JP2008074208A - トラクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】PTO伝動経路中に設けられた一方向クラッチが非係合状態であるときに、PTO伝動経路における一方向クラッチよりもPTO軸側の回転を制動することを可能としたトラクタを提供する。
【解決手段】一方向クラッチ部50aの固定爪51a及び可動爪52aは、一回転方向には係合し、他回転方向には係合せずに軸方向で離間する方向に力が作用するように構成されており、PTO伝動軸31と一体に回転する可動爪52aは、ドラム部52bと一体に形成されている。例えばPTO軸に取付けられた作業機のロータリの慣性回転により逆入力が伝達されると、一方向クラッチ部50aが非係合状態となると共に、該可動爪52aがX2方向へ移動し、ドラム部52bにより、ミッションケース7に対して固定されたブレーキ板55を押圧する。これにより、一方向クラッチの非係合状態でPTO伝動軸31が制動される。
【選択図】図3
【解決手段】一方向クラッチ部50aの固定爪51a及び可動爪52aは、一回転方向には係合し、他回転方向には係合せずに軸方向で離間する方向に力が作用するように構成されており、PTO伝動軸31と一体に回転する可動爪52aは、ドラム部52bと一体に形成されている。例えばPTO軸に取付けられた作業機のロータリの慣性回転により逆入力が伝達されると、一方向クラッチ部50aが非係合状態となると共に、該可動爪52aがX2方向へ移動し、ドラム部52bにより、ミッションケース7に対して固定されたブレーキ板55を押圧する。これにより、一方向クラッチの非係合状態でPTO伝動軸31が制動される。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えば作業機等を取付けた状態で農作業に用いられるトラクタに係り、詳しくは、走行伝動経路とPTO伝動経路とを有し、エンジンからの動力を分岐して駆動車軸及び動力取出し軸にそれぞれ伝達するトラクタに関する。
一般に、例えば農作業に用いられるトラクタにおいては、エンジンからの動力を、走行するために駆動車軸に動力を伝達する走行伝動経路と、作業機を駆動するためのPTO軸に動力を伝達するPTO伝動経路とに分岐するトンスミッションが備えられている。
ところで、例えばロータリ耕耘装置などの作業機を上記PTO軸に装着したトラクタにおいては、作業を停止する際に、該作業機のロータリ(回転刃)が土などに食い込んで抜けなくなってしまうことを防ぐために、ロータリ(エンジン)を停止する前に作業機を上昇させる必要がある。このとき、該作業機のロータリには、土などから受けていた負荷がなくなり、該ロータリの重量に基づく慣性力が生じる。また、例えば主クラッチを切断するなどしてエンジンとロータリとの間の動力伝達を切離した場合や、例えばPTO軸の変速機を変速してロータリの回転数を減少させる場合にあっても、該ロータリにおいて慣性力が生じる。このようにロータリにおいて慣性力が生じると、上記走行伝動経路とPTO伝動経路とに動力を分岐するためのトランスミッションを介して、上記ロータリの慣性力が駆動車軸に伝達され、トラクタが瞬間的に加速される、いわゆるダッシングが発生してしまうという問題があった。
そこで、上記トランスミッションの動力分岐よりも下流側におけるPTO伝動経路中に一方向クラッチを配設することで、エンジンからの動力はPTO軸へ伝達可能にするものでありながら、ロータリからの慣性力による回転を空転させて該慣性力の逆入力を遮断可能に構成し、これによって、該逆入力がトランスミッションを介して駆動車軸に伝達してしまうことを防止したものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、上記のようなトラクタにおいて、一方向クラッチの空転に基づき慣性力により回転しているロータリは、慣性力が自然に減衰するまで回転し続けることになり、安全性の向上を図るためにも回転を速やかに停止させることが望まれていた。
また、ロータリが慣性力により回転している状態で、何らかの原因で一方向クラッチが係合してしまうと、上記逆入力が生じてしまい、上述したようにトランスミッションを介して駆動車軸に伝達されて、操作者が予期しないダッシングが生じてしまう虞もあった。
