JP2008063330A - 板状粒子構造を有する有機変性粘土鉱物を含むゾル組成物およびそれを配合した油性ゲル組成物、w/o型乳化組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均厚さが0.1μm以下、平均長径が0.5〜50μmである板状粒子構造を有する有機変性粘土鉱物を油分中に含むゾル組成物。また、該ゾル組成物と、非イオン性界面活性剤とを含むことを特徴とする油性ゲル組成物。また前記油性ゲル組成物を用いたW/O型乳化組成物及び化粧料。
【選択図】 なし
Description
このような使用性、経時安定性の問題点を改善する方法として、ポリエーテル変性シリコーン化合物を用いて有機変性粘土鉱物を処理し、ゲル組成物やW/O乳化物に配合する方法が開発されている(例えば、特許文献1および2を参照)。
さらに、従来から使用される有機変性粘土鉱物を用いて、乳化物の安定性を確保しようとすると、該成分の必要量によってもたらされるゲル特性はその粘弾性が比較的高くなる傾向にあるため、低粘度でかつ安定性に優れた乳化物を得ることは非常に困難であった。
また、一つには、W/O乳化物に用いた場合に、経時的な乳化粒子の凝集・合一を抑制するなどの優れた経時安定化効果を発揮し得る有機変性粘土鉱物系乳化剤、ならびにこれを用いたW/O乳化物を提供することである。
また、一つには、低粘度においてもW/O乳化安定性化効果を発揮し得る有機変性粘土鉱物系乳化剤、ならびにこれを用いたW/O乳化物を提供することである。
すなわち、粘土鉱物の形状は本来、厚みが数nmの板状粒子が層状化(積層)しているものであるが、市販の有機変性粘土鉱物ではその製造過程において凝集が生じるために、この層状の粘土鉱物がさらに凝集しており、その平均厚さは通常2μm以上となっている。したがって、ポリエーテル変性シリコーン化合物による処理のみでは、粘土鉱物の凝集体の微細化あるいは板状化はなされないために、有機変性粘土鉱物が十分に分散されず、その結果、油分中で安定なゲルネットワーク構造が十分形成されないと考えられた。そして、このことが、ゲル化剤や乳化剤としての機能が劣る原因になっているのではないかと考えられた。
本発明のゾル組成物において、前記有機変性粘土鉱物が有機変性ヘクトライトであることが好適である。
また、本発明のゾル組成物において、油分がシリコーン油を含むことが好適である。
また、本発明のゾル組成物において、平均厚さ2μm以上である層状構造を有する有機変性粘土鉱物の凝集体を、油分中で、機械的せん断力および/又は衝撃力によって剥離処理する方法で製造されることが好適である。
また、本発明の油性ゲル組成物において、平均厚さ2μm以上である層状構造を有する有機変性粘土鉱物の凝集体を、油分中で、機械的せん断力および/又は衝撃力によって剥離処理した後、非イオン性界面活性剤を添加する方法で製造されることが好適である。
また、本発明の油性ゲル組成物において、非イオン性界面活性剤がポリエーテル変性シリコーン化合物であることが好適である。
また、本発明にかかる油性ゲル組成物において、前記非イオン性界面活性剤の配合量が油性ゲル組成物中0.1〜10質量%であることが好適である。
本発明にかかるW/O型乳化組成物または化粧料は、前記いずれかに記載の油性ゲル組成物を用いたことを特徴とする。
本発明にかかるゾル組成物は、有機変性粘土鉱物粒子が油分中に分散した油性分散物であって、平均厚さが0.1μm以下、且つ平均長径が0.5〜50μmである板状粒子構造を有する有機変性粘土鉱物粒子を含む。なお、各々の板状粒子は実質的に凝集していない。
上記有機変性粘土鉱物は、平均厚さ2μm以上である層状構造を有する有機変性粘土鉱物の凝集体を、油分中で、機械的せん断力および/又は衝撃力によって剥離処理することにより得ることができる。具体的には、以下のような処理方法により、通常低粘度で流動性のあるゾル組成物として得られる。
市販の有機変性粘土鉱物(通常は平均厚さ2μm以上である層状構造を有する凝集体である)と油分との混合物に、直径1mm程度のガラスビーズ(またはジルコニアビーズなど)を同体積加え、ペイントシェイカー(浅田鉄工株式会社)、ビーズミル(DISPERMAT, VMA-GETZMANN GMBH Verfahrenstechnik)などを用いて機械的せん断力および/または衝撃力を加えることにより薄片化する。
