JP2008066099A - 継電器及びこれを用いた電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は継電器及びこれを用いた電子機器に関し、接点の開閉両方をゼロ点制御させる継電器及びこれを用いた電子機器を得ることを目的とする。
【解決手段】交流電源1のゼロボルトに同期したゼロ点信号bを出力する信号発生手段11と、接点12Bの開閉を検出し開閉信号eを出力する開閉検出手段13と、接点12Bの開閉動作を駆動する駆動手段12Aと、駆動手段12Aに駆動開始/停止の制御信号dを出力するとともに、接点12Bの開閉から次のゼロ点信号bまでの時間を計時する計時手段14aを有する制御手段14とを備えてリレー10を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒータなどの交流負荷回路において交流電源のゼロボルト(以後、ゼロ点と記載する)近傍で接点の開閉を制御(以後、ゼロ点制御と記載する)させる制御回路を内蔵する継電器及びこれを用いた電子機器に関するものである。
ここで、交流負荷の種類としては、ヒータなどの抵抗負荷、モータやトランス、ソレノイドおよび白熱電球などの誘導負荷、水銀灯や蛍光灯およびナトリウム灯などの容量負荷がある。
近年、電気湯沸かし器や門灯機器などの電子機器は、交流電源の交流負荷への通断電に継電器を用いる機器が一般的である。その際、継電器の例えば電磁リレー(以後、リレーと記載する)に、接点の開閉時に発生するアーク放電を防止する制御回路を内蔵し機器を構成することが提案されている。
このような従来のリレー、より詳しくはアーク放電を最小限にするための制御回路を内蔵するリレーについて、図5、図6を用いて説明する。
図5は従来のリレーの回路ブロック図であり、同図において、51は信号発生手段で、信号発生手段51は、交流電源1を変圧・整流して形成された脈流波形から、脈流波形がゼロボルトと交差したときにパルス状のゼロ点信号b1を出力する。
そして、52Bは接点で、接点52Bは固定接点と可動接点を有して形成され、交流電源1と交流負荷2との間に直列接続されている。
また、52Aは駆動手段で、駆動手段52Aはコイルおよび可動接点を一体に備えた可動鉄片により形成され、コイルに通電すると電磁石の作用で可動鉄片が吸引され、コイルに断電すると可動鉄片が開放される。この可動鉄片に連動して可動接点が動作し固定接点との間の開閉を行う。
このようにして駆動手段52Aは接点52Bの開閉を駆動する。なお、可動鉄片の吸引を接点52Bの閉動作または動作時間、可動鉄片の開放を接点52Bの開動作または復帰時間として以後説明する。
さらに、53はアーク検知器で、アーク検知器53は、接点52Bの近傍に設置されるとともに、接点52Bが主に開動作の際に発生するアーク放電時間のアーク信号e1を出力する。なお、アーク検知器53は可視光検知デバイスのホトトランジスタである。
また、54は制御手段で、制御手段54は外部からリレー作動の命令信号c1を受けて制御信号d1を出力する。そのことで駆動部55は動作し、その結果、駆動手段52Aが所定の開閉動作をする。
一方、アーク検知器53は、駆動手段52Aにより駆動され開閉する接点52Bが開動作の際に発生するアーク放電時間のアーク信号e1を制御手段54にフィードバックする。
なお、制御手段54は各信号や接点52Bの開閉時間やアーク放電時間の計時、およびそれらの時間を演算する演算回路54aを内蔵して形成されている。
さらに、56は直流電源で、直流電源56は交流電源1を変圧・整流し、さらにレギュレータIC(図示せず)などにより直流平滑し生成した、所定の定格電圧Vdを制御手段54などに供給している。
上記説明した信号発生手段51から直流電源56までの制御回路が図示しないハウジング内に内蔵され、外部との電気接続のための端子M1〜M4を設けてリレー50が構成されている。
以上の構成において、リレー50がアーク放電を最小限にするための制御動作について、例えば電子機器は門灯機器で、門灯を点灯から消灯にする場合、つまりリレー50が閉から開になる場合の制御動作について、図6を用いて説明する。
図6(a)は交流電源1の単サイクルの交流波形で代表的な正弦波波形である。ここで、位相0度から180度までの正の半サイクルが正電流または正電圧、180度から360度までの負の半サイクルが負電流または負電圧である。
また、0度、360度におけるt01、t03の各ゼロ点が正ゼロ点、180度におけるt02のゼロ点が負ゼロ点である。図6(b)は各ゼロ点t01、t02、t03におけるパルス状のゼロ点信号b1である。
