JP2004002275A - 不溶性乳化剤、該乳化剤を含有する乳化組成物及び化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は水溶性や油溶性の界面活性剤を用いなくても安定性に優れた乳化物が得られ、水および油に不溶性でありながらも乳化力に優れ、化粧品や洗剤等に用いても手荒れや肌荒れ等を起こさない乳化剤、該乳化剤を含有する乳化組成物及び化粧料、特に良好なのびやしっとり感を与える粒子径0.5mm〜10mmの巨大エマルジョンを安定に保持する乳化剤及びそれを配合した化粧料を提供することにある。
【解決手段】平均粒子径が20μm以下の薄片化層状ケイ酸塩粉体に、特定の疎水基をもつ第4級アンモニウムイオンを結合することにより、前記層状ケイ酸塩粉体の層間に前記疎水基を結合してなる有機変性層状ケイ酸塩粉体からなることを特徴とする不溶性乳化剤、該乳化剤を含有する乳化組成物及び化粧料。
【選択図】 なし
【解決手段】平均粒子径が20μm以下の薄片化層状ケイ酸塩粉体に、特定の疎水基をもつ第4級アンモニウムイオンを結合することにより、前記層状ケイ酸塩粉体の層間に前記疎水基を結合してなる有機変性層状ケイ酸塩粉体からなることを特徴とする不溶性乳化剤、該乳化剤を含有する乳化組成物及び化粧料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、化粧料や洗剤等に用いられる乳化剤、および該乳化剤を使用する乳化組成物及び化粧料、特に薄片状不溶性乳化剤を用いた乳化組成物の安定性、水相と油相の均一分散性、乳化剤の手荒れや肌荒れに対する安全性、及び化粧料としての使用感の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品や洗剤等の乳化物には、通常、水と油とを均一に混合分散するために、乳化剤が添加されている。こうした乳化剤は、得られたエマルジョンを安定にする作用を有するものが好ましく、通常、水および油に易溶性の界面活性剤が用いられる。
【0003】
しかしながら、乳化物に添加される可溶性の界面活性剤は、何れも手荒れ、肌荒れまたは皮膚アレルギー等の原因になるという問題がある。従来用いられている界面活性剤は、人によって皮膚に刺激を感じる場合もあり、不安を抱く消費者も多い。また、これらの界面活性剤を用いた水中油型エマルジョンや油中水型エマルジョンは、べたつきのある使用感となって官能的に好ましくなく、さらに耐水性やシリコーン系油分高配合性に劣る等の問題があった。このような背景から、現在の化粧品等の乳化物の開発動向は、界面活性剤の使用量をできるだけ少なくしたり、界面活性剤の改良に主眼をおいた研究がなされている。
【0004】
通常、乳液やクリームなどの基礎化粧品は、親水性ポリマー等の保湿剤を配合し、さらに油相により肌面を被覆し、水分の蒸散を防ぐことで肌の保湿性を高め、肌荒れを防ぐために使用される。したがって、基礎化粧品は、水と油と保湿剤の配合が重要であり、これらの成分を均一に乳化するために界面活性剤の添加が不可欠となる。
【0005】
しかしながら、界面活性剤は、肌面において、界面活性剤の疎水性サイトが皮脂層に浸透し、皮脂の洗浄や流失をもたらす。さらに皮脂層に浸透した界面活性剤の親水性サイトが肌面からの水分の蒸散を促進したり、皮膚細胞からの水溶性成分やイオンの排出を促進する作用をもつため、皮膚刺激や手荒れ、乾燥肌の原因となると考えられている。
【0006】
一方、最近、化粧品に粘土粒子を含有させると、使用態様において優れた感触等が得られることが知られ、粘土粒子の利用が図られている。例えば、ファンデーション等の粉末化粧品には、その主要原料として雲母やタルクが好ましく用いられている。こうした粘土粒子は、粘土の層間に界面活性剤を含有する作用を有するので、油と粘土粒子とからなる混合物に徐々に水を添加しながら強く攪拌すると、水中油型エマルジョンや油中水型エマルジョンを容易に得ることができ、化粧品等に応用できることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0007】
界面活性剤を用いなくても安定性に優れ、化粧品や洗剤等に用いても手荒れや肌荒れ等を起こさない乳化物を提供する方法としては、ベントナイトを配合した乳化物の調製方法が示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、ベントナイトには乳化作用がなく、水相の粘度を高め、エマルジョンの安定化のために、アルギン酸ナトリウム等の親水性ポリマーとグリセリンの配合が不可欠であることが示されている。したがって、乳化物の組成や用途が極めて限定的となる。
【0008】
また、膨潤性粘土鉱物の層間に第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を挿入した有機変性粘土鉱物を乳化の安定化剤として用いる方法がある。例えば特許文献5などに示されており、安定な油中水型エマルジョンを調製するのに有効であることは公知である。また、油中水中油型複合エマルジョンの安定化に極めて特異的な作用をもつことが示されている(例えば、特許文献6参照。)。
しかしながら、これらの有機変性粘土鉱物を用いた乳化物の調製には粘土鉱物とは結合していない遊離の界面活性剤の添加が不可欠であり、界面活性剤の使用による欠点を完全に解消することはできていない。
【0009】
また、乳化物からなる化粧品は、エマルジョンの粒子径を0.5mm以上に巨大化することで乳化物ののびやしっとり感を改善することが知られているが、エマルジョン粒子を安定に保持するためには、エマルジョンを強固な被膜で覆う必要がある。エマルジョンを包む膜には常温で不溶性の脂質膜を用いたり、粘土鉱物や高分子化合物を増粘剤として添加する方法が公知である。しかし、これらの乳化物の調製には遊離の界面活性剤の添加が不可欠であり、界面活性剤の使用による欠点を完全に解消することはできていない。
さらに、水中油型乳化物のエマルジョンの粒子径を0.5mm以上に巨大化する場合には、油滴の浮力が増大し、エマルジョン粒子が水相から浮上分離しやすくなるという問題があるために、これを防ぐために増粘剤を添加することでが不可欠であり、乳化物にさっぱり感を与えることは困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−136821
【特許文献2】
特開平8−323188
【特許文献3】
特開平8−20529
【特許文献4】
特開2000−302637
【特許文献5】
特公平2−32015
【特許文献6】
特開平9−255562
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術の課題に鑑み為されたものであり、その目的は水溶性や油溶性の界面活性剤を用いなくても安定性に優れた乳化物が得られ、水および油に不溶性でありながらも乳化力に優れ、化粧品や洗剤等に用いても手荒れや肌荒れ等を起こさない乳化剤、該乳化剤を含有する乳化組成物及び化粧料、特に良好なのびやしっとり感を与える粒子径0.5mm〜10mmの巨大エマルジョンを安定に保持する乳化剤及びそれを配合した化粧料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題に鑑み鋭意検討した結果、水中で膨潤し薄片化することで高いイオン交換容量をもつ層状ケイ酸塩微粉末を、特定の構造をもつ第4級アンモニウムイオンで有機変性処理することで親水性サイトと疎水性サイトをバランス良く有した薄片状固形微粉末が、水と油の乳化とエマルジョン粒子の分散、及び乳化物の安定化に格段の効果をもつことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の不溶性乳化剤は、平均粒子径が20μm以下の薄片化層状ケイ酸塩粉体に、疎水基をもつ第4級アンモニウムイオンを結合することにより、前記層状ケイ酸塩粉体の層間に前記疎水基を結合してなる有機変性層状ケイ酸塩粉体からなることを特徴とする。
【0013】