(デカメチルシクロペンタシロキサン:有機変性ヘクトライトが95:5の配合比率で分散させた後に、SEM S−4500(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)にて撮影)
また、本発明にかかるゾル組成物に含まれる有機変性粘土鉱物は、平均長径が0.5〜50μmであることが好ましい。個々の粒子形状は、上記の厚みおよび長径の範囲においてシート構造をとっていれば、特に限定されず、角張っていてもいなくてもよい。
(測定方法)
・平均厚さ
ゾル組成物をシリコーン油で十分希釈し、希釈液を乾燥したサンプルを走査型電子顕微鏡(S−4500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定する。
・平均長径
ゾル組成物をシリコーン油で十分希釈し、粒度分布測定機(Microtrac VSR、日機装株式会社製)を用いて測定する。
また前記有機変性粘土鉱物の形状はSEM写真により決定される。
本発明において、シリコーン油の1種または2種以上を選択して用いることも可能である。
動物性油脂としては、タートル油、卵黄油、ミンク油等が挙げられる。
高級アルコールとしては、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ホホバアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール等が、高級脂肪酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
上記のようなゾル組成物に非イオン性界面活性剤を併用した場合、ゾル組成物に比して粘度が著しく上昇し、流動性が低下する。本発明においては、このような組成物をゲル組成物と言う。このように、本発明のゲル組成物は、前記ゾル組成物(ゲル組成物から非イオン性界面活性剤を除いた分散体)よりも増粘した油性分散物ということができる。
すなわち、平均厚さ2μm以上である層状構造を有する有機変性粘土鉱物の凝集体を、油分中で、機械的せん断力および/又は衝撃力によって剥離処理した後、非イオン性界面活性剤を添加する。非イオン性界面活性剤を有機変性粘土鉱物の剥離処理後に添加すると、非イオン性界面活性剤の存在下で剥離処理した場合に比べてゲル組成物やこれを用いたW/O乳化物の粘度が低くなる傾向がある。
また、本発明にかかる油性ゲル組成物を用いてW/O型乳化組成物を調製した場合、非イオン性界面活性剤によって表面改善された有機変性粘土鉱物の微細分散粒子が乳化粒子の膜壁を形成し、安定性に優れた乳化組成物となる。
具体的には、例えば、POE(2〜50)オレイルエーテル、POE(2〜40)ステアリルエーテル、POE(2〜50)ラウリルエーテル、POE(1〜50)アルキルフェニルエーテル、POE(5〜30)ベヘニルエーテル、POE(5〜25)2−デシルペンタデシルエーテル、POE(3〜20)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(5〜25)2−オクチルドデシルエーテル等のエーテル型活性剤、およびPOE(4〜100)硬化ヒマシ油、POE(3〜60)ヒマシ油、POE(2〜150)脂肪酸モノエステル、POE(2〜150)脂肪酸ジエステル、POE(5〜20)ソルビタン脂肪酸エステルなどのエステル型活性剤、さらにPOE(2〜60)グリセリルモノイソステアレート、POE(3〜60)グリセリルトリイソステアレート、POE(5〜60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート等のエーテルエステル型活性剤などのエチレンオキシド付加型界面活性剤、およびデカグリセリルテトラオレート、ジグリセリルジイソステアレート、デカグリセリルテトライソステアレート、デカグリセリルテトラステアレート、デカグリセリルヘプタオレート、デカグリセリルデカオレート、デカグリセリルデカイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモノオレート等のグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤などが挙げられる。非イオン性界面活性剤は、1種または2種以上を選択して用いることができる。
(一般式(I)〜(VII)中、Rは炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基、R’は水素または炭素数1〜12のアルキル基、pは1〜50の整数、mおよびaは1〜100の整数、n,q,x,zは1〜50の整数、tおよびyは0〜50の整数。)