さらに、ロータリが慣性力により回転している状態では、一方向クラッチを空転させた状態が続くことになり、該一方向クラッチの内部では、爪同士の衝突が繰り返され、爪の耐久性に悪影響を与える虞があった。
そこで本発明は、トラクタのPTO伝動経路中に設けられた一方向クラッチが非係合状態であるときに、PTO伝動経路における一方向クラッチよりもPTO軸側の回転を制動することを可能とし、もって上記課題を解決したトラクタを提供することを目的とする。
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図3参照)、エンジンからの動力を分岐して駆動車軸(17)及び動力取出し軸(30)にそれぞれ伝達する走行伝動経路(B)とPTO伝動経路(A)とを有するトランスミッション(6)を備えたトラクタ(1)において、
前記PTO伝動経路(A)に介在して、前記エンジンから前記動力取出し軸(30)への動力伝達に対して係合し、その逆方向の動力伝達に対して非係合となる一方向クラッチ(50a)と、該一方向クラッチ(50a)が係合状態にあるとき非制動にあって、非係合状態で制動するブレーキ(50b)と、を備えた、
ことを特徴とするトラクタ(1)にある。
前記PTO伝動経路(A)に介在して、前記エンジンから前記動力取出し軸(30)への動力伝達に対して係合し、その逆方向の動力伝達に対して非係合となる一方向クラッチ(50a)と、該一方向クラッチ(50a)が係合状態にあるとき非制動にあって、非係合状態で制動するブレーキ(50b)と、を備えた、
ことを特徴とするトラクタ(1)にある。
請求項2に係る本発明は(例えば図3参照)、前記一方向クラッチ(50a)は、軸(35)に固定された固定爪(51a)と、軸(31)に軸方向(X1−X2方向)に移動自在に支持された可動爪(52a)と、を有し、
前記ブレーキ(50b)は、ブレーキ板(55)と、該ブレーキ板(55)に対して軸方向(X1−X2方向)に接離するピストン(52b)と、を有し、
前記可動爪(52a)と前記ピストン(52b)を一体に構成した、
請求項1記載のトラクタ(1)にある。
前記ブレーキ(50b)は、ブレーキ板(55)と、該ブレーキ板(55)に対して軸方向(X1−X2方向)に接離するピストン(52b)と、を有し、
前記可動爪(52a)と前記ピストン(52b)を一体に構成した、
請求項1記載のトラクタ(1)にある。
請求項3に係る本発明は(例えば図3参照)、前記ブレーキ板(55)は、固定部材(7)に回転不能かつ軸方向(X1−X2方向)に所定範囲で移動自在に連結され、
前記固定部材(7)と前記ブレーキ板(55)との間に、前記ピストン(52b)からの押圧方向(X2方向)に抗して変形し得るスプリング(56)を介在してなる、
請求項2記載のトラクタ(1)にある。
前記固定部材(7)と前記ブレーキ板(55)との間に、前記ピストン(52b)からの押圧方向(X2方向)に抗して変形し得るスプリング(56)を介在してなる、
請求項2記載のトラクタ(1)にある。
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の記載に何等影響を及ぼすものではない
請求項1に係る本発明によると、一方向クラッチが非係合状態で制動するブレーキを備えているので、動力取出し軸からの逆入力を一方向クラッチにより空転させている際に、PTO伝動経路の慣性回転している部分を制動することができ、特に作業機が動力取出し軸に接続されている際に、作業機のロータリの慣性回転を速やかに制動することができ、安全性の向上を図ることができる。また、PTO伝動経路の慣性回転している部分を速やかに制動することができるので、ダッシングの予防も図ることができる。更に、一方向クラッチにおける空転状態を速やかに終息させることができるので、該一方向クラッチの耐久性向上も図ることができる。
請求項2に係る本発明によると、一方向クラッチの可動爪と、ブレーキ板と接離するピストンとが一体に構成されているので、一方向クラッチの非係合状態となる際、即ち可動爪が軸方向に移動する際に、該可動爪と一体に構成されたピストンがブレーキ板を軸方向に押圧し、つまりPTO伝動経路の慣性回転している部分の制動を一方向クラッチの非係合動作によって機械的かつ自動的に行うことができる。
