JP2008069019A - 光学素子成形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加圧成形ステージ表面の温度分布を均一化し、光学素子の成形精度を向上することができる光学素子成形装置を提供する。
【解決手段】 上金型と下金型の間に光学素子素材が置かれた金型組を、加熱、加圧成形および、冷却の各プロセスステージへ順次搬送し光学素子を成形する成形装置であって、加圧成形ステージの下プレート2の表面SFの中央部近傍の温度が熱電対16により検出される。この熱電対の両側にはカートリッジヒータ2a、2aが埋設され、さらにその外側には所定間隔を設けてカートリッジヒータ2b、2bが金型接触範囲の周辺部分に埋設されている。この周辺部分に埋設されたカートリッジヒータの出力は、内側のカートリッジヒータの出力より大きく設定されている。前記プレート表面の温度分布曲線Bは、従来の温度分布曲線Aのような周辺部分での温度低下がないので、温度分布が均一化され、高精度の光学素子を成形することが可能となる。
【選択図】 図4

Description

本発明は光学素子成形装置に係り、特に光学素子素材を加熱軟化させてプレス成型する際の成形精度向上を可能とする光学素子成形装置に関する。
上金型と下金型の間に光学素子素材が置かれた金型組を、加熱、加圧成形、冷却と各プロセスエリアへ順次搬送して所望の光学素子を成形する装置において、加圧成形を行う、温度制御された一対の加圧成形ステージでは、加熱手段として通常、複数本のカートリッジヒータを使用し温度センサで温度を検出制御するが、従来はすべて同一出力のヒータを使用している。加圧成形の下ステージ表面の温度を測定すると、ステージ2の、金型が接触する成形に必要な範囲の外周部付近から急激に温度が低下していることが判明した。特に大きな金型を使用する成形を行った場合には、その影響が光学素子の成形精度に顕著に現れ、問題となっていた。すなわち、図6に示されるように、同出力の4本のカートリッジヒータ2Aを使用し、熱電対16にて測定した温度に基づいて各ヒータ出力がコントロールされる。カートリッジヒータ2Aの出力が同じ場合、ステージ表面の温度分布は分布曲線Aに示すように、金型接触範囲の外周付近から急激に温度差が大きくなり、約5%の差が確認できた。
小径の金型を使用する場合には、カートリッジヒータ2A上付近までの温度差を考慮すればよいため、現状の1%強という温度差は非常に良い状態である。しかし、大径の金型を使用する場合には、外周付近で約5%の温度差が発生するため、それがアス、形状不良という形で成型品にあらわれた。
同じステージ構造のまま、大径金型まで対応するには、加圧成形ステージを大きくし、カートリッジヒータの本数を増やすしかなく、装置自体も大型化してしまうため、対応は困難になるという問題がある。
また、加圧成形を行う、温度制御された一対の加圧ステージ2では、加熱手段として複数本のカートリッジヒータ2Aを使用するが、従来は熱変化に対する応答性等の観点から、加圧ステージ2表面に比較的近い位置(間隔D)にカートリッジヒータ2Aを埋設していた。しかし、加圧ステージ2表面の温度分布を測定すると、カートリッジヒータ2Aの直上とヒータ間とで温度差が発生しており、成形を行う際には、その影響が成形精度に顕著に現れ、問題となっていた。また、前述した温度分布曲線Aと同様に、加圧ステージ外周部では急激に温度差が大きくなり、特に大口径の光学素子を成形する際にはその影響が顕著に現れていた。
一方、上金型と下金型の間に光学素子素材が置かれた金型組を、加熱し加圧成形し、冷却する光学素子の製造装置および製造方法が特許文献1に開示されている。
同特許文献1において、その請求項1には、「温度制御可能な一対のステージを複数具備し、加圧成形可能な光学素子の製造装置において、前記複数のステージの少なくとも1つには、前記ステージに滞留する一対の成形型と胴型からなる成形ブロックと温度制御手段を備え、前記成形ブロックと温度制御手段との間に、直接前記成形ブロックに当接する均熱板を備えたことを特徴とする光学素子の製造装置。」なる技術的思想が開示されている。
また、同請求項8には、「温度制御可能な一対のステージを複数具備し、加圧成形可能な光学素子の製造方法において、前記複数のステージの少なくとも1つには、前記ステージに滞留する一対の成形型と胴型からなる成形ブロックと温度制御手段を備え、前記成形ブロックと温度制御手段との間に、直接前記成形ブロックに当接する均熱板を備えた光学素子の製造装置を用いて、一対の成形型と胴型で構成されている成形ブロックの前記成形型間に、光学素子素材を載置し、前記光学素子素材を載置した前記成形型を加熱炉内に搬入し、前記光学素子素材を加熱軟化し、加圧成形し、加圧成形した前記光学素子素材を冷却し加熱炉外へ搬出し、前記成形ブロックより光学素子を取り出すことを特徴とする光学素子の製造方法。」なる技術的思想が開示されている。
また、同請求項9〜12には、均熱板の材質や被覆材料について種々定義されている。
前記特許文献1の図1には、実施例として、成形ブロックをチャンバーの右側から投入プッシャーによりチャンバー内に導入し、順次、第1の加熱ステージ、第2の加熱ステージ、加圧成形ステージ、冷却ステージを経て左側の取出しステージから取り出す構成が示されている。また、上下一対の各ステージには均熱板、ヒータ、温度制御ブロックが設けられている。さらに、同特許文献1の図6には、均熱板を設けたことによる効果として、成形範囲における均熱板の温度分布が従来の8%から2.5%に改善されていることが例示されている。
また、前記特許文献1の段落0029、0030には、「以下、前記均熱手段8を用いる効果を説明する。ステージの成形範囲(成形ブロックが当接する成形に必要な範囲)の中で、設定温度に対して何パーセントの温度分布(表面温度差/設定温度×100)になっているかで均熱の良否を判断した時、ステージの成形範囲内の温度差が2.5%内でないと、その影響から光学素子の性能が悪くなる。
例えば、ステンレス鋼を同じステージに用いた場合の設定温度に対する温度分布は、図6の曲線41のように8%と悪く、広範囲の均熱性が得られないため、複数個の成形や大口径の成形ができないことがわかった。この時、前記均熱手段8を用いた場合では、図6の曲線40のように均熱性が向上し、ステージの成形範囲で設定温度に対し2.5%の温度分布が可能になった。」と記載されているように、ステージの成形範囲における温度分布が光学素子の性能に影響することについて開示されている。
しかし、均熱板を設置すると、加圧ステージの熱容量が増大するため、応答性が悪くなる。金型投入時に温度低下した状態から成形温度まで昇温するのに、一定以上の時間が必要となり、成形サイクルタイムが長く生産性が悪くなる。また、均熱板は加圧ステージとは別体であるため、接触部での伝熱ロスが発生するため、それを補うためにヒータ出力を全体的に高く設定しなければならない。そのため、電力消費量が大きくなるという問題がある。
特許第3759533号
本発明者等は上述した問題点を検討した結果、加圧成形ステージの、複数本のカートリッジヒータを埋設しているプレート内における複数本のカートリッジヒータの空間的配置関係および各ヒータ出力に着眼した温度制御手段を採用することで、均熱板を設置することなく、該プレート表面における温度分布の均一性が得られることを見出した。
従って、本発明の目的は、加圧成形ステージ表面の温度分布を均一化し、光学素子の成形精度を向上することができる光学素子成形装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明による光学素子成形装置は、
上金型と下金型の間に光学素子素材が置かれた金型組を、加熱、加圧成形および、冷却の各プロセスステージへ順次搬送し光学素子を成形する成形装置であって、同成形装置は、
前記金型組を搭載し、且つ搭載された金型組に対しそれぞれ加熱、加圧成形および、冷却の各プロセスを遂行するためのプレートを内部に配設した成形室と、前記成形室内にて互いに隣接するプレート上面の所定位置へ前記金型組を移動する搬送手段と、前記加熱、加圧成形および、冷却の各プロセスおよび前記搬送手段を制御する制御装置とからなり、
前記加圧成形プロセスステージに対応する上下一対のプレート用の加熱手段として該プレート内には複数本のカートリッジヒータが所定方向に適宜の間隔で埋設されており、
該複数本のカートリッジヒータの発熱により生ずる、前記上金型および下金型と接するプレート表面の成形範囲に対応する周辺部分と内側部分との温度差を、所定範囲に保持する温度制御手段を設けたことを特徴とする。
その場合、前記温度制御手段は、前記複数本のカートリッジヒータのうち前記プレート表面の周辺部分に埋設されたカートリッジヒータ出力が前記プレート表面の内側部分に埋設されたカートリッジヒータ出力より大きくなるように前記制御装置に接続されているヒータ制御ユニット出力を設定する構成とすることができる。
その場合、前記温度制御手段は、前記プレート表面の成形範囲の温度差が2%以内となるようにすることが好ましい。
また、その場合、前記温度制御手段は、前記複数本のカートリッジヒータが前記プレート表面から所定距離オフセットした位置に埋設して前記プレート表面の温度差を緩和する均熱空間を前記プレート内に形成する構成とすることができる。
さらにその場合、前記温度制御手段は、前記複数本のカートリッジヒータのうち前記プレート表面の内側部分に埋設されたカートリッジヒータが、前記プレート表面の周辺部分に埋設されたカートリッジヒータよりも前記プレート表面からさらに一定距離オフセットした位置に埋設して、前記プレート表面の周辺部分と内側部分との温度差を緩和する構成とすることができる。
さらにその場合、前記温度制御手段は、前記加圧成形ステージ表面の成形範囲の温度差が2%以内となるよう、前記複数本のカートリッジヒータのオフセット距離を調整する構成とすることが好ましい。
本発明によれば、光学素子成形装置の加圧プロセスステージに温度制御手段を備えているので、均熱板等の介在物を用いることなく、金型組と接するステージ表面の温度分布が所定成形範囲に亘って均一になるので、光学素子の成形精度を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態に基づく実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の適用される光学素子成形装置の全体構成の配置を示す。同図1において、参照符号8は成形室であり、その右端部上面には、成形前の金型組15を待機させるインポートロードロック室(以下、置換室という)12、その左端部上面には、成形後の金型組15を待機させるアウトポートロードロック室(以下、置換室という)13が設けられている。前記置換室12には管路Lを介して真空ポンプ30が接続されている。また、置換室12、13および成形室8にはそれぞれ供給管路L1、L2、L3を介して窒素ガス供給ユニット40から窒素ガスが供給されるようになっている。なお、本実施例では、窒素ガスを不活性ガスとして用いている。また、前記各管路L、L1、L2、L3には図示のように弁が設けられ、前記各管路の遮断または開度を調整できるようになっている。
成形室8の内部には、置換室12下方に設けられたエアシリンダ11aにより昇降可能に移動するテーブル9が配置され、置換室12の開口部12aを介して成形前の金型組15を搭載して受け取るようになっている。同様に、置換室13の下方に設けられたエアシリンダ11bにより昇降可能に移動するテーブル10が配置され、同テーブル10に搭載された成形後の金型組15は置換室13の開口部13aを介して置換室13へ排出されるようになっている。前記各開口部12a、13aにはそれぞれ置換室12、13と成形室8内とを気密的に遮断するシャッターが設けられている。
前記テーブル9と10の間には、加熱ゾーンを形成するプレート1と公知の赤外線ランプヒータ装置4、加圧ゾーンを形成する上下一対のプレート2、5、ならびに、冷却ゾーンを形成する一対のプレート3、6が配置されている。前記赤外線ランプヒータ装置4は、エアシリンダ7aのロッドにより上下に移動可能であって金型組15がテーブル9から隣接するプレート1上へ移送されるとき上方へ引き上げられるようになっている。
参照符号22は赤外線ランプヒータ装置4の各ランプユニットであって、それぞれ独立して該ランプの出力が制御可能に構成されている。参照符号7bは、前記冷却ゾーンの上側のプレート6を上下に移動可能とするエアシリンダである。
前記加圧成形ゾーンのステージを形成している各プレート2、5にはそれぞれ内側と外側のカートリッジヒータ2a、2b、および5a、5bが埋設されており、さらに図示しない温度センサが各プレート中央部に埋設されて金型組15と接触するプレート中央部表面近傍の温度が検出されるようになっている。上側のプレート5はサーボモータユニット20と結合された軸20cに固定されている。したがって、同軸20cはプレート5と共に、サーボモータ20a出力軸の回転がナットを含む直動変換部20bからなる公知のサーボモータユニット20を介して上下に進退されるようになっており、加圧成形プロセスの間、プレート5の位置および金型組15に対する押し圧力が前記サーボモータ20aにより制御されるようになっている。
参照符号50は、成形室8内の各ゾーン後方側に配置された搬送装置の全体を意味し、その詳細を図2(a)、(b)に示す。
図2(a)に示す例は、成形室8内を上から見た様子を示すもので、ロボットアームを用いた構成であって、具体的には、成形室8内の金型組15を、各テーブル9、10、各プレート1、2、3の間をロボットアームを用いて搬送するものである。同図(a)に示されるように、搬送装置50は、取り入れゾーンから加熱ゾーンへ金型組15を搬送する金型搬送ユニット51、加熱ゾーンから加圧成形ゾーンへ搬送する金型搬送ユニット52、加圧成形ゾーンから冷却ゾーンへ搬送する金型搬送ユニット53、冷却ゾーンから取り出しゾーンへ搬送する金型搬送ユニット54とから構成されている。
なお、ここでは各ゾーン間に金型搬送ユニットを配置してあるが、1つで複数の搬送ユニットを兼用してもよい。また、降下状態でのテーブル9、テーブル10、各ゾーンの下側プレート1,2,3の上面が同一水平面上になるように配置すれば金型組15は水平に移動させるだけでよく、前記の搬送ユニットは自由度が少なく、簡単な機構のものでよい。
図2(b)に上記金型組15の断面を示す。金型組15は、ガイド穴を有する上金型18aとガイドピン17を有する下金型18bとから構成されている。上金型18aと下金型18bとの間に光学素子素材19が置かれている。なお図示しないが、上下の金型18aと18bの間にはバネが配置され、加圧成形時以外では上金型18aの荷重が光学素子素材19に作用しないようになっている。
なお、図1において、置換室12、13と外部との間での金型組15の導入・排出は図示しないが、例えば、それぞれの置換室12、13の上面または側面にシャッターを設けて金型組15の導入・排出の際にそれらシャッターを開閉するよう構成することができる。
図1の参照符号60は、上述した各構成要素12、13、11a、11b、7a、7b、20a、4、2a、2b、5a、5b、30、40、50等の制御を行うコントローラであって、その概略構成ブロックを図3に示す。
図3において、コントローラ60は、基本的に成形装置の動作の流れすなわち、金型組15を置換室12に取り入れ、成形室8内へ導入し、各成形プロセスを順次経て置換室13から外部へ排出するまでの一連のシーケンスに対応する各構成要素の動作シーケンスのための指令信号を生成する制御装置60aと、同制御装置60aにそれぞれ接続された複数の制御ユニットから構成される。
ここで、前記制御ユニットには、加熱ゾーンにおける赤外線ランプヒータ装置4を駆動するヒータ温度制御ユニット60b、加圧成形ゾーンにおけるプレート2、5に埋設された各カートリッジヒータ2a、2b(以下、上側プレート5のカートリッジヒータ5a、5bは省略する)に対する温度制御ユニット60c、加圧成形ゾーンにおけるサーボモータユニット20用の駆動制御ユニット60d、前記各エアシリンダを駆動制御するシリンダ駆動ユニット60e、前記各シャッターの開閉動作用のシャッター駆動ユニット60f、および、前記各管路の開閉弁の動作を駆動制御する弁駆動ユニット60gなどが設けられている。
図4は、図1の加圧成形ステージにおけるプレート2に埋設された複数本のカートリッジヒータ2a、2bと、該プレート2の表面SFの温度分布曲線A(破線で示す)、Bの関係を示す。同図においては、加圧成形ステージ表面の金型接触範囲の温度分布が2%以内となるよう、加圧成形ステージ端部のヒータ出力を調整し、ステージ中央部のヒータ出力に対して高く設定するようにするものである。
具体的に説明すると、参照符号16は、プレート2の中央部に設けられた熱電対であって、各カートリッジヒータの出力(発熱量)を制御するための温度センサとして機能するものである。図示のように、熱電対16はプレート2の表面SFの中央部近傍の温度を検出する。熱電対16の中央部近傍の両側にはカートリッジヒータ2a、2aが埋設され、さらにその外側には所定間隔を設けてカートリッジヒータ2b、2bが金型接触範囲の周辺部分に埋設されている。この周辺部分に埋設された外側のカートリッジヒータ2b、2bの出力は、内側のカートリッジヒータ2a、2aの出力より大きく設定されている。なお、前述した図3に示されるように、制御装置60aからカートリッジヒータ温度制御ユニット60cに対し2種類の制御信号S(2a、2b)が与えられていることを示す。プレート2の表面温度分布曲線Bは、前述した従来の温度分布曲線A(図6参照)のような周辺部分での温度低下がないことを示している。
実際のテストにおいて、カートリッジヒータ出力を調整した結果、ステージ中央部すなわち、内側のカートリッジヒータ2a、2aの出力に対し、ステージ端部すなわち、外側のカートリッジヒータ2b、2bの出力を30%高く設定することで、加圧成形ステージ表面温度分布は、温度分布曲線Bに示すように、金型接触範囲の外周部まで、2%以内の温度差にすることが可能となった。それによって、従来発生していた大径金型を使用した際のアスや形状不良の発生もなくなった。この場合、加圧成形ステージ全体の熱容量も従来と同等であるため、サイクルタイムを変えることなく実現でき、生産性向上に役立ち、また、伝熱ロスもないため、ヒータ出力を有効活用できることから、省エネにも役立つ。
図5は、図1の加圧成形ステージにおける下プレート2に埋設された複数本のカートリッジヒータのオフセットされた配置と、該プレート表面SFの温度分布の関係を示す。同図においては、加圧成形ステージの金型接触範囲の温度分布が2%以内となるよう、加圧成形ステージ表面SFから各ヒータまでの距離を全体的にオフセットし、加圧成形ステージ表面SFから加圧成形ステージ端部のヒータまでの距離D1、加圧ステージ表面SFから加圧ステージ中央部のヒータまでの距離をD2とし、破線で示す一定の均熱空間Sを設けて配置された各カートリッジヒータ2a、2bは同一出力となるよう設定されている。すなわち、D1は外側に埋設されているカートリッジヒータ2b、2bの下プレート2表面SFからの上下方向位置のオフセットを示し、D2は内側に埋設されているカートリッジヒータ2a、2aのプレート表面SFからの上下方向位置のオフセットを示す。このオフセットD1は、図6に示した距離Dよりも大きく、したがって、破線で示すプレート内空間は、仮令、内側のカートリッジヒータ2a、2aがオフセットD1にある場合であっても、各ヒータの出力が直接表面SFに影響するのを緩和することとなり、結果として均熱空間Sを形成しているのである。
さらに、図示のように、内側のカートリッジヒータ2a、2aがオフセットD2(>D1)である場合には、該内側のカートリッジヒータ2a、2aの出力の表面SFへの影響が緩和されることとなる。
実際のテストにおいて、ステージ端部ヒータすなわち、外側のカートリッジヒータ2b、2bのオフセット距離をD1=D、ステージ中央部ヒータすなわち、内側のカートリッジヒータ2a、2aのオフセット距離をD2=D1×2と設定し、ステージ表面SFから一定距離オフセットし、均熱空間を設けた。ただし、熱容量が増加するため、ヒータ出力を1.2倍に設定した。その結果、加圧成形ステージ表面温度分布は、温度分布曲線Bに示すように、金型接触範囲の外周部分まで、2%以内の温度差にすることが可能となった。それによって、従来発生していた大径金型を使用した際のアスや形状不良の発生もなくなった。
なお、この場合、加圧成形ステージとは別に均熱板を設置する場合に比べて伝熱ロスもなく、ヒータ出力を有効活用でき、不良品率も減少させることが出来るため、生産性向上につながるメリットがある。
以上、本発明の好適な実施例について添付図面により説明したが、当業者であれば本発明の精神を逸脱することなく、種々の変形例を実施することが可能である。変形例の1つを挙げると、図4に示すカートリッジヒータの配置と図5に示すカートリッジヒータの配置とを適宜組み合わせて、例えば、図5における外側のカートリッジヒータ2b、2bの出力を、内側のカートリッジヒータ2a、2aの出力より大きく設定することにより距離D2、したがって、プレート2の厚みを小さくすることも可能であり、プレート2の熱容量をそれだけ小さくすることができる。
