JP2008073982A - ノズルプレートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液滴吐出ヘッドに用いられるノズルプレートの製造方法において、微小なノズルから正確で安定した液滴の吐出が可能なノズルプレートの製造方法を提供する。
【解決手段】基板の第1の面に開口する大径孔部と、他方の面である第2の面に吐出孔を開口し大径孔部の断面より小さな断面の小径孔部とで構成される貫通孔からなるノズルを形成する工程であって、貫通孔が形成される部位の基板の厚みを測定する工程と、第1の面に切削により基板の厚みに応じて所定の深さの大径孔部を形成する工程と、を有する第1の工程と、第1の工程に続いて第2の面にフォトリソグラフィ処理を行い小径孔部のパターンマスクを形成する工程と、パターンマスクを用いてドライエッチング処理を行い小径孔部を形成する工程と、を有する第2の工程と、を備え、第1の工程は、荒加工工程と仕上加工工程とにより大径孔部を形成し、荒加工工程の孔径は仕上加工工程の孔径よりも大きい。
【選択図】図2

Description

本発明は、ノズルプレートの製造方法に関し、特に液滴吐出ヘッドに用いられるノズルプレート製造方法に関する。
近年、インクジェット記録方式において、画質の高精細化の進展および工業用途における適用範囲の拡大等に伴い、微細パターン形成および高粘度のインク吐出の要望がますます高まっている。これらの課題を従来のインクジェット記録方式で解決するには、ノズルの微小化や高粘度のインク吐出による液吐出力の向上を図る必要が生じ、それに伴ってインクの吐出のための駆動電圧が高くなり、ヘッドや装置のコストが非常に高価になってしまうため、実用に適う装置は実現されていない。
そこで、前述の要望に応え、微小化されたノズルから低粘度のみならず高粘度の液滴を吐出させる技術として、ノズル内の液体を帯電させ、ノズルと液滴の着弾を受ける対象物となる各種の基材との間に形成される電界から受ける静電吸引力により吐出させる、所謂静電吸引方式の液滴吐出技術が知られている。
しかし、静電吸引方式の液滴吐出技術において、液滴吐出面がフラットな液体吐出ヘッドを用いる場合、ノズル内の液体や吐出孔部分のメニスカスへの電界集中の程度が小さく、必要な静電吸引力を得るためには、液体吐出ヘッドと基材との間に印加する電圧を非常に高い電圧にする必要があった。
そこで、この液滴吐出技術と、ピエゾ素子の変形や液体内部での気泡の発生による圧力を利用して液滴を吐出する技術とを組み合わせた、所謂電界アシスト方式を用いた液滴吐出装置の開発が進んでいる。この電界アシスト方式は、メニスカス形成手段と静電吸引力を用いてノズルの吐出孔に液体のメニスカスを隆起させることにより、メニスカスに対する静電吸引力を高め、液表面張力に打ち勝ってメニスカスを液滴化し吐出する方法である。
一方、印刷品質は液滴を吐出させる部分であるノズルの特性に大きく依存しており、このノズルの特性は、ノズル径のばらつきやノズルの形状によって略決定される。そして、電界を効果的に集中させる為には、ノズルの形状やその寸法に高い精度が要求される。
ここで、電界アシスト方式等に用いられるノズルの構成について図1を用いて説明する。図1は、ノズルプレート1の構成を示す断面図でる。
ノズルプレート1には、インク等の帯電可能な液体Lの液滴Dを吐出するノズル101が穿孔されて形成されており、各ノズル101には、それぞれノズルプレート1の吐出面10aに吐出孔101cを有する円筒状の小径孔部101bとその背後に位置する円筒状の大径孔部101aとが同心円上に2段構造とされている。また、小径孔部101bに設けられた吐出孔101cの直径D2は数μm、大径孔部101aの直径D1は数10μm〜数100μm、小径孔部101bの深さL2は数μm〜10μmのオーダーとされている。
このような構成のノズルプレート1において、電界を効果的に集中させる為には、少なくとも以下の3つの要件を満たすことが肝要である。
1.それぞれの小径孔部101bの深さL2を均一にすべくばらつきを抑える。
2.吐出孔101cの直径D2の要求精度を確保する。
3.大径孔部101a及び小径孔部101bが孔方向に傾斜することなくノズルプレート1の面に対して略垂直にする。
そして、このような要件に応えるために、ノズルプレートの加工方法が種々検討されている。