前記乳化剤において、前記層状ケイ酸塩粉体の層間に前記疎水基を結合するために、下記一般式(1)又は(2)の構造で表される有機変性剤を用いることが好適である。
【化3】
(式中、R1とR2は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、R3とR4はメチル基または炭素数2〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
【化4】
(式中、R1とR2とR3は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、R4はメチル基または炭素数2〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
また、前記乳化剤において、水滴の接触角が90°以上130°未満の範囲にあり、ひまし油滴の接触角が5°以上30°未満の範囲にあることが好適である。
【0014】
また、本発明の乳化組成物は、前記乳化剤を含有することを特徴とする。
【0015】
前記組成物により、直径0.5mm〜10mmの安定な巨大エマルジョンを含有する組成物が得られる。
また、前記組成物において、可溶性の界面活性剤を実質的に含有しないことが好適である。
【0016】
また、本発明の化粧料は、前記乳化剤を含有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の化粧料は、前記乳化組成物からなることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において使用される層状ケイ酸塩は、下記一般式(3)で表される。
(式中、( )内の「,」は「および/または」を表す。)
本発明で用いる層状ケイ酸塩は、上記一般式(3)で示される膨潤または限定膨潤型の層状ケイ酸塩で、水中で膨潤し薄片状微粉末となって分散するものである。これらの薄片状微粉末の比重は1.5g/cm3以上4g/cm3未満の範囲にある。
【0019】
例えばこのような層状ケイ酸塩のうち、合成マイカとしては
NaMg2.5 (Si4O10)F2 (Na四ケイ素雲母)
NaMg2Li(Si4O10)F2 (Naテニオライト)
Na1/3Mg8/3Li1/3(Si4O10)F2 (Naヘクトライト)
LiMg2Li(Si4O10)F2 (Liテニオライト)
Li1/3Mg8/3Li1/3(Si4O10)F2 (Liヘクトライト)
等が挙げられる。
【0020】
本発明で用いる層状ケイ酸塩粉体は、高いイオン交換容量を有し、水中での膨潤性に優れた微粉末である。また、厚みを100nm以下に調製することで分散性にすぐれた乳化力を保持することができる。粉体は薄片状であり、その平均粒子径は0.05μm〜20μmの範囲内が望ましい。粒子径の測定法としては、例えばレーザー回折式粒度分布計(LMS−30、(株)セイシン企業製)の50%メジアン径を求める方法が挙げられる。粒子径が20μmを超える層状ケイ酸塩粉体は、充分な効果が得られにくいので望ましくない。
【0021】
本発明者らは、前記の層状ケイ酸塩微粉末を、下記一般式(1)または一般式(2)で示される第4級アンモニウム塩で有機変性処理することで、水と油の乳化力に優れた有機変性層状ケイ酸塩微粉末が得られることを見出した。
【化5】
(式中、R1とR2は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、R3とR4はメチル基または炭素数2〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
【化6】
(式中、R1とR2とR3は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、R4はメチル基または炭素数2〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
【0022】
上記一般式(1)及び(2)において、第4級アンモニウム塩の有機鎖の構造は本発明において特に重要であり、有機鎖の炭素原子数が前記の範囲内のもので有機変性処理した層状ケイ酸塩微粉末は、結合した有機鎖が疎水性サイトとなり、無機粉体面が親水性サイトとなることで水相と油相の両方にバランス良く親和性をもつことで乳化作用をもち、水中油型又は油中水型の乳化物が得られる。有機鎖の炭素原子数が前記の範囲よりも多い場合、乃至は炭素原子数が少ない場合には適度な乳化力が得られず、水相と油相が分離する。
【0023】
また、このような有機変性層状ケイ酸塩微粉末の中でも、水滴の接触角が90°以上130°未満で、且つ、ひまし油滴の接触角が5°以上30°未満となるものが特に好適である。
【0024】
上記一般式(1)又は(2)の第4級アンモニウム塩による有機変性層状ケイ酸塩微粉末は、結晶層間のイオン交換法により、層状ケイ酸塩微粉末に第4級アンモニウムイオンを結合することによって、前記層状ケイ酸塩微粉末の層間に有機鎖を結合することで得られる。
【0025】
前記の有機変性微粉末を乳化剤として用いた場合、エマルジョン粒子の界面において、有機変性微粉末の親水性サイトである無機粉体面が水相に接し、微粉末に結合した疎水性有機鎖が油相に接することで水と油が均一に混合分散した乳化物が得られる。さらに、エマルジョン粒子の外側に薄片状の微粉末が強固な被膜を形成し、乳化構造を安定に保持することができる。したがって、従来のように可溶性の界面活性剤を添加せずとも安定な乳化物が得られる。
【0026】
この乳化剤を用いた乳化物を肌に適用した場合、乳化作用をもつ有機変性微粉末は水にも油にも不溶性の固形微粉末であり、肌面に付着し疎水性サイトが皮脂に浸透した場合でも、親水性サイトである無機粉体面が肌面に留まり、肌を被覆し保護する作用を持つため、肌荒れを防ぐ効果をもつ。
【0027】
そして、水中油型乳化物の場合には、油滴に付着した薄片状微粉末がエマルジョン粒子の比重を調製し、水相中での油滴の浮上を防ぐことにより、エマルジョン粒子が水相中に良好に分散し、長期間安定な乳化物となる。
【0028】
すなわち、通常の水中油滴分散型エマルジョンの粒子は、油滴のサイズが巨大化すると水中での浮力が増すためにエマルジョン粒子が浮上し、水相と分離しやすいという欠点を有しているが、本発明の薄片状不溶性乳化剤は、比重が1.5〜4g/cm3であるため、比重が1g/cm3未満の油滴の周囲に付着した場合には、エマルジョン粒子の比重を1g/cm3前後にする効果があり、エマルジョン粒子が巨大化した場合でも、油滴が水相中に分散した状態を保持することができる。
【0029】
本発明において特に特徴的である乳化物は、粒子径が0.5mm〜10mmのサイズの巨大エマルジョンを含む、実質的に可溶性の界面活性剤を含まない乳化物である。
例えば、本発明の乳化剤を水相及び油相からなる混合物に配合し、適当な通常の攪拌、混合操作を行えば、上記の巨大エマルジョンが安定に得られる。ここに、可溶性の界面活性剤を含んでしまうと、安定性が低下してしまう傾向がある。これは、薄片状無機粉体がエマルジョンの液状粒子の強固な外壁となり、エマルジョンの破壊や接合を防ぐために安定な乳化物が得られる一方、可溶性の界面活性剤が共存するとこの安定化作用を低下させるためと考えられる。
【0030】
したがって、前述の「実質的に可溶性の界面活性剤を含まない」とは、乳化を目的とする可溶性界面活性剤の配合や、乳化物の安定性又は皮膚刺激に対する作用に影響を及ぼすような配合は含まない意であり、基本的に可溶性界面活性剤を配合する必要は全くない。
【0031】
そして、本乳化物は増粘剤を使用することなく、巨大エマルジョン粒子を含む乳化物を得ることができるため、従来の乳化物では得られなかった、巨大油滴によるしっとり感やのびのある乳化物、乃至は、増粘剤無添加によるさっぱり感をもつ乳化物とすることができ、化粧料用途に好適である。
【0032】