本発明を適用した光学素子成形装置の全体構成の配置を示す図である。 図1の搬送装置および金型組をそれぞれ説明するものであって、(a)は成形室内を上方から見た図で各プレート近傍に配置された金型搬送ユニットを示す図、(b)は金型組の断面を示す図である。 図1のコントローラの概略構成ブロックを示す図である。 図1の加圧成形ステージにおける下プレートに埋設された複数本のカートリッジヒータと、該プレート表面の温度分布の関係を示す図である。 図1の加圧成形ステージにおける下プレートに埋設された複数本のカートリッジヒータのオフセットされた配置と、該プレート表面の温度分布の関係を示す図である。 従来の加圧成形ステージにおける下プレートに埋設された複数本のカートリッジヒータと、該プレート表面の温度分布の関係を示す図である。
符号の説明
1、2、3、5、6 プレート
2a 内側のカートリッジヒータ
2b 外側のカートリッジヒータ
4 赤外線ランプヒータ装置
7a、7b エアシリンダ
8 成形室
9、10 テーブル
11a、11b エアシリンダ
12、13 置換室
15 金型組
16 熱電対
17 ガイドピン
18a 上金型
18b 下金型
19 光学素子素材
30 真空ポンプ
40 窒素ガス供給ユニット
50 搬送装置
51、52、53、54 金型搬送ユニット
60 コントローラ
60a 制御装置
60b 赤外線ランプヒータ制御ユニット
60c カートリッジヒータ温度制御ユニット
60d サーボモータ駆動制御ユニット

Claims (6)

  1. 上金型と下金型の間に光学素子素材が置かれた金型組を、加熱、加圧成形および、冷却の各プロセスステージへ順次搬送し光学素子を成形する成形装置であって、同成形装置は、
    前記金型組を搭載し、且つ搭載された金型組に対しそれぞれ加熱、加圧成形および、冷却の各プロセスを遂行するためのプレートを内部に配設した成形室と、
    前記成形室内にて互いに隣接するプレート上面の所定位置へ前記金型組を移動する搬送手段と、
    前記加熱、加圧成形および、冷却の各プロセスおよび前記搬送手段を制御する制御装置とからなり、
    前記加圧成形プロセスステージに対応する上下一対のプレート用の加熱手段として該プレート内には複数本のカートリッジヒータが所定方向に適宜の間隔で埋設されており、
    該複数本のカートリッジヒータの発熱により生ずる、前記上金型および下金型と接するプレート表面の成形範囲に対応する周辺部分と内側部分との温度差を、所定範囲に保持する温度制御手段を設けたことを特徴とする光学素子成形装置。
  2. 前記温度制御手段は、前記複数本のカートリッジヒータのうち前記プレート表面の周辺部分に埋設されたカートリッジヒータ出力が前記プレート表面の内側部分に埋設されたカートリッジヒータ出力より大きくなるように前記制御装置に接続されているヒータ制御ユニット出力を設定する構成とした請求項1に記載の光学素子成形装置。
  3. 前記温度制御手段は、前記プレート表面の成形範囲の温度差が2%以内となるようにした請求項2に記載の光学素子成形装置。
  4. 前記温度制御手段は、前記複数本のカートリッジヒータが前記プレート表面から所定距離オフセットした位置に埋設して前記プレート表面の温度差を緩和する均熱空間を前記プレート内に形成する構成とした、請求項1に記載の光学素子成形装置。
  5. 前記温度制御手段は、前記複数本のカートリッジヒータのうち前記プレート表面の内側部分に埋設されたカートリッジヒータが、前記プレート表面の周辺部分に埋設されたカートリッジヒータよりも前記プレート表面からさらに一定距離オフセットした位置に埋設して、前記プレート表面の周辺部分と内側部分との温度差を緩和する構成とした請求項4に記載の光学素子成形装置。
  6. 前記温度制御手段は、前記プレート表面の成形範囲の温度差が2%以内となるよう、前記複数本のカートリッジヒータのオフセット距離を調整する構成とした請求項5に記載の光学素子成形装置。
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