JP2008073870A - 光学用フィルム成形装置、光学用フィルム製造方法 - Google Patents

光学用フィルム成形装置、光学用フィルム製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008073870A
JP2008073870A JP2006252460A JP2006252460A JP2008073870A JP 2008073870 A JP2008073870 A JP 2008073870A JP 2006252460 A JP2006252460 A JP 2006252460A JP 2006252460 A JP2006252460 A JP 2006252460A JP 2008073870 A JP2008073870 A JP 2008073870A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical film
die
resin
foreign matter
laser light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006252460A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4957137B2 (ja
Inventor
Kenzo Kasahara
健三 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Opto Inc
Original Assignee
Konica Minolta Opto Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Opto Inc filed Critical Konica Minolta Opto Inc
Priority to JP2006252460A priority Critical patent/JP4957137B2/ja
Publication of JP2008073870A publication Critical patent/JP2008073870A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4957137B2 publication Critical patent/JP4957137B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】稼動状態を保ったままで、Tダイのリップ面に付着した異物をフィルムの性能に悪影響を与えることなく除去する光学用フィルム成形装置及び光学用フィルム成形方法の提供。
【解決手段】原料の光学用フィルム用の樹脂を加熱して溶融し、溶融した前記樹脂をTダイより押出し、冷却引取り機で冷却し、巻き取り機で巻き取ることにより光学用フィルムを製造する光学用フィルム成形装置において、前記光学用フィルム成形装置は前記Tダイのリップ面にレーザー光を照射するレーザー光照射ユニットを有していることを特徴とする光学用フィルム成形装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、液晶表示装置(LCD)等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルム又有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルム等にも利用することが出来る光学フィルムの成形装置及び光学フィルムの製造方法に関する。
昨今、自動車搭載用の液晶ディスプレイ、大型液晶テレビのディスプレイ、携帯電話、ノートパソコン等の普及から液晶表示装置の需要が増えてきている。液晶表示装置は、従来のCRT表示装置に比べて、省スペース、省エネルギーであることからモニターとして広く使用されている。更にTV用としても普及が進んできている。この様な液晶表示装置には、偏光フィルムや位相差フィルムなどの種々な光学フィルムが使用されている。
この液晶表示装置の基本的な構成としては液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。偏光板は、一定方向の偏波面の光だけを通すものである。従って、液晶表示装置においては、電界による液晶の配向の変化を可視化させる重要な役割を担っている。即ち、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。偏光板の一般的な構成を、図で説明する。
図5は偏光板の概略断面図である。
図中、8は偏光板を示す。801は偏光子であり、この偏光子801の両側に保護フィルム802が積層されている。保護フィルム802は場合によっては位相差補正機能を持つ場合もある。この様な構成の偏光板を液晶セルに対して積層することで、液晶表示装置が構成されている。保護フィルム802は、偏光子の耐久性を向上させる目的から設けられ、従来、偏光板保護フィルムとしては、透明で優れた物理的、機械的性質を持ち、温湿度に対する寸度変化が小さい光学用フィルムが使用されている。
本発明では、図5に示す保護フィルムを含め、液晶表示装置(LCD)等に用いられる位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム等の各種機能フィルム又有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルムを光学用フィルムと言う。
従来、この様な光学用フィルムの製造方法の1つとして、溶融流延製膜法が知られている。溶融流延製膜法は、樹脂を熱で溶融し、高温になった溶融樹脂をTダイのリップ口から押出して、冷却ロール上で製膜し、フィルムの温度を下げるための搬送工程を得てフィルムを巻き取ることで製造されている。
溶融流延製膜法では、フィルムの成形時に、リップ口から押出される樹脂やそれに含まれる添加剤がTダイのリップ面に付着する結果、リップ面にメヤニ等の異物が発生することがある。この様な異物がリップ口から押出される樹脂に接触したり、樹脂に混入したりすると、成形されるフィルムの品質が劣化する。特にリップのエッジ部分に異物が存在すると、押出される樹脂の流動に影響し、フィルムの長手方向に連続的なスジを与えることがある。又この現象は、樹脂の粘度が高く押出されたウェブのレベリング性が悪いセルロースエステルに顕著である。そのため、リップ面に付着する異物を除去するための技術が幾つか提案されている。
例えば、稼動状態を保ったままで、ダイのリップ面に付着した異物をリップ面上に摺動体を摺動させて、いわば力学的に異物を除去する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、リップ面上に摺動体を摺動させて、いわば力学的に異物を除去することが特徴であり、この方法でフィルムを製造した場合、除去しようとした異物が思わぬ方向に移動しうまく除去出来ないこともあり、最悪の場合、押出し中の樹脂に付着して樹脂シートの欠陥を招くことがある。又、リップのエッジ部分ギリギリにある異物は摺動体によって除去しようとすると押出し中の樹脂に摺動体が触れる恐れがあるため、ある程度の距離を確保するため異物の除去が不完全になる。更には、機械的な接触によりTダイに振動を与え、樹脂シートの膜厚に変動を与える。樹脂シートが光学用途である場合は、僅かな膜厚変動も品質劣化となる恐れがあり十分な対策となっていない。
この様な状況から、稼動状態を保ったままで、ダイのリップ面に付着した異物をフィルムの性能に悪影響を与えることなく除去する光学用フィルム成形装置及び光学用フィルム成形方法の開発が望まれている。
特開2005−324368号公報
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、稼動状態を保ったままで、Tダイのリップ面に付着した異物をフィルムの性能に悪影響を与えることなく除去する光学用フィルム成形装置及び光学用フィルム成形方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.原料の光学用フィルム用の樹脂を加熱して溶融し、溶融した前記樹脂をTダイより押出し、冷却引取り機で冷却し、巻き取り機で巻き取ることにより光学用フィルムを製造する光学用フィルム成形装置において、前記光学用フィルム成形装置は前記Tダイのリップ面にレーザー光を照射するレーザー光照射ユニットを有していることを特徴とする光学用フィルム成形装置。