例えば、ウェットエッチングを用いた周知の穿孔方法や機械加工とサンドブラスト及びウェットエッチングを用いて段階的に穿孔する荷電粒子線用転写マスクの加工方法(特許文献1参照)に準拠したノズルプレートの加工方法が提唱されている。
特開2005−286276号公報
しかしながら、ウェットエッチングを用いた一般的な穿孔方法では、孔の側面が孔方向に逆すり鉢状に傾斜し、アスペクト比(孔径に対する孔深さの比)が高い孔の加工は困難なものと考えられる。また、前述の1、2項に示した要件の様に孔深さ、孔径等を高い精度で加工することは容易ではない。また、特許文献1に開示されている加工方法においては、機械加工、サンドブラスト及びウェットエッチングといった3つの工程を必要とし、工程の複雑化と製造コストの高価格化を招く恐れがある。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、液滴吐出ヘッドに用いられるノズルプレートの製造方法において、工程の複雑化や製造コストの高価格化を招くことなく、微小なノズルから正確で安定した液滴の吐出が可能なノズルプレートの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的は、下記の1乃至7のいずれか1項に記載の発明によって達成される。
1.吐出孔から液体を液滴として吐出するノズルを備えた液滴吐出ヘッドに用いられるノズルプレートの製造方法において、
前記ノズルプレートの基材である基板の第1の面に開口する断面形状が一定の大径孔部と、前記基板の他方の面である第2の面に前記吐出孔を開口し前記大径孔部の断面より小さな断面を有する断面形状が一定の小径孔部とで構成される貫通孔からなるノズルを形成する工程であって、
前記基板に前記貫通孔が形成される部位の該基板の厚みを測定する工程と、
前記第1の面に切削により前記基板の測定された厚みに応じて所定の深さの前記大径孔部を形成する工程と、を有する第1の工程と、
前記第1の工程に続いて前記第2の面にフォトリソグラフィ処理を行い前記小径孔部のパターンマスクを形成する工程と、
前記パターンマスクを用いてドライエッチング処理を行い前記小径孔部を形成する工程と、を有する第2の工程と、を備え、
前記第1の工程は、荒加工工程と、該荒加工工程に続く仕上加工工程と、により前記大径孔部を形成し、
前記荒加工工程の孔径は前記仕上加工工程の孔径よりも大きいことを特徴とするノズルプレートの製造方法。
2.前記大径孔部の径は、前記小径孔部の径より大きく、且つ、前記大径孔部の深さは、前記小径孔部の深さより深いことを特徴とする前記1に記載のノズルプレートの製造方法。
3.前記液滴吐出ヘッドは、静電吸引方式の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする前記1または2に記載のノズルプレートの製造方法。
4.前記基板は、ガラスまたは石英であることを特徴とする前記1乃至3のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
5.前記第2の工程は、
前記第2の面に金属膜を設ける工程と、
前記金属膜にフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を行い前記小径孔部の金属膜のパターンマスクを形成する工程と、
前記パターンマスクを用いてドライエッチング処理を行い前記小径孔部を形成する工程と、
前記金属膜を除去する工程と、を有することを特徴とする前記1乃至4のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
6.前記ドライエッチング処理に用いるガスは、フッ素を含む炭化水素を高周波によりプラズマ化したものであることを特徴とする前記1乃至5のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
7.前記切削に用いる切削工具は、ダイヤモンド、AlN(窒化アルミニウム)、TiN(窒化チタン)、WC(タングステンカーバイト)、DLC(Diamond Like Carbon)で表面処理を施したものあることを特徴とする前記1乃至6のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
