(照明装置及び液晶装置の実施形態)
以下、本発明に係る照明装置及び液晶装置をそれらの実施形態を例に挙げて説明する。図1は、2端子型のスイッチング素子であるTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)を用いたアクティブマトリクス方式であって、駆動用ICを基板上に直接に実装する構造であるCOG(Chip On Glass)方式の液晶装置に本発明を適用した場合の実施形態を示している。
図1において、液晶装置1は液晶パネル2に照明装置3を組み付けることによって形成される。液晶パネル2は、第1基板4aと第2基板4bとを環状のシール材6によって貼り合わせることによって形成されている。第1基板4aと第2基板4bとの間には、図2に示すように、スペーサ14によって維持される隙間、いわゆるセルギャップ12が形成され、このセルギャップ12内に液晶が封入されて液晶層13が形成されている。
図2において、第1基板4aは、矢印B方向から見て方形状であってガラス、プラスチック等によって形成された第1基材11aを有し、その第1基材11aの液晶側表面に半透過反射膜16が形成され、その上にTFD21及びドット電極17aが形成され、その上に配向膜18aが形成されている。配向膜18aの表面には、一対の基板4a及び4bをシール材6によって貼着する前に、ラビング処理等といった配向処理が施される。
また、第1基材11aの外側表面には偏光板27aが、例えば貼着等によって装着される。この偏光板27aは、ある一方向を向く直線偏光を透過させ、それ以外の偏光を吸収、分散等によって透過させないように機能する。
半透過反射膜16は光反射性材料、例えばアルミニウムをスパッタリング等によって成膜して反射膜を形成した後、各ドット電極17aに対応する位置に、例えばフォトエッチングによって光通過用の開口19を設けることによって形成される。なお、開口19を設ける代わりに反射膜の厚さを薄くして、光を反射する機能と光を透過させる機能の両方を持たせるようにすることもできる。
TFD21は図1(a)に示すようにドット電極17aとライン配線22との間に形成される。ライン配線22は、図1に示すように、複数本のそれぞれがX方向に延びると共に、それらが互いにY方向(すなわち、X方向と直角の方向)に間隔をおいて平行に並べられて全体としてストライプ状に形成されている。なお、図1では、構造を分かり易く示すためにライン配線22を数本だけ間隔を大きく開けて模式的に描いてあるが、実際は、ライン配線22は多数本が非常に狭い間隔で形成される。
個々のTFD21は、図3に示すように第1TFD要素21aと第2TFD要素21bとを直列に接続することによって形成されている。このTFD21は、例えば、次のようにして形成される。すなわち、まず、TaW(タンタルタングステン)によってライン配線22の第1層22a及びTFD21の第1金属23を形成する。次に、陽極酸化処理によってライン配線22の第2層22b及びTFD21の絶縁膜24を形成する。次に、例えばCr(クロム)によってライン配線22の第3層22c及びTFD21の第2金属26を形成する。
第1TFD要素21aの第2金属26はライン配線22の第3層22cから延びている。また、第2TFD要素21bの第2金属26の先端に重なるように、ドット電極17aが形成される。ライン配線22からドット電極17aへ向けて電気信号が流れることを考えれば、その電流方向に沿って、第1TFD要素21aでは第2電極26→絶縁膜24→第1金属23の順に電気信号が流れ、一方、第2TFD要素21bでは第1金属23→絶縁膜24→第2金属26の順に電気信号が流れる。
つまり、第1TFD要素21aと第2TFD要素21bとの間では電気的に逆向きの一対のTFD要素が互いに直列に接続されている。このような構造は、一般に、バック・ツー・バック(Back-to-Back)構造と呼ばれており、この構造のTFDは、TFDを1個のTFD要素だけによって構成する場合に比べて、安定した特性を得られることが知られている。
TFD21の第2TFD要素21bの先端に重ねて形成されるドット電極17aは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等といった金属酸化物に対してフォトリソグラフィー処理及びエッチング処理を施すことにより形成される。ドット電極17aは、図1(a)に示すように、1つのライン配線22の延在方向、すなわちX方向に沿って複数個が列状に並べられ、さらに、その列状のドット電極22がライン配線22と直角の方向、すなわちY方向に互いに平行に並べられている。この結果、複数のドット電極17aはX方向とY方向とによって規定される平面内においてマトリクス状に配列される。
