JP2008064031A - 斜板式圧縮機における潤滑装置 - Google Patents

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崇行 今井
Masakazu Murase
正和 村瀬
Hiroki Nagano
宏樹 永野
Hisaya Yokomachi
尚也 横町
Tetsuhiko Fukanuma
哲彦 深沼
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Abstract

【課題】本願発明は、圧縮機の斜板室内に存在するオイルの多くを有効利用し、被潤滑部の信頼性向上を図るものである。
【解決手段】ヒンジ機構17の回転により斜板室12の下方に滞留しているオイルが掻き揚げられ、斜板室12内を循環する。循環するオイルの内、固定ボルト5に衝突したオイルは固定ボルト5の周面に付着し、凹溝34に貯留される。しかし、ラグプレート15はオイル撹拌機能が小さいため固定ボルト5の頭部35側でのオイル衝突が少なく、凹溝34のオイル貯留量が少ない。この結果、ヒンジ機構17付近の凹溝34に貯留されたオイルは固定ボルト5の頭部35側に流れ、大径の孔32付近で凹溝34から溢れ出し、下方に滴下する。滴下したオイルは大径の孔32の内壁面に受け取られ、オイル導入溝37に導かれる。オイル導入溝37のオイルはオイル導入孔38を通り、空間10へ供給され、軸封装置11を潤滑する。
【選択図】図1

Description

本願発明は、冷媒循環回路の一部を構成する斜板式圧縮機の潤滑装置に関する。
容量可変型斜板式圧縮機あるいは容量固定型斜板式圧縮機等の斜板式圧縮機(以下、単に圧縮機という)においては、圧縮機を構成するハウジング内を密封する駆動軸上の軸封装置あるいは駆動軸を支承する軸受を潤滑するため、一般的にハウジング内に形成された斜板室に存在するオイルが利用されている。
例えば、特許文献1では、シリンダブロック1内にスラスト軸受5とラジアル軸受6を介して配設された駆動軸4、駆動軸4に取り付けた斜板8、シリンダボア11内に嵌合したピストン12及び斜板8をピストン12に連結するシュー14等を備えた斜板式コンプレッサにおいて、ラジアル軸受6の潤滑を目的として次の構成が開示されている。即ち、シリンダブロック1内に形成された斜板室10の末端壁面10aに、末端壁面10a上を流動する潤滑油を捕捉する捕捉凹部30を形成し、さらに捕捉凹部30とラジアル軸受6とを潤滑油通路31により連結する。この構成により、末端壁面10aを流下する潤滑油が捕捉凹部30によって効率良く捕捉され、ラジアル軸受6に導かれる。
また特許文献2では、ハウジング6と、ピストン21を駆動するシャフト14と、シャフト14を回転自在に支持する一対のラジアルニードル軸受15A、15Bを有する容量可変式のカーエアコン用コンプレッサにおいて、ハウジング6内にラジアルニードル軸受15Bに向かって延在する潤滑剤通路9a及び潤滑剤通路9aの潤滑剤の収集部である拡径部9bを形成した発明が開示されている。この構成によって特許文献2の発明は、ミスト状のPAG(ポリアルキレングリコール)が液化して斜板ケース9の内壁に付着し、内壁を伝わって流れてきたとき、これを拡径部9bで捕捉して潤滑剤通路9aからラジアルニードル軸受15Bの近傍に供給し、ラジアルニードル軸受15Bの潤滑性を高めることができる。
実全昭57−112082 特開2004−278424
しかし、圧縮機の軸受や特に前記軸封装置等の被潤滑部の信頼性を向上するためには潤滑用のオイル供給量を増加してやる必要があるが、前記特許文献1や特許文献2に開示されている潤滑方法では、前記捕捉凹部30及び潤滑油通路31(特許文献1)あるいは拡径部9b及び潤滑剤通路9a(特許文献2)の幅、深さ、本数等の増加にも限界があり、十分なオイル供給による被潤滑部の信頼性向上を期待することができなかった。
本願発明者等は種々の試験研究を行った結果、圧縮機の斜板室内におけるオイル分布の特異性を見出すことができた。即ち、圧縮機の運転時に、駆動軸の回転に関連して斜板室に存在するオイルは撹拌され、斜板室内を循環する。この循環するオイルの一部は斜板室を構成するハウジングの内周壁に接触して付着し、自重により壁面を伝わり斜板室の下方へ流動する。この壁面を伝わるオイルを収集するように構成したものが前記特許文献1及び特許文献2に開示された従来技術である。
