JP2008062727A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 旋回挙動の安定性を確保しつつ、実用燃費の向上を図ることができる車両の制動制御装置を提供する。
【解決手段】 駆動輪に設けられ回生制動力を出力する回生制動手段と、前記駆動輪と従動輪とに設けられ摩擦制動力を出力する摩擦制動手段と、運転者の要求制動力に基づいて、回生制動力と摩擦制動力の配分を制御する制動力配分手段と、前記駆動輪と前記従動輪の車輪速偏差に一次遅れフィルタを作用させた後の車輪速偏差が大きいほど前記回生制動力を制限する回生制動力制限手段と、を備えた。
【選択図】 図17

Description

本発明は、運転者の要求制動力に基づいて、回生制動力と摩擦制動力の配分を制御する車両(ハイブリッド車や電気自動車等)の制動制御装置に関する。
従来、駆動輪をモータ駆動する車両において、制動旋回時、従動輪および駆動輪の制動力の理想配分特性に対して駆動輪の回生制動力を上回らせる回生制動優先モードから、理想配分特性に沿う通常モードへ切り替える電動車両の制動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−161209号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、回生制動優先モードと通常モードの切り替え時における制動力の急変を防止することを目的とするものであり、制動旋回時にはアンダーステアの発生の有無にかかわらず、常に回生制動を禁止するようにしているため、実用燃費を悪化させてしまう、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、旋回挙動の安定性を確保しつつ、実用燃費の向上を図ることができる車両の制動制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明における車両の制動制御装置では、駆動輪に設けられ回生制動力を出力する回生制動手段と、前記駆動輪と従動輪とに設けられ摩擦制動力を出力する摩擦制動手段と、運転者の要求制動力に基づいて、回生制動力と摩擦制動力の配分を制御する制動力配分手段と、前記駆動輪と前記従動輪の車輪速偏差に一次遅れフィルタを作用させた後の車輪速偏差が大きいほど前記回生制動力を制限する回生制動力制限手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明では、一次遅れフィルタにより、前後輪車輪速偏差のうち、車両挙動と密接に関わる成分のみを効率よく抽出することが可能となり、前輪駆動車ではアンダーステア傾向か否かを、また、後輪駆動車ではオーバーステア傾向か否かを精度よく推定することができる。よって、過剰に回生制動力が制限されることがなく、燃費の向上を図ることができる。
以下、本発明の車両の制動制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1,2に基づいて説明する。
まず、ハイブリッド車の駆動系構成を説明する。
図1は実施例1の制動制御装置が適用された前輪駆動によるハイブリッド車を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータ(回生制動手段)MG2と、出力スプロケットOS、動力分割機構TMと、を有する。
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。
第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、パワーコントロールユニット3により作り出された三相交流を印加することによりそれぞれ独立に制御される。
両モータジェネレータMG1,MG2は、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。
動力分割機構TMは、サンギヤSと、ピニオンPと、リングギヤRと、ピニオンキャリアPCと、を有する単純遊星歯車により構成されている。具体的には、単純遊星歯車の3つの回転要素(サンギヤS、リングギヤR、ピニオンキャリアPC)に対する入出力部材の連結関係について説明する。サンギヤSには、第1モータジェネレータMG1が連結されている。リングギヤRには、第2モータジェネレータMG2と出力スプロケットOSとが連結されている。ピニオンキャリアPCには、エンジンダンパEDを介してエンジンEが連結されている。なお、出力スプロケットOSは、チェーンベルトCBや図外のディファレンシャルやドライブシャフトを介して左右前輪(駆動輪)に連結されている。
上記連結関係により、図4に示す共線図上において、第1モータジェネレータMG1(サンギヤS)、エンジンE(プラネットキャリアPC)、第2モータジェネレータMG2および出力スプロケットOS(リングギヤR)の順に配列され、単純遊星歯車の動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデル(3つの回転数が必ず直線で結ばれる関係)を導入することができる。
ここで、「共線図」とは、差動歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸に各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギヤSとリングギヤRの歯数比λに基づく共線図レバー比(1:λ)になるように配置したものである。
次に、ハイブリッド車の制御系を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、パワーコントロールユニット3と、バッテリ4(二次電池)と、ブレーキコントローラ(制動力配分手段)5と、統合コントローラ6と、を有して構成されている。
統合コントローラ6には、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、から入力情報がもたらされる。
ブレーキコントローラ5には、前左車輪速センサ12と、前右車輪速センサ13と、後左車輪速センサ14と、後右車輪速センサ15と、マスタシリンダ圧センサ17と、ブレーキストロークセンサ18と、から入力情報がもたらされる。
エンジンコントローラ1は、アクセル開度センサ7からのアクセル開度APとエンジン回転数センサ9からのエンジン回転数Neを入力する統合コントローラ6からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。
モータコントローラ2は、レゾルバによる両モータジェネレータ回転数センサ10,11からのモータジェネレータ回転数N1,N2を入力する統合コントローラ6からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、第1モータジェネレータMG1のモータ動作点(N1,T1)と、第2モータジェネレータMG2のモータ動作点(N2,T2)と、をそれぞれ独立に制御する指令をパワーコントロールユニット3へ出力する。なお、このモータコントローラ2は、バッテリ4の充電状態をあらわすバッテリS.O.Cの情報を用いる。