そして、門灯を点灯から消灯にする場合は、図示しない門灯機器から端子M4を介して図6(c)に示す命令信号c1が正の半サイクルの時間t1に制御手段54に入力され、制御手段54は図6(d)に示すように次のゼロ点t02を受信して、時間t2にHからLになる開信号の制御信号d1を駆動部55に出力する。
上記制御信号d1が入力された駆動部55は、駆動手段52Aを通電から断電に移行させる動作を行い、その結果、接点52Bは閉から開になる動作を行う。つまり、接点52Bは、制御手段54が制御信号d1を出力した時間t2から復帰時間Tb経過後の時間t3に開になる。
この結果、接点52Bには時間t3から次のゼロ点t03までの時間Txにアーク放電が発生する。このアーク放電時間Txは、図6(e)に示すように、アーク検知器53によってアーク信号e1として制御手段54にフィードバックされる。
したがって、アーク信号e1をフィードバックされた制御手段54は、内部の演算回路54aにより、次回の開信号の制御信号d1を出力する時間をt2+Txと演算して図6(d)に示す時間t4に設定する。
その結果、リレー50は、接点52Bの開閉が交流電源1のゼロ点近傍でゼロ点制御されることによって、アーク放電の発生時間を短くすることができるものであった。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開平3−167719号公報
しかしながら、上記従来の継電器及びこれを用いた電子機器においては、接点52Bがアーク放電を発生するのは開動作時のみであり、接点52Bの閉動作時におけるアーク放電の発生の無いときはフィードバック制御ができないため、接点の開閉両方をゼロ点制御させることが困難である、という課題があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、接点の開閉両方をゼロ点制御させる継電器及びこれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の継電器及びこれを用いた電子機器は、以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、接点の開閉から次のゼロ点信号までの時間を計時する計時手段を有する制御手段が、接点の開閉を検出する開閉検出手段の開閉信号に基づいて、接点の開閉動作を駆動する駆動手段への制御信号の出力タイミングをフィードバック制御するようにして継電器を構成したものであり、制御手段が接点の開閉時点とゼロ点との時間差を計測して、自らの制御信号の出力タイミングをフィードバック制御できるため、接点の開閉両方をゼロ点制御させる継電器を得ることができるという作用を有する。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、制御手段は、接点の開閉が交流電源の正負交互になるように制御信号を出力するとしたものであり、接点の開閉を交流電源の正負交互に制御することによって接点電流の方向を交互にできるため、接点電流が一定方向の際に生じる接点転移現象を防止できるという作用を有する。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、制御手段は、接点が軽溶着などの不開離現象が生じていると判断した際に制御信号を短いパルス信号に変えるとしたものであり、パルス信号により接点の軽溶着などを外すことができるという作用を有する。
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明において、制御手段は、接点の寿命末期を判断した際に報知するとしたものであり、使用者などにメンテナンスを促すことができるという作用を有する。
請求項5に記載の発明は、請求項1記載の発明において、交流負荷に流れる突入電流を検出する電流検知素子を備え、制御手段が、電流検知素子の交流負荷に応じて異なる突入電流波形の電流信号により交流負荷の種類を判別するとしたものであり、制御手段が、交流負荷に応じて制御信号の出力タイミングを変えることができるという作用を有する。
請求項6に記載の発明は、請求項1記載の継電器を用い、継電器の動作による交流負荷への通断電状態を検知し検知信号を出力する検知素子と、検知信号から機器の動作状態を認識し、その結果を表示手段に表示させる本体制御部とを備えた電子機器としたものであり、継電器自らがゼロ点制御を行う制御回路を内蔵しているため、電子機器側の本体制御部は継電器の制御を行う必要がなくソフト処理の負担を軽減できるという作用を有する。