また、本発明の乳化剤は、粉体として、ファンデーション等の仕上げ化粧品の配合剤として使用されている層状ケイ酸塩微粉末と同様の化粧効果を与えることができるため、これを乳化剤として配合した化粧品を使用した場合には、保湿効果や肌の保護作用を与えるのみならず、ファンデーションの効果も得られる。すなわち、その含有量を調整することによって、得られた乳化物に、柔軟さや伸びのよさ等の特性を発揮させることができる。特に、乳液用に使用した場合の長期安定性および滑らかさや肌触りの良さ等の使用態様において、特に優れた乳化物とすることができる。
【0033】
本発明の乳化物は、油相として極性油から非極性油までを幅広く用いることができる。油分を例示すれば、天然動植物油脂類及び半合成油類、炭化水素油類、高級アルコール類、エステル油類、グリセライド油類、シリコーン油類が挙げられる。
【0034】
さらに油類を詳細に例示すれば、天然動植物油脂類及び半合成油類として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデニアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
【0035】
炭化水素油類として、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。高級脂肪酸類として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0036】
高級アルコール類として、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリンエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0037】
エステル油類として、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
【0038】
グリセライド油類として、アセトグリセリル、ジイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル等が挙げられる。
【0039】
シリコーン油類として、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトロハイドロジエンシクロテトラシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーンレジン等が挙げられる。
【0040】
フッ素系油類として、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0041】
本発明の化粧料中の油剤の含有率は0〜90.0質量%、好ましくは1〜90質量%である。この含有率が1質量%未満では化粧料剤型を作ることが難しい場合があり、また90%を越えると本発明の乳化物の効果を充分発揮できなくなる。本発明の化粧料中の水の含有率は0〜99.0質量%であり、化粧料形態により増減し配合される。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
乳化安定性評価
水100mlに対し、以下の実施例1〜6および比較例1〜12のうち何れかの有機変性微粉末2gと、スクワラン40gを配合し、ミキサーで3分間攪拌して化粧用乳液の乳化物を調製した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性を以下の基準により視覚評価した。
評価基準
◎ 調製時の乳化状態を保っていた。
○ ほぼ調製時の乳化状態を保っていた。
△ やや分離の傾向が見られたが乳化状態を保っていた。
× 水相と油相が分離、又はクリーミング現象が起きた。
肌刺激性評価
次に、安定であった乳化物については、薬物に対する反応性の異なるモニター5名の腕に試料を塗布して、半日放置してもらい、反応の有無を確認することにより、肌刺激性を比較した。
【0043】
実施例1〜6の有機変性微粉末は、Na四ケイ素雲母の粒径を段階的に調製した薄片状粉体を有機変性処理して得た。実施例1〜4では有機変性剤として、ジデシルジメチルアンモニウム塩を、実施例5ではトリラウリルメチルアンモニウム塩を使用し、実施例6ではジオクチルジメチルアンモニウム塩を使用し、イオン交換法によりNa四ケイ素雲母の層間に有機鎖を結合した。実施例1〜6で使用した微粉末の粒径を表1に示した。
なお、粒径はレーザー回折式粒度分布計(LMS−30、(株)セイシン企業製)の50%メジアン径を求め、平均粒径(lm)とした。
【0044】
比較例1〜3は、有機変性剤として第4級アンモニウム塩のアルキル鎖の構造を変えた以外は実施例3と同様の方法で有機変性微粉末を得た。比較例1〜3で使用した有機変性剤を表1に示した。
【0045】
比較例4〜7は、有機変性剤としてシランカップリング剤、比較例8、9は有機変性剤としてシリコーンオイルを用いた以外は、実施例3と同様の方法で有機変性微粉末を得た。比較例4〜9で使用した有機変性剤を表1に示した。
【0046】
比較例10として、実施例3と同じ原料で有機変性処理しない試料を作成した。即ち、水100mlに対し、Na四ケイ素雲母の薄片状粉体2gと、スクワラン40gを配合し、可溶性界面活性剤としてジデシルジメチルアンモニウム塩0.5gを添加しミキサーで3分間攪拌して化粧用乳液の乳化物を調製した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を比較した。
【0047】
比較例11として、実施例3で調製した乳化物に、更に非イオン性界面活性剤を添加したものを試料として作成した。即ち、乳化安定性評価方法に非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル0.5gを添加し、ミキサーで3分間攪拌して化粧用乳液の乳化物を調製した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を比較した。
【0048】
親水性および疎水性評価
また、実施例および比較例の粉体の親水性および疎水性は、アート紙に両面テープを貼り付け、これに粉体を塗布し、水滴及び、ひまし油滴の接触角を測定することにより評価した。
実施例および比較例の接触角および乳化安定性の評価を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
表1より明らかなように、前記一般式(1)の第4級アンモニウム塩であるジデシルジメチルアンモニウム塩又はジオクチルジメチルアンモニウム塩、又は前記一般式(2)の第4級アンモニウム塩であるトリラウリルメチルアンモニウム塩を有機変性剤として使用した実施例1〜6を乳化剤とした場合では安定性の良好な乳化物となった。さらに、これらの乳化物は伸びがよく、浸透感がよく、臭いもなく、保湿性があった。また、遊離の可溶性界面活性剤を含まないために、肌が弱いアレルギー体質の人の肌に塗布してもアレルギーが起こらなかった。特に、水滴の接触角が90°以上130°未満で、且つ、ひまし油滴の接触角が10°以上30°未満の範囲では明らかに良好な結果が得られた。
【0051】
一方、比較例1〜3を乳化剤とした場合では、有機鎖の構造が不適格であり、有機変性微粉末の親水性サイトと疎水性サイトのバランスが不調となり、水相と油相が分離したり、クリーミング現象が起こり、安定な乳化物とならなかった。
【0052】
また、比較例4〜9を乳化剤とした場合では、有機分子が微粉末の全面に結合し被覆したため、親水性サイトと疎水性サイトのバランスが不調となり、水相と油相が分離したり、クリーミング現象が起こり、安定な乳化物とならなかった。
【0053】
比較例10の乳化物は、安定な乳化物となったが、肌が弱いアレルギー体質の人の肌に塗布した場合には、遊離の可溶性界面活性剤により皮膚の発赤の反応が起きた。
【0054】
比較例11の乳化物は、安定な乳化物となったが、肌が弱いアレルギー体質の人の肌に塗布した場合には、遊離の可溶性界面活性剤により肌が乾燥し、肌荒れや皮膚刺激の反応が起きた。
【0055】
<巨大エマルジョン>
乳化安定性評価
水300mlに対し、以下の実施例7、8のうち何れかの有機変性微粉末20gと、スクワラン100mlを配合し、ミキサーで3分間攪拌して化粧用乳液の乳化物を調製した。この乳化物を7日間放置したのち、前記の基準により安定性を視覚評価した。