パワーコントロールユニット3は、図外のジョイントボックスと昇圧コンバータと駆動モータ用インバータと発電ジェネレータ用インバータとを有し、損失を抑えたより少ない電流で両モータジェネレータMG1,MG2への電力供給が可能な電源系高電圧システムを構成する。第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、駆動モータ用インバータが接続され、第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、発電ジェネレータ用インバータが接続される。また、ジョイントボックスには、力行時に放電し回生時に充電するバッテリ4が接続される。
ブレーキコントローラ5は、低μ路制動時や急制動時等において、4輪のブレーキ液圧を独立に制御するブレーキ液圧ユニット19への制御指令によりABS制御を行い、また、ブレーキ踏み込み操作やアクセル足離し操作等による減速要求操作時、要求制動トルクに対し回生制動トルクだけでは不足する場合、不足分を摩擦制動トルクで補うように、統合コントローラ6への制御指令とブレーキ液圧ユニット19への制御指令を出すことで回生協調ブレーキ制御を行う。
このブレーキコントローラ5には、各車輪速センサ12,13,14,15からの車輪速情報や、マスタシリンダ圧センサ17やブレーキストロークセンサ18からの制動操作量情報が入力される。そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令を統合コントローラ6とブレーキ液圧ユニット19へ出力する。なお、ブレーキ液圧ユニット19には、前左車輪ホイールシリンダ20と、前右車輪ホイールシリンダ21と、後左車輪ホイールシリンダ22と、後右車輪ホイールシリンダ23と、が接続されている。各ホイールシリンダ20、21,22,23は、図外のディスクブレーキ(摩擦制動手段)に内蔵されている。
統合コントローラ6は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、加速走行時等において、エンジンコントローラ1への制御指令によりエンジン動作点制御を行い、また、停止時や走行時や制動時等において、モータコントローラ2への制御指令によりモータジェネレータ動作点制御を行う。この統合コントローラ6には、各センサ7,8,9,10,11からのアクセル開度APと車速VSPとエンジン回転数Neと第1モータジェネレータ回転数N1と第2モータジェネレータ回転数N2とが入力される。そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令をエンジンコントローラ1とモータコントローラ2へ出力する。なお、統合コントローラ6とエンジンコントローラ1、統合コントローラ6とモータコントローラ2、統合コントローラ6とブレーキコントローラ5は、情報交換のためにそれぞれ双方向通信線24,25,26により接続されている。
次に、駆動トルク性能について説明する。
実施例1のハイブリッド車の駆動トルクは、図2(b)に示すように、エンジン直接駆動トルク(エンジン総駆動トルクから発電機駆動分を差し引いた駆動トルク)とモータ駆動トルク(両モータジェネレータMG1,MG2の総和による駆動トルク)との合計で示される。その最大駆動トルクの構成は、図2(a)に示すように、低い車速ほどモータ駆動トルクが多くを占める。このように、変速機を持たず、エンジンEの直接駆動トルクと電気変換したモータ駆動トルクを加えて走行させることから、低速から高速まで、定常運転のパワーの少ない状態からアクセルペダル全開のフルパワーまで、ドライバの要求に対しシームレスに応答良く駆動トルクをコントロールすることができる(トルク・オン・デマンド)。
そして、実施例1のハイブリッド車では、動力分割機構TMを介し、エンジンEと両モータジェネレータMG1,MG2と左右前輪のタイヤとがクラッチ無しで繋がっている。また、上記のように、エンジンパワーの大部分を発電機で電気エネルギに変換し、高出力かつ高応答のモータで車両を走らせている。このため、例えば、アイスバーン等の滑りやすい路面での走行時において、タイヤのスリップやブレーキ時のタイヤのロック等で車両の駆動トルクが急変する場合、過剰電流からのパワーコントロールユニット3の保護、あるいは、動力分割機構TMのピニオン過回転からの部品保護を行う必要がある。これに対し、高出力・高応答のモータ特性を活かし、部品保護の機能から発展させて、タイヤのスリップを瞬時に検出し、そのグリップを回復させ、車両を安全に走らせるためのモータトラクションコントロールを採用している。
次に、制動トルク性能について説明する。
実施例1のハイブリッド車では、ブレーキ踏み込み操作やアクセル足離し操作等による減速要求操作時には、モータとして作動している第2モータジェネレータMG2を発電機として作動させることにより、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ4に回収し、再利用する回生ブレーキシステムを採用している。
この回生ブレーキシステムでの一般的な回生ブレーキ協調制御は、図3(a)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動トルクを算出し、要求制動トルクに大きさにかかわらず、算出された要求制動トルクを回生分と油圧分とで分担することで行われる。
これに対し、実施例1のハイブリッド車で採用している回生ブレーキ協調制御は、図3(b)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動トルクを算出し、算出された要求制動トルクに対し回生ブレーキを優先し、回生分で賄える限りは油圧分を用いることなく、最大限まで回生分の領域を拡大している。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。
次に、車両モードについて説明する。
実施例1のハイブリッド車での車両モードとしては、図4の共線図に示すように、「停車モード」、「発進モード」、「エンジン始動モード」、「定常走行モード」および「加速モード」を有する。
「停車モード」では、図4(a)に示すように、エンジンEと発電機MG1とモータMG2は止まっている。「発進モード」では、図4(b)に示すように、モータMG2のみの駆動で発進する。「エンジン始動モード」では、図4(c)に示すように、エンジンスタータとしての機能を持つ発電機MG1によって、サンギヤSが回ってエンジンEを始動する。「定常走行モード」では、図4(d)に示すように、主にエンジンEにて走行し、効率を高めるために発電を最小にする。「加速モード」では、図4(e)に示すように、エンジンEの回転数を上げると共に、発電機MG1による発電を開始し、その電力とバッテリ4の電力を使ってモータMG2の駆動トルクを加え、加速する。
なお、後退走行は、図4(d)に示す「定常走行モード」において、エンジンEの回転数上昇を抑えたままで、発電機MG1の回転数を上げると、モータMG2の回転数が負側に移行し、後退走行を達成することができる。
