JP2008069320A - 熱処理油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】油系の熱処理油であって、冷却性能が高いと共に、焼入れ等の熱処理加工時における油煙の発生が抑制された熱処理油組成物を提供すること。また、さらに冷却性能の経時変化が少ない熱処理油組成物を提供すること。
【解決手段】40℃における動粘度が4〜15mm2/sであるα-オレフィンオリゴマーの水素添加物からなる基油に、蒸気膜破断剤を配合してなる熱処理油組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は熱処理油組成物に関し、詳しくは焼入れ加工において冷却性能が高いと共に、焼入れ等熱処理加工時の油煙の発生が抑制された、焼入れ油として好適な熱処理油組成物に関する。
鋼の焼入れ加工の目的は、焼割れず、焼入れひずみを抑え、鋼を所定の硬さにすることである。そのため、焼入れ油などの焼入れ液に要求される第一の性能は、鋼に十分な硬度を付与するだけの冷却性能を有することである。
従来、焼入れにおいては、鉱油系基油にアスファルト、高分子化合物、あるいはスルホン酸、サリチル酸等のアルカリ土類金属塩を配合して冷却性能を高めた焼入れ油が使用されている。しかし、この種の焼入油では冷却性能が不充分なため、被加工材被(焼入れ材)に所定の硬さを付与できないことがあった。特に、材質が低炭素鋼の被加工材を焼入れ加工する場合や、肉厚の被加工材を焼入れ加工する場合などに冷却性能が不充分であるため、目的の硬度を有する加工(焼入れ)処理品を得られない結果となることがあった。
このような冷却性能が不充分である状況を防止する手段として、水に無機塩や水溶性ポリマーなどを配合した水溶性焼入れ液を使用することが考えられる。しかしながら、この種の水溶性焼入れ液は、冷却性能が過度に高いという問題がある。つまり、水溶性焼入れ液を用いて焼入れすると、被加工材が焼入ひずみや変形が大きくなり、焼割れを生ずることもあって、目的の焼入れ加工ができないことが多い。また、水溶性焼入れ液は、焼入れ液の濃度やpHが使用と共に変化するため、それらを一定に保持すべく、液の管理が必要である。しかもその管理は容易でなく、冷却性能を一定に保つことが困難であると共に、焼入れ液が腐敗しやすい、などの問題もある。
そこで、液の管理が比較的容易な油系の焼入れ液(焼入れ油)であって、冷却性能が高い焼入れ油が必要とされている。
これまで、焼入れ油について、冷却性能を向上するための検討は多く、例えば、5%留出温度が290〜310℃で、40℃における動粘度が12〜30mm2/sである熱処理油が提案されている(例えば、特許文献1の請求項1参照)。しかし、ここで提案される熱処理油は、冷却性能が充分とは言えず、さらなる改良が必要であった。しかも、さらに冷却性能を高めるために、低粘度の基油に置換えた熱処理油を用いると焼入れ加工中に油煙の発生が多くなり、作業環境の悪化や安全性の低下をもたらすという問題があった。
また、焼入れ油には、前記のとおり、冷却性能を高めるために種々の添加剤が配合されている。これらの添加剤の中には、元来水分を含むもの、元来水分を有しないが吸湿性であるため、水分を保有するに至るもの、又は、複数の添加剤を配合した場合、それらの添加剤同士が反応し、反応生成物として水分を保有するものなどが存在するため、焼入れ油が水分を多量に含むことがある。そして、そのような水分が焼入れ油の冷却性能を高める結果をもたらす。しかし、その冷却性能を高める原因である水分は、焼入れ加工中に蒸発して減少し、それに伴って焼入れ油の冷却性能が低下するため、一定の安定した冷却性能を維持できないことになる。このように冷却性能の低下は、加工(焼入れ)処理品の硬度を変化させ、均一な加工処理品を得られないことになる。
特開平10−158677号公報
本発明は、このような状況下で、油系の熱処理油であって、冷却性能が高いと共に、焼入れ等の熱処理加工時における油煙の発生が抑制された熱処理油組成物を提供することを目的とするものである。また、本発明は、さらに冷却性能の経時変化が少ない熱処理油組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、冷却性能と基材の組成及びその粘度、並びに添加剤との関係を鋭意研究した結果、基油として、特定の動粘度を有するα−オレフィンオリゴマーの水素添加物を用い、これに特定の添加剤を配合した組成物がその目的を達成できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)40℃における動粘度が4〜15mm2/sであるα-オレフィンオリゴマーの水素添加物からなる基油に、蒸気膜破断剤を配合してなる熱処理油組成物、
(2)基油の40℃における動粘度が4〜10mm2/sである前記(1)に記載の熱処理油組成物、
(3)JIS K 2242の規定に基づく銀試片の冷却曲線の800℃から300℃までの冷却時間が、4.5秒以下である前記(1)又は(2)に記載の熱処理油組成物、