複数のドット電極17aは、それらの個々が表示ドットの1つずつを構成し、それらの表示ドットが複数個、マトリクス状に配列されることにより、映像を表示するための表示領域が形成される。
図2において、第1基板4aに対向する第2基板4bは、矢印B方向から見て方形状であってガラス、プラスチック等によって形成された第2基材11bを有する。そして、この第2基材11bの液晶側表面に、カラーフィルタ28が形成され、その上にライン電極17bが形成され、その上に配向膜18bが形成される。配向膜18aの表面には、一対の基板4a及び4bをシール材6によって貼着する前に、ラビング処理等といった配向処理が施される。
また、第2基材11bの外側表面には偏光板27bが、例えば貼着等によって装着される。この偏光板27bは、第1基板4a側の偏光板27aの偏光透過軸と異なったある一方向を向く直線偏光を透過させ、それ以外の偏光を吸収、分散等によって透過させないように機能する。
ライン電極17bは、図1及び図1(a)に示すように、ライン配線22と直角の方向、すなわちY方向に延在し、且つそれと直角な方向であるX方向に互いに間隔をおいて平行に、すなわち全体としてストライプ状に形成されている。また、個々のライン電極17bは図1(a)に示すように、Y方向に列状に並ぶ複数のドット電極17aに対向するように形成される。そして、ドット電極17aとライン電極17bとが重なる領域が表示ドットを構成する。
なお、図1では、構造を分かり易く示すためにライン電極17bを数本だけ間隔を大きく開けて模式的に描いてあるが、実際は、ライン電極17bは多数本が非常に狭い間隔で形成される。
図2において、カラーフィルタ28は、所定の配列で並べられたR,G,Bの3色絵素29と、それらの絵素29の間に形成された遮光領域、すなわちブラックマスク31とによって形成される。R,G,Bの各色色絵素29の配列としては、例えば、ストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等がある。また、個々の色絵素29は、ドット電極17aとライン電極17bとが重なって形成される表示ドットに対応する位置に形成される。
図1において、第1基板4aは第2基板4bの外側に張り出す張出し部7を有し、その張出し部7の表面には配線32及び端子33が形成されている。これらの配線32及び端子33が集まる領域に駆動用IC9がACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)8によって実装される。図2に示すように、駆動用IC9は突出する形状の端子であるバンプ36を有する。また、ACF8は、熱硬化性、熱可塑性又は紫外線硬化性等といった硬化特性を有する樹脂37に多数の微細な導電粒子38を混入させることによって形成されている。第1基板4aの張出し部7上に形成された配線32と駆動用IC9の出力側のバンプ36はACF8内の導電粒子38によって導電接続される。また、端子33と駆動用IC9の入力側のバンプ36も導電粒子によって導電接続される。
図2において、配線32及び端子33は第1基板4a上にライン配線22やドット電極17aを形成するときに同時に形成される。なお、ライン配線22は張出し部7の上にそのまま延び出て配線32となっている。また、第1基板4aと第2基板4bとを接着するシール材6の内部には球形又は円筒形の導通材34が混入されている。第2基板4b上に形成されたライン電極17bは第2基板4bの上でシール材6の所まで引き回された後、導通材34を介して第1基板4a上の配線32に導電接続されている。以上の構成により、第1基板4a上に実装された駆動用IC9は、第1基板4a上のライン配線22従ってドット電極17aと、第2基板4b上のライン電極17bとの両方の電極へ信号を供給することができる。
図1において、液晶パネル2を構成する第1基板4aの外側表面に対向して配設された照明装置3は、例えば、透明なプラスチックによって形成された方形状で板状の導光体39と、その導光体39に取り付けられる光源装置41とを有する。図2において、導光体39のうち液晶パネル2と反対側の面には光反射シート52が例えば貼着によって装着されている。また、導光体39のうち液晶パネル2に対向する面には光拡散シート53が例えば貼着によって装着され、さらにその上にプリズムシート54が例えば貼着によって装着される。
