JP2008069197A - ポリ乳酸系2軸延伸フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリ乳酸(A)50〜90質量%と、乳酸成分を30〜70質量%を含むポリ乳酸系共重合ポリマー(B)10〜50質量%からなる2軸延伸フィルムであって、該フィルム中に含まれるラクチド量が0.5質量%以下、引張弾性率が3.0GPa以下、かつヘイズが10%以下であることを特徴とする2軸延伸フィルム。ガラス転移温度が40℃〜55℃、融点が140℃以上である前記ポリ乳酸系2軸延伸フィルム。
【選択図】 なし
Description
ポリ乳酸(A)50〜90質量%と、乳酸成分を30〜70質量%を含むポリ乳酸系共重合ポリマー(B)10〜50質量%からなる2軸延伸フィルムであって、該フィルム中に含まれるラクチド量が0.5質量%以下、引張弾性率が3.0GPa以下、かつヘイズが10%以下であることを特徴とするポリ乳酸系2軸延伸フィルム。
本発明のポリ乳酸系2軸延伸フィルムは、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸系共重合ポリマー(B)とを構成成分とする樹脂組成物にて形成される必要がある。
多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、アラビトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グルコース、ラクトース、単糖類、あるいは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられるが、特に限定されない。
高級脂肪酸は、その炭素数が1〜30であるものであり、8〜24であることが好ましく、飽和脂肪酸でも不飽脂肪酸でもよく、直鎖でも分岐鎖を有していても構わない。
ほう酸の添加量は、多価アルコールと高級脂肪酸のエステル化物1モルに対し、0.1〜2.0モルが好ましく、0.5〜1.0モルが特に好ましい。ほう酸添加量が多く、未反応残存量が多いと、延伸フィルムの保存時にブリードアウトし白粉化するので好ましくない。
Tダイ法では、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸系共重合ポリマー(B)とを配合した樹脂組成物を、押出機ホッパーに供給し、押出機を例えばシリンダー温度180〜250℃、Tダイ温度200〜250℃に加熱し、溶融混練して押し出し、20〜40℃に制御されたキャストロールで冷却し、厚み100〜500μmの未延伸シートを得る。
延伸温度としては、50〜90℃が好ましく、60〜80℃がさらに好ましい。延伸温度が50℃未満であると、延伸のための熱量不足によりフィルムが延伸初期で破断することがある。また90℃を超えると、フィルムに熱が加わりすぎてドロー延伸となり延伸斑を多発することがあるため好ましくない。
実施例及び比較例におけるフィルムの原料、および、特性値の測定法は、次の通りである。
(原料)
(A)ポリ乳酸
A−1:ネイチャーワークス社製 4032D、D体含有量1.2モル%、残留ラクチド量0.22質量%、重量平均分子量20万
(B)ポリ乳酸系共重合ポリマー
B−1:大日本インキ社製 プラメートPD350、乳酸成分含有量50質量%、融点158℃、ガラス転移温度18℃、重量平均分子量5万、ラクチド含有量2.02質量%
B−2:上記B−1を110℃、0.5mmHg以下の減圧下で24時間熱処理し、ラクチド含有量を0.54質量%にまで低減したもの。
B−3:大日本インキ社製 プラメートPD150、乳酸成分含有量50質量%、融点165℃、ガラス転移温度52℃、ラクチド含有量0.50質量%
(C)脂肪族ポリエステル:
昭和高分子社製 ビオノーレ#3001、ポリブチレンサクシネートアジペート、融点95℃、ガラス転移温度−45℃、結晶融解熱量45J/g
(D)可塑剤:
理研ビタミン製 ポエムG−038
(E)帯電防止剤
E−1:ヤシ油ジエタノールアミド(三洋化成社製 ケミスタット2500)
E−2:グリセリンステアリン酸エステルとほう酸との反応物
ガラス製オートクレーブに、グリセリン1.0モル及びステアリン酸1.0モルを仕込み、N2ガスを導入しつつ、塩基性触媒下220〜250℃に昇温し5時間エステル化し、グリセリンモノステアリン酸エステルを合成した。続いて合成したグリセリンモノステアリン酸エステル1.0モルに対して0.5モルのホウ酸を仕込み、130〜135℃まで徐々に加熱脱水し、その後230℃まで徐々に昇温して、グリセリンモノラステアリン酸エステルとホウ酸との反応物(E−2)を合成した。
(1)ラクチド量:
Hewlett Packard 社製 HP−6890 Series GC Systemおよびカラム30m×0.25mm ID DB―17 キャピラリーカラム(0.25μm f.t.)を用いて、ヘリウムをキャリアガスとして使用し、測定した。