しかし、斜板室内を循環するオイルの大半は、オイルの循環経路中に存在する障害物であるハウジングの固定ボルトに衝突し、固定ボルトの周囲に多くのオイルが付着する。固定ボルトは円形であるため、付着したオイルは自重により固定ボルトの周面を伝い、そのまま斜板室下方に落下していた。従って、これまでの圧縮機では斜板室内に存在する大半のオイルを有効に利用することができないものであった。
本願発明の目的は、圧縮機の斜板室内に存在するオイルの多くを有効に利用し、被潤滑部の信頼性向上を図ることにある。
請求項1に記載の本願発明は、複数のハウジングを複数の固定ボルトによって一体化し、前記ハウジング内に駆動軸、シリンダボア、シリンダボアに嵌合されたピストン駆動用の斜板を配設した斜板室、前記シリンダボアの圧縮室に連通する吸入室及び吐出室を備え、前記固定ボルトは前記斜板室内を貫通するように配置された斜板式圧縮機において、
前記固定ボルトのうち前記斜板式圧縮機を設置したとき前記斜板室の上方側に位置する少なくとも1つの固定ボルトに、前記固定ボルトの最大径部を直径とする仮想円の内側に配置されるオイル貯留部を前記固定ボルトの長手方向に形成し、前記オイル貯留部から滴下するオイルを被潤滑部に導入することを特徴とする。
請求項1記載の本願発明によれば、斜板室内に存在するオイルの多くを固定ボルトに形成したオイル貯留部に一旦貯留し、この貯留されたオイルを被潤滑部に導入するように構成したため、斜板室内のオイルを有効利用することができ、被潤滑部の信頼性向上を図ることができる。
なお、本願特許請求の範囲及び明細書に記載の「最大径部」とは固定ボルトの横断面において、固定ボルトの中心を通る最大長さの位置をいう。
請求項2に記載の本願発明は、前記オイル貯留部のフロント側端部が前記ハウジングの一部を構成するフロントハウジングのフロント側壁まで延出していることを特徴とするため、オイル貯留部に貯留されたオイルをフロントハウジングのフロント側壁を利用して被潤滑部に導入することができる。
請求項3に記載の本願発明は、前記オイル貯留部が凹溝であることを特徴とするため、多くのオイルを貯留することができる。
請求項4に記載の本願発明は、前記固定ボルトが前記ハウジングを締め付け固定したとき前記オイル貯留部が前記斜板式圧縮機の設置時に上方を向くように取り付けられることを特徴とするため、オイル貯留部にオイルを確実に貯留することができる。
請求項5に記載の本願発明は、前記オイル貯留部が前記ピストンの下死点位置付近から前記ハウジングの一部を構成するフロントハウジングのフロント側壁まで形成されていることを特徴とするため、オイル貯留部に貯留されたオイルはピストンの往復運動の影響をほとんど受けることなく有効利用することができる。
請求項6に記載の本願発明は、前記オイル貯留部が前記ピストンの下死点位置よりも前記ハウジングの一部を構成するフロントハウジングのフロント側壁側に形成されていることを特徴とするため、オイル貯留部に貯留されたオイルはピストンの往復運動の影響を全く受けることなく有効利用することができる。
請求項7に記載の本願発明は、前記被潤滑部が前記駆動軸上に設けた軸封装置であることを特徴とするため、軸封装置の早期劣化を防止し、軸封装置の信頼性を高めることができる。
請求項8に記載の本願発明は、前記ハウジングの一部を構成するフロントハウジングの前記固定ボルト貫通部に前記固定ボルトの軸よりも大径の孔を形成し、前記フロントハウジングのフロント側壁に前記大径の孔と連通するオイル導入溝を形成し、前記オイル導入溝と前記被潤滑部とを前記フロントハウジングに設けたオイル導入孔により接続したことを特徴とするため、簡単な構成で斜板室内のオイルを有効に利用することができる。
本願発明は、圧縮機の斜板室内に存在するオイルを有効に利用することができ、被潤滑部の信頼性を高めることができる。