肌刺激性評価
次に、薬物に対する反応性の異なるモニター5名の腕に試料を塗布して、半日放置してもらい、反応の有無を確認することにより、以下の基準により肌刺激性を評価した。
評価基準
○ 皮膚に変化は全く見られなかった。
△ 肌が弱いアレルギー体質の人の肌に塗布した時に、皮膚の発赤の反応或いは肌荒れや皮膚刺激の反応が起きる場合があった。
【0056】
実施例7、8で使用した有機変性微粉末は、Na四ケイ素雲母の薄片状粉体を有機変性処理して得た。実施例7では有機変性剤として、ジデシルジメチルアンモニウム塩を、実施例8ではトリラウリルメチルアンモニウム塩を使用し、イオン交換法によりNa四ケイ素雲母の層間に有機鎖を結合した。実施例7、8で使用した微粉末の粒径、得られたエマルジョンの平均粒子径、安定性及び肌刺激性の評価結果を表2に示した。
【0057】
比較例12として、実施例7において調製した有機変性微粉末と共に、可溶性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル0.5gを添加したものを試料として作成した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を評価した。
【0058】
比較例13として、実施例8において調製した有機変性微粉末と共に、可溶性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル0.5gを添加したものを試料として作成した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を評価した。
【0059】
比較例14として、実施例7において調製した有機変性微粉末と共に、可溶性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル3gを添加したものを試料として作成した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を評価した。
【0060】
比較例15として、乳化剤として有機変性微粉末を使用せずに、可溶性界面活性剤のみを使用し、攪拌条件を調節して粒子径0.5mm以上の巨大エマルジョンを得た。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性を評価した。
【0061】
【表2】
【0062】
表2より明らかなように、本発明の乳化剤のみを使用し、可溶性の界面活性剤を含まない実施例7、8では、粒子径0.5mm以上の巨大エマルジョンを含む乳化物が得られた。また、薄片状無機粉体がエマルジョンの液状粒子の外壁となり、エマルジョンの破壊や接合を防ぐために、安定性の良好な乳化物が得られた。
【0063】
これに対し、本発明の乳化剤と共に、可溶性の界面活性剤を併用した比較例12、13では、粒子径0.5mm以上の巨大エマルジョンは得られたものの、安定性が低下した。これは、可溶性の界面活性剤が共存すると安定化作用を低下させるためと考えられる。
【0064】
また、比較例14では、可溶性の界面活性剤を多量に併用したため、得られたエマルジョンは安定であったものの、平均粒子径0.5mm以上のエマルジョンは得られなかった。
【0065】
また、可溶性の界面活性剤のみを用いた比較例15では、攪拌条件を調節して平均粒子径0.5mm以上のエマルジョンが得られたものの、7日後には水相と油相へ完全に分離してしまった。
【0066】
実施例9 スクワラン100mlに対し、水300ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ、べとつき感もなく、さらっと軽く肌にのびてなじみやすいものであり、乾燥時には、薄片状の微粉末が肌面に付着し、保湿と肌を保護する効果があった。
【0067】
実施例10 スクワラン100mlに対し、水300ml、有機変性微粉末3gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約5mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0068】
実施例11 スクワラン100mlに対し、水20ml、有機変性微粉末18gを添加後攪拌し油中水型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約1mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果に加え、保湿力が高い効果があった。
【0069】
実施例12 オリーブ油100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0070】
実施例13 流動パラフィン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0071】
実施例14 オレイルアルコール100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0072】
実施例15 ラウリン酸ヘキシル100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0073】
実施例16 トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0074】
実施例17 デカメチルシクロペンタシロキサン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0075】
実施例18 ジメチルポリシロキサン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0076】
実施例19 有機変性剤としてトリラウリルメチルアンモニウムをイオン交換法によりNaヘクトライト(平均粒径2μm)の層間に結合した有機変性微粉末を用いて、スクワラン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約1mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0077】
実施例20 有機変性剤としてトリデシルメチルアンモニウムをイオン交換法によりNaヘクトライト(平均粒径8μm)の層間に結合した有機変性微粉末を用いて、スクワラン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0078】
比較例15 層間にテトラブチルアンモニウムを結合した有機変性微粉末を使用し、実施例9と同様の方法で乳化を行った。その結果、水相と油相が分離し乳化物は得られなかった。
【0079】
比較例16 層間にテトラデシルアンモニウムを結合した有機変性微粉末を使用し、実施例9と同様の方法で乳化を行った。その結果、水相と油相が分離し乳化物は得られなかった。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、不溶性である有機変性薄片状ケイ酸塩粉体からなる乳化剤が提供される。本発明の乳化剤を用いた乳化物によれば、従来のような可溶性の界面活性剤を用いる代わりに不溶性の微粉末を乳化剤として含有させるので、肌荒れや皮膚刺激を抑えた乳化物とすることができる。
また、エマルジョン粒子の周囲を不溶性の薄片状無機粉体で覆うことにより、直径が0.5mm〜10mmのサイズの巨大エマルジョンを安定に保持した乳化物を提供することができる。さらに、可溶性の界面活性剤を実質的に含まないことで安定且つ安全な乳化物とすることができる。
また、本発明の乳化剤を化粧料に配合すれば、肌荒れや皮膚刺激等が抑えられると共に、化粧料に要求される特性を満足し得るものを得ることができる。
