JP2008066920A - 画像色判定装置、画像色判定方法及び画像色判定プログラム - Google Patents

画像色判定装置、画像色判定方法及び画像色判定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】原稿の地色に影響されずに原稿が白紙であるか否かを正確に判定することができるようにする。
【解決手段】単位データ判定部164は、画像データを構成する単位データが白,グレイ,黒のいずれに該当するかを判定する。ブロック判定部148は、単位データ判定部164の判定結果を利用して、原稿に係る画像を縦横に分割して得られるブロックの各々が属する輝度区分区分を判定する。モード判定部152は、画像がモノクロ画像であると判定した場合は、ブロック判定部148の判定結果を利用して、原稿の特徴をさらに判定し、原稿が白紙原稿、グレイ原稿及び白黒原稿のいずれであるのかを判定する。デジタル複合機1では、原稿が地色原稿である場合は、地色の影響を排除するための前処理を行ったうえで、単位データを輝度で分類する際の閾値Y1を原稿が地色原稿でない場合よりも黒方向に移動させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、原稿が白紙であるか否かを判定する画像色判定装置、画像色判定方法及び画像色判定プログラムに関する。
原稿を読み取って記録紙上に画像を再現する電子写真方式のカラーコピー機は、通常、イエロー,マゼンダ,シアン,黒の4色の画像形成エンジンを備え、記録紙上への画像形成を4回繰り返すことにより、カラーコピーを実現している。しかし、原稿が白紙である場合は、4色の画像形成エンジンを動作させて記録紙上への画像形成を行うことは、コピー時間やコピー費用の点で無駄が多い。このため、原稿が白紙であるか否かを自動的に判定し、原稿を白紙とみなすことができる場合には、4色の画像形成エンジンを動作させないようにすることが望ましい。
なお、特許文献1は、原稿が白紙であるか否かを判定する技術に関する先行技術文献である。
特開平11−284846号公報
しかし、従来の技術では、原稿の地色等の影響を受け、原稿が白紙であるか否かを適切に判定ができない場合があった。
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、原稿の地色に影響されずに原稿が白紙であるか否かを正確に判定することができるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、原稿が白紙であるか否かを判定する画像色判定装置であって、前記原稿に係る画像データの構成単位を輝度で分類する分類手段と、前記分類手段の分類結果を利用して、前記原稿に係る画像を分割して得られるブロックの各々が属する輝度区分を判定する輝度区分判定手段と、前記輝度区分判定手段の判定結果を利用して、前記原稿が白紙であるか否かを判定する白紙判定手段と、前記原稿が地色原稿であるか否かを判定する地色判定手段とを備え、前記地色判定手段により前記原稿が地色原稿であると判定された場合、前記分類手段において前記構成単位を輝度で分類する際の閾値を前記原稿が地色原稿でない場合よりも黒方向に移動させる。
請求項2の発明は、複数の画素を含む画素集合ごとに画素データを平均化する平均化手段をさらに備え、前記平均化手段により平均化された画素データを前記構成単位とすることを特徴とする請求項1に記載の画像色判定装置である。
請求項3の発明は、原稿から記録媒体へ画像をコピーするコピー手段をさらに備え、コピーの際の変倍率に基づいて前記画素集合に含まれる画素の数を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像色判定装置である。
請求項4の発明は、前記画像データの解像度を変換する変換手段をさらに備え、前記変換手段により解像度が変換される前の画像データに基づいて原稿が白紙であるか否かを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像色判定装置である。
請求項5の発明は、前記地色判定手段により前記原稿が地色原稿であると判定された場合、前記地色原稿の地色を無彩色に変換するアフィン変換を前記画像データに適用する適用手段とを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像色判定装置である。
請求項6の発明は、前記地色の輝度に応じて前記閾値の移動量を変化させることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像色判定装置である。
請求項7の発明は、原稿が白紙であるか否かを判定する画像色判定方法であって、前記原稿に係る画像データの構成単位を輝度で分類する分類工程と、前記分類工程の分類結果を利用して、前記原稿に係る画像を分割して得られるブロックの各々が属する輝度区分を判定する輝度区分判定工程と、前記輝度区分判定工程の判定結果を利用して、前記原稿が白紙であるか否かを判定する白紙判定工程と、前記原稿が地色原稿であるか否かを判定する地色判定工程とを備え、前記地色判定工程により前記原稿が地色原稿であると判定された場合、前記分類工程において前記構成単位を輝度で分類する際の閾値を前記原稿が地色原稿でない場合よりも黒方向に移動させる。
請求項8の発明は、原稿が白紙であるか否かを判定する画像色判定プログラムであって、前記原稿に係る画像データの構成単位を輝度で分類する分類手順と、前記分類手順の分類結果を利用して、前記原稿に係る画像を分割して得られるブロックの各々が属する輝度区分を判定する輝度区分判定手順と、前記輝度区分判定手順の判定結果を利用して、前記原稿が白紙であるか否かを判定する白紙判定手順と、前記原稿が地色原稿であるか否かを判定する地色判定手順とをコンピュータに実行させ、前記地色判定手順により前記原稿が地色原稿であると判定された場合、前記分類手順において前記構成単位を輝度で分類する際の閾値を前記原稿が地色原稿でない場合よりも黒方向に移動させる。
請求項1ないし請求項8の発明によれば、原稿の地色に影響されずに原稿が白紙であるか否かを正確に判定することができ、地色を有する白紙原稿を正しく白紙であると判定できる。
請求項2の発明によれば、偽色の影響を排除できる。
請求項3の発明によれば、変倍に起因する偽色の影響を効果的に排除できる。
請求項4の発明によれば、原稿が白紙であるか否かの判定が解像度の変換の影響を受けなくなる。
請求項5の発明によれば、地色の有無に関わらず、原稿が白紙であるか否かを同様に判定できる。
請求項6の発明によれば、原稿が白紙であるか否かをより適切に判定できる。
<1 デジタル複合機の全体構成>
図1は、本発明の望ましい実施形態に係るデジタル複合機1の全体構成を示すブロック図である。デジタル複合機1は、MFP(Multi Function Peripherals)とも呼称され、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャン機能、プリント機能等の複数の機能を有している。
