JP2008069228A - 電着塗料及び電着塗膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗装膜厚が多少不足したとしても優れた耐食性能を発揮すると共に、耐熱性に優れた塗膜を得ることができる電着塗料と、その製造方法、このような塗料による電着塗膜を提供する。
【解決手段】顔料と樹脂を含む油−水エマルションから成る電着塗料において、フラーレン、フラーレン誘導体及びフラーレン製造時の副生炭素粒子から成る群から選ばれる少なくとも1種のフラーレン類をエマルション粒子中に、好ましくは質量比で0.01〜5%含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属表面を保護し、特に防錆性能を向上させて、金属構造物の美観や機能の劣化を防止するために塗布される電着塗料と、このような塗料から成る電着塗膜に関するものである。
例えば、自動車用塗装の一環として、鉄(スチール)、アルミニウム、亜鉛系めっきが施された金属表面、あるいは金属表面に施された燐酸亜鉛系等の化成処理表面には、防錆性、上層塗料に対する塗装性、美観等を付与する目的で、カチオン電着塗装が広く用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2003−336007号公報 特開2004−307773号公報 特開2002−294143号公報
しかしながら、自動車用塗装としてカチオン電着塗装を適用する場合、自動車の防錆性能を向上する上で、現状のカチオン電着塗料の性能に対して、特に薄膜時の耐食性の向上と、熱負荷環境下での耐熱性の向上が望まれている。
すなわち、自動車などの複雑な構造体においては、電着塗装時における生産上の様々な制約から、構造体内面の塗装膜厚が意図した膜厚にならない場合がないとは言えず、そのような状況下においては、電着塗料単独では目標とする防錆性能を満足できなくなるという問題がある。
一方、高温の排気ガスが排気管を通過する際、排気管近傍分における熱負荷環境下では、電着塗膜の酸化あるいはラジカル反応による電着塗膜基体樹脂の劣化、分解反応による防錆性能の低下などがもたらされることがあるという問題がある。
本発明は、従来の電着塗料における上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、塗装膜厚が多少不足したとしても十分な耐食性能を発揮すると共に、耐熱性に優れた電着塗料と、その製造方法、さらにはこのような塗料による電着塗膜を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため、電着塗料の基体樹脂成分や、顔料成分、さらには添加物成分などについて鋭意検討を重ねた結果、塗料中にフラーレン類を添加することによって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の電着塗料は、顔料と樹脂を含む油−水エマルションから成り、フラーレン、フラーレン誘導体及びフラーレン製造時の副生炭素粒子から成る群から選ばれる少なくとも1種のフラーレン類をエマルション粒子中に含有していることを特徴としている。
また、本発明の電着塗膜は、基体樹脂中に上記フラーレン類、すなわちフラーレン、フラーレン誘導体及びフラーレン製造時の副生炭素粒子から成る群から選ばれる少なくとも1種のフラーレン類が分散していることを特徴とする。
本発明によれば、顔料と樹脂を含む油−水エマルションから成る電着塗料のエマルション粒子中にフラーレン類、すなわち、フラーレン、フラーレン誘導体及びフラーレン製造時の副生炭素粒子から成る群から選ばれる少なくとも1種を含有するため、十分な耐食性能と耐熱性を備えた電着塗料を提供することができる。
以下に、本発明の電着塗料について、その製造方法などと共に、さらに詳細、かつ具体的に説明する。なお、本明細書中において、「%」は特記しない限り質量百分率を表わすものとする。
本発明の電着塗料は、上記したように、顔料と樹脂を含む油−水エマルション(O/W型、水中油滴型エマルション)から成る電着塗料であって、フラーレン、フラーレン誘導体若しくはフラーレン製造時の副生炭素粒子、又はこれらの任意の組み合わせから成るフラーレン類をエマルション粒子中に含有する。
本発明の電着塗料において、上記フラーレン類が塗料中に含まれることによって、塗膜としての耐食性能や耐熱性が改善されるメカニズムについては、必ずしも明らかではないが、現時点においては、以下に記載したメカニズムを推定している。
(1)耐熱耐食性が向上するメカニズム