以上のように本発明によれば、接点の開閉両方をゼロ点制御させる継電器及びこれを用いた電子機器を得ることができるという有利な効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、継電器の一例である電磁リレー(以後、リレーと記載する)を例に図1〜図4を用いて説明する。
なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるリレーの回路ブロック図であり、同図において、11は信号発生手段で、信号発生手段11は、入力側が交流電源1の一方の端子AC1に接続され、交流電源1の電圧のゼロボルトに同期したゼロ点信号bを発生するように形成されている。
そして、12Bは接点で、接点12Bは固定接点と可動接点を有して形成され、交流電源1と交流負荷2との間に直列接続されている。
また、12Aは駆動手段で、駆動手段12Aはコイルと可動接点を一体に備えた可動鉄片とにより形成され、コイルに通電すると電磁石の作用で可動鉄片が吸引され、コイルに断電すると可動鉄片が開放される。この可動鉄片に連動して可動接点が動作し固定接点との間の開閉を行う。
次に、13は開閉検出手段で、開閉検出手段13は、入力側が接点12Bと交流負荷2との中点に接続され、駆動手段12Aの駆動による接点12Bの開閉時点を検出し開閉信号eを出力するように形成されている。
また、14は制御手段で、制御手段14は駆動手段12Aに駆動部15を介して駆動開始/停止の制御信号dを出力し、かつ制御信号dにより開閉する接点12Bの開閉信号eがフィードバックされるように形成されている。
そして、制御手段14は開閉信号eに基づいて接点12Bの開閉時点から次のゼロ点信号までの時間TCを計時手段14aにより計時し、その結果、次回の制御信号dの出力タイミングTAを、時間TCと予め記憶された所望時間TSとが等しくなるようにフィードバック制御して出力する。
さらに、制御手段14は、接点12Bの寿命末期などを検知して報知する報知手段としてのLED16を備えるとともに接点12Bの閉動作時に交流負荷2に流れる突入電流を検出する電流検知素子17からの電流信号fを受信する。
上記説明した信号発生手段11から電流検知素子17までの制御回路が図示しないハウジング内に内蔵され、外部との電気接続のための端子T1〜T5を設けてリレー10が構成されている。
次に、電子機器20の構成について説明する。
まず、21は検知素子で、検知素子21は交流負荷2への通断電状態を検知して検知信号xを本体制御部24に伝送するように形成されている。
ここで、検知素子21には、例えば電気湯沸かし器では内容器内の湯温を検知するサーミスタなどの温度検知素子、門灯機器では門灯の照度を検知する光検知素子などがある。
そして、本体制御部24は、使用者が操作する操作スイッチや門灯に人が近づいたことを自動検知する電子スイッチなどのスイッチ22や、検知素子21の検知信号xから機器の動作状態を認識し、その結果を表示させる表示手段として液晶素子やLED23を備えている。
ここで、本体制御部24は、スイッチ22の操作信号yを受信すると、リレー10に対しリレー作動のための命令信号cを出力するように形成されている。
また、25は直流電源で、直流電源25は交流電源1を変圧・整流し、さらにレギュレータIC(図示せず)などにより直流平滑して所定の定格電圧Vdをリレー10や本体制御部24などに供給している。
そして、リレー10の端子T1〜T5のそれぞれと電気接続されて電子機器20が構成されている。なお、説明の便宜上ポートP1〜P4の右を回路側、左を負荷側と称する。
以上の構成において、リレー10が接点の開閉をゼロ点近傍で動作させる制御について、例えば電子機器は門灯機器、交流負荷は白熱電球などの門灯で、門灯を点灯から消灯にする場合、つまり、リレー10が閉から開になる場合の制御動作について、図2を用いて説明する。
なお、以後の説明では駆動手段12Aの可動鉄片の吸引を接点12Bの閉動作または動作時間、可動鉄片の開放を接点12Bの開動作または復帰時間として説明する。
図2はリレー10が閉から開になる場合の動作タイミング図で、同図は上から順に交流電源1の交流波形、信号発生手段11のゼロ点信号b、本体制御部24の命令信号c、制御手段14の制御信号dおよび開閉検出手段13の開閉信号eをそれぞれ示している。
図2(a)は交流電源1の単サイクルの交流波形で代表的な正弦波波形である。ここで、位相0度から180度までの正の半サイクルが正電流または正電圧、180度から360度までの負の半サイクルが負電流または負電圧である。
また、0度、360度における負から正側に切替わるゼロ点t01、t03が正ゼロ点、逆に正から負側に切替わる180度におけるゼロ点t02が負ゼロ点である。