始動時には、イグニッションキーを回すことでエンジンEを始動させるが、エンジンEが暖機すると、直ぐにエンジンEを停止する。発進時や極低速で走行する緩やかな坂を下る軽負荷時などは、エンジン効率の悪い領域は燃料をカットし、エンジンEは停止してモータMG2により走行する。通常走行時において、エンジンEの駆動トルクは、動力分割機構TMにより一方は左右前輪を直接駆動し、他方は発電機MG1を駆動し、モータMG2をアシストする。全開加速時は、バッテリ4からパワーが供給され、さらに駆動トルクを追加する。減速要求操作時には、左右前輪がモータMG2を駆動し、発電機として作用することで回生発電を行う。回収した電気エネルギはバッテリ4に蓄えられる。バッテリ4の充電量が少なくなると、発電機MG1をエンジンEにより駆動し、充電を開始する。車両停止時には、エアコン使用時やバッテリ充電時等を除き、エンジンEを自動的に停止する。
次に、実施例1の制動制御装置について説明する。
図5はブレーキコントローラ5内に制御プログラムとして組み込まれた実施例1の制動制御装置を示すブロック図である。
実施例1の制動制御装置は、図5に示すように、車輪速演算モジュール29と、要求回生トルク演算モジュール30と、要求回生トルク制限演算部31と、要求回生トルク制限選択モジュール32と、を備えている。
車輪速演算モジュール29は、各車輪速センサ12,13,14,15よりパルス数をカウントし、前左車輪速sxfl、前右車輪速sxfr、後左車輪速sxrl、後右車輪速sxrr、前左輪悪路判定sxflbrs、前右輪悪路判定sxfrbrs、後左輪悪路判定sxrlbrsおよび後右輪悪路判定sxrrbrsを演算する。
要求回生トルク演算モジュール30は、第1マスタシリンダ圧力(プライマリ)MCP1と第2マスタシリンダ圧力(セカンダリ)MCP2と第1ブレーキストロークSTROKE1と第2ブレーキストロークSTROKE2等を入力し、マスタシリンダ圧情報やブレーキペダルストローク情報により要求回生トルクREGEを演算する。
要求回生トルク制限演算部31は、前左車輪速sxfl、前右車輪速sxfr、後左車輪速sxrl、後右車輪速sxrr等を入力し、推定アンダーステア量に応じて回生トルク上限値REGELIMを演算する。
要求回生トルク制限選択モジュール32は、要求回生トルクREGEと回生トルク上限値REGELIMとを入力し、セレクトローにより制限後回生トルクREGEMINを選択し、これに上限値と下限値によるフィルタをかけて最終送信回生トルクTXREGEを算出し、これを統合コントローラ5に出力する。
次に、回生要求トルク制限演算部31の詳細について説明する。
要求回生トルク制限演算部31は、図6に示すように、悪路判定演算モジュール310と、前輪車輪速偏差演算モジュール311と、車体速演算モジュール312と、推定アンダーステア量演算モジュール314と、車両応答性規範モデル演算モジュール315と、回生量制限値演算モジュール316と、平準化演算モジュール317と、を有して構成されている。
悪路判定演算モジュール310は、前左輪悪路判定sxflbrs、前右輪悪路判定sxfrbrs、後左輪悪路判定sxrlbrsおよび後右輪悪路判定sxrrbrsを入力し、悪路走行中であるか否かを判定する。悪路走行中である場合には、悪路フラグsvx_fail_flag=ONを出力し、それ以外は悪路フラグsvx_fail_flag=OFFを出力する。
前輪車輪速偏差演算モジュール311は、回生輪速を求めるため、前左車輪速sxflと前右車輪速sxfrを入力し、車速が高い方(外輪)を回生外輪速svxfmaxとして出力するモジュールである。
車体速演算モジュール312は、推定アンダーステア量を算出するために使用する後輪(従動輪)の左右輪平均速(従動輪速=推定車体速)を演算するモジュールである。この車体速演算モジュール312は、センサ信号による左右の後輪車輪速sxrl,sxrrを加算して、左右後輪車輪速加算値VWRLRSUMを2で割り、従動輪速である推定車体速svxraveを求める。
回生量上限値演算モジュール314は、アンダー量を算出するためのモジュールである。このモジュールは、前輪車輪速偏差演算モジュール311で算出した回生外輪速svxfmaxと、車体速演算モジュール312で算出した推定車体速svxraveの偏差を推定アンダーステア量sestundernfとして換算する。
車両応答性規範モデル演算モジュール315は、車輪速センサ信号から車両の動特性を鑑みた特性を模擬するモデルにより、推定アンダーステア量sestundernfをより高精度の値sestunderとするモジュールである。モデルとしては、1次遅れフィルタなどを用い、推定アンダーステア量sestundernfの位相を実際の車両挙動と合わせる。尚、詳細については後述する。
回生量制限値演算モジュール316は、ドライバ要求制動トルクsxbkと、実回生制動トルクERと、推定アンダーステア量sestunderと、悪路フラグsvx_fail_flagとにより、回生量制限値slimregenを決めるモジュールである。
平準化演算モジュール317は、所定の上昇レートと減少レートを設定したレートリミッターにより、回生量制限値slimregen(回生トルク上限値REGELIM)をシステムに支障をきたさないレベルの応答性とする。
次に、回生量制限値演算モジュール316の詳細について説明する。
回生量制限値演算モジュール316は、図7に示すように、1次回生制限値演算部(回生制動力制限量設定手段)316aと、出力切り替え部316bと、比較器316cと、2次回生制限値演算部(限界制限量設定手段)316dと、セレクトロー演算部(制限量選択手段)316eと、を備えている。
1次回生制限値演算部316aは、推定アンダーステア量sestunderから、1次回生制限値設定マップを用い、1次回生制限値slimregen(<0)を決定する。この1次回生制限値設定マップは、車両毎(タイヤ毎)に適合され、推定アンダーステア量sestunderが第1設定値までは負の方向に大きな一定値とし、推定アンダーステア量sestunderが第1設定値から第2設定値までは推定アンダーステア量sestunderが大きくなるほど制限を強め(制限量を大きくし)、推定アンダーステア量sestunderが第2設定値以上の高偏差領域では小さな一定値となるように設定されている。
出力切り替え部316bは、悪路フラグsvx_fail_flag=OFFの場合には、セレクトロー演算部316eへの出力を1次回生制限値slimregenとし、悪路フラグsvx_fail_flag=ONの場合には、セレクトロー演算部316eへの出力を一定の制限値aとする。
比較器316cは、実回生制動トルクERとドライバ要求制動トルクsxbkとの偏差を2次回生制限値演算部316dへ出力する。
2次回生制限値演算部316dは、実回生制動トルクERとドライバ要求制動トルクsxbkとの偏差から、2次回生制限値設定マップを参照して2次回生制限値REG_LIM(<0)を算出する。この2次回生制限値設定マップは、前後輪合計の制動力を一定に維持した状態で、回生制動力に制限を加えたとき、後輪制動力が前後輪の理想制動力配分特性を示す線を超えない最大の後輪制動力となるよう、実回生制動トルクERとドライバ要求制動トルクsxbkとの偏差が大きくなるほど制限を弱める(制限量を小さくする)特性に設定されている。なお、理想制動力配分特性については後述する。
セレクトロー演算部316eは、1次回生制限値slimregen(または制限値a)と2次回生制限値REG_LIMとを入力し、セレクトローにより回生量制限値slimregenを決定する。
[回生制動制御処理]
