JP2008062630A - インクジェットヘッドの清浄化方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェットヘッドの清浄化方法およびインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】インク吐出口が設けられたインクジェットヘッドの表面(吐出面)にヘッド用液体を供給し、ワイピング動作を行うことで吐出面の清浄化を行う方法において、環境温度によらず必要十分な量のヘッド用液体が供給されるようにする。
【解決手段】ヘッド用液体の収容部12にヒータ64を配置し、ワイピングに先立ってヘッド用液体の温度制御を行うことでその粘度を調節してから転移を行わせる。これにより、温度によらず必要十分な量のヘッド用液体を安定してワイパに転移(ないしは吐出面に供給)することが可能となる。
【選択図】図7

Description

本発明は、インクジェットヘッドの清浄化方法およびインクジェット記録装置に関する。詳しくは、本発明は、インクジェットヘッド(以下、記録ヘッドまたは単にヘッドとも言う)のインク吐出口が形成された表面(以下、吐出面とも言う)に付着したインク残渣等を効率よく排除して清浄化するための技術に関するものである。
インクジェット記録方式は、液体であるインクを媒介として入力画像データを出力画像に変換するシステムであるため、インクを吐出する記録ヘッドの清浄化(クリーニング)技術が非常に重要な要素となっている。クリーニングを必要とする主な課題を簡単に説明すると、次の通りである。
インク吐出用の記録ヘッドは微細なノズル(以下、特にことわらない限り、吐出口、これに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギを発生するための素子を総称して言う)から記録媒体にインクを直接吐出するものである。従って、吐出したインクが記録媒体に当たって跳ね返ったり、インクを吐出する際に記録に関与する主なインクの他に微小なインク滴(サテライト)が吐出されて雰囲気中に漂ったりすることがある。すると、これらがインクミストとなって、記録ヘッドのインク吐出口の周りに付着することがある。また、空気中を漂っていた塵埃などが付着することもある。すると、吐出される主インク滴をこれらの付着物が引っ張ることで、インク吐出方向がよれること、すなわち主インク滴の直進性が妨げられることがある。
そこで、この問題を解決するためのクリーニング技術として、インクジェット記録装置では、所定のタイミングで、ゴム等の弾性材料でなる払拭部材(ワイパブレード)で記録ヘッドの吐出面を掃き、付着物を除去するワイピングと呼ばれるものが採用される。
一方最近では、記録物の記録濃度、耐水性および耐光性等を向上する目的で、色材として顔料成分を含有するインク(顔料系インク)が使用されることが多くなってきている。顔料系インクは、元来固体である色材を、分散剤や、顔料表面に官能基を導入するなどして水中に分散させてなるものである。従って、吐出面上でインク中の水分が蒸発し乾燥した顔料インクの乾燥物は、色材自体が分子レベルで溶解している染料系インクの乾燥固着物と比べ、吐出面に与えるダメージが大きい。また、また顔料を溶剤中に分散させるために用いている高分子化合物が吐出面に対して吸着されやすいという性質が見られる。これは、インクの粘度調整や、耐光性向上その他の目的でインクに反応液を添加する結果インク中に高分子化合物が存在する場合には、顔料系インク以外でも生じる問題である。
これらの課題に対し、ワイピングを伴う吐出面の清浄化を行うための機構に関して様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1および2には、記録ヘッドのワイピング時に不揮発性溶剤のヘッド用液体を吐出面に塗着させることで、ワイパの磨耗を軽減し、記録ヘッドに蓄積したインク残渣を溶解させることによって蓄積物を除去する技術が開示されている。さらには、記録ヘッド上にヘッド用液体の薄膜を形成させることによって異物の記録ヘッドに対する付着を防止することが図られ、これらによって拭き取り性を向上させている。また、これらのワイピング時に用いるヘッド用液体は、プリンタ本体内部に貯蔵する構成が採られている。
特許文献3には、ワイパに不揮発性溶剤でなるヘッド用液体を塗布した後、ヘッドの吐出面に対して払拭動作を行っている内容が開示されている。
また、特許文献4には、吐出面に溶解液を噴霧し、吐出面に付着した不溶化物をワイパで除去している内容が開示されている。
さらに、特許文献5には、ヘッド上のインク残渣を、ワイパ上に保持された不揮発性のインク溶剤中に溶かすことにより払拭動作を行っている内容が開示されている。
特開平10−138503号公報 特開2000−203037号公報 特開平10−138502号公報 特開平10−151759号公報 特開平11−254692号公報 溶剤ポケットブック(オーム社;1967年)564頁、図7・83
上述のように、従来技術に係る特許文献1〜5のいずれも、ワイピングに関連して吐出面にヘッド用液体を付与することを開示している。しかしヘッド用液体の付与量に関しては何ら考慮されていない。
ヘッド用液体は十分な量が吐出面に供給されるべきである。ヘッド用液体の供給量が少ない場合には、吐出面の清浄化が不十分になり、吐出不良の発生を効果的に防止し得なくなる事態が生じるからである。