2.前記レーザー光照射ユニットがTダイと非接触の状態で配設されており、且つ、リップの幅手方向に移動可能であることを特徴とする前記1に記載の光学用フィルム成形装置。
3.前記レーザー光照射ユニットが、排気管を備えていることを特徴とする前記1又は2に記載の光学用フィルム成形装置。
4.前記レーザー光照射ユニットが、酸素ガス供給管を備えていることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の光学用フィルム成形装置。
5.前記レーザー光照射ユニットが、異物を検出する異物検出装置を備えていることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の光学用フィルム成形装置。
6.前記レーザー光照射ユニットが、Tダイから溶融樹脂を押出し製膜している間、リップ面の幅方向に移動し、リップ面に付着した異物を除去することを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の光学用フィルム成形装置。
7.原料の光学用フィルム用の樹脂を加熱して溶融した液体をTダイより押出す押出し機と、冷却引取り機と、巻き取り機とを有する光学用フィルム成形装置により、光学用フィルムを製造する光学用フィルム製造方法において、前記光学用フィルム成形装置が前記1〜6の何れか1項に記載の光学用フィルム成形装置であることを特徴とする光学用フィルム製造方法。
稼動状態を保ったままで、Tダイのリップ面に付着した異物をフィルムの性能に悪影響を与えることなく除去する光学用フィルム成形装置及び光学用フィルム成形方法を提供することが出来、品質の向上と生産効率の向上が可能となった。
本発明の実施の形態を、図1〜図4を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は溶融押出し法により光学用フィルムを製造する光学用フィルム成形装置の一例を示す模式図である。
図中、1は光学用フィルム成形装置を示す。光学用フィルム成形装置1は、溶融部2と、押出し部3と、冷却引取り部4と、回収部5とを有している。溶融押出し法に使用する光学用フィルム成形装置としては特に限定はなく、本図に示される装置の他に、延伸装置、熱固定装置等の付加的装置を付加した装置等であってもよい。
溶融部2は、光学用フィルム用の樹脂を供給するホツパー201と、溶融された光学用フィルム用の樹脂を押出し部3に安定に送るギヤポンプ202と、異物を除去するためのフィルタ203と、添加剤の混合を均一にするためのミキサー204と、押出し部3のTダイ301に溶融された光学用フィルム用の樹脂を供給する供給管205とを有する溶融押出し機206を有している。
押出し部3は、溶融部2より送られてくる溶解した樹脂を先端の狭い隙間から膜状に押出すTダイ301と、Tダイ301のリップ面にレーザーを照射するレーザー照射ユニット302と、レーザー照射ユニット302を制御する制御部303(図2を参照)とを有している。レーザー照射ユニット302によりTダイ301のリップ面に付着した異物を除去することが可能となっている。
冷却引取り部4は、Tダイ301で膜状に押出された樹脂を冷却ロール401に押付ける押付けロール402と、冷却ロール401により冷却固化された未延伸フィルム6を搬送する複数の搬送ロール403とを有している。
回収部5は冷却引取り部3で冷却固化された未延伸フィルム(光学用フィルム)6を巻き取る巻き取り機501を有している。
本図に示す如く溶融部2の溶融押出し機206で溶融された光学用フィルム用の樹脂はフィルタ203を介してTダイ301で広幅化され、先端の狭い隙間から押出され、冷却引取り部4の冷却ロール401により冷却固化され未延伸フィルムを得る。この後、両端の耳部を除去した後、巻き取り機501で巻き取ることで光学用フィルムが製造される。
フィルタ203には、圧力損失、製膜の容易性、異物混入、位相差ムラ(リタデーションの変動係数(CV))等を考慮し公称ろ過精度が3〜10μmの焼結金属ファイバフィルタが使用することが好ましいとされている。
フィルタ203としては、特に限定はなく、例えばスクリーンメッシュと呼ばれるステンレス等の合金からなる金網の単層体、ステンレス等の合金からなる金網を積層し、各層を焼結した焼結金属フィルタ、ステンレス鋼の微細繊維を複雑に編み込んだ金網にて繊維間の接点を焼結した焼結金属ファイバフィルタ、金属粉末を焼結した焼結金属フィルタ等が挙げられ、これらの中で特に焼結金属ファイバフィルタを使用することが好ましい。又、フィルタ203は、フィルタ203内で滞留に伴う過加熱が起こり難い様な構造であることが望ましい。
Tダイ301としては、コートハンガータイプとストレートマニフォールドタイプとに分別されるが、本発明では特に限定はなく、使用する樹脂により適宜選択することが可能となっている。又、単層用でも多層用であっても構わない。
図2は図1のSで示される部分の拡大概略図である。図2(a)は図1のSで示される部分の拡大概略斜視図である。図2(b)はレーザー照射ユニットを構成している各部材の関係を示す概略ブロック図である。
レーザー照射ユニット302は、本体302aと、本体302aに取り付けられ、ボールネジ302bと螺合している移動部材302cと、ボールネジ302bを回転させるモータ302dと、ボールネジ302bの回転速度の制御、リップ面に対して照射するレーザー光の制御、異物検出装置からの情報を解析するメモリとCPUとを有する制御部303とを有している。
302eはTダイ301と離れTダイ301の幅方向(X方向とする)に平行に配設されたガイド部材を示す。ガイド部材302e及びモータ302dは押出し部3(図1を参照)のフレーム(不図示)に固定されている。本体302aはガイド部材302eに移動可能に配設されており、ボールネジ302bの回転に伴いガイド部材に沿ってTダイ301の幅方向(X方向とする)への移動(図中の矢印方向)が可能となっている。本体302aにはリップ面301f(図3を参照)に付着した異物にレーザー光を照射するためのレーザー光発振装置302a1(図3を参照)と、リップ面301f(図3を参照)に付着した異物を検出する異物検出装置302a2(図3を参照)とを有している。レーザー光発振装置302a1(図3を参照)は異物検出装置302a2(図3を参照)からの異物付着の位置に関する情報により、異物付着の位置に移動し、レーザー光の照射が行われる様に制御部により制御可能となっている。本体302aの移動が本体から離れて配設されたガイド部材302eに沿って移動することで、移動に伴う振動をTダイ301に伝播することを防止している。これにより、Tダイ301のリップ口301e(図3を参照)より薄膜状に押出される溶融した樹脂への振動に伴う影響をなくし、膜厚一定な安定した光学用フィルムの製造を可能としている。
302a6はリップ面301f(図3を参照)に付着した異物にレーザー光を照射する際に発生するガスを除去する排気管を示し、302a7はリップ面301f(図3を参照)に付着した異物にレーザー光を照射する時、除去を容易にする酸素ガス供給管を示す。排気管302a6、酸素ガス供給管302a7は異物の種類により取り外しが可能に配設することが好ましい。レーザー光照射ユニット302は、同じ物がTダイ301の対向する他の側面にも配設されている。他の符号は図1と同義である。
次に図2(b)に示すブロック図によりレーザー光照射ユニットを構成している各部材の関係を説明する。異物検出装置302a2(図3を参照)からの異物の付着位置と異物の大きさとに関する情報が制御部303のCPUに入力される。入力された情報はメモリで演算処理され、異物の大きさと付着位置が決定される。異物の大きさに対して、予めメモリに入力されている異物の大きさとレーザー照射条件から、レーザー光密度(J/cm2)が決まりレーザー光照射ユニット302のレーザー光発振装置302a1を起動させる。合わせて、モータ302dの回転を制御しレーザー光照射ユニットを異物付着位置に移動させた後、異物に必要とするレーザー光密度(J/cm2)を照射するためレーザー光照射ユニットの移動速度を制御する。付着した異物にレーザー光が照射される様にミラーの角度を変える。異物に必要とするレーザー光密度(J/cm2)を照射し、異物を除去したた後、レーザー光発振装置302a1の稼動を停止する。