請求項3に係る本発明によると、固定部材とブレーキ板との間に、ピストンからの押圧方向に抗して変形し得るスプリングを介在しているので、一方向クラッチの可動爪の急制動を防止することができ、つまりPTO伝動経路の慣性回転している部分の制動力を和らげることができて、急制動が生じた場合に比して動力取出し軸や取付けられる作業機などへの過大な負荷を防ぐことができる。また、ピストン(可動爪)とブレーキ板とが接触する際の衝撃を和らげることができ、一方向クラッチやブレーキ板等の耐久性に悪影響を与えることの防止を図ることができる。
以下、本発明に関する実施の形態を図1乃至図3に沿って説明する。
トラクタ1は、図1に示すように、前輪2と、後輪3と、該前輪2及び後輪3により支持された走行機体4とで構成されている。該走行機体4は、前部のボンネット5の内部に収納されたエンジン(図示せず)と、該エンジンの下方から後方に延びて配置されるミッションケース(固定部材)7と、該エンジンの後方側に配設された運転部8と、該運転部8の後方側に安全フレーム16とが配置されて構成されている。
該運転部8には、走行操作機器であるステアリングホイール11、座席シート12、駆動方式(4WD/2WD)切換レバー13、副変速レバー14、PTO切換レバー15などが配置されている。
一方、走行機体4の後部には、例えばロータリ耕耘装置などの作業機(図示せず)を装着するための昇降リンク機構20と、該作業機に動力を伝達するためのPTO軸(動力取出し軸)30が備えられている。該昇降リンク機構20は、1個のアッパーリンク21と左右一対のロアリンク22とを備える三点式のもので、ロータリ耕耘装置以外にも種々の作業機を選択して装着可能である。昇降リンク機構20のロアリンク22は、リフトロッド24を介してリフトアーム23に吊り下げ支持され、リフトアーム23は、その根元側に配置された油圧式のリフトシリンダ(図示せず)の伸長・収縮動作によって上下に回動される。従って、リフトシリンダを油圧駆動することで作業機を上昇・下降動作させることが可能である。
上記ミッションケース7の内部には、図2に示すように、エンジンからの動力を、走行するために駆動車軸17(図1参照)に動力を伝達する走行伝動経路Bと、作業機を駆動するためのPTO軸30に動力を伝達するPTO伝動経路Aとに分岐するトランスミッション6が備えられている。
該トランスミッション6には、エンジンから出力された動力を、主クラッチ(図示せず)などを介して伝達する入力軸34と、無段変速装置で構成される主変速装置41と、副変速装置42と、一方向クラッチ装置50と、PTO切換装置43とが備えられている。
上記主変速装置41は、入力軸34からの回転を上記PTO伝動経路Aと走行伝動経路Bとに分岐させ、PTO出力軸35により該PTO伝動経路Aに、変速後の回転を走行出力ギヤ36により該走行伝動経路Bに、それぞれ出力するように構成されている。
上記副変速装置42は、該走行出力ギヤ36より回転が伝達される走行伝動軸33と、該走行伝動軸33と平行に配置された走行出力軸32とを備えている。該走行伝動軸33には、歯数の異なるギヤ33a,33b,33cが一体に固定され、該走行出力軸32には、該ギヤ33aと常時噛合うギヤ32aが回転自在に、また該ギヤ32a,33b,33cとそれぞれ選択的に係合・離脱可能な歯数の異なるギヤ32b,32cが一体的に形成され、走行出力軸32の軸方向に移動自在に、それぞれ配置されている。
該走行出力軸32は、ディファレンシャルギヤ(図示せず)などを介して駆動車軸17に接続されており、これにより、上記走行出力ギヤ36から駆動車軸17までの伝達経路が、走行伝動経路Bを構成している。
上記PTO切換装置43は、上記PTO出力軸35に、詳しくは後述する一方向クラッチ装置50を介して接続されたPTO伝動軸31と、該PTO伝動軸31と平行に配置されたPTO軸30とを備えている。該PTO伝動軸31には、後述するギヤ30aと選択的に係合・離脱可能なギヤ31aが該PTO伝動軸31の軸方向に移動自在に、また該ギヤ31aとは歯数の異なるギヤ31bが一体に、それぞれ配置されており、該PTO軸30には、上述のギヤ30aとギヤ30bとがそれぞれ回転自在に配置され、該ギヤ30aと該ギヤ30bとの間には、該ギヤ30bに対して選択的に係合・離脱可能なシフト部材30cが該PTO軸30の軸方向に移動自在に配置されている。これにより、PTO出力軸35からPTO軸30までの伝達経路が、PTO伝動経路Aを構成している。