(4)組成物中の水分が200質量ppm以下である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱処理油組成物、
(5)蒸気膜破断剤が、アスファルト、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブテン及びポリイソブチレンから選ばれる少なくとも一種である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱処理油組成物、
を提供するものである。
本発明によれば、油系の焼入れ油であって、冷却性能が高いと共に、焼入れ等の熱処理加工時における油煙の発生が抑制された熱処理油組成物を提供することができる。また、本発明によれば、さらに冷却性能の経時変化が少ない熱処理油組成物を提供することができる。
本発明の熱処理油組成物は、基油として、特定の動粘度を有するα-オレフィンオリゴマーの水素添加物を用いる。ここで、水素添加物を用いるのは、α-オレフィンオリゴマーの熱・酸化安定性及び分解安定性を高めることにより、安定した冷却性能を維持し、熱処理加工時における油煙の発生を抑制するためである。
上記α−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、炭素数5〜20のα−オレフィンをオリゴマー化し、得られたα−オレフィンのオリゴマーを水素化したものが好ましい。
炭素数5〜20のα−オレフィンとしては、例えば1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどを挙げることができるが、これらの中でも1−オクテン、1−デセン及び1−ドデセンなど炭素数8〜12のα−オレフィンが好ましく、特に1−デセンが好ましい。これらのα−オレフィンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、基油として用いるα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、40℃における動粘度が4〜15mm2/sであることを要する。動粘度が4mm2/s以上であれば揮発性が高いことによる環境上及び安全上の問題がなく、かつ熱処理加工時における油煙の発生を抑制することができる。また40℃における動粘度が15mm2/s以下であれば、冷却性能を高めることができる。このα−オレフィンオリゴマーの水素添加物の40℃における動粘度は、4〜10mm2/sであることがより好ましい。
また、上記α−オレフィンオリゴマーの水素添加物の数平均分子量は、通常220〜340程度である。
また、本発明において、基油として用いるα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、JIS K 2605による臭素価が1gBr2/100g以下であることが好ましく、0.5gBr2/100g以下であることがより好ましい。臭素価が1gBr2/100g以下であれば、熱処理油の熱・酸化安定性や分解安定性が良好であり、高い冷却性能や油煙の発生を抑制するなどの性能を長期に維持することができる。
また、本発明において、基油として用いるα−オレフィンオリゴマーの水素添加物は、引火点が150℃以上であることが好ましく、180℃以上がより好ましくい。α−オレフィンオリゴマーの水素添加物の引火点が150℃以上であれば、引火等の危険性が低く、同時に熱処理加工時における油煙の発生を良好に抑制することができる。
α−オレフィンオリゴマーの水素添加物の製造方法は、特に制限はなく、いかなる方法によって製造されたものであってもよい。例えば、BF3触媒、チーグラ型触媒など公知の触媒を用いてオリゴマー化し、得られたオリゴマーをNi、Co系触媒や、Pd、Pt等の貴金属触媒など公知の水素化触媒を用いて水素化処理することよって水素添加物を製造することができる。このようにして得られた水素添加物は、蒸留処理を行い、所望の動粘度を有する留分を取得し、本発明における基油として用いることができる。
本発明においては、基油として、上記α−オレフィンオリゴマーの水素添加物を使用するが、本発明の目的に反しない範囲で他の基油を含むことができる。他の基油としては、例えば、高粘度指数鉱油(例えば、粘度指数120以上の鉱油)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体などであり、その配合量は、30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下の割合である。
本発明においては、上記α-オレフィンオリゴマーの水素添加物からなる基油に、蒸気膜破断剤を配合することを要する。蒸気膜破断剤を配合することによって、蒸気膜、特に、低粘度の基油の蒸気膜を破断し、早期に沸騰段階に移行させることによって、組成物の冷却性能を高める効果が得られる。