本発明者らは、ヘッド用液体保持部材にワイパを接触させることによってヘッド用液体をワイパに転移させ、そのワイパにより吐出面を払拭する動作を検討したところ、ヘッド用液体の供給量は、環境条件、特に環境温度によってばらつくことがわかった。これは、記録装置本体の使用環境が高温から低温まで様々であり、ヘッド用液体の物性(粘度)が変化が生じるため、まずワイパへのヘッド用液体の転移量がばらついたことに起因する。つまり、環境温度によってはワイパに十分な量のヘッド用液体が転移せず、ひいては吐出面に十分な量のヘッド用液体の供給が行われなくなるのである。
そこで、どのような温度条件下でも十分な転移量ないし供給量が得られるようにすることが考えられるが、高温の場合には過剰な量のヘッド用液体が転移ないし供給されることになる。この場合、記録装置本体の寿命が尽きる前にヘッド用液体の貯えがなくなり、頻繁なヘッド用液体の補給を要することになるか、またはその補給ができない構成であればヘッド用液体を用いることができなくなるので、清浄化が行われなくなる恐れがある。また、それを回避するためには、相当量のヘッド用液体を収容しておくための大型の容器が必要となり、記録装置の大型化が生じるという問題もある。
本発明は、以上に鑑み、環境条件によらず必要かつ十分な量のヘッド用液体を供給できるようにすることで、インク残渣を効率的かつ確実に吐出面より排除し、十分な清浄化を達成することを目的とする。これにより、吐出面の表面特性の変化を抑制し、記録ヘッドの持つ初期性能を維持するものである。
そのために、本発明は、ヘッド用液体を収容する液体収容部の液体導出口に位置する吸収体にワイパを当接させ、当該当接によって前記吸収体から前記ヘッド用液体を滲出させることで前記ワイパに前記ヘッド用液体を転移させ、当該ワイパを、インクを吐出する吐出口が設けられたインクジェットヘッドの表面に摺接させて前記表面の清浄化を行うインクジェットヘッドの清浄化方法または当該清浄化を行う手段手段を具えたインクジェット記録装置において、
環境条件に応じ前記ヘッド用液体の粘度を調節することで、前記ワイパに転移する前記ヘッド用液体の量を安定化させる工程または手段を具えたことを特徴とする。
本発明によれば、温度などの環境条件によらず、ワイパに必要十分な量のヘッド用液体を安定して転移させ、これによってヘッドの吐出面に必要十分な量のヘッド用液体を供給することができるようになる。これにより、効率的かつ効果的なヘッド吐出面の清浄化が可能となり、またワイピング動作の繰り返しに伴う顔料の凝集物による吐出面の削れなど、吐出面の劣化を抑制することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
(装置の実施形態)
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の主要部の模式的な斜視図である。
図示のインクジェット記録装置において、キャリッジ100は無端ベルト5に固定され、かつガイドシャフト3に沿って移動可能になっている。無端ベルト5は一対のプーリ503に巻回され、一方のプーリ503にはキャリッジ駆動モータ(不図示)の駆動軸が連結されている。従って、キャリッジ100は、モータの回転駆動に伴いガイドシャフト3に沿って図の左右方向に往復主走査される。キャリッジ100上には、インクタンク2を着脱可能に保持するカートリッジ形態の記録ヘッド1が搭載されている。
図2は図1のキャリッジ100に搭載可能な記録ヘッド1の一構成例を示す斜視図、図3は記録ヘッド1の構成要素であるヘッドユニットの一構成例を示す分解斜視図である。
本例に係る記録ヘッド1は、インクを吐出する吐出口の配列を有したヘッドユニット400と、インクを貯蔵し、ヘッドユニット400にインクを供給するインクタンク410とを有している。記録ヘッド1は、ヘッドユニット400に設けられたインク吐出口列が記録媒体としての用紙6と対向し、かつ上記配列方向が主走査方向と異なる方向(例えば記録媒体6の搬送方向である副走査方向)に一致するようにキャリッジ100に搭載される。インク吐出口列およびインクタンク410の組は、使用するインク色に対応した個数を設けることができる。図示の例では6色(例えばブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、淡シアン(PC)および淡マゼンタ(PM))に対応して6組設けられている。ここに示す記録ヘッド1では、各色独立のインクタンク410が用意されており、それぞれがヘッドユニット400に対して着脱自在となっている。
ヘッドユニット400は、図3に示すように、記録素子基板420、第1のプレート430、電気配線基板440、第2のプレート450、タンクホルダ460および流路形成部材470から構成されている。各色インクの吐出口列を有する記録素子基板420は、酸化アルミニウム(Al)を材料とする第1のプレート430上に接着固定されており、ここには記録素子基板420にインクを供給するためのインク供給口431が形成されている。さらに、第1のプレート430には、開口部を有する第2のプレート450が接着固定されている。この第2のプレート450は、インクを吐出するための電気信号を印加する電気配線基板440と記録素子基板420とが電気的に接続されるように電気配線基板440を保持している。一方、インクタンク410を脱着可能に保持するタンクホルダ460には流路形成部材470が超音波溶着され、インクタンク410から第1のプレート430にわたるインク流路(不図示)を形成している。