(2)重量平均分子量:
島津製作所製GPC装置LC−VPを用い、溶離液テトラヒドロフラン、温度40℃、流速1mL/分で測定を行い、分子量分布曲線を得た。分子量は、分子量1千〜300万の範囲の標準ポリスチレン試料6点を用いた検量線に基づき、ポリスチレン換算で評価した。
(3)融点、ガラス転移温度(℃):
Perkin Elmer社製の示差走査熱量計DSC−7型を用いて、昇温速度を20℃/分で測定した。
(4)引張弾性率(GPa)、引張強度(MPa)、引張伸度(%):
JIS K―7127に記載の方法に準じて測定した。
(5)ヘイズ(透明性):
JIS−K7105に準じて測定した。本発明においては、5以下を合格とした。
(6)表面固有抵抗値:
23℃、50%RH条件下で1日静置した後、JIS−K6911に準じて測定した。
(7)ブリード性:
延伸フィルムを50℃、40%RH雰囲気下に30日間放置し、ブリード性を以下のように評価した。
○:ブリードアウトは見られなかった。
△:ややブリードアウトが見られたが、実用上の問題なし。
×:ブリードアウトが顕著に見られた。
(8)操業性
3時間連続製膜後のTダイ付近の汚染、発煙状況とキャストロールの汚れの程度を、目視により以下の基準に従い評価した。
○:汚染・発煙が少なく、キャストロールの汚れ認められず。
△:汚染・発煙が少しあり、キャストロールの汚れやや有り。
×:汚染・発煙があり、キャストロールの汚れ有り。
A−1を75質量%とB−1を15質量%とを計量後、ドライブレンドし、90mmφの単軸押出機にてTダイ温度230℃で溶融押出しし、35℃に温度制御されたキャストロールに密着急冷し、厚さ240μmの未延伸シートを得た。次いで、この未延伸フィルムの端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップに把持し、70℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度68℃でMDに3.0倍、TDに3.3倍で同時二軸延伸した。その後TDの弛緩率を5%として、温度140℃で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、厚さ25μmの2軸延伸フィルムを得た。押出機での製膜を3時間連続で行い操業性を評価し、得られた2軸延伸フィルムを(1)〜(7)の測定法で評価した。
原料樹脂および添加剤を、表1に示したように変更し、実施例1と同様にして各種フィルムを得た。比較例3および4については、延伸温度を予熱60℃、延伸58℃に変更して実施した。
実施例5〜7に示すように、帯電防止剤を添加することにより、表面固有抵抗値が低下した。特に、実施例5に使用した組成の帯電防止剤は、帯電防止効果が高く良好であった。実施例6は帯電防止剤中に脂肪酸アミドを含有が少なかったため、帯電防止効果が低かった。また、実施例7は帯電防止剤中の脂肪酸アミドの含有量が多かったため、フィルムの分子量が低下し、それに伴って強度も低下した。
比較例1では、フィルム中のラクチド量が多かったため、操業性に劣っていた。
比較例2では、ポリ乳酸系共重合ポリマー(B)の添加量が少なかったため、得られたフィルムは柔軟性に劣っていた。
比較例3では、ポリ乳酸系共重合ポリマー(B)の添加量が多かったため、得られたフィルムは柔軟性には優れるものの、ラクチド量が多くて操業性が著しく悪く、また、フィルムの分子量が低く、引張強度も低かった。
比較例4では、ポリ乳酸系共重合ポリマー(B)の添加量が多かったが、ラクチド量が少なかったため、ダイス付近の汚染や発煙は許容範囲であったが、ガラス転移温度が低いため、キャストロールの温度を20℃まで低下させる必要があり、そのためキャストロールの汚れが認められ、操業性に劣った。
比較例5では、低分子の可塑剤を5%含有するため、ブリード性に劣った。
比較例6では、ポリ乳酸系共重合ポリマー(B)に代えて脂肪族ポリエステルを含有するため、柔軟性には優れるものの、透明性に劣った。
Claims (3)
- ポリ乳酸(A)50〜90質量%と、乳酸成分を30〜70質量%を含むポリ乳酸系共重合ポリマー(B)10〜50質量%からなる2軸延伸フィルムであって、該フィルム中に含まれるラクチド量が0.5質量%以下、引張弾性率が3.0GPa以下、かつヘイズが10%以下であることを特徴とするポリ乳酸系2軸延伸フィルム。
- ガラス転移温度が40℃〜55℃、融点が140℃以上である請求項1記載のポリ乳酸系2軸延伸フィルム。
- 表面固有抵抗値LOGが14.0[Ω]未満である請求項1または2記載のポリ乳酸系2軸延伸フィルム。
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