フラーレン、もしくはフラーレン製造時の副生炭素粒子の特徴の一つとしてラジカルスカベンジャー効果が知られている。ポリマーの劣化は多くの場合、ラジカル経由であるため、耐熱耐食性の向上は本効果の影響と推定される。
(2)薄膜耐食性が向上するメカニズム
カーボンブラック、フラーレン、フラーレン製造時の副生炭素粒子の粉体抵抗は、それぞれ1、1億〜100兆、100〜100万Ωcmであり、フラーレン、もしくはフラーレン製造時の副生炭素粒子の粉体抵抗は通常使用されているカーボンブラックよりも著しく高い。そこで、塗膜中のカーボンブラックを上記フラーレン類で置換した場合、塗膜抵抗が上昇するため、腐食反応の半反応であるカソード反応を著しく抑制することができ、塗膜の耐食性を向上させる。
上記フラーレン類の塗料中における含有量としては、乾燥塗膜中に0.01〜5%(質量比)となるように、揮発成分を除いた塗料中の全固形分に対して上記のような質量比となるように添加することが望ましい。
すなわち、0.01%に満たない添加量では、目的とする効果がほとんど認められず、5%を超えて添加した場合には塗膜の機械的強度、又は平滑性を著しく損なうといった不都合が生じる傾向があることによる。
なお、電着塗装方法としては、大別して、被塗装物を陽極とするアニオン電着と陰極とするカチオン電着があるが、現状では防錆力に優れるカチオン電着が主流になっていることから、以下、カチオン電着塗料を主体に説明を進めるが、フラーレン類の添加による上記作用効果はカチオン電着塗料に特有なものではないことから、本発明はカチオン電着塗料に限定されることはなく、アニオン電着塗料にも適用することができる。
本発明の電着塗料における塗料ベースとしては、特に特殊なものではなく、既知の電着塗料のものが利用でき、例えば、水酸基及びカチオン性基を有する基体樹脂、硬化剤、着色顔料、防錆顔料、体質顔料、中和剤、有機溶剤などを脱イオン水などの水に混合分散した水性塗料とすることができる。
上記基体樹脂は、水酸基及びカチオン性基を有するものであって、この水酸基は硬化剤との架橋反応に関与し、カチオン性基は安定な水分散液を形成させるためのものであって、例えば、(1)ポリエポキシ樹脂とカチオン化剤との反応生成物、(2)ポリカルボン酸とポリアミンとの重縮合物を酸でプロトン化したもの、(3)ポリイソシアネート化合物及びポリオールとモノ又はポリアミンとの重付加物を酸でプロトン化したもの、(4)水酸基及びアミノ基含有アクリル系、又はビニル系モノマーの共重合体を酸でプロトン化したもの、(5)ポリカルボン酸樹脂とアルキレンイミンとの付加物をプロトン化したものなどを挙げることができる。
これらのうち、(1)に包含されるポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとから得られるポリエポキシド樹脂のエポキシ基にカチオン化剤を反応せしめて得られる生成物は塗膜の防食性が優れているので好ましい。
このポリエポキシド樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、200〜4000、好ましくは800〜3000の数平均分子量を有するものが適しており、これには、例えば、ポリフェノール化合物をエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリフェノール化合物のポリグリシジルエーテルが包含される。
ここで使用できるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(2−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシブチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
このような化合物には、ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート化合物などと部分的に反応させたものや、ε−カプロラクトン、アクリルモノマーなどをグラフト重合させたものが包含される。
水酸基及びカチオン性基を有する基体樹脂は、例えば、これらのポリエポキシド樹脂のエポキシ基のほとんど、又は全てにカチオン化剤を反応することにより得られる。
このようなカチオン化剤としては、例えば、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、ポリアミンなどのアミン化合物が挙げられ、これらエポキシ基と反応させて、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基などのカチオン性基を導入してカチオン化樹脂とする。