図1に示すように、デジタル複合機1は、CPU102、ROM104及びRAM106を備える。ROM104には、デジタル複合機1のファームウェア等のプログラムPRGが格納され、CPU102、ROM104及びRAM106によって実現されるコンピュータは、ROM104に格納されたプログラムPRGにしたがって演算処理を実行することにより、デジタル複合機1の各構成を統括制御し、デジタル複合機1の各機能を実現している。RAM106は、当該コンピュータによる演算処理の実行に際して、作業領域として用いられる。
画像メモリ108は、デジタル複合機1が処理対象とする画像を画像データとして記憶する。
デジタル複合機1には、ユーザインターフェースとして、操作パネル110が設けられる。操作パネル110は、操作の対象となる操作部と、情報を視認可能に表示する表示部とを備える。
デジタル複合機1は、スキャナ部112及びプリンタ部114を備える。
スキャナ部112は、後述するCCDラインセンサ132により原稿を読み取り、原稿に係る画像データを生成する。スキャナ部112は、ADF(Automatic Document Feeder)方式又はFBS(Flat Bed Scanner)方式により原稿を読み取る。ADF方式とは、複数枚の原稿を束ねた原稿束から原稿を一枚づつ繰り込んで読み取る方式であり、FBS方式とは、コンタクトガラス上に載置された原稿を読み取る方式である。ADF方式には、移動する原稿を静止した読取光学系で読み取る方式(シートスルー方式)と、静止した原稿を移動する読取光学系で読み取る方式とがあり、後者の方式を採用する場合、スキャナ部112は、コンタクトガラス上に原稿を静止させ、移動する読取光学系で静止した原稿を読み取り、読み取りが完了した原稿を排出するという読み取り手順を繰り返し実行する。
プリンタ部114は、電子写真方式により、画像データに係る画像を記録紙等の記録媒体上に形成し、当該記録媒体を排出する。プリンタ部114は、Y(イエロー),M(マゼンダ),C(シアン),K(黒)の4色の画像形成エンジンを備え、記録媒体上への画像形成を4回繰り返すことにより、カラー画像を記録媒体上に形成することができる。
画像色判定部116は、画像データに対して所定の処理を行う。画像色判定部116は、専用LSI等のハードウエアで構成することができるが、画像色判定部116が行う処理の一部又は全部を、CPU102、ROM104及びRAM106によって実現されるコンピュータがプログラムPRGを実行することにより行うようにしてもよい。
圧縮伸張部118は、画像データに対して圧縮処理又は伸張処理を行う。画像データの圧縮方式としては、多階調の画像データについては、JPEG方式等を採用することができ、二階調の画像データについては、MH方式、MR方式、MMR方式及びJBIG方式等を採用することができる。圧縮伸張部118も、専用LSI等のハードウエアで構成することができるが、圧縮伸張部118が行う処理の一部又は全部を、CPU102、ROM104及びRAM106によって実現されるコンピュータがプログラムPRGを実行することにより行うようにしてもよい。
NCU120及びモデム122は、公衆電話交換網91を経由したファクシミリ画像データの送受信に用いられる。NCU120は、公衆電話交換網91への接続を制御する。NCU120は、相手先の電話番号に対応したダイヤル信号を送出する機能及び着信を検出する機能を備える。モデム122は、ITU(国際電気通信連合)−T勧告T.30にしたがったファクシミリ伝送制御手順に基づいて、V.17,V.27ter,V.29等にしたがったファクシミリ画像データの変復調を行う。又は、モデム122は、これらに加えて、V.34にしたがったファクシミリ画像データの変復調を行う。
データ通信部124は、例えば、イーサネット(登録商標)により、デジタル複合機1をネットワーク92に接続する。
上述したデジタル複合機1の各構成は、バスライン126によって接続され、相互間でデータの送受信を行うことができるようになっている。
ファクシミリモードでは、デジタル複合機1は、スキャナ部112を用いて、原稿を読み取り、NCU120及びモデム122を用いて、当該原稿に係るファクシミリ画像データを、他のファクシミリ機へ公衆電話交換網91を経由して送信する。また、デジタル複合機1は、NCU120及びモデム122を用いて、他のファクシミリ機から公衆電話交換網91を経由して送信されてきたファクシミリ画像データを受信し、プリンタ部114を用いて、当該ファクシミリ画像データに係る画像を記録媒体上に形成する。
コピーモードでは、デジタル複合機1は、スキャナ部112を用いて、原稿を読み取り、プリンタ部114を用いて、原稿に係る画像を記録媒体上に形成することにより、原稿から記録媒体へ画像をコピーする。
スキャンモードでは、デジタル複合機1は、スキャナ部112を用いて、原稿を読み取り、原稿に係る画像データを画像メモリ108に蓄積する。
プリントモードでは、デジタル複合機1は、データ通信部124を用いて、パーソナルコンピュータからネットワーク92を経由して送信されてきた画像データを受信し、プリンタ部114を用いて、当該画像データに係る画像を記録媒体上に形成する。
<2 スキャンモード及びプリントモードに関連する構成>
図2は、スキャンモード及びプリントモードにおけるデジタル複合機1の処理と関連する構成を示すブロック図である。図2において、モード判定部152及び2値化部154は、CPU102、ROM104及びRAM106によって実現されるコンピュータがプログラムPRGを実行することにより実現される機能を表現した処理ブロックである。もちろん、モード判定部152及び2値化部154を専用LSI等のハードウエアで構成してもよい。
以下では、スキャンモード及びプリントモードにおけるデジタル複合機1の処理と関連する構成について、「画像処理に関連する構成」及び「モード判定処理に関連する構成」に分けて説明する。
<2.1 画像処理に関連する構成>
図2に実線で示す画像処理の流れに沿って、画像処理に関連する構成の概略を説明すると、CCDラインセンサ132が生成した画像データは、ガンマ補正部134によるガンマ補正、解像度変換部136による解像度変換、色空間変換部138による色空間変換を順次施された後に、スキャナ部112から出力される。スキャナ部112から出力された画像データは、画像メモリ108に蓄積される。プリントモードでは、画像メモリ108に蓄積された画像データは、2値化部154による2値化処理が必要に応じて施された後に、プリンタ部114へ転送され、プリンタ部114において、当該画像データに係る画像が記録媒体上に形成される。スキャンモードでは、画像メモリ108に蓄積された画像データに対して、2値化部154による2値化処理が必要に応じて施された後に、圧縮伸張部118による圧縮処理が施される。
CCDラインセンサ132は、原稿からの光をCCDラインセンサ132へ導く読取光学系が原稿を走査している際に、一定の周期で読み取りを繰り返すことにより、RGB色空間で表現された画像データ、すなわち、R(赤),G(緑),B(青)の色成分データを有する画像データを生成する。読取光学系の走査速度は、CCDラインセンサ132が生成する画像データの副走査方向の解像度に基づいて設定する。具体的には、副走査方向の解像度が高くなるほど、読取光学系の走査速度を遅くし、副走査方向の解像度が低くなるほど、読取光学系の走査速度を速くする。「走査速度」とは、原稿と読取光学系との相対移動速度である。