図1は、図2のA−A線方向で見た容量可変型斜板式圧縮機(以下、単に圧縮機という)である。圧縮機のハウジングを構成するフロントハウジング1、シリンダブロック2、リヤハウジング3及びシリンダブロック2とリヤハウジング3の間に介在された弁・ポート形成体4はハウジング内を貫通する複数(図の実施形態では9本)の固定ボルト5によって一体化されている。
ハウジングのほぼ中心を貫通する駆動軸6は、そのリヤ側がラジアルベアリング7及びスラストベアリング8を介してシリンダブロック2に回転可能に支持され、フロント側がラジアルベアリング9を介してフロントハウジング1に回転可能に支持されている。また、ラジアルベアリング9よりもフロント側において駆動軸6とフロントハウジング1との間の空間10内に配設した軸封装置11はフロントハウジング1内を密封する。なお、駆動軸6は、例えば車両に積載されたエンジンEに連結され、エンジンEからの動力供給によって回転駆動される。
フロントハウジング1内に制御室として形成された斜板室12内には、駆動軸6に固定され、かつフロントハウジング1のフロント側壁13との間にスラストベアリング14で支持されたラグプレート15、駆動軸6に回転可能に嵌合した斜板16及びラグプレート15と斜板16を連結するヒンジ機構17が配設されている。斜板16は駆動軸6に対してスライド移動可能に、かつ駆動軸6の軸方向に対して傾動可能に構成されている。従って、駆動軸6と共にラグプレート15が回転すると、ヒンジ機構17を介して斜板16が回転され、かつ斜板室12内の圧力調整により斜板16が駆動軸6に対して傾動される。なお、前記したラジアルベアリング7、9、スラストベアリング8、14及び軸封装置11等は本願発明の被潤滑部に該当する。
シリンダブロック2には複数(図の実施例では9気筒)のシリンダボア18が形成されており、各シリンダボア18内には片頭型のピストン19が往復動可能に収容されている。各ピストン19は、シュー20を介して斜板16の外周部に係留されている。従って、駆動軸6の回転運動は、斜板16及びシュー20を介してピストン19の往復運動に変換される。
シリンダボア18の後方(図1の右方)には、ピストン19と弁・ポート形成体4とにより圧縮室21が区画形成される。また、リヤハウジング3内には、吸入圧力領域としての吸入室22及び吐出圧力領域としての吐出室23がそれぞれ区画形成されている。
そして、吸入室22の冷媒ガスは、各ピストン19の上死点位置から下死点位置への移動により、弁・ポート形成体4に形成された吸入ポート24及び吸入弁25を介して圧縮室21に吸入される。圧縮室21に吸入された冷媒ガスは、ピストン19の下死点位置から上死点位置への移動により所定の圧力にまで圧縮され、弁・ポート形成体4に形成された吐出ポート26及び吐出弁27を介して吐出室23に吐出される。
シリンダブロック2及びリヤハウジング3内には抽気通路28及び給気通路29が設けられている。抽気通路28は斜板室12と吸入室22とを連通し、給気通路29は斜板室12と吐出室23とを連通する。リヤハウジング3において、給気通路29の途中には制御弁30を備えた容量制御装置31が配設されている。
そして、制御弁30の開度を調節することで、給気通路29を介した斜板室12への高圧な吐出ガスの導入量と抽気通路28を介した斜板室12からのガス導出量とのバランスが制御され、斜板室12の内圧が決定される。斜板室12の内圧に応じて、ピストン19を介した圧縮室21の内圧との差が変更され、斜板16は駆動軸6に対する傾斜角度が変更される。この結果、圧縮機はピストン19のストローク、即ち吐出容量を変更することができる。
例えば、斜板室12の内圧が低下すると斜板16の傾斜角度が増大し、圧縮機の吐出容量が増大される。図1の二点鎖線は斜板16がラグプレート15に当接した最大傾斜角度の状態を示している。逆に、斜板室12の内圧が上昇すると斜板16の傾斜角度が減少し、圧縮機の吐出容量が減少される。図1の実線は斜板16が立ち上がった最小傾斜角度の状態を示している。
一方、固定ボルト5はフロントハウジング1のフロント側壁13に形成した固定ボルト5よりも大径の孔32、斜板室12の内部空間及びシリンダブロック2に形成した固定ボルト5よりも大径の孔33を貫通して先端部をリヤハウジング3にねじ込むことにより、各ハウジングを固定し、一体化している。固定ボルト5の貫通位置は図2に示すように、シリンダボア18の間に配置されている。なお、大径の孔32は固定ボルト5の貫通孔として穿設された孔をそのまま利用して構成しているが、固定ボルト5の貫通孔とは別に貫通孔よりも大径又は小径の孔で構成することも可能である。また、大径の孔32は必ずしも円形に形成する必要はなく、他の形状で構成することも可能である。