また、巨大エマルジョンを含有する乳化物からなる本発明の化粧料は、しっとり感やのびと共に、さっぱり感を与えることができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、化粧料や洗剤等に用いられる乳化剤、および該乳化剤を使用する乳化組成物及び化粧料、特に薄片状不溶性乳化剤を用いた乳化組成物の安定性、水相と油相の均一分散性、乳化剤の手荒れや肌荒れに対する安全性、及び化粧料としての使用感の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品や洗剤等の乳化物には、通常、水と油とを均一に混合分散するために、乳化剤が添加されている。こうした乳化剤は、得られたエマルジョンを安定にする作用を有するものが好ましく、通常、水および油に易溶性の界面活性剤が用いられる。
【0003】
しかしながら、乳化物に添加される可溶性の界面活性剤は、何れも手荒れ、肌荒れまたは皮膚アレルギー等の原因になるという問題がある。従来用いられている界面活性剤は、人によって皮膚に刺激を感じる場合もあり、不安を抱く消費者も多い。また、これらの界面活性剤を用いた水中油型エマルジョンや油中水型エマルジョンは、べたつきのある使用感となって官能的に好ましくなく、さらに耐水性やシリコーン系油分高配合性に劣る等の問題があった。このような背景から、現在の化粧品等の乳化物の開発動向は、界面活性剤の使用量をできるだけ少なくしたり、界面活性剤の改良に主眼をおいた研究がなされている。
【0004】
通常、乳液やクリームなどの基礎化粧品は、親水性ポリマー等の保湿剤を配合し、さらに油相により肌面を被覆し、水分の蒸散を防ぐことで肌の保湿性を高め、肌荒れを防ぐために使用される。したがって、基礎化粧品は、水と油と保湿剤の配合が重要であり、これらの成分を均一に乳化するために界面活性剤の添加が不可欠となる。
【0005】
しかしながら、界面活性剤は、肌面において、界面活性剤の疎水性サイトが皮脂層に浸透し、皮脂の洗浄や流失をもたらす。さらに皮脂層に浸透した界面活性剤の親水性サイトが肌面からの水分の蒸散を促進したり、皮膚細胞からの水溶性成分やイオンの排出を促進する作用をもつため、皮膚刺激や手荒れ、乾燥肌の原因となると考えられている。
【0006】
一方、最近、化粧品に粘土粒子を含有させると、使用態様において優れた感触等が得られることが知られ、粘土粒子の利用が図られている。例えば、ファンデーション等の粉末化粧品には、その主要原料として雲母やタルクが好ましく用いられている。こうした粘土粒子は、粘土の層間に界面活性剤を含有する作用を有するので、油と粘土粒子とからなる混合物に徐々に水を添加しながら強く攪拌すると、水中油型エマルジョンや油中水型エマルジョンを容易に得ることができ、化粧品等に応用できることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0007】
界面活性剤を用いなくても安定性に優れ、化粧品や洗剤等に用いても手荒れや肌荒れ等を起こさない乳化物を提供する方法としては、ベントナイトを配合した乳化物の調製方法が示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、ベントナイトには乳化作用がなく、水相の粘度を高め、エマルジョンの安定化のために、アルギン酸ナトリウム等の親水性ポリマーとグリセリンの配合が不可欠であることが示されている。したがって、乳化物の組成や用途が極めて限定的となる。
【0008】
また、膨潤性粘土鉱物の層間に第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を挿入した有機変性粘土鉱物を乳化の安定化剤として用いる方法がある。例えば特許文献5などに示されており、安定な油中水型エマルジョンを調製するのに有効であることは公知である。また、油中水中油型複合エマルジョンの安定化に極めて特異的な作用をもつことが示されている(例えば、特許文献6参照。)。
しかしながら、これらの有機変性粘土鉱物を用いた乳化物の調製には粘土鉱物とは結合していない遊離の界面活性剤の添加が不可欠であり、界面活性剤の使用による欠点を完全に解消することはできていない。
【0009】
また、乳化物からなる化粧品は、エマルジョンの粒子径を0.5mm以上に巨大化することで乳化物ののびやしっとり感を改善することが知られているが、エマルジョン粒子を安定に保持するためには、エマルジョンを強固な被膜で覆う必要がある。エマルジョンを包む膜には常温で不溶性の脂質膜を用いたり、粘土鉱物や高分子化合物を増粘剤として添加する方法が公知である。しかし、これらの乳化物の調製には遊離の界面活性剤の添加が不可欠であり、界面活性剤の使用による欠点を完全に解消することはできていない。
さらに、水中油型乳化物のエマルジョンの粒子径を0.5mm以上に巨大化する場合には、油滴の浮力が増大し、エマルジョン粒子が水相から浮上分離しやすくなるという問題があるために、これを防ぐために増粘剤を添加することでが不可欠であり、乳化物にさっぱり感を与えることは困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−136821
【特許文献2】
特開平8−323188
【特許文献3】
特開平8−20529
【特許文献4】
特開2000−302637
【特許文献5】
特公平2−32015
【特許文献6】
特開平9−255562
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術の課題に鑑み為されたものであり、その目的は水溶性や油溶性の界面活性剤を用いなくても安定性に優れた乳化物が得られ、水および油に不溶性でありながらも乳化力に優れ、化粧品や洗剤等に用いても手荒れや肌荒れ等を起こさない乳化剤、該乳化剤を含有する乳化組成物及び化粧料、特に良好なのびやしっとり感を与える粒子径0.5mm〜10mmの巨大エマルジョンを安定に保持する乳化剤及びそれを配合した化粧料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題に鑑み鋭意検討した結果、水中で膨潤し薄片化することで高いイオン交換容量をもつ層状ケイ酸塩微粉末を、特定の構造をもつ第4級アンモニウムイオンで有機変性処理することで親水性サイトと疎水性サイトをバランス良く有した薄片状固形微粉末が、水と油の乳化とエマルジョン粒子の分散、及び乳化物の安定化に格段の効果をもつことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の不溶性乳化剤は、平均粒子径が20μm以下の薄片化層状ケイ酸塩粉体に、疎水基をもつ第4級アンモニウムイオンを結合することにより、前記層状ケイ酸塩粉体の層間に前記疎水基を結合してなる有機変性層状ケイ酸塩粉体からなることを特徴とする。
【0013】
前記乳化剤において、前記層状ケイ酸塩粉体の層間に前記疎水基を結合するために、下記一般式(1)又は(2)の構造で表される有機変性剤を用いることが好適である。
【化3】
(式中、R1とR2は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、R3とR4はメチル基または炭素数2〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
【化4】
(式中、R1とR2とR3は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、R4はメチル基または炭素数2〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
また、前記乳化剤において、水滴の接触角が90°以上130°未満の範囲にあり、ひまし油滴の接触角が5°以上30°未満の範囲にあることが好適である。
【0014】
また、本発明の乳化組成物は、前記乳化剤を含有することを特徴とする。
【0015】
前記組成物により、直径0.5mm〜10mmの安定な巨大エマルジョンを含有する組成物が得られる。
また、前記組成物において、可溶性の界面活性剤を実質的に含有しないことが好適である。
【0016】
また、本発明の化粧料は、前記乳化剤を含有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の化粧料は、前記乳化組成物からなることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において使用される層状ケイ酸塩は、下記一般式(3)で表される。