上記一般式(I)〜(VII)で表される化合物として、市販のものを用いることも可能であり、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体などを挙げることができる。
なお、本発明にかかる油性ゲル組成物において、シリコーン油の好適な配合量はゲル組成物全量中20〜90質量%である。
また、該油性ゲル組成物中において、板状構造を有する有機変性粘土鉱物に対する非イオン性界面活性剤の質量比は、板状構造有機変性粘土鉱物:非イオン性界面活性剤=1:1〜10:1であることが好ましい。
非イオン界面活性剤が少なすぎるとその効果が十分発揮されず、一方、非イオン界面活性剤を過剰に用いても効果の顕著な向上は期待できず、かえって使用感などに悪影響を及ぼすことがある。
例えば、本発明にかかる好適な油性ゲル組成物として、板状粒子構造の有機変性粘土鉱物、ポリエーテル変性シリコーン化合物、及びシリコーン油を主成分として含むものが挙げられるが、シリコーン油以外の油分を加えることも可能である。
その他の油分としては、例えば、炭化水素油、エステル油、植物性油脂、動物性油脂、高級アルコール、高級脂肪酸等が挙げられる。なお、これら油分は、シリコーン油に溶解して全体として常温(20℃)で均一な液状となることが好ましい。
また、本発明にかかる油性ゲル組成物において、油分の好適な配合量は油性ゲル組成物全量中70質量%以上である。
次に本発明にかかるW/O乳化組成物について説明する。
W/O型乳化組成物を構成する水相としては、水および水溶性成分が配合される。
一方、油相には、前記油性ゲル組成物が主成分として用いられる。
W/O型乳化組成物全量中、前記水相:油相は80:20〜5:95の割合であることが好ましい。
例えば、薬剤、各種界面活性剤、無機粉末、有機粉末、顔料、色素、保湿剤、増粘剤、金属封鎖剤、各種水溶性高分子、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明にかかる油性ゲル組成物又はW/O型乳化組成物は、従来の油性ゲル化粧料やW/O乳化化粧料の基剤として用いることができる。例えば、乳液、クリーム、洗浄料、パック、マッサージ用化粧料などのスキンケア化粧料;ファンデーション、口紅、頬紅、アイライナー、アイシャドウなどのメークアップ化粧料;サンスクリーン化粧料;ヘアトリートメントや整髪料などの毛髪化粧料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
まず最初に、以下の実施例で用いる有機変性粘土鉱物のゾル組成物の調製方法を示す。
ゾル組成物1〜4
市販の有機変性ヘクトライト(ベントン38VCG、エレメンティススペシャリティーズ(英)社製)を15質量%、デカメチルシクロペンタシロキサンを85質量%混合した。この混合物に、直径1mmのガラスビーズを混合物と同体積添加した状態で、ビーズミルを用いて機械的に高いせん断力および/または衝撃力を加えることにより薄片化する処理を5分間、10分間、15分間と処理時間を各々変えて行い、ゾル組成物1〜3を得た。
また、比較例として、ガラスビーズを添加せず、ビーズミルの代わりにディスパーで10分間処理して、ゾル組成物4を得た。
(測定方法)
・平均厚さ
ゾル組成物をデカメチルシクロペンタシロキサンで十分希釈し、希釈液を乾燥したサンプルを走査型電子顕微鏡(S-4500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。
・平均長径
ゾル組成物をデカメチルシクロペンタシロキサンで十分希釈し、粒度分布測定機(Microtrac VSR、日機装株式会社製)を用いて測定した。
さらに、上記のとおり調製した有機変性粘土鉱物のゾル組成物1〜4を用い、油性ゲル組成物1〜4を調製した。製造例を以下に示す。
前記有機変性粘土鉱物のゾル組成物1〜4を各々33.33重量部、ポリオキチエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(一般式(I)タイプ、ポリオキシエチレン含有率 20%、粘度400〜800cs、HLB4.5、R’=H、p=3、y=0)2.5重量部、デカメチルシクロペンタシロキサン(3.5〜4.5cs)64.17重量部をディスパーで10分間、分散処理して、油性ゲル組成物1〜4を得た(各油性ゲル組成物中の有機変性粘土鉱物濃度は5質量%)。
