以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る給紙装置10の正面図であり、図2は、給紙装置10のP−P断面図である。図1では理解を容易にするため、外側のカバーなどを2点鎖線で表し、給紙装置10の内部構造が表されるよう図示している。
給紙装置10は、装置本体12および給紙台14を備える。給紙装置10は、給紙部16、エア吹出機構57、第1エア吹出部材52、第2エア吹出部材54、用紙高さセンサ20、バッファ機構22を備える。装置本体12の略中央には、前方および下方に開口する空間領域である用紙収容部15が設けられている。給紙台14には用紙が積載され、用紙収容部15は給紙台14およびそれに積載された用紙を収容する。
給紙台14は装置本体12に対して着脱可能とされている。給紙台14は給紙板51およびキャスタ48を有する。給紙板51は、外形が四角形の平板状に形成される。給紙板51は上面が水平となるよう装置本体12に取り付けられ、給紙板51の上面には用紙が積載される用紙載置面50が設けられる。キャスタ48は給紙板51の下方に設けられる。キャスタ48は、給紙台14が装置本体12から取り外されたときに接地し、給紙台14を移動可能とする。
ユーザは、給紙台14を装置本体12に取り付けると、必要に応じて給紙台14に積載された用紙を装置奥側のフレーム13に突き当てるように移動させる。また、必要に応じて給紙台14に積載された用紙を所定の突き当て部に突き当てるように用紙送り出し方向に移動させる。こうして給紙台14に積載された用紙は、用紙の送り出しに適した位置に位置決めされる。また、送り出される用紙は、フレーム13によって斜めになることが抑制される。
給紙部16は、用紙収容部15の右上部に設けられる。給紙部16は、複数(第1の実施形態では8つ)の給紙ベルト17および2本のローラ18を有する。複数の給紙ベルト17の各々は、同一の幅および同一の周の長さを有し、軸方向に均等間隔に並ぶよう2本のローラ18の外周に装着される。給紙部16は、ローラ18の軸方向が前後方向を向き、且つ2本のローラが左右方向に並ぶように、用紙収容部15の上側かつ右側に配置され、装置本体12のフレーム13に固定される。
ローラ18の一方はモータ(図示せず)によって駆動され、これによって全ての給紙ベルト17も駆動される。このとき、モータは給紙ベルト17の下面が用紙の送り出し方向に移動するようローラ18を駆動する。また、給紙部16はエア吸引機構(図示せず)も有している。エア吸引機構は、給紙ベルト17の下面からエアを吸引する。用紙が所定の高さまで積載された状態で給紙ベルト17が駆動され、且つ給紙ベルト17の下面からエアが吸引されると、積載された用紙のうち最上位の用紙が給紙ベルト17の下面に吸着されて装置右方向に送り出される。なお、第1の実施形態ではエア吸引機構はファンを有し、ファンが作動することによって給紙ベルト17下面からエアを吸引するためのエアの流れが形成される。
給紙装置10は電子制御部(図示せず)を有している。電子制御部は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMなどを有し、給紙装置10に搭載されたモータやソレノイドなどの様々なアクチュエータの作動を制御する。
給紙ベルト17を駆動するモータは電子制御部に接続されており、電子制御部は給紙ベルト17の作動のオン、オフなどを制御する。エア吸引機構には、エアの流路に設けられた開口部を開放および閉鎖する蓋材を駆動するソレノイドが設けられている。ソレノイドがオフの場合は開口部が開放され、給紙ベルト17の下面からのエアの吸引が弱められることによって給紙ベルト17の下面への用紙の吸着が抑制される。ソレノイドがオンの場合は開口部が閉鎖され、給紙ベルト17の下面からのエアの吸引が強められることによって給紙ベルト17の下面に用紙が吸着される。このソレノイドも電子制御部に接続されており、電子制御部はソレノイドのオン、オフを制御することによって、給紙ベルト17への用紙の吸着を制御する。このように電子制御部は、給紙ベルト17の駆動および給紙ベルト17下面への用紙の吸着を制御することによって、給紙台14に積載された用紙の最上位の用紙の送り出しを制御する。
エア吹出手段としてのエア吹出機構57は、給紙部16の下方かつ積載された用紙の下流側の上端近傍に配置される。エア吹出機構57は、用紙送り出し方向下流側から積載された用紙の上端にエアを吹き出す。エア吹出機構57からエアが吹き出されることによって、最上位の用紙がその下の用紙に対して浮き上がり、両者間の摩擦力が低減され、用紙の搬送性を向上させることが可能となる。エア吹出機構57はファン(図示せず)を有しており、電子制御部はこのファンの作動を制御することにより、エア吹出機構57によるエアの吹き出しを制御する。
用紙高さセンサ20は、給紙台14に積載された用紙のうち最上位の用紙の高さを検出する。装置本体12は、給紙部16の用紙搬送方向上流側(以下、「上流側」という)に配置される。用紙高さセンサ20は回動プレート20a、光センサ20b、およびセンサフレーム20cを有する。回動プレート20aはセンサフレーム20cに回動可能に支持される。光センサ20bはセンサフレーム20cに固定され、回動プレート20aが所定の角度まで回動したことを検知する。用紙高さセンサ20は給紙部16の左側周辺に配置され、回動プレート20aが給紙ベルト17の下面よりもわずかに下方に突出するようにフレーム13に固定される。後述するように積載された用紙は給紙台14とともに上昇および下降が可能とされており、回動プレート20aは、積載された用紙のうち最上位の用紙が当接した状態で、その積載された用紙が上昇することによって回動する。積載された用紙のうち最上位の用紙が送り出しに適した高さまで持ち上げられたときに、回動プレート20aが所定の角度まで回動したことを検知するよう、光センサ20bおよび回動プレート20aがそれぞれ配置される。