本発明の特徴は、図1、図2に示す様に、溶融した樹脂をTダイのリップ口より押出し、製膜している間、異物検出装置により常時異物付着を監視し、リップ面に異物の付着が検出された時点でリップ面に付着する異物にTダイと非接触の状態で配設されたレーザー光照射ユニットがによりレーザー光を照射し、いわば化学的に分解・揮発させて除去することである。
図3は図2のA−A′に沿った拡大概略断面図である。
Tダイ301は、ブロック301aと、ブロック301bとを有している。301cは、供給管205より供給された光学用フィルム用の樹脂をTダイ301の幅方向に一旦貯めるポケットを示し、ブロック301aと、ブロック301bとの間に形成されている。301dは、ポケット301cに貯められた樹脂を膜状に押出すスリットを示し、ブロック301aと、ブロック301bとの間に形成されている。301eはスリット301dの先端のリップ口を示し、301fはブロック301aと、ブロック301bとの先端のリップ面を示す。リップ面301fには溶融した樹脂がリップ口301eから押出される時、時間の経過と共に樹脂中に添加した添加剤、樹脂中の低分子化合物、加熱に伴い分解したもの等が徐々に付着し、特にリップ面301fのリップ口301eの近くに異物7(図4を参照)として付着する。リップ面301fに付着した異物は、一旦付着すると、付着した異物が核となり、核を中心として、異物がより付着し大きくなり、リップ口から押出される樹脂の膜面に接触し、スジ故障を発生させたり、リップ面301fから剥がれ樹脂の膜面に付着し異物付着故障、付着した異物による押され故障等の発生の原因となっている。
302a4はレーザー照射口を示す。302a1はレーザー光照射ユニット302の本体302aに収納されているレーザー発振器を示す。レーザー発振器302a1からのレーザー光はレーザー照射口302a4よりミラー302gに照射され、ミラー302gにより光軸を変え、リップ面301fに照射することが可能となっている。302fはミラー302gの角度調整手段(不図示)を有する取り付け部材を示し、取り付け部材302fの先端にミラー302gが取り付けられている。ミラー302gはリップ面301fに付着した異物7(図4を参照)にレーザー光を的確に照射するため、角度調整手段(不図示)により角度を変えることが可能となっている。
角度を変えることでリップ面301fの幅方向(X方向)と、リップ面に平行でありかつリップの幅方向に垂直な方向(Y方向とする)へのレーザー光の照射が可能となる。尚、Y方向へのレーザー光の照射はレーザー光照射ユニット302を移動する方法でも可能であり、必要に応じて適宜選択することが可能である。ミラーの数は特に限定はなく、レーザー光照射ユニット302の配設する位置により適宜変更することが可能となっている。
レーザー照射口302a4より照射されるレーザー光は、本図に示すように本体302aに収納されたレーザー発振器からでもよいし、光ファイバ等で別にあるレーザー発振器からユニットに誘導されてもよいし、本体302aにはミラーのみが具備され、別にある発振器のレーザー光を反射してもよく、必要に応じて適宜選択することが可能となっている。
302a5はミラー302gに映されたリップ面301fに付着した異物を異物検出装置302a2で監視するための監視用窓である。ミラー302gはリップ面301fに付着した異物7(図4を参照)を的確に映し出すため、角度調整手段(不図示)により角度を変えることも可能となっている。ミラー302gに映されたリップ面301fに付着した異物を監視用窓302a5を介して異物検出装置302a2で監視可能となっている。異物検出装置302a2としては厚さ5μm〜500μm、幅0.1mm〜10mmの付着物を検出することが出来れば特に限定はなく、例えばレンズ、撮像素子等を備えたもの(CCDカメラ)であってもよいし、ユニットにはミラーのみが具備され、別にあるレンズ、撮像素子に映像を反射してもよい。又、レーザー変位計等を利用し、リップ面の高低差から異物の位置を特定する方式であってもよい。
301gはリップ口301eの長さを調整するための調整用ボルトを示し、ブロック301aの幅方向に沿って複数並設されている。これにより、Tダイ301のリップ口301eと押出される樹脂膜の厚さを幅方向に略均一になるように調整することが可能となっている。
Tダイ301のリップ口301eから溶融した樹脂を押出した時に、リップ面301に付着する異物を除去するため照射するレーザー光のエネルギー密度(J/cm2)は、0.01J/cm2〜100J/cm2、好ましくは0.1J/cm2〜10J/cm2の範囲で、使用する樹脂により適宜合わせ決めることが好ましい。
本発明に使用するレーザー光としては、連続レーザー光、パルスレーザー光が挙げられ、レーザー種としては特に限定はなく、例えばYAG(イットリウム/アルミニウム/ガーネット)、YVO4(イットリウム/バナジウム/オキサイド)、FAYb(Fiber Amplified Ytterbium)、CO2等が挙げられる。
図4は図3に示される押出し部をTダイのリップ面側から見た概略部分平面図である。尚本図ではミラー302g(図3を参照)、取り付け部材302f(図3を参照)は省略してある。酸素ガス供給管302a7の先端は、レーザー光の照射による異物の除去を効果的にするためリップ面301fのリップ口301eの近傍に配設することが好ましい。但し、リップ口301eから押出される溶融樹脂が多量の酸素ガスと急激に触れると樹脂の劣化が促進されるため、酸素ガス供給管302a7の径を細くし酸素ガスの供給量を少量とすることが好ましい。酸素ガス供給管302a7の径は、1mm〜10mmが好ましく、供給量は、0.01ml/sec〜10ml/secの範囲で使用する樹脂の特性に合わせ適宜決めることが好ましい。
排気管302a6の先端と酸素ガス供給管302a7の先端の間隔L(排気管302a6の中心と酸素ガス供給管302a7の中心の間隔)は、レーザー光の照射により発生するガスの除去照射による異物の除去を効果的にするため3mm〜30mmが好ましい。
排気量は酸素ガスによる異物の除去効果、除去に伴い発生するガスの排気等考慮し、酸素ガスの供給量に対して80%〜120%であることが好ましい。尚、本発明で酸素ガスとは酸素が質量で20%以上含まれるガスであり、通常の空気を含む。
図1〜図4に示す光学用フィルム成形装置に使用し、Tダイのリップ口から溶融樹脂を押出し光学用フィルムを製造する時のリップ面に付着する異物を除去するまでのレーザー光照射ユニットを構成している各部材の動きを説明する。
レーザー光照射ユニット302の移動は、Tダイ301のリップ口301eから溶融樹脂が押出される時から、Tダイ301の幅方向に往復移動させ、常時異物付着有無を監視することが好ましい。移動速度は、溶融樹脂の押出し量と溶融樹脂の種類、使用する添加剤の種類等によりリップ面301fへの異物の付着する時間が異なってくるため、予め調整用ボルトによるリップ口の長さを調整する時に、リップ面301fへの異物の付着する時間を測定し、測定した時間に従って決めることが好ましい。
異物検出装置302a2はレーザー光照射ユニット302の移動に合わせ常時稼動させることが好ましい。レーザー光は、異物検出装置302a2により異物が検出され、レーザー光照射ユニット302が異物付着位置に移動した時点で、照射することが好ましい。以下に、Tダイのリップ口から溶融樹脂を押出し光学用フィルムを製造する時のリップ面に付着する異物を除去するまでの具体的なステップを示す。
ステップ1では、調整用ボルトによるリップ口の長さの調整が終了した時点で、レーザー光照射ユニットの移動が開始される。(この移動は「検出モード」状態である。検出モードでの好ましい移動速度は5mm/sec〜500mm/secである)。同時に異物検出装置の稼動も開始される。この時、ミラーはリツプ面を映す様にミラーの角度が調整される。尚、レーザー光照射ユニットはリップ口からの樹脂の押出しが続けられている間、Tダイの幅方向に往復移動が続けられる。
ステップ2では、異物検出装置の異物検出情報に従って制御部で解析処理され得られた異物の付着位置、異物の大きさの情報に従って、レーザー光照射ユニットは異物の付着位置に移動する。
ステップ3では、異物の付着位置に合わせレーザー光が照射される様にミラーの角度が決定される。