ガンマ補正部134は、R,G,Bの色成分データにガンマ補正を施す。
解像度変換部136は、プリントモードでは、画像データの主走査方向の解像度を、原稿を読み取った際の解像度から、プリンタ部114へ転送する際の解像度へ変換し、スキャンモードでは、画像データの主走査方向の解像度を、原稿を読み取った際の解像度から、画像メモリ108に蓄積する際の解像度へ変換する。
デジタル複合機1では、変倍コピーを行う際には、解像度変換部136における解像度変換により、主走査方向の解像度を操作者が指定した変倍率に応じた解像度とし、読取光学系の走査速度を等倍コピーを行う際と異ならせることにより、副走査方向の解像度を操作者が指定した変倍率に応じた解像度とする。
色空間変換部138は、RGB色空間で表現された画像データ(以下、「RGB画像データ」)を、YCbCr色空間で表現された画像データ(以下、「YCC画像データ」)へ変換する。色空間変換部138が出力する画像データは、輝度成分Y及び色差成分Cb,Crを有している。
2値化部154は、画像データを取得し、当該画像データの色成分を2値化した2値化画像を生成し、当該2値化画像を画像メモリ108に蓄積する。ここで、「2値化」とは、多階調の画像データを2階調の画像データへ変換することをいう。画像データの2値化は、単純2値化法、組織的ディザ法及び誤差拡散法等により行うことができる。
一方、プリンタ部114は、画像データを取得し、必要な画像形成エンジンを用いて、当該画像データに係る画像を記録媒体上に形成する。
圧縮伸張部118は、画像データを取得し、圧縮画像データを生成し、当該圧縮画像データを画像メモリ108に蓄積する。
デジタル複合機1の処理モードには、「モノクロモード」及び「カラーモード」があり、「モノクロモード」の中にグレイ原稿に適した「グレイモード」及び白黒原稿に適した「白黒モード」がある。
「カラーモード」でスキャンを行う際には、色空間変換部138が、解像度変換部136から入力された多階調のRGB画像データを多階調のYCC画像データへ変換し、圧縮伸張部118が、多階調のYCC画像データをJPEG方式等で圧縮して画像メモリ108に蓄積する。
「カラーモード」でコピーを行う際には、色空間変換部138が、解像度変換部136から入力された多階調のRGB画像データを多階調のLab画像データ(L***色空間で表現された画像データ)へ変換し、多階調のLab画像データをさらに多階調のCMYK画像データ(CMYK色空間で表現された画像データ)へ変換し、二値化部154が、多階調のCMYK画像データを二階調のCMYK画像データへ二値化する。プリンタ部113は、二階調のCMYK画像データを取得し、「Y」「M」「C」「K」の画像形成エンジンの4色の画像形成エンジンのうち必要なものを用いて、記録媒体上にカラー画像を形成する。ここで、「「Y」「M」「C」「K」の画像形成エンジンの4色の画像形成エンジンのうち必要なもの」とは、画像に含まれる色を表現するために必要な画像形成エンジンのみを動作させればよいという趣旨である。例えば、画像に含まれる色の色区分が「Y」のみであれば、「Y」の画像形成エンジンのみを動作させればよく、画像に含まれる色の色区分が「R」であれば、「Y」及び「M」の画像形成エンジンのみを動作させればよい。
「グレイモード」でスキャンを行う際には、色空間変換部138が、解像度変換部136から入力された多階調のRGB画像データを多階調のYCC画像データへ変換し、圧縮伸張部118が、多階調のYCC画像データの輝度成分YをJPEG方式で圧縮して画像メモリ108に蓄積する。又は、色空間変換部138が、解像度変換部136から入力された多階調のRGB画像データを多階調のYCbCr画像データへ変換し、二値化部154が、多階調のYCC画像データの輝度成分Yを二階調の輝度成分Yへ組織的ディザ法等で二値化し、圧縮伸張部118が、二階調の輝度成分YをJBIG方式等で圧縮して画像メモリ108に蓄積する。
「グレイモード」でコピーを行う際は、色空間変換部138が、解像度変換部136から入力された多階調のRGB画像データを多階調のYCC画像データへ変換し、二値化部154が、多階調のYCC画像データの輝度成分Yを二階調の輝度成分Yへ組織的ディザ法や誤差拡散法等で二値化する。プリンタ部113は、二階調の輝度成分Yを取得し、「K」の画像形成エンジンを用いて、記録媒体上にモノクロ画像を形成する。
「白黒モード」でスキャンを行う際は、色空間変換部138が、解像度変換部136から入力された多階調のRGB画像データを多階調のYCC画像データへ変換し、二値化部154が、多階調のYCC画像データの輝度成分Yを二階調の輝度成分Yへ単純二値化法等で二値化し、圧縮伸張部118が、二階調の輝度成分YをJBIG方式等で圧縮して画像メモリ108に蓄積する。
「白黒モード」でコピーを行う際は、色空間変換部138が、解像度変換部136から入力された多階調のRGB画像データを多階調のYCC画像データへ変換し、二値化部154が、多階調のYCC画像データの輝度成分Yを二階調の輝度成分Yへ誤差拡散法や単純二値化法等で二値化する。プリンタ部113は、二階調の輝度成分Yを取得し、「K」の画像形成エンジンを用いて、記録媒体上にモノクロ画像を形成する。
なお、「グレイモード」でコピーを行う際の二値化は、「白黒モード」よりも階調の再現性を重視して行うことが望ましく、「白黒モード」でコピーを行う際の二値化は、「グレイモード」よりも文字の再現性を重視して行うことが望ましい。
<2.2 モード判定処理に関連する構成>
図2に点線で示すモード判定処理の流れに沿って、デジタル複合機1を画像色判定装置として機能させる構成の概略を説明すると、CCDラインセンサ132が生成した画像データは、画像色判定部116に入力され、平均部142による平均化、ガンマ補正部144によるガンマ補正、色空間変換部146による色空間変換を順次施された後に、ブロック判定部148へ入力される。そして、ブロック判定部148において、ブロックが属する色区分及び輝度区分が判定され、判定計数部150において、色区分及び輝度区分の各々に属するブロックの数が計数され、モード判定部152において、原稿の特徴が判定される。モード判定部152は、さらに、デジタル複合機1の処理モードを原稿の特徴に適したモードに設定し、設定したモードに応じた処理を2値化部154、プリンタ部114及び圧縮伸張部118に実行させる。
平均部142は、複数の画素を含む画素集合ごとに、画素データの平均値を算出する。平均部142に入力される画像データは、RGB色空間で表現されているので、画素データは、R,G,Gの色成分データで構成されている。このため、平均部142は、複数の画素を含む画素集合ごとに、R,G,Bの色成分データの各々について平均値を算出する。すなわち、n個の画素Pi(i=1,2,・・・,n)が画素集合に含まれ、画素PiのR,G,Bの色成分データが、それぞれ、Ri,Gi,Biであるとすれば、平均部142は、R,G,Bの色成分データの平均値Ravg,Gavg,Bavgを式(1)にしたがって算出する。
Figure 2008066920