第1エア吹出部材52は、積載された用紙の右側の後方近傍、かつ積載された用紙の最上位の用紙近傍に配置され、エアが供給されることによって前方にエアを吹き出す。したがって第1エア吹出部材52は、積載された用紙の上端側面にエアを吹き出すエア吹出手段として機能する。第2エア吹出部材54は、積載された用紙の左側の前方近傍且つ積載された用紙の最上位の用紙近傍に配置され、エアが供給されることによって後方にエアを吹き出す。したがって第2エア吹出部材54も、積載された用紙の上端側面にエアを吹き出すエア吹出手段として機能する。第1エア吹出部材52および第2エア吹出部材54からエアが吹き出されることによって、前述のエア吹出機構57によるエア吹出と相俟って積載された用紙のうち最上位の用紙とその下の用紙との間にさらに効果的に空気の層が形成される。これによって用紙間の摩擦力が低減され、最上位の用紙の送り出しが容易となる。
給紙部16からの用紙の送り出し先には、上昇しながら用紙搬送方向を右方向から左方向に反転させる湾曲した用紙搬送路が設けられている。この湾曲した用紙搬送路では用紙はローラ19によって搬送される。
この湾曲した用紙搬送路の用紙搬送方向下流側(以下、「下流側」という)である左側には、ローラユニット58が設けられる。ローラユニット58は、搬送ベルト64およびローラ60、ローラ62を有する。搬送ベルト64は、ローラ60およびローラ62の外周に装着され、搬送ベルト64の下面によって斜め下方に進む用紙搬送路を形成する。
ローラユニット58の下流側にはバッファ機構22が設けられている。バッファ機構22は、搬送ベルト26、ローラ24、停留ローラ28を有する。搬送ベルト26は2つのローラ24の外周に装着され、搬送ベルト26の上面によって斜め上方に進む用紙搬送路が形成される。
停留ローラ28は搬送ベルト26の上面に接触している。停留ローラ28の下方には搬送ベルト26上面の用紙搬送方向の長さと同様の長さを有する停留部材(図示せず)が、上流側を支点に回動可能にフレーム13に取り付けられている。用紙をバッファ機構22に停留させる場合、この停留部材を上方に移動するよう回動させ、停留ローラ28に当接させる。このとき停留部材の上面が搬送ベルト26の上面よりも上方に位置するまで停留部材が回動させられる。これによって搬送ベルト26が駆動されたまま、搬送ベルト26の上方において用紙を停留させることが可能となる。
第3エア吹出部材56は、バッファ機構22の上流側から下流側に向かって、搬送ベルト26の上面に沿ってエアを吹き出す。これによってバッファ機構22に進入する用紙の先端を上方に浮き上がらせることができる。したがって、すでに停留部材の上面に停留している用紙の後端と、その用紙のさらに上に重ねて停留させるべき用紙の前端とが突き当たって搬送される用紙の進行が阻害されることが抑制される。また、すでに停留部材の上面に停留している用紙の上面と、その用紙のさらに上に重ねて停留させるべき用紙の下面との間に空気の層を形成させることができ、用紙間の摩擦力も低減させることができる。このように第3エア吹出部材56からのエアの吹き出しによって、バッファ機構22への円滑な用紙の停留を実現することが可能となる。
バッファ機構22の下流側に設けられた用紙搬送路は、まず斜め下方に進み、その後水平方向に進むよう形成される。この用紙搬送路に搬送された用紙はローラ30によって搬送され、装置本体12外に排出される。バッファ機構22によって用紙が重ねられ用紙束が形成されている場合は用紙束のまま同様に搬送される。装置本体12から排出された用紙は、用紙折り装置、用紙綴じ装置、または用紙穿孔装置などの後処理装置に搬送される。
給紙装置10はさらに、エアポンプ42、第1パイプ34、第2パイプ36、第3パイプ38、第2エアバルブ40、第1エアバルブ44、ドア32も備える。ドア32は、用紙収容部15より右方向の装置本体12の前面に設けられる。
エアポンプ42は用紙収容部15より右方向に位置する装置本体12内部に設けられる。エアポンプ42には第1エアバルブ44が接続されている。第1パイプ34、第2パイプ36、および第3パイプ38もまた装置本体12内部に設けられる。第1パイプ34は第3エア吹出部材56に接続される。第2パイプ36は第1エア吹出部材52に接続される。第3パイプ38は第2エア吹出部材54に接続される。第1パイプ34、第2パイプ36、および第3パイプ38は、共に単一の第2エアバルブ40に接続される。エアポンプ42、第1エアバルブ44、および第2エアバルブ40は、ドア32を開けることによってユーザがアクセスできるような位置に配置されている。
第1エアバルブ44にはホース(図示せず)の一端が連結されており、第2エアバルブ40にはそのホースの他端が連結される。エアポンプ42がオンにされると、第1エア吹出部材52、第2エア吹出部材54、および第3エア吹出部材56にそれぞれエアが供給される。
図3は、第1の実施形態に係る給紙装置10の左側面図である。装置本体12は、さらに2本のアーム72、2つのチェーン80、および単一のモータ84を有する。2本のアーム72は細長いプレート状の同一の形状を有する。
2本のアーム72は連結軸(図示せず)によって、互いに離間した状態で平行に延在するように相互に固定される。フレーム13の装置後方にはローラ76が上下方向に並設される。ローラ76の外周にチェーン80が装着される。このようなローラ76とチェーン80が2組、装置左右方向に並設される。2本のアーム72の各々は、2つのチェーン80の各々にアーム支持部74を介して結合される。このときアーム72は、用紙収容部15内において、フレーム13から装置前方に向かって突出するよう設けられる。このアーム72に給紙台14が装着される。したがってアーム72は給紙台14が装着される被装着部として機能する。また、給紙台14はアーム72に装着する装着体として機能する。