(式中、( )内の「,」は「および/または」を表す。)
本発明で用いる層状ケイ酸塩は、上記一般式(3)で示される膨潤または限定膨潤型の層状ケイ酸塩で、水中で膨潤し薄片状微粉末となって分散するものである。これらの薄片状微粉末の比重は1.5g/cm3以上4g/cm3未満の範囲にある。
【0019】
例えばこのような層状ケイ酸塩のうち、合成マイカとしては
NaMg2.5 (Si4O10)F2 (Na四ケイ素雲母)
NaMg2Li(Si4O10)F2 (Naテニオライト)
Na1/3Mg8/3Li1/3(Si4O10)F2 (Naヘクトライト)
LiMg2Li(Si4O10)F2 (Liテニオライト)
Li1/3Mg8/3Li1/3(Si4O10)F2 (Liヘクトライト)
等が挙げられる。
【0020】
本発明で用いる層状ケイ酸塩粉体は、高いイオン交換容量を有し、水中での膨潤性に優れた微粉末である。また、厚みを100nm以下に調製することで分散性にすぐれた乳化力を保持することができる。粉体は薄片状であり、その平均粒子径は0.05μm〜20μmの範囲内が望ましい。粒子径の測定法としては、例えばレーザー回折式粒度分布計(LMS−30、(株)セイシン企業製)の50%メジアン径を求める方法が挙げられる。粒子径が20μmを超える層状ケイ酸塩粉体は、充分な効果が得られにくいので望ましくない。
【0021】
本発明者らは、前記の層状ケイ酸塩微粉末を、下記一般式(1)または一般式(2)で示される第4級アンモニウム塩で有機変性処理することで、水と油の乳化力に優れた有機変性層状ケイ酸塩微粉末が得られることを見出した。
【化5】
(式中、R1とR2は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、R3とR4はメチル基または炭素数2〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
【化6】
(式中、R1とR2とR3は炭素数8〜18のアルキル基またはベンジル基、R4はメチル基または炭素数2〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基、Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す。)
【0022】
上記一般式(1)及び(2)において、第4級アンモニウム塩の有機鎖の構造は本発明において特に重要であり、有機鎖の炭素原子数が前記の範囲内のもので有機変性処理した層状ケイ酸塩微粉末は、結合した有機鎖が疎水性サイトとなり、無機粉体面が親水性サイトとなることで水相と油相の両方にバランス良く親和性をもつことで乳化作用をもち、水中油型又は油中水型の乳化物が得られる。有機鎖の炭素原子数が前記の範囲よりも多い場合、乃至は炭素原子数が少ない場合には適度な乳化力が得られず、水相と油相が分離する。
【0023】
また、このような有機変性層状ケイ酸塩微粉末の中でも、水滴の接触角が90°以上130°未満で、且つ、ひまし油滴の接触角が5°以上30°未満となるものが特に好適である。
【0024】
上記一般式(1)又は(2)の第4級アンモニウム塩による有機変性層状ケイ酸塩微粉末は、結晶層間のイオン交換法により、層状ケイ酸塩微粉末に第4級アンモニウムイオンを結合することによって、前記層状ケイ酸塩微粉末の層間に有機鎖を結合することで得られる。
【0025】
前記の有機変性微粉末を乳化剤として用いた場合、エマルジョン粒子の界面において、有機変性微粉末の親水性サイトである無機粉体面が水相に接し、微粉末に結合した疎水性有機鎖が油相に接することで水と油が均一に混合分散した乳化物が得られる。さらに、エマルジョン粒子の外側に薄片状の微粉末が強固な被膜を形成し、乳化構造を安定に保持することができる。したがって、従来のように可溶性の界面活性剤を添加せずとも安定な乳化物が得られる。
【0026】
この乳化剤を用いた乳化物を肌に適用した場合、乳化作用をもつ有機変性微粉末は水にも油にも不溶性の固形微粉末であり、肌面に付着し疎水性サイトが皮脂に浸透した場合でも、親水性サイトである無機粉体面が肌面に留まり、肌を被覆し保護する作用を持つため、肌荒れを防ぐ効果をもつ。
【0027】
そして、水中油型乳化物の場合には、油滴に付着した薄片状微粉末がエマルジョン粒子の比重を調製し、水相中での油滴の浮上を防ぐことにより、エマルジョン粒子が水相中に良好に分散し、長期間安定な乳化物となる。
【0028】
すなわち、通常の水中油滴分散型エマルジョンの粒子は、油滴のサイズが巨大化すると水中での浮力が増すためにエマルジョン粒子が浮上し、水相と分離しやすいという欠点を有しているが、本発明の薄片状不溶性乳化剤は、比重が1.5〜4g/cm3であるため、比重が1g/cm3未満の油滴の周囲に付着した場合には、エマルジョン粒子の比重を1g/cm3前後にする効果があり、エマルジョン粒子が巨大化した場合でも、油滴が水相中に分散した状態を保持することができる。
【0029】
本発明において特に特徴的である乳化物は、粒子径が0.5mm〜10mmのサイズの巨大エマルジョンを含む、実質的に可溶性の界面活性剤を含まない乳化物である。
例えば、本発明の乳化剤を水相及び油相からなる混合物に配合し、適当な通常の攪拌、混合操作を行えば、上記の巨大エマルジョンが安定に得られる。ここに、可溶性の界面活性剤を含んでしまうと、安定性が低下してしまう傾向がある。これは、薄片状無機粉体がエマルジョンの液状粒子の強固な外壁となり、エマルジョンの破壊や接合を防ぐために安定な乳化物が得られる一方、可溶性の界面活性剤が共存するとこの安定化作用を低下させるためと考えられる。
【0030】
したがって、前述の「実質的に可溶性の界面活性剤を含まない」とは、乳化を目的とする可溶性界面活性剤の配合や、乳化物の安定性又は皮膚刺激に対する作用に影響を及ぼすような配合は含まない意であり、基本的に可溶性界面活性剤を配合する必要は全くない。
【0031】
そして、本乳化物は増粘剤を使用することなく、巨大エマルジョン粒子を含む乳化物を得ることができるため、従来の乳化物では得られなかった、巨大油滴によるしっとり感やのびのある乳化物、乃至は、増粘剤無添加によるさっぱり感をもつ乳化物とすることができ、化粧料用途に好適である。
【0032】
また、本発明の乳化剤は、粉体として、ファンデーション等の仕上げ化粧品の配合剤として使用されている層状ケイ酸塩微粉末と同様の化粧効果を与えることができるため、これを乳化剤として配合した化粧品を使用した場合には、保湿効果や肌の保護作用を与えるのみならず、ファンデーションの効果も得られる。すなわち、その含有量を調整することによって、得られた乳化物に、柔軟さや伸びのよさ等の特性を発揮させることができる。特に、乳液用に使用した場合の長期安定性および滑らかさや肌触りの良さ等の使用態様において、特に優れた乳化物とすることができる。
【0033】
本発明の乳化物は、油相として極性油から非極性油までを幅広く用いることができる。油分を例示すれば、天然動植物油脂類及び半合成油類、炭化水素油類、高級アルコール類、エステル油類、グリセライド油類、シリコーン油類が挙げられる。
【0034】
さらに油類を詳細に例示すれば、天然動植物油脂類及び半合成油類として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデニアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
【0035】
炭化水素油類として、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。高級脂肪酸類として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0036】