ステップ4では、異物の大きさに従って必要とするレーザー光密度(J/cm2)が決まり、異物を除去するためにレーザー光照射ユニットの移動速度が制御され(この移動は「照射モード」状態である。照射モードでの好まし移動速度は1〜300mm/min、より好ましくは10〜100mm/minである)、必要とするレーザー光密度(J/cm2)のレーザー光を異物に照射する。このとき、酸素ガス供給管から必要量の酸素ガスが供給されるのと同時に排気管を介して排気が開始される。
ステップ5では、異物の除去が完遂されたことを、異物検出装置により再確認し、除去が不完全であればステップ2に戻る。
ステップ6では、異物が除去された後、レーザー光の照射は停止され、異物検出のためレーザー光照射ユニットは通常の設定された速度でTダイの幅方向に沿って往復移動を行う。異物が検出された時点でステップ2からの操作が繰り返し行われる。尚、レーザー光照射ユニットによる異物の除去はリップ口から溶融された樹脂が押出されている間は常に続けて行われている。
次に本図に示す光学用フィルム成形装置101を使用し光学用フィルムを製造する時の一般的条件を示す。本体101aでの光学用フィルム用の樹脂の溶融温度は使用する光学用フィルム用の樹脂により適宜選択すればよく、その中でも溶融樹脂の熱分解によるフィルム外観性の悪化を避けるため、樹脂を溶融させた後Tダイから吐出されるまでの間を300℃以下に維持することが好ましく、290℃以下であることが特に好ましい。本体101aのスクリュー回転数、Tダイからの吐出量は、製造する光学用フィルムの厚みや引取り速度等に応じて適宜選択することが可能である。又、溶融樹脂の酸化による熱分解や黄変を抑制するため、ホッパー、押出し機シリンダ内部等を窒素、アルゴン等の不活性ガスでパージあるいは真空にすることが好ましい。
冷却引取り部4の冷却ロール401の温度設定は、得られる光学用フィルムの外観性や光学特性に与える影響の大きい重要な製造条件の1つであり、溶融フィルムの冷却ロールへの密着性及び離型性のバランスを考慮して最適化されるものであり、表面温度を示差走査熱量計(以下、DSCと言う。)により昇温速度10℃/minで測定した樹脂組成物のガラス転移温度に対して−40℃〜+20℃とすることが好ましく、特に−35℃〜+10℃とすることが好ましい。冷却引取り部4での引取り速度は、分子配向性、複屈折性を考慮し5m/分〜100m/分で行うことが好ましい。
本発明に係わる押出し機としては、例えば単軸押出し機、同方向回転二軸押出し機、異方向回転二軸押出し機、タンデム型押出し機等が代表例として挙げられが、得られるフィルムの機械特性、光学特性の点から、一軸押出し機を用いることが好ましい。使用する非晶性熱可塑性樹脂、添加物等に水などの揮発性成分が含まれていると、光学フィルム押出時にフィルム外観性が悪化するため、これら押出し機は揮発性成分を除去するための真空ベント、ホッパドライヤー等が具備されたものが適宜使用される。又、シリンダ径、L/D、圧縮比、スクリューデザインは一般的に生産速度、フィルムの寸法などに応じて最適化すればよく、特に光学フィルムの製造の際には、吐出速度を安定化させるとともに、摩擦発熱の抑制や樹脂温度を分解温度以下に維持することを目的に最適化すればよい。
溶融押出し時の溶融物の温度は、通常150〜300℃の範囲、好ましくは180〜270℃、更に好ましくは200〜250℃の範囲である。溶融物の温度は、接触式温度計を使用して測定した値である。
本発明の光学用フィルムの製造方法により製造された光学用フィルムを偏光板保護フィルムとして使用する場合、光学用フィルムは、幅手方向もしくは製膜方向に延伸製膜されたフィルムであることが特に好ましい。冷却引取り機203の冷却ロール203aから剥離され、得られた未延伸フィルムを複数のロール群及び/又は赤外線ヒーター等の加熱装置を介して非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段又は多段縦延伸することが好ましい。次に、上記のようにして得られた縦方向に延伸された非晶性熱可塑性樹脂フィルムを、Tg〜Tg−20℃の温度範囲内で横延伸し、次いで熱固定することが好ましい
図1〜図4に示される光学用フィルム成形装置を使用し、光学用フィルムを製造することで次の効果が挙げられる。
1.異物除去装置がTダイと別に配設されており機械的な接触がなく、異物除去装置の移動に伴う振動をTダイに与えないため、膜厚均一性に優れ、安定な光学用フィルムの製造が可能となる。
2.異物の除去がレーザー光の照射で行われるため、物理的に行う方法に対して除去した異物の飛散を防止が可能となり、溶融樹脂と接触して故障や二次的故障の防止が可能となる。
図1〜図4に示す光学用フィルム成形装置に使用する材料に付き説明する。樹脂としては、透明で優れた物理的、機械的性質を持ち、温湿度に対する寸度変化が小さい樹脂が使用され、例えば、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これら樹脂の中で特に、セルロースエステル樹脂が好ましく用いられている。以下、セルロースエステル樹脂に付き説明する。
本発明のフィルムの製造に用いられるセルロースエステル樹脂としては、セルロースの低級脂肪酸エステル樹脂であることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸が好ましく、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの特に好ましい例として挙げられる。
又、上記以外にも、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載のセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の中でも、最も好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルとしてはセルローストリアセテート(以下、TACという)、セルロースアセテートプロピオネートである。
本発明に係るセルロースエステルの数平均分子量は、70,000〜250,000が、成型した場合の機械的強度が強く、適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、80,000〜150,000である。
本発明で用いられるセルロースエステルとしては、アセチル基及び/又はプロピオニル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をX、又プロピオニル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルが好ましい。
(I)2.3≦X+Y≦3.0
(II)0≦X≦2.5
特に下記式(III)及び(IV)(V)を同時に満たすセルロースエステルが特に好ましい。
(III)2.3≦X+Y≦2.85
(IV)1.5≦X≦2.5
(V)0.1≦Y≦1.0
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することが出来る。これまで、置換度が2.85未満のセルロースエステルを用いると寸法安定性が低下することがあったが、本発明の製造方法を適用することによって置換度が低いセルロースエステルを用いても優れた寸法安定性を有するフィルムを得ることが可能となった。
セルロースエステルは綿花リンターから合成されたセルロースエステルと木材パルプから合成されたセルロースエステルのどちらかを単独あるいは混合して用いることが出来る。支持体やドラムからの剥離性がもし問題になれば、支持体やドラムからの剥離性がよい綿花リンターから合成されたセルロースエステルを多く使用すれば生産性が高く好ましい。木材パルプから合成されたセルロースエステルを混合し用いた場合、綿花リンターから合成されたセルロースエステルの比率が40質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため好ましく、60質量%以上が更に好ましく、単独で使用することが最も好ましい。
本発明で用いることの出来る可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることが出来る。
リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤として、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いることが出来る。ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることが出来る。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸などを用いることが出来る。
グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなどを用いることが出来る。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。ポリエステルの分子量は重量平均分子量で500〜2000の範囲にあることが、セルロースエステルとの相溶性の点から好ましい。
又、本発明では特に200℃における蒸気圧が1333Pa未満の可塑剤を用いることが好ましく、より好ましくは蒸気圧666Pa以下、更に好ましくは1〜133Paの化合物である。不揮発性を有する可塑剤は特に限定されないが、例えばアリーレンビス(ジアリールホスフェート)エステル、リン酸トリクレシル、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、上記ポリエステル可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤は単独あるいは2種以上併用して用いることが出来る。
可塑剤の使用量は寸法安定性、加工性の点を考慮すると、セルロースエステルに対して、1〜40質量%添加させることが出来、3〜20質量%の範囲で添加することが好ましく、更に好ましくは4〜15質量%である。3質量%未満の場合は、スリット加工や打ち抜き加工した際、滑らかな切断面を得ることが出来ず、切り屑の発生が多くなる。
本発明のフィルムには酸化防止剤や紫外線吸収剤などを添加することが好ましい。上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。又例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
又、この他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えてもよい。
本発明の製造方法で製造された光学フィルムは、その高い寸法安定性から、偏光板又は液晶表示用部材等に使用することが可能であり、この場合、偏光板又は液晶等の劣化防止のため、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。具体的には380nmの透過率が10%未満であることが好ましく、特に5%未満であることがより好ましい。
好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。例えば、特開平10−182621号、特開平8−337574号、記載の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。又、特開平6−148430号、特開平12−273437号に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。あるいは特開平10−152568号に記載されている紫外線吸収剤を加えてもよい。
これらの紫外線吸収剤の中では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい紫外線吸として挙げられる。以下にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINUVIN109、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
以下にベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
紫外線吸収剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル系樹脂中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加することが好ましい。紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤としての効果、透明性等を考慮し、0.1質量%〜2.5質量%が好ましい。更に、好ましくは、0.8質量%〜2.0質量%%である。
又、セルロースエステル系樹脂フィルムには、フィルム同士の張り付きを防止したり、滑り性を付与したりして、ハンドリングしやすくするために、マット剤として微粒子を添加してもよい。微粒子としては、無機化合物の微粒子又は有機化合物の微粒子が挙げられる。無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、珪素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースエステル積層フィルムの濁度を低減出来るので、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のAEROSIL−200、200V、300、R972、R972V、R974、R976、R976S、R202、R812,R805、OX50、TT600、RY50、RX50、NY50、NAX50、NA50H、NA50Y、NX90、RY200S、RY200、RX200、R8200、RA200H、RA200HS、NA200Y、R816、R104、RY300、RX300、R106などが挙げられる。これらの内、分散性や粒径を制御する点では、AEROSIL−200V、R972Vが好ましい。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用出来る。
本発明に係る微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。
微粒子の、見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく用いられる。
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることが出来る。又例えばアエロジル200V、アエロジルR972V(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することが出来る。
尚、見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出した。
見掛比重(g/リットル)=二酸化珪素質量(g)÷二酸化珪素の容積(リットル)
又、本発明のフィルムには導電性を有する物質を添加することで好ましいインピーダンスを有する光学フィルムを得ることも出来る。導電性物質としては特に限定はされないが、イオン導電性物質や導電性微粒子あるいはセルロースエステルと相溶性を有する帯電防止剤などを用いることが出来る。
ここでイオン導電性物質とは電気伝導性を示し、電気を運ぶ担体であるイオンを含有する物質のことであるが、例えば、イオン性高分子化合物を挙げることが出来る。
イオン性高分子化合物としては、特公昭49−23828号、同49−23827号、同47−28937号に見られるようなアニオン性高分子化合物、例えば特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、同57−18175号、同57−18176号、同57−56059号などに見られるような、主鎖中に解離基を持つアイオネン型ポリマー、特公昭53−13223号、同57−15376号、特公昭53−45231号、同55−145783号、同55−65950号、同55−67746号、同57−11342号、同57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853号、同62−9346号に見られるような、側鎖中にカチオン性解離基を持つカチオン性ペンダント型ポリマー等を挙げることが出来る。
又、導電性微粒子の例としては導電性を有する金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、あるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加、又SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