上方のローラ76の中心軸は減速機82を介してモータ84に連結されている。モータ84が作動することによってチェーン80が駆動され、アーム72が上下方向に移動する。モータ84は電子制御部に接続され、電子制御部は駆動信号をモータ84に供給することによってモータ84の作動を制御する。これにより、電子制御部は用紙高さセンサ20の検出結果を利用して、積載された用紙のうち最上位の用紙が給紙部16による用紙の送り出しに適した高さとなるよう給紙台14を昇降させ、最上位の用紙の高さを制御する。
図1乃至図3に記載される給紙装置10では、給紙台14に印刷や電子写真方式、インクジェット方式などによる画像記録が行われた用紙が積載される。通常このような画像記録装置はその装置自身が、または画像記録装置に接続されたスタッカなどがある場合にはそのスタッカなどが、画像記録が行われた用紙を積載する。以下、画像記録が行われた用紙を積載するこれらの装置を用紙処理装置と総称する。用紙処理装置は、一般的に用紙受け台を有し、この用紙受け台に用紙を積載する。用紙受け台に積載された用紙は、通常ユーザの手作業によって給紙台14に載せ換えられる。
図4は、第1の実施形態に係る給紙装置10における、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122が配置された周辺を示す図である。給紙部16の下流側近傍には、用紙搬送プレート90が設けられており、給紙部16によって送り出された用紙は用紙搬送プレート90上に搬送される。用紙搬送プレート90上に搬送された用紙はローラ19によってさらに下流側へと搬送される。以下、用紙搬送プレート90上に形成される用紙の経路を用紙搬送路92として説明する。
給紙部16は、積載された用紙2から用紙を1枚ずつ用紙搬送路92に送り出す。しかし、用紙同士の付着力など様々な要因によって、本来1枚ずつ搬送されるべき用紙搬送路92において、2枚以上の用紙が重なって送り出される重送が発生する場合がある。このように重送が発生すると、給紙装置10に接続される後処理装置へ本来供給すべき所定の用紙を要求されたとおりに供給することが困難となる。またこのような重送の発生は、用紙搬送路92または用紙搬送路92より下流側の用紙搬送路における紙詰まりの要因ともなる。
このため、給紙装置10は光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122を備える。光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122は、用紙搬送路92に送り出される用紙の重送を検知する。
光学式重送センサ120は、発光素子130および受光素子132を有する。発光素子130は光を照射する。受光素子132は、発光素子130によって照射された光の受光量を検知する。受光素子132は、発光素子130と用紙搬送路92を挟んで対向するよう配置される。第1の実施形態では発光素子130は用紙搬送路92の上方に配置され、受光素子132は用紙搬送路92の下方に配置される。
用紙は通常ある程度の光を透過する。重送が発生した場合には光が2枚以上の用紙を透過するため、光が透過する量は用紙が1枚の場合に比べ減少する。光学式重送センサ120はこれを利用し、発光素子130によって発光された光のうち、受光素子132によって受光される受光量に基づいて重送を検知する。
超音波式重送センサ122は、発振器134および受振器136を有する。発振器134は超音波を発振する。受振器136は、発振器134によって発振された超音波を受振する。受振器136は、発振器134と用紙搬送路92を挟んで対向するよう配置される。第1の実施形態では発振器134は用紙搬送路92の上方に配置され、受振器136は用紙搬送路92の下方に配置される。
重送が発生すると、重送された2枚以上の用紙の間に微小な間隔が生じる。重送された2枚以上の用紙に向かって超音波を発振すると、この用紙間の微小な間隔で超音波が減衰する。このため、重送された2枚以上の用紙を通過した超音波の波形は、1枚の用紙を通過した超音波の波形と異なるものとなる。超音波式重送センサ122はこれを利用し、用紙を通過した超音波の波形に基づいて重送を検知する。
図5は、第1の実施形態に係る電子制御部の機能ブロック図である。以下、電子制御部を電子制御部100として説明する。図5において電子制御部100は、CPU、ROM、およびRAMなどのハードウェア、およびソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックが描かれている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって様々な形で実現することができる。
給紙装置10は、スタートボタン124、ディスプレイ126も有する。スタートボタン124およびディスプレイ126は給紙装置10のコントロールパネルに設けられる。スタートボタン124は電子制御部100に接続されており、スタートボタン124がユーザに押されると、押されたことを示す信号を電子制御部100に出力する。ディスプレイ126も電子制御部100に接続されており、電子制御部100から出力される表示データを利用して情報を表示する。