図4は、図3に示す記録素子基板420において、一色についての吐出口列付近の構造を、部分的に破断して示す斜視図である。図4において、421はインクを吐出するために利用されるエネルギとして、通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する発熱素子(ヒータ)である。また、ヒータ421が実装される基体423上には、ヘッドユニット400の温度を検出する温度センサ428と、当該検出温度に応じてヘッドないしインクを保温するためのサブヒータ(不図示)と、が設けられる。422はインク吐出口、426はインク流路壁である。425は各ヒータに対向した状態でインク吐出口426が形成された吐出口プレートであり、樹脂の被膜層427を介して基体423上に配設される。また、吐出口プレート425の表面(記録媒体と対向する吐出面)には、所望の撥水材が設けられている。
本例においては、ヒータ421ないし吐出口422の列が2列配置され、各列間のヒータ421ないし吐出口422同士は配列方向すなわち副走査方向に配列ピッチの1/2だけずれて配置されている。ここで、1列あたり128個のヒータ421ないし吐出口422が600dpiの密度で配列されることで、1色のインクあたり1200dpiの解像度を実現している。そして、上記6色に対応した記録素子基板構成が第1のプレート430上に配置される。
図5(a)〜図5(g)を用い、記録素子基板および吐出面の作成方法について説明する。
図5(a)および図5(b)は、それぞれ、記録素子基板420の模式的斜視図およびそのb−b’線の模式的断面図であり、複数のヒータ421がシリコン等でなる基体1上に配置されている(ヒータに通電を行うための電極等は不図示)。
図5(c)は、図5(b)で示した基体423上に、ポジ型レジストによりインク流路パターン形成材433を配置した図である。このインク流路パターン形成材433は、各吐出口へ供給するインクを一時保持するための共通液室と、この共通液室から複数に分岐し、ヒータにより膜沸騰を起こさせるインクの流路を構成するためのパターンに対応している。
図5(d)は、図5(c)で示したインク流路パターン形成材433の上にネガ型レジストからなるノズル形成材料434とフッ素およびシロキサン分子を含むネガ型レジストである撥水材料435を形成した状態を示す図である。本実施形態では、これら材料によって吐出口プレート425が形成されることになる。このように撥水材料435を用いることにより、吐出面に撥水性を持たせることが可能となる。あるいは、この工程において、ノズル形成材料に組み合わせる材料を変更することにより、吐出面を所望の表面特性に変化させることが可能である。また、吐出面に撥水性を必要としない場合には、撥水材料を用いずノズル材料のみ用いることで、撥水性を有さない吐出面の形成が可能になる。
図5(e)は、図5(d)の状態に対し、フォトリソグラフィ法によりインク吐出口422およびこれに通じるインク路を形成した状態である。さらに図5(f)は、図5(e)の状態に対し、吐出口形成面側等を適切に保護しながら、基体423の裏面側よりシリコンの異方性エッチングによりインク供給口424を形成した状態を示す図である。図5(g)は、図5(f)の状態に対し、インク流路パターン形成材4333を溶出させ、記録素子基板を完成させた状態を示している。そしてこのように完成した記録素子基板420を第1のプレート430上に配置し、さらに各部との接続や電気的実装等を行うことで、図2に示した構成が得られる。
再び図1を参照するに、記録媒体6は、キャリッジ100のスキャン方向と直交する方向に間欠的に搬送される。記録媒体6は搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ設けた一対のローラユニット(不図示)により支持され、一定の張力を付与されてインク吐出口に対する平坦性を確保した状態で搬送される。そして、キャリッジ100の移動に伴うヘッドユニット1の吐出口の配列幅に対応した幅の記録と、記録媒体6の搬送とを交互に繰り返しながら、記録媒体6全体に対する記録が行われる。また、図示の装置には、キャリッジの主走査方向上の移動位置を検出するなどの目的でリニアエンコーダ4が設けられている。
キャリッジ100は、記録開始時または記録中に必要に応じてホームポジションで停止する。ホームポジション付近には、キャップや、図6について後述するクリーニング装置を含むメンテナンス機構7が設置されている。キャップは昇降可能に支持されており、上昇位置では、ヘッドユニット1の吐出面をキャッピングし、非記録動作時等においてその保護を行ったり、あるいは吸引回復を行うことが可能である。記録動作時にはヘッドユニット1との干渉を避ける下降位置に設定され、また吐出面との対向によって予備吐出を受けることが可能である。
(クリーニング装置の構成)
図6は本発明に係るクリーニング装置の一例を示す模式的側面図であり、図1の矢印方向から見たものである。
ゴム等の弾性部材でなるワイパブレード9Aおよび9Bがワイパホルダ10に固定されており、ワイパホルダ10は図の左右方向(記録ヘッド1の主走査方向と直交する、インク吐出口が配列された方向)に移動可能である。ワイパブレード9Aおよび9Bは高さが異なっており、記録ヘッド1の吐出面11との摺接時に、前者は比較的大きく屈曲して側部(腹部)が、後者は比較的小さく屈曲して先端部(エッジ部)が摺接するようになっている。
12はワイパブレードが接触することでヘッド用液体を転移させるための液体収容部であり、タンク(容器)にヘッド用液体を収容した形態とすることができる。また、所定量のヘッド用液体を保持する一方、ワイパブレードとの接触に応じて適切な量のヘッド用液体を滲出させる吸収体を含むヘッド用液体転移部60を少なくとも当該接触部位に有したものである。