又、これらの導電性を有する金属酸化物粉体の体積抵抗率は107Ωcm以下特に105Ωcm以下であって、1次粒子径が10nm以上0.2μm以下で、高次構造の長径が30nm以上6μm以下である特定の構造を有する粉体をフィルム内の少なくとも一部の領域に体積分率で0.01%以上20%以下含んでいることが好ましい。
特に好ましくは、特開平9−203810号に記載されているアイオネン導電性ポリマーあるいは分子間架橋を有する第4級アンモニウムカチオン導電性ポリマーなどを含有することが望ましい。
架橋型カチオン性導電性ポリマーの特徴は、得られる分散性粒状ポリマーにあり、粒子内のカチオン成分を高濃度、高密度に持たせることが出来るため、優れた導電性を有しているばかりでなく、低相対湿度下においても導電性の劣化は見られず、粒子同志も分散状態ではよく分散されているにもかかわらず、塗布後造膜過程において粒子同志の接着性もよいため膜強度も強く、又他の物質、例えば基体にも優れた接着性を有し、耐薬品性に優れている。
架橋型のカチオン性導電性ポリマーである分散性粒状ポリマーは一般に約0.01μm〜0.3μmの粒子サイズ範囲にあり、好ましくは0.05μm〜0.15μmの範囲の粒子サイズが用いられる。ここで用いている「分散性粒状ポリマー」の語は、視覚的観察によって透明又は僅かに濁った溶液に見えるが、電子顕微鏡の下では粒状分散物として見えるポリマーである。
帯電防止剤もしくはマット剤の添加は光学フィルムの表層部(表面から10μmの部分)に含まれていることが好ましく、共流延等の方法によってフィルムの表面に帯電防止剤及び/又はマット剤を含有させることが好ましい。具体的には、導電性物質及び/又はマット剤を含有するドープAと実質的にこれらを含有しないドープBを使用し、ドープBの少なくとも片側の面にドープAがあるように流延されることが好ましい。必要に応じて、更に帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤、マット剤、その他添加剤を加えてもよい。
本発明の製造方法により製造された光学フィルムは液晶ディスプレイに使用する偏光板、その他液晶表示装置に用いる反射防止用フィルムあるいは光学補償フィルムの基材としても使用することが可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
図1に示す光学用フィルム成形装置を使用し、次に示す条件でセルロースアセテートプロピオネートフィルム(光学用フィルム)を製造した。
(使用樹脂)
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基の置換度が1.38、プロピオニル基の置換度が1.30、数平均分子量80000、残留硫酸含有量(硫黄元素として)が50ppm)
(ペレットの作製)
セルロースアセテートプロピオネートを120℃で1時間乾燥空気中で熱処理し、乾燥空気中で室温まで放冷した。乾燥した後、下記の組成物をヘンシェルミキサーで混合後、押出し機を用い加熱してペレットを作製し放冷した。
(組成物)
セルロースアセテートプロピオネート 90質量部
グリセリントリベンゾエート 10質量部
チヌビン928(チバスペシャルティケミカルズ(株)製、紫外線吸収剤)
2質量部
IRGANOX1010(チバスペシャルティケミカルズ(株)製、酸化防止剤)
0.2質量部
GSY−P101(堺化学(株)製、酸化防止剤) 0.2質量部
スミライザーGS(住友化学(株)製、酸化防止剤) 0.2質量部
(セルロースアセテートプロピオネートフィルムの作製)
作製したペレットを熱風乾燥器を用いて105℃で2時間乾燥させて水分を除去した。この後、リップ幅1.5mのコートハンガータイプのTダイを有する単軸押出し機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン)を用い、Tダイのリップ口から溶融樹脂が押出されている間はリップ面に付着する異物にレーザー光照射ユニットによりレーザー光の照射を行いながら冷却引取り部で冷却し回収部で巻き芯に巻き取り、膜厚80μm、長さ1000mのセルロースアセテートプロピオネートフィルムを作製し試料No.101とした。レーザー光照射ユニットによる異物へのレーザー光の照射は制御部による自動制御で行い、レーザー光の照射は連続照射で行った。
尚、Tダイのリップ口から溶融樹脂が押出されている間は、リップ面に付着する異物を目視で観察し、付着した異物を手動で細い金属棒で取り物理的に除去した他は全て同じ条件でセルロースアセテートプロピオネートフィルムを作製し、比較試料No.102とした。尚、押出し条件としては、ペレットの溶融温度230℃、スクリュー回転40rpm/min、押出し量50kg/minで行った。
(レーザー光照射ユニットによる異物へのレーザー光の照射の条件)
Tダイの幅方向への移動速度を50mm/minとし、レーザー種としてYAGを使用し、異物に照射するレーザー光密度を0.2J/cm2とした。
(異物検出装置)
500万画素CCDカメラを使用し、およそ10mm2の範囲を1視野に観察し、画像解析処理によって異物を検出し、位置と大きさとを特定した。
(酸素ガス供給量)
酸素ガスとして純酸素を使用し、0.1ml/secを供給した。
(排気量)
酸素ガスの供給量に対して、排気量を120%とした。
酸素ガス供給管及び排気管の先端は、リップ口側から5mmのリップ面とし、酸素ガス供給管及び排気管の先端の間隔は5mmとした。
評価
作製した試料No.101、102に付き膜厚安定性、良品率を以下に示す方法で測定し、その結果を表1に示す。
膜厚安定性の測定
得られた試料のうち、へのレーザー光照射ユニットが照射モードで稼働した付近、もしくは細い金属棒により手動で除去した付近を含む3mをサンプリンクし、長さ方向に10cm間隔で25箇所を、幅方向に10cm間隔で、ニコン(株)製デジマイクロスタンドMS−5Cを使用しフィルム厚さを測定し、以下に示す式より膜厚バラツキを計算し膜厚安定性とした。
(最大膜厚−最小膜厚)/平均膜厚×100=膜厚バラツキ
良品率
巻き終わりから100mを巻き出し、目視で筋故障、異物付着を観察し、筋故障、異物付着等の故障箇所を除去し、以下に示す式より良品率を計算した。
(故障箇所を除去し製品として使用可能な面積/故障箇所を除去する前の面積)×100=良品率
Figure 2008073870
本発明の有効性が確認された。
実施例2
図1に示す光学用フィルム成形装置を使用し、次に示す条件でセルロースアセテートプロピオネートフィルム(光学用フィルム)を製造した。
(使用樹脂)
実施例1と同じセルロースアセテートプロピオネートを使用した。
(ペレットの作製)
実施例1と同じ組成のペレットを実施例と同じ方法で作製した。
(セルロースアセテートプロピオネートの作製)
作製したペレットを熱風乾燥器を用いて105℃で2時間乾燥させて水分を除去した。この後、リップ幅1.5mのコートハンガータイプのTダイを有する単軸押出し機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン)を用い、Tダイのリップ口から溶融樹脂が押出されている間はリップ面に付着する異物にレーザー光照射ユニットによりレーザー光の照射を表2に示す条件で行いながら冷却引取り部で冷却し回収部で巻き芯に巻き取り、膜厚80μm、長さ1000mのセルロースアセテートプロピオネートフィルムを作製し試料No.201〜216とした。レーザー光照射ユニットによる異物へのレーザー光の照射は制御部による自動制御で行った。
尚、溶融機の押出し条件は実施例1と同じ条件で行った。又、異物検出装置は実施例1と同じものを使用した。
Figure 2008073870
排気量*は酸素ガスの供給量に対する割合を示す。
評価
作製した試料No.201〜216に付き良品率を実施例1と同じ方法で測定し、その結果を表3に示す。
Figure 2008073870
本発明の有効性が確認された。
実施例3
図1に示す光学用フィルム成形装置を使用し、次に示す条件で各種光学用フィルムを製造した。
(使用樹脂)
シクロオレフィン樹脂を使用した。
(シクロオレフィン樹脂ペレットの準備)