光学式重送センサ120、超音波式重送センサ122も電子制御部100に接続されており、各々の検知結果は電子制御部100に出力される。また、電子制御部100は、光学式重送センサ120の発光素子130の発光、および受光素子132の受光を制御し、超音波式重送センサ122の発振器134による超音波の発振、および受振器136による超音波の受振を制御する。給紙部16のモータも前述の通り電子制御部100に接続されている。また、電子制御部100は、予備給紙実行部102、予備判定部104、検知可否判定部106、重送検知制御部108、表示制御部110、重送判定部112、給紙制御部114、および記憶部116を備える。
予備給紙実行部102は、用紙搬送路92に用紙が一枚ずつ送り出されることが前提とされる予備給紙を実行する。予備判定部104は、予備給紙中に用紙搬送路92に送り出された用紙の光学式重送センサ120による検知結果が所定の条件を満たすか否かを判定することによって、当該用紙が光学式重送センサ120による重送の検知が可能な用紙か否かを判定する。
検知可否判定部106は、用紙搬送路92に送り出される用紙が光学式重送センサ120による重送の検知が可能な用紙か否かを判定する。重送検知制御部108は、検知可否判定部106の判定結果に基づいて、光学式重送センサ120と超音波式重送センサ122の少なくともどちらかを使用して、用紙搬送路92に送り出される用紙の重送を検知するよう光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の検知動作を制御する。
表示制御部110は、ディスプレイ126に表示させるための表示データを生成し、ディスプレイ126に情報を表示させる。重送判定部112は、光学式重送センサ120または超音波式重送センサ122の検知結果を利用して、用紙搬送路92に重送が発生したか否かを判定する。給紙制御部114は、給紙部16など、給紙のために必要な様々なアクチュエータの作動を制御する。記憶部116は、後述する検知可否情報などの情報を格納する。給紙装置10のうち図5に示されるこれらの構成要素は、用紙搬送路92に送り出される用紙の重送を検知する重送検知装置として機能する。
図6は、第1の実施形態に係る給紙装置10の予備給紙モードにおける制御手順を示すフローチャートである。ディスプレイ126はタッチセンサが設けられており、ユーザによる文字や数字の入力を受け付ける入力装置として機能する。表示制御部110は、モード選択画面に「通常給紙モードボタン」と「予備給紙モードボタン」をディスプレイ126に表示させる。ユーザにより予備モードボタンが押されると、給紙装置10は予備給紙モードとなる。この予備給紙モードにおいてスタートボタン124が押されると、予備給紙実行部102は予備給紙を実行する。本フローチャートにおける処理は、予備給紙モードが選択された状態でユーザによってスタートボタン124が押されることによって開始する。
ユーザにスタートボタン124が押されると、予備給紙実行部102は予備給紙を実行する。予備給紙の実行中は、給紙制御部114は、通常給紙モード時にスタートボタン124が押された場合と同様に積載された用紙を1枚ずつ送り出すよう給紙部16を作動させる。給紙部16によって送り出された用紙は、予備給紙時に用紙を排出する排出トレイ(図示せず)、または通常給紙モード時と同様に後処理装置に供給される。しかし、予備給紙時は、ユーザに目視によって積載された用紙が1枚ずつ送り出されたことが確認されることが前提とされる。
このように用紙搬送路92に送り出される1枚の用紙内においても、濃い色が印刷された領域とそうでない領域の双方が存在する場合がある。このため、予備給紙が実行された場合、重送検知制御部108は、積載された用紙から給紙部16によって用紙搬送路92に送り出される各々の用紙に対して、複数箇所で受光量を検知するよう光学式重送センサ120を制御する(S11)。複数箇所で受光量が検知されると、予備判定部104は、受光量の値が所定の範囲内であるサンプルデータは所定数以上か否かを判定する(S12)。このように複数箇所で受光量を検知することによって、光学式重送センサ120によって検知することが困難な程度まで濃い色で印刷された部分がある場合においても、光学式重送センサ120によって検知することが可能な程度に色の薄い部分があれば、その箇所で検知された受光量を利用することによって、光学式重送センサ120を使って重送を検知することが可能となる。
受光量の値が所定の範囲内であるサンプルデータは所定数以上と判定された場合(S12のY)、予備判定部104は、その用紙は光学式重送センサ120による検知が可能と判定する(S13)。受光量の値が所定の範囲内であるサンプルデータが所定数に満たない場合(S12のN)、予備判定部104は、その用紙は光学式重送センサ120による重送の検知が可能でないと判定する(S16)。
光学式重送センサ120による検知が可能か否かが判定されると、記憶部116は、その判定結果を示す検知可否情報を格納する。このとき記憶部116は、用紙の検知可否情報と、その用紙が給紙部16によって用紙搬送路92に送り出された順序である給紙順とを対応付けて格納する(S14)。
次に予備判定部104は、その用紙が予備給紙における最後の用紙か否かを判定する(S15)。ユーザは、予備給紙モードを選択した場合に、予備給紙における給紙枚数をディスプレイ126を使って入力することができる。給紙制御部114は給紙部16によって送り出された用紙の枚数をカウントしており、予備判定部104は、ユーザによって入力された予備給紙における給紙枚数と、予備給紙が実行されることにより実際に給紙部16によって送り出された給紙枚数とを比較することによって、その用紙が予備給紙における最後の用紙か否かを判定する。その用紙が最後の用紙と判定された場合(S15のY)、本フローチャートにおける処理を終了する。
その用紙が予備給紙における最後の用紙でないと判定された場合(S15のN)、S11の処理に再び移行する。こうして記憶部116は、予備給紙すべき用紙セットの枚数分、光学式重送センサ120による重送の検知が可能か否かを示す検知可否情報を蓄積し、この結果、記憶部116には検知可否情報と給紙順とを対応付けた検知可否マップが格納される。
