JP2008073737A - 鍛造加工方法 - Google Patents

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JP2008073737A JP2006256829A JP2006256829A JP2008073737A JP 2008073737 A JP2008073737 A JP 2008073737A JP 2006256829 A JP2006256829 A JP 2006256829A JP 2006256829 A JP2006256829 A JP 2006256829A JP 2008073737 A JP2008073737 A JP 2008073737A
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Abstract

【課題】中空部に対して熱処理を行う際、該中空部に熱歪が発生することを抑制する。
【解決手段】中空小径部20は、しごき成形用金型装置30を構成するフローティングダイス32の挿通孔34内に通される。この際、中空小径部20の外周壁と、挿通孔34の内周壁との間には、その離間距離が、中空小径部20の開口側で最小であり、中空小径部20とカップ部28との境界近傍に向かうに従って大きくなるクリアランスCLが形成される。この状態で、フローティングダイス32が降下して中空小径部20に内歯形成パンチ38の歯部形成部36が挿入される。その後、この中空小径部20に対する高周波焼入れが実施される。
【選択図】図3

Description

本発明は、ワーク本体から突出する中空部を設けた後に前記中空部に対して熱処理を施す鍛造加工方法に関する。
自動車の走行機関においては、軸部材を介してエンジンの回転駆動力をタイヤまで伝達するべく、例えば、ミッションと軸部材との間に等速ジョイントが介在される。すなわち、等速ジョイントは、ミッションに連結される軸部を具備するアウタ部材と、軸部材の先端部に嵌合されたインナ部材とを有し、このインナ部材の一部が、アウタ部材を構成する有底椀状ないし円筒体状のカップ部の内周壁に設けられた溝に摺動自在に係合することで、ミッションと軸部材とが連結される。
ここで、アウタ部材の軸部とミッションとは、歯部同士が噛合されることで連結される。すなわち、通常、軸部の先端部外周壁に歯部が設けられる一方、ミッションには、この歯部を受けるための内歯が形成された中空軸が設けられる。この中空軸の内歯に前記歯部が噛合されることにより、ミッションとアウタ部材とが連結される。
近年においては、アウタ部材の軸部の先端部を中空部とし、この中空部の内周壁に内歯を形成するようにした等速ジョイントが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、特許文献1に記載されているように、一端に中空部が設けられるとともに他端部にカップ部が設けられた後、カップ部の内周壁にトラック溝が設けられると同時に中空部の内周壁に内歯が形成される。
上記したような内歯には、使用時に欠損が生じる懸念を払拭するべく、高耐久性が要求される。この要求に応えるための方策としては、高周波焼入れ等の熱処理を施して歯部の強度・硬度を向上させることが想起される。
しかしながら、高周波焼入れを実施すると、内歯のオーバーピン径(OPD)が中空部の開口側になるにつれて大きくなる傾向がある。換言すれば、熱歪が生じるような熱処理を施すと、内歯がいわゆる末広がり状態となり、寸法精度を確保することが容易でなくなるという不具合を招く。
熱歪は、中空部に内歯を設ける必要がないような部材、例えば、プロペラシャフト用のユニバーサルジョイントヨーク等を作製する過程において焼入れを施す際にも同様に発生する。そこで、特許文献2には、焼入れ歪抑制治具で中空部を囲繞した状態で焼入れを施すことにより、焼入れ歪(熱歪)が発生することを抑制することが提案されている。
特開平3−60840号公報 特開2005−146415号公報