クリーニング動作にあたっては、まず記録ヘッド1が図示の位置にない状態で、液体収容部12にワイパブレードを接触させることでヘッド用液体を転移させる。そしてワイパホルダ10および記録ヘッド1を図示の位置に設定し、ワイパホルダ10を矢印方向に移動させる。この移動の過程で、まず比較的長いワイパブレード9Aがまず吐出面11に摺接し、比較的短いワイパブレード9Bがこれに続くことになる。
すなわち、ワイパブレード9Aは比較的大きく屈曲してその側部(腹部)が吐出面11に摺接し、ヘッド用液体16を効率よく吐出面11に転写・塗布(供給)されてゆく。吐出面11にインク残渣1104があっても、ヘッド用液体16の付与によって溶解する。この状態でワイパブレード9Bの先端部(エッジ)が吐出面11に当接することで、インク残渣の溶解物を効率的に掻きとって行き、記録ヘッドのクリーニングが行われる。
なお、上記ワイピングの結果、ワイパブレード9B上にはインク残渣の溶解物が付着している。これが重力の作用に従いワイパブレードを伝って流れ落ちるようにする場合には、図示のワイパホルダ10の位置の下方においてこれを受容する部材を設けることができる。
しかし、液体収容部12の付近でワイパブレード9Aおよび9Bに当接することで溶解物をワイパブレードから積極的に受容し、ワイパブレードを清浄な状態にする手段(スポンジやスクレイパ等)または工程を設けることが望ましい。ワイパブレード9Aおよび9Bを清浄な状態としてからヘッド用液体を転移させるようにすれば、直ちに次のワイピング動作に備えることができる。
次に、本実施形態の主要部に係るヘッド用液体転移部60について説明する。
ヘッド用液体は、吸収体とワイパーブレードの当接部で形成されるヘッド用液体のメニスカスの界面張力によって吸収体からワイパブレードへ転移してくる(滲み出てくる)。しかし抗力としてヘッド用液体収容部12内の圧力損失が発生し、特に低温環境ではヘッド用液体の粘度が大きくなるため、圧力損失、すなわちヘッド用液体を液体収容部側に留めようとする動負圧が大きくなりやすく、ヘッド用液体の滲出が円滑に行われない。
そこで、液体収容部12内の粘度を調節する機構としての転移量安定化部材50を設けることで、ヘッド用液体の滲出量が一定となるようにし、ヘッド用液体のワイパブレードへの転移量ひいては吐出面11への供給量を安定化する。
図7はヘッド用液体転移部60の構成例を示す模式的側断面図である。本例のヘッド用液体転移部60は、液体収容部12のヘッド用液体導出口12Aに位置づけられた吸収体52と、その液体収容部側に設けられたメッシュ状のヒータ64とを有している。ワイパブレード(図7ではワイパブレード9Aのみが示されている)が一定の力で接触すると、吸収体62から、その毛管力に従った量のヘッド用液体が滲出し、転移してくる。この際、温度調節手段であるヒータ64により、少なくともヒータ64ないし吸収体62の近傍のヘッド用液体の温度制御を行うことで、当該部位のヘッド用液体の粘度を調節することができる。
すなわち、このようなヒータ64を設けたのは、環境温度によらず一定量のヘッド用液体を転移させるようにするためである。本実施形態では、ヒータ64のオン/オフ制御を行うことでヘッド用液体の温度調節を行うが、そのオン/オフ切り替えを行うかの基準は所定の温度とする。ここで、所定の温度は、使用するヘッド用液体をどの程度の粘度に調節するかに応じて定めることができる。
図8はヘッド用液体として使用可能なグリセリン、およびグリセリン水溶液の温度依存性を示し、非特許文献1に基いて作成したものである。まず、この図から判るように、グリセリン100%、グリセリン90%の水溶液、グリセリン80%の水溶液のいずれの場合も、低温になるほども粘度は増加している。そして、例えば、液体の粘度が500Pa・s以下で安定供給ができるのであれば、ヘッド用液体の粘度が500Pa・s以下となる温度にヘッド用液体の温度を制御することにより、低温環境においても安定した供給が可能になる。具体的には、グリセリン100%をヘッド用液体として使用するのであれば約30℃以上に加熱されるように、またグリセリン90%の水溶液をヘッド用液体として使用するのであれば約10℃以上に加熱されるようにヒータ64のオン/オフ制御を行えばよい。
また、グリセリンの吸湿や水分の蒸発によってヘッド用液体の水分含有量が変化することを考慮して制御条件を設定することも可能である。上述の例でいえば、ヘッド用液体の水分含有量が0%〜5%の範囲で変化することが想定される場合には、その中で最も粘度の高い場合であるグリセリン100%溶液の粘度が500Pa・s以下となるよう、約30℃以上に加熱すればよい。
なお、ヘッド用液体としてはグリセリン以外の有機溶媒やその水溶液、混合物などを使用可能であり、その粘度の温度依存性に応じて制御条件を適宜設定すればよい。
目標温度の設定方法としては、上述のような閾値を使用する方法の他に、温度と粘度の関係をテーブルとして記憶しておき、そのテーブルから所望の粘度を実現する温度を求める方法が挙げられる。また、適当な近似式を使用して、所望の粘度を実現する温度を計算により求める方法なども可能である。
また、温度制御は、環境温度ないしはヘッド用液体収容部12の近傍の温度情報を記録装置の電源オン時や記録開始時に取得して行うものでもよく、また適切な頻度で温度情報を取得して行うものでもよい。あるいは、ヘッド用液体を用いるクリーニング動作を実行する前に温度情報を取得し、それに応じて温度制御を行うものでもよい。さらに、これらを適宜組み合わせることも可能である。