図7は、第1の実施形態に係る検知可否マップの一例を示す図である。ユーザは予備給紙モードを選択した場合、これから予備給紙する用紙セットの番号など、予備給紙すべき用紙セットの識別情報をディスプレイ126を使って入力することができる。なお、予備給紙すべき用紙セットの識別情報として、たとえば用紙セットの名称を入力することも可能となっている。
予備給紙が実行されると、記憶部116は、給紙順と、光学式重送センサ120による検知可否を示す検知可否情報とを対応付けて、入力された用紙セット識別情報によって識別される検知可否マップとしてこれらの情報を格納する。図7に例として示される検知可否マップでは、5枚の用紙セットの各々の用紙について、用紙搬送路92に送り出されるべき給紙順と検知可否情報とが対応付けられている。「○」は光学式重送センサ120による検知が可能であることを示し、「×」は光学式重送センサ120による検知が可能でないことを示す。図7に示される例では、3枚目に用紙搬送路92に送り出されるべき用紙は光学式重送センサ120による検知が可能ではなく、他の用紙は光学式重送センサ120による検知が可能であることが示されている。
図8は、第1の実施形態に係る給紙装置10の通常給紙モードにおける制御手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、通常給紙モードが選択された状態でユーザによってスタートボタン124が押されることによって開始する。
表示制御部110は、通常給紙モードがユーザによって選択されると、ディスプレイ126に用紙セット選択画面(図示せず)を表示する。このとき表示制御部110は、記憶部116に格納された検知可否マップを特定するための用紙セット識別情報をディスプレイ126に用紙セット選択ボタンとして表示する。ユーザによっていずれかの用紙セット選択ボタンが押されると、給紙装置10は次にスタートボタン124が押されたときにその用紙セットの検知可否マップを参照して重送判定を実施する。
スタートボタン124が押されると給紙制御部114は積載された用紙から1枚ずつ用紙を送り出すよう給紙部16を制御する。ここで検知可否判定部106は、ユーザによって選択された用紙セットの検知可否マップを参照し、用紙搬送路92に送り出される用紙の給紙順に対応する検知可否情報が、光学式重送センサ120による検知が可能な用紙であることを示すものか、可能でない用紙であることを示すものかを判定することによって、用紙搬送路92に送り出される用紙が、光学式重送センサ120による検知が可能な用紙か否かを判定する(S21)。
用紙搬送路92に送り出される用紙が光学式重送センサ120による検知が可能な用紙であると判定された場合(S21のY)、表示制御部110は、光学式重送センサ120により重送を検知する旨をディスプレイ126に表示させ(S22)、重送検知制御部108は、用紙搬送路92に送り出される用紙の重送を光学式重送センサ120により検知させる(S23)。
この場合、重送検知制御部108は、超音波式重送センサ122による重送の検知を実施しない。具体的には、用紙搬送路92に搬送される用紙が光学式重送センサ120により検知可能と判定された場合、重送検知制御部108は、発振器134にから超音波を発振しないよう超音波式重送センサ122を制御する。
用紙搬送路92に送り出される用紙が光学式重送センサ120による検知が可能な用紙でないと判定された場合(S21のN)、表示制御部110は、超音波式重送センサ122により重送を検知する旨をディスプレイ126に表示させ(S28)、重送検知制御部108は、用紙搬送路92に送り出される用紙の重送を超音波式重送センサ122により検知させる(S29)。
この場合、重送検知制御部108は、光学式重送センサ120による重送の検知を実施しない。具体的には、用紙搬送路92に搬送される用紙が光学式重送センサ120により検知可能でないと判定された場合、重送検知制御部108は、発光素子130が点灯しないよう光学式重送センサ120を制御する。
光学式重送センサ120により重送を検知するか超音波式重送センサ122により重送を検知するかが決定されると、重送判定部112は、決定された重送センサの検知結果を利用して用紙搬送路92に搬送された用紙に重送が発生しているか否かを判定する(S24)。このように重送検知制御部108は、用紙搬送路92に送り出される用紙が光学式重送センサ120による重送の検知が可能な用紙と判定された場合、光学式重送センサ120にその用紙の重送を検知させ、光学式重送センサ120による重送の検知が可能でない用紙と判定された場合、超音波式重送センサ122にその用紙の重送を検知させる。
光学式重送センサ120と超音波式重送センサ122では、重送を検知する検知原理が異なる。このため、たとえば厚い用紙や濃い色が広い範囲で印刷された用紙など、光学式重送センサ120によって重送を検知することが困難な用紙であっても、超音波式重送センサ122によって重送を検知することが可能な場合がある。第1の実施形態に係る給紙装置10は、このように光学式重送センサ120により検知可能な用紙か否かに応じて光学式重送センサ120による重送の検知と超音波式重送センサ122による重送の検知とを切り換えることにより、広範な種類の用紙を給紙する場合においても重送を的確に検知することを可能としている。
重送が発生したと判定された場合(S24のN)、給紙制御部114は、給紙部16による給紙を停止し(S32)。表示制御部110は、重送が発生した旨をディスプレイ126に表示させ(S33)、本フローチャートにおける処理を終了する。なお、重送が発生した旨をディスプレイ126に表示させる代わりに、給紙装置10のコントロールパネルなどに設けられた警告ランプを点灯してもよい。