本発明に用いる蒸気膜破断剤は、特に制限されるものではなく、種々の公知の蒸気膜破断剤を使用することができる。この蒸気膜破断剤としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体などのエチレン-α-オレフィン共重合体(α-オレフィンの炭素数は3〜20)、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなど炭素数5〜20のα-オレフィンの重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレンなど炭素数3又は4のオレフィン重合体、などの各種ポリオレフィン類及びそれらポリオレフィン類の水素添加物、ポリメタクリレート、ポリメタアクリレート、ポリスチレン、石油樹脂などの高分子化合物、並びにアスファルトなどを挙げることができる。これらの中でも、特に、冷却性、安定性の観点から、アスファルトが、また、光輝性の観点からエチレン-プロピレン共重合体などのエチレン-α-オレフィン共重合体、ポリブテン、ポリイソブチレンが好ましい。これら蒸気膜破断剤の数平均分子量は、通常800〜100,000であることが好ましく、1,000〜50,000であることがより好ましく、1,500〜30,000が特に好ましい。数平均分子量が800以上であれば、蒸気膜破断効果を良好に発現して冷却性能を向上することができ、また、数平均分子量が100,000以下であれば、基油に対する溶解性が問題になることはなく、また組成物の動粘度が過度に上昇し、冷却性能の向上を妨げることもない。
これらの蒸気膜破断剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。またその配合量は、熱処理油組成物基準で、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜6質量%であることがより好ましい。蒸気膜破断剤の配合量が0.5質量%以上であれば、蒸気膜破断効果が現われて冷却性能が向上し、また、10質量%以下であれば、熱処理油組成物の動粘度が過度に上昇することにより、冷却性能の向上を妨げることもない。
本発明の熱処理油組成物は、上記特定の基油に上記蒸気膜破断剤を配合することによって本発明の目的を達成できるが、本発明の目的が損なわれない範囲で、さらに、従来熱処理油に慣用されている添加剤、例えば劣化酸中和剤、酸化防止剤、光輝性向上剤などを配合することができる。
上記劣化酸中和剤としては、例えばアルカリ土類金属のサリチレート、硫化フィネート、スルホネートなどが挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム、バリウム及びマグネシウムが好ましい。また、酸化防止剤としては、従来公知のアミン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。さらに、光輝性向上剤としては、従来公知の油脂や油脂脂肪酸、アルキル又はアルケニルコハク酸イミド、置換ヒドロキシ芳香族カルボン酸エステル誘導体などが挙げられる。
本発明の熱処理油組成物は、上記の構成を有すればよく、その性状については特に制限はないが、好ましくは、組成物中の水分含有量(水分)が200質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下、さらには50質量ppm以下であることが好ましい。組成物中の水分が200質量ppm以下であれば、使用に伴って水分が蒸発・飛散することによって冷却性能が低下することを抑制でき、冷却性能の経時変化が少ない熱処理油を得ることができる。
従って、水分含有量が増加することを抑制するように、さらに配合する添加剤とその配合量を選択すること、かつ調合過程における水分の混入を排除することが好ましい。
本発明の熱処理油組成物は、冷却性能が極めて高く、かつ油煙の発生を抑制できるものである。
上記でいう冷却性能は、具体的には、JIS K 2242における銀試片の冷却曲線の800℃から300℃までの冷却時間(以下、「JIS300℃冷却時間」と称することがある)で表すことができ、その冷却時間が短いものほど冷却性能が良好であり、焼入れ加工によって充分な硬度を有する被加工処理品を得ることができることを示している。
本発明の熱処理油組成物は、このJIS300℃冷却時間が極めて短く、4.5秒以下のものを得ることができる。
なお、上記のように、JIS K 2242の冷却曲線の800℃から300℃までの冷却時間で冷却性能を評価するのは、この800℃から300℃までの温度間の冷却速度が実際の焼入れにおける冷却性能と良好に相関するからである。
図1は、本発明の熱処理油組成物の1例と比較のために用いた熱処理油のJIS K 2242による冷却曲線を示す。図1中、1は後述する実施例1、2は比較例1、3は比較例2、4は比較例3の冷却曲線を示す。
この図から分かるように、本発明の熱処理油組成物の冷却曲線1は、蒸気膜段階が比較的短く、沸騰段階が長くその傾斜が大きい結果、JIS300℃冷却時間が非常に短く、冷却性能が極めて高いことを意味している。