(油性ゲル組成物の膨潤性)
透明ガラス瓶にサンプルを入れ、目視により以下の基準のもとに、各油性ゲル組成物を評価した。
○:液相の分離など変化が見られない。
△:ゲル組成物全体の1/5以下が分離している。
×:ゲル組成物全体の1/5以上が分離している。
一方、ビーズミルにより処理して得られたゾル組成物1〜3と非イオン性界面活性剤とを用いて得られた油性ゲル組成物1〜3では、油性ゲル組成物4に比して高い膨潤性が得られ、また、ゾル組成物の処理時間を10分間、15分間と延ばすにつれて、油性ゲル組成物の膨潤性が向上した。これは、表1のように、有機変性粘土鉱物の微細な剥離が処理時間と共に進行しているためと考えられる。特に、油性ゲル組成物3に含まれる有機変性粘土鉱物は、平均厚さが0.1μm以下であり、平均長径も5μm程度の分散性の良好な板状粒子構造であった。
前記板状粒子構造の有機変性粘土鉱物では、板状粒子表面(平坦面)が疎水性、端面が親水性を帯びる傾向にあるため、シリコーン油中において親水性部分の端面の露出を減らすように配置される。模式的に表すと図3のようなゲルネットワークを形成し、高い膨潤性が発揮されると考えられる。
一方、粒状の有機変性粘土鉱物粒子では、親疎水性部分の寄与によるゲルネットワークが形成され難いため、膨潤性が劣るものと考えられる。
この写真から、本発明にかかるゾル組成物に含まれる板状粒子構造を有する有機変性粘土鉱物を用いて油性ゲル組成物を調製した場合(図4)、ポリエーテル変性シリコーン化合物添加前と後の両者において、粘土鉱物の粒子は微細化された状態で分散していることが明らかである。
一方、通常の分散処理を行なった粒状(凝集体)の有機変性粘土鉱物を用いた場合には(図5)、ポリエーテル変性シリコーン化合物の添加によって有機変性粘土鉱物凝集体の微細化が若干進行するものの、依然として大きな凝集体が確認され、分散状態がよいものとは認められない。
(動的粘弾性測定)
測定装置:レオメーターAR1000−N(TA Instruments)
測定方法:コーン型プレートを用いて、動的粘弾性測定をおこなった。測定周波数を1Hzの条件で、ずり応力(0.01−50[Pa])に対するゲルの貯蔵弾性率G’[Pa]を測定した。
一方、油性ゲル4のように市販の有機変性粘土鉱物を通常の分散処理した粒状(凝集体)の有機変性粘土鉱物を用いた場合には、上記図6の場合に比してゲル弾性が小さく、ゲル弾性状態が一定である安定領域も乏しいものであった。
ものであった。
次に、W/O乳化組成物において、本発明にかかる有機変性粘土鉱物板状粒子と、従来の有機変性粘土鉱物凝集体との比較を行った。
表3の組成のW/O乳化物を調製した。調製方法は次の通り。
(乳化物1〜2)
市販の有機変性ヘクトライトと半量のシリコーン油とを混合し、ディスパーにより15分間分散処理して油性ゾル組成物を得た。これにポリエーテル変性シリコーン化合物及び残りのシリコーン油を加えてさらにディスパーで10分間分散処理して、油性ゲル組成物を得た。この油性ゲル組成物中の有機変性粘土鉱物は、前記油性ゲル組成物4と同様の凝集体であった。
得られた油性ゲル組成物に、イオン交換水を徐添しながらディスパーにより乳化して、W/O型乳化組成物を得た。
市販の有機変性ヘクトライトと半量のシリコーン油とを混合し、この混合物と同体積のガラスビーズ(直径1mm)を添加して、ビーズミルにより15分間分散処理して油性ゾル組成物を得た。これにポリエーテル変性シリコーン化合物及び残りのシリコーン油を加えてさらにディスパーで10分間分散処理して、油性ゲル組成物を得た。この油性ゲル組成物中の有機変性粘土鉱物は、前記油性ゲル組成物3と同様の微細な板状粒子であった。
得られた油性ゲル組成物に、イオン交換水を徐添しながらディスパーにより乳化して、W/O型乳化組成物を得た。
(安定性)
試料を各条件で保存し、外観変化を下記の評価基準に従い、目視によって評価した。
A:液相の分離、凝集など変化が見られない。
B:表層に若干の分離が認められる。
C:乳化組成物全体の1/5以下が分離している。
D:乳化組成物全体の1/5以上が分離している。
一方、板状粒子構造を有する有機変性粘土鉱物を用いた場合には、その配合量が0.5質量%のとき(乳化物3)、低粘度であるものの、同配合量の凝集体粘土鉱物を用いた乳化物1に比して、安定性は良いものであった。さらに、1質量%に増やすと(乳化物4)、粘度は極めて高いものとなり、経時安定性が優れたものとなった。