また、温度情報の取得と温度制御とを連続する動作で行わず、別々に行うことも可能である。例えば、温度情報の取得はより高い頻度で行っておく一方、温度制御はヘッド用液体を用いるクリーニング動作を実行する前にのみ行うことも可能である。これによれば、必要なときにのみヒータ64の駆動を行うことになるので、消費エネルギーが少なくて済む。
さらに、温度制御の方法としては、単純に閾値に応じてヒータ64のオン/オフ制御を行うもののみならず、PID制御など一般的な制御手法を使用することも可能である。
加えて、図7の構成では液体収容部12のヘッド用液体導出口12Aに、吸収体52と接するようメッシュ状のヒータ64を設けている。しかしヒータの配設位置や形態は適宜定め得るものである。例えば、図7において二点鎖線で示すようにヘッド用液体収容部12を覆うようにヒータを配置することも可能であるし、また収容部内壁に配置することも可能である。このような構成では、ヘッド用液体全体を加熱することができるため、ヘッド用液体の使用量が多い場合でも、安定した粘度のヘッド用液体を供給し続けることができる。また、複数の箇所にヒータが設けられるものでもよい。さらに、ヘッド用液体が均一な温度となるよう、ヘッド用液体収容部12に攪拌手段を付加することも可能である。
また、ヘッド用液体の粘度調節は、必ずしも上述したような温度制御により行われるものでなくてもよい。
図9はその一例を示すもので、ヘッド用液体収容部12の適宜の部位(図では左側)に、ヘッド用液体収容部12とほぼ同様の構成の粘度調整液供給部70が設けられている。この構成を用いて、ワイパブレードをこの粘度調整液供給部70の位置まで移動させて摺接させることによりワイパブレードに粘度調整液を転移させ、その後、ヘッド用液体転移部60によりヘッド用液体の転移を行わせるようにすることができる。これによれば、ヘッド用液体の粘度が高くなっているような環境条件下でも、ヘッド用液体と粘度調整液とが混合して粘度が好ましく低下した状態をヘッド用液体転移部60に作り出すことができる。
なお、粘度調整液としてはイオン交換水を用いることができる。しかしヘッド用液体と混合してヘッド用液体の粘度を低下させることができる液体であれば、イオン交換水以外のものも使用可能であることは言うまでもない。
また、図9の構成と図7の構成とを組み合わせることも可能である。すなわち、ヘッド用液体と粘度調整液の混合による粘度制御と、温度による粘度制御とを併用することも可能である。
さらに加えて、ヘッド用液体のワイパブレードへの転移量が変化する要因として、温度条件以外のものを考慮することもできる。例えば、湿度等の条件に対してヘッド用液体の物性(粘度)が変化し、これによって転移量が変化するのであれば、温度条件に代えて、もしくは温度条件とともに、その他の条件を加味することが可能である。
(クリーニング動作の詳細および好適条件)
図10(a)〜(c)および図11を用いてクリーニング動作を説明する。
クリーニング動作にあたっては、まず記録ヘッド1をホームポジションから離れた位置で待機させた状態、またはホームポジションに移動させる前に、液体収容部12にワイパブレードを接触させることでヘッド用液体を転移させる(図10(a))。このとき、ヘッド用液体の温度ないしは粘度が調節されていることで、必要十分な量のヘッド用液体が安定して転移する。
そしてワイパホルダ10を図6の位置に戻し、記録ヘッドをホームポジションに設定した後、再びワイパホルダ10を矢印方向に移動させる。この移動の過程で、まず比較的長いワイパブレード9Aが先行して吐出面11に摺接して行くが、このときワイパブレード9Aに転移していたヘッド用液体16が吐出面11に塗布され、ここに付着していたインク残渣等と混合撹拌される。そして、ワイパホルダ10の移動を継続することで、後続のワイパブレード9Bにより、ヘッド用液体とインク残留物との混合物が掻き取られる(図10(b)、図11)。
このとき、ワイパブレード9Aは比較的大きく屈曲してその側部(腹部)が吐出面11に摺接し、ヘッド用液体16を効率よく吐出面11に転写・塗布すなわち供給してゆく。このとき、必要十分な量のヘッド用液体がワイパブレードに保持されていることから、吐出面に付与されるヘッド用液体量も必要十分なものとなる。従って、吐出面11にインク残渣1104があっても、ヘッド用液体16の付与によって効率よく溶解する。
そしてこの状態でワイパブレード9Bの先端部(エッジ)が吐出面11に当接することで、インク残渣の溶解物を効率的に掻き取って行き、記録ヘッドのクリーニングが行われる(図10(c)、図11)。このとき、ワイパーブレード9Bの表面特性を吐出面11の表面張力よりも高くする(吐出面よりもインクに対する濡れ性を高くする)。これにより、インク残渣の溶解物は吐出面11からワイパーブレード9Bへと移動しやすくなり、インク残渣の溶解物を吐出面より効率的に排除可能になる。
以上の構成において、ヘッド用液体転写用のワイパブレード9Aは、インクの掻き取り能力を持たないように、侵入量(吐出面相当の位置からワイパブレード先端までの高さ)を大きくすることで比較的大きく屈曲し、腹部が吐出面と摺接するようにしている。これにより、ヘッド用液体16がインク残渣上をすり抜けるようになる。この際、吐出面11におけるインク残渣1104に多少の移動が起こっても、実質的に除去はされないようにする。