次に、本発明の要部である一方向クラッチ装置50について説明する。一方向クラッチ装置50は、図3に示すように、一方向クラッチ部50aとブレーキ部50bとで構成されている。
上記一方向クラッチ部50aは、内周部分にスプライン51sが形成されており、PTO出力軸35のX2方向側端部の外周部分に形成されたスプライン35sにスプライン嵌合した駆動継手51と、同じく内周部分にスプライン52sが形成されており、PTO伝動軸31の第2部分31dの外周部分に形成されたスプライン31sにスプライン嵌合し、かつX1−X2方向に移動自在に配置された従動継手52と、PTO伝動軸31の第3部分31eの外周部分に嵌合されたベアリング61と該従動継手52の内周部52cとの間に縮設されたコイル状のクラッチスプリング53とで構成されている。
該駆動継手51は、X2方向側端部においてPTO出力軸35の外周側で同一軸心状となる環状に形成されており、このX2方向側の端面には、全周に亘って固定爪51aが形成されている。また、駆動継手51には、該駆動継手51の内周側でPTO出力軸35の先端部よりもX2方向側に、抜止部材72が嵌合されており、該駆動継手51は、PTO伝動軸31の先端部分である第1部分31cに対し、ブッシュ73を介して相対回転自在に支持されていると共に、X1−X2方向に移動不能に支持されている。
一方、該従動継手52は、X1方向側端部においてPTO伝動軸31の外周側で該駆動継手51のX2方向側端面と同径となる環状に形成されており、このX1方向側端面には全周に亘って可動爪52aが形成されている。また、従動継手52は、上記クラッチスプリング53によりベアリング61に対してX1方向側に付勢されている。なお、該ベアリング61は、PTO伝動軸31の第4部分31fに比して外周面が制度良く加工された第3部分31eにて、該PTO伝動軸31をミッションケース7に対して回転自在に支持している。
そして、固定爪51a及び可動爪52aは、共に同じ形状の爪であり、一回転方向には、係合し得る面が形成され、この係合し得る面の背面側は回転方向に対して斜面となっており、他回転方向には係合せずに軸方向で離間する方向に力が作用するように構成されている。
上記ブレーキ部50bは、上記一方向クラッチ部50aの従動継手52に一体に形成され、該従動継手52の外周側からX2方向側に延設されたドラム部(ピストン)52bと、該ドラム部52bと同径の中空円板状に形成され、該ドラム部52bのX2方向側で対向するように配置されたブレーキ板55と、該ブレーキ板55を固定支持している移動部材65と、ミッションケース7に対してボルト71により固着され、該移動部材65をX1−X2方向に移動自在に支持するベース部材62と、該ベース部材62に対する該移動部材65の相対回転を規制すると共に該移動部材65をX1−X2方向に移動自在にするための複数のピン67と、該移動部材65とミッションケース7との間に縮設され、該ドラム部52bと同径となる円周上に複数配置されたコイル状のスプリング56とで構成されている。
詳細には、移動部材65は、ブレーキ板55よりも大径な環状に形成されていると共に、内周部分にボス部を有しており、ブレーキ板55は、該ボス部に嵌合されていると共に、スナップリング66によって該移動部材65に対して軸方向に固定されている。また、ベース部材62は、移動部材65よりも大径な環状に形成されていると共に、同じく内周部分にボス部を有しており、該移動部材65は、該ボス部に軸方向に摺動自在に嵌合されていると共に、スナップリング63により抜け止めされている。