乳化物5〜9
表4の組成のW/O乳化物を調製した。乳化物5〜6は前記乳化物1〜2の方法に準じて調製した(有機変性粘土鉱物:凝集体)。乳化物7〜9は前記乳化物3〜4の方法に準じて調製した(有機変性粘土鉱物:板状粒子)。粘度及び乳化粒子径の測定方法は次の通り。
(粘度)
30℃の恒温槽で1時間静置した後に、単一円筒型回転粘度計(芝浦システム株式会社)を用いて12rpmの条件で測定した(ローターNo.3またはNo.4)。
(乳化粒子径)
各条件で保存後の試料の乳化粒子径を、光学顕微鏡(OLYMPUS BM60)を用いて測定した。
これに対し、市販の凝集体有機変性粘土鉱物を凝集体のまま用いた場合には、乳化物5〜6のように、それ自身のみで適度な粘度を生み出すことが出来ず、また乳化安定性も劣るものであった。
以上の結果より、本発明にかかる板状構造を有する有機変性粘土鉱物は、他の活性剤を配合せずとも、それ自身で増粘および乳化の機能を発揮することができることが確認された。ただし、安定性を良好に維持するためには、ポリエーテル変性シリコーン化合物を配合することが好ましい。
さらに、油性ゲル組成物に配合する非イオン性界面活性剤および油分の種類を変えて検討を行った。結果を下記表5に示す。表5に示されるW/O乳化物の調製方法は次の通りである。
(乳化物10〜13)
市販の有機変性ヘクトライトと半量の油分とを混合し、この混合物と同体積のガラスビーズ(直径1mm)を添加して、ビーズミルにより15分間分散処理して油性ゾル組成物を得た。これに非イオン性界面活性剤及び残りの油分を加えてさらにディスパーで10分間分散処理して、油性ゲル組成物を得た。この油性ゲル組成物中の有機変性粘土鉱物は、前記油性ゲル組成物3と同様の微細な板状粒子であった。
得られた油性ゲル組成物に、イオン交換水を徐添しながらディスパーにより乳化して、W/O型乳化組成物を得た。
(質量%)
(1)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト
/デカメチルシクロペンタシロキサン(1/20)のゾル組成物 21
(2)トリメチルシロキシケイ酸 1
(3)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
(一般式(I)型、HLB 4.5、POE含有率 約20%、
400〜800cs、R’=H、p=3、y=0) 0.5
(4)スクワラン 5
(5)シリコーン被覆微粒子酸化チタン(20nm) 10
(6)タルク(疎水化処理品) 6
(7)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7
(8)ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.5
(9)球状ポリエチレン粉末 5
(10)ジプロピレングリコール 4
(11)エデト酸三ナトリウム 0.02
(12)パラベン 適量
(13)フェノキシエタノール 適量
(14)精製水 残余
(15)香料 適量
(製法)
予めビーズミルなどを用い微細粒子に分散したゾル組成物(1)に、(2)〜(9)を添加し混合攪拌した。そこに(10)〜(14)の水相パーツを添加し乳化した後に、(15)を加え、目的のサンスクリーンを得た。
(質量%)
(1)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト
/デカメチルシクロペンタシロキサン(1/20)のゾル組成物 21
(2)トリメチルシロキシケイ酸 1
(3)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
(一般式(V)型、HLB 3〜4、POE含有率 約19%、
200〜700cs、R’=H、p=3、y=0) 0.3
(4)2−エチルヘキサン酸セチル 3
(5)メチルポリシロキサン 5
(6)シリコーン被覆微粒子酸化チタン(20nm) 5
(7)シリコーン被覆微粒子酸化亜鉛(20nm) 10
(8)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5
(9)4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン 0.5
(10)球状シリコーン樹脂粉末 5