特許文献2記載の技術においては、常温時に焼入れ歪抑制治具と中空部との間にクリアランスが形成され、焼入れの際の加熱時に少なくとも一部のクリアランスがゼロとなるようにしている。しかしながら、加熱時に中空部(ワーク)と焼入れ歪抑制治具との双方が過度に熱膨張を起こした場合、中空部の外周壁に、焼入れ歪抑制治具から押圧されたことに起因する傷が生じてしまう。すなわち、外見上の美観が損なわれた製品となるという不具合を招く。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、寸法精度が確保されるとともに外見上の美観にも優れた中空部を得ることが可能な鍛造加工方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、ワーク本体から突出する中空部を設けた後に前記中空部に対して熱処理を施す鍛造加工方法であって、
ワーク本体から突出する中空部を鍛造成形によって設ける第1鍛造成形加工工程と、
ワーク本体の端部から突出する中空部を鍛造成形によって設ける第1鍛造成形加工工程と、
前記中空部と、該中空部を囲繞するダイスとの間にクリアランスを設け、この状態で該中空部に対してパンチを挿入することで鍛造成形を施す第2鍛造成形加工工程と、
少なくとも前記中空部に対して熱処理を施す熱処理工程と、
を有し、
前記ダイスと前記中空部との間のクリアランスを、前記中空部の先端側で小さくする一方、該中空部と前記ワーク本体との境界近傍で最大として前記第2鍛造成形加工工程を行うことを特徴とする。ここで、第1鍛造成形加工工程には、ワーク本体から突出する中空部を設けるまでの全鍛造成形加工が含まれる。一方、第2鍛造成形加工工程は、中空部に対して行う鍛造成形加工を指称する。
第2鍛造成形加工工程を行う際、中空部は、パンチから押圧されることによって変形を起こす。この変形量は、中空部とダイスとの離間距離が大きいほど大きくなる。その一方で、加工歪は、変形量が大きくなるに従って減少する。このため、中空部には、前記パンチに臨む開口側で最大となり、パンチから最も離間するワーク本体との境界近傍で最小となる加工歪が生じる。このように、ワーク本体に近接する側と開口側とで加工歪の度合いが相違することに起因して、第2鍛造成形加工工程後の中空部は、開口側に向かうに従って、例えば、直径方向内方に収縮し、その結果、いわゆるアンダーカット部が形成される。
以上のように、第2鍛造成形加工工程を行う際の中空部における加工歪の大小を制御することにより、第2鍛造成形加工工程後の中空部は、開口側が幅方向に収縮した形状となる。そして、ワークが鍛造成形装置から取り出され、この際、中空部の加工歪が除去される。
その後、中空部に対して熱歪を生じるような熱処理が行われると、該中空部の開口側における幅方向(例えば、直径方向)拡開量は、有底椀状部又は円筒形状部側に比して大きくなる。
上記したように、第2鍛造成形加工工程後の中空部は、有ワーク本体に近接する側に比して開口側が収縮している。従って、開口側がワーク本体に近接する側に比して大きく拡開することにより、結局、略直線的に延在する中空部が形成される。これにより、中空部の寸法精度を確保することができる。
しかも、少なくとも中空部に対して熱処理を施すので、寸法精度が確保されながらも硬度や強度が向上した中空部を得ることが可能となる。
その上、本発明によれば、矯正治具を中空部に外嵌する必要性が払拭される。従って、熱処理工程時に中空部が熱膨張した際、該中空部が矯正治具から締め付けられることはなく、このため、中空部に傷が発生することがない。すなわち、外見上の美観に優れる製品が得られるに至る。
本発明においては、第2鍛造成形加工工程を行う際に、前記中空部の内壁に内歯を形成することも可能である。この場合、中空部に挿入する金型として、歯部形成パンチを使用すればよい。
そして、この場合、開口側の拡径が著しく抑制されたために寸法精度が良好であり、高硬度且つ高強度の内歯が得られる。
なお、熱処理の好適な例としては、高周波焼入れを挙げることができる。
本発明においては、中空部の外周壁と、該中空部を囲繞するダイスとの離間距離を、中空部に挿入されるパンチに臨む開口側で小さくする一方、パンチから最も離間するワーク本体との境界近傍で最大とした状態で、中空部に対する鍛造成形を行うようにしている。このようにして鍛造成形を行うと、中空部は、ワーク本体に近接する側から開口側に向かうに従って幅方向に収縮した形状となる。その後、中空部に対して熱処理を施すと、該中空部の開口側がワーク本体に近接する側に比して大きく拡開するので、結局、中空部が略直線的に延在する。このため、中空部の寸法精度が確保される。