該移動部材65には、複数の貫通孔65aが穿設されており、一方のベース部材62の同径部分には、周方向の同じ位置に対応して複数の嵌合孔62aが穿設されている。該ベース部材62の嵌合孔62aには、それぞれピン67が嵌合・固定されていると共に、該ピン67が移動部材65の貫通孔65aに摺動自在に係合している。つまり、これにより、ベース部材62(即ちミッションケース7)に対して移動部材65(即ちブレーキ板55)の軸方向の所定範囲(つまりベース部材62のX1方向側の端面とスナップリング63との距離に対する移動部材65の厚みに基づく可動範囲)の移動を許容すると共に、該ベース部材62(即ちミッションケース7)に対して移動部材65(即ちブレーキ板55)が回転不能となるように、ベース部材62及び移動部材65を連結している。
そして、該ベース部材62の嵌合孔62aよりも外周部分にあって、上記従動継手52と一体形成されたドラム部52bの径に対応する部分には、複数の貫通孔62bが穿設されており、これら複数の貫通孔62bを貫通する形で、移動部材55とミッションケース7との間にスプリング56が縮設されている。
次に、本発明に係るトラクタ1の作用について説明する。
例えばエンジンで出力された回転は、図2に示すように、主クラッチ及び入力軸34を介して主変速装置41に入力される。該主変速装置41に入力された回転は、PTO伝動経路Aと走行伝動経路Bとに分岐され、該PTO伝動経路A側に分岐された回転は、PTO出力軸35から出力される。該PTO出力軸35から出力された回転は、一方向クラッチ装置50を介してPTO伝動軸31に伝達され、PTO切換装置43に伝達される。
該PTO切換装置43においては、ギヤ31aがギヤ30aと係合している場合には、該ギヤ31aからギヤ30aに回転を伝達し、該ギヤ30aは、動力取出し機構(図示せず)に回転を伝達する。ギヤ31aがギヤ30aと係合していない場合には、該ギヤ31aは、ギヤ30aに対して空転している。また、ギヤ31bはギヤ30bと噛合っており、回転を伝達している。ここで、シフト部材30cがギヤ30bから離脱したニュートラル位置にあるときには、該ギヤ30bは、PTO軸30に対して空転している。シフト部材30cがギヤ30bと係合している場合には、該シフト部材30cがその係合しているギヤ30bと共に回転してPTO軸30を回転させ、作業機を駆動する。即ち、PTO切換レバー15の操作に基づいて、動力取出し機構への動力伝達の接断とPTO軸30への動力伝達の接断を設定できる。
一方、主変速装置41にて走行伝動経路B側に分岐された回転は、走行出力ギヤ36から出力される。該走行出力ギヤ36から出力された回転は、走行伝動軸33に伝達され、副変速装置42に伝達される。
該副変速装置42においては、ギヤ33aは、ギヤ32aと常時噛合っており、ギヤ32bが該ギヤ32aと係合している場合には、該ギヤ32bが係合しているギヤ32aと共に回転して走行出力軸32を回転させる。また、ギヤ32bがギヤ33bと噛合っている場合には、該ギヤ32bとギヤ33bと共に走行出力軸32を回転させる。さらにギヤ32cがギヤ33cと噛合っている場合には、該ギヤ32cとギヤ33cと共に走行出力軸32を回転させる。
また、ギヤ32b及びギヤ32cがギヤ32a,33b,33cから離脱したニュートラル位置にあるときには、各ギヤ32a,33b,33cは、それぞれ走行出力軸32に対して空転している。
即ち、副変速装置42は、ギヤ33aとギヤ32a、ギヤ33bとギヤ32b、ギヤ33cとギヤ32cの各噛合わせにより、伝動比の異なる3段の変速段が設定さており、副変速レバー14の操作に基づいて変速され、ディファレンシャルギヤや駆動車軸17などを介して後輪3に伝達される。
なお、駆動方式切換レバー13の操作に基づいて、4WDシャフト(図示せず)へ回転を分岐させることもでき、この場合トラクタ1は、四輪駆動状態で走行駆動されることになる。
一方、図3に示すように、一方向クラッチ装置50において、一方向クラッチ部50aでは、PTO出力軸35からPTO伝動軸31へ回転が伝達する場合、固定爪51a及び可動爪52aが互いに噛合っており、回転を伝達している(図3中において一方向クラッチ部50aの上半分に示す状態)。
しかし、例えば作業機を上昇させ、ロータリが慣性回転を始めるなどしてPTO伝動軸31側からPTO出力軸35側への逆入力があった場合(PTO出力軸35の回転数よりもPTO伝動軸31の回転数の方が上回った場合)、固定爪51a及び可動爪52aは、噛合わせ部分が離れ、爪の背面同士が接触するが、斜面の作用により軸方向で離間する方向に力を受ける。このとき、軸方向移動自在の可動爪52aは、クラッチスプリング53の付勢力に抗してX2方向へ移動し、一方向クラッチ部50aが非係合状態となる(図3中において一方向クラッチ部50aの下半分に示す状態)。