本実施形態では、画素集合は、縦(副走査方向)2個×横(主走査方向)2個の隣接する4個の画素からなる。各画素集合における、R,G,Bの色成分データの平均値Ravg,Gavg,Bavgは、後に続く処理において、色を表現する単位データを構成する。当該単位データは、平均化が行われる前の画像データより粗い粗画像データの構成単位となっている。このような平均化は、必ずしも必須ではなく、各画素の色成分データで単位データを構成してもよい。たたし、画素集合ごとの色成分データの平均値Ravg,Gavg,Bavgで単位データを構成すれば、CCDラインセンサ132においてR,G,Bの読み取りラインが数μmのライン間隔をおいて設けられていることに起因する偽色の影響を排除でき、ブロック判定部148における判定を精度よく行うことができるようになる。
なお、上述の偽色は、変倍コピーを行う際に問題となることが多い。これは、CCDラインセンサ132のR,G,Bの読み取りラインのライン間隔が、副走査方向の読み取り間隔の整数倍に相当するものであれば、後続する読み取りラインにおける読み取りタイミングを先行する読み取りラインより遅延させることにより偽色を防止することができるが、等倍コピーを行う際に「整数倍」の関係が成立しても、変倍コピーを行う際に「整数倍」の関係が成立するとは限らないためである。
例えば、等倍コピーを行う際の副走査方向の解像度が600dpiであり、ライン間隔が読み取り間隔の4倍に相当する場合を考える。この場合、等倍コピーを行う際には、後続する読み取りラインにおける読み取りタイミングを先行する読み取りラインより4周期遅延させることにより偽色を防止することができるが、70%縮小コピーを行う際には、副走査方向の解像度が420dpiとなり、ライン間隔が読み取り間隔の2.8倍に相当するから、後続する読み取りラインにおける読み取りタイミングを先行する読み取りラインより3周期遅延させても、先行する読み取りラインと後続する読み取りラインとの間で読み取り間隔の0.2倍の読み取り位置のずれが生じ、偽色の原因となる。
この他、CCDラインセンサ132のR,G,Bの読み取りラインの形成位置の機械的なずれが偽色の原因となる場合もある。
また、画素集合の大きさは、当該ライン間隔及び変倍率等に応じて決定すべきであり、上述の「縦2個×横2個の隣接する4個の画素」というのは、例示に過ぎない。
例えば、変倍コピーを行う際の偽色の影響を排除するためには、「読み取り位置のずれ」が大きくなるほど画素集合の副走査方向の画素数を増加させることが有効であるが、「読み取り位置のずれ」は変倍率によって決まるので、変倍率と画素集合の副走査方向の画素数との関係を記述したテーブルをROM104にあらかじめ準備しておき、当該テーブルを参照して、指定された変倍率に応じて画素集合の副走査方向の画素数を決定することが望ましい。
なお、平均部142は、解像度変換部136による解像度の変換が施されていない画像データについて平均化を行うので、画素集合の主走査方向の画素数が一定であっても特に問題とはならない。主走査方向についての平均化は、上述の「機械的なずれ」に起因する偽色に有効である。
ただし、平均部142において、縦横両方向について平均化を行うことも必須ではない。すなわち、平均部142において、縦方向及び横方向のいずれかについてのみ平均化を行うようにしてもよい。
ガンマ補正部144及び色空間変換部146は、それぞれ、ガンマ補正部134及び色空間変換部138と同様の回路構成を有するが、処理に適用される補正テーブルや係数は異なっている。
ブロック判定部148は、原稿に係る画像を縦横に分割して得られるブロックの各々が属する色区分を判定する。ここで、「ブロック」とは、例えば、縦30個×横30個の900個の画素集合を含む領域であり、スキャナ部112において600dpiで原稿を読み取って、縦2画素×横2画素の隣接する4画素について平均化を行った場合、原稿における縦5mm×横5mmの領域に相当する。したが、縦210mm×横297mmの原稿を600dpiで読み取って、縦2画素×横2画素の隣接する4画素について平均化を行った場合、原稿に係る画像は、縦42個×横60個の2520個のブロックに分割される。また、「ブロックの各々が属する色区分」は、1個の無彩色の色区分と、R,G,B,Y,M,Cの6個の有彩色の色区分との、合計7個の色区分から選択される。
さらに、ブロック判定部148は、無彩色の色区分に属するブロックの各々が属する輝度区分を判定する。「ブロックの各々が属する輝度区分」は、白,グレイ,黒の3個の輝度区分から選択される。
判定計数部150は、7個の色区分の各々に属するブロックの数を計数する。さらに、判定計数部150は、3個の輝度区分の各々に属するブロックの数も計数する。
モード判定部152は、ブロック判定部148の判定結果を利用して、画像に含まれる色の色区分を特定し、画像がカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるのかを判定する。「画像に含まれる色の色区分」も、1個の無彩色の色区分と、R,G,B,Y,M,Cの6個の有彩色の色区分との、合計7個の色区分から選択される。そして、モード判定部152は、画像がカラー画像であると判定した場合は、原稿がカラー原稿であると判定して、デジタル複合機1の処理モードをカラーモードに設定する。
モード判定部152は、画像がモノクロ画像であると判定した場合は、ブロック判定部148の判定結果を利用して、原稿の特徴をさらに判定し、原稿が白紙原稿、グレイ原稿及び白黒原稿のいずれであるのかを判定する。そして、モード判定部152は、原稿が白紙原稿であると判定した場合は、デジタル複合機1の処理モードを白紙モードに設定し、原稿がグレイ原稿であると判定した場合は、デジタル複合機1の処理モードをグレイ原稿に適したモードに設定し、画像が白黒原稿であると判定した場合は、デジタル複合機1の処理モードを白黒原稿に適したモードに設定する。
なお、画像がモノクロ画像であることが最初からわかっている場合は、モード判定部152において、画像がカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるのかを判定する必要はない。例えば、CCDラインセンサ132のGの読み取りラインのみを用いて生成したモノクロ画像データについて判定を行う場合やYCC画像データの輝度成分Yを抽出したモノクロ画像データについて判定を行う場合、画像がカラー画像及びモノクロ画像のいずれであるのかを判定する必要はない。
このような構成によれば、原稿を白紙原稿とみなせる場合、2値化部154及び圧縮伸張部118は、特に処理を行わない。
また、このような構成によれば、デジタル複合機1に、原稿の特徴に応じて、適切なコピー又はスキャンを行わせることができる。
<2.3 ブロック判定部>
続いて、図3のブロック図を参照しながら、ブロック判定部148の構成をより詳細に説明する。図3に示すように、ブロック判定部148は、アフィン変換部162、地色判定部163、単位データ判定部164、閾値設定部165、単位データ計数部166、色判定部168及び輝度判定部170を備える。
アフィン変換部162は、単位データの色差成分Cb,Crにアフィン変換を適用し、色差に関する色パラメータCb1,Cr1を得る。