光反射シート52は、導光体39のうち液晶パネル2と反対側の面から外部へ出た光を反射して、再び導光体39を通過させて、導光体39のうち液晶パネル2に対向する面から外部へ出射させる。光拡散シート53は、導光体39のうち液晶パネル2に対向する面から出射した光を拡散、すなわち多方向へ分散する。プリズムシート54は、液晶パネル2に対向する面及び/又は導光体39に対向する面にプリズム、すなわち平行でない平面を2つ以上持つ透明体、を設けたシート部材であり、光拡散シート53から出た光を一定の方向へ向けるように作用する。
図1において、光源装置41は、光を点状に発生する光源としての3個のLED42と、それらのLED42を支持する基板43とを有する。LED42は必要に応じて1個とすることもでき、あるいは、3個以外の複数個とすることもできる。基板43は、例えば、プラスチック製で可撓性を有する半透明のフィルム上に端子44、それらの端子から延びる配線46及びそれらの配線46に接続された制御回路47を有する。制御回路47は、LED42を駆動するための電流を生成する。LED42は、制御回路47に接続されるように基板43上に接着等によって固着される。
LED42は、例えば図2に示すように、青色光を発生する青色LED48と、YAG蛍光体を含み青色LED48の発光面に設けられた樹脂49とを有する。青色LED48から発生した青色光が樹脂49を通過するとき、その青色光の一部がYAG蛍光体に当たって黄色光、すなわち緑色光と赤色光との混合光、に変換され、これがYAG蛍光体に当たらないで外部へ出射した青色光と混合することにより発光面51に白色光が得られるようになっている。
光源装置41の基板43の先端には組付け代Kが設定され、この組付け代Kが光反射シート52を介して導光体39のうちの液晶パネル2と反対側の面に、例えば接着によって固着される。このような接着方式に代えて、導光体39の適所に突起、例えばピンを形成し、それに対応する基板43の位置に嵌合構造、例えば穴を設け、それらのピンと穴とを嵌合させることにより光源装置41を導光体39に固着するといった構造を採用することもできる。
なお、本実施形態では導光体39と基板43との間に光反射シート52を設けたが、基板43を導光体39に直接に固着し、その後に基板43及び導光体39の外側表面に光反射シート52を装着することもできる。
導光体39のうち液晶パネル2と反対側の面には、ドットパターンとしての複数の突部56が一定の配列パターンで形成される。これらの突部56は導光体39の内部を全反射しながら進行する光を導光体39の外部へ出すために設けられている。図4は、図2において液晶パネル2を取り除いて導光体39及び光源装置41を矢印B方向から見た構造を示している。図4に示す通り、個々の突部56は平面的に方形状に形成され、さらに光源装置41に近い側が小さい面積に形成され、光源装置41から離れるに従って面積が大きくなるように形成されている。
このように光源装置41からの距離に応じて突部56の面積を変化させるのは、光源装置41に近い側で液晶パネル2へ向かって出射される光の光量を弱め、光源装置41から遠い側で液晶パネル2へ向かって出射される光の光量を強めることにより、導光体39から液晶パネル2へ供給される面状の光を均一にするためである。
なお、図2において、光反射シート52、光拡散シート53及びプリズムシート54は必要に応じてそれらのうちのいずれか又は全部を省略することができる。
図4において、光源装置41を構成する基板43のうちLED42が設けられている位置よりも導光体39側の領域Gの表面であって、隣り合うLED42の間の領域には光反射領域Hが設けられる。また、それらの光反射領域Hの間であってLED42の発光面51の前方領域、すなわち発光面51の近傍、には、局所的高輝度領域A(図11(a)参照)の輝度を抑えるための光学領域Pが設けられる。
光反射領域Hは、本実施形態の場合、図2に示すように、基板43上に印刷された白色材料57によって形成されている。また、光学領域Pは、白色材料57の上に形成された黒色材料58によって形成されている。この黒色材料58が光を反射させ難い部材として作用する。光学領域P及び光反射領域Hは、導光体39の入光面39aとLED42の発光面51との間の領域、及び基板43が導光体39と重なる領域の両方にわたって設けられている。
