JP2008069632A - 太陽熱遮断性舗装体の構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒートアイランド現象の抑制に効果的な塗装体を提供する。
【解決手段】舗装体の表層部に、可視波長域が吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料を存在させることによって、太陽熱による路面温度の上昇を効果的に抑制する。
【選択図】なし

Description

本発明は太陽熱による路面温度の上昇を抑制してなる舗装体の構築方法に関する。
アスファルト舗装体を典型例とする舗装体は、太陽光の日射エネルギーを吸収しやすく、特に夏期においては路面温度が高くなりやすい。都市部においては、ヒートアイランド現象を含めた都市環境対策または歩行者に対する歩道空間の熱環境を改善する対策として、路面温度の上昇を抑制する機能を有する舗装体の開発が望まれている。しかし、十分な効果を有するものが開発されているとはいえず、路面温度の上昇抑制(ピーク温度の低減化)をより効果的に達成しうる舗装体の開発が強く望まれている。
本発明の目的は、このような要請に応えた太陽熱遮断性舗装体の構築方法を提供することにある。
本発明は、舗装体の表面に、舗装体表面に塗布して固体表層部を形成しうるバインダーに可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料を含有させてなる塗布組成物を塗布し、次いで該バインダーを固化させることを特徴とする太陽熱遮断性舗装体の構築方法である。
本発明において舗装体とは、アスファルト舗装体、コンクリート舗装体、インターロッキングブロック舗装体等の人や車両の通行に供する適宜の舗装体をいうが、特にアスファルト舗装体が好ましい。アスファルト舗装体としては一般的に知られた適宜の道路用のアスファルト舗装体が例示される。例えば排水性アスファルト舗装体は本発明に特に適した舗装体である。また、本発明の舗装体にはプールサイド、テニスコート等の舗装体も含まれる。また、本発明の舗装体には既設の舗装体および新設の舗装体のいずれも含まれる。
本発明で用いる可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料としては、特にJIS A 5759に定義される350〜2100nmの波長域における日射反射率が15%以上であって、かつCIE1976L色空間におけるL値が30以下、より好ましくはL値が24以下の顔料が好ましく用いられる。
ここで、JIS A 5759に定義される350〜2100nmの波長域における日射反射率とは、分光光度計を用いて波長350nmから2100nmまでを波長間隔50nmごとに区切った36波長点の分光反射率を測定し、次式により算出される日射反射率である。次式においてR:日射反射率(%)、Eλ:日射の分光分布の値、Rλ:分光反射率である。また、波長ごとの日射の分光分布を表1に示す。
一般に用いられている顔料は可視波長域と赤外線波長域の両方で吸収を示すものがほとんどであり、本発明の上記要件を満足する顔料は極めて限られている。本発明で用いる顔料の多くは黒色系(濃茶色も包含する)でありながら太陽熱の遮断性に優れるという顕著な効果を示す。
本発明で用いる顔料は上記の特性を有する限りその化学構造には限定されず、公知の有機顔料及び無機顔料について上記の特性を実験的に認識することにより容易に選択しうる。その一例として、特公平4−26348に提案されている一般式:
(但し、XはN=N又はCONHであり、nは1又は2であり、Rは水素原子又はニトロ基であり、Rはハロゲン原子又はメトキシ基であり、A環はベンゼン環又はナフタレン環であり、n=1のときのRはハロゲン原子、メチル基、ニトロ基又はメトキシ基を有してもよいフェニル基又は置換基を有していないナフチル基であり、n=2のときのRはメトキシ基を有していてもよいビフェニレン基である。)で示され、結晶の大きさが0.3〜10μmであるアゾ系顔料をあげることができる。
市販されている顔料で上記の条件を満足するものとしては、商品名クロモファインブラックA−1103(大日精化工業(株)製)のアゾメチアゾ系黒色顔料等があげられる。この顔料の結晶の大きさは0.3〜10μmである。その波長ごとの反射率を図2に示す。また、図3で示される反射特性を有する濃茶色顔料も上記の条件を満足する顔料である。