図8は、実施例1のブレーキコントローラ5にて実行される回生制動制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。尚、ABS制御やVDC制御の作動時には、基本的に回生制動力は0に設定され、液圧制御が成されるものとする。
ステップS1では、ブレーキ踏み込み操作等による減速要求が有るか否かを判断し、YESの場合はステップS2へ移行し、NOの場合はリターンへ移行する。
ステップS2では、前輪の旋回外輪速である回生外輪速svxfmaxを演算し、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、従動輪速である推定車体速svxraveを演算し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、回生外輪速svxfmaxと推定車体速svxraveとの偏差から推定アンダーステア量sestunderを演算し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、推定アンダーステア量sestunderから1次回生制限値設定マップを参照して1次回生制限値slimregenを演算し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、悪路フラグsvx_fail_flag=OFFであるか否かを判定する。YESの場合はステップS7へ移行し、NOの場合はステップS8へ移行する。
ステップS7では、ステップS5で演算した値を1次回生制限値slimregenとし、ステップS9へ移行する。
ステップS8では、一定値aを1次回生制限値slimregenとし、ステップS9へ移行する。悪路状態では、車輪速センサ12〜15の値が乱れて正確な車輪速偏差を推定できないため、悪路の場合は一定値aに切り替える。
ステップS9では、実回生制動トルクERとドライバ要求制動トルクsxbkとの偏差から、2次回生制限値設定マップを参照して2次回生制限値REG_LIMを演算し、ステップS10へ移行する。
ステップS10では、1次回生制限値slimregenが2次回生制限値REG_LIM以下であるか否かを判定する。YESの場合はステップS11へ移行し、NOの場合はステップS12へ移行する。
ステップS11では、1次回生制限値slimregenを回生量制限値とし、ステップS13へ移行する。
ステップS12では、2次回生制限値REG_LIMを回生量制限値とし、ステップS13へ移行する。
ステップS13では、要求回生トルクREGEと回生トルク上限値REGELIMとを入力し、セレクトローにより制限後回生トルクREGEMINを演算し、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、制限後回生トルクREGEMINに上限値と下限値によるフィルタをかけて最終送信回生トルクTXREGEを算出し、ステップS15へ移行する。
ステップS15では、最終送信回生トルクTXREGEを得る制御指令を統合コントローラ6に出力し、回生制動トルクでは要求制動トルクに対して不足する場合は、不足分を油圧制動トルクで得る制御指令をブレーキ液圧ユニット19へ出力し、リターンへ移行する。
次に、作用を説明する。
[前後輪の理想制動力配分特性について]
図9は、前後輪の制動力配分を示す制動力配分特性図である。
ある摩擦係数を持つ路面での最大減速度は、4輪が同時にロックする直前に発生する。一つ一つの点がある路面μでの理想制動力配分を示し、理想制動力配分特性とは、摩擦係数毎の理想制動力配分の各点を結んでいったものである。以下、理想制動力配分特性を表す線を理想制動力配分線と称す。
よって、例えば、路面μ=0.3の路面において、0.2Gの減速度を発生させる場合、図10に示すような制動力前後配分、つまり制動力配分点を理想制動力配分線上に配置することで、安定した車両挙動を達成しつつ、前後輪共にロックさせることなく最大の制動力を得ることができる。
上述したように、回生制動時には極力回生制動力を確保すべく前輪にのみ制動力を発生させることとなる。しかしながら、前輪制動力のみで0.2Gの減速度を発生させた場合、前輪制動力を前輪ロック境界線まで出力させたとしても、制動力の不足が生じるため、この不足分を補う前輪制動力の加算が必要となるが、前輪にロックが発生する(図11)。また、高μ路を走行中であっても、強アンダーステア傾向となるため、車両挙動の不安定化を招く。
一方、後輪制動力のみで0.2Gの減速度を発生させる場合も同様であり、後輪制動力が後輪ロック境界線に到達し、これ以上の後輪制動力を加算すると、後輪のタイヤがロックする(図12)。また、高μ路を走行中であっても、強オーバーステア傾向となるため、車両挙動の不安定化を招く。
[制動旋回時の車両挙動について]
ハイブリッド車において、前後輪の制動力前後配分を図10に示したような理想制動力配分特性とした場合、発電機の連結がない左右後輪には油圧ブレーキを作動させる必要があり、回生分は油圧分を差し引いた残りの分となるため、エネルギ回収量が低減し、燃費向上には不利となる。
そこで、実施例1のハイブリッド車では、回生分にて賄える要求制動トルクまでは、その全てを回生分により得る、つまり、前輪のみに回生制動トルクを付与することで、できる限り燃費を向上させるようにしている。この場合、左右後輪の制動力配分がゼロとなり、図11に示したように、前輪制動力が前輪ロック境界線に近づく。
よって、制動旋回時、回生制動による前輪制動力が過多となり、例えば、前輪ロック境界線に近づくと、左右前輪での横力発生が制限され、車両は前輪転舵角により意図する旋回ラインから外側に膨らむラインに沿った旋回挙動、つまり、アンダーステア特性を示すことになる。このアンダーステア特性は、前輪制動力が前輪ロック境界線に近づくほど大きなアンダーステア傾向となる。
[車輪速偏差に応じた回生制動力制限量設定ロジック]
そこで、実施例1のハイブリッド車の制動制御装置では、1次回生制限値演算部316aにおいて、回生外輪速svxfmaxと推定車体速svxraveとの偏差である推定アンダーステア量sestunderが大きくなるほど、回生制動力を制限する1次回生制限値slimregenを大きくしている。
ここで、車輪速偏差をアンダーステア傾向の予測に用いることができるという、車両挙動の推定ロジックについて説明する。
前輪駆動ベースの車両の場合、制動旋回時、アンダーステア傾向が発生する直前の車両では、前輪の左右車輪速差≒0(突っ走り気味)、かつ、後輪の左右車輪速差≒0(突っ走り気味)となる。この場合、前輪側においてタイヤのフリクションサークルを使い切っているため、制動ロック気味で車輪速が低下するのに対し、後輪は車体速に追従する車輪速となり、後輪速と前輪速との車輪速偏差が大きくなっている。
一方、アンダーステア傾向が発生しない場合、その前輪の左右車輪速差は一定値(旋回半径差による車輪速差)であり、前輪側においてタイヤのフリクションサークルに余裕があるため、車輪速の低下が緩やかであり、車体速に追従する後輪速と前輪速との車輪速偏差は小さくなっている。つまり、前輪と後輪の車輪速偏差は、回生制動時の推定アンダーステア量とみなすことができる。
ここで、一般的なアンダーステア傾向の判定は、車両の目標ヨーレートと発生ヨーレートとの偏差等に基づいて行う場合が多い。ところが、ヨーレートを用いた場合、顕著なアンダーステア傾向がヨーレートに現れて初めてアンダーステアの判定が可能となる。つまり、旋回初期の段階ではアンダーステアの発生を予測しにくいため、回生制動力の制限に遅れが生じ、確実な旋回挙動の安定化を図ることができない。