光反射領域Hは、白色材料の印刷に限られず、基板43それ自体を白色材料で形成することや、白色シートを接着すること等によって実現できる。また、色に関しては、白色に限られず、光を反射できるその他の色とすることができる。
また、光学領域Pを構成する、光を反射させ難い部材は、黒色材料の印刷に限られず、基板43それ自体を黒色材料で形成することや、黒色シートを接着すること等によって実現できる。また、色に関しては、黒色に限られず、光を吸収できるその他の色、例えば灰色とすることができる。
図5は、光源装置41を構成する基板43と導光体39とを組み付けた構造体のうちLED42が設けられた部分を拡大して示している。一般に、LED42は出射光に関して指向性を有している。つまり、LED42の発光面51から出る光は特定の方向に強く、特定の方向に弱い性質を持っている。図5に符号Sで示す図形は、LED42の光指向性を示している。
この光指向性図Sの見方を説明すれば、図5(a)において、LED42から出る光のうち矢印C0で示す直進方向に進む光の強度は矢印C0の長さで示す大きさを有し、矢印C1、C2、C3、C4のそれぞれの方向に進む光の強度は、それぞれの矢印の長さに対応した強度を有する。この指向性図Sから明らかなように、LED42の発光面の真横方向、すなわち角度0°の真横方向、には光が出射しない。なお、LED42の光指向性は平面的なものではなく図5(b)に示すように高さ方向にも発現する。つまり、LED42は3次元的な光指向性図Sで示される光指向性を有する。
本実施形態において、局所的高輝度領域の発生を抑えるための光学領域Pの平面的な幅Dは、上記の光指向性図Sよりも広い範囲となるように形成される。これにより、LED42からの光が基板43で反射することを確実に抑えることができ、その結果、当該反射光に起因して発生する局所的高輝度領域を確実に抑えることができる。
なお、光学領域Pの平面的な幅Dは上記のようにして決められるが、その光学領域Pの平面的な長さEは、光指向性図Sとは関係なく、図5(b)に示すようにして決められる。具体的には、光学領域Pの長さEは、LED42の発光面51から出た光が導光体39とLED42との間を通って基板43に直接に到達する領域よりも長く設定される。こうすれば、基板43からの反射光であって局所的高輝度領域の発生に寄与する部分の反射光を確実に抑えることができる。
なお、本実施形態のように基板43と導光体39との間に光反射シート52を介在させる構造を採用する場合には、LED42から出て導光体39へ入った光は光反射シート52で反射して光学領域Pへは到達しない。従って、光反射シート52と重なる領域に関しては光学領域Pを設けても、あるいは設けなくても、局所的高輝度領域の発生を抑えることに関する効果には変わりがないかもしれない。しかしながら、光反射シート52を透過する光が存在する場合があるかもしれないので、そのような光が基板43で反射して局所的高輝度領域の発生に関与することを防止するため、できれば、光反射シート52と重なり合う領域の基板43上にも光学領域Pを設けておくことが望ましい。
また、液晶装置の変形例として、光反射シート52を本実施形態のように基板43と導光体39との間に設けるのではなくて、導光体39の辺端に基板43を直接に装着し、その後に光反射シート52を基板43及び導光体39の外側表面に装着するという構成が考えられる。このような場合には、導光体39のうちLED42の近傍の辺端部において、LED42から出て導光体39に入射した光が導光体39と外部空間との境界面で全反射することなく、導光体39の外部すなわち空間内へ出射するときがある。このような場合、導光体39の外部へ出射する光が基板43に到達すると、その光は基板43で反射して局所的高輝度領域の発生に関与するおそれがあるので、そのような反射光が発生すると考えられる基板43上の領域にも光学領域Pを設けることが望ましい。
さらに、液晶装置の変形例として、光反射シート52を採用することなく、導光体39の辺端に基板43を直接に装着するという構成も考えられる。このような場合にも、導光体39のうちLED42の近傍の辺端部において、LED42から出て導光体39に入射した光が導光体39と外部空間との境界面で全反射することなく、導光体39の外部すなわち空間内へ出射するときがある。このような場合も、導光体39の外部へ出射する光が基板43に到達すると、その光は基板43で反射して局所的高輝度領域の発生に関与するおそれがあるので、そのような反射光が発生すると考えられる基板43上の領域にも光学領域Pを設けることが望ましい。