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン1.2部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記)20部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)140部、及び8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、MTDと略記)40部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、更に水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/MTD開環重合体水素化ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。ろ過により水素化触媒を除去した後、軟質重合体(クラレ社製;セプトン2002)、及び酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液にそれぞれ添加して溶解させた(何れも重合体100部あたり0.1部)。
次いで、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去し、水素化ポリマーを溶融状態で押出し機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化して回収した。重合体中の各ノルボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/MTD=10/70/20でほぼ仕込組成に等しかった。この開環重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は31,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であった。
得られた開環重合体水素添加物のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した。
(シクロオレフィン樹脂フィルムの作製)
準備したシクロオレフィン樹脂ペレットを熱風乾燥器を用いて105℃で2時間乾燥させて水分を除去した後、リップ幅1.6mのコートハンガータイプのTダイを有する短軸押出し機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン)を用い、Tダイのリップ口から溶融樹脂が押出されている間はリップ面に付着する異物にレーザー光照射ユニットにより以下の条件でレーザー光の照射を行いながら冷却引取り部で冷却し回収部で巻き芯に巻き取り、膜厚80μm、長さ1000mのシクロオレフィン樹脂フィルムを作製し試料No.301とした。レーザー光照射ユニットによる異物の除去は制御部による自動制御で行った。
(レーザー光照射ユニットによる異物へのレーザー光の照射条件)
Tダイの幅方向への移動速度を50mm/minとし、レーザー種としてYAGを使用し、異物に照射するレーザー光密度を0.5J/cm2とした。
(異物検出装置)
500万画素CCDカメラを使用し、およそ10mm2の範囲を1視野に観察し、画像解析処理によって異物を検出し、位置と大きさとを特定した。
(酸素ガス供給量)
酸素ガスとして純酸素を使用し、0.1ml/secを供給した。
(排気量)
酸素ガスの供給量に対して、排気量を120%とした。
酸素ガス供給管及び排気管の先端は、リップ口側から5mmのリップ面とし、酸素ガス供給管及び排気管の先端の間隔は5mmとした。
評価
作製した試料No.301に付き膜厚安定性、良品率を実施例1と同じ方法で測定し、その結果を表4に示す。
Figure 2008073870
本発明の有効性が確認された。
溶融押出し法により光学用フィルムを製造する光学用フィルム成形装置の一例を示す模式図である。 図1のSで示される部分の拡大概略図である。 図2のA−A′に沿った拡大概略断面図である。 図3に示される押出し部をTダイのリップ面側から見た概略部分平面図である。 偏光板の概略断面図である。
符号の説明
1 光学用フィルム成形装置
2 溶融部
206 溶融押出し機
3 押出し部
301 Tダイ
301a、301b ブロック
301d スリット
301e リップ口
301f リップ面
302 レーザー光照射ユニット
302a 本体
302a1 レーザー光発振装置
302a2 異物検出装置
302a4 レーザー照射口
302a5 監視用窓
302a6 排気管
302a7 酸素ガス供給管
302b ボールネジ
302c 移動部材
302d モータ
302e ガイド部材
302g ミラー
303 制御部
4 冷却引取り部
401 冷却ロール
402 押付けロール
5 回収部
6 未延伸フィルム(光学用フィルム)
7 異物
8 偏光板

Claims (7)

  1. 原料の光学用フィルム用の樹脂を加熱して溶融し、溶融した前記樹脂をTダイより押出し、冷却引取り機で冷却し、巻き取り機で巻き取ることにより光学用フィルムを製造する光学用フィルム成形装置において、前記光学用フィルム成形装置は前記Tダイのリップ面にレーザー光を照射するレーザー光照射ユニットを有していることを特徴とする光学用フィルム成形装置。
  2. 前記レーザー光照射ユニットがTダイと非接触の状態で配設されており、且つ、リップの幅手方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の光学用フィルム成形装置。
  3. 前記レーザー光照射ユニットが、排気管を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学用フィルム成形装置。
  4. 前記レーザー光照射ユニットが、酸素ガス供給管を備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の光学用フィルム成形装置。
  5. 前記レーザー光照射ユニットが、異物を検出する異物検出装置を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の光学用フィルム成形装置。
  6. 前記レーザー光照射ユニットが、Tダイから溶融樹脂を押出し製膜している間、リップ面の幅方向に移動し、リップ面に付着した異物を除去することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の光学用フィルム成形装置。
  7. 原料の光学用フィルム用の樹脂を加熱して溶融した液体をTダイより押出す押出し機と、冷却引取り機と、巻き取り機とを有する光学用フィルム成形装置により、光学用フィルムを製造する光学用フィルム製造方法において、前記光学用フィルム成形装置が請求項1〜6の何れか1項に記載の光学用フィルム成形装置であることを特徴とする光学用フィルム製造方法。
JP2006252460A 2006-09-19 2006-09-19 光学用フィルム成形装置、光学用フィルム製造方法 Expired - Fee Related JP4957137B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006252460A JP4957137B2 (ja) 2006-09-19 2006-09-19 光学用フィルム成形装置、光学用フィルム製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006252460A JP4957137B2 (ja) 2006-09-19 2006-09-19 光学用フィルム成形装置、光学用フィルム製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008073870A true JP2008073870A (ja) 2008-04-03
JP4957137B2 JP4957137B2 (ja) 2012-06-20

Family

ID=39346441

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006252460A Expired - Fee Related JP4957137B2 (ja) 2006-09-19 2006-09-19 光学用フィルム成形装置、光学用フィルム製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4957137B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009248525A (ja) * 2008-04-10 2009-10-29 Shin Etsu Polymer Co Ltd フィルムの製造方法及びフィルム