地色判定部163は、図4に示す色平面H1における、単位データが表現する色に対応する点、すなわち、単位データの色パラメータCb1,Cr1をプロットした点の分布に基づいて、原稿が地色原稿であるか否かを判定する。さらに、地色判定部163は、原稿の地色を無彩色に変換するアフィン変換を特定する。
単位データ判定部164は、ブロックに含まれる画素集合ごとに、単位データが、先述の7個の色区分のいずれに属するのかを判定する。具体的には、単位データ判定部164は、色平面H1において、単位データが表現する色に対応する点、すなわち、単位データの色パラメータCb1,Cr1をプロットした点が、7個の部分領域mA,mM,mB,mC,mG,mY,mRのいずれに属するのかを判定し、単位データが表現する色に対応する点が属する部分領域に対応する色区分を、単位データが属する色区分とする。ここで、部分領域mA,mM,mB,mC,mG,mY,mRは、それぞれ、無彩色,M,B,C,G,Y,Rの色区分に対応している。
さらに、単位データ判定部164は、無彩色の色区分に属する単位データが、白,グレイ,黒のいずれに該当するかを判定する。具体的には、単位データ判定部164は、単位データの輝度成分Yと輝度に関する閾値Y1,Y2(Y1>Y2)との大小関係を調べ、Y≧Y1であれば、単位データが白に該当すると判定し、Y1>Y≧Y2であれば、単位データがグレイに該当すると判定し、Y2>Yであれば、単位データが黒に該当すると判定する。つまり、ここでいう「白」とは、図5の模式図に示すように、輝度が上限値Ymaxに達している「白とび」の状態ではなく、輝度が上限値Ymaxに近い一定の範囲内(Y1〜Ymax)にある明るい状態をいい、ここでいう「黒」とは、輝度が下限値Yminに達した「黒つぶれ」の状態ではなく、輝度が下限値Yminに近い一定の範囲内(Ymin〜Y2)にある暗い状態をいう。このようにすれば、原稿のわずかな汚れやCCDラインセンサ132において発生するノイズの影響を受けて、大部分の単位データがグレイに該当すると判定されてしまうことを防止することができる。
なお、単位データが属する無彩色の色区分の判定にあたって、YCbCr色空間における輝度成分Yで判定するかわりに、L***色空間における明度成分L*で判定してもよい。
閾値設定部165は、単位データ判定部164において単位データを輝度で白,グレイ,黒に分類する際の分類基準となる閾値Y1,Y2を可変に設定する。
単位データ計数部166は、7個の色区分の各々に属する単位データの数を計数する。さらに、単位データ計数部166は、無彩色の色区分に属する単位データについて、白,グレイ,黒に該当する単位データの数を計数する。
色判定部168は、単位データ計数部166の計数結果(色区分の各々に属する単位データの数)に基づいて、ブロックの各々が属する色区分を判定する。具体的には、上述の7個の色区分の各々について閾値をあらかじめ設定しておき、属する単位データの数が当該閾値を上回る色区分を、ブロックが属する色区分とする。なお、この判定方法によれば、ブロックが属する色区分が2個以上となることもありうる。
輝度判定部170は、単位データ計数部166の計数結果(白,グレイ,黒に該当する単位データの数)に基づいて、無彩色の色区分に属するブロックの各々が属する輝度区分を判定する。
具体的には、輝度判定部170は、グレイに該当する単位データの数(以下、「グレイ単位データ数」)NGに関するグレイ閾値TGg及び白グレイ閾値TGwg並びに黒に該当する単位データの数(以下、「黒単位データ数」)NBに関する白黒閾値TBwbをあらかじめ設定しておき、グレイ単位データ数NGとグレイ閾値TGg及び白グレイ閾値TGwgとの大小関係、黒単位データ数NBと白黒閾値TBwbとの大小関係を調べ、その結果に応じてブロックが属する輝度区分を特定する。すなわち、輝度判定部170は、グレイ単位データ数NGがグレイ閾値TGgより大きい(NG>TGg)場合、ブロック内の一定以上の領域がグレイ部であることから、ブロックがグレイの輝度区分に属すると判定する。一方、輝度判定部170は、グレイ単位データ数NGが白グレイ閾値TGwgより小さく(NG<TGwg)、かつ、黒単位データ数NBが白黒閾値TBwbより小さい(NB<TBwb)場合、ブロック内の一定以上の領域が明部であることから、ブロックが白の輝度区分に属すると判定する。さらに、輝度判定部170は、残余の場合、ブロックが黒の輝度区分に属すると判定する。
ただし、輝度判定部170によるブロックが属する輝度区分の特定は、これ以外の方法で行ってもよく、単位データ判定部164が単位データを輝度で分類した結果を利用して様々に行うことができる。例えば、白に該当する単位データの数(以下、「白単位データ数」)NWを考慮に入れてブロックが属する輝度区分を判定するようにしてもよいし、白単位データ数NW、グレイ単位データ数NG及び黒単位データ数NBのうちの1個のみを考慮して、ブロックが属する輝度の区分を判定するようにしてもよい。
後者の例としては、例えば、グレイ単位データ数NGがグレイ閾値TGgより大きければ(NG>TGg)、ブロックがグレイの輝度区分に属すると判定し、グレイ単位データ数NGがグレイ閾値TGg以下で白グレイ閾値TGwgより大きければ(TGg≧NG>TGwg)、ブロックが黒の輝度区分に属すると判定し、グレイ単位データ数NGが白グレイ閾値TGwg以下であれば(TGwg≧NG)、ブロックが白の輝度区分に属すると判定するようにすることが考えられる。もちろん、このような判定を採用する場合、単位データがグレイの輝度区分に属するか否かのみを判定すればよいので、モード判定処理のための構成を簡略化することができる。このようなグレイ単位データ数NGのみに基づく判定は、ブロック内に暗部があれば、明部と暗部との境界にグレイ部が必ず存在すると考えられることから採用しうるものである。なお、この判定によれば、画像全体が明部又は暗部であれば、全てのブロックが白の輝度区分に属すると判定される。
さらに別の例としては、白単位データ数NW、グレイ単位データ数NG及び黒単位データ数NBのうちの2個のみを考慮して、ブロックが属する輝度の区分を判定するようにしてもよい。
例えば、(1)グレイ単位データ数NGが閾値TGより大きく(NG>TG)、黒単位データ数NBが閾値TBより大きければ(NB>TB)、明部と暗部との境界にグレイ部が存在していると考えられるので、ブロックが黒の輝度区分に属すると判定し、(2)グレイ単位データ数NGが閾値TGより大きく(NG>TG)、黒単位データ数NBが閾値TB以下であれば(TB≧NB)、主にグレイ部が存在するので、ブロックがグレイの輝度区分に属すると判定し、(3)グレイ単位データ数NGが閾値TG以下で(TG≧NG)、黒単位データ数NBが閾値TBより大きければ(NB>TB)、主に暗部が存在するので、ブロックが黒の輝度区分に属すると判定し、(4)グレイ単位データ数NGが閾値TG以下で(TG≧NG)、黒単位データ数NBが閾値TB以下であれば(TB≧NB)、主に明部が存在すると考えられるので、ブロックが白の輝度区分に属すると判定する。もちろん、このような判定を採用する場合、単位データがグレイの輝度区分に属するか否か及び黒の輝度区分に属するか否かのみを判定すればよいので、モード判定処理のための構成を簡略化することができる。