LED42の近傍の基板43の上に光学領域Pを設けることにより局所的高輝度領域の発生を抑えることができることは上述の通りである。本実施形態では、その上さらに、隣り合う一対の光学領域Pの間に白色領域等といった光反射領域Hを設けてある。一般に、LED42の発光面の前方領域には光が到達し易いが、隣り合う一対のLED42の中間領域、すなわちLED42の両脇部分、には光が到達し難い。そして、このことがLED42の前方領域に対応して局所的高輝度領域が発生し易いことの理由の1つであると考えられる。このことに関し、本実施形態のように、隣り合う一対のLED42の中間領域に光反射領域Hを設ければ、光量が低下し易い当該領域における基板43上での反射光量を増大させることができ、それ故、局所的高輝度領域の発生をより一層確実に抑えることができる。
次に、図1及び図4に示すように、導光体39の入光面39aには、プリズム面61と平面62とが交互に連続する光学パターンが形成されている。プリズムとは、平行でない平面を2つ以上持つ透明体のことであり、プリズム面とはそのようなプリズムの外面のことである。本実施形態では、導光体39の入光面39aの高さ方向、すなわち厚さ方向、の全域にわたって直線状に延びる断面三角形状で山状の突起がプリズム面61として設けられている。
なお、プリズム面61は、入光面39aの高さ方向、すなわち導光体39の板厚方向の全域にわたって設けられることに限られず、その高さ方向の部分的な位置に設けることもできる。また、プリズム面61の断面三角形状は、入光面39aを底辺とする正三角形状や、その正三角形状よりも高さの高い、すなわち尖った形状の2等辺三角形や、上記の正三角形よりも高さの低い、すなわち扁平形状の2等辺三角形や、直角三角形や、それら以外の任意の三角形状とすることができる。また、プリズム面61の断面形状は、三角形状以外の多角形状とすることができる。
以上のように、本実施形態では、導光体39の入光面39aにプリズム面61を設けたので、LED42から出て導光体39へ入る光は当該プリズム面61によって導光体39の平面方向へ適度に拡散され、そのため、基板43上に設けた光学領域Pの存在と相俟って、LED42の近傍領域に局所的高輝度領域が発生することを、より一層確実に防止できる。
なお、導光体39の入光面39aにプリズム面61を設けるにあたっては、そのプリズム面61だけを連続して設けること、すなわち入光面39aの全面を連続するプリズム面61とすること、も考えられる。しかしながら本実施形態では、そのような連続するプリズム面61を採用するのではなく、プリズム面61と平面62とが交互に連続する光学パターンを採用してある。
このように、互いに隣り合う一対のプリズム面61の間に平面62を介在させると、プリズム面61を連続させる場合に比べて、局所的高輝度領域の発生をより一層確実に防止できることが本発明者の実験によって確認された。これは、プリズム面61の間に平面62を介在させた方が、プリズム面61を連続させる場合に比べて、光の拡散状態をより一層顕著にすることができるからであると考えられる。
また、平面62を介在させることなくプリズム面61を連続させると、出射光の輝度が低下することが考えられるが、プリズム面61と平面62とを連続させるようにすれば、輝度の低下を防止して明るい表示を行うことができる。
なお、図5(a)に示すように、プリズム面61を構成する断面三角形状の底辺部分は、そのプリズム面61に最も近い突部56aの幅よりも長く形成されている。換言すれば、導光体39のうち液晶パネル2の反対側の面に、光の屈折を調節するための複数の突部56を形成する場合には、それらの突部56のうちプリズム面61に最も近い位置にある突部56aの幅は、プリズム面61の底辺部分よりも小さく形成される。
以下、上記構成より成る液晶装置に関してその動作を説明する。
太陽光、室内光等といった外部光が十分な場合、図2に矢印Fで示すように、外部光が第2基板4bを通して液晶パネル2の内部へ取り込まれ、この外部光が液晶層13を通過した後に半透過反射膜16で反射して液晶層13へ供給される。
他方、外部光が不十分である場合には、照明装置3を構成する光源装置41内のLED42を点灯する。このとき、LED42から点状に出た光は矢印Jで示すように導光体39の入光面39aから該導光体39の内部へ導入され、その後、液晶パネル2に対向する面、すなわち光出射面から直接に出射したり、あるいは、突部56を設けた反対側の面から出て光反射シート52で反射した後に光出射面から出射したりする。このようにして光出射面の各所から出射する光が、半透過反射膜16に形成した開口19を通って面状の光として液晶層13へ供給される。