固定ボルト5は図2及び図3に示すように円形であるが、その一部に凹溝34が刻設され、本願発明のオイル貯留部を構成する。凹溝34は固定ボルト5の頭部35の位置から大径の孔32及び斜板室12内を固定ボルト5の長手方向であるリヤ側に延び、ピストン19の下死点位置付近あるいは下死点位置より若干フロント側の位置まで形成されている。なお、凹溝34は図3で示すように、固定ボルト5の最大径部を直径とする仮想円39の内側に配置された状態にあり、付着したオイルが貯留されやすい形態である。また、固定ボルト5は圧縮機が例えば車両用空調装置等に設置された状態で凹溝34が上方を向くように取り付けられる。具体的には、固定ボルト5の設計時に最終ねじ込み位置との関係で凹溝34の形成位置を決めておく方法やシムあるいはパッキン等の介在物を用いてねじ込む方法が用いられる。
フロント側壁13の斜板室12を形成する内壁面36には、固定ボルト5の位置に合わせて放射状に延びる4本のオイル導入溝37が刻設されている。各オイル導入溝37はその一端が固定ボルト5を囲む大径の孔32に接続し、他端はそれぞれフロント側壁13を貫通し、ラジアルベアリング9と軸封装置11との間の空間10に連通する4本のオイル導入孔38に接続している。
なお、車両用空調装置の冷媒回路(冷凍サイクル)は、前記圧縮機と吐出室23及び吸入室22を繋ぐ外部冷媒回路40とから構成されている。なお、冷媒としては、例えば二酸化炭素やフロンが用いられている。外部冷媒回路40は、吐出室23側から順に、絞り部41、凝縮器42、レシーバタンク43、膨張弁44及び蒸発器45を備えている。また、凝縮器42とレシーバタンク43を繋ぐ冷媒通路には、冷媒の圧力を検出する圧力センサー46が配設される。圧力センサー46の検出信号は容量制御装置31を制御するアンプ(図示せず)に送信される。なお、アンプからは容量制御装置31に対して吐出容量の変更指令が発信される。
以上のように構成した実施形態の作用を説明する。
圧縮機の組み付けに際して、圧縮機を車両空調装置に設置したとき上側に位置する固定ボルト5は、ハウジングの締め付け完了時に凹溝34が上方を向くように調整しながら固定される。なお、固定ボルト5はねじ孔との関係でハウジングの締め付け完了時の上方位置となる面に凹溝34が形成されるように予め設計しておけば組み付け時に調整する必要が無くなり作業が容易になる。また、上記のような設計をしない場合でも、シム等を介在させることにより組み付け作業が容易となる。また、図2では便宜上全ての固定ボルト5の凹溝34が上方を向くように描かれているが、実際はオイル導入溝37と接続する大径の孔32に貫通する上側4本の固定ボルト5についてのみ凹溝34が上方を向いていればよい。さらに、凹溝34は図のように直上に向ける必要は無く、付着するオイルを貯留できる程度に上方を向いていれば十分である。また、凹溝34が真横に近い位置を向くように取り付けられていても凹溝34内の一部にオイルを貯留することは可能である。
圧縮機が運転されると、駆動軸6とともにラグプレート15が回転するため、ヒンジ機構17を介して斜板16が回転され、ピストン19の往復摺動により圧縮室21内での冷媒の吸入、圧縮、吐出作用が行われる。
斜板室12内において、ヒンジ機構17は部分的に突起した部材であるため、オイルの撹拌機能を有している。即ち、駆動軸6の回転に伴いヒンジ機構17が回転すると、斜板室12の下方に滞留しているオイルはヒンジ機構17によって掻き揚げられ、斜板室12内を循環する。
斜板室12内を貫通する固定ボルト5が循環するオイルの障害物となるため、固定ボルト5に衝突したオイルは固定ボルト5の周面に順次付着し、固定ボルト5の上面に形成した凹溝34に貯留される。