その後、固定爪51a及び可動爪52aは、互いの爪を乗り越えると、可動爪52aは、クラッチスプリング53の付勢力によりX1方向へ移動するが、上述のような状態となり、同様な作用が繰り返される。これにより、PTO伝動軸31側からPTO出力軸35側への逆入力があった場合には、一方向クラッチ部50aが空転状態となり、ロータリの慣性回転がPTO出力軸35に伝達されることがない。
一方、可動爪52aがX2方向側に移動する際には、図3(特に一方向クラッチ部50aの下半分)に示すように、従動継手52のドラム部52bが、ブレーキ板55をX2方向に押圧する。つまり、PTO伝動軸31と一体に回転する該ドラム部52bがピストンとなり、ミッションケース7に対して固定されたブレーキ板55を押圧することでPTO伝動軸31の回転を制動する。即ち、作業機のロータリからPTO出力軸35側への逆入力があった場合、一方向クラッチ部50aが空転状態となり、この空転状態の間は、上記ブレーキ部50bの作動によって、ロータリの回転を機械的に、かつ自動的に制動する。
また、ドラム部52bがブレーキ板55をX2方向に押圧する際にあって、上述したようにブレーキ板55及び移動部材65は、X1−X2方向に移動自在に構成され、かつミッションケース7との間にスプリング56が介在されているので、スプリング56が該押圧力及びその押圧力の変動を吸収する形で、ドラム部52bとブレーキ板55との間の制動力を和らげる。これにより、PTO出力軸35より下流側の回転系、特に作業機のロータリ等に対し、急制動による大きな負荷がかかることを防いでいる。さらに該スプリング56は、ドラム部52bとブレーキ板55とが接触する際の衝撃を和らげることもでき、ドラム部52bやブレーキ板55の耐久性向上も図ることができる。
以上のように本発明に係るトラクタ1によると、一方向クラッチ部50aが非係合状態で制動するブレーキ部50bを備えているので、動力取出し軸からの逆入力を一方向クラッチ部50aにより空転させている際に、PTO伝動経路Aの慣性回転している部分を制動することができ、特に作業機が動力取出し軸に接続されている際に、作業機のロータリの慣性回転を速やかに制動することができ、安全性の向上を図ることができる。また、PTO伝動経路Aの慣性回転している部分を速やかに制動することができるので、ダッシングの予防も図ることができる。更に、一方向クラッチ部50aにおける空転状態を速やかに終息させることができるので、該一方向クラッチ部50aの耐久性向上も図ることができる。
また、一方向クラッチ部50aの可動爪52aと、ブレーキ板55と接離するドラム部52bとが一体に構成されているので、一方向クラッチ部50aの非係合状態となる際、即ち可動爪52aがX2方向に移動する際に、該可動爪52aと一体に構成されたドラム部52bがブレーキ板55を押圧し、つまりPTO伝動経路Aの慣性回転している部分の制動を一方向クラッチ部50aの非係合動作によって機械的かつ自動的に行うことができる。
また、ミッションケース7とブレーキ板55との間に、ドラム部52bからの押圧方向に抗して変形し得るスプリング56を介在しているので、一方向クラッチ部50aの可動爪52aの急制動を防止することができ、つまりPTO伝動経路Aの慣性回転している部分の制動力を和らげることができて、急制動が生じた場合に比して動力取出し軸やロータリへの過大な負荷を防ぐことができる。また、ドラム部52b(可動爪52a)とブレーキ板55とが接触する際の衝撃を和らげることができ、一方向クラッチ部50aやブレーキ板55等の耐久性に悪影響を与えることの防止を図ることができる。
なお、本実施の形態においては、可動爪とピストンが一体に形成されたものを説明したが、これに限らず、例えば一方向クラッチの非係合状態を電気信号により検知し、この電気信号に基づいて作動し、動力取出し軸を制動するブレーキを備えたものでもよく、つまり一方向クラッチの非係合状態の際に動力取出し軸を制動し、係合状態の際には制動しないブレーキを備えた構成であれば、どのような構成としてもよい。
1 トラクタ