高級アルコール類として、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリンエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0037】
エステル油類として、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
【0038】
グリセライド油類として、アセトグリセリル、ジイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル等が挙げられる。
【0039】
シリコーン油類として、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトロハイドロジエンシクロテトラシロキサン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーンレジン等が挙げられる。
【0040】
フッ素系油類として、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0041】
本発明の化粧料中の油剤の含有率は0〜90.0質量%、好ましくは1〜90質量%である。この含有率が1質量%未満では化粧料剤型を作ることが難しい場合があり、また90%を越えると本発明の乳化物の効果を充分発揮できなくなる。本発明の化粧料中の水の含有率は0〜99.0質量%であり、化粧料形態により増減し配合される。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
乳化安定性評価
水100mlに対し、以下の実施例1〜6および比較例1〜12のうち何れかの有機変性微粉末2gと、スクワラン40gを配合し、ミキサーで3分間攪拌して化粧用乳液の乳化物を調製した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性を以下の基準により視覚評価した。
評価基準
◎ 調製時の乳化状態を保っていた。
○ ほぼ調製時の乳化状態を保っていた。
△ やや分離の傾向が見られたが乳化状態を保っていた。
× 水相と油相が分離、又はクリーミング現象が起きた。
肌刺激性評価
次に、安定であった乳化物については、薬物に対する反応性の異なるモニター5名の腕に試料を塗布して、半日放置してもらい、反応の有無を確認することにより、肌刺激性を比較した。
【0043】
実施例1〜6の有機変性微粉末は、Na四ケイ素雲母の粒径を段階的に調製した薄片状粉体を有機変性処理して得た。実施例1〜4では有機変性剤として、ジデシルジメチルアンモニウム塩を、実施例5ではトリラウリルメチルアンモニウム塩を使用し、実施例6ではジオクチルジメチルアンモニウム塩を使用し、イオン交換法によりNa四ケイ素雲母の層間に有機鎖を結合した。実施例1〜6で使用した微粉末の粒径を表1に示した。
なお、粒径はレーザー回折式粒度分布計(LMS−30、(株)セイシン企業製)の50%メジアン径を求め、平均粒径(lm)とした。
【0044】
比較例1〜3は、有機変性剤として第4級アンモニウム塩のアルキル鎖の構造を変えた以外は実施例3と同様の方法で有機変性微粉末を得た。比較例1〜3で使用した有機変性剤を表1に示した。
【0045】
比較例4〜7は、有機変性剤としてシランカップリング剤、比較例8、9は有機変性剤としてシリコーンオイルを用いた以外は、実施例3と同様の方法で有機変性微粉末を得た。比較例4〜9で使用した有機変性剤を表1に示した。
【0046】
比較例10として、実施例3と同じ原料で有機変性処理しない試料を作成した。即ち、水100mlに対し、Na四ケイ素雲母の薄片状粉体2gと、スクワラン40gを配合し、可溶性界面活性剤としてジデシルジメチルアンモニウム塩0.5gを添加しミキサーで3分間攪拌して化粧用乳液の乳化物を調製した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を比較した。
【0047】
比較例11として、実施例3で調製した乳化物に、更に非イオン性界面活性剤を添加したものを試料として作成した。即ち、乳化安定性評価方法に非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル0.5gを添加し、ミキサーで3分間攪拌して化粧用乳液の乳化物を調製した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を比較した。
【0048】
親水性および疎水性評価
また、実施例および比較例の粉体の親水性および疎水性は、アート紙に両面テープを貼り付け、これに粉体を塗布し、水滴及び、ひまし油滴の接触角を測定することにより評価した。
実施例および比較例の接触角および乳化安定性の評価を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
表1より明らかなように、前記一般式(1)の第4級アンモニウム塩であるジデシルジメチルアンモニウム塩又はジオクチルジメチルアンモニウム塩、又は前記一般式(2)の第4級アンモニウム塩であるトリラウリルメチルアンモニウム塩を有機変性剤として使用した実施例1〜6を乳化剤とした場合では安定性の良好な乳化物となった。さらに、これらの乳化物は伸びがよく、浸透感がよく、臭いもなく、保湿性があった。また、遊離の可溶性界面活性剤を含まないために、肌が弱いアレルギー体質の人の肌に塗布してもアレルギーが起こらなかった。特に、水滴の接触角が90°以上130°未満で、且つ、ひまし油滴の接触角が10°以上30°未満の範囲では明らかに良好な結果が得られた。
【0051】
一方、比較例1〜3を乳化剤とした場合では、有機鎖の構造が不適格であり、有機変性微粉末の親水性サイトと疎水性サイトのバランスが不調となり、水相と油相が分離したり、クリーミング現象が起こり、安定な乳化物とならなかった。
【0052】
また、比較例4〜9を乳化剤とした場合では、有機分子が微粉末の全面に結合し被覆したため、親水性サイトと疎水性サイトのバランスが不調となり、水相と油相が分離したり、クリーミング現象が起こり、安定な乳化物とならなかった。
【0053】
比較例10の乳化物は、安定な乳化物となったが、肌が弱いアレルギー体質の人の肌に塗布した場合には、遊離の可溶性界面活性剤により皮膚の発赤の反応が起きた。
【0054】
比較例11の乳化物は、安定な乳化物となったが、肌が弱いアレルギー体質の人の肌に塗布した場合には、遊離の可溶性界面活性剤により肌が乾燥し、肌荒れや皮膚刺激の反応が起きた。
【0055】
<巨大エマルジョン>
乳化安定性評価
水300mlに対し、以下の実施例7、8のうち何れかの有機変性微粉末20gと、スクワラン100mlを配合し、ミキサーで3分間攪拌して化粧用乳液の乳化物を調製した。この乳化物を7日間放置したのち、前記の基準により安定性を視覚評価した。
肌刺激性評価
次に、薬物に対する反応性の異なるモニター5名の腕に試料を塗布して、半日放置してもらい、反応の有無を確認することにより、以下の基準により肌刺激性を評価した。
評価基準
○ 皮膚に変化は全く見られなかった。
△ 肌が弱いアレルギー体質の人の肌に塗布した時に、皮膚の発赤の反応或いは肌荒れや皮膚刺激の反応が起きる場合があった。
【0056】
実施例7、8で使用した有機変性微粉末は、Na四ケイ素雲母の薄片状粉体を有機変性処理して得た。実施例7では有機変性剤として、ジデシルジメチルアンモニウム塩を、実施例8ではトリラウリルメチルアンモニウム塩を使用し、イオン交換法によりNa四ケイ素雲母の層間に有機鎖を結合した。実施例7、8で使用した微粉末の粒径、得られたエマルジョンの平均粒子径、安定性及び肌刺激性の評価結果を表2に示した。
【0057】
比較例12として、実施例7において調製した有機変性微粉末と共に、可溶性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル0.5gを添加したものを試料として作成した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を評価した。
【0058】