しかし、ラグプレート15は突起物の少ない比較的円形状に近い形状で形成されているため、ラグプレート15によるオイルの撹拌機能はヒンジ機構17の場合に比して小さい。このため、ラグプレート15と対応する位置、即ち固定ボルト5の頭部35側では固定ボルト5に衝突するオイルが少なく、この付近の凹溝34のオイル貯留量は比較的少ない状態にある。
この結果、ヒンジ機構17と対応する付近の固定ボルト5の凹溝34に貯留されたオイルは比較的貯留量の少ない固定ボルト5の頭部35側に流れ、大径の孔32付近に集中する。従って、大径の孔32付近では凹溝34に溜まった大量のオイルが溢れ出し、順次下方に滴下する。ここで滴下したオイルは全て大径の孔32の内壁面に受け取られ、オイル導入溝37に導かれる。なお、フロント側壁13の壁面に付着して流動するオイルの一部もオイル導入溝37に導入される。
オイル導入溝37のオイルは自重により下方、即ち駆動軸6方向へ流動し、さらにオイル導入孔38を通り、空間10へ供給される。従って、空間10には多くのオイルが充填されるため、空間10に隣接する軸封装置11を充分に潤滑することができる。なお、空間10に他方で隣接するラジアルベアリング9も同様に充分な潤滑作用を受けることができる。
前記した本願発明の実施形態は、以下の作用効果が得られる。
(1)斜板室12内を循環するオイルの障害物となる固定ボルト5にオイル貯留部としての凹溝34を形成することにより、固定ボルト5に衝突して付着するオイルの多くを凹溝34に貯留することができ、斜板室12内のオイルを有効利用することができる。
(2)凹溝34に貯留されたオイルはフロント側壁13に形成した大径の孔32の位置で滴下するので、そのほぼ全てをオイル導入溝37、オイル導入孔38及駆動軸6上の空間10を介して軸封装置11の潤滑に利用することができる。
(3)固定ボルト5に凹溝34を形成するだけの構成であるため、余分な部品を使うことなく、簡略な構成でオイルを大量に収集することができる。
(4)凹溝34がピストン19の下死点位置付近あるいは下死点位置よりもフロント側に形成しておくことにより、凹溝34に貯留されたオイルはピストン19の往復運動による風圧の影響を受けることなくフロント側に確実に流動し、オイル導入溝37に導入される。
本願発明は、前記した実施形態の構成に限定されるものではなく本願発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。なお、図1〜図3の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
(1)図4(a)に示す実施形態は、本願発明のオイル貯留部を構成する凹溝47を固定ボルト5の周面に均等に3ヶ所形成したものである。各凹溝47は固定ボルト5の最大径部を直径とする仮想円39の内側に配置された構成である。このように構成すれば、固定ボルト5の締め付け時に特別な配慮をせずに凹溝47を上方に向けてセットすることが可能となり、組み付け上便利である。なお、凹溝47の個数は可能な限り多く形成することにより、上方を向く凹溝47の数が増え、より多くのオイルを貯留し、利用することができるという利点がある。
(2)図4(b)に示す実施形態は、固定ボルト5の周面を星型状に形成することによって、各突起部48の間に本願発明のオイル貯留部を構成する複数の窪み部49を形成したものである。各窪み部49は固定ボルト5の最大径部を直径とする仮想円50の内側に配置されている。このように構成すると、固定ボルト5の締め付け完了時に複数の窪み部49が必ず上方を向くことになり、固定ボルト5のセットが容易になるとともにオイルは窪み部49に貯留され、オイルの有効利用を確実に行うことができる。
(3)図4(c)に示す実施形態は、固定ボルト5の周面を6角形状に形成することによって、本願発明のオイル貯留部を平面51で構成したものである。この場合に、固定ボルト5は平面51が上方に位置するようにセットする必要がある。また、平面51は固定ボルト5の最大径部を直径とする仮想円52の内側に配置されている。このように構成しても固定ボルト5に付着したオイルは平面51上に貯留され、前記各実施形態と同様にオイルの有効利用を図ることができる。