図2(b)のゼロ点信号bは、各ゼロ点t01、t02、t03毎にH/Lの二値が切替わるように信号発生手段11により形成されている。つまり、t01、t03の正ゼロ点でLからHに、t02の負ゼロ点でHからLに、それぞれ切替わるように形成されており、このことから接点12Bの開閉が交流波形の正負交互に成されるように制御手段14で制御できる。
そして、門灯機器20から、交流負荷2の門灯が点灯から消灯になるようにスイッチ22がオフ操作された場合、本体制御部24は、スイッチ22からの操作信号yを受信するとリレー10に対してリレー作動のための命令信号cを出力する。
一方、この命令信号cが正の半サイクルのt1時点で入力されたリレー10の制御手段14は、信号発生手段11からのゼロ点信号bがHであることを認識するとともに、ゼロ点信号bがHからLに切替わる次のゼロ点t02を待って、かつ、このゼロ点t02から所定の時間TA経過後のt2時点に制御信号dを駆動部15に出力する。
この制御信号dが入力された駆動部15により駆動手段12Aは開動作するが、接点12Bは閉状態から直ぐに開になることはなく、駆動手段12Aの機械的動作による復帰時間TB経過後のt3時点で開になる。
この接点12Bが閉から開に移行したことをt3時点で検知した開閉検出手段13は、開閉信号eを閉状態のHから開状態のLに切替えて制御手段14に伝送する。そのことで、制御手段14は計時手段14aによりt3時点から計時を開始して次のゼロ点t03までの時間TCを計時する。
この計時結果、つまり開閉信号eの時間TCに基づいて、制御手段14は予め自らに記憶された所望時間TSと時間TCが同じになるように、次式により次回の時間TA、つまり制御信号dの出力タイミングTAを毎回算出する。
次回のTA=1つ前のTA+TC−TS
このようにして、制御手段14は、開閉検出手段13が検出する接点12Bの開閉時点の開閉信号eに基づいて、時間TCが所望時間TSになるように駆動手段12Aへの制御信号dの出力タイミングTAをフィードバック制御する。
また、制御手段14は次の制御信号dの出力を、次の命令信号cが何れの位置で入力されても、前回の正ゼロ点から次回は負ゼロ点側で接点12Bが開閉動作するように、つまり接点12Bの開閉時点が交流電源1の正負交互になるように制御する。
このようにして、接点12Bの転移現象、つまり、一方の接点が溶融あるいは蒸発して他方の接点に転移していく現象で開閉回数の増加とともに図3に示すように接点に凹凸を生じ、この凹凸がロックされた状態の軽溶着などの不開離現象の発生を防いでいる。
また、制御手段14は、駆動手段12Aに駆動停止、つまり開動作の制御信号dを出力したにも拘らず、開閉検出手段13から閉のままHの開閉信号eを受信すると、不開離現象が生じていると判断し、制御信号dを短いパルス信号に変えて出力する。
その結果、短いパルス信号の制御信号dが入力された駆動手段12Aは、図3に示す可動接点が上下にしなる、しなり動作を生じる。このしなり動作によって接点12Bの凹凸はロックされた状態を解除することができる。
なお、上記説明では接点12Bが閉から開になる開動作について述べたが、接点12Bが開から閉になる閉動作についても、制御手段14は開動作同様に制御信号dの出力タイミングTAを毎回算出してフィードバック制御する。
以上の説明から明らかなように、制御手段14は交流電源1の周波数、例えば50Hzや60Hzなどの周波数判別をしなくても接点12Bの開閉をゼロ点近傍でフィードバック制御することが可能である。
また、制御手段14は接点12Bの動作回数に応じて接点12Bの開閉をゼロ点制御することが可能である。そのことについて以下説明する。
ここで、接点12Bの開閉時点は、ゼロ点近傍でより好ましくはゼロ点の手前の位相で、かつゼロ点に近いほど好ましい。つまり、極論するとゼロ点が最も好ましいものである。
しかしながら、接点12Bの開閉時点、特に開時点は、ゼロ点を超えた後方の位相で動作すると、次のゼロ点までの略半周期間アーク放電を生じ、接点の転移や接点消耗などの障害となるため、ゼロ点で動作させるように制御するのは困難である。
さらに、駆動手段12Aは機械的動作を伴うものであり、機械的動作のため相対的に動作時間や復帰時間が、動作回数の初期は長く安定せず、中期は短く安定し、後期は再び長く不安定な略スマイルカーブ状の特性となる。
以上のことに鑑みて、リレー10は接点12Bの動作回数を開閉信号eにより計数して、動作回数の初期、中期および後期に応じ所望時間TSを変えて接点12Bの開閉時点のフィードバック制御を行っている。