以上のようにして液晶層13へ光が供給される間、液晶パネル2に関しては、駆動用IC9によって制御されて、ライン配線22に例えば走査信号が供給され、同時に、ライン電極17bに例えばデータ信号が供給される。このとき、走査信号とデータ信号との電位差に応じて特定表示ドットのTFD21が選択状態(すなわち、オン状態)になると、その表示ドット内の液晶容量に映像信号が書き込まれ、その後、当該TFD21が非選択状態(すなわち、オフ状態)になると、その信号は当該表示ドットに蓄えられて当該表示ドット内の液晶層を駆動する。
こうして、液晶層13内の液晶分子が表示ドットごとに制御され、それ故、液晶層13を通過する光が表示ドットごとに変調される。そして、このように変調された光が偏光板27bを通過することにより、液晶パネル2の有効表示領域内に文字、数字、図形等といった像が表示される。
以上のように液晶を利用した表示が行われる間、図4において、LED42から発生した光は導光体39の入光面39aから該導光体39の内部へ取り込まれる。そして、この光は、導光体39の内部を全反射しながら進行する間に、特定の光学条件が満足されたときに導光体39から面状に出射して液晶パネル2へ供給される。
この際、LED42から出た光は当該LED42の発光面51の前方領域では強度が高く、当該LED42から横方向に離れる領域では強度が弱くなる。このため、導光体39のうちLED42に近い部分には局所的高輝度領域が発生し易い。しかしながら、本実施形態では、導光体39の入光面39aに、プリズム面61と平面62とが交互に連続する光学パターンを設けたので、入光面39aに入射した光が導光体39の平面方向に十分に拡散される。このため、導光体39のうちLED42に近い部分に局所的高輝度領域が発生することを確実に防止できる。また、輝度の低下も防止できる。
また、本実施形態では、LED42の発光面51の前方領域に黒色の光学領域Pを設けたので、LED42の発光面51の前方領域に対応する光の光量が抑えられる。このため、プリズム面61を含む光学パターンの作用との相乗効果により、上記のような局所的高輝度領域の発生を、より一層抑えることができる。
さらに、本実施形態では、LED42の横方向に離れる領域、すなわちLED42の脇領域に、白色の光反射領域Hを設けたので、LED42の横方向の領域における光の光量の低下を抑えることができる。このため、プリズム面61を含む光学パターンの作用及び黒色の光学領域Pを設けることとの相乗効果により、上記のような局所的高輝度領域の発生を、より一層抑えることができる。
(変形例)
図6は、導光体39の入光面39aに設けるプリズム面の変形例を示している。図5(a)では断面形状が正三角形状又は2等辺三角形状の突起をプリズム面61として採用したが、図6に示す例では、断面形状が直角三角形状の突起をプリズム面61として採用している。
図7は、導光体39の入光面39aに設けるプリズム面の他の変形例を示している。図5(a)や図6で示した実施形態では、プリズム面61として突起を採用したが、図7に示す例では、窪み、特に断面形状が正三角形状又は2等辺三角形状の窪みをプリズム面として採用している。
図8は、導光体39における面状の光出射面やそれと反対側の面に設ける、光の屈折率を調節するための光学パターンの変形例を示している。図5に示した実施形態では、そのような光学パターンとしてドット状の突部56を採用したが、図8に示す例では、LED42からの光の入射方向に対して横方向に延在する複数の直線状の突起63、すなわちストライプパターンを光学パターンとして採用している。図8では、ストライプパターン63の断面形状を三角形状にしているが、これを方形状、半円形状等にすることもできる。
図5においてドット状の突部56の面積をLED42から離れるに従って徐々に大きくしたことと同様の理由で、すなわち導光体39の光出射面から均一な強さの面状の光を出射するため、複数のストライプ突起63の配列ピッチMは徐々に蜜になるように形成されている。なお、これに代えて、ストライプ突起63の大きさを徐々に大きくするといった構造を採用することもできる。
さらに、図5の実施形態では、局所的高輝度領域の発生を防止するための光学領域Pを形成するための、光を反射させ難い部材として、黒色材料の印刷等といった処理を施した。すなわち、光を反射させ難い部材として光吸収部材を用いた。しかしながら、光を反射させ難い部材はそのような光吸収部材に限られず、例えば、光拡散部材又は光透過部材によって形成することもできる。