このように、ワイパブレード9Aでヘッド用液体16を吐出面11に塗布し、吐出面11に付着したインク残渣等と混合撹拌を行う際は、腹部摺接とすることが好ましい。ワイパブレード9Aについてはこのようなワイピング条件とし、インク残渣上をヘッド用液体と共にすり抜ける構成にすることで、インク残渣に対してヘッド用液体を均一に塗布することが可能となり、インク残渣はヘッド用液体に溶け込みやすくなる。つまり、ワイパブレード9Aの腹部摺接を行うことにより、ワイパブレード9Aと吐出面11との間をヘッド用液体が通過し、その際インク残渣への擦り付けが行われることでインク残渣とヘッド用液体との撹拌が生じる。これにより混合が促進され、インク残渣はヘッド用液体中にとりこまれる。
ここで、吐出面11の表面張力<インクの表面張力<ヘッド用液体の表面張力の関係であることが好ましい。この条件が満たされていると、ヘッド用液体と比較して表面張力の低いインク残渣がより表面張力の高いヘッド用液体に溶け込むことになる。すなわちインク残渣単独のときよりも高い表面張力となるので、吐出面11との表面張力差がインク残渣単独のときより大きくなる。従って、吐出面の濡れがより少なくなることにより、インク残渣混合液は吐出面上での移動が容易になる。このため、インク残渣混合液は後続のワイパーブレード9Bの移動に伴い、これに押されるかたちで吐出面11より容易に排除(掻き取り)可能になる。
かかる効果は、ヘッド用液体がある程度多く塗布された状態において好ましく発揮される。具体的には、吐出面におけるインク残渣の量に対して0.1〜100倍の範囲が好ましい。後述する実施例のプリンターを用いた結果から言えば、0.05〜0.5gの塗布量が好ましい。そして本実施形態は、適切に設定された塗布量を環境温度によらずに、必要十分な量に維持できる。
また、ヘッド用液体としては、インク残渣の効果的な溶解に供し得るものであれば適宜のものを採用できる。例えばグリセリンを単独で用いるものでもよく、グリセリン水溶液その他を用いることもできる。
ワイパブレード9Bについては、吐出面11上のインクの掻き取り性を向上するために、侵入量を調整して先端のエッジ部分が吐出面に当接するようになし、拭き残りが生じにくいようにする。このようにエッジ当接を行うことにより、ワイパブレード9Aの塗布および混合撹拌機能とは異なり、ヘッド用液体とインク残渣の混合物の除去がスムーズに行われるのである。
以上の構成により、吐出面11に対してヘッド用液体を確実に塗布し、インク残渣と混合撹拌することが可能であり、従って、吐出面に固着したインク残渣等を容易に取り除くことが可能となる。そしてこの効果により、多数回のワイピング動作を行った後でも、吐出面の初期の表面特性(例えば撥水性)を維持することができ、長期にわたって安定した記録性能を維持することが可能となる。さらに、本発明の効果は、色材としての顔料を分散させるために高分子ポリマーを含有するインクを用いた場合、あるいは色材として染料を含むインクを用いた場合においても、拭き残りが生じないヘッドの清浄化が可能となる。そしてこれらにより、記録性能の安定性が向上するので有効である。
なお、先行するワイパブレード9Aにヘッド用液体の塗布および混合および撹拌機能を持たせ、後続のワイパブレード9Bに掻き取り機能を持たせるためには、上述のように侵入量を調整するほか、2種のワイパブレードの材質や形状を適切に変えるものでもよい。また、両機能を有効に果たし得るのであれば、ワイパブレードの数は2枚に限られることなく、単一でもよいし、また3枚以上が用いられてもよい。
また、本実施形態ではノズル配列方向に対して平行な方向(図4の左右方向)にワイピングを行うものとした。しかしその方向は適宜定め得るものであり、ノズル配列方向に対して垂直な方向にワイピングが行なわれるものでもよい。
(制御系の構成)
本発明を実施するにあたって好ましく適用できる制御系の構成および制御手順を説明する。
図12はインクジェット記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
同図において、1005は制御部である。制御部1005は、図13につき後述する制御手順を実行するに際し各部を制御するMPU1000を具える。1001は、その制御手順に対応したプログラムやその他の固定データ等を格納したROMである。また、制御部1005は、MPU1000が実行する制御手順実行時におけるワークエリアとして用いられるRAM1002や、装置の電源オフ時にも所要の情報を保持しておくためのEEPROMなどの不揮発性メモリ1004等を有する。
制御部1010に対しては操作部1107が接続され、操作部1107はユーザの操作を受容するスイッチ(電源スイッチその他)や、ユーザに情報を提示するための表示部などを有する。また、制御部1010には、コンピュータやデジタルカメラ等のホスト装置1200が接続される。ホスト装置1200からは、記録指示信号(コマンド)や記録データを含む記録情報信号を受信することができる。また、ホスト装置1200に対しては必要に応じ記録装置側のステータス情報を送出することができる。
制御部1005には、プリンタユニット1023がインターフェース部1003を介して接続されている。プリンタユニット1023は図1および図6に示した記録装置の各部を含む。プリンタユニット1023において、1025は記録ヘッド1を駆動するためのヘッドドライバである。1010はキャリッジ100の移動(主走査)の駆動源をなすキャリッジモータ、1027はこれを駆動するためのモータドライバである。1011は記録媒体の搬送(副走査)の駆動源をなす搬送モータ、1028はこれを駆動するためのモータドライバである。
1029はメンテナンス機構であり、キャップ7、ヘッド用液体収容部12およびワイパブレード9A,9Bを含んでいる。1030はそれらメンテナンス機構1029の各部を駆動するための駆動部であり、キャップ7の昇降機構、ヒータ64への通電部およびワイパホルダ10の移動機構などを含んでいる。