具体的な第1級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、モノエタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン等、第2級アミンとしては、例えば、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジn−プロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等、第3級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等、ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン等を挙げることができる。
さらに、これらのアミノ化合物以外に、アンモニア、ヒドロキシアミン、ヒドラジン、ヒドロキシルエチルヒドラジン、N−ヒドロキシエチルイミダゾリン等の塩基性化合物も挙げることができる。
これらのカチオン性樹脂の水酸基としては、例えば、上記カチオン化剤中のアルカノールアミンの反応、エポキシ樹脂中に導入されることがあるカプロラクトンの開環物及びポリオールの反応などにより導入される第1級水酸基、さらには、エポキシ樹脂中の2級水酸基などが挙げられ、このうち、アルカノールアミンとの反応により導入される第1級水酸基は、硬化剤との架橋反応性が優れているので好ましい。
水酸基及びカチオン性基を有する基体樹脂における水酸基の含有量は、水酸基当量で20〜500、特に100〜1000mgKOH/gが好ましく、特に第1級水酸基当量は200〜1000mgKOH/gが好ましい。
硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の全てを揮発性の活性水素化合物(ブロック剤)で反応し封鎖して成るブロック化ポリイソシアネート化合物が特に好適であり、このものは、常温では不活性である一方、所定温度以上に加熱することによって上記ブロック化剤が乖離し、元のイソシアネート基が再生して、基体樹脂との反応に関与するようになる。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に遊離イソシアネート基を2個以上有する化合物であって、例えば、脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロジンイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロペンタンジイソシアネート等、芳香族ジイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート等を挙げることができ、さらには、これらのポリイソシアネート化合物のウレタン付加物、ビューレットタイプ付加物、イソシアヌル環付加物なども挙げることができる。
ブロック剤としては、例えば、フェノール系ブロック剤、アルコール系ブロック剤、活性メチレン系ブロック剤、メルカプタン系ブロック剤、酸アミド系ブロック剤、イミド系ブロック剤、アミン系ブロック剤、イミダゾール系ブロック剤、尿素系ブロック剤、カルバミン酸系ブロック剤、イミン系ブロック剤、オキシム系ブロック剤、亜硫酸系ブロック剤、ラクタム系ブロック剤などが挙げられる。
ブロック化ポリイソシアネート化合物は、これらのポリイソシアネート化合物と活性水素化合物(ブロック剤)とを既知の方法により反応せしめることにより得られ、実質的に遊離イソシアネート基は存在しない。基体樹脂と硬化剤の構成比率は、両成分の合計固形分の重量に基づいて、基体樹脂は40〜90%、特に50〜80%、硬化剤は60〜10%、特に50〜20%が望ましい。
有機溶剤としては、炭化水素系(例えば、キシレン、トルエン)、アルコール系(例えば、メチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール)、エーテル系(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ケトン系(例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン)、エステル系(エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)やこれらの混合物が挙げられる。これらの有機溶剤の添加量は、カチオン電着塗料に対して約0.05〜10%の範囲とすることが望ましい。
上記した成分に加えて、必要に応じて、さらに硬化触媒、沈殿防止剤などを適宜配合することができる。