比較例13として、実施例8において調製した有機変性微粉末と共に、可溶性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル0.5gを添加したものを試料として作成した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を評価した。
【0059】
比較例14として、実施例7において調製した有機変性微粉末と共に、可溶性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル3gを添加したものを試料として作成した。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性と乳化物の肌刺激性を評価した。
【0060】
比較例15として、乳化剤として有機変性微粉末を使用せずに、可溶性界面活性剤のみを使用し、攪拌条件を調節して粒子径0.5mm以上の巨大エマルジョンを得た。この乳化物を7日間放置したのち、乳化の安定性を評価した。
【0061】
【表2】
【0062】
表2より明らかなように、本発明の乳化剤のみを使用し、可溶性の界面活性剤を含まない実施例7、8では、粒子径0.5mm以上の巨大エマルジョンを含む乳化物が得られた。また、薄片状無機粉体がエマルジョンの液状粒子の外壁となり、エマルジョンの破壊や接合を防ぐために、安定性の良好な乳化物が得られた。
【0063】
これに対し、本発明の乳化剤と共に、可溶性の界面活性剤を併用した比較例12、13では、粒子径0.5mm以上の巨大エマルジョンは得られたものの、安定性が低下した。これは、可溶性の界面活性剤が共存すると安定化作用を低下させるためと考えられる。
【0064】
また、比較例14では、可溶性の界面活性剤を多量に併用したため、得られたエマルジョンは安定であったものの、平均粒子径0.5mm以上のエマルジョンは得られなかった。
【0065】
また、可溶性の界面活性剤のみを用いた比較例15では、攪拌条件を調節して平均粒子径0.5mm以上のエマルジョンが得られたものの、7日後には水相と油相へ完全に分離してしまった。
【0066】
実施例9 スクワラン100mlに対し、水300ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ、べとつき感もなく、さらっと軽く肌にのびてなじみやすいものであり、乾燥時には、薄片状の微粉末が肌面に付着し、保湿と肌を保護する効果があった。
【0067】
実施例10 スクワラン100mlに対し、水300ml、有機変性微粉末3gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約5mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0068】
実施例11 スクワラン100mlに対し、水20ml、有機変性微粉末18gを添加後攪拌し油中水型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約1mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果に加え、保湿力が高い効果があった。
【0069】
実施例12 オリーブ油100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0070】
実施例13 流動パラフィン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0071】
実施例14 オレイルアルコール100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0072】
実施例15 ラウリン酸ヘキシル100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0073】
実施例16 トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0074】
実施例17 デカメチルシクロペンタシロキサン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0075】
実施例18 ジメチルポリシロキサン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0076】
実施例19 有機変性剤としてトリラウリルメチルアンモニウムをイオン交換法によりNaヘクトライト(平均粒径2μm)の層間に結合した有機変性微粉末を用いて、スクワラン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約1mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0077】
実施例20 有機変性剤としてトリデシルメチルアンモニウムをイオン交換法によりNaヘクトライト(平均粒径8μm)の層間に結合した有機変性微粉末を用いて、スクワラン100mlに対し、水200ml、有機変性微粉末8gを添加後攪拌し水中油型エマルジョンを得た。この乳化物のエマルジョン粒子の平均粒径は約3mmであった。この乳化物は、7日間放置したのちもエマルジョン粒子が良好に分散した乳化物であった。この乳化物を肌に塗布したところ実施例9と同様の効果が認められた。
【0078】
比較例15 層間にテトラブチルアンモニウムを結合した有機変性微粉末を使用し、実施例9と同様の方法で乳化を行った。その結果、水相と油相が分離し乳化物は得られなかった。
【0079】
比較例16 層間にテトラデシルアンモニウムを結合した有機変性微粉末を使用し、実施例9と同様の方法で乳化を行った。その結果、水相と油相が分離し乳化物は得られなかった。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、不溶性である有機変性薄片状ケイ酸塩粉体からなる乳化剤が提供される。本発明の乳化剤を用いた乳化物によれば、従来のような可溶性の界面活性剤を用いる代わりに不溶性の微粉末を乳化剤として含有させるので、肌荒れや皮膚刺激を抑えた乳化物とすることができる。
また、エマルジョン粒子の周囲を不溶性の薄片状無機粉体で覆うことにより、直径が0.5mm〜10mmのサイズの巨大エマルジョンを安定に保持した乳化物を提供することができる。さらに、可溶性の界面活性剤を実質的に含まないことで安定且つ安全な乳化物とすることができる。
また、本発明の乳化剤を化粧料に配合すれば、肌荒れや皮膚刺激等が抑えられると共に、化粧料に要求される特性を満足し得るものを得ることができる。
また、巨大エマルジョンを含有する乳化物からなる本発明の化粧料は、しっとり感やのびと共に、さっぱり感を与えることができる。
Claims (9)
- 平均粒子径が20μm以下の薄片化層状ケイ酸塩粉体に、疎水基をもつ第4級アンモニウムイオンを結合することにより、前記層状ケイ酸塩粉体の層間に前記疎水基を結合してなる有機変性層状ケイ酸塩粉体からなることを特徴とする不溶性乳化剤。
- 請求項2又は3記載の乳化剤において、水滴の接触角が90°以上130°未満の範囲にあり、ひまし油滴の接触角が5°以上30°未満の範囲にあることを特徴とする不溶性乳化剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の乳化剤を含有することを特徴とする乳化組成物。
- 請求項5記載の組成物において、直径0.5mm〜10mmの巨大エマルジョンを含有することを特徴とする乳化組成物。
- 請求項6記載の組成物において、可溶性の界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする乳化組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の乳化剤を含有することを特徴とする化粧料。
- 請求項5〜7のいずれかに記載の乳化組成物からなることを特徴とする化粧料。
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