また、リレー10は接点12Bの動作回数により開閉信号eの時間TCが略スマイルカーブ状の特性となることから、時間TCが減少時は初期、安定期は中期および上昇時は後期と判断して、時間TCの減少時、安定時および上昇時に応じ所望時間TSを変えて接点12Bの開閉時点のフィードバック制御を行っている。
このようにして、リレー10は接点12Bの動作回数に拘らず、接点12Bの開閉時点がゼロ点の手前の位相で、かつゼロ点に近いところになるように、そのフィードバック制御を形成してアーク放電などの発生を防いでいる。
さらに、制御手段14は、接点12Bの動作回数の後期や軽溶着などの不開離現象が複数回生じたことを検知して接点12Bが寿命末期であると判断した際に報知するLEDやブザーなどの報知手段16を有することによって、使用者などにメンテナンス時期であることを促すことができる。
次に、リレー10が交流負荷の種類を判別してフィードバック制御する動作について説明する。
まず、図4に示すように、交流負荷2の種類としては抵抗負荷、誘導負荷および容量負荷がある。これら負荷の種類によって、接点12Bが開状態から閉になる時点の突入電流Iが定格電流Ioに至る突入時間T間の特性(以下、突入電流特性と記載する)が異なり、この特性差から交流負荷の種類を判別してフィードバック制御するものである。
つまり、図4(a)のヒータなどの抵抗負荷は、突入電流Iと定格電流Ioが等しいR特性、図4(b)のモータや白熱電球などの誘電負荷は、突入電流Iが定格電流Ioの10倍以上で突入時間Tは比較的短い0.5秒ほどのL特性、図4(c)の水銀灯や蛍光灯などの容量負荷は、突入電流Iが定格電流Ioの5倍以内で、かつ突入時間Tは比較的長く10秒以上ほどのC特性である。このように、交流負荷2の種類に応じて突入電流特性が異なる。
図1において、17は電流検知素子で、電流検知素子17は例えば接点12Bと交流負荷2との接続線に巻回して形成され、この接続線に流れる突入電流特性を検出して電流信号fを出力する検知コイルである。
そして、電流検知素子17の電流信号fは制御手段14で積分演算され、さらにA/D変換されて交流負荷2の種類に応じた突入電流特性が検出され、かつ、制御手段14は予め自らに記憶された負荷毎のR,LおよびC特性と照合して交流負荷2の種類を判別するようにしてリレー10が構成されている。
なお、制御手段14は所望時間TSを、交流負荷2の種類毎にR,LおよびC負荷に応じてTSR,TSLおよびTSCなどとして記憶している。ここで、各所望時間の長さはTSR>TSC>TSLの関係を有している。
以上の構成において、例えば電子機器は門灯機器で、交流負荷は図4(b)に示す誘導負荷の白熱電球の場合、制御手段14は、図2(f)に示す電流信号fから次のように交流負荷2の種類を判別する。なお、電流検知素子17が検知する図2(f)の電流信号fの縦軸は本来電圧値であるが、図4との対比から理解を容易にするために電流値で表している。
まず、制御手段14は、接点12Bの閉時点t0の突入電流Iと所定の突入時間T後の定格電流IoからI/Ioを演算し、かつ突入電流Iから定格電流Ioに到るエンベロープ波形の電流iから、交流負荷2の種類毎に記憶された突入電流特性と照合して、この場合はL負荷の発熱電球であると判別する。
その結果、制御手段14は、所望時間TSをL負荷のTSLと選択して、接点12Bの開閉時点t3が所望時間TSLになるように制御信号dの出力タイミングTAをフィードバック制御する。その制御動作は前述の実施の形態に同様であり、説明を簡略化する。
このように本実施の形態によれば、制御手段14が、開閉検出手段13の検出する接点12Bの開閉時点の開閉信号eに基づいて、駆動手段12Aへの制御信号dの出力タイミングをフィードバック制御するようにしてリレー10を構成したものであり、制御手段14が接点12Bの開閉時点と交流電源1のゼロ点とを計時して、自らの制御信号dの出力タイミングTAを制御することによって、接点12Bの開閉をゼロ点制御させるリレー10を得ることができるものである。
また、制御手段14は、接点12Bの開閉時点を交流電源1の正負交互に制御することによって、接点転移現象を防止することができる。
さらに、制御手段14は、接点12Bが軽溶着などの不開離現象が生じていると判断した際に制御信号dを短いパルス信号に変えることによって、接点12Bの不開離現象を解除することができる。
また、制御手段14は、接点12Bの寿命末期を判断した際に報知手段16を駆動することによって、使用者などにメンテナンス時期であることを促すことができる。
また、制御手段14は、電流検知素子17の電流信号fにより交流負荷2の種類を判別して制御信号dの出力タイミングをフィードバック制御することによって、交流負荷に応じてフィードバック制御の出力タイミングを変えることができる。