本発明によれば、ノズルプレートのノズルを形成する際に、高精度が要求されず加工による損傷が懸念されない大径孔部の加工と、高精度が要求され、加工による損傷を避けたい小径孔部の加工を2つの工程に分け、大径孔部は切削法を、小径孔部はドライエッチング法をとするそれぞれに適切な加工方法を選択することができる。また、大径孔部の加工工程を、荒加工と仕上加工の2つの工程に分けて行い、荒加工の孔径を仕上加工の孔径よりも大きくしている。これにより、高精度が要求されない大径孔部の加工においても、切削工具の磨耗による寸法ばらつきを抑え、仕上精度を向上させることができる。また、荒加工の条件を調整することにより、孔の入り口の欠けを抑えることができ、仕上加工用の切削工具の磨耗を低減させることができる。これにより、長期期間にわたり安定した加工を行うことができる。したがって、必要な機能や精度を充分に確保しながら生産性の良いノズルプレートの製造方法を提供することができる。また、大径孔部は切削法により穿孔する様にしているので、孔が基板に対して傾斜することなく垂直に穿孔することができる。また、大径孔部の深さは、基板の厚みに応じて調整する様にしているので、小径孔部の深さは孔毎のばらつきが抑えられ精度良く均一にすることができる。また、基板の厚みが必要な厚み以上の場合は、切削加工の後に全面をエッチングすることにより大径孔部に損傷を与えることなく厚みを調整することも加工である。また、小径孔部はドライエッチング法により穿孔する様にしているので、孔が基板に対して傾斜することなく垂直に穿孔することができる。
また、大きな孔(大径孔部)を穿孔した後に小さな孔(小径孔部)を穿孔する様にしているので、高精度が要求される小さな孔周辺は加工による損傷を被ることがなくなる。
また、電界集中に効果的であるノズルは、2段の軸対称の円柱貫通孔で、且つ、ノズルの吐出孔の径が10μm以下が好適であり、特に、小径孔部の深さは均一であることが肝要である。したがって、本発明に係るノズルプレートを静電吸引方式の液滴吐出ヘッドに利用することが可能となる。
また、ノズルプレートの基材は、ガラスまたは石英を用いる様にしている。ガラス、石英は体積低効率が高いので、電界集中に好適な基材である。また、基材に結晶性のものを用いた場合は、ドライエッチング処理を行う際に、結晶軸を起点に破損する恐れがあるが、ガラスは非晶質であることから破損することなく安定して処理を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図2は前述の図1のノズルプレート1を製造する工程の概略を断面図でもって模式的に示した図であり、完成したノズルプレートは図2(h)にノズルプレート10−4として示している。このノズルプレート10−4の製造は以下で説明する大径孔部101aを形成する第1の工程と小径穴部101bを形成する第2の工程の2つの工程を有している。
ノズルプレート10−4となる基板10は、ガラスまたは石英とする。また、本発明における製造方法は、大径孔部101a、小径孔部101bのサイズが以下の関係を有する場合に効果的である。
1.1mm>大径孔部101aの深さ>小径孔部101bの深さ
2.大径孔部101aの径>小径孔部101bの径
3.大径孔部101a、小径孔部101bのアスペクト比>0.5
4.大径孔部の荒加工孔径>仕上加工孔径+5μm
最初に、第1の工程とする大径孔部101aの形成に関して図2(a)、(b1)、(b2)に沿って説明する。
先ず、ノズル101を形成する部位の基板10の厚みを、光学式測長装置を用いて計測し、計測された基板10の厚みに応じて大径孔部101aの深さを設定する。すなわち、高い精度が要求される小径孔部101bの深さが均一になる様に、基板10の厚みムラを大径孔部101aの深さで調整するものである。
次に、例えばドリルを用いた切削加工により、孔毎に設定された深さより浅い(例えば10μm)深さまで、荒加工を行い荒加工孔101a1を形成する(図2(b1))。次に、荒加工に続いて、例えばエンドミルのような磨耗していない切削工具を用いて、孔毎に設定された深さまで仕上加工を行い深さ精度の良い仕上加工孔101a2を形成する(図2(b2))。このとき、大径孔部101aの荒加工孔径>仕上加工孔径+5μmとすることにより、切削工具交換時の位置合わせを高精度に行う必要がなく、2重加工時の不要な切削を行わない為、切削工具の磨耗を抑えることができる。また、磨耗の大きな荒加工工具のみを交換することにより仕上加工工具を長寿命化させることができ、長期期間にわたり高精度で安定した加工を行うことができる。このようにして、大径孔部101aが形成される。尚、本実施形態では、荒加工孔、仕上加工孔をそれぞれドリル、エンドミルを用いて加工したが、図2(b1´)、図2(b2´)に示す様に、いずれもエンドミルを用いて加工しても良い。