重送は発生していないと判定された場合(S24のY)、検知可否判定部106は、その用紙の給紙順は用紙セットにおける最後の給紙順か否かを判定する(S25)。給紙制御部114は給紙部16によって送り出された用紙の枚数をカウントしており、検知可否判定部106は、用紙セット選択画面においてユーザによって選択された用紙セットの用紙枚数と、実際に給紙部16によって送り出された給紙枚数とを比較することによって、その用紙が用紙セットにおける最後の用紙か否かを判定する。
その用紙の給紙順は用紙セットにおける最後の給紙順でないと判定された場合(S25のN)、検知可否判定部106は、次に用紙搬送路92に送り出される用紙の給紙順を現在の給紙順に1をプラスした給紙順に設定し(S31)、S21の処理に戻る。
ユーザは、スタートボタン124を押す前に、給紙する用紙セットのセット数を入力することができる。たとえば用紙の枚数が5枚の用紙セットのセット数として40部がユーザによって入力された場合、合計200枚の用紙が積載された用紙から給紙されることとなる。その用紙の給紙順は用紙セットにおける最後の給紙順と判定された場合(S25のY)、給紙制御部114は、このようにユーザに入力された用紙セットのセット数と、現在まで給紙した用紙セットのセット数とを比較して、入力されたセット数の用紙セットの給紙が終了したか否かを判定する(S26)。入力されたセット数の給紙が終了していないと判定された場合(S26のN)、検知可否判定部106は、次に用紙搬送路92に送り出される用紙の給紙順を1に設定し(S30)、S21の処理に戻る。
このように予備判定部104は、用紙セットを構成する用紙の枚数と同一の枚数の用紙に対して光学式重送センサ120による重送の検知が可能か否かを判定した場合、次に用紙搬送路92に送り出される用紙の給紙順を、最初の給紙順である1に設定し、用紙搬送路に送り出された用紙が光学式重送センサ120による重送の検知が可能な用紙か否かを、用紙搬送路92に送り出された給紙順に対応する検知可否情報を利用して再び判定する。こうして給紙装置10は、複数のセット数の用紙セットを給紙する場合において、その用紙セットの各々の用紙に適した重送センサを使って重送を検知する。
ユーザに入力された用紙セットのセット数の給紙が終了したと判定された場合(S26のY)、給紙制御部114は、積載された用紙からの給紙部16による給紙を停止し(S27)、本フローチャートにおける処理を終了する。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る給紙装置10の予備給紙モードにおける制御手順を示すフローチャートである。なお、特に言及しない限り、第2の実施形態に係る給紙装置10の構成は第1の実施形態に係る給紙装置10の構成と同様である。本フローチャートにおける処理は、予備給紙モードが選択された状態でユーザによってスタートボタン124が押されることによって開始する。
ユーザにスタートボタン124が押されると、予備給紙実行部102は予備給紙を実行する。予備給紙が実行された場合、重送検知制御部108は、積載された用紙から給紙部16によって送り出される各々の用紙に対して超音波を発振し、受振された超音波の波形を受振するよう超音波式重送センサ122を制御し、受振された超音波の波形を取得する(S41)。
超音波式重送センサ122は、用紙同士がピッタリとくっついてしまい、用紙間の間隔がほとんどなくなると、用紙間の間隔による超音波の減衰が減少するため重送の検知が困難となる。特に薄い用紙を給紙する場合に重送が発生するとこのような現象が生じやすくなり、超音波式重送センサ122による重送の検知が困難となる。このように超音波式重送センサ122による重送の検知が困難な薄い用紙を超音波式重送センサ122によって検知した場合、用紙が薄いためその用紙による超音波の減衰が小さく、受振される超音波の波形の振幅は大きなものとなる。
このような用紙の厚さと用紙の振幅との関係を利用して、予備判定部104は、受振された超音波の波形が取得されると、受振された超音波の波形の振幅が所定の値以下か否かを判定することにより、その用紙が超音波式重送センサ122により重送の検知が可能か否かを判定する(S42)。受振された超音波の波形の振幅が所定の値以下と判定された場合(S42のY)、予備判定部104は、その用紙は超音波式重送センサによる検知が可能と判定する(S43)。また、受振された超音波の波形の振幅が所定の値以下と判定された場合(S42のN)、予備判定部104は、その用紙は超音波式重送センサによる検知が可能でないと判定する(S46)。S44およびS45における処理は、図6のS14およびS15と同様であることから説明を省略する。こうして記憶部116は、予備給紙すべき用紙セットの枚数分、超音波式重送センサ122による重送の検知が可能か否かを示す検知可否情報を蓄積し、この結果、記憶部116には検知可否情報と給紙順とを対応付けた用紙セットの検知可否マップが格納される。
図10は、第2の実施形態に係る検知可否マップの一例を示す図である。ユーザは予備給紙すべき用紙セットの識別情報をディスプレイ126を使って入力することができる点は第1の実施形態と同様である。
予備給紙が実行されると、記憶部116は、給紙順と、光学式重送センサ120による検知可否を示す検知可否情報とを対応付けて、入力された用紙セット識別情報によって識別される検知可否マップとして格納する。図10に例として示される検知可否マップでは、6枚の用紙セットの各々の用紙について、用紙搬送路92に送り出されるべき給紙順と検知可否情報とが対応付けられている。「○」は超音波式重送センサ122による検知が可能であることを示し、「×」は超音波式重送センサ122による検知が可能でないことを示す。図10に示される例では、1枚目と4枚目に用紙搬送路92に送り出されるべき用紙は超音波式重送センサ122による検知が可能ではなく、他の用紙は超音波式重送センサ122による検知が可能であることが示されている。