これに対し、実施例1では、車輪速偏差により旋回初期の段階でアンダーステアの発生を予測し、アンダーステア傾向が顕著となる手前の段階で回生制動力を制限することができ、確実に旋回挙動の安定性を確保することができる。また、車輪速センサは、ヨーレートセンサと比較してサンプリングレートが高く、制御応答性の面でも有利である。
したがって、実施例1では、制動旋回時に推定アンダーステア量が大きいほど回生制動力を制限する1次回生制限値slimregenを大きくすることで、アンダーステア傾向を抑えた旋回挙動の安定性確保と、前輪のみによる回生制動の許容による実用燃費の向上と、の両立を図ることができる。
[車輪速偏差のみに基づく回生制動力制限の問題点]
次に、車輪速偏差のみに基づく回生制動力制限の問題点について説明する。
実施例1では、車輪速偏差からアンダーステア直前の状況を判定し、回生制動力を制限している。よって、後輪制動力に対し回生制動力が過多の場合、例えば、前後輪の制動力配分が図13の点A(以下、制動力配分点と称す)に存在する場合には、車輪速偏差に応じて回生制動力を制限し、制限量に応じて後輪制動力を増加させる。これにより、トータルの制動力を一定に保ちつつ、車両のアンダーステア量を低減することができる。
ところが、急制動による荷重移動に伴い前後輪の輪荷重差が過大となることで、前後輪のフリクションサークルの半径差が大きくなる。よって、車輪速偏差は、アンダーステア量のみならず、減速度の大きさに比例して発生する。例えば、一定速度で直進走行している車両が急制動を行ったとき、車輪速偏差に応じて回生制動力を制限した場合、制動力配分点は図13の点Bから点B'に移動することとなる。この場合、制動力配分点B'は前後輪の理想制動力配分線を超えた位置であり、強オーバーステア傾向により車両挙動が不安定となってしまう。
[後輪制動力の増加可能限界量に応じた回生制動力制限量設定ロジック]
これに対し、実施例1では、車輪速偏差に応じた1次回生制限値slimregenの算出と同時に、2次回生制限値演算部316dにおいて、実回生制動トルクERとドライバ要求制動トルクsxbkとの偏差が大きくなるほど、2次回生制限値REG_LIMを小さな値に設定し、回生制動力制限により増加する後輪制動力が理想制動力配分線を超えない最大の制限量を算出している。
このため、2次回生制限値演算部316dでは、前後輪の回生制動力配分にかかわらず、常に制動力配分を理想制動力配分線上へ移動させるための制限量が設定される。よって、図14の制動力配分点Bで設定される制限量は、制動力配分点Aで設定される制限量よりも小さくなり、回生制動力制限による制動力配分は、増加可能限界量としてどちらも理想制動力配分線上の点Cへ移動するような限界量を算出することとなる。
ここで、実施例1では、ドライバ要求制動トルクsxbkと実回生制動トルクERとの偏差に基づいて、2次回生制限値REG_LIMを設定している。ドライバ要求制動トルクsxbkは、実回生制動トルクERと後輪制動トルクとの加算値であることから、前後輪の制動力配分特性に応じた後輪制動力の増加可能限界量は、ドライバ要求制動トルクsxbkと実回生制動トルクERとの差分から容易に検出できる。
すなわち、ドライバ要求制動トルクsxbkと実回生制動トルクERとの偏差が大きい場合には、制動力配分点が理想制動力配分線に近い位置にあると判定できる。一方、ドライバ要求制動トルクsxbkと実回生制動トルクERとの偏差が小さい場合には、制動力配分点が理想制動力配分点から遠い位置にあると判定できる。
よって、ドライバ要求制動トルクsxbkと実回生制動トルクERとの偏差が大きいほど、2次回生制限値REG_LIMを小さな値に設定することで、回生制動力の制限量を後輪制動力の増加可能限界量に対応した値に設定でき、後輪制動力が過大となるのを抑制することができる。
[回生制動量選択作用]
(制動旋回時)
実施例1では、セレクトロー演算部316eにおいて、1次回生制限値演算部316aで算出された1次回生制限値slimregenと2次回生制限値REG_LIMとを比較し、セレクトローにより回生量制限値slimregenを決定している。
よって、旋回制動時には、図8のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS13→ステップS14→ステップS15へと進む流れとなり、ステップS11では、1次回生制限値設定マップを参照し、推定アンダーステア量sestunderに応じた1次回生制限値slimregenが演算され、ステップS13では、回生トルク上限値REGELIMがセレクトローにより選択され、ステップS14では、回生トルク上限値REGELIMのフィルタ処理により最終送信回生トルクTXREGEが算出され、ステップS15において、最終送信回生トルクTXREGEが統合コントローラ5に出力される。
例えば、図15において、制動旋回時の制動力配分点が理想制動力配分線から離れた点Aの位置にあるとき、1次回生制限値slimregenが2次回生制限値REG_LIMよりも小さい場合には、1次回生制限値slimregenにより回生制動力が制限され、制動力配分は点Aから点A'へと移動する。
ここで、2次回生制限値REG_LIMに基づいて回生制動を制限した場合、制動力配分点は点Aから理想制動力配分線上の点Cへと移動するため、1次回生制限値slimregenを選択した場合(点B)と比較して、回生制動が大幅に制限されてしまい、実用燃費の悪化を招く。実施例1では、2次回生制限値REG_LIMよりも1次回生制限値slimregenが小さい場合には、1次回生制限値slimregenに基づいて回生制動量を制限することで、旋回挙動の安定性の確保しつつ、実用燃費の向上を図ることができる。
(急制動時)
直進走行時に急制動を行った場合には、図8のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS9→ステップS10→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15へと進む流れとなり、ステップS12では、2次回生制限値設定マップを参照し、実回生制動トルクERとドライバ要求制動トルクsxbkとの偏差に応じた2次回生制限値REG_LIMが演算され、ステップS13では、回生トルク上限値REGELIMがセレクトローにより選択され、ステップS14では、回生トルク上限値REGELIMのフィルタ処理により最終送信回生トルクTXREGEが算出され、ステップS15において、最終送信回生トルクTXREGEが統合コントローラ5に出力される。
例えば、図15において、直進走行中に急制動を行ったときの制動力配分点が理想制動力配分線に近い点Bの位置にあるとき、2次回生制限値REG_LIMが1次回生制限値slimregenよりも小さい場合には、2次回生制限値REG_LIMにより回生制動力が制限され、制動力配分は点Bから点Cへと移動する。
ここで、1次回生制限値slimregenに基づいて回生制動を制限した場合、制動力配分点は理想制動力配分線を超えた点B'へと移動するため、後輪制動力が過多となり、車両挙動の不安定化を招く。実施例1では、1次回生制限値slimregenよりも2次回生制限値REG_LIMが小さい場合には、2次回生制限値REG_LIMに基づいて回生制動量を制限することで、過大な従動輪制動力による車両の不安定化を抑制し、旋回挙動の安定性を確保することができる。