このようなブロックごとの色区分及び輝度区分の判定を採用すれば、ブロックの大きさより著しく小さい汚れが原稿にあっても、当該汚れは「ブロックが属する色区分」及び「ブロックが属する輝度区分」に影響を与えないので、原稿の特徴を適切に判定できるようになる。
また、このようなブロックごとの色区分の判定を採用すれば、あるブロックの大部分の領域が無彩色の領域であり、当該ブロックの残余の領域が有彩色の領域である場合に、当該ブロックが属する色区分として、有彩色の色区分を採用することができるので、カラー画像と判定すべき画像をモノクロ画像と判定してしまうことを減らすことがができる。
さらに、このようなブロックごとの色区分及び輝度区分の判定を採用すれば、判定に用いるブロックを適宜選択することにより、判定の対象とする原稿上の領域を所望の範囲とすることができる。
<2.4 色平面H1について>
色平面H1は、色パラメータCb1と対応づけられたCb1軸(横軸)と色パラメータCr1と対応づけられたCr1軸(縦軸)との2本の座標軸が直交する2次元色平面である。
色平面H1は、YCbCr色空間のCbCr色度図と同様に、原点Oに近づくにつれて示す彩度が低下する性質を有している。このため、色平面H1においては、原点Oを含む部分領域mAは、無彩色の色区分に対応する部分領域とされている。部分領域mAは、Cb1軸に平行な2本の彩度境界線D01,D02と、Cr1軸に平行な2本の彩度境界線D03,D04とに囲まれる正方形(より一般的には,長方形)の領域となっている。このような部分領域mAを色平面H1に設定すれば、色パラメータCb1が上限値−wと下限値+wとの間に含まれているか否か、及び、色パラメータCr1が下限値−wと上限値+wとの間に含まれているか否かを確かめれば、複雑な演算を行うことなく、単位データが表現する色に対応する点が部分領域mAに属するか否かを判定することができるので、モード判定処理において、画像がモノクロ画像であるか否かの判定が容易になる。
部分領域mAの外側には、原点Oから放射状に伸びる色相境界線D1〜D6で区切られた、6個の有彩色の部分領域mM,mB,mC,mG,mY,mRが設定されている。色平面H1では、色相境界線D1が部分領域mRと部分領域mMとの境界、色相境界線D2が部分領域mMと部分領域mBとの境界、色相境界線D3が部分領域mBと部分領域mCとの境界、色相境界線D4が部分領域mCと部分領域mGとの境界、色相境界線D5が部分領域mGと部分領域mYとの境界、色相境界線D6が部分領域mYと部分領域mRとの境界になっている。
色相境界線D1〜D6のうち、色相境界線D1,D4はCr1軸上に設定され、色相境界線D2,D3,D5,D6は、それぞれ、各象限を二等分するように、すなわち、各象限においてCb1軸及びCr1軸と45°の角度をなすように設定される。色相境界線D1〜D6をこのように設定すれば、色パラメータCb1,Cr1の正負及び色パラメータCb1の絶対値と色パラメータCr1の絶対値との大小関係から、色パラメータCb1,Cr1を色平面H1にプロットした点(以下、「プロット点」)が、6個の部分領域mM,mB,mC,mG,mY,mRのいずれに属するかを容易に判定することができる。例えば、色パラメータCb1,Cr1の両方が正であれば、プロット点が第1象限に存在すると判断でき、色パラメータCr1の絶対値が色パラメータCb1の絶対値より大きければ、プロット点が部分領域mMに属すると判断することができる。
このような色平面H1は、YCbCr色空間のCbCr色度図に相当する色平面H0に回転変換やスケーリング変換等のアフィン変換を適用することにより、得ることができる。
ここで、図6〜図8を参照しながら、色平面H1を得る方法を説明する。
色平面H1を得るのにあたっては、まず、図6に示すような、YCbCr色空間のCbCr色度図に相当する色平面H0、すなわち、色差成分Cbと対応づけられたCb軸(横軸)と色差成分Crと対応づけられたCr軸(横軸)との2本の座標軸が直交した直交座標系を有する色平面H0に、色相境界線D1〜D6を設定する。色相境界線D1〜D6は、人間の視覚に基づいて設定すればよいが、人間の視覚に基づいてそのまま設定すると原点Oに関して略対称となる2本の色相境界線(例えば、色相境界線D2,D5)が原点Oを通る1本の直線上に乗るように設定する。
続いて、縦軸に近い色相境界線D1,D4が縦軸と一致するように、原点Oを中心とする回転変換を色相全体に適用する。これにより、図7に示すような、色パラメータCb2と対応づけられたCb2軸(横軸)と色パラメータCr2と対応づけられたCr2軸(縦軸)との2本の座標軸が直交した直交座標系を有する色平面H2が得られる。
さらに続いて、縦軸と一致していない色相境界線D2,D3,D5,D6が各象限において横軸及び縦軸と45°の角度をなすように、異方的スケーリング変換(横軸方向と縦軸方向とで拡大率又は縮小率が異なるスケーリング変換)を色相全体に適用する。これにより、図8に示すような、色パラメータCb3と対応づけられたCb3軸(横軸)と色パラメータCr3と対応づけられたCr3軸(縦軸)との2本の座標軸が直交した直交座標系を有する色平面H3が得られる。
この色平面H3に対して、さらに、彩度境界線D01〜D04を設定することにより、図4に示す色平面H1が得られる。
なお、色空間変換部146において、RGB色空間で表現された画像データを、L***色空間で表現された画像データへ変換するようにした場合、ブロック判定部148で用いる色平面H1は、色度成分a*と対応づけられたa*軸と色度成分b*と対応づけられたb*軸との2本の座標軸が直交した直交座標系を有する2次元の色平面に回転変換やスケーリング変換等のアフィン変換を同様に適用することにより得られるものとすればよい。
より一般的には、色空間変換部146が出力する画像データが1個の無彩成分(例えば、YIQ色空間における輝度成分Y、YCbCr色空間における輝度成分Y、L***色空間における明度成分L、L***色空間における明度成分L等)と2個の有彩成分(例えば、YIQ色空間における色差成分I,Q、YCbCr色空間における色差成分Cb,Cr、L***色空間における色度成分a*,b*、L***色空間における明度成分u*,v*等)とから構成される場合、ブロック判定部148で用いる色平面H1は、第1の有彩成分と対応づけられた有彩軸と第2の有彩成分と対応づけられた有彩軸との2本の座標軸が直交した直交座標系を有する2次元の色平面に回転変換やスケーリング変換等のアフィン変換を同様に適用することにより得られるものとすればよい。
なお、これまでに説明したような色平面H1をブロック判定部148で用いれば、単位データが属する色区分の判定を行う際の演算量を減らすことができるが、このことは、色平面H1以外の色平面を用いることを妨げるものではない。例えば、図5に示すような、YCbCr色空間のCbCr色度図に相当する色平面H0に原点Oを含む部分領域mAを設定したものを用いることもできる。
また、上述の説明では、原点Oから放射状に伸びる色相境界線D1〜D5で色平面H1を6個の有彩色の部分領域mM,mB,mC,mG,mY,mRに分割し、単位データが表現する色に対応する点と色相境界線D1〜D5との位置関係(色パラメータCb1の絶対値と色パラメータCrの絶対値との大小関係)を判定することにより単位データが属する色区分を判定するとしたが、有彩色の部分領域の数は、色相境界線の数を増やすことにより容易に増やすことができる。このため、色平面H1を7個以上の有彩色の部分領域に分割し、1個の無彩色の色区分と7個以上の有彩色の色区分との、合計8個以上の色区分から単位データが属する色区分を選択するようにすることも容易である。