(11)1,3−ブチレングリコール 4
(12)エデト酸三ナトリウム 0.02
(13)パラベン 適量
(14)フェノキシエタノール 適量
(15)精製水 残余
(16)香料 適量
(製法)
予めビーズミルなどを用い微細粒子に分散したゾル組成物(1)に、(2)〜(10)を添加し混合攪拌した。そこに(11)〜(15)の水相パーツを添加し乳化した後に、(16)を加え、目的のサンスクリーンを得た。
(質量%)
(1)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト
/デカメチルシクロペンタシロキサン(2/18)のゾル組成物 20
(2)ワセリン 2
(3)マイクロクリスタリンワックス 3
(4)ジメチルポリシロキサン(5.6cs/25℃) 5
(5)スクワラン 3
(6)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
(一般式(I)型、HLB 4.5、POE含有率 約20%、
400〜800cs、R’=H、p=3、y=0) 1.5
(7)イソステアリン酸 1
(8)2−エチルヘキサン酸セチル 3
(9)グリセリン 10
(10)1,3−ブチレングリコール 4
(11)キシリトール 2
(12)塩化ナトリウム 0.5
(13)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
(14)グリチルレチン酸ステアリル 0.05
(15)DL−ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1
(16)ウコンエキス 0.1
(17)エデト酸三ナトリウム 0.1
(18)パラベン 適量
(19)精製水 残余
(20)香料 適量
(製法)
予めビーズミルなどを用い微細粒子に分散したゾル組成物(1)に、(2)〜(7)を添加し混合攪拌した。そこに(8)〜(19)の水相パーツを添加し乳化した後に、(20)を加え、目的の保湿クリームを得た。
(質量%)
(1)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト
/デカメチルシクロペンタシロキサン(1/20)のゾル組成物 21
(2)ジメチルポリシロキサン(5.6cs/25℃) 15
(3)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
(一般式(I)型、HLB 4.5、POE含有率 約20%、
400〜800cs、R’=H、p=3、y=0) 5
(4)パルミチン酸 0.5
(5)2−エチルヘキサン酸セチル 5
(6)シリコーン被覆黄酸化鉄 2
(7)シリコーン被覆ベンガラ 1
(8)シリコーン被覆黒酸化鉄 0.3
(9)シリコーン被覆酸化チタン 10
(10)シリコーン被覆タルク 1.5
(11)シリコーン被覆紡錘状酸化チタン 3
(12)球状ナイロン末 1
(13)マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル 0.1
(14)酢酸DL−α−トコフェロール 0.1
(15)グリセリン 5
(16)1,3−ブチレングリコール 10
(17)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(18)精製水 残余
(19)香料 適量
(製法)
予めビーズミルなどを用い微細粒子に分散したゾル組成物(1)に、(2)〜(14)を添加し混合分散した。そこに(15)〜(18)の水相パーツを添加し乳化した後に、(19)を加え、目的の乳化ファンデーションを得た。
(質量%)
(1)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト
/デカメチルシクロペンタシロキサン(1/20)のゾル組成物 21
(2)トリメチルシロキシケイ酸 1
(3)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
(一般式(VI)型、HLB 3〜4、200〜800cs) 0.5
(4)スクワラン 5
(5)シリコーン被覆微粒子酸化チタン(20nm) 10
(6)タルク(疎水化処理品) 6
(7)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7
(8)ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.5