(電子機器の実施形態)
図9は、本発明に係る電子機器の一例である携帯電話機の一実施形態を示している。ここに示す携帯電話機90は、アンテナ91、スピーカ92、液晶装置100、キースイッチ93、マイクロホン94等といった各種構成要素を、筐体としての外装ケース96に格納することによって構成される。また、外装ケース96の内部には、上記の各構成要素の動作を制御するための制御回路を搭載した制御回路基板97が設けられる。液晶装置100は、例えば図1に示した液晶装置1によって構成できる。
この携帯電話機90では、キースイッチ93及びマイクロホン94を通して入力される信号や、アンテナ91によって受信した受信データ等が制御回路基板97上の制御回路へ入力される。そしてその制御回路は、入力された各種データに基づいて液晶装置1の表示面内に数字、文字、絵柄等の画像を表示し、さらにアンテナ91を介して送信データを送信する。
図1に示した液晶装置1では、導光体39の入光面39aにプリズム面61及び平面62から成る光学パターンを設けた関係上、液晶パネル2の有効表示領域のうちLED42に近い側に局所的高輝度領域が発生することを防止でき、均一な明るさの表示を行うことができる。従って、図9の液晶装置100としてそのような液晶装置1を用いれば、携帯電話機90の表示部に明るさの均一な見易い表示を行うことができる。
図10は、本発明に係る電子機器の他の実施形態を示している。ここに示す電子機器は、表示情報出力源101、表示情報処理回路102、電源回路103、タイミングジェネレータ104及び液晶装置100によって構成される。そして、液晶装置100は液晶パネル107及び駆動回路106を有する。
表示情報出力源101は、RAM(Random Access Memory)等といったメモリや、各種ディスク等といったストレージユニットや、ディジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ104により生成される各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路102に供給する。
次に、表示情報処理回路102は、増幅・反転回路や、ローテーション回路や、ガンマ補正回路や、クランプ回路等といった周知の回路を多数備え、入力した表示情報の処理を実行して、画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路106へ供給する。ここで、駆動回路106は、走査線駆動回路(図示せず)やデータ線駆動回路(図示せず)と共に、検査回路等を総称したものである。また、電源回路103は、上記の各構成要素に所定の電源電圧を供給する。
本実施形態の電子機器においても、液晶装置100として図1に示した液晶装置1を用いることにより、局所的高輝度領域のない、明るさの均一な表示を行うことができる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、図1に示した実施形態では、基板表面に駆動用ICを直接に実装する構造であるCOG方式の液晶装置に本発明を適用したが、COG方式に代えて、FPC(Flexible Printed Circuit)等といった配線基板を介して駆動用ICを液晶パネルに接続する構造の液晶装置に対して本発明を適用できることはもちろんである。また、駆動用ICが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板を液晶パネルに接続する構造の液晶装置に対しても本発明を適用できる。
また、図1に示す実施形態では、2端子型の能動素子であるTFDをスイッチング素子として各表示ドットに付設する構造のアクティブマトリクス方式の液晶装置に本発明を適用したが、これに代えて、アクティブ素子を用いない単純マトリクス方式の液晶装置や、TFT(Thin Film Transistor)等といった3端子型の能動素子をスイッチング素子として各表示ドットに付設する構造のアクティブマトリクス方式の液晶装置等に対しても本発明を適用することができる。
また、図1に示す実施形態では、液晶としてTN型が用いられることが一般的であるが、これに代えて、BTN(Bi-stable Twisted Nematic)型液晶を用いる構造の液晶装置や、強誘電型液晶等といったメモリ性を有する双安定型の液晶を用いる構造の液晶装置や、高分子分散型の液晶を用いる構造の液晶装置や、分子の長軸方向と短軸方向とで可視光の吸収に異方性を有する染料(ゲスト)を一定の分子配列の液晶(ホスト)に溶解して、染料分子を液晶分子と平行に配列させたGH(ゲストホスト)型の液晶を用いる構造の液晶装置等といった各種構造の液晶装置に対しても本発明を適用できる。