CN108154507A (zh) * 2017-12-29 2018-06-12 长春师范大学 螺纹管异物检测系统
WO2018180389A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 富士フイルム株式会社 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5497664A (en) * 1978-01-19 1979-08-01 Asahi Chem Ind Co Ltd Sheet extrusion
JPH03288617A (ja) * 1990-04-04 1991-12-18 Toray Ind Inc 熱可塑性重合体成形物の製造方法
JPH0592467A (ja) * 1991-10-02 1993-04-16 Japan Steel Works Ltd:The Tダイの異物除去装置
JP2000334746A (ja) * 1999-05-26 2000-12-05 Nec Kyushu Ltd 樹脂封止金型のクリ−ニング装置および樹脂封止金型のクリ−ニング方法
JP2001246663A (ja) * 2000-03-03 2001-09-11 Sumitomo Heavy Ind Ltd フィルム成形システム及びその設定条件管理方法
JP2002240125A (ja) * 2001-02-15 2002-08-28 Mitsubishi Paper Mills Ltd 冷却ロールの清掃方法及びそれに用いる清掃装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5497664A (en) * 1978-01-19 1979-08-01 Asahi Chem Ind Co Ltd Sheet extrusion
JPH03288617A (ja) * 1990-04-04 1991-12-18 Toray Ind Inc 熱可塑性重合体成形物の製造方法
JPH0592467A (ja) * 1991-10-02 1993-04-16 Japan Steel Works Ltd:The Tダイの異物除去装置
JP2000334746A (ja) * 1999-05-26 2000-12-05 Nec Kyushu Ltd 樹脂封止金型のクリ−ニング装置および樹脂封止金型のクリ−ニング方法
JP2001246663A (ja) * 2000-03-03 2001-09-11 Sumitomo Heavy Ind Ltd フィルム成形システム及びその設定条件管理方法
JP2002240125A (ja) * 2001-02-15 2002-08-28 Mitsubishi Paper Mills Ltd 冷却ロールの清掃方法及びそれに用いる清掃装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009248525A (ja) * 2008-04-10 2009-10-29 Shin Etsu Polymer Co Ltd フィルムの製造方法及びフィルム
WO2018180389A1 (ja) * 2017-03-31 2018-10-04 富士フイルム株式会社 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JPWO2018180389A1 (ja) * 2017-03-31 2019-11-07 富士フイルム株式会社 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
CN108154507A (zh) * 2017-12-29 2018-06-12 长春师范大学 螺纹管异物检测系统
CN108154507B (zh) * 2017-12-29 2023-06-13 长春师范大学 螺纹管异物检测系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP4957137B2 (ja) 2012-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4888395B2 (ja) セルロースフィルムの製造方法
JP2006272616A (ja) 光学フィルム、及びその製造装置
JP2007062334A (ja) セルロースアシレート樹脂フィルム及びその製造方法
JP2006182008A (ja) セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法並びに、該セルロースアシレートフィルムを用いた光学フィルム及び画像表示装置
CN101370638A (zh) 热塑性树脂膜及其制备方法
JP2007090753A (ja) 熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法
JP4517881B2 (ja) セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、偏光板及び表示装置
JP2006341393A (ja) セルロースアシレート樹脂フィルムの製造方法
JP2006205708A (ja) セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法、偏光板、位相差フィルム、光学補償フィルム、反射防止フィルム並びに画像表示装置
JP2006327107A (ja) 熱可塑性フィルムの製造方法
JP4827840B2 (ja) セルロース混合エステルフィルムおよびその製造方法
JP2006327161A (ja) 熱可塑性フィルムの製造方法
JP2006290929A (ja) セルロースエステルフィルム、セルロースエステルフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置
JP2006243688A (ja) セルロースアシレート光学フィルムおよびその製造方法
JP4957137B2 (ja) 光学用フィルム成形装置、光学用フィルム製造方法
JP2008068533A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの縦延伸方法及びその方法で製造された縦延伸フィルム
JP4600056B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2008068498A (ja) セルロースアシレートフィルム及びその製造方法
JP2006327160A (ja) 熱可塑性フィルムの製造方法
JP2008256744A (ja) 位相差フィルムの製造方法及びその方法で製造された位相差フィルム
JP2008185726A (ja) 位相差フィルムの製造方法及びその方法で製造された位相差フィルム
JP5119683B2 (ja) 樹脂フィルムの製造方法
JP2009160796A (ja) 光学フィルム、その製造方法、光学フィルムを用いた偏光板、及び表示装置
JP2008265167A (ja) 熱可塑性フイルム及びその製造方法、並びに、偏光板、液晶表示板用光学補償フイルム、反射防止フイルム及び液晶表示装置
JP2011218814A (ja) 熱可塑性フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090617

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110816

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120221

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120305

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150330

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees