JP2008063202A - プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな充放電容量をもつプロトン含有型ニッケル酸リチウムの製造方法と、このプロトン含有型ニッケル酸リチウム中の炭酸リチウムの含有量を1.5質量%以下にすることにより、電池内でガス発生の少ない非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の製造方法において、一般式Ni1−aMa(OH)2(0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表される水酸化物を、酸化剤とリチウムイオンとを含む溶液に接触させる第1工程と、前記第1工程によって得られた生成物に少なくとも1種の第1級アルコールを含む溶液を通液させる第2工程を経ることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の製造方法において、一般式Ni1−aMa(OH)2(0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表される水酸化物を、酸化剤とリチウムイオンとを含む溶液に接触させる第1工程と、前記第1工程によって得られた生成物に少なくとも1種の第1級アルコールを含む溶液を通液させる第2工程を経ることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物正極活物質の製造方法およびそれを正極活物質に用いた非水電解質二次電池に関するものである。
近年、携帯電話およびデジタルカメラなどの電子機器の電源として、小形で軽量なリチウムイオン二次電池が広く用いられている。このような電子機器の多機能化は著しく進み、現在、使用されているコバルト酸リチウム/C系、マンガン酸リチウム/C系およびニッケル酸リチウム/C系のリチウムイオン二次電池に代わる高エネルギー密度の電池が期待されている。
そのなかでも、ニッケル酸リチウムは、コバルト酸リチウムと同じ結晶構造の層状化合物であり、エッジを共有しているNiO6八面体の層間にリチウムが挿入されている。ニッケル酸リチウムは上記正極活物質の中で最も高い放電容量を示しており、高容量活物質としての期待が高い。
ニッケル酸リチウムの製造方法は、ニッケル源としてNi(NO3)2、Ni(OH)2、NiCO3またはNiOなどを、リチウム源としてLiOH、LiNO3、Li2CO3、Li2Oなどを使用し、両者を混合したのち酸素気流中で約600〜900℃の熱処理をおこなうことが一般的である。
一方、固相焼成法ではない合成法も検討されている。特許文献1には、低温合成法のひとつとして、オキシ水酸化ニッケルとリチウムイオンを含有する溶液とを反応させるニッケル酸リチウムの製造方法が開示されており、特許文献2には、化学式HxLiyMO2(ただし、0≦x≦2、0≦y≦2、1≦x+y≦2、MはCo、Niの中から選択される1種または2種の遷移金属)で表される化合物を、リチウムイオンを含有する溶液中で化学的に酸化するLiMO2の製造方法が開示されている。しかし、いずれの活物質も本発明の正極活物質とは異なっている。
また、特許文献3には、イオン交換による一般式AxByMOz(ただし、0≦x≦2、0≦y≦2、1.5≦z≦3、M=Mn、Fe、Ni、Co、V、CrまたはSc、AおよびBはH、Li、Na、K、Cs、Ca、MgおよびRbならびにこれらの混合物よりなる元素)で表される活物質の合成法が開示されている。さらに、特許文献4には、一般式HxA1-xMO2(ただし、x=0.99〜0、Aは1a族のアルカリ金属、M=Co、Ni)の製造方法が開示されているが、HxLi1-xCoO2およびHxLi1-xNiO2のみが記載されており、いずれの活物質も本発明の正極活物質とは異なっている。
また、正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルを利用する試みがあり、特許文献5には、20〜75モル%のコバルトを含むオキシ水酸化ニッケルをリチウム電池用活物質として用いることが開示されており、特許文献6には、10モル%のコバルトを含むオキシ水酸化ニッケルに水酸化リチウムの水溶液を通液し、水素イオンとリチウムイオンとのイオン交換反応をおこなう正極活物質の製造方法が開示されている。しかし、特許文献5や特許文献6には、これらの正極活物質における水素とリチウムの含有比率については何ら明確にされていない。
さらに、特許文献7には、化学式Ni1−aMa(OH)2(0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるニッケルの一部をMで置換した水酸化ニッケルとリチウムイオンを含む溶液と酸化剤とを接触させる、化学式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有ニッケル酸リチウムの製造方法が開示されているが、合成後の洗浄方法についての記載はなかった。
また、特許文献8には、化学式Co1−a−b−cNiaMnbMc(OH)2(ただし、MはCo、Ni、Mn以外の金属元素、1/6≦a≦1/3、1/6≦b≦1/3、0≦c≦1/10、1/3≦a+b+c≦2/3)で表される遷移金属水酸化物とリチウムイオンを含む溶液と酸化剤とを接触させる、HxLiyCo1−a−b−cNiaMnbMcO2(ただし、MはCo、Ni、Mn以外の金属元素、0<x≦1、0<y≦1、0<x+y≦2、1/6≦a≦1/3、1/6≦b≦1/3、0≦c≦1/10、1/3≦a+b+c≦2/3)で表される正極活物質の製造方法が開示されているが、合成後の洗浄工程では水酸化リチウムの水溶液を用いていた。
特開平09-219193号公報
特開平09-320588号公報
特開平6-349494号公報
特許第3263082号公報
特開昭63-19760号公報
特開2000-123836号公報
特願2006−010554
特願2006−176056
プロトン含有型ニッケル酸リチウムを非水電解質二次電池の正極活物質に用いた場合、大きな充放電容量が得られるという利点がある。しかし、プロトン含有型ニッケル酸リチウムを合成した後の洗浄工程で、特許文献8に記載のようにリチウムを含む水溶液を用いた場合、得られたプロトン含有型ニッケル酸リチウムには、不純物として炭酸リチウムが多量に含まれるため、これを正極活物質に用いた非水電解質二次電池においては充放電中に炭酸リチウムが分解し、多量の二酸化炭素ガスが発生するという問題があった。
そこで、本発明の目的は、大きな充放電容量をもつプロトン含有型ニッケル酸リチウムの製造方法を提供すること、また、このプロトン含有型ニッケル酸リチウム中の不純物としての炭酸リチウムの含有量を1.5質量%以下にすることによって、電池内でガス発生の少ない非水電解質二次電池を提供することにある。
請求項1の発明は、一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の製造方法において、一般式Ni1−aMa(OH)2(0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表される水酸化物を、酸化剤とリチウムイオンとを含む溶液に接触させる第1工程と、前記第1工程によって得られた生成物に少なくとも1種の第1級アルコールを含む溶液を通液させて乾燥する第2工程を経ることを特徴とする。
請求項2の発明は、非水電解質二次電池において、請求項1に記載の製造方法で得られたプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物を正極活物質に用いたことを特徴とする。
請求項3の発明は、一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物を正極活物質に用いた非水電解質二次電池において、前記プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物中の炭酸リチウムの含有量が1.5質量%以下であることを特徴とする。
本発明の一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の製造方法は、低温で、しかも簡単な製造方法である。
そして、この製造方法で得られたプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物を正極活物質に用いることにより、単位質量当たりの放電容量の大きい非水電解質二次電池を得ることができる。
また、本発明の製造方法で得られた上記プロトン含有型ニッケル酸リチウム中の、不純物としての炭酸リチウムの含有量を1.5質量%以下にすることにより、充放電中に炭酸リチウムの分解に起因する電池内でガス発生の少ない非水電解質二次電池を得ることができるものである。
本発明の一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されることを特徴とするプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物は、一般式Ni1−aMa(OH)2(0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるニッケル系水酸化物とリチウムイオンを含む溶液を接触させる第1工程と、前記第1工程によって得られた生成物に少なくとも1種の第1級アルコールを含む溶液を通液させて乾燥する第2工程を経ることによって作製することができる。
本発明の一般式HxLiyNi1−aMaO2で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物を製造する第1工程において、使用するリチウムイオンを含む溶液は、不飽和のリチウムイオンを含む溶液でもよいし、飽和以上のリチウム化合物を含む液相分散系であってもよい。リチウムイオン源は1種でも2種以上の混合物でもかまわない。リチウムイオン源としては、水酸化リチウム、水酸化リチウム1水和物、炭酸リチウム、酸化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、塩化リチウム、しゅう酸リチウム、酢酸リチウム、またはくえん酸リチウムから選択される少なくとも1種を含ませることが好ましい。
第1工程で使用するリチウムイオンを含む溶液の溶媒としては、好ましくは水を用いることがよいが、有機溶媒を用いてもかまわない。この溶液中には、必ずしも陽イオンとしてリチウムイオン(およびプロトン)のみが含まれている必要はなく、たとえばナトリウムイオンやカリウムイオンなどが含まれていてもかまわない。リチウムイオンの濃度は、反応速度の面から、水酸化ニッケルのモル数に対してリチウムイオンのモル数が過剰であることが好ましい。
第1工程において、使用する酸化剤は、酸素、オゾンまたはペルオキソ二硫酸塩、もしくは次亜塩素酸塩、過マンガン酸塩、二クロム酸塩、臭素、塩素から選択される少なくとも1種を用いることができる。また、酸化剤を用いる化学的な酸化方法だけではなく、電気化学的な手法を用いてもよい。酸化剤の量は反応速度の面から、水酸化ニッケル1モルに対して過剰のモル数であることが好ましい。
第1工程において、一般式Ni1−aMa(OH)2(0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるニッケル系水酸化物と酸化剤とを、またはこれらとリチウムイオンを含む溶液とを接触させる時間は、特に制限されないが、0.1〜240時間が好ましい。なお、溶液の温度を高くすることによって、反応速度を大きくすることができるが、溶液を沸騰させないためには、用いる溶媒の沸点以下の温度とすることが好ましく、また、作業性の面を考慮すると、25〜80℃の範囲とすることがより好ましい。
本発明の第2工程では、第1工程で得られた生成物を、第1級アルコール溶液に通液して乾燥する。ここで「通液」とは、第1工程で得られた生成物に、第1級アルコール溶液を徐々に加えて、攪拌した後、ろ過したり、生成物と第1級アルコール溶液とを混合して、攪拌した後、ろ過することなどを意味する。
第2工程の撹拌の時間は、特に制限されないが、作業中に、大気中の水分等が混入することを考慮すると、0.1〜1時間が好ましい。また、溶液の温度は、特に制限されないが、溶液を沸騰させないためには、用いる溶媒の沸点以下の温度とすることが好ましく、また、作業性の面を考慮すると、25〜80℃の範囲とすることがより好ましい。
本発明の第2工程で使用する第1級アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、または1−ドデカノールから選択される少なくとも1種を用いることができる。
また、第1級アルコールのうち、メタノールは沸点が65℃と低いことから、室温よりも高い温度で反応をおこなう場合は好ましくない。さらに、第1級アルコールのうち、1−ドデカノールよりも高級な1−トリデカノールなどのアルコールは融点が室温以上であるため、室温よりも高い温度で反応をおこなう場合にのみ用いることができる。また、第3級アルコールは、融点が室温以上であるため、室温程度の温度で反応をおこなう場合は好ましくない。
本発明の製造方法で得られたプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物は、電気化学的にリチウムを吸蔵・放出することが可能であり、これを正極活物質に用いることで、単位質量当たりの放電容量の大きい非水電解質二次電池を得ることができる。
また、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物中の不純物としての炭酸リチウム(Li2CO3)の含有量を1.5質量%以下とすることにより、充放電中に電池内でガス発生の少ない、優れた特性を示す非水電解質二次電池を得ることができる。なお、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物中の炭酸リチウムの含有量は、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物と炭酸リチウムの合計質量に対する炭酸リチウムの質量の比(質量%)を意味するものとする。
本発明の製造方法で得られる一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物は、充放電反応の進行にともなって、x+yは0から2の間で変化することができる。
なお、本発明の一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物正極活物質は0<y≦1であることが好ましい。yが1よりも大きいとサイクル性能が劣化するためである。
本発明の非水電解質二次電池に用いる負極活物質には特に制限はなく、負極活物質には黒鉛や非晶質炭素などの炭素材料、酸化物、および窒化物などを使用できる。これらの中では、容量や充放電サイクル性能が優れていることから、黒鉛や非晶質炭素などの炭素材料や酸化物を使用することが好ましい。
正極および負極を作製するときに使用する結着剤として、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)あるいはカルボキシメチルセルロース(CMC)などから選択される少なくとも1種を用いることができる。
結着剤を混合するときに用いる溶媒として、非水溶媒または水溶液のいずれも使用できる。非水溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどを使用できる。一方、水溶液には、分散剤、増粘剤などを加えて用いることができる。
電極の集電体として、鉄、銅、ステンレス、ニッケルおよびアルミを用いることができる。また、その形状として、シート、発泡体、メッシュ、多孔体およびエキスパンド格子などを用いることができる。さらに、集電体には任意の形状で穴を開けて用いることができる。
電解液に使用する有機溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1、2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1、3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネートなどを、単独または混合して使用することができる。また、電解液中にビニレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート系、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼンなどのベンゼン系、プロパンスルトンなどの硫黄系の化合物を単独または混合して使用できる。
さらに、電解液と固体電解質とを組み合わせて使用することができる。固体電解質として、結晶質または非晶質の無機固体電解質を用いることができる。前者には、LiI、Li3N、Li1+xMxTi2−x(PO4)3(M=Al、Sc、Y、La)、Li0.5−3xR0.5+xTiO3(R=La、Pr、Nd、Sm)、またはLi4−xGe1−xPxS4に代表されるチオLISICONを用いることができ、後者にはLiI−Li2O−B2O5系、Li2O−SiO2系、LiI−Li2S−B2S3系、LiI−Li2S−SiS2系、Li2S−SiS2−Li3PO4系などを用いることができる。
有機溶媒に溶解する塩としては、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF(CF3)5、LiPF2(CF3)4、LiPF3(CF3)3、LiPF4(CF3)2、LiPF5(CF3)、LiPF3(C2F5)3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2、LiN(COCF3)2、LiN(COCF2CF3)2、LiC4BO8などを単独あるいは混合して使用することができる。これらのなかにおいて、サイクル性能が良好になることから、リチウム塩としては、LiPF6が好ましい。さらに、これらのリチウム塩の濃度は、0.5〜2.0mol/dm3の範囲が好ましい。
非水電解質二次電池のセパレータとして、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンおよびポリオレフィンなどの微多孔膜を使用できる。
非水電解質二次電池の形状は特に限定されるものではなく、角形、楕円形、コイン形、ボタン形、シート形などを用いることができる。
つぎに、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
[実施例1および比較例1〜4]
[実施例1]
遷移金属水酸化物(Ni0.8Co0.2(OH)2)5.0gを80℃の4.0mol/dm3の水酸化リチウム水溶液125mlに分散した後に、12%の次亜塩素酸ソーダ43mlを加え、80℃に保ち、3時間攪拌して第1工程とした。これをろ過した直後に、25℃のエタノール21mlを加えて、0.5時間攪拌して、ろ過して、65℃で12時間乾燥して第2工程とした。このようにして、本発明のプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物(H0.2Li0.8Ni0.76Co0.24O2)の粉末aを得た。
[実施例1]
遷移金属水酸化物(Ni0.8Co0.2(OH)2)5.0gを80℃の4.0mol/dm3の水酸化リチウム水溶液125mlに分散した後に、12%の次亜塩素酸ソーダ43mlを加え、80℃に保ち、3時間攪拌して第1工程とした。これをろ過した直後に、25℃のエタノール21mlを加えて、0.5時間攪拌して、ろ過して、65℃で12時間乾燥して第2工程とした。このようにして、本発明のプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物(H0.2Li0.8Ni0.76Co0.24O2)の粉末aを得た。
この粉末aの活物質89質量%と、アセチレンブラック4質量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)7質量%とをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中で混合し、ペーストを作製した。このペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布して、150℃で減圧乾燥することにより、NMPを蒸発させた。これをローラーで加圧したのち、スリッターにて30mmW×40mmL×50μmTの大きさにして、本発明のプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物(粉末a)を含む正極Aを作製した。
[比較例1]
第2工程において、エタノールの代わりに4.0mol/dm3の水酸化リチウム(LiOH)水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末bを得た。これを用いて実施例1と同様にして、比較例1の粉末bを含む正極Bを作製した。
第2工程において、エタノールの代わりに4.0mol/dm3の水酸化リチウム(LiOH)水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末bを得た。これを用いて実施例1と同様にして、比較例1の粉末bを含む正極Bを作製した。
[比較例2]
第2工程において、エタノールの代わりにイオン交換水(伝導度0.2μS/cm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末cを得た。これを用いて実施例1と同様にして、比較例2の粉末cを含む正極Cを作製した。
第2工程において、エタノールの代わりにイオン交換水(伝導度0.2μS/cm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末cを得た。これを用いて実施例1と同様にして、比較例2の粉末cを含む正極Cを作製した。
[比較例3]
第2工程において、エタノールの代わりにNMPを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末dを得た。これを用いて実施例1と同様にして、比較例3の粉末dを含む正極Dを作製した。
第2工程において、エタノールの代わりにNMPを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末dを得た。これを用いて実施例1と同様にして、比較例3の粉末dを含む正極Dを作製した。
[比較例4]
第2工程において、エタノールの代わりにイソプロピルアルコールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末eを得た。これを用いて実施例1と同様にして、比較例4の粉末eを含む正極Eを作製した。
第2工程において、エタノールの代わりにイソプロピルアルコールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末eを得た。これを用いて実施例1と同様にして、比較例4の粉末eを含む正極Eを作製した。
[特性測定]
実施例1および比較例1〜4で得られた粉末a〜eに含まれるリチウム含有量は誘導結合プラズマ分析(ICP)を用いて定量した。その結果を「Li含有量」としてLi/(Ni+Co)のモル比で表1に示す。
実施例1および比較例1〜4で得られた粉末a〜eに含まれるリチウム含有量は誘導結合プラズマ分析(ICP)を用いて定量した。その結果を「Li含有量」としてLi/(Ni+Co)のモル比で表1に示す。
また、実施例1で得られた正極Aおよび比較例1〜4で得られた正極B〜Eと、参照極および対極として金属リチウム板と、電解液としてエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との体積比1:1の混合溶媒に1mol/dm3のLiClO4を溶解させたものとを用い、3極式のガラスセルを製作した。これらの正極の電気化学的な電位挙動はつぎのようにして調べた。25℃において、電流0.1CmAの定電流で4.3V(vs.Li/Li+)まで充電したのち、3.0V(vs.Li/Li+)までの放電をおこなった。この1サイクル目における、4.2V(vs.Li/Li+)までと4.3V(vs.Li/Li+)までの充電電気量および3.0V(vs.Li/Li+)までの放電電気量を表2に示す。
また、実施例1で得られた正極Aおよび比較例1〜4で得られた正極B〜Eの充電挙動を図1に示す。なお、図1において、記号Aは実施例1の正極Aの、記号Bは比較例1の正極Bの、記号Cは比較例2の正極Cの、記号Dは比較例3の正極Dの、記号Eは比較例4の正極Eの、それぞれの充電挙動を示す。
表1および表2からわかるように、第2工程の溶液としてエタノールを用いた実施例1の正極Aでは、比較例1〜4の正極B〜Eと比較して、4.2V(vs.Li/Li+)までの定電流での充電において、活物質の単位質量当り148.2mAhという特に大きな充電電気量を得ることができた。
ここで、1サイクル目に電位が貴にシフトする充電はリチウムの脱離にあたるが、4.3V(vs.Li/Li+)までの充電電気量と4.2V(vs.Li/Li+)までの充電電気量との差の電気量は炭酸リチウムの分解に用いられたと考えられる。その電気量の差は、実施例1の正極Aおよび比較例1〜4の正極B〜Eのおいて、それぞれ、10.0、63.8、19.1、60.6、および57.3mAh/gであり、比較例2の第2工程の溶液として水酸化リチウム水溶液を用いた正極Bの場合が最も大きく、実施例1の正極Aでは最も小さかった。
これは、炭酸リチウムの電気分解に使われた電気量が、正極Bの場合が最も大きく、正極Aでは最も小さいことを意味する。ここで、含まれる炭酸リチウムの質量が上記の電気分解に使われた電気量に相当するとし、4.2V(vs.Li/Li+)までの充電電気量が正極活物質のリチウムの脱離に相当すると考えると、そのモル比から計算した、正極活物質中の炭酸リチウムの含有量は、正極Bの場合が多く10.60質量%、正極Aでは最も少なく1.28質量%であった。
正極Bでは、第2工程の溶液として水酸化リチウム水溶液を用いたために、空気中の二酸化炭素と反応するリチウムイオンが活物質中に多量に存在したことにより炭酸リチウムが活物質中に含まれたことによると考えられる。
また、第2工程の溶液としてイオン交換水を用いた正極Cでは、正極活物質中の炭酸リチウム含有量は7.16質量%と比較的少ないが、4.2V(vs.Li/Li+)までの充電で得られる充電電気量はわずか47.4mAh/gと非常に小さく、実際に電池の正極活物質として用いるには十分ではないことがわかった。その理由は、第2工程にイオン交換水を用いたことにより、作製したプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物中のリチウムがプロトンに再イオン交換されたことによるものと考えられる。
なお、理由は明らかではないが、第2工程の溶液として非プロトン性の極性溶媒であるNMPを用いた正極Dでも、4.2V(vs.Li/Li+)までの充電で得られる充電電気量はわずか65.9mAh/gと小さく、また、正極活物質中の炭酸リチウムの含有量が14.97質量%と多く、実際に電池の正極活物質として用いるには十分ではないことがわかった。
さらに、理由は明らかではないが、第2工程の溶液として第2級アルコールのイソプロピルアルコールを用いた正極Eでは、炭酸リチウムの分解に用いられたと考えられる電気量が57.3mAh/gと大きく、正極Bの場合と同様に、正極活物質中の炭酸リチウムの含有量が10.18質量%と多く、実際に電池の正極活物質として用いるには十分ではないことがわかった。
[実施例2〜7]
[実施例2]
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに10℃のメタノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末fを得た。[実施例3]
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに40℃のエタノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末gを得た。
[実施例2]
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに10℃のメタノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末fを得た。[実施例3]
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに40℃のエタノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末gを得た。
[実施例4]
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに25℃の1−プロパノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末hを得た。
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに25℃の1−プロパノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末hを得た。
[実施例5]
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに50℃の1−プロパノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末iを得た。
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに50℃の1−プロパノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末iを得た。
[実施例6]
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに25℃のエタノールと1−プロパノールの体積比1:1混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末jを得た。
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに25℃のエタノールと1−プロパノールの体積比1:1混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末jを得た。
[実施例7]
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに40℃のエタノールと1−ドデカノールの体積比9:1混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末kを得た。
第2工程において、25℃のエタノールの代わりに40℃のエタノールと1−ドデカノールの体積比9:1混合溶媒を用いたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末kを得た。
[実施例8]
第2工程において、エタノールを加えて攪拌する時間を1.0時間としたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末lを得た。
第2工程において、エタノールを加えて攪拌する時間を1.0時間としたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末lを得た。
[実施例9]
第2工程において、エタノールを加えて攪拌する時間を2.0時間としたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末mを得た。
第2工程において、エタノールを加えて攪拌する時間を2.0時間としたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末mを得た。
[実施例10]
第2工程において、エタノールを加えて攪拌する時間を3.0時間としたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末nを得た。
第2工程において、エタノールを加えて攪拌する時間を3.0時間としたこと以外は実施例1と同様にして、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末nを得た。
[特性測定]
実施例2〜10で得られた粉末f〜nに含まれるリチウム含有量は、実施例1と同様の誘導結合プラズマ分析(ICP)を用いて定量した。また、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末f〜nを用いて、実施例1と同様にして、正極F〜Nを製作した。そして、この正極F〜Nについて、実施例1と同様の条件で電気化学的な電位挙動を調べ、正極活物質中の炭酸リチウムの含有量を、実施例1の場合と同様に計算した。その結果を表3に示す。なお、表3には比較のため、実施例1の結果も示した。
実施例2〜10で得られた粉末f〜nに含まれるリチウム含有量は、実施例1と同様の誘導結合プラズマ分析(ICP)を用いて定量した。また、プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の粉末f〜nを用いて、実施例1と同様にして、正極F〜Nを製作した。そして、この正極F〜Nについて、実施例1と同様の条件で電気化学的な電位挙動を調べ、正極活物質中の炭酸リチウムの含有量を、実施例1の場合と同様に計算した。その結果を表3に示す。なお、表3には比較のため、実施例1の結果も示した。
表3の結果から、第2工程において、洗浄時の攪拌時間が0.5時間の場合、洗浄に用いる第1級アルコールの種類や、攪拌時の温度を変えた場合でも、得られるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物中に含まれる炭酸リチウムの含有量は1.5質量%以下になることがわかった。
また、第2工程の洗浄時の攪拌時間を1時間よりも長くすると、得られるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物中に含まれる炭酸リチウムの含有量は1.5質量%より多くなることがわかったが、4.2V(vs.Li/Li+)までの充電電気量は、実施例7の正極Lでは147.0mAh/g、実施例8の正極Mでは147.3mAh/g、実施例9の正極Nでは165.9mAh/gであり、実際に電池の正極活物質として用いるには十分な値であることがわかった。
なお、第2工程において、第1級アルコールとして、実施例1〜7以外にも、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノールおよび1−ウンデカノールを単独で、あるいはこれらとメタノール、エタノール、1−プロパノールとを、2種以上混合して用い、攪拌時の温度や時間を変えた場合でも、実施例1〜7の場合と同様の効果が得られた。
[実施例11〜13]
[実施例11]
実施例1で作製した粉末aの活物質89質量%と、アセチレンブラック4質量%と、PVDF7質量%とをNMP中で混合し、ペーストを作製し、このペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布して、150℃で減圧乾燥することにより、NMPを蒸発させた。これをローラーで加圧して50μmの厚さとなるように圧縮成型することにより、本発明のプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物(粉末a)を含む正極A1を作製した。
[実施例11]
実施例1で作製した粉末aの活物質89質量%と、アセチレンブラック4質量%と、PVDF7質量%とをNMP中で混合し、ペーストを作製し、このペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗布して、150℃で減圧乾燥することにより、NMPを蒸発させた。これをローラーで加圧して50μmの厚さとなるように圧縮成型することにより、本発明のプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物(粉末a)を含む正極A1を作製した。
正極A1と、平均粒径10μmの鱗片状黒鉛80質量%とPVdF20質量%とをNMP中で混合してペーストを作製し、このペーストを厚さ15μmの銅箔上に塗布し、150℃で乾燥してNMPを蒸発させ、ローラーで加圧して55μmの厚さとなるように圧縮成型することにより作製した負極とを用い、正極と負極の間に、厚さ20μm、多孔度40%の連通多孔体であるポリエチレンセパレータを挟んで重ねて、高さ70mm、幅34mm、厚さ3.8mmの容器中に挿入し、内部に非水電解液を注入して、実施例11の非水電解質二次電池Wを作製した。この非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(MEC)との体積比1:1の混合溶媒に1mol/dm3のLiPF6を溶解したものを用いた。
[実施例12]
実施例8で作製した粉末lを用いて正極L1を作製したこと以外は実施例11と同様にして、実施例12の非水電解質二次電池Xを作製した。
実施例8で作製した粉末lを用いて正極L1を作製したこと以外は実施例11と同様にして、実施例12の非水電解質二次電池Xを作製した。
[実施例13]
実施例9で作製した粉末mを用いて正極M1を作製したこと以外は実施例11と同様にして、実施例13の非水電解質二次電池Yを作製した。
実施例9で作製した粉末mを用いて正極M1を作製したこと以外は実施例11と同様にして、実施例13の非水電解質二次電池Yを作製した。
[比較例5]
比較例1で作製した粉末bを用いて正極B1を作製したこと以外は実施例11と同様にして、比較例5の非水電解質二次電池Zを作製した。
比較例1で作製した粉末bを用いて正極B1を作製したこと以外は実施例11と同様にして、比較例5の非水電解質二次電池Zを作製した。
[特性測定]
実施例11〜13および比較例5の非水電解質二次電池W、X、YおよびZを、25℃において、0.2CmA定電流で4.2Vまで、さらに4.2V定電圧で、合計8時間充電し、その後、0.2CmAの定電流で、2.0Vまで放電した。この充放電を1サイクルとし、合計50サイクルの充放電を行った。そして、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を「放電容量維持率(%)」とする。また、サイクル試験前後の電池厚さを測定した。その結果を表4にまとめた。
実施例11〜13および比較例5の非水電解質二次電池W、X、YおよびZを、25℃において、0.2CmA定電流で4.2Vまで、さらに4.2V定電圧で、合計8時間充電し、その後、0.2CmAの定電流で、2.0Vまで放電した。この充放電を1サイクルとし、合計50サイクルの充放電を行った。そして、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を「放電容量維持率(%)」とする。また、サイクル試験前後の電池厚さを測定した。その結果を表4にまとめた。
表4の結果から、実施例11の電池Wおよび実施例12の電池Xは、繰り返し充放電をすることが可能で、50サイクル後の放電容量維持率は99%と、きわめて優れたサイクル性能を示し、電池厚さの膨れはわずかであることがわかった。
一方、実施例13の電池Yでは、サイクル後に電池厚さは6.8mmとなり、膨れが大きいく、さらに、比較例5の電池Zでは、サイクル後に電池厚さは15.9mmとなり、膨れが非常に大きくなることがわかった。実施例13の電池Yや比較例5の電池Zでは、正極活物質中に含まれる炭酸リチウムの量が多いため、充放電によって炭酸リチウムが分解し、発生するガスの量が多くなったためと考えられる。この結果から、正極活物質中の炭酸リチウムの含有量を1.5質量%以下とした場合に、サイクル後の電池の膨れを抑制できることがわかった。
また、実施例1で用いたプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物(Ni0.76Co0.24OOH0.2Li0.8)を一般式(HxNiyNi0.76Co0.24O2)のxを0.1、0.3、0.5、0.7あるいは1に、yを0.1、0.3、0.5、0.7あるいは1に変化させた場合でも、実施例1の場合と同様の結果が得られた。
さらに、ニッケルに置換したコバルトの量を0.1、1、15、25、30あるいは50mol%に変えた場合でも、同様の結果が得られた。さらに、ニッケルに置換するコバルトをチタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、アルミニウム、銅、亜鉛で置換した場合でも、実施例1のコバルトで置換した場合と同様の結果が得られた。
Claims (3)
- 一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の製造方法において、一般式Ni1−aMa(OH)2(0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表される水酸化物を、酸化剤とリチウムイオンとを含む溶液に接触させる第1工程と、前記第1工程によって得られた生成物に少なくとも1種の第1級アルコールを含む溶液を通液させて乾燥する第2工程を経ることを特徴とするプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法で得られたプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物を正極活物質に用いたことを特徴とする非水電解質二次電池。
- 一般式HxLiyNi1−aMaO2(0<x≦1、0<y≦1、1≦x+y≦2、0<a≦0.5、MはCo、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Al、Cu及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種)で表されるプロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物を正極活物質に用いた非水電解質二次電池において、前記プロトン含有型ニッケル系遷移金属酸化物中の炭酸リチウムの含有量が1.5質量%以下であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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