JP2008067498A - モータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】効率状態演算部62は、モータ1の位相が任意の位相から回動機構による設定変更後の適宜の位相まで移行する際の移行時間を演算しており、この移行時間に基づき、位相変更手段による移行により消費する第1消費エネルギーと、モータ1の位相を任意の位相から設定変更後の適宜の位相に変更して駆動力を発生する際のモータ1の制御により消費する第2消費エネルギとの和が、位相を変更せずに駆動力を発生するモータ1の制御により消費する第3消費エネルギーよりも小さい場合に、回動機構による位相の変更を許可する。
【選択図】図7
Description
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、誘起電圧定数を変更可能なモータのエネルギー効率を向上させることが可能なモータの制御装置を提供することを目的とする。
さらに、請求項2に記載の発明のモータの制御装置によれば、モータの位相が任意の位相から適宜の位相まで移行する際の移行時間における消費エネルギーに加えて、位相変更後の所定時間における消費エネルギーを考慮してモータを制御することから、モータでの消費エネルギーを精度良く把握することができ、モータのエネルギー効率を適切に向上させることができる。
さらに、請求項4に記載の発明のモータの制御装置によれば、位相変更手段の作動抵抗(例えば、摺動抵抗や作動流体の流路抵抗等)に応じて移行時間が変動する場合であっても、移行時間を精度良く演算することができる。
この実施の形態によるモータの制御装置は、走行駆動源としてモータを備える燃料電池車両や電動車両等に搭載されるものである。具体的には、図1に示すように、車両100は、モータ(Mot)1を駆動源として備える電動車両であり、モータ1と、トランスミッションT/Mとは直列に直結され、モータ1の駆動力はトランスミッションT/Mを介して車両100の前輪Wfに伝達されるようになっている。
ここで、制御装置100aが設けられた車両には、アクセルペダル開度センサ(以下、単にAP開度センサという)s1、ブレーキペダルスイッチセンサ(以下、単にBrkSWセンサという)s2、傾斜センサs3、前輪Wf、後輪Wrに設けられた車輪速センサ75、トランスミッションT/Mの油温を検出する油温センサs4などの各種センサが設けられており、制御装置100aはこれら各種センサの検出結果に基づいて、モータ1、トランスミッションT/Mのそれぞれの制御系に対して制御指令を出力する。
PDU41は、トランジスタのスイッチング素子がブリッジ接続されたブリッジ回路を用いてパルス幅変調(PWM)を行うPWMインバータを備えるとともに、モータ1と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ42に接続されている。
PDU41は、モータ1の駆動時等においてコントローラ40から入力されるスイッチング指令であるゲート信号(つまり、PWM信号)に基づき、PWMインバータにおいて各相毎に対を成す各トランジスタのオン(導通)/オフ(遮断)状態を切り換えることによって、バッテリ42から供給される直流電力を3相交流電力に変換し、モータ1の固定子巻線2aへの通電を順次転流させることによって、各相の固定子巻線2aに交流のU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを通電する。
なお、このモータ1は、進角側作動室24と遅角側作動室25に対する作動液の給排制御によって、強め界磁の状態と弱め界磁の状態を任意に変更し得るものであるが、こうして磁界の強さが変更されると、それに伴って誘起電圧定数Keが変化し、その結果、モータ1の特性が変更される。即ち、強め界磁によって誘起電圧定数Keが大きくなると、モータ1として運転可能な許容回転速度は低下するものの、出力可能な最大トルクは増大し、逆に、弱め界磁によって誘起電圧定数Keが小さくなると、モータ1の出力可能な最大トルクは減少するものの、運転可能な許容回転速度は上昇する。
レギュレータバルブ35は、ライン通路33の圧力を制御圧として受け、反力スプリング38とのバランスによって作動液の振り分けを行う。
また、流路切換弁37は、制御スプール37aを進退操作する電磁ソレノイド37bを有し、この電磁ソレノイド37bがコントローラ40によって制御されるようになっている。
なお、界磁制御部53は、例えばモータ1の回転数NMの増大に伴う逆起電圧の増大を抑制するために回転子ユニット3の界磁量を等価的に弱めるようにして電流位相を制御する弱め界磁制御の弱め界磁電流に対する目標値をd軸補正電流としてd軸電流偏差算出部52aへ出力する。
また、電力制御部54は、例えばバッテリ42の残容量等に応じた適宜の電力制御に応じてq軸目標電流Iqcを補正するためのq軸補正電流をq軸電流偏差算出部52aへ出力する。
誘起電圧定数算出部61は、位相センサ74から出力される相対位相θの検出信号に基づき、内周側回転子6と外周側回転子5との相対的な相対位相θに応じた誘起電圧定数Keを算出する。
誘起電圧定数差分算出部64は、誘起電圧定数指令出力部63から出力される誘起電圧定数指令値Kecから、誘起電圧定数算出部61から出力される誘起電圧定数Keを減算して得た誘起電圧定数差分ΔKeを出力する。
位相制御部65は、例えば誘起電圧定数差分算出部64から出力される誘起電圧定数差分ΔKeに応じて、この誘起電圧定数差分ΔKeをゼロとするようにして相対位相θを制御するための制御指令を出力する。
なお、第2消費エネルギーは、移行の完了時から予め設定された所定時間に亘ってモータ1を制御する間に位相を不変に保持することにより消費する消費エネルギーと、移行時間および所定時間に亘るモータ1の制御により消費する消費エネルギーとの和から演算され、第3消費エネルギーは、移行時間および所定時間に亘って、モータ1が位相を変更せずに消費する消費エネルギーと、位相を不変に保持することにより消費する消費エネルギーとの和から演算される。
なお、位相変更手段12の作動抵抗は、例えば量産ばらつき等に起因して複数のモータ1毎の相対回動の動作速度等に発生するばらつきからなる回動機構11の動作特性(抵抗値)に対する学習値として算出され、この学習値は、例えば位相θを最遅角から最進角まで移動させる際に、位相センサ74の検出結果に基づいて求められた誘起電圧定数Keと誘起電圧定数指令値Kecとの差異を学習して得た値とされる。
先ず、例えば図9に示すステップS01においては、回転センサ73によるモータ1の回転数NMおよびトルクセンサ(図示略)によるモータ1のトルクの各検出値(現在値)を取得する。
そして、ステップS02においては、位相センサ74によるモータ1の両回転子5,6の相対位相θの検出値(現在位相)を取得する。
そして、ステップS03においては、予め設定された複数の効率マップから、現在位相に対応する効率マップを検索する。
なお、各効率マップは、例えば図10に示すように、モータ1の回転数とトルクと運転効率(J)との所定の関係を示すマップであって、回転数とトルクとの適宜の組み合わせにおいて運転効率が最大となり、この最大効率の領域から回転数またはトルクが増減することに伴い、運転効率が減少傾向に変化するようになっており、モータ1の両回転子5,6の適宜の相対位相毎に応じて異なる効率マップが対応するように設定されている。
そして、ステップS05においては、予め設定された位相維持エネルギーマップに対して、モータ1の現在位相および回転数に応じたマップ検索を行い、モータ1の位相維持エネルギーζを取得し、一連の処理を終了する。
なお、位相維持エネルギーマップは、例えば例えば図11に示すように、モータ1の相対位置と回転数と位相維持エネルギー(J)との所定の関係を示すマップであって、位相維持エネルギーはモータ1の両回転子5,6の相対位相を適宜の位相位置に保持するために要するエネルギーである。この位相維持エネルギーマップでは、例えば強め界磁および弱め界磁近傍の位相では位相維持エネルギーはゼロ近傍の値となり、強め界磁と弱め界磁との間の位相において位相維持エネルギーが最大となる。また、回転子ユニット3の回転数の増大に伴い、遠心油圧が増大傾向に変化することから、新たに加える必要のある油圧が低下し、位相維持エネルギーは低下傾向に変化するようになっている。
先ず、例えば図12に示すステップS11においては、位相センサ74によるモータ1の両回転子5,6の相対位相θの検出値(現在位相)を取得する。
そして、ステップS12においては、相対位相θに対する要求値(要求位相)およびモータ1の回転数NMに対する要求値(要求回転数)およびモータ1のトルクに対する要求値(要求トルク)を算出する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS14に進み、このステップS14においては、予め設定された可変エネルギーマップMαに対して、モータ1の現在位相および要求位相に応じたマップ検索を行い、モータ1の可変エネルギーγを取得し、ステップS16に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS15に進み、このステップS15においては、予め設定された可変エネルギーマップMβに対して、モータ1の現在位相および要求位相に応じたマップ検索を行い、モータ1の可変エネルギーγを取得し、ステップS16に進む。
なお、各効率マップは、例えば図15に示すように、モータ1の回転数とトルクと運転効率(J)との所定の関係を示すマップであって、回転数とトルクとの適宜の組み合わせにおいて運転効率が最大となり、この最大効率の領域から回転数またはトルクが増減することに伴い、運転効率が減少傾向に変化するようになっており、モータ1の両回転子5,6の適宜の相対位相毎に応じて異なる効率マップが対応するように設定されている。
そして、ステップS18においては、予め設定された位相維持エネルギーマップに対して、モータ1の要求位相および要求回転数に応じたマップ検索を行い、モータ1の位相維持エネルギーψを取得し、一連の処理を終了する。
なお、位相維持エネルギーマップは、例えば例えば図16に示すように、モータ1の相対位置と回転数と位相維持エネルギー(J)との所定の関係を示すマップであって、位相維持エネルギーはモータ1の両回転子5,6の相対位相を適宜の位相位置に保持するために要するエネルギーである。この位相維持エネルギーマップでは、例えば強め界磁および弱め界磁近傍の位相では位相維持エネルギーはゼロ近傍の値となり、強め界磁と弱め界磁との間の位相において位相維持エネルギーが最大となる。また、回転数の増大に伴い、遠心油圧が増大傾向に変化することから、新たに加える必要のある油圧が低下し、位相維持エネルギーは低下傾向に変化するようになっている。
先ず、例えば図17に示すステップS21においては、位相センサ74によるモータ1の両回転子5,6の相対位相θの検出値(現在位相)を取得する。
そして、ステップS22においては、相対位相θに対する要求値(要求位相)と、要求応答速度つまりモータ1の両回転子5,6の相対位相θを任意の位相から位相変更手段12による設定変更後の適宜の位相まで変更する際の速度に対する要求値とを算出する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS24に進み、このステップS24においては、予め設定された移行時間マップMaに対して、モータ1の現在位相および要求位相に応じたマップ検索を行い、相対位相θに対する移行時間Tを取得し、ステップS26に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS25に進み、このステップS25においては、予め設定された移行時間マップMbに対して、モータ1の現在位相および要求位相に応じたマップ検索を行い、相対位相θに対する移行時間Tを取得し、ステップS26に進む。
そして、ステップS27においては、速度差αが所定閾値よりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS30に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS28に進む。
そして、ステップS28においては、移行時間Tに速度差αに応じた補正項α0を乗算して得た値を、新たに移行時間Tとして設定する。
そして、ステップS30においては、可変エネルギーγに可変消費エネルギー補正項βを乗算して得た値を、新たに可変エネルギーγとして設定する。
先ず、例えば図23に示すステップS41においては、現在位相がゼロよりも大きく、かつ、180°未満であり、さらに、所定の経済運転中であるか否かを判定する。なお、所定の経済運転とは、例えば車輪速センサ75による検出結果に基づき算出した車両100の加速度および減速度等に係る走行挙動の変動が所定値未満となる運転状態である。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS42に進む。
そして、ステップS42においては、下記数式(1)に示すように、モータ1の可変エネルギーγを移行時間Tに亘って積分して、相対位相θの変更に要する消費エネルギーΔEを算出する。
なお、下記数式(1)の消費エネルギーΔEは、後述する図25(b)での消費エネルギーDに相当する。
なお、下記数式(2)の消費エネルギーΔeの第1項は、後述する図25(b)での消費エネルギーCに相当し、第2項は消費エネルギーEに相当する。
なお、下記数式(3)の消費エネルギーΔηの第1項は、後述する図25(a)での消費エネルギーAに相当し、第2項は消費エネルギーBに相当する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS46に進み、このステップS46においては、相対位相θの変更を許可することを示す可変許可フラグのフラグ値に「0」を設定して、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS47に進み、このステップS47においては、可変許可フラグのフラグ値に「1」を設定して、一連の処理を終了する。
5 外周側回転子(ロータ)
6 内周側回転子(ロータ)
9 永久磁石(磁石片)
12 位相変更手段
62 効率状態演算部(移行時間演算手段、温度補正手段、抵抗補正手段)
ステップS42 第1演算手段
ステップS43 第2演算手段
ステップS44 第3演算手段
Claims (4)
- 各々に磁石片を有し互いの相対的な位相を変更可能な複数のロータと、前記複数のロータの相対的な位相の設定を変更し、所定の誘起電圧定数に設定する位相変更手段とを備えるモータの制御装置であって、
前記位相が任意の位相から前記位相変更手段による設定変更後の適宜の位相まで移行する際の移行時間を演算する移行時間演算手段と、
前記移行時間に基づき前記位相変更手段による前記移行により消費する第1消費エネルギーを演算する第1演算手段と、
前記位相を任意の位相から設定変更後の適宜の位相に変更して駆動力を発生する際の前記モータの制御により消費する第2消費エネルギーを演算する第2演算手段と、
前記位相を変更せずに前記モータの制御により消費する第3消費エネルギーを演算する第3演算手段と、
前記第1および第2消費エネルギーの和が前記第3消費エネルギーよりも小さい場合に、前記位相変更手段による前記位相の変更を許可する許可手段と
を備えることを特徴とするモータの制御装置。 - 前記第2消費エネルギーは、前記移行の完了時から予め設定された所定時間に亘って前記モータを制御する間に前記位相を不変に保持することにより消費する消費エネルギーと、前記移行時間および前記所定時間に亘る前記モータの制御により消費する消費エネルギーとの和から演算され、
前記第3消費エネルギーは、前記移行時間および前記所定時間に亘って、前記モータが前記位相を変更せずに消費する消費エネルギーと、前記位相を不変に保持することにより消費する消費エネルギーとの和から演算されることを特徴とする請求項1に記載のモータの制御装置。 - 前記移行時間を作動流体の温度に基づき補正する温度補正手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータの制御装置。
- 前記移行時間を前記位相変更手段の作動抵抗に基づき補正する抵抗補正手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のモータの制御装置。
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