このうち、硬化触媒は、基体樹脂と硬化剤との架橋反応を促進するために有効であり、例えば、錫オクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジベンゾエート、酢酸鉛、ケイ酸鉛、乳酸ビスマス、水酸化ビスマス、オクチル酸亜鉛、ギ酸亜鉛などが挙げられ、その配合量は、基体樹脂と硬化樹脂との合計量100重量部あたり、0.1〜10重量部の範囲が適している。
ここで基体樹脂のカチオン化剤として用いるアミンなどの塩基性塩を酸でプロトン化してカチオン性基としても良い。用いる酸としては、ギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸などの水溶性有機カルボン酸が好ましい。
これらの基体樹脂中のカチオン性基を酢酸、ギ酸、乳酸、リン酸などの酸性化合物で中和してから、水に分散混合することが好ましく、その分散液のpHは3〜9、特に5〜7の範囲が適している。単位電気量あたりの塗料析出量をできるだけ多くするためにも、低中和での水分散によりエマルションとすることが好まれる。
次に、顔料ペーストは、着色顔料、防錆顔料、体質顔料などを予め微細粒子として分散させたものであって、例えば、顔料分散用樹脂、中和剤及び顔料類を配合し、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ぺブルミルなどの分散混合機中で分散処理して顔料ペーストを調製することができる。
顔料分散用樹脂としては、既知のものが使用でき、例えば、水酸基及びカチオン性基を有する基体樹脂や界面活性剤などが使用でき、さらに3級アミン型、4級アンモニウム塩型、3級スルホニウム塩型などの樹脂が分散用樹脂として使用できる。
界面活性剤としては、例えば、HLBが3〜18、好ましくは5〜15の範囲内にあるアセチレングリコール系、ポリエチレングリコール系、多価アルコール系などのノニオン系界面活性剤が挙げられる。
分散剤の使用量としては、顔料100重量部あたり、1〜150重量部、特に10〜100重量部の範囲内が好適である。顔料分散ペーストの固形分含有比率は20〜80%、特に30〜60%が適している。
着色顔料、防錆顔料、及び体質顔料としては、カチオン電着塗料に使用されている顔料であれば特に制限無く使用することができ、例えば、着色顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラなどが、防錆顔料としては、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛などが、体質顔料としては、カオリン、クレー、マイカ、バリタ、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカなどが挙げられる。
これら顔料の配合量としては、基体樹脂と硬化剤との合計固形分100重量部あたり、1〜100重量部、特に10〜30重量部の範囲が好ましい。
本発明の電着塗料は、フラーレン類、すなわち、フラーレン、フラーレン誘導体及びフラーレン製造時の副生炭素粒子から成る群から選ばれる少なくとも1種を含有する。
このとき、これらフラーレン類の添加によって、着色塗料中の顔料の総量が増し、塗料中の成分バランスが損なわれる可能性があることから、カーボンブラックや酸化チタンなどフラーレン類以外の着色顔料を減じること、言い換えると既存の着色顔料の全量又は一部を上記フラーレン類によって置換するようになすことが望ましい。
ここで、フラーレンとしては、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C116や、これらの混合物を使用することができる。
また、フラーレン製造時の副生炭素粒子としては、
(1)有機溶媒に不溶であり、かつ、CuKα線を使用したX線回折測定結果における回折角3〜30°の範囲内で、最も強いピークが回折角10〜18°の範囲に存在すること、
(2)有機溶媒に不溶な性質として、室温にて、炭素材料に質量比で90倍の1,2,4−トリメチルベンゼンを加えて、攪拌、濾過した後、150℃で10時間真空乾燥した後の炭素材料の重量差が5%以下である特性を備えていること、
(3)CuKα線を使用したX線回折測定結果における回折角23〜27°にピークが存在しないこと、
(4)励起波長5145Åでのラマンスペクトル結果において、バンドG1590±20cm−1とバンドD1340±40cm−1にピークを有し、それぞれのバンドのピーク強度をI(G)及びI(D)とする時、ピーク強度比I(D)/I(G)が0.4〜1.0の範囲であること、