切削加工は切削工具を用いて行い、回転数は4000〜150000rpmの範囲とする。4000rpm未満の場合は、基板10にチッピング(切削面の欠け)が発生し、150000rpmを越えるの場合は、切削工具の寿命を短くするといった問題がある。また、切込み速度は4mm/min以下が好ましい。この速度より著しく速い場合は、基板10の損傷や切削工具の破損を招く恐れがあり、また、切削時の発熱により非常に高温になることから好ましくない。
また、基板10はガラスあるいは石英であることから、切削工具の切削面に接触する面にはダイヤモンド、AlN(窒化アルミニウム)、TiN(窒化チタン)、WC(タングステンカーバイト)、DLC(Diamond Like Carbon)等で表面処理を施す。特にダイアモンド処理(DLC)を施したものは好適である。なお、切削加工時に切削工具を潤滑および冷却することは言うまでもない。
また、大径孔部101aの径に対する切削工具の回転数は、以下の範囲とする。この範囲をから外れる場合は、前述の様にチッピングや異常発熱、切削工具の短命化等を招く恐れがある。
φ0.08mm;20000〜150000rpm
φ0.1mm ;10000〜 80000rpm
φ0.2mm ; 7000〜 50000rpm
φ0.5mm ; 4000〜 15000rpm
φ1.0mm ; 4000〜 8000rpm
次に、第2の工程とする小径孔部101bの形成に関して図2(c)乃至(h)に沿って説明する。
小径孔部101bの形成は、大径孔部101aが形成された基板10−2を用い、大径孔部101aに連通するように形成する。形成する小径孔部101bの直径は、大径孔部101aの径より小さい。
まず、基板10−2の大径孔部101aを設けた面の反対面上に、公知のマグネトロンスパッタ法や真空蒸着法、メッキ法等によりマスクとする金属膜20を形成する(図2(c))。ここで、使用する金属は、Cr、Ni、Al、Cu、Pt、Mo、Ti等が挙げられるが、これらに限定される必要はなく次に説明するエッチングレート比を考慮してマスクとして使用できればよい。金属膜20の膜厚は、基板10−2に形成する小径孔部101bの長さ(深さ)と、基板10−2と金属膜20とのエッチングレート比(基板と金属膜とが除去される比率で、エッチング選択比とも言う。)とにより適宜決めれば良い。例えば、金属膜20をCrとする場合、このエッチングレート比は10から30程度であり、基板10−2に深さ10μmの孔をエッチングにて設ける場合、エッチングレート比を20とするとCr膜の厚みは0.5μmとすれば良い。実際には、予め実験等を行い使用する金属及び厚みを決めれば良い。尚、本実施形態では、マスクをエッチング処理による加工精度をより良くするために金属膜としているが、公知のドライフィルム等のフォトレジスト膜としてもよい。
次に、この金属膜20の上に、公知のフォトリソグラフィ技術(レジスト塗布、露光、現像)により吐出孔101c及び小径孔部101bを形成するためのフォトレジストパターン30を形成する(図2(d))。次に、このフォトレジストパターン30をマスクとして、塩素ガスを用いた公知の反応性ドライエッチング法を用いてマスクされてない金属膜を除去してパターニングされた金属膜20−1を形成する(図2(e))。この後、公知の酸素プラズマによるアッシング法によりフォトレジストパターン30の除去を行う(図2(f))。次に、上記でパターンニングされた金属膜20−1をエッチング加工用マスクとして、公知の反応性ドライエッチング法を用いて、小径孔部101bを形成する(図2(g))。ドライエッチングは、ガラスや石英等のシリカ系材料に効果的であるCHF3ガスを用いたRIE(反応性イオンエッチング)装置で行う。真空槽内にCHF3ガスを導入して10〜200mTorrの圧力で加圧し高周波でプラズマを発生させて、対向する電極間に配置された被エッチング基板をエッチングする。尚、小径孔部101bの深さが深い場合は、ドライエッチングを分割して行うことにより形状誤差を抑えることができる。最後に、金属膜20−1を除去することでノズルプレート10−4が完成する(図2(h))。
本実施例は、大径孔部101aの径を荒加工120μm、仕上加工100μm、深さを荒加工140μm、仕上加工150μm、小径孔部101bの径を5μm、深さを20μmとしたノズル101を等間隔に1000個開いたノズルプレートを例にとって図2に沿って具体的に説明する。基材は石英基板(厚み170μm、直径76mm)とした。