図16は、実施例1の回生制動力制限作用を示すフリクションサークルである。図16中、フリクションサークルの外側前方がABS制御領域(アンチスキッド制御領域)であり、フリクションサークルの外側側方がVDC制御領域(ビークルダイナミクスコントロール制御領域)である。
実施例1では、前後輪の車輪速偏差に基づいて回生制動力を抑制し、前後輪のフリクションサークルの半径差の拡大を抑える。これにより、横力を確保し、制動旋回時のアンダーステア傾向を抑制する。同時に、回生制動力の抑制により増加する後輪制動力を、制動力配分特性で決まる後輪制動力リミット以下に抑えることで、後輪制動力の過多による旋回挙動の不安定化を抑制している。
次に、車両応答性規範モデル演算モジュール315の詳細について説明する。
車両応答性規範モデル演算モジュール315は、図17に示すように、一次遅れフィルタ315aを備えている。尚、Tは時定数、sはラプラス演算子である。この一次遅れフィルタ315aは、回生外輪速svxfmaxと推定車体速svxraveの偏差である推定アンダーステア量sestundernfを入力し、所定のゲインと位相によって遅らせた信号を最終的な推定アンダーステア量sestunderとしている。
上述したように、実施例1では、前後輪の車輪速偏差に基づいて車両挙動がアンダーステア傾向にあるか否かを判定している。ここで、図18に車輪速センサ信号の周波数成分を示す。尚、この周波数成分は、例えば悪路においてABS制御を作動させながら減速したような場合の成分とする。
図18に示すように、各車輪速センサ12,13,14,15には、1Hzを中心に運転者のアクセルペダルやブレーキペダル操作によって生じる制・駆動力変化や操舵による車輪速変化成分が含まれ、5Hzを中心にABS制御やVDC制御による車輪速変化成分が含まれ、更に9Hz以上を中心に悪路による車輪速変化成分が含まれる。
図19は操舵の周波数応答特性を表す図である。これは、パルス応答試験による結果である。具体的には、100km/hで直進中にただ一度だけ舵を片側に切って中立に戻す。そのときの舵角変化の曲線とヨーレイトの曲線を同時に記録し、舵角変化曲線の周波数分析と、ヨーレイト曲線の周波数分析を行い、同一周波数のもの同士の比を取ったものである。
この周波数分析によると、一般的な市販乗用車では、共振周波数が1〜1.3Hzの範囲のものが多い。市販車の中でもスポーティな車では、1.4Hzのものもあるし、特殊なスーパースポーツカーでは、1.8〜2Hzに達するものもある。
このように、操舵の周波数応答特性を見ると、車両の挙動としては、一般的な乗用車からスーパースポーツカーを含めて考えても、せいぜい1Hz〜2Hzの範囲における操舵操作とヨーレイトの関係が達成されるのみであり、それ以上の周波数成分は、ほとんど車両挙動に影響してこないことが分かる。
すなわち、車輪速センサ信号内に広範な振動数成分を持っていたとしても、車両挙動を推定するのに必要な成分としては、1〜2Hzを中心とした低周波数成分を用いて推定することが好ましいことが理解できる。また、車輪速が変化し、その変化によって車両挙動に影響を与え、アンダーステア等が発生することを考えると、車輪速センサ信号を所定位相だけ遅らせることが、実際の車両挙動と一致するとも言える。また、実施例1で想定している回生制動領域は、図16のフリクションサークルに示すように、ABS制御領域やVDC制御領域よりも内側の領域であり、この領域における車両挙動に応じた成分のみを抽出する必要がある。
そこで、実施例1の車両応答性規範モデル演算モジュール315では、カットオフ周波数が車両挙動を表す周波数成分よりも高くABS制御による周波数成分より低い(例えば、1〜3Hz程度)値に設定されたローパスフィルタを一次遅れフィルタ315aとし車両応答性規範モデルとして採用することとした。
よって、この車両応答性規範モデル演算モジュール315を通過した信号は、車輪速センサ信号のうち、車両挙動と密接に関わる成分のみを効率よく抽出したものとなり、推定アンダーステア量の精度を高めることができる。
次に、一次遅れフィルタ315aの時定数設定処理について説明する。
図20は後輪制動力(リアホイルシリンダ圧)と時定数との関係を表すマップである。実施例1の車両応答性規範モデル演算モジュール315では、後輪制動力に応じて時定数を変更するように構成されている。このように構成した理由は以下の2つの場合を想定した結果による。
(想定1:ドライバ要求制動トルクが徐々に増大し、後輪制動力が増大していく場合)
上述したように、ドライバ要求制動トルクsxbkを前輪のみで確保可能な場合は、後輪制動力をゼロとすることで回生量を確保し、前輪のコーナリングフォースが不足してアンダーステア傾向になり始める直前には、回生制動力を制限し、制限された制動力を後輪側で確保することでトータル制動力を確保している。
すなわち、後輪制動力が低いときとは、前輪の回生制動力が前輪ロック境界線に近い所に位置していることを意味する。よって、安全サイドを考えると、アンダーステア傾向となる前に早めに回生制動力を制限する必要がある。また、この状態では、回生制動力を小さくし、後輪制動力を大きく設定することで前輪のコーナリングフォースを確保することができる状態であることから、操舵に対する車両応答は比較的高い状態と言える。
そこで、後輪制動力が低いときは時定数を短く設定し、早めに回生制動力が制限されるように構成した。
一方、後輪制動力が高いときとは、ドライバ要求制動トルクsxbkが大きく、前輪の回生制動力が制限され理想制動力配分に近い状態である。このときは、比較的前後輪車輪速偏差として大きめの値が出力されており、弱アンダーステア傾向にあることから操舵に対する車両応答は比較的低い状態と言える。
また、車両は制動力によって大きく荷重移動が発生しており、前輪のフリクションサークルの半径は大きく、後輪のフリクションサークルの半径は小さい。よって、実際の車両挙動としてアンダーステアが発生していない状態であっても、前後輪の車輪速偏差が大きくなる場合がある。このことは、車両応答性規範モデル演算モジュール315を通過する前の推定アンダーステア量sestundernfが実際の車両挙動とは異なる値として演算されることを意味し、推定アンダーステア量の精度が悪化する。
そこで、後輪制動力が高いときは、時定数を長く設定することで、実際の車両応答に応じた推定アンダーステア量を算出することが可能となり、過剰に回生制動力を制限することがなく、燃費の改善を図ることができるものである。
(想定2:ドライバ要求制動トルクが一気に増大し、回生制動力応答不足が発生した場合)
急制動時には、インバータやバッテリの性能に起因する回生制動の限界により、ドライバ要求制動トルクsxbkの立ち上がりに対して回生制動トルクに追従遅れが生じる。この場合は、ドライバ要求制動トルクsxbkを前輪の回生制動力のみで担保できず、制動初期の段階から後輪制動トルクが付与され、更には、前輪の摩擦制動トルクが出力される場合もある。