そして、リレー10を用い、交流負荷2への通断電状態を検知し検知信号xを出力する検知素子21と、検知信号xから機器の動作状態を認識し、その結果を表示手段23に表示させる本体制御部24とを備えて電子機器20を構成したものであり、リレー10自らがゼロ点制御を行う制御回路を内蔵しているため、電子機器側の本体制御部24はリレー10の制御を行う必要がなくソフト処理の負担を軽減できる。
なお、本実施の形態において、接点12Bは、無通電時において常開接点のa接点の例で説明したが、これに限ることはなく、無通電時において常閉接点のb接点や、2つの固定接点間を可動接点が切換えるように動作する切換接点のc接点で実施することも可能である。
また、リレー10の制御回路は、信号発生手段11、開閉検出手段13および駆動部15を個別の回路で説明したが、これらの回路を制御手段14に備えるとしても良く、このことで安価にできる。
さらに、リレー10への電源供給は電子機器20の直流電源25が行う、つまり、リレー10が直流電源を持たないことによって、リレー10は交流負荷2や接点12Bなどの種類毎に行う必要のある電源設計が不要にできるという効果も発揮でき有用である。
また、接点12Bの材料は特に大電流や耐アーク性が要求される場合などは従来AgCdO(銀酸化カドミウム)やAgPb(銀パラジウム)など比較的高価なものを用いていたが、本願の接点材料としてはアーク放電の発生が生じ難いためAg(銀)などの安価な材料を用いることができるという副次効果もある。
また、誘導負荷などの場合、誘導負荷により発生する逆起電圧から接点の保護のためにダイオード方式、CR方式およびバリスタ方式などの接点保護素子や保護回路を使用し逆起電圧を低く抑えることが一般的に行われるが、本願においては誘導負荷の場合においてもゼロ点制御が可能で、逆起電圧を低く抑えることから接点保護素子や保護回路を不要にできる。
本発明による継電器及びこれを用いた電子機器は、接点の開閉両方のゼロ点制御を実現できるという効果を有し、本制御の制御回路を内蔵するリレーなどの継電器及びこれを用いた電子機器等に有用である。
本発明の一実施の形態によるリレーの回路ブロック図 同リレーの動作説明図 同リレー接点の転移現象の模式図 負荷の種類とその突入電流特性図 従来のリレーの回路ブロック図 同リレーの動作説明図
符号の説明
1 交流電源
2 交流負荷
10 リレー(継電器)
11 信号発生手段
12A 駆動手段
12B 接点
13 開閉検出手段
14 制御手段
14a 計時手段
15 駆動部
16 報知手段
17 電流検知素子
20 電子機器
21 検知素子
22 スイッチ(操作手段)
23 表示手段
24 本体制御部
25 直流電源
b ゼロ点信号
c 命令信号
d 制御信号
e 開閉信号
f 電流信号
T1〜T5 端子

Claims (6)

  1. 交流電源のゼロボルト近傍で接点を開閉させ交流負荷への通断電をする継電器であって、
    前記交流電源のゼロボルトに同期したゼロ点信号を出力する信号発生手段と、前記接点の開閉を検出し開閉信号を出力する開閉検出手段と、前記接点の開閉動作を駆動する駆動手段と、前記駆動手段に駆動開始/停止の制御信号を出力するとともに、前記接点の開閉から次のゼロ点信号までの時間を計時する計時手段を有する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記開閉信号に基づいて前記制御信号の出力タイミングをフィードバック制御する継電器。
  2. 前記制御手段は、前記接点の開閉が前記交流電源の正負交互になるように前記制御信号を出力する請求項1記載の継電器。
  3. 前記制御手段は、前記接点が軽溶着などの不開離現象が生じていると判断した際に前記制御信号を短いパルス信号に変える請求項1記載の継電器。
  4. 前記制御手段は、前記接点の寿命末期を判断した際に報知する請求項1記載の継電器。
  5. 前記交流負荷に流れる突入電流を検出し電流信号を出力する電流検知素子を備え、前記制御手段は、前記電流信号により交流負荷の種類を判別して制御信号の出力タイミングを変える請求項1記載の継電器。
  6. 請求項1記載の継電器を用い、前記継電器の動作による前記交流負荷への通断電状態を検知し検知信号を出力する検知素子と、前記検知信号から機器の動作状態を認識し、その結果を表示手段に表示させる本体制御部とを備えた電子機器。
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