また、中空部に対して熱処理を施すので、寸法精度が確保されながらも硬度や強度が向上した中空部を得ることができる。
しかも、本発明によれば、熱歪が生じることを抑制するための矯正治具を中空部に外嵌する必要もない。このため、熱処理工程時に熱膨張を起こした中空部が矯正治具によって締め付けられることがないので、中空部に傷が発生することがない。従って、外見上の美観に優れる製品を得ることができる。
以下、本発明に係る鍛造加工方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
先ず、本発明に係る第1実施形態につき、中空部に内歯を設ける場合を例示して説明する。
図1A〜図1Fは、トリポート型等速ジョイントのアウタ部材を作製する過程を示したフローチャートである。この場合、アウタ部材は、図1Aに示す炭素鋼製のビレット10から図1Eに示す第4次成形品12を得る第1鍛造成形加工工程と、該第4次成形品12に内歯14(図1F参照)を設けてアウタ部材16とする第2鍛造成形加工工程と、該アウタ部材16に対して高周波焼入れを施す熱処理工程とを経て作製される。
はじめに、第1鍛造成形加工工程が実施される。すなわち、ビレット10に対して複数回の鍛造成形加工を施すことによって第4次成形品12が形成される。
ビレット10には、先ず、球状化焼鈍が施される。これによりビレット10が軟化し、続く複数回の鍛造加工が容易となる。
次いで、ビレット10には、潤滑用化成皮膜が形成される。すなわち、例えば、いわゆるボンデライト処理が行われ、その結果、リン酸亜鉛等からなる潤滑用化成皮膜がビレット10の表面に形成される。この潤滑用化成皮膜が形成されたビレット10には、良好な潤滑性が発現する。なお、ボンデライト処理は、リン酸亜鉛等が溶解された溶媒中にビレット10を所定時間浸漬することによって実施される。
次いで、最初の鍛造成形加工が行われる。具体的には、潤滑用化成皮膜が形成されたビレット10が一端面側から押圧される前方押し出しが遂行される。この前方押し出しにより、図1Bに示すように、大径部18と、該大径部18に比して小径で且つ有底穴形状の中空小径部20と、大径部18と中空小径部20の間に介在してテーパ状に縮径した縮径部21とを具備する第1次成形品22が得られる。
次いで、第1次成形品22に対して予備据え込み成形を行う。すなわち、予備据え込み成形用金型装置のキャビティに第1次成形品22を装填する。その際、中空小径部20は、予備据え込み成形用金型装置に設けられた軸部保持部に挿入される。
この成形加工では、軸部保持部に挿入された中空小径部20の先端部が支持されながら、大径部18が上端面側からパンチで押圧される。この押圧によって大径部18が圧潰されて拡径し、結局、図1Cに示す第2次成形品24が得られる。なお、この予備据え込み成形を省略するようにしてもよい。
続いて、第2次成形品24の大径部18をさらに圧縮し且つ拡径させる据え込み成形を施し、図1Dに示す第3次成形品26を形成する。すなわち、据え込み成形用金型装置を用い、キャビティに装填された第2次成形品24の大径部18を上端面側からパンチで押圧する。これにより第2次成形品24の大径部18が軸線方向に圧縮変形され、図1Dに示す第3次成形品26が得られる。
据え込み成形が終了した後、第3次成形品26から応力を除去するための低温焼鈍、この低温焼鈍の際に発生する酸化スケール等を除去するショットブラスト処理、第3次成形品26の表面にリン酸亜鉛等からなる潤滑用化成皮膜を形成するボンデライト処理を行う。これらの各種処理を行うことにより、第3次成形品26を容易に塑性変形させることができるようになる。
次いで、鍛造用金型装置のキャビティに第3次成形品26を装填し、前記鍛造用金型装置を構成するパンチで中実な大径部18の中央部を押圧する。この押圧に伴い、大径部18において、パンチで押圧されていない部位に、押圧方向とは逆方向に向かう肉流れが生じる。その結果、図1Eに示すように、中空円筒体形状のカップ部28が形成されて第4次成形品12が得られる。この時点で、第1鍛造成形加工工程が終了する。
このようにしてカップ部28が形成されると同時に、前記パンチに設けられた凸部形状がカップ部28の内周壁に転写され、該内周壁にトラック溝が形成される。