つまり、急制動時にあっては、前後輪の制動力配分は常に前後輪の制動力配分特性に対応した比率と一致しているため、たとえ低μ路でブレーキを早踏みし、前後輪に車輪速偏差が発生したとしても、回生制動過多に伴うアンダーステアが発生することはない。すなわち、急制動時の制動力配分は、あらかじめ設定された制動力配分特性線上に位置している。仮に、急制動時において車輪速偏差に応じた回生制動の抑制を行った場合には、不要に回生制動が制限されてしまい、燃費の悪化を招く。
このため、実施例1では、後輪制動力が大きいときは時定数を長く設定し、急制動時には回生制動が制限されにくくすることで、急制動時における不要な回生制限を抑制でき、燃費の悪化を防止することができるものである。
図21は車両応答性規範モデル演算モジュール315の周波数とゲインの関係を示し、図22は車両応答性規範モデル演算モジュール315の周波数と位相の関係を示す。後輪制動力(リアホイルシリンダ圧)が大きいほど時定数を長く設定することで、ゲインとしては時定数が短いときよりも小さく設定され、位相としては時定数が短いときよりも遅れるように設定される。
このように、時定数を後輪制動力に応じて変更することで、アンダーステア傾向を回避して安全性を確保しつつ、推定アンダーステア量の推定精度の悪化による燃費の低下を防止することができる。
以上説明したように、実施例1の構成にあっては、下記に列挙する作用効果を得ることができる。
(1)駆動輪と従動輪の車輪速偏差に一次遅れフィルタ315aを作用させ、一次遅れフィルタ作用後の車輪速偏差が大きいほど回生制動力を制限する回生量制限値演算モジュール316とを備えた。具体的には、車両応答性規範モデル演算モジュール315によりアンダーステア傾向が強いと推定されるほど、回生量制限値演算モジュール316において回生制動力を制限することとした。
よって、一次遅れフィルタにより、前後輪車輪速偏差のうち、車両挙動と密接に関わる成分のみを効率よく抽出することが可能となり、アンダーステア傾向か否かを精度よく推定することができる。よって、過剰に回生制動力が制限されることがなく、燃費の向上を図ることができる。
(2)一次遅れフィルタ315aは、車両挙動を表す周波数成分よりも高くアンチスキッド制御による周波数成分よりも低いカットオフ周波数を有するローパスフィルタとした。
よって、この車両応答性規範モデル演算モジュール315を通過した信号は、車輪速センサ信号のうち、車両挙動と密接に関わる成分のみを効率よく抽出したものとなり、推定アンダーステア量の精度を高めることができる。
(3)前輪に回生制動力を付与する構成とし、ディスクブレーキによる摩擦制動力に対し回生制動力を優先して出力することとした。
すなわち、回生制動力を制限することで前輪コーナリングフォースを確保することが可能となり、アンダーステア傾向を解消することができる。
(4)車両応答性規範モデル演算モジュール315は、走行状態に応じた車両挙動特性と一致するように前記一次遅れフィルタの時定数を変更することとした。具体的には、後輪制動力が大きいほど一次遅れフィルタ315aの時定数Tを長く設定することとした。
よって、実際の車両応答に応じた推定アンダーステア量を算出することが可能となり、過剰に回生制動力を制限することがなく、燃費の改善を図ることができる。
次に実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図23は実施例2の車速と時定数との関係を表すマップである。実施例1では、後輪制動力に応じて時定数を変更したが、実施例2では、車速に応じて時定数を変更している点が異なる。
一般に、車両は車速が低いときほど大きな操舵が入力されやすく、これに伴って大きなヨーレイトを発生するニーズがある。一方、車速が高いときほど大きな操舵が入力されることはなく、例えば高速道路における車線変更時等では、安全性を考慮すると、操舵に対して小さなヨーレイトを発生させること(弱アンダーステア傾向)が望ましい。
そこで、低車速領域では、時定数を短く設定し、推定アンダーステア量が大きめに演算されるように構成した。これにより、回生制動力を早めに制限することで、確実にコーナリングフォースを確保し、大きな操舵が入力されたとしても、大きなコーナリングフォースを確保することが可能となり、ドライバの要求に応じたヨーレイトを発生することができる。
一方、高車速領域では、時定数を長く設定し、推定アンダーステア量が小さめに演算されるように構成した。これにより、回生制動力の制限が過剰とならないようにすることで、回生量を確保しつつ大きなヨーレイトの発生を抑制し、例えば高速道路における車線変更時等に操舵が入力されたとしても、過剰なコーナリングフォースが発生することがなく、弱アンダーステア傾向を達成することができる。
以上説明したように、実施例2にあっては、実施例1の(1)〜(3)の効果に加えて下記に示す作用効果を得ることができる。
(5)車速が高いほど一次遅れフィルタ315aの時定数Tを長く設定することとした。よって、低車速領域では、時定数を短く設定し、回生制動力を早めに制限することで、確実にコーナリングフォースを確保し、大きな操舵が入力されたとしても、大きなコーナリングフォースを確保することが可能となり、ドライバの要求に応じたヨーレイトを発生することができる。一方、高車速領域では、時定数を長く設定し、回生制動力の制限が過剰とならないようにすることで、回生量を確保しつつ大きなヨーレイトの発生を抑制し、例えば高速道路における車線変更時等に操舵が入力されたとしても、過剰なコーナリングフォースが発生することがなく、弱アンダーステア傾向を達成することができる。
次に実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。図24は実施例3の操舵変化量と時定数の関係を表すマップである。実施例1では、後輪制動力に応じて時定数を設定したが、実施例3では、操舵変化量に応じて時定数を変更している点が異なる。
操舵変化量が小さいときは、ドライバは大きなヨーレイトを望んでおらず、コーナリングフォースが小さくても問題はない。一方、操舵変化量が大きいときは、ドライバは大きなヨーレイトを望んでおり、コーナリングフォースも大きくする必要がある。
そこで、操舵変化量が小さいときは、時定数を長く設定し、推定アンダーステア量が小さめに演算されるように構成した。これにより、回生制動力の制限が過剰とならないようにすることで、回生量を確保しつつ大きなヨーレイトの発生を抑制することができる。
一方、操舵変化量が大きいときは、時定数を短く設定し、推定アンダーステア量が大きめに演算されるように構成した。これにより、回生制動力を早めに制限することで、確実にコーナリングフォースを確保することが可能となり、ドライバの要求に応じたヨーレイトを発生することができる。
以上説明したように、実施例3にあっては、実施例1の(1)〜(3)の効果に加えて下記に示す作用効果を得ることができる。
(6)操舵変化量が大きいほど一次遅れフィルタ315aの時定数を短く設定することとした。よって、操舵変化量が小さいときは、時定数を長く設定し、回生制動力の制限が過剰とならないようにすることで、回生量を確保しつつ大きなヨーレイトの発生を抑制することができる。一方、操舵変化量が大きいときは、時定数を短く設定し、回生制動力を早めに制限することで、確実にコーナリングフォースを確保することが可能となり、ドライバの要求に応じたヨーレイトを発生することができる。
(他の実施例)