これに対して、比較例1(高粘度のαオレフィンオリゴマー水素添加物からなる基油)の冷却曲線2は、実施例1の冷却曲線1と比べて蒸気膜段階は短いが、沸騰段階が非常に短い。また、比較例2(低粘度鉱油からなる基油)の冷却曲線3は、実施例1の冷却曲線1に比べて蒸気膜段階が非常に長い。さらに比較例3(高粘度鉱油からなる基油)の冷却曲線4は、実施例1の冷却曲線1より沸騰段階が短い。
その結果、比較例1〜3は、いずれもJIS300℃冷却時間が実施例1より長く、冷却性能が劣っている。
次に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。なお、熱処理油組成物の性状及び性能は次の方法に従って求めた。
(1)冷却性能
JIS K 2242に規定される冷却性能試験に準拠して、810℃に過熱した規定の銀試片を試料(熱処理油)に投入し、銀試片の冷却曲線を測定した。この冷却曲線の800℃から300℃までに冷却されるのに要する冷却時間〔JIS300℃冷却時間〕(秒数)を冷却性能として測定した。この秒数が小さい程冷却性能が高いことを示す。
(2)油煙の発生実験
JIS K 2540「タービン油熱安定度試験」に基づき、170℃における油煙の発生の状態を目視観察して評価した。
評価結果は、油煙が、発生しない(○)、わずかに発生する(△)、多量発生する(×)、に区別して表示した。
(3)40℃における動粘度
JIS K 2283に準拠して測定した。
(4)引火点
JIS K 2256(C.O.C法)に準拠して測定した。
(4)水分
JIS K 2275に準拠して測定した。
(5)臭素価
JIS K 2605に準拠して測定した。
実施例1及び比較例1〜3
第1表に示す基油及び添加剤を用い、第1表で示す割合で混合して、熱処理油組成物を調合し、その性状及び性能を求めた。結果を第1表に示す。
Figure 2008069320
[注]
1)PAO−1:1−デセンオリゴマーであるα-オレフィンオリゴマーの水素添加物(出光興産社製、商品名「イデミツPAO−5002」)、40℃動粘度=5.1mm2/s、引火点=156℃、臭素価=500mgBr2/100g
2)PAO−2:1−デセンオリゴマーであるα-オレフィンオリゴマーの水素添加物(出光興産社製、商品名「イデミツPAO−5004」)、40℃動粘度=17.3mm2/s、引火点=242℃、臭素価=300mgBr2/100g
3)鉱油−1:精製鉱油、40℃動粘度=5.0mm2/s、引火点=140℃
4)鉱油−2:精製鉱油、40℃動粘度=90.0mm2/s、引火点=260℃
5)蒸気膜破断剤:アスファルト、100℃動粘度=500mm2/s、引火点=340℃
第1表から分るように、実施例1の熱処理油は、冷却性能が高く、JIS300℃冷却時間が、4.0秒である。また、焼入れ時の発煙もない。また実施例1の熱処理油は組成物の水分が50質量ppmであるから、熱処理に使用することによる冷却性能が経時的に変化する恐れもない。
これに対し、40℃における動粘度17.3mm2/sのα-オレフィンオリゴマーの水素添加物を用いる比較例1の熱処理油は、JIS300℃冷却時間が、7.0秒であって、冷却性能が劣る。また、基油として、低粘度鉱油を用いる比較例2の熱処理油は、JIS300℃冷却時間が4.9秒であって実施例1より劣り、また焼入れ加工時の発煙が多いため、作業環境を悪化し、安全性の問題がある。さらに高度鉱油を用いる比較例3の熱処理油は、JIS300℃冷却時間が、5.3秒であり、焼入れ加工時の発煙も認められる。
本発明の熱処理油組成物は、油系の熱処理油であって、冷却性能が高いと共に、熱処理加工時の油煙の発生が抑制された熱処理油組成物である。また、さらに本発明の熱処理油組成物は、冷却性能の経時変化が少ない熱処理油組成物である。従って、各種熱処理、特に焼入れ用熱処理に有効に利用することができる。
本発明の実施例及び比較例である熱処理油組成物の冷却曲線を示す図である。
符号の説明
1:本発明の実施例1の熱処理油組成物の冷却曲線
2:本発明の比較例1の熱処理油組成物の冷却曲線
3:本発明の比較例2の熱処理油組成物の冷却曲線
4:本発明の比較例3の熱処理油組成物の冷却曲線

Claims (5)

  1. 40℃における動粘度が4〜15mm2/sであるα-オレフィンオリゴマーの水素添加物からなる基油に、蒸気膜破断剤を配合してなる熱処理油組成物。
  2. 基油の40℃における動粘度が4〜10mm2/sである請求項1に記載の熱処理油組成物。
  3. JIS K 2242の規定に基づく銀試片の冷却曲線の800℃から300℃までの冷却時間が、4.5秒以下である請求項1又は2に記載の熱処理油組成物。
  4. 組成物中の水分含有量が200質量ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の熱処理油組成物。
  5. 蒸気膜破断剤が、アスファルト、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブテン及びポリイソブチレンから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の熱処理油組成物。
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