また、上記の条件を満足する顔料に加えて、JIS A 5759に定義される350〜2100nmの波長域における日射反射率が12%以上の着色顔料と、必要に応じて白色顔料を併用することも好ましい。この条件を満たす着色顔料の例としては、モノアゾ系エロー(商品名ホスターパームエローH3G:ヘキスト(株)製)等の黄色系顔料、酸化鉄(商品名トダカラー120ED:戸田工業(株)製)、キナクリドンレッド(商品名Hostaperm Red E2B70:ヘキスト(株)製)等の赤色系顔料、フタロシヤニンブルー(商品名シヤニンブルーSPG−8:大日本インキ化学工業(株)製)等の青色系顔料、フタロシヤニングリーン(商品名シヤニングリーン5310:大日精化工業(株)製)等の緑色系顔料等があげられる。
ここで日射反射率データは、十分に隠蔽された状態、具体的には隠蔽率が約1.0の塗膜において測定される。
併用される白色顔料の例としては酸化チタン、亜鉛華等があげられる。
また必要に応じて中空微細粒子も併用しうる。本発明で用いる中空微細粒子としては、無機中空微細粒子が好ましい。特に透明ないし半透明のセラミック中空微細粒子、その中でも強度が40kgf/cm以上のセラミック中空微細粒子が好ましい。このようなセラミックの組成例としてはジルコニア・チタニア複合物、ホウ化ケイ素系セラミック、シラスバルーン、ガラスバルーン等がある。粒子径としては5〜150μmが好ましい。中空内は空気、空気以外の気体、真空のいずれでもよいが、真空(ここで真空とは、雰囲気圧よりも気圧が低い状態をいう。)であるものが断熱性の点等からより効果的である。
本発明において、舗装体の表層部に可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料、および必要に応じその他の顔料類および/または中空微細粒子を存在させる方法としては、通常のアスファルト舗装体の表層を構成する(骨材等を含有する)アスファルト混合物中に混入して用いる方法、別途バインダー等に混入して舗装体の表面に塗布する方法、セメントスラリー等に混入して開粒度アスコン等の舗装体の表面空隙に充填する方法、軟化状態にある舗装体表面に散布して付着混入させる方法等があるが、特にバインダー等に混入して塗布する方法が好ましい。
バインダーとしては、道路交通に用いうる耐久性および耐候性を有する樹脂、アスファルト、アスファルト乳剤およびセメントが特に好ましい。樹脂の具体例としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、メチル(メタ)アクリレート樹脂等の架橋型樹脂組成物、特に常温硬化型のラジカル架橋型樹脂組成物が好ましい。ラジカル架橋型樹脂組成物は付着性、速硬性、耐摩耗性、耐候性のバランスがよい点で、本発明の舗装体に塗布するのに適している。
これらのラジカル架橋型樹脂組成物は通常2液型で供給され、塗布時に現場で2液が混合される。本発明では、それぞれに所定の顔料を混入してなる2液を2頭式のスプレーガンを用いて、同時に連続的に路面上に吹きつけて塗布する方法が最も好ましい。
なお、本発明で使用可能なバインダー樹脂はこれらに限定されるものではなく、付着性、速硬性、耐摩耗性、耐候性等に優れたものであれば、水溶性型または溶剤型のいずれも用いることができる。適宜構造保持剤を併用することもできる。
構造保持剤の具体例としては、樹脂やアスファルト(混合物)用としてはアクリルアミド誘導体、酸化ポリエチレンワックスおよび/または有機ベントナイトと、シリカ粒子との複合系がある。アクリルアミド誘導体としてはジアクリルアミド、トリアクリルアミド等の多官能性アクリルアミドが好ましく、特にアクリルアミド基どうしが例えば炭素数20〜30のアルキレン基等の長鎖炭化水素基で連結されているアクリルアミド誘導体が好ましい。また、アスファルト乳剤用構造保持剤の具体例としてはセルロース誘導体、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコールおよび/または有機ベントナイトと、シリカ粒子との複合系がある。セルロース誘導体としてはヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等がある。
可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料の量は、舗装体表面の太陽熱による温度上昇を抑制しうるに足る量であれば特に制限はなく、原則的にはその量に応じた太陽熱遮断効果が得られる。
表層の厚さは表層を構成する材料の種類等によって異なるが、通常0.5mm以上、特に1mm以上が好ましい。厚さの上限は特に制限はないが、別途バインダー等に混入して塗布する場合には5mm以下程度で十分である。
可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料等の顔料類の量は、隠蔽力や付与される色彩等に応じ適宜決定しうるが、通常は表面層当たりそれぞれ5〜50重量%程度が好ましい。