(9)球状ポリエチレン粉末 5
(10)ジプロピレングリコール 4
(11)エデト酸三ナトリウム 0.02
(12)パラベン 適量
(13)フェノキシエタノール 適量
(14)精製水 残余
(15)香料 適量
(製法)
予めビーズミルなどを用い微細粒子に分散したゾル組成物(1)に、(2)〜(9)を添加し混合攪拌した。そこに(10)〜(14)の水相パーツを添加し乳化した後に、(15)を加え、目的のサンスクリーンを得た。
(質量%)
(1)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト
/デカメチルシクロペンタシロキサン(1/20)のゾル組成物 21
(2)ジメチルポリシロキサン(5.6cs/25℃) 15
(3)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
(一般式(VII)タイプ、HLB 3〜4、200〜700cs、
R’=H、p=3、y=0) 5
(4)パルミチン酸 0.5
(5)2−エチルヘキサン酸セチル 5
(6)シリコーン被覆黄酸化鉄 2
(7)シリコーン被覆ベンガラ 1
(8)シリコーン被覆黒酸化鉄 0.3
(9)シリコーン被覆酸化チタン 10
(10)シリコーン被覆タルク 1.5
(11)シリコーン被覆紡錘状酸化チタン 3
(12)球状ナイロン末 1
(13)マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル 0.1
(14)酢酸DL−α−トコフェロール 0.1
(15)グリセリン 5
(16)1,3−ブチレングリコール 10
(17)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(18)精製水 残余
(19)香料 適量
(製法)
予めビーズミルなどを用い微細粒子に分散したゾル組成物(1)に、(2)〜(14)を添加し混合分散した。そこに(15)〜(18)の水相パーツを添加し乳化した後に、(19)を加え、目的の乳化ファンデーションを得た。
Claims (12)
- 平均厚さが0.1μm以下、平均長径が0.5〜50μmである板状粒子構造を有する有機変性粘土鉱物を油分中に含むゾル組成物。
- 請求項1記載のゾル組成物において、前記有機変性粘土鉱物が有機変性ヘクトライトであることを特徴とするゾル組成物。
- 請求項1又は2記載のゾル組成物において、油分がシリコーン油を含むことを特徴とするゾル組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のゾル組成物において、平均厚さ2μm以上である層状構造を有する有機変性粘土鉱物の凝集体を、油分中で、機械的せん断力および/又は衝撃力によって剥離処理する方法で製造されることを特徴とするゾル組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のゾル組成物と、非イオン性界面活性剤とを含むことを特徴とする油性ゲル組成物。
- 請求項5記載の油性ゲル組成物において、平均厚さ2μm以上である層状構造を有する有機変性粘土鉱物の凝集体を、油分中で、機械的せん断力および/又は衝撃力によって剥離処理した後、非イオン性界面活性剤を添加する方法で製造されることを特徴とする油性ゲル組成物。
- 請求項5又は6記載の油性ゲル組成物において、非イオン性界面活性剤がポリエーテル変性シリコーン化合物であることを特徴とする油性ゲル組成物。
- 請求項5〜7のいずれかに記載の油性ゲル組成物において、前記板状粒子構造を有する有機変性粘土鉱物の配合量が油性ゲル組成物中0.25〜30質量%であることを特徴とする油性ゲル組成物。
- 請求項5〜7のいずれかに記載の油性ゲル組成物において、前記板状粒子構造を有する有機変性粘土鉱物の配合量が油性ゲル組成物中0.25〜10質量%であることを特徴とする油性ゲル組成物。
- 請求項5〜9のいずれかに記載の油性ゲル組成物において、前記非イオン性界面活性剤の配合量が油性ゲル組成物中0.1〜10質量%であることを特徴とする油性ゲル組成物。
- 請求項5〜10のいずれかに記載の油性ゲル組成物を用いたW/O型乳化組成物。
- 請求項5〜10のいずれかに記載の油性ゲル組成物を用いた化粧料。
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