そして、フラーレンの誘導体とは、フラーレン酸化物やフラーレン窒化物などにより誘導される誘導体であって、具体的には、例えば、図1に示すような化合物を使用することができる。
これらのフラーレン、フラーレン誘導体、フラーレン製造時の副生炭素粒子及び当該副生炭素粒子誘導体などから成るフラーレン類の配合量としては、上記したように、乾燥塗膜中で0.01〜5%の範囲となるように含有させることが望ましい。
なお、このようなフラーレン類を電着塗料中に配合するに際しては、当該フラーレン類を予め顔料ペースト中に添加し、フラーレン類を含有する顔料ペーストを基体樹脂、硬化剤などを含む樹脂水分散液に混合するようになすことができる。
カチオン電着塗料の塗装に際しては、上記顔料ペースト、エマルション、添加剤、中和剤、脱イオン水を加えて、固形分濃度が約5〜25%、pHが5〜8の範囲内になるように調整する。
カチオン電着塗料を用いて被塗物に電着塗装を行なう方法や装置については、従来から電着塗装に使用されている、既知の方法、装置を適用することができる。
その際、電着塗装条件は特に制限されるものではないが、一般的には、スロースタート電着塗装において20〜90秒、好ましくは30〜60秒の時間内に一定電圧まで昇圧し、通電時間は30秒〜10分、浴温は15〜35℃、好ましくは20〜30℃、電圧については100〜400V、好ましくは200〜300V、極比(陰極/陽極)=1/2〜1/8、極間距離0.1〜1mとし、攪拌状態のもとに電着塗装することが望ましい。
カチオン電着塗料による電着塗膜の膜厚については、目的とする性能に応じて適宜選定されるが、好適には5〜60μm、さらに好ましくは10〜40μmの範囲とすればよい。
電着塗装後、余分に付着したカチオン電着塗料を落すために、ウルトラフィルタレーションろ液(UFろ液)、RO(リバース・オズモウシイス・メンブレイン)透過水、工業用水、純水などで、塗装物表面にカチオン電着塗料が残らないよう十分に水洗する。
次いで、電着塗膜を電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機などの乾燥設備を用いて、塗物表面の温度で110〜200℃、好ましくは140〜180℃、時間としては10〜180分間、好ましくは20〜50分間加熱して硬化させることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例によって何ら制約を受けるものではない。
〔1〕基体樹脂の調製
表1に示す原料を用い、攪拌機、温度計、冷却管を備えた5リットル4つ口フラスコに、まず原料(1)(2)(3)(4)を仕込み、攪拌、加熱を行なって150℃まで昇温した。
150℃で6時間保持した後、原料(5)を徐々に投入し、80℃まで冷却した。次いで原料(6)を投入し100℃まで昇温し、100℃で2時間保持した後、80℃まで冷却して取り出した。基体樹脂として得られたアミン変性エポキシ樹脂は、固形分70.1%であった。
Figure 2008069228
〔2〕硬化剤の調製
表2に示す原料を用い、攪拌機、温度計、冷却管を備えた5リットル4つ口フラスコに、まず原料(1)(2)を仕込み、攪拌、加熱を行なって100℃まで昇温した。その後、フラスコ内温度を100℃に保ちながら、予め原料(3)に溶解した原料(4)の溶液を1時間かけて仕込み、100℃で2時間反応させた。
次いで、同温度に保持して原料(5)を1時間かけて滴下し、滴下後100℃迄昇温し、100℃で2時間保持した後、80℃まで冷却して取り出した。得られた硬化剤、ブロック化ポリイソシアネートは、固形分75.0%であった。
Figure 2008069228
〔3〕顔料分散樹脂の調製
表3に示す原料を用い、同様に攪拌機、温度計、冷却管を備えた5リットル4つ口フラスコに、まず原料(1)(2)(3)を仕込み、攪拌、加熱を行なって100℃まで昇温した。100℃で1時間保持した後、80℃まで冷却した。
次いで、原料(4)(5)を投入し、100℃まで昇温した。100℃で2時間保持した後、80℃まで冷却して取り出した。得られた顔料分散樹脂、アミン変性エポキシ樹脂は、固形分70.1%であった。
Figure 2008069228
〔4〕樹脂水分散液の調製
上記〔1〕により得られた基体樹脂と、上記〔2〕により得られた硬化剤の混合物をプロピレングリコールモノメチルエーテル、ギ酸、脱イオン水の混合液中によく攪拌しながら仕込み、樹脂水分散液を得た。なお、具体的な配合量は表4に示す通りである。
Figure 2008069228
〔5〕顔料ペーストの調製
