管路
27 開閉弁
28 水送給管路
29 取水口
30 水送給管路
31 開閉弁

Claims (6)

  1. 船体の喫水線以下の所要個所に設けた水取入口から船尾端の吹出口に達するよう配設したウォータージェット管路と、該ウォータージェット管路の所要個所に設けた推進用ポンプとを備えたウォータージェット推進器を、船体に搭載してなるウォータージェット推進船において、上記ウォータージェット管路における上記推進用ポンプよりも上流側位置に、水を所要圧力で送給するための水送給装置を接続してなり、停止状態や非常に遅い速度で航行している状態から上記推進用ポンプの回転駆動速度を高めて急加速するときに、上記ウォータージェット管路内へ上記水送給装置より所要圧力で水を送給できるようにしてなる構成を有することを特徴とするウォータージェット推進船。
  2. 水送給装置を、船体の所要個所に設けた水タンクと、該水タンクをウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側位置に接続する水送給管路と、該水送給管路に備えた昇圧ポンプとを具備してなる構成として、上記昇圧ポンプの運転により、上記水タンク内の水を昇圧して、上記水送給管路を経て上記ウォータージェット管路内へ送給できるようにした請求項1記載のウォータージェット推進船。
  3. 水送給装置を、船体の喫水線以下の所要個所に設けた取水口に一端を取り付け且つ他端をウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側位置に取り付けた水送給管路と、該水送給管路の途中位置に設けた昇圧ポンプとからなる構成として、上記昇圧ポンプの運転により、上記取水口より水送給管路へ取り入れる水を昇圧して、該水送給管路を経てウォータージェット管路内へ送給できるようにした請求項1記載のウォータージェット推進船。
  4. 水送給装置を、船体の所要位置に設けた水タンクと、該水タンクをウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側位置に接続する開閉弁を備えた水送給管路と、上記水タンクに、上記推進用ポンプを駆動する主機の排気ガス又は圧搾空気を導くガスラインとを具備してなる構成として、上記ガスラインを通して導いた上記主機の排気ガス又は圧搾空気により昇圧させた水タンク内の水を、上記開閉弁を開放作動させた水送給管路を経て上記ウォータージェット管路内へ送給できるようにした請求項1記載のウォータージェット推進船。
  5. 水送給装置によりウォータージェット管路における推進用ポンプよりも上流側に水を送給する送給位置を、推進用ポンプに近い位置となるようにした請求項1、2、3又は4記載のウォータージェット推進船。
  6. 船体の喫水線以下の所要個所に設けた水取入口から船尾端の吹出口に達するよう配設したウォータージェット管路と、該ウォータージェット管路の所要個所に設けた推進用ポンプとを備えたウォータージェット推進器を、船体の幅方向に複数基搭載してなるウォータージェット推進船において、全航行速度域で運転するウォータージェット推進器のウォータージェット管路と、そのとき運転を休止させるようにしてあるウォータージェット推進器のウォータージェット管路とを、開閉弁付きのバイパス管路で連通接続してなり、停止状態や非常に遅い速度で航行している状態から急加速するときに、運転を休止させているウォータージェット推進器のウォータージェット管路内の水を、運転するウォータージェット推進器のウォータージェット管路内へ、上記開閉弁を開放作動させたバイパス管路を経て導くことができるようにしてなる構成を有することを特徴とするウォータージェット推進船。
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