その後、第2鍛造成形加工工程において、最終サイジング成形であるしごき成形と、中空小径部20の内周壁への内歯14の形成とが行われる。
ここで、しごき成形用金型装置の要部縦断面説明図を図2に示す。このしごき成形用金型装置30は、図示しないコイルスプリング等の弾発部材によって図2における上方に弾発付勢されたフローティングダイス32と、該フローティングダイス32の挿通孔34内に配置されて先端部に歯部形成部36が設けられた内歯形成パンチ38と、カップ部28に臨む側に配置されたしごきパンチ40と、カップ部28を囲繞する支持ダイス42とを有する。この中、フローティングダイス32は、該フローティングダイス32を囲繞するダイ本体44の挿入孔46内に摺動自在に配置されている。
なお、第1実施形態では、内歯形成パンチ38は位置決め固定されており、一方、しごきパンチ40は昇降自在である。
このように構成されたしごき成形用金型装置30において、しごき成形及び内歯形成は、以下のようにして実施される。
第4次成形品12の装填に先んじて、該第4次成形品12の表面に液体潤滑剤が塗布される。液体潤滑剤は、内歯形成パンチ38やしごきパンチ40、フローティングダイス32や支持ダイス42に塗布するようにしてもよい。勿論、第4次成形品12と、内歯形成パンチ38、しごきパンチ40、フローティングダイス32及び支持ダイス42の少なくともいずれか1つとの双方に液体潤滑剤を塗布するようにしてもよい。液体潤滑剤としては、従来から使用されている公知の液体潤滑剤を使用すればよい。
このように液体潤滑剤を塗布した場合、後述するしごき成形及び内歯形成の最中に、第4次成形品12や内歯形成パンチ38、しごきパンチ40、フローティングダイス32や支持ダイス42に焼き付きが生じることを回避することができる。
第4次成形品12は、中空小径部20がフローティングダイス32の挿通孔34に挿入され、最終的にカップ部28の底面が該フローティングダイス32の上端面に着座するとともにカップ部28が支持ダイス42のキャビティ48に挿入されることで、しごき成形用金型装置30に支持される。この際、図3に要部を拡大して示すように、中空小径部20の外周壁と、該中空小径部20を囲繞するフローティングダイス32の挿通孔34の内周壁との間には、クリアランスCLが生じる。
ここで、第1実施形態においては、クリアランスCLの間隔、換言すれば、中空小径部20の外周壁とフローティングダイス32の挿通孔34の内周壁との離間距離は一定ではなく、中空小径部20の部位に応じて変化する。具体的には、離間距離は、内歯形成パンチ38に臨む側(中空小径部20の開口側)が小さく設定され、カップ部28に向かうに従って大きく設定されている。そして、離間距離は、中空小径部20における内歯形成パンチ38から最も離間する部位、すなわち、カップ部28との境界近傍で最大となる。
このような状態で、しごき成形用金型装置30の駆動部が付勢され、しごきパンチ40がカップ部28に向かって降下する。しごきパンチ40は、カップ部28に挿入されて該カップ部28を内周壁側から押圧する(図2参照)。この押圧に伴い、カップ部28の肉が押圧方向と逆方向に流動する。すなわち、カップ部28が伸張し、最終的に、該カップ部28の肉厚や前記トラック溝の幅及び深さが所定の寸法となる。
しごきパンチ40の下降は、前記の肉流れが終了した後も続行される。これに伴い、カップ部28の底面が着座したフローティングダイス32に大きな押圧力が作用し始める。この押圧力がフローティングダイス32への弾発付勢力を上回ると、図4に示すように、フローティングダイス32が下方に変位する。その結果、中空小径部20が内歯形成パンチ38の位置まで下降し、該中空小径部20に内歯形成パンチ38が挿入される。
上記したように、内歯形成パンチ38の先端部には歯部形成部36が設けられている。この歯部形成部36の形状が中空小径部20の内周壁に転写され、該内周壁に内歯14が形成される。
この際、中空小径部20に作用する力を模式的に図5に示す。内歯形成パンチ38は、中空小径部20の内周壁を略均等に押圧する。このため、内歯形成パンチ38から内周壁に作用する力は略均等である。