(4)図4(d)に示す実施形態は、図4(c)の実施形態を変更して固定ボルト5の周面を4角形状に形成することによって、本願発明のオイル貯留部を平面53で構成した。平面53は固定ボルト5の最大径部を直径とする仮想円54の内側に配置されている。このように構成しても前記図4(c)の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、図4(c)及び図4(d)の実施形態は、さらに3角形以上の多角形として構成することができる。
(5)図1に示したオイル貯留部としての凹溝34は、ピストン19の下死点位置からフロント側壁13の大径の孔32に至る長さで構成しているが、凹溝34はピストン19の下死点位置よりもさらにリヤ側に延出するように構成しても良い。固定ボルト5に付着するオイル量の分布を見ると、シリンダボア18からの冷媒ガス漏洩の影響からリヤ側により多く付着するという実験結果が得られており、凹溝34をリヤ側に可能な限り延出することにより、より多くのオイル貯留が期待できる。この点は他の実施形態においても同様である。
(6)前記各実施形態において説明したオイル貯留部は図2に示すように全ての固定ボルト5に構成することを前提にしているが、本願発明においてオイル貯留部は圧縮機を設置したとき上方に位置する固定ボルト5に存在すればよいので、例えば、図2で見れば、オイル導入溝37が形成されている上方位置の4本の固定ボルト5にのみオイル貯留部が構成されていればよい。即ち、本願発明では、上方に位置する少なくとも1本の固定ボルト5にオイル貯留部を構成し、この固定ボルト5の頭部側に形成されている大径の孔32にオイル導入溝37を接続し、さらにオイル導入孔38を介して空間10内にオイルを導入するように構成すれば充分である。
(7)図1において説明したフロント側壁13の大径の孔32は必ずしも設ける必要が無い。大径の孔32が無い場合は、フロント側壁13側で凹溝34から溢れ出したオイルがオイル導入溝37に直接導入され、オイル導入孔38を介して空間10内へ供給される。
(8)図1において説明したフロント側壁13のオイル導入溝37は必ずしも設ける必要が無い。例えば、オイル導入孔38をフロント側壁13の内壁面36に直接開口させた構成とすることにより、オイル貯留部から溢れ出したオイルは大径の孔32から内壁面36を自重により自由に流動し、途中でオイル導入孔38の開口部に流れ込み、空間10に導入されるので、軸封装置11の潤滑が充分に行われる。また、前記(7)項で説明した大径の孔32の削除と組み合わせ、オイル貯留部から溢れ出したオイルが直接内壁面36を流動し、オイル導入孔38に導入されるように構成することも可能である。
(9)前記各実施形態において説明したオイル貯留部はリヤ側からフロント側に向けて傾斜するように構成することができる。例えば、図1〜3に示した実施形態における凹溝34で説明すると、リヤ側における溝を浅く形成し、フロント側に向けて溝が順次深くなるように形成することにより傾斜させることができる。このように構成することにより、凹溝34に貯留されたオイルは確実にフロント側に流動する。なお、前記図4(c)及び図4(d)の実施形態の場合は、各平面51、53を傾斜面に形成すればよい。
(10)前記各実施形態において説明したオイル貯留部を傾斜させる方法としては、オイル貯留部を設けた固定ボルト5自体をリヤ側からフロント側に傾斜するように角度をつけて圧縮機に取り付ける方法も可能である。
(11)オイル貯留部において、オイルがリヤ側からフロント側に流動し易くするために固定ボルト5のフロント側位置における循環オイルの衝突を抑制する方法がある。例えば、図1において、斜板室12内に露出する固定ボルト5の周囲を覆うカラーをフロント側壁13に装着する。カラーの長さは例えばラグプレート15と重なる位置までとする。前記したように、斜板室12内では循環するオイルが固定ボルト5に衝突してオイルが付着するが、フロント側壁13側では循環するオイルがカラーによって遮られ、固定ボルト5に衝突することが無い。このため、フロント側壁13側のオイル貯留部にはオイルが貯留しないので、リヤ側に貯留したオイルがフロント側に流動しやすくなるという利点がある。
(12)図1の説明において、ラグプレート15はほぼ円形に近い形状のため、斜板室12内のオイル撹拌機能が少ない旨記載したが、例えばラグプレート15を直方体のように突起部を有する形状にし、積極的にオイル撹拌機能が生じる構成としてもよい。