上記〔3〕により得られた顔料分散樹脂、ギ酸、脱イオン水、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、カーボンブラック、フラーレンとしてnanom mix(フロンティアカーボン(株)製)、フラーレン製造時の副生炭素粒子としてnanom black(フロンティアカーボン(株)製)、カオリン、ジブチル錫オキサイド、防錆顔料(NP−1162N3(東邦顔料工業(株)製)をディソルバーで充分攪拌した後、横型サンドミルで粒度10μm以下になるまで分散し、顔料ペーストを得た。なお、具体的な配合量については、表5に示す通りである。
Figure 2008069228
〔6〕電着塗料の調製
上記〔4〕により作成した樹脂水分散液と、上記〔5〕により作成した顔料ペーストを配合し、電着塗料を得た。
〔7〕試験片の作製
JIS G3141にSPCCとして規定される冷間圧延鋼板(0.8×70×150mm、パルテック(株)製)に、リン酸亜鉛化成処理(脱脂剤:FC−L4460、表面調整剤:PL−X、化成処理材:PB−L3060(パーカライジング(株)製)を施したものに、上記で得られた塗料による電着塗装を施し、試験片とした。
なお、このときの塗装膜厚として、後述する薄膜耐食性評価に用いる試験片に対しては、焼付け(170℃×20分)後の膜厚が5μm、耐熱耐食性評価に用いる試験片に対しては、同じく焼付け後の塗装膜厚が15μmとなる条件でそれぞれ電着塗装を施した。
〔8〕性能評価
〔8〕−1 薄膜耐食性
作成した試験片を複合腐食試験(試験条件;塩水噴霧(5%NaCl水溶液、35℃±2℃、×4時間)→乾燥(60℃±2℃、25±5%RH、×2時間)→湿潤(50℃±2℃、95±4%RH、×2時間)を1サイクルとする。)を200サイクル繰り返し、このときの腐食の程度を評価した。
評価結果として、腐食試験後の最大板厚減少量を図2に、腐食面積を図3にそれぞれ示す。
〔8〕−2 耐熱耐食性
作成した試験片に250℃×8時間の熱負荷を施した後、上記同様の複合腐食試験を200サイクル繰り返し、このときの腐食の程度を評価した。また、300℃×8時間の熱負荷を施した後、上記同様の複合腐食試験を150サイクル繰り返し、このときの腐食の程度を同様に評価した。
評価結果として、250℃×8時間及び300℃×8時間の熱負荷を施した試験片の腐食試験後の最大板厚減少量をそれぞれ図4及び図5に、このときの腐食面積を図6及び図7にそれぞれ示す。
図2〜図7の結果から明らかなように、電着塗料の着色顔料として添加されているカーボングラックの全量又は一部をフラーレン又はフラーレン製造時の副生炭素粒子に置換することによって、薄膜塗装時及び熱負荷後の電着塗装試験片の耐食性が向上することが確認された。
フラーレン誘導体の具体例を示す化学式である。 実施例及び比較例電着塗料による薄膜塗装試験片の複合腐食試験後における最大板厚減少量を比較して示すグラフである。 実施例及び比較例電着塗料による薄膜塗装試験片における複合腐食試験サイクルと腐食面積(錆面積)の関係を示すグラフである。 実施例及び比較例塗料による電着塗装試験片に250℃×8時間の熱負荷後の複合腐食試験による最大板厚減少量を比較して示すグラフである。 実施例及び比較例塗料による電着塗装試験片に300℃×8時間の熱負荷後の複合腐食試験による最大板厚減少量を比較して示すグラフである。 実施例及び比較例塗料による電着塗装後250℃×8時間の熱負荷を施した試験片における複合腐食試験サイクルと腐食面積の関係を示すグラフである。 実施例及び比較例塗料による電着塗装後300℃×8時間の熱負荷を施した試験片における複合腐食試験サイクルと腐食面積の関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 顔料と樹脂を含む油−水エマルションから成る電着塗料であって、フラーレン、フラーレン誘導体及びフラーレン製造時の副生炭素粒子から成る群から選ばれる少なくとも1種のフラーレン類をエマルション粒子中に含有していることを特徴とする電着塗料。
  2. 請求項1に記載の電着塗料を製造するに際し、
    顔料ペースト中にフラーレン、フラーレン誘導体及びフラーレン製造時の副生炭素粒子から成る群から選ばれる少なくとも1種のフラーレン類を添加することを特徴とする電着塗料の製造方法。
  3. 基体樹脂中にフラーレン、フラーレン誘導体及びフラーレン製造時の副生炭素粒子から成る群から選ばれる少なくとも1種のフラーレン類が分散していることを特徴とする電着塗膜。
  4. 請求項1に記載の電着塗料を乾燥又は焼付けて成ることを特徴とする電着塗膜。
  5. 上記フラーレン類の含有量が質量比で0.01〜5%であることを特徴とする請求項3又は4に記載の電着塗膜。
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