一方、フローティングダイス32と中空小径部20の間の離間距離は、上記したように、中空小径部20の開口側からカップ部28に向かうに従って大きくなるように設定されている。このため、フローティングダイス32から中空小径部20の外周壁に作用する力は、図5に示すように、中空小径部20の開口側からカップ部28に向かうに従って小さくなる。離間距離が大きいと、内歯形成パンチ38の押圧力に対する反作用力が小さくなるからである。
そして、中空小径部20の変形量は、クリアランスCLの間隔が大きいカップ部28に向かう程大きくなる。一方、加工歪は、変形量とは逆に、カップ部28に向かうに従って減少する。このようにカップ部28側から開口側にかけて加工歪の度合いが変化することに起因して、内歯14を設けた後の中空小径部20の直径方向寸法は、カップ部28側に比して開口側が小さくなる。換言すれば、中空小径部20は、開口側に向かうに従って直径方向内方に収縮した形状となり、このため、いわゆるアンダーカット部が形成される。
中空小径部20の内周壁への内歯14の形成が終了すると、しごきパンチ40が上昇することに伴ってカップ部28への押圧力が低減する。しごきパンチ40のカップ部28への押圧力に比してフローティングダイス32への弾発付勢力が大きくなると、フローティングダイス32が上方に変位し、これに追従して、図6に示すように、中空小径部20が上昇して内歯形成パンチ38から離間する。これに伴い、中空小径部20の加工歪が除去される。
このようにして内歯14が設けられたアウタ部材16に対し、熱処理工程において、高周波焼入れを施す。高周波焼入れは、アウタ部材16全体に対して行うようにしてもよいし、中空小径部20のみに行うようにしてもよい。
この高周波焼入れに際し、中空小径部20には、その直径方向外方に向かう力が略均等に作用する。その結果、中空小径部20は、直径方向外方に向かってさらに拡径するような変形を起こす。
ここで、中空小径部20には、上記したように開口側に向かうに従って直径方向内方に収縮した形状となっており、この状態で高周波焼入れが施されている。そして、内歯14の形成に伴ってカップ部28側よりも収縮した開口側が、高周波焼入れ時の拡開量が大きくなるので、中空小径部20における開口側とカップ部28側との最終的な寸法が略一致する。結局、中空小径部20が略直線的に延在するようになる。その結果、内歯14のOPDが中空部の開口側になるにつれて大きくなる、いわゆる末広がり状態を回避することができるので、内歯14の寸法精度を確保することが容易となる。
内歯14のOPDを、中空小径部20の開口が中空小径部20とカップ部28との境界近傍に比して若干小さくなるように設定してもよい。この場合におけるOPDの差をおよそ0.1mmとするとき、中空小径部20とカップ部28との境界近傍の外周壁とフローティングの挿通孔34の内周壁との離間距離は、例えば、およそ0.5mmに設定すればよい。
高周波焼入れが施された内歯14は、高周波焼入れ前に比して強度や硬度が上昇する。すなわち、第1実施形態によれば、高強度・高硬度を有し、且つ寸法精度が良好な内歯14を設けることができる。
しかも、第1実施形態では、しごき成形用金型装置30を用い、カップ部28に対してしごき成形を施した後、第4次成形品12をしごき成形用金型装置30から取り出すことなく中空小径部20に内歯14を形成してアウタ部材16を作製するようにしている。このため、作業効率が向上する。また、しごき成形用金型装置が内歯形成用金型装置を兼ねるので、しごき成形専用、内歯形成専用の金型装置をそれぞれ作製する必要がない。従って、金型装置の個数が低減するので、設備投資が低廉化するという利点もある。
その上、第1実施形態においては、高周波焼入れの際に中空小径部20に何らかの部材を外嵌する必要は特にない。このため、中空小径部20が熱膨張を起こしても外方から締め付けられることがないので、該中空小径部20に傷が発生することがない。すなわち、第1実施形態によれば、外見上の美観に優れるアウタ部材16を得ることができる。
なお、第1実施形態においては、アウタ部材16としてトリポート型等速ジョイントのアウタ部材を例示して説明したが、バーフィールド型等速ジョイントのアウタ部材等、その他の種類の等速ジョイント用アウタ部材であってもよいことはいうまでもない。
さらに、内歯形成パンチ38をアウタ部材16に指向して上昇させ、中空小径部20に挿入することで歯部を形成するようにしてもよいことは勿論である。