(13)前記各実施形態は本願発明を容量可変型斜板式圧縮機に実施した例を説明したが、本願発明は容量固定型斜板式圧縮機や両頭型斜板式圧縮機等においても実施することが可能である。
本願発明を実施した容量可変型斜板式圧縮機の断面図である。 図1のB−B線断面図である。 図1の実施形態における固定ボルトの横断面図である。 (a)本願発明の他の実施形態を示す固定ボルトの横断面図である。(b)本願発明のその他の実施形態を示す固定ボルトの横断面図である。(c)本願発明のその他の実施形態を示す固定ボルトの横断面図である。(d)本願発明のその他の実施形態を示す固定ボルトの横断面図である。
符号の説明
1 フロントハウジング
2 シリンダブロック
3 リヤハウジング
5 固定ボルト
6 駆動軸
10 空間
11 被潤滑部である軸封装置
12 斜板室
13 フロント側壁
15 ラグプレート
16 斜板
17 ヒンジ機構
19 ピストン
32、33 大径の孔
34、47 オイル貯留部を構成する凹溝
36 内壁面
37 オイル導入溝
38 オイル導入孔
39、50、52、54 仮想円
48 突起部
49 窪み部
51、53 オイル貯留部を構成する平面

Claims (8)

  1. 複数のハウジングを複数の固定ボルトによって一体化し、前記ハウジング内に駆動軸、シリンダボア、シリンダボアに嵌合されたピストン駆動用の斜板を配設した斜板室、前記シリンダボアの圧縮室に連通する吸入室及び吐出室を備え、前記固定ボルトは前記斜板室内を貫通するように配置された斜板式圧縮機において、
    前記固定ボルトのうち前記斜板式圧縮機を設置したとき前記斜板室の上方側に位置する少なくとも1つの固定ボルトに、前記固定ボルトの最大径部を直径とする仮想円の内側に配置されるオイル貯留部を前記固定ボルトの長手方向に形成し、前記オイル貯留部から滴下するオイルを被潤滑部に導入することを特徴とした斜板式圧縮機における潤滑装置。
  2. 前記オイル貯留部のフロント側端部は前記ハウジングの一部を構成するフロントハウジングのフロント側壁まで延出していることを特徴とした請求項1に記載の斜板式圧縮機における潤滑装置。
  3. 前記オイル貯留部は凹溝であることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の斜板式圧縮機における潤滑装置。
  4. 前記固定ボルトは、前記ハウジングを締め付け固定したとき前記オイル貯留部が前記斜板式圧縮機の設置時に上方を向くように取り付けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の斜板式圧縮機における潤滑装置。
  5. 前記オイル貯留部は前記ピストンの下死点位置付近から前記ハウジングの一部を構成するフロントハウジングのフロント側壁まで形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の斜板式圧縮機における潤滑装置。
  6. 前記オイル貯留部は前記ピストンの下死点位置よりも前記ハウジングの一部を構成するフロントハウジングのフロント側壁側に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の斜板式圧縮機における潤滑装置。
  7. 前記被潤滑部は前記駆動軸上に設けた軸封装置であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の斜板式圧縮機における潤滑装置。
  8. 前記ハウジングの一部を構成するフロントハウジングの前記固定ボルト貫通部に前記固定ボルトの軸よりも大径の孔を形成し、前記フロントハウジングのフロント側壁に前記大径の孔と連通するオイル導入溝を形成し、前記オイル導入溝と前記被潤滑部とを前記フロントハウジングに設けたオイル導入孔により接続したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の斜板式圧縮機における潤滑装置。
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