6 トランスミッション
7 固定部材(ミッションケース)
17 駆動車軸
30 動力取出し軸(PTO軸)
31 軸(PTO伝動軸)
35 軸(PTO出力軸)
50a 一方向クラッチ
50b ブレーキ
51a 固定爪
52a 可動爪
52b ピストン
55 ブレーキ板
A PTO伝動経路
B 走行伝動経路
X1−X2方向 軸方向
X2方向 押圧方向
6 トランスミッション
7 固定部材(ミッションケース)
17 駆動車軸
30 動力取出し軸(PTO軸)
31 軸(PTO伝動軸)
35 軸(PTO出力軸)
50a 一方向クラッチ
50b ブレーキ
51a 固定爪
52a 可動爪
52b ピストン
55 ブレーキ板
A PTO伝動経路
B 走行伝動経路
X1−X2方向 軸方向
X2方向 押圧方向
Claims (3)
- エンジンからの動力を分岐して駆動車軸及び動力取出し軸にそれぞれ伝達する走行伝動経路とPTO伝動経路とを有するトランスミッションを備えたトラクタにおいて、
前記PTO伝動経路に介在して、前記エンジンから前記動力取出し軸への動力伝達に対して係合し、その逆方向の動力伝達に対して非係合となる一方向クラッチと、該一方向クラッチが係合状態にあるとき非制動にあって、非係合状態で制動するブレーキと、を備えた、
ことを特徴とするトラクタ。 - 前記一方向クラッチは、軸に固定された固定爪と、軸に軸方向に移動自在に支持された可動爪と、を有し、
前記ブレーキは、ブレーキ板と、該ブレーキ板に対して軸方向に接離するピストンと、を有し、
前記可動爪と前記ピストンを一体に構成した、
請求項1記載のトラクタ。 - 前記ブレーキ板は、固定部材に回転不能かつ軸方向に所定範囲で移動自在に連結され、
前記固定部材と前記ブレーキ板との間に、前記ピストンからの押圧方向に抗して変形し得るスプリングを介在してなる、
請求項2記載のトラクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006254644A JP2008074208A (ja) | 2006-09-20 | 2006-09-20 | トラクタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006254644A JP2008074208A (ja) | 2006-09-20 | 2006-09-20 | トラクタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008074208A true JP2008074208A (ja) | 2008-04-03 |
Family
ID=39346723
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006254644A Pending JP2008074208A (ja) | 2006-09-20 | 2006-09-20 | トラクタ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008074208A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020190359A (ja) * | 2019-05-21 | 2020-11-26 | 富士工業株式会社 | ワンウェイクラッチを用いた動力伝達構造 |
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2006
- 2006-09-20 JP JP2006254644A patent/JP2008074208A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020190359A (ja) * | 2019-05-21 | 2020-11-26 | 富士工業株式会社 | ワンウェイクラッチを用いた動力伝達構造 |
JP7385239B2 (ja) | 2019-05-21 | 2023-11-22 | 富士工業株式会社 | ワンウェイクラッチを用いた動力伝達構造 |
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