次に、本発明に係る第2実施形態につき、図7に示すユニバーサルジョイント用のヨーク60を例示して説明する。
ヨーク60は、ビレットに対して鍛造成形を行うことでピンボス部62と円筒部64とが形成されることによって作製される。すなわち、この場合、鍛造成形加工装置(図示せず)には、ビレットよりも大径なキャビティが設けられる。そして、このキャビティの下方には、ピンボス部62を設けるための凹部が該キャビティに連設される。なお、パンチは、ビレットに比して小径に設定される。
前記キャビティに収容されたビレットを、長手方向に沿って圧潰する方向にパンチで押圧すると、ビレットの肉が前記凹部に流入することでピンボス部62が形成される(第1鍛造成形加工工程)。さらに、パンチによる押圧が続行されると、ビレットの肉がパンチとキャビティ内壁とに沿って流動し、その結果、中空な円筒部64が成形される。換言すれば、ヨーク60には、ワーク本体であるピンボス部62から円筒部64が突出形成された形態となっている。
このようにして得られたヨーク60に対し、図8に要部縦断面を示すしごき成形用金型装置66にて、第1実施形態に準拠してしごき成形を行う(第2鍛造成形加工工程)。
しごき成形用金型装置66の構成は、内歯形成パンチ38、しごきパンチ40に代替して円筒部しごきパンチ68、ピンボス部しごきパンチ70が設置されている以外は前記しごき成形用金型装置30と略同様に構成されている。従って、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
ヨーク60の円筒部64がフローティングダイス32の挿通孔34に挿入されると、ピンボス部62が支持ダイス42のキャビティ48に挿入され、且つその底面がフローティングダイス32の上端面に着座する。この場合においても、第1実施形態と同様に、図9に示すように、円筒部64の外周壁と、フローティングダイス32の挿通孔34の内周壁との間にクリアランスCLが生じる。
そして、円筒部64の外周壁とフローティングダイス32の挿通孔34の内周壁との離間距離は、円筒部しごきパンチ68に臨む側(円筒部64の開口側)が小さく、ピンボス部62に向かうに従って大きく設定され、ピンボス部62との境界近傍で最大となっている。
しごき成形用金型装置66の駆動部が付勢されると、ピンボス部しごきパンチ70がピンボス部62に向かって降下する。図8に示すように、ピンボス部しごきパンチ70がピンボス部62の底面を上方から押圧することに伴い、ピンボス部62の肉が押圧方向と逆方向に流動し、その結果、ピンボス部62が伸張して所定の寸法となる。
ピンボス部しごきパンチ70の下降がさらに続行されると、図10に示すように、フローティングダイス32が下方に変位し、最終的に、円筒部64に円筒部しごきパンチ68が挿入される。これにより、円筒部64にしごき成形が施される。
この際においても、前記図5に模式的に示したように力が円筒部64に作用する。すなわち、図11に示すように、円筒部しごきパンチ68からの円筒部64の内周壁への押圧力が略均等である一方、フローティングダイス32から円筒部64の外周壁に作用する反作用力は、円筒部64の開口側からピンボス部62に向かうに従って小さくなる。
そして、円筒部64の変形量が、クリアランスCLの間隔が大きいピンボス部62に向かう程大きくなるため、円筒部64には、該円筒部64の開口側に向かうに従って大きくなる加工歪が発生する。その結果、円筒部64の直径方向寸法は、ピンボス部62側から開口側に向かうに従って直径方向内方に収縮した形状となり、アンダーカット部が形成される。
以上のしごき成形が終了すると、ピンボス部しごきパンチ70が上昇する。その一方でフローティングダイス32が上方に変位し、これに伴って、図12に示すように、円筒部64が上昇して円筒部しごきパンチ68から離間する。その結果、加工歪が除去される。
このようにしてしごき成形が施されたヨーク60全体又は少なくとも円筒部64に対し、熱処理工程で高周波焼入れを施す。この高周波焼入れの加熱時、円筒部64は、その直径方向外方に向かってさらに拡径するような変形を起こす。