図11は、第2の実施形態に係る給紙装置10の通常給紙モードにおける制御手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、ユーザによって通常給紙モードが選択された状態で、ユーザによってスタートボタン124が押されることによって開始する。なお、用紙セット選択画面においてユーザによっていずれかの用紙セット選択ボタンが押されると、給紙装置10は次にスタートボタン124が押されたときにその用紙セットの検知可否マップを参照して重送判定を実施する点は第1の実施形態と同様である。
スタートボタン124が押されると給紙制御部114は積載された用紙から1枚ずつ用紙を送り出すよう給紙部16を制御する。ここで検知可否判定部106は、ユーザによって選択された用紙セットの検知可否マップを参照し、用紙搬送路92に送り出される用紙の給紙順に対応する検知可否情報が、超音波式重送センサ122による検知が可能な用紙であることを示すものか、可能でない用紙であることを示すものかを判定することによって、用紙搬送路92に送り出される用紙が、超音波式重送センサ122による検知が可能な用紙か否かを判定する(S51)。
用紙搬送路92に送り出される用紙が超音波式重送センサ122による検知が可能な用紙であると判定された場合(S51のY)、表示制御部110は、超音波式重送センサ122により重送を検知する旨をディスプレイ126に表示させ(S52)、重送検知制御部108は、用紙搬送路92に送り出される用紙の重送を超音波式重送センサ122により検知させる(S53)。
この場合、重送検知制御部108は、光学式重送センサ120による重送の検知を実施しない。具体的には、用紙搬送路92に搬送される用紙が超音波式重送センサ122により検知可能と判定された場合、重送検知制御部108は、発光素子130が点灯しないよう光学式重送センサ120を制御する。
用紙搬送路92に送り出される用紙が超音波式重送センサ122による検知が可能な用紙でないと判定された場合(S51のN)、表示制御部110は、光学式重送センサ120により重送を検知する旨をディスプレイ126に表示させ(S58)、重送検知制御部108は、用紙搬送路92に送り出される用紙の重送を光学式重送センサ120により検知させる(S59)。
この場合、重送検知制御部108は、超音波式重送センサ122による重送の検知を実施しない。具体的には、用紙搬送路92に搬送される用紙が超音波式重送センサ122により検知可能でないと判定された場合、重送検知制御部108は、発振器134にから超音波を発振しないよう超音波式重送センサ122を制御する。
光学式重送センサ120により重送を検知するか超音波式重送センサ122により重送を検知するかが決定されると、重送判定部112は、決定された重送センサの検知結果を利用して用紙搬送路92に搬送された用紙に重送が発生しているか否かを判定する(S54)。
このように重送検知制御部108は、用紙搬送路92に送り出される用紙が超音波式重送センサ122による重送の検知が可能な用紙と判定された場合、超音波式重送センサ122にその用紙の重送を検知させ、超音波式重送センサ122による重送の検知が可能でない用紙と判定された場合、光学式重送センサ120にその用紙の重送を検知させる。このように超音波式重送センサ122により検知可能な用紙か否かに応じて超音波式重送センサ122による重送の検知と光学式重送センサ120による重送の検知とを切り換えることにより、第1の実施形態と同様に広範な種類の用紙を給紙する場合においても重送を的確に検知することが可能となる。なお、S55乃至S57、およびS60乃至S63における処理は、図8のS25乃至S27、およびS30乃至S33における処理と同様であることから説明を省略する。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
ある変形例では、たとえば図8のS23において、用紙搬送路92に送り出される用紙が光学式重送センサ120により検知可能な用紙と判定された場合、重送検知制御部108は、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の双方によって用紙搬送路92に送り出される用紙に対して検知動作を実行させる。この場合、重送判定部112は、用紙搬送路92に搬送される用紙が光学式重送センサ120により検知可能と判定された場合、超音波式重送センサ122の検知結果を利用せず、光学式重送センサ120の検知結果を利用して用紙搬送路92に送り出された用紙に重送が発生しているか否かを判定する。
別の変形例では、たとえば図11のS53において、用紙搬送路92に送り出される用紙が超音波式重送センサ122により検知可能な用紙と判定された場合、重送検知制御部108は、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の双方によって用紙搬送路92に送り出される用紙に対して検知動作を実行させる。この場合、重送判定部112は、用紙搬送路92に搬送される用紙が光学式重送センサ120により検知可能と判定された場合、光学式重送センサ120の検知結果を利用せず、超音波式重送センサ122の検知結果を利用して用紙搬送路92に送り出された用紙に重送が発生しているか否かを判定する。