1032は環境温度を検出するための温度センサである。その配設部位は適宜定めることができるが、ワイパブレードへのヘッド用液体の転移量を安定化する観点から、ヘッド用液体収容部12もしくはその近傍に設けることが好ましい。
なお、図12では本実施形態の処理に関連する主要部のみを示している。しかし実際には、各部を制御する際の基準となるキャリッジホームポジションセンサやキャッピングセンサなどのセンサ群、およびその他の所要の手段を含み得ることは勿論である。
図13は、図10(a)〜(c)について説明したワイピング処理に先立って実行可能な制御手順の一例を示すフローチャートである。本手順が起動されると、まず温度センサ1032によって環境温度を検出する(ステップS1)。そして、当該温度情報に基き、必要に応じヒータ64に通電することでヘッド用液体の温度制御(粘度調節)を実行し、上述したようなワイピング動作の実行を許可する(ステップS7)。
なお、以上のような温度制御は、ソフトウェアによる処理を併用して行われるものだけでなく、ハードウェア構成によってのみ行われるものでもよい。これは、例えば、検出温度と基準温度との比較を行うコンパレータと、その比較出力に応じてヒータ64への通電をオン/オフするスイッチとを有する構成等とすることができる。
(実施例)
以下、より具体的な実施例を挙げて本発明の効果を検証する。
表面張力
ここでまず、クリーニング性に関わる表面張力について説明する。
吐出面の表面張力(固体の表面張力)の測定にあたっては、まずJIS K6768-1971記載の濡れ試験標準液(濡れ試薬)を綿棒により吐出面に塗布した。そして、塗布直後の状態(塗布時の綿棒の移動に伴う濡れ試薬の「尾引き」の状態)における濡れ試薬の弾き度合いを観察することにより行った。測定方法は、塗布直後に濡れ試薬が丸い液滴を形成している場合は「弾く」と判断し、直後の液滴が真円でない場合には「濡れている」と判断した。測定は表面張力の低い濡れ試薬から順番に行い、最初に「弾く」と判定されたときに適用した濡れ試薬の直前に適用した濡れ試薬の表面張力を、測定物すなわち吐出面の表面張力とした。
また、インクおよびヘッド用液体の表面張力の測定には、協和界面科学製の表面張力計「CBVP-A3」を用いた。
以下で述べる実施例に適用した記録ヘッド吐出面、インクおよびヘッド用液体の表面張力は次のとおりである。
吐出面表面張力 : Fγs=22dyn/cm
インク表面張力 : Iγs=28〜40dyn/cm
ヘッド用液体表面張力 : Rγs=64dyn/cm
ワイピング耐久試験
下記のヘッド用液体とインクとを使用し、環境温度を変えてワイピング耐久試験を行った。ここでは、実使用上の環境を想定して、プリンタを用い吐出面のクリーニング動作を記録動作と組み合わせて連続して5000回行い、試験前後での記録状態を評価することで吐出面表面特性の変化を確認した。
評価用本体
評価に使用した本体は、キヤノン株式会社製のインクジェットプリンター「PIXUS850i」の回復系を図4のように改造したものを用いた。
評価用ヘッド
評価に使用した記録ヘッドは、吐出面がフッ素およびシロキサン分子を含むネガ型レジストである撥水材料により作られた記録ヘッドを用いた。
評価用インク
表1に示す組成のインクを記録ヘッドのカラータンク位置に装着して評価を行った。
Figure 2008062630
比表面積210m/gで、DBP吸油量74ml/100gのカーボンブラック10部と、酸価200、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体の10%水酸化ナトリウム中和水溶液20部、さらにイオン交換水70部を混合し、サンドグラインダーを用いて1時間分散させた後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過し、樹脂分散型顔料が含有された顔料分散液1を得た。得られた顔料分散液1の物性値は、固形分10%であり、pH=10.0、平均粒子径120nmであった。
ヘッド用液体
ヘッド用液体にはグリセリンを用いた。
ワイピング条件
下記2枚のワイパブレードを使用した。
・第1ワイパブレード(吐出面に腹部が摺接するワイパブレード9Aに対応)
材質:ウレタン、硬度:75°、厚み:0.5mm、幅:9mm
自由長:6mm、侵入量:1.75mm
・第2ワイパブレード(吐出面にエッジが摺接するワイパブレード9Bに対応)
材質:ウレタン、硬度:75°、厚み:0.5mm、幅:9mm
自由長:5mm、侵入量:0.6mm
評価結果
評価は、温度条件30℃の場合および15℃の場合における耐久試験前後での記録状態の変化を確認することで行った。耐久試験にあたっては、グリセリン100%をヘッド用液体として使用したことから、粘度が500Pa・s以下となるよう、約30℃以上に加熱されるようにした。また、記録状態の変化は、プリンタ本体内蔵のノズルチェックパターンを高品位専用紙に記録し、ドット形成位置のずれ(ヨレ)を観察することで行った。なお、評価は次の3段階とした。
○:ノズルチェックパターンにヨレがなく、良好に印字されている(無改造のプリンタ本体に純正インクを使用した場合の記録と変わらない)。
△:ノズルチェックパターンの一部にヨレが生じている。
×:ノズルチェックパターンの全体にヨレが生じている。