本発明で用いる顔料は黒色系の表面層を形成するのが一般的であり、道路舗装体の場合、視認性を高める上で重要である。但し、プールサイドやテニスコート等の道路舗装体以外の舗装体の場合には、美感等を考慮して他の顔料の混入量を増やして非黒色系の表面層を形成することも可能である。
本発明の表層部を有する舗装体は、太陽光の日射等による舗装路面へのエネルギー入射量を効果的に抑制できるものである。エネルギー入射量の抑制により舗装路面の温度上昇を抑制することが可能となり、舗装路面からの長波放射量や顕熱輸送量の低減、すなわち都市環境や歩行環境の改善に寄与することができる。さらに、アスファルト舗装体中の最高路面温度を低減できることにより、わだち掘れの発生を抑制でき、舗装体の供用性の向上につながる。
また、排水性舗装等のアスファルト舗装体においては表面に存在する骨材類によって表面が凹凸形状となっているので、舗装体表面の主要面積は凸頂部以外の部分で占められている。そのため、走行車輪による表面層の摩耗に伴う効果低減も少なく、長期間安定した効果を発現することができる。
〔実施例〕
次に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
密粒度アスファルト混合物(13mmTOP)を使用してホイールトラッキング試験用供試体(t=5cm)を作製し、屋外(東京都品川区)に設置して、供試体の表面温度を測定した。供試体の作製においては、道路交通の供用に要する耐久性を有する常温硬化型ラジカル架橋型ビニルエステル樹脂組成物をバインダーとし、これに中空微細粒子、構造保持剤、可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料等を含有させた路面塗布材を供試体の上面部に塗布した。
中空微細粒子としては、149μmふるい残留分が1%以下で真比重0.37のセラミック中空微細粒子を用いた。顔料としては次のものを用いた。
顔料AおよびBは、JIS A 5759に定義される日射反射率が15%以上であって、かつCIE1976L色空間におけるL値が30以下である顔料である。
配合組成は、表3に示すとおりである。
無色のバインダー樹脂中に中空微細粒子を存在させた路面塗布材を用いた舗装体については、下記する実験1)から実験3)のいずれの場合も3〜4℃の温度低減効果が認められた。
次に、上記配合組成をもつ路面塗布材を用いた舗装体の、夏期晴天時と梅雨時期における日照時間等の気象条件の影響に対する効果の発現性について調べた。
実験1)色調と温度低減効果
舗装路面に太陽光が当たった場合、一般的には黒色の路面の方が日射を吸収しやすいので路面温度が上昇しやすく、白色の路面の方が日射を反射しやすいので路面温度が上昇しにくい。実験1では、本発明の舗装体(以下、「当該舗装体」という。)の色調を変化させた場合の路面温度を測定し、色調を通常のアスファルト舗装体(以下、「標準」という。)と同様の黒色とした場合と、より路面温度の上昇抑制が図れると予想した灰色や白色とした場合の温度低減効果について検討した。
測定は平成13年4月の3日間に行い、このときの気象条件は気温約23℃の晴天であった。図1に示す測定結果より、標準と当該舗装体の黒色とを比較した場合、2日目においては標準の最高路面温度が約56℃に達しているのに対して当該舗装体は約46℃であり、この温度差約10℃が直接的な温度低減効果であると考えられる。
一方、当該舗装体の色調別の最高路面温度を比較すると、2日目においては灰色が約35℃、白色が約27℃であり、舗装体の色調を明色化することによって温度低減効果が増大することがわかる。標準との最高路面温度の差は、灰色が約21℃、白色が約29℃であった。アルベドを測定すると、標準は約0.08〜0.10、灰色は約0.20〜0.28、白色は約0.43〜0.48(コンクリートの0.44に近似)であり、舗装体の色調を明色化した場合の温度低減効果は、本発明によるものとアルベドの変化による日射入射量の抑制との相乗効果によるものと推察できる。
実際の道路で適用することを想定した場合、温度低減効果と視認性とを考慮すれば当該舗装体の色調は灰色が適切である。したがって、以下の実験2)から実験4)で用いる当該舗装体の色調には灰色を選定することとした。
実験2)夏期晴天時における特性
実験2では、晴天時における当該舗装体の路面温度の抑制効果について検討する。実験方法は実験1に準拠し、当該舗装体の色調は実験1で選定した灰色とした。測定期間は平成13年7月の夏期晴天時における7日間であり、測定期間内の最高気温は約35℃であった。
表7より、日照時間が少なかった3日目を除き、標準の最高路面温度が連日にわたって60℃程度となっているのに対し、当該舗装体は約43℃程度にとどまっている。日照時間が少ない3日目についても、標準が約49℃に対して当該舗装体が約39℃と、当該舗装体の方が低い結果であった。当該舗装体の標準に対する温度差は、7日間の測定期間中で最大約20℃にも達することが確認できた。