別の変形例では、たとえば図9のS23において、用紙搬送路92に送り出される用紙が光学式重送センサ120により検知可能な用紙と判定された場合、重送検知制御部108は、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の双方によって用紙搬送路92に送り出される用紙に対して検知動作を実行させる。重送判定部112は、用紙搬送路92に搬送される用紙が光学式重送センサ120により検知可能と判定された場合、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の双方の検知結果を利用して用紙搬送路92に送り出された用紙に重送が発生しているか否かを判定する。具体的には、重送判定部112は、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の少なくともいずれかの検知結果が重送が発生していることを示している場合に用紙搬送路92において重送が発生していると判定し、それ以外の場合は用紙搬送路92に重送が発生していないと判定する。なお、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の双方の検知結果が重送が発生していることを示している場合に用紙搬送路92に重送が発生していると判定し、それ以外の場合に重送が発生していないと判定してもよいことは勿論である。
別の変形例では、たとえば図11のS53において、用紙搬送路92に送り出される用紙が超音波式重送センサ122により検知可能な用紙と判定された場合、重送検知制御部108は、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の双方によって用紙搬送路92に送り出される用紙に対して検知動作を実行させる。重送判定部112は、用紙搬送路92に搬送される用紙が超音波式重送センサ122により検知可能と判定された場合、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の双方の検知結果を利用して用紙搬送路92に送り出された用紙に重送が発生しているか否かを判定する。具体的には、重送判定部112は、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の少なくともいずれかの検知結果が重送が発生していることを示している場合に用紙搬送路92において重送が発生していると判定し、それ以外の場合は用紙搬送路92に重送が発生していないと判定する。なお、光学式重送センサ120および超音波式重送センサ122の双方の検知結果が重送が発生していることを示している場合に用紙搬送路92に重送が発生していると判定し、それ以外の場合に重送が発生していないと判定してもよいことは勿論である。
別の変形例では、ユーザは予備給紙によらず、ユーザがディスプレイ126に直接手入力することにより検知可否情報を入力する。この場合、まず表示制御部110は検知可否情報入力画面を表示する。ユーザは、用紙セットの番号などの用紙セット識別情報、および用紙セットを構成する用紙の枚数を入力する。次にユーザは、用紙セットの各々の用紙について、たとえば第1の実施形態の変形例の場合は光学式重送センサ120により重送の検知が可能か否かを、たとえばディスプレイ126に表示された「○ボタン」または「×ボタン」などを押すことにより入力する。このときユーザは、用紙搬送路92に送り出される給紙順に対応して各々の用紙について光学式重送センサ120により重送の検知が可能か否かを示す検知可否情報を入力する。第2の実施形態の変形例の場合、ユーザは超音波式重送センサ122により重送の検知が可能か否かを示す検知可否情報を同様に入力する。記憶部116は、入力された検知可否情報と、用紙搬送路92に送り出されるべき給紙順とを対応づけ、検知可否マップとして格納する。たとえば1枚目の用紙が厚紙であり、光学式重送センサ120によって重送を検知することが困難であることが予め予想される場合がある。このような変形例によれば、ユーザが手入力することによってそのような用紙を予め光学式重送センサ120によって重送を検知することが可能でないものとして特定することが可能となる。
なお、この変形例においては、予備給紙を実行することによって記憶部116に格納された検知可否マップを、検知可否情報入力画面においてユーザが修正することも可能となっている。この場合、表示制御部110は、予備給紙を実行することによって記憶部116に格納された検知可否マップを検知可否情報入力画面に表示し、ユーザは検知可否情報入力画面に表示された情報を修正することができる。たとえばある用紙が光学式重送センサ120による重送の検知が可能であることを示す「○」が表示されている場合に「×ボタン」を押すなどの修正入力をユーザが行うことによって、その用紙の検知可否情報を光学式重送センサ120による重送の検知が可能でないことを示すものに修正することができる。
また、別の変形例では、スタートボタンの他に「プリセットボタン」が設けられる。このプリセットボタンがユーザに押されることにより、予備給紙モードが選択されると共に呼び給紙が実行される。したがって、本変形例におけるプリセットボタンは、上述の実施形態における予備給紙モードボタン、およびスタートボタンの双方の機能を有する。このようにプリセットボタンを設けることによって、予備給紙モードボタンを押して予備給紙モードを選択後スタートボタンを押すという予備給紙を実行するための工程を、プリセットボタンを押すという簡素な工程とすることができる。
10 給紙装置、 16 給紙部、 92 用紙搬送路、 100 電子制御部、 102 予備給紙実行部、 104 予備判定部、 106 検知可否判定部、 108 重送検知制御部、 110 表示制御部、 112 重送判定部、 114 給紙制御部、 116 記憶部、 120 光学式重送センサ、 122 超音波式重送センサ、 124 スタートボタン、 126 ディスプレイ。