以上、本発明の車両の制動制御装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では後輪制動力に応じて時定数を設定し、実施例2では車速に応じて時定数を設定し、実施例3では操舵変化量に応じて時定数を設定したが、これらを組み合わせて最終的な時定数を設定するように構成しても良い。例えば、実施例1の時定数をT1、実施例2の時定数をT2、実施例3の時定数をT3としたとき、最終的な時定数Tを
T=K1・T1+K2・T2+K3・T3
の式に基づいて算出しても良い。但し、K1,K2,K3は車両毎に設定された定数である。
また、実施例では、前後輪の制動力配分特性を理想制動力配分線とした例を示したが、理想制動力配分線に近似する直線特性に沿った制動力配分としてもよい。また、2次回生制限値も、理想制動力配分特性に限らず、前後輪の制動力配分特性に応じて設定してもよい。
また、実施例では、説明の簡単のため、前輪制動力を全て回生制動力で賄うものとし、制動力配分特性に応じた後輪制動力の増加可能限界量を、ドライバ要求制動トルクから実回生制動トルクを引いた値として算出した。ところが、前輪制動力が回生制動力のみでは不足する場合、不足分を前輪摩擦制動トルクで補うこととなる。つまり、ドライバ要求制動トルクは、実回生制動トルクと後輪制動トルクと前輪摩擦制動トルクとの和となる。よって、この場合、後輪制動力の増加可能限界量は、ドライバ要求駆動トルクから前輪制動力和(実回生制動トルク+前輪摩擦制動トルク)を減算した値を用いて算出する。
また、実施例では、回生制動手段が前輪に設けられた前輪駆動車両に本発明を適用した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、回生制動手段が後輪に設けられた後輪駆動車両にも適用することができる。この場合、車輪速偏差が大きいほど車両挙動はオーバーステア傾向となり、本発明の適用により推定オーバーステア量の精度を高めることができる。
また、実施例では、車両応答性規範モデル演算モジュール315を用いて車輪速偏差に基づく推定アンダーステア量を求める例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、実施例で説明したようなモデルを用いず単に車輪速偏差に一次遅れフィルタを作用させた後の車輪速偏差に基づき回生制動力を制限するものも含まれる。
実施例1の制動制御装置が適用された前輪駆動ハイブリッド車を示す全体システム図である。 実施例1の制動制御装置が適用された前輪駆動ハイブリッド車における駆動トルク性能特性図と駆動トルク概念図である。 実施例1の制動制御装置が適用された前輪駆動ハイブリッド車における回生協調による制動トルク性能をあらわす対比特性図である。 実施例1の制動制御装置が適用された前輪駆動ハイブリッド車における各車両モードを示す共線図である。 実施例1の制動制御装置を示す全体制御ブロック図である。 実施例1の要求回生トルク制限演算部を示すブロック図である。 実施例1の回生量制限値演算モジュールを示すブロック図である。 実施例1のブレーキコントローラ5にて実行される回生制動制御処理の流れを示すフローチャートである。 前後輪の制動力配分を示す制動力配分特性図である。 前後輪制動力を用いて減速度0.2Gを発生させる場合の制動力配分を示す図である。 前輪制動力のみで減速度0.2Gを発生させる場合の制動力配分を示す図である。 後輪制動力のみで減速度0.2Gを発生させる場合の制動力配分を示す図である。 車輪速偏差のみに基づく回生制動力制限の問題点を示す図である。 実施例1の後輪制動力の増加可能限界量に応じた回生制動力制限量設定ロジックを示す図である。 実施例1の回生制動量選択作用を示す図である。 実施例1の回生制動力制限作用を示すフリクションサークルである。 実施例1の車両応答性規範モデル演算モジュールを示すブロック図である。 車輪速センサ信号の周波数成分を表す図である。 操舵の周波数応答特性を表す図である。 実施例1の後輪制動力と時定数の関係を表す図である。 実施例1の一次遅れフィルタにおける周波数とゲインの関係を表す図である。 実施例1の一次遅れフィルタによる周波数と位相の関係を表す図である。 実施例2の車速と時定数の関係を表す図である。 実施例3の操舵変化量と時定数の関係を表す図である。
符号の説明
E エンジン
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ
MG3 第3モータジェネレータ
OS 出力スプロケット
TM 動力分割機構
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 パワーコントロールユニット
4 バッテリ
5 ブレーキコントローラ
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 前左車輪速センサ
13 前右車輪速センサ
14 後左車輪速センサ
15 後右車輪速センサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 ブレーキストロークセンサ
19 ブレーキ液圧ユニット
20 前左車輪ホイールシリンダ
21 前右車輪ホイールシリンダ
22 後左車輪ホイールシリンダ
23 後右車輪ホイールシリンダ

Claims (7)

  1. 駆動輪に設けられ回生制動力を出力する回生制動手段と、
    前記駆動輪と従動輪とに設けられ摩擦制動力を出力する摩擦制動手段と、
    運転者の要求制動力に基づいて回生制動力と摩擦制動力の配分を制御する制動力配分手段と、
    前記駆動輪と前記従動輪の車輪速偏差に一次遅れフィルタを作用させた後の車輪速偏差が大きいほど前記回生制動力を制限する回生制動力制限手段と、
    を備えたことを特徴とする車両の制動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制動制御装置において、
    前記一次遅れフィルタは、車両挙動を表す周波数成分よりも高くアンチスキッド制御による周波数成分よりも低いカットオフ周波数を有するローパスフィルタであることを特徴とする車両の制動制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両の制動制御装置において、
    前記回生制動手段を前輪に設け、
    前記制動力配分手段は、前記摩擦制動力に対し前記回生制動力を優先して出力することを特徴とする車両の制動制御装置。
  4. 請求項1ないし3いずれか1つに記載の車両の制動制御装置において、
    走行状態に応じた車両挙動特性と一致するように前記一次遅れフィルタの時定数を変更することを特徴とする車両の制動制御装置。
  5. 請求項4に記載の車両の制動制御装置において、
    前記摩擦制動力が大きいほど前記一次遅れフィルタの時定数を長く設定することを特徴とする車両の制動制御装置。
  6. 請求項4または5に記載の車両の制動制御装置において、
    車速が高いほど前記一次遅れフィルタの時定数を長く設定することを特徴とする車両の制動制御装置。
  7. 請求項4ないし6いずれか1つに記載の車両の制動制御装置において、
    操舵変化量が大きいほど前記一次遅れフィルタの時定数を短く設定することを特徴とする車両の制動制御装置。
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