最初に、ノズル101を形成する領域の基板10の厚みを、オリンパス(株)製の測長装置STM−UMとMMDC351を用いて測定した。厚みは170μmを中心に+8〜−5μmの範囲で分布していた。この測定した厚みデータに基づいてそれぞれの孔の穿孔深さを設定して、安田工業(株)製の加工機YBM640に入力し、荒加工及び仕上加工により大径孔部101aの穿孔を行った(図2(b2))。尚、切削条件は、回転数12000rpm、切込み速度0.4mm/min、一回での切込み深さ15μmとした。
次に基板10−2の大径孔部101aを設けた面の反対面上に、マグネトロンスパッタ法によりマスクとする膜厚0.6μmのNi膜(金属膜20)を形成した(図2(c))。次に、このNi膜の上に、公知のフォトリソグラフィ技術により吐出孔101c及び小径孔部101bを形成するためのフォトレジストパターン30を形成した(図2(d))。次に、このフォトレジストパターン30をマスクとして、塩素ガスを用いた公知の反応性ドライエッチング法を用いてマスクされてないNi膜を除去してパターニングされたNi膜(金属膜20−1)を形成した(図2(e))。パターンニングされたマスクは吐出孔101cが形成される部分のみ石英が露出し、その他の部分はNi膜によって遮蔽される構成である。この後、公知の酸素プラズマによるアッシング法によりフォトレジストパターン30の除去を行った(図2(f))。次に、上記でパターンニングされたNi膜(金属膜20−1)をエッチング加工用マスクとして、CHF3ガスを用いた公知の反応性ドライエッチング法を用いて、深さ20μmの小径孔部101bを形成した。この結果小径孔部101bと大径孔部101aとは貫通状態となっている(図2(g))。
ドライエッチングは、RIE(反応性イオンエッチング)装置で行った。真空槽内にCHF3ガスを導入して100mTorrの圧力の雰囲気で500Wの高周波でプラズマを発生させて深さ20μmの孔を穿孔した。エッチングレートは0.3μm/minで、総時間は67分であるが、基板の発熱によるエッチングマスクのダメージを回避する為に15分毎に10分間の冷却期間(高周波の停止期間)を設けた。
最後に、Ni膜(金属膜20−1)を除去することでノズルプレート10−4を完成させた(図2(h))。
完成したノズルプレート10−3をダイシングソーで中心を切断し、SEMを用いて断面の形状を観察した結果、精度良く加工できていることを確認した。
比較例として、大径孔部101aを切削加工の代わりにサンドブラスト加工により穿孔し、ドライエッチングで小径孔部101bを穿孔して製作したノズルプレート10−4と前述の実施例のノズルプレート10−4の断面図を図3に示す。図3(a)は本実施例によるノズルプレート10−4の断面図、図3(b)はサンドブラスト加工によるノズルプレート10−4の断面図である。
サンドブラスト加工したものは、大径孔部101aがすり鉢状に傾斜しているが(図3(b))、本実施例によるノズルプレート10−4は、傾斜のない2段の貫通孔が形成されていることが確認できる。
また、基板10の厚みの分布を考慮せずに、基板10の厚みを均一に170μmとして、大径孔部101aを加工したところ、穿孔した孔の深さのばらつきが大きい各所で、底面にクラック状の亀裂が発生し、さらに、小径孔部101bを20μmドライエッチングにて開口すべく加工したが、一部の孔は開口していなかった。
この様に、本発明に係るノズルプレートの製造方法によれば、ノズルプレートのノズルを形成する際に、高精度径が要求されず加工による損傷が懸念されない大径孔部の加工と、高精度が要求され、加工による損傷を避けたい小径孔部の加工を2つの工程に分け、大径孔部は切削法を、小径孔部はドライエッチング法をとするそれぞれに適切な加工方法を選択することができる。また、大径孔部の加工工程を、荒加工と仕上加工の2つの工程に分けて行い、荒加工の孔径を仕上加工の孔径よりも大きくしている。これにより、高精度が要求されない大径孔部の加工においても、切削工具の磨耗による寸法ばらつきを抑え、仕上精度を向上させることができる。また、荒加工の条件を調整することにより、孔の入り口の欠けを抑えることができ、仕上加工用の切削工具の磨耗を低減させることができる。これにより、長期期間にわたり安定した加工を行うことができる。