<3 モード判定処理>
図9は、デジタル複合機1におけるモード判定処理の流れを示すフローチャートである。
モード判定処理にあたっては、最初に、モード判定部152が、原稿がカラー原稿であるか否かを判定する(ステップS101)。このとき、モード判定部152は、色区分の各々に属するブロックの数を判定計数部150から取得するとともに、あらかじめ設定されたカラー判定基準値をROM104から取得し、有彩色の色区分に属するブロックの数の合計とカラー判定基準値との大小関係を調べる。そして、モード判定部152は、有彩色の色区分に属するブロックの数の合計がカラー判定基準値以上である場合は、原稿に係る画像がカラー画像であると判定し、原稿がカラー原稿であると判定する。
そして、モード判定部152は、原稿がカラー原稿であると判定した場合(ステップS101で"YES")、デジタル複合機1の処理モードをカラーモードに設定する(ステップS102)。
一方、モード判定部152は、原稿がカラー原稿でないと判定した(モノクロ原稿であると判定した)場合(ステップS101で"NO")、原稿が白紙原稿であるか否かを続いて判定する(ステップS103)。このとき、モード判定部152は、白の輝度区分に属するブロックの数を判定計数部150から取得し、全てのブロックが白の輝度区分に属している場合、原稿に係る画像の全体を白部が占めていることから、原稿が白紙原稿であると判定する。
そして、モード判定部152は、原稿が白紙原稿であると判定した場合(ステップS103で"YES")、デジタル複合機1の処理モードを白紙原稿に適した白紙モードに設定する(ステップS104)。
また、モード判定部152は、原稿が白紙原稿ではないと判定した場合(ステップS103で"NO")、原稿がグレイ原稿であるか否かをさらに判定する(ステップS105)。このとき、モード判定部152は、グレイの輝度区分に属するブロックの数を判定計数部150から取得するとともに、あらかじめ設定されたグレイ基準値をROM104から取得し、属するブロックの数とグレイ基準値との大小関係を比較する。そして、モード判定部152は、属するブロックの数がグレイ基準値を上回っている場合は、原稿に係る画像の一定部分をグレイが占めていることから、原稿がグレイ原稿であると判定する。
そして、モード判定部152は、原稿がグレイ原稿であると判定した場合(ステップS105で"YES")、デジタル複合機1の処理モードをグレイ原稿に適したモードに設定し(ステップS106)、そうでない場合(ステップS105で"NO")、デジタル複合機1の処理モードを白黒原稿に適したモードに設定する(ステップS107)。
このようなモード判定処理によれば、原稿に係る画像がモノクロ画像であっても、原稿の特徴に適した処理をデジタル複合機1に行わせることができる。例えば、デジタル複合機1においては、多階調で表現する必要性が低い白黒原稿に係る画像データには2値化処理が行われる一方で、多階調で表現する必要性が高いグレイ原稿に係る画像データには2値化処理は行われないか、階調の再現性を重視した2値化処理が行われる。又は、デジタル複合機1においては、実質的な画像情報を含まない白紙原稿に係る画像データのプリントのために画像形成エンジンを動作させることがなくなっている。
なお、このような判定処理によれば、グレイ基準値が変化するとモード判定部152の判定結果も変化するので、所望の処理が行われるようにグレイ基準値を調整することができるようにしてもよい。
また、上述した原稿の特徴の判定基準は、良好な結果が得られる一例であるが、他の判定基準を採用することを妨げるものではない。例えば、全てのブロックが白の輝度区分に属している場合に原稿が白紙原稿であると判定する代わりに、白の輝度区分に属するブロックの数が所定数以上となった場合に原稿が白紙原稿であると判定するようにしてもよい。あるいは、黒の輝度区分に属するブロックの数も考慮に入れ、例えば、全てのブロックが黒の輝度区分に属している場合にも原稿が白紙原稿であると判定するようにしてもよい。
<4 閾値Y1の設定>
図10は、ブロック判定部148における処理の流れを示すフローチャートである。デジタル複合機1では、原稿が地色原稿である場合は、地色の影響を排除するための前処理を行ったうえで、ブロックの各々が属する輝度区分の判定基準となる閾値Y1を原稿の特徴にあわせて可変に設定することにより、原稿の特徴によらず原稿が白紙であるか否かを判定することができるようにしている。なお、デジタル複合機1では、判定基準が輝度Y1という数値で表現されているので、判定基準を可変に設定することが容易になっている。
図10のフローチャートにしたがって具体的に説明すると、デジタル複合機1は、ステップS111〜S112において、原稿が地色原稿であるか否かを判定する。すなわち、アフィン変換部162が、原稿の一部(典型的には、余白である可能性が高い原稿の端部)又は全部の領域の単位データの色差成分Cb,Crにアフィン変換AT1を適用し(ステップS111)、地色判定部163が、色平面H1における、単位データの色パラメータCb1,Cr1をプロットした点(以下、「プロット点」)の分布に基づいて、原稿が地色原稿であるか否かを判定する(ステップS112)。例えば、図11に示すように、プロット点の大部分が、原点Oから離れた点Qを中心とする一定の範囲Rに分布している場合、地色判定部163は、原稿が点Qに対応する色を地色とする地色原稿であると判定する。ここで、アフィン変換AT1は、色平面H0から色平面H1を得る際に色相全体に適用されるアフィン変換と同じものとなっており、ブロック判定部148で用いる色平面H1に単位データを適合させるためのものとなっている。
原稿が地色原稿でないと判定された場合(ステップS112で"NO")、閾値設定部172が、閾値Y1のデフォルト値をROM105から読み出して、閾値Y1を、当該デフォルト値に設定する(ステップS113)。
続いて、アフィン変換部162が、単位データの色差成分Cb、Crにアフィン変換AT1を適用し(ステップS114)、単位データ判定部164が、アフィン変換AT1の適用により得られた色パラメータCb1,Cr1を用いて、単位データが属する色区分を特定し(ステップS115)、無彩色の色区分に属する単位データを白,グレイ,黒に分類する(ステップS116)。この結果は、単位データ計数部166に与えられ、色判定部168及び輝度判定部170により、ブロックが属する色区分及び輝度区分が判定される(ステップS117)。
一方、原稿が地色原稿であると判定された場合(ステップS112で"YES")、閾値設定部172が、閾値Y1を、上述のデフォルト値より低い黒寄りの値に設定する(ステップS118)。ステップS118において、閾値Y1をデフォルト値より低い値に設定するのは、原稿の地色を無彩色に変換した場合、原稿に係る画像が一様なグレイ画像となるので、Y1をデフォルト値より低い値に設定して白とみなす輝度範囲を拡大すれば、白紙であるか否かを適切に判定できるようになるからである。閾値Y1の低下量は、一定値としてもある程度の効果を得ることができるが、地色を変換して得られた無彩色の輝度に応じて変化させ、当該無彩色が単位データ判定部164において白に分類されるようにすることが白紙であるか否かを適切により判定する上で望ましい。