以上より、当該舗装体は、日射によって路面温度が高くなりやすい夏期において路面温度の上昇を抑制する効果を有し、アルベドを約0.2程度に抑制しつつ路面温度の上昇を抑制できた。
実験3)曇りや雨天時における特性
実験3では、曇りや雨天時における路面温度の測定結果と実験2の晴天時の測定結果とを比較することにより、日照等の気象条件の違いによる効果発現の差について検討する。測定期間は平成13年6月の梅雨時期における7日間で、測定期間内の最高気温は28℃、降雨量は累計68mmであった。
表7より、断続的に降雨があった1日目においては標準の最高路面温度が約27℃であるのに対して当該舗装体は約24℃であり、5日目においては標準が約37℃に対して当該舗装体は約29℃と、曇りや晴天時においても当該舗装体の方が低い結果であった。当該舗装体の標準に対する温度差は、降雨量や気温の影響を受けて変動するものの、日照時間が観測されない日においてもその差は最大3〜10℃程度認められた。
以上より、日照が少ない場合においても、当該舗装体による路面温度の抑制効果が得られることがわかる。これは、曇りや雨天時のように日照がほとんどないような場合でも大気からの長波入射量が存在するが、本発明の舗装体によって赤外線波長域の反射が行われることにより、路面温度の上昇抑制が図れているためである。
実験4)長波放射量と顕熱輸送量の特性
実験4では、実験2の夏期晴天時および実験3の梅雨時期における長波放射量と顕熱輸送量について計算し、それらをまとめた結果を表4に示す。
夏期晴天時における長波放射量の平均値を比較すると標準が約539W/mであるのに対して当該舗装体が約496W/mであり、当該舗装体の方が平均して約8%程度低い値を示した。測定期間中の最大値を比較すると、当該舗装体の方が約145W/m減少しており、長波放射量が最大となる日中の放射量を抑制していることがわかる。一方、日照時間の少ない梅雨時期の測定期間における長波放射量についても平均して約6%程度低減しており、気象条件にかかわらず全般的な傾向として当該舗装体による長波放射量の抑制効果が認められた。
顕熱輸送量についても、長波放射量と同様に、当該舗装体の方が標準よりも少ない傾向を示していることがわかる。表4より、6月と7月の各7日間の測定期間における顕熱輸送量の低減率は、それぞれ55.9%、56.1%であった。このように、舗装路面が直接大気を暖める顕熱輸送量を約56%も低減できるのは、当該舗装体の路面温度が平均的に標準よりも低くなるためである。また、6月と7月の顕熱輸送量の低減率はほぼ一定となっているが、これは日照時間や降雨量等の気象条件が大きく異なっても低減率はほとんど変化しないことを示唆している。
以上より、当該舗装体は路面温度の上昇を抑制することができ、コンクリート舗装体と比べて反射日射量が抑制されるアルベド約0.20〜0.28の状態(灰色)でも、標準よりも約20℃程度路面温度を低減できることがわかった。また、コンクリート舗装体と同程度のアルベドである白色とした場合には、路面温度の低減効果が最大約29℃にも達するという結果が実験1からも得られており、長波放射量や顕熱輸送量が路面温度に依存することを考慮すれば、実際の道路で適用可能な舗装路面の色調をさらに検討することによって、都市環境や歩行環境の改善に寄与できるより温度低減効果が高い舗装体を得ることが可能である。
実験5)灰色塗料における中空微細粒子および/または可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料を存在させた場合の温度低減効果の比較
表5に示す(a)、(b)、(c)、(d)の各塗料をアスファルト供試体(10cm×10cm×5cm)に800g/mの塗布量でスプレー塗装し、十分に乾燥させた後、レフランプ(150W)を照射し昇温が止まった時点の温度を最高表面温度とした。
(実験方法)
上記(a)、(b)、(c)、(d)の各塗料をアスファルト供試体(10cm×10cm×5cm)に800g/m(400g/m×2回塗り)の塗布量でスプレー塗装し、十分に乾燥させた後、レフランプ(150W)を照射し昇温が止まった時点の温度を最高表面温度とした。
(実験結果)
本実験の結果より、該顔料のみを存在させた塗料を塗装した場合には標準に対して約19.9℃の温度低減効果が得られ、中空微細粒子のみを存在させた塗料を塗装した場合でも約3.0℃の温度低減効果が得られた。また、中空微細粒子と該顔料をともに存在させた塗料を塗装した場合には更に大きな温度低減効果が得られた。