したがって、必要な機能や精度を充分に確保しながら生産性の良いノズルプレートの製造方法を提供することができる。また、大径孔部は切削法により穿孔する様にしているので、孔が基板に対して傾斜することなく垂直に穿孔することができる。また、大径孔部の深さは、基板の厚みに応じて調整する様にしているので、小径孔部の深さは孔毎のばらつきが抑えられ精度良く均一にすることができる。また、基板の厚みが必要な厚み以上の場合は、切削加工の後に全面をエッチングすることにより大径孔部に損傷を与えることなく厚みを調整することも加工である。また、小径孔部はドライエッチング法により穿孔する様にしているので、孔が基板に対して傾斜することなく垂直に穿孔することができる。
本発明に係るノズルプレートの構成を示す断面図である。 本発明に係るノズルプレートの製造工程の一例を説明する断面図である。 本発明に係るノズルプレートの製造工程、及び従来の製造工程によって製作されたノズルプレートの断面図である。
符号の説明
1 ノズルプレート
10 基板(基材)
10a 吐出面
101 ノズル
101a 大径孔部
101b 小径孔部
101c 吐出孔
20 金属膜
30 フォトレジスタパターン
D 液滴
L 液体

Claims (7)

  1. 吐出孔から液体を液滴として吐出するノズルを備えた液滴吐出ヘッドに用いられるノズルプレートの製造方法において、
    前記ノズルプレートの基材である基板の第1の面に開口する断面形状が一定の大径孔部と、前記基板の他方の面である第2の面に前記吐出孔を開口し前記大径孔部の断面より小さな断面を有する断面形状が一定の小径孔部とで構成される貫通孔からなるノズルを形成する工程であって、
    前記基板に前記貫通孔が形成される部位の該基板の厚みを測定する工程と、
    前記第1の面に切削により前記基板の測定された厚みに応じて所定の深さの前記大径孔部を形成する工程と、を有する第1の工程と、
    前記第1の工程に続いて前記第2の面にフォトリソグラフィ処理を行い前記小径孔部のパターンマスクを形成する工程と、
    前記パターンマスクを用いてドライエッチング処理を行い前記小径孔部を形成する工程と、を有する第2の工程と、を備え、
    前記第1の工程は、荒加工工程と、該荒加工工程に続く仕上加工工程と、により前記大径孔部を形成し、
    前記荒加工工程の孔径は前記仕上加工工程の孔径よりも大きいことを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  2. 前記大径孔部の径は、前記小径孔部の径より大きく、且つ、前記大径孔部の深さは、前記小径孔部の深さより深いことを特徴とする請求項1に記載のノズルプレートの製造方法。
  3. 前記液滴吐出ヘッドは、静電吸引方式の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする請求項1または2に記載のノズルプレートの製造方法。
  4. 前記基板は、ガラスまたは石英であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
  5. 前記第2の工程は、
    前記第2の面に金属膜を設ける工程と、
    前記金属膜にフォトリソグラフィ処理及びエッチング処理を行い前記小径孔部の金属膜のパターンマスクを形成する工程と、
    前記パターンマスクを用いてドライエッチング処理を行い前記小径孔部を形成する工程と、
    前記金属膜を除去する工程と、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
  6. 前記ドライエッチング処理に用いるガスは、フッ素を含む炭化水素を高周波によりプラズマ化したものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
  7. 前記切削に用いる切削工具は、ダイヤモンド、AlN(窒化アルミニウム)、TiN(窒化チタン)、WC(タングステンカーバイト)、DLC(Diamond Like Carbon)で表面処理を施したものあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017159389A (ja) * 2016-03-08 2017-09-14 トーヨーエイテック株式会社 エンドミルを用いた穴加工方法

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