続いて、地色判定部163が、原稿の地色を無彩色に変換するアフィン変換AT2、より具体的には、色平面H1において、点Qを原点Oに移動させるアフィン変換AT2を特定し(ステップS119)、当該アフィン変換AT2にあわせて、彩度境界線D01〜D04を再設定する(ステップS120)。
そして、アフィン変換部162が、単位データの色差成分Cb,Crにアフィン変換AT1,AT2を適用し(ステップS121)、単位データ判定部164が、アフィン変換AT1,AT2の適用により得られた色パラメータCb1,Cr1を用いて、単位データが属する色区分を特定し(ステップS122)、無彩色の色区分に属する単位データを白,グレイ,黒に分類する(ステップS123)。この結果は、単位データ計数部166に与えられ、色判定部168及び輝度判定部170により、ブロックが属する色区分及び輝度区分が判定される(ステップS124)。
このような処理の流れにより、デジタル複合機1では、原稿の地色が濃い場合や原稿において裏写りがある場合でも、原稿が白紙であるか否かを適切に判定することができる。
<5 その他>
上述の実施形態では、単位データ又はブロックが属する輝度区分を、3個の輝度区分の候補から選択したが、4個以上の輝度区分の候補から選択するようにしてもよい。単位データ又はブロックが属する輝度区分を4個以上の輝度区分から選択するようにした場合、例えば、高輝度側の1個の輝度区分を白の輝度区分、低輝度側の1個の輝度区分を黒の輝度区分、白の輝度区分と黒の輝度区分との間にある中間輝度の2個以上の輝度区分をグレーの輝度区分とみなすことができる。もちろん、高輝度側の2個以上の輝度区分を白の輝度区分とすることや、低輝度側の2個以上の輝度区分を黒の輝度区分とすることも許される。なお、単位データ又はブロックが属する輝度区分の候補の数は、特に制限されないが、コンピュータによる処理の便宜上、8個となることがある。
本発明の望ましい実施形態に係るデジタル複合機1の全体構成を示すブロック図である。 スキャンモード及びプリントモードにおけるデジタル複合機1の処理と関連する構成を示すブロック図である。 ブロック判定部148の構成を示すブロック図である。 ブロック判定部148で用いる色平面H1を示す図である。 単位データ判定部164における白,グレイ,黒の輝度範囲を説明する図である。 YCbCr色空間のCbCr色度図に相当する色平面H0を示す図である。 Cb2軸とCr2軸とが直交した直交座標系を有する色平面H2を示す図である。 Cb3軸とCr3軸とが直交した直交座標系を有する色平面H3を示す図である。 デジタル複合機1におけるモード判定処理の手順を示すフローチャートである。 ブロック判定部における処理の流れを示すフローチャートである。 色平面H1における、単位データの色パラメータCb1,Cr1をプロットした点の分布を示す図である。
符号の説明
1 デジタル複合機
102 CPU
104 ROM
106 RAM
108 画像メモリ
112 スキャナ部
114 プリンタ部
116 画像処理部
118 圧縮伸張部
PRG プログラム

Claims (8)

  1. 原稿が白紙であるか否かを判定する画像色判定装置であって、
    前記原稿に係る画像データの構成単位を輝度で分類する分類手段と、
    前記分類手段の分類結果を利用して、前記原稿に係る画像を分割して得られるブロックの各々が属する輝度区分を判定する輝度区分判定手段と、
    前記輝度区分判定手段の判定結果を利用して、前記原稿が白紙であるか否かを判定する白紙判定手段と、
    前記原稿が地色原稿であるか否かを判定する地色判定手段と、
    を備え、
    前記地色判定手段により前記原稿が地色原稿であると判定された場合、前記分類手段において前記構成単位を輝度で分類する際の閾値を前記原稿が地色原稿でない場合よりも黒方向に移動させることを特徴とする画像色判定装置。
  2. 複数の画素を含む画素集合ごとに画素データを平均化する平均化手段、
    をさらに備え、
    前記平均化手段により平均化された画素データを前記構成単位とすることを特徴とする請求項1に記載の画像色判定装置。
  3. 原稿から記録媒体へ画像をコピーするコピー手段、
    をさらに備え、
    コピーの際の変倍率に基づいて前記画素集合に含まれる画素の数を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像色判定装置。
  4. 前記画像データの解像度を変換する変換手段、
    をさらに備え、
    前記変換手段により解像度が変換される前の画像データに基づいて原稿が白紙であるか否かを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像色判定装置。
  5. 前記地色判定手段により前記原稿が地色原稿であると判定された場合、前記地色原稿の地色を無彩色に変換するアフィン変換を前記画像データに適用する適用手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像色判定装置。
  6. 前記地色の輝度に応じて前記閾値の移動量を変化させることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像色判定装置。
  7. 原稿が白紙であるか否かを判定する画像色判定方法であって、
    前記原稿に係る画像データの構成単位を輝度で分類する分類工程と、
    前記分類工程の分類結果を利用して、前記原稿に係る画像を分割して得られるブロックの各々が属する輝度区分を判定する輝度区分判定工程と、
    前記輝度区分判定工程の判定結果を利用して、前記原稿が白紙であるか否かを判定する白紙判定工程と、
    前記原稿が地色原稿であるか否かを判定する地色判定工程と、
    を備え、
    前記地色判定工程により前記原稿が地色原稿であると判定された場合、前記分類工程において前記構成単位を輝度で分類する際の閾値を前記原稿が地色原稿でない場合よりも黒方向に移動させることを特徴とする画像色判定方法。
  8. 原稿が白紙であるか否かを判定する画像色判定プログラムであって、
    前記原稿に係る画像データの構成単位を輝度で分類する分類手順と、
    前記分類手順の分類結果を利用して、前記原稿に係る画像を分割して得られるブロックの各々が属する輝度区分を判定する輝度区分判定手順と、
    前記輝度区分判定手順の判定結果を利用して、前記原稿が白紙であるか否かを判定する白紙判定手順と、
    前記原稿が地色原稿であるか否かを判定する地色判定手順と、
    をコンピュータに実行させ、
    前記地色判定手順により前記原稿が地色原稿であると判定された場合、前記分類手順において前記構成単位を輝度で分類する際の閾値を前記原稿が地色原稿でない場合よりも黒方向に移動させることを特徴とする画像色判定プログラム。
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