本実験においては、ラジカル架橋型メチル(メタ)アクリレート樹脂をバインダーとし、これに中空微細粒子、構造保持剤、可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料を含有させた塗布組成物を既設のアスファルト舗装体の表面部に塗布した。そして、塗布作業の実施状況の確認、および塗布組成物を塗布した路面の温度と塗布組成物を塗布しない路面の温度との比較を行った。
塗布組成物を硬化させる方法としては、バインダーであるラジカル架橋型メチル(メタ)アクリレート樹脂に中空微細粒子、構造保持材、可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料等を含有させた組成物を調製し、これに更に硬化剤を含有させたものをA剤、反応促進剤を含有させたものをB剤とし、A剤とB剤とを混合させることによって反応・硬化させる2液常温硬化型樹脂による方法を採用した。一般に、供用中の道路舗装上において路面塗布材(塗布組成物等)を路面に塗布する作業を実施する場合には、交通規制下において限られた時間内に作業を完了させることが求められるため、反応・硬化が早い2液常温硬化型樹脂が用いられることが多い。
本実験の塗布作業においては、反応前の液状の塗布組成物にポンプで圧力を加えてホース内をとおして塗布用の吹付ガンまで圧送し、塗布用の吹付ガンにより舗装体の表面部に吹き付けを実施する。このとき、A剤とB剤とを予め混合してからポンプで圧送する方法とすると塗布作業中にポンプやホースの内部で樹脂が硬化してしまい塗布作業が困難となる恐れがあるため、本実験ではA剤とB剤に各々のポンプで圧力を加えてそれぞれ別のホース内をとおして塗布用の吹付ガンまで圧送して、吹付ガンの内部でA剤とB剤を混合して噴射・塗布する方法とした。このような方法を採用したことにより、ポンプやホースの内部で塗布組成物が硬化することなく、良好な施工性が確保できた。また、塗布組成物は吹付ガンの内部で混合・塗布した後、約15分程度で硬化し、約20分後には交通供用に耐え得るまでに硬化した。
8月下旬の最高気温が約36℃を記録した日において、塗布組成物を塗布した当該舗装体の路面温度と塗布組成物を塗布しない通常のアスファルト舗装体(標準)との日中の最高路面温度は表6のとおりであった。当該舗装体(黒)は標準と同様の黒色ながら日中の最高路面温度が約10℃も低下し、当該舗装体(灰)については約17℃も低下した。
実施例における舗装体の色調ごとの供試体表面温度を示したグラフである。 実施例で用いたアゾメチアゾ系黒色顔料の波長ごとの反射率を示したグラフである。 実施例で用いた濃茶色顔料の波長ごとの反射率を示したグラフである

Claims (9)

  1. 舗装体の表面に、舗装体表面に塗布して固体表層部を形成しうるバインダーに可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料を含有させてなる塗布組成物を塗布し、次いで該バインダーを固化させることを特徴とする太陽熱遮断性舗装体の構築方法。
  2. 該舗装体がアスファルト舗装体である請求項1記載の方法。
  3. 該舗装体がアスファルト舗装道路である請求項1または2記載の方法。
  4. 該顔料がJIS A 5759に定義される日射反射率が15%以上であって、かつCIE1976L色空間におけるL値が30以下の顔料である請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 該顔料に加えて、さらにJIS A 5759に定義される日射反射率が12%以上である着色顔料を少なくとも1種と、必要に応じて白色顔料とを存在させてなる請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 該可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料の量が、それらを用いなかった場合に比し、舗装体表面の太陽熱による温度上昇を実質的に抑制するに足る量である請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. バインダーが樹脂、アスファルト、アスファルト乳剤およびセメントからなる群から選ばれる請求項1〜6記載の方法。
  8. バインダーが常温硬化型のラジカル架橋型樹脂組成物である請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  9. 常温硬化型のラジカル架橋型樹脂組成物を構成する2液のそれぞれに可視波長域で吸収を示し赤外線波長域では反射を示す顔料を存在させ、それらを舗装体表面上にスプレーガンを用いて連続的に吹きつける請求項8記載の方法。
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