この結果、実施例の組み合わせのすべてについて、ワイピング動作を連続で5000回行った後も、全ての組み合わせにおいて、初期と同様、実使用上問題のないレベルでの記録性能を維持していた。すなわち、吐出面に付着した多数の顔料粒子や撥水性の低下を受けた不吐出やヨレといった実質的な画像劣化は確認されなかった。さらに、温度15℃〜30℃の範囲、および湿度10%〜90%の範囲で様々に環境を変化させ、ワイピング動作を連続で1000回行ったころ、いずれの場合も劣化は確認されなかった。
また、ヘッド用液体のワイパブレードへの転移量を環境温度の変化に対して安定化させ、低温(15℃)でも所望の転移量が得られ、高温(30℃)では転移量が多くなり過ぎないように調整したことにより、ヘッド用液体を効率的に消費できた。すなわち、同回数のワイピング動作に対し、どの温度でもヘッド用液体の消費量をほぼ一様にすることができた。
以上説明したように、本発明の実施形態ないしは実施例に示され
た構成を用いることで、ヘッド用液体の滲出量を調節することができ、環境温度条件によらずワイパブレードないし記録ヘッドに一定量のヘッド用液体を供給することができるようになる。この結果、顔料インクを用いた場合にもヘッド吐出面の清浄化が可能になるので、インク吐出動作に悪影響を与えるような拭き残しが生じない。またその結果、吐出面11に対するポリマーの付着や、ワイピング動作の繰り返しに伴う顔料の凝集物による吐出面の削れなど、吐出面の劣化を抑制することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の主要部の模式的な斜視図である。 図1のインクジェットプリンタのキャリッジに搭載可能な記録ヘッドの一構成例を示す斜視図である。 図1の記録ヘッドの構成要素である記録ヘッドの一構成例を示す分解斜視図である。 図3の記録ヘッドに適用される記録素子基板において、一色についての吐出口列付近の構造を、部分的に破断して示す斜視図である。 (a)〜(g)は図4の記録素子基板の製造工程の説明図である。 図1の記録装置に適用されるクリーニング装置の一例を示す模式的側面図である。 図6のクリーニング装置のヘッド用液体収容部におけるヘッド用液体転移部の構成例を示す模式的側断面図である。 使用可能なヘッド用液体の粘度の温度依存性を説明するための図である。 図1の記録装置に適用されるクリーニング装置の他の例を示す模式的側面図である。 (a)〜(c)は図6のクリーニング装置の動作を説明するための模式図である。 図6のクリーニング装置の動作を説明するための模式図である。 本発明を適用可能なインクジェット記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。 図12の制御系構成によるワイピング処理前の制御手順の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 インクジェット記録ヘッド
9A、9B ワイパブレード
10 ワイパホルダ
11 吐出面
12 ヘッド用液体収容部
60 ヘッド用液体転移部
62 吸収体
64 ヒータ
1032 温度センサ

Claims (6)

  1. ヘッド用液体を収容する液体収容部の液体導出口に位置する吸収体にワイパを当接させ、当該当接によって前記吸収体から前記ヘッド用液体を滲出させることで前記ワイパに前記ヘッド用液体を転移させ、当該ワイパを、インクを吐出する吐出口が設けられたインクジェットヘッドの表面に摺接させて前記表面の清浄化を行うインクジェットヘッドの清浄化方法において、
    環境条件に応じ前記ヘッド用液体の粘度を調節することで、前記ワイパに転移する前記ヘッド用液体の量を安定化させる工程を具えたことを特徴とするインクジェットヘッドの清浄化方法。
  2. 前記環境条件は温度であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの清浄化方法。
  3. 前記液体収容部はヒータを有し、前記安定化工程は、前記ヒータを用いた前記ヘッド用液体の温度制御を行うことで前記粘度の調節を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットヘッドの清浄化方法。
  4. 前記安定化工程は、前記ヘッド用液体の粘度調節を行うための液体を用いることで前記粘度の調節を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの清浄化方法。
  5. 前記インクは色材として顔料を含むものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの清浄化方法。
  6. ヘッド用液体を収容する液体収容部の液体導出口に位置する吸収体にワイパを当接させ、当該当接によって前記吸収体から前記ヘッド用液体を滲出させることで前記ワイパに前記ヘッド用液体を転移させ、当該ワイパを、インクを吐出する吐出口が設けられたインクジェットヘッドの表面に摺接させて前記表面の清浄化を行う手段を具えたインクジェット記録装置において、
    環境条件に応じ前記ヘッド用液体の粘度を調節することで、前記ワイパに転移する前記ヘッド用液体の量を安定化させる手段を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012171346A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Fujifilm Corp ノズル面清掃装置及びインクジェット記録装置

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