上記したように、円筒部64は、開口側に向かうに従って直径方向内方に収縮した形状となっている。この状態で高周波焼入れが施されると、ピンボス部62側よりも収縮した開口側の方が拡開量が大きくなるので、円筒部64では、開口側とピンボス部62側との最終的な寸法が略一致する。換言すれば、円筒部64が略直線的となる。
すなわち、第2実施形態においても、円筒部64(中空部)に発生する加工歪を制御し、その後、熱歪を与える熱処理を行うことによって、該円筒部64の寸法精度が容易に確保される。勿論、この円筒部64は、高周波焼入れ前に比して強度や硬度が向上している。
この第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、作業効率が向上するとともに設備投資が低廉化するという利点が得られる。また、円筒部64に傷が発生することがないので、外見上の美観に優れる製品が得られるという点も同様である。
なお、内歯を形成しない第2実施形態において、最終製品がヨーク60に特に限定されるものでないことはいうまでもない。
さらに、第1実施形態と同様に、円筒部しごきパンチ68を円筒部64に指向して上昇させ、最終的に該円筒部64に挿入することでしごき成形を行うようにしてもよい。
第1実施形態、第2実施形態のいずれにおいても、熱処理は、高周波焼入れに特に限定されるものではなく、熱歪が生じるような熱処理であればよい。
図1A〜図1Fは、ビレットからアウタ部材を設ける過程の概略を示すフローチャートである。 第1実施形態において、第2鍛造成形加工工程で使用されるしごき成形用金型装置の要部縦断面説明図である。 図2のしごき成形用金型装置の要部拡大縦断面図である。 図2のしごき成形用金型装置を構成するフローティングダイスが変位した状態を示す要部拡大縦断面図である。 中空小径部に歯部を設ける際に該中空小径部に作用する力を模式的に示した要部縦断面模式図である。 中空小径部が上昇して内歯形成パンチから離間した状態を示す要部拡大縦断面図である。 鍛造成形品であるヨークの概略全体斜視図である。 第2実施形態において、第2鍛造成形加工工程で使用されるしごき成形用金型装置の要部縦断面説明図である。 図8のしごき成形用金型装置の要部拡大縦断面図である。 図8のしごき成形用金型装置を構成するフローティングダイスが変位した状態を示す要部拡大縦断面図である。 円筒部に対してしごき成形を行う際に該円筒部に作用する力を模式的に示した要部縦断面模式図である。 円筒部が上昇して円筒部しごきパンチから離間した状態を示す要部拡大縦断面図である。
符号の説明
14…内歯 16…アウタ部材
20…中空小径部 28…カップ部
30、66…しごき成形用金型装置 32…フローティングダイス
34…挿通孔 36…歯部形成部
38…内歯形成パンチ 40…しごきパンチ
48…キャビティ 60…ヨーク
64…円筒部 68…円筒部しごきパンチ
70…ピンボス部しごきパンチ CL…クリアランス

Claims (3)

  1. ワーク本体から突出する中空部を設けた後に前記中空部に対して熱処理を施す鍛造加工方法であって、
    ワーク本体から突出する中空部を鍛造成形によって設ける第1鍛造成形加工工程と、
    前記中空部と、該中空部を囲繞するダイスとの間にクリアランスを設け、この状態で該中空部に対してパンチを挿入することで鍛造成形を施す第2鍛造成形加工工程と、
    少なくとも前記中空部に対して熱処理を施す熱処理工程と、
    を有し、
    前記ダイスと前記中空部との間のクリアランスを、前記中空部の先端側で小さくする一方、該中空部と前記ワーク本体との境界近傍で最大として前記第2鍛造成形加工工程を行うことを特徴とする鍛造加工方法。
  2. 請求項1記載の鍛造加工方法において、前記第2鍛造成形加工工程の際、前記中空部の内壁に内歯を形成することを特徴とする鍛造加工方法。
  3. 請求項1又は2記載の鍛造加工方法において、前記熱処理として高周波焼入れを行うことを特徴とする鍛造加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015182099A (ja) * 2014-03-24 2015-10-22 鹿児島県 鍛造パンチの設計方法及び鍛造パンチ並びにヨークの製造方法

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