また、本発明は、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列するという垂直配向(すなわち、ホメオトロピック配向)を利用する構成の液晶装置に対しても適用できる。
また、本発明は、電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して水平方向に配列する一方、電圧印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列するという平行配向(すなわち、水平配向又はホモジニアス配向)を利用する構成の液晶装置に対しても適用できる。
以上のように、本発明を適用できる液晶装置は、液晶や配向方式として種々のものを採用できる。
また、図9では、本発明を電子機器としての携帯電話機に適用したが、本発明は、携帯情報端末機、デジタルカメラ、ビデオカメラその他種々の電子機器に適用できる。
(第1実施例)
図13(a)に示すように、プリズム面61の高さをL1=10〜50μm、望ましくは0.02〜0.3mmとし、頂角をα=80〜120°とし、ピッチをP1=100〜300μmとし、LED42の発光面と導光体39の入光面39aとの間の距離をD1=0.2mm以下とした。また、図13(b)に示すように、LED42の発光面の高さをH1=0.7mmとし、LED42の高さをH2=1.0mmとし、導光体39の入光面39aの高さをH3=0.8〜0.9mmとした。LED42、プリズム面61等の条件を以上のように設定したところ、局所的高輝度領域が実用上問題のない程度まで低減でき、しかも、導光体39から出射する光の輝度を十分な大きさで確保できた。
(第2実施例)
次に、図14(a)において、対角サイズが2インチの導光体39であって、入光面39aが単なる平面であるもの、入光面39aがプリズム面と平面との連続から成る本発明製品、そして入光面39aがプリズム面だけの連続であるもの、の3種類の導光体39を用意した。
そして、各導光体39の入光面39aに対向して3個のLED42を光源として設置した。また、各導光体39の裏面側に光反射シート66を設け、さらに、各導光体39の光出射側に光拡散シート67、第1プリズムシート68a、第2プリズムシート68bを設けた。第1プリズムシート68aと第2プリズムシート68bプリズムパターンは互いに直交するように配置した。
上記の各照明装置においてLED42の1個当りに15mAの電流を供給してそれらを点灯した。そして、図14(b)において、導光体39の光出射面上の丸1〜丸5で示す5点での輝度を輝度計BM5A(トプコン社製)を用いて測定した。
以上の測定結果を図15に示す。図15において、「平均輝度」は丸1〜丸5において測定した輝度の平均値である。また、「均一性」とは「輝度ムラ」の平均値である。この測定結果から次のことが判明した。すなわち、導光体39におけるLED42の近傍に発生する局所的高輝度領域は、プリズム面と平面とを連続させた構成のものによって実用上問題のない程度まで低減された。また、導光体の光出射面における輝度ムラは、プリズム面と平面とを連続させた構成のものによって実用上問題のない程度まで低減された。さらに、導光体の光出射面における平均輝度は、プリズム面と平面とを連続させた構成のものが最も高かった。以上により、導光体の入光面にプリズム面と平面とが連続する光学パターンを設ければ、輝度が高く、しかも局所的高輝度領域の発生のない出射光を得ることができることが分かった。
1…液晶装置、2…液晶パネル、3…照明装置、4a,4b…基板、16…半透過反射膜、17a…ドット電極、17b…ライン電極、18a,18b…配向膜、19…開口、21…TFD、22…ライン配線、27a,27b…偏光板、28…カラーフィルタ、41…光源装置、42…LED(光源)、43…基板、44…端子、51…発光面、52…光反射シート、53…光拡散シート、54…プリズムシート、56…突部(ドットパターン)、57…白色材料、58…黒色材料、61…プリズム面、62…平面、63…突起(ストライプパターン)、90…携帯電話機(電子機器)、100…液晶装置、A…局所的高輝度領域、H…光反射領域、K…組付け代、P…光学領域、S…指向性図、W…有効発光領域。