JP2008059730A - 硬化物およびその製造方法、ならびに光記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基CH2=CHCOO−を有する化合物が硬化されて成る硬化物の硬化状態を客観的に評価し、耐擦傷性に優れた硬化物を提供する。
【解決手段】基CH2=CHCOO−を有する化合物を含む硬化性組成物を、硬化後の硬化物について得られる赤外線吸収スペクトルにおいて、800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度Aと、820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度Bの比が、0.9以下を満たすように、紫外線を照射することにより硬化させて、硬化物を得る。
【選択図】図2
【解決手段】基CH2=CHCOO−を有する化合物を含む硬化性組成物を、硬化後の硬化物について得られる赤外線吸収スペクトルにおいて、800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度Aと、820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度Bの比が、0.9以下を満たすように、紫外線を照射することにより硬化させて、硬化物を得る。
【選択図】図2
Description
本発明は、硬化物、および当該硬化物を保護層として有する光記録媒体、ならびにそれらの製造方法に関する。
近年、光記録媒体の分野においては、記録密度の向上が著しい。ブルーレイディスク(BD)においては、ディスク1枚当たりの記録容量は、2層型のもので50GBと、DVD等と比較して大幅に増加している。このような高記録密度を達成するためには、レーザ光のスポット面積を小さくし、光記録媒体に記録される信号の大きさ(ビット長)を短くする必要がある。しかしながら、ビット長を短くして信号を記録した媒体は、その表面に擦り傷等を有すると、レーザ光が散乱し、記録信号の読み取りエラーをより発生させる傾向にある。そこで、DVDおよびBD等の光記録媒体表面には、耐擦傷性に優れた保護層が設けられている。
光記録媒体の表面に形成される保護層の材料として代表的なものに、紫外線硬化型アクリレートがある。紫外線硬化型アクリレートは、硬化時間が短く、硬化後の硬化物が耐擦傷性に優れていることから、多用されている。さらに、保護層の耐擦傷性を向上させるために、紫外線硬化型アクリレートにコロイダルシリカを添加したもの、および紫外線硬化型アクリレートにジメチルシロキサン化合物を含有させたものが開発されている。
紫外線硬化型アクリレートの硬化は、紫外線を照射することにより、ラジカル重合反応が起きて進行する。紫外線硬化型アクリレートの硬化が不十分であると、耐擦傷性が低くなり、擦り傷がつきやすくなる。従って、光記録媒体の製造に際しては、アクリレートの硬化状態を把握することが品質管理の上で重要である。紫外線硬化型アクリレートを主成分として形成した保護層の場合、耐擦傷性は、鉛筆硬度で測定し、またはスチールウール摩耗もしくはテーバー摩耗前後でのヘイズ値の変化量で測定することが一般的である。
しかし、これらの測定方法による硬化状態の評価は、測定者の経験等によって差が生じる等、必ずしも客観的でないことがある。また、テーバー磨耗試験では、磨耗輪を長期間使用することにより、磨耗輪が劣化し、同条件で摩耗試験を実施しても、一貫性のある評価が得られないことがある。よって、テーバー摩耗試験前後のヘイズ値の変化量を以て、製品の品質管理を実施すると、一定の品質の製品を供給できないことがある。
上記問題を解決するために、例えば特開2003−41033号公報(特許文献2)には、シリコン系ハードコート層において、ハードコート層のシラノール基に起因する赤外吸収スペクトルのピーク面積S1と、シロキサン結合に起因する赤外吸収スペクトルのピーク面積S2との面積比(S1/S2)を規定した、ハードコート成形品が開示されている。
硬化状態を知る別の手段として、ゲル化率を測定する方法がある。この方法は、硬化した保護層を溶剤中でリフラックスさせ、乾燥させた不溶分をゲル分として測定する方法である。
しかしながら、上記特許文献2に開示されているようにハードコート成形品を規定する手法は、シリコーン系材料については有効であるが、シリコーン系材料でないもの(例えば、アクリレート)には適用できない。また、ゲル化率を測定する方法は、保護層を基板から剥離する必要がある、ならびに所要時間が約8時間と長時間に及ぶ等、種々の不都合を有する。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、基CH2=CHCOO−を有する化合物を含む硬化性組成物を硬化させて成る硬化物であって、特に、耐擦傷性が要求される光記録媒体の保護層として有用である、優れた硬化状態を有し、かつその硬化状態が短時間で測定され得る、硬化物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため種々検討した結果、基CH2=CHCOO−を有する化合物を含む硬化性組成物を硬化させて成る硬化物の硬化状態を、赤外線吸収スペクトルの特定波長領域のピーク強度の比から把握できることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、基CH2=CHCOO−を有する化合物を含む硬化性組成物が硬化されて成る硬化物であって、赤外線吸収スペクトルにおいて、800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度Aと、820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度Bが、下記式(1)を満たすことを特徴とする硬化物を提供する。
ここで、基CH2=CHCOO−を有する化合物(以下、「アクリレート系材料」とも呼ぶ)の紫外線硬化について説明する。アクリレート系材料は、ラジカル重合により硬化する。すなわち、光重合開始剤を添加し、紫外線を照射することにより、光重合開始剤が分解し、フリーラジカルが発生する。このフリーラジカルが基CH2=CHCOO−の二重結合(C=C)を攻撃することにより、二重結合が切れて、架橋反応が起こり硬化に至る。
本発明は、上記、アクリレート系材料の硬化のメカニズムを利用したものであり、赤外線吸収スペクトルにおいて、800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度、すなわち、二重結合(C=C結合)のピーク強度の、820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度、すなわち、C−H結合のピーク強度に対する比率で、硬化状態を規定している。本発明は、基CH2=CHCOO−を有する化合物が硬化されて成る硬化物について得られる、赤外線吸収スペクトルにおいて、800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度Aの、820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度Bに対する比(A/B)が0.9未満であることを要求し、それにより耐擦傷性に優れた硬化物を提供することを可能とする。
本発明はまた、上記本発明の硬化物を、表面に保護層として有する光記録媒体を提供する。この光記録媒体は、優れた耐擦傷性を有し、短波長のレーザ光で記録再生するのに適したものとなる。
本発明は、基CH2=CHCOO−を有する化合物が硬化されて成る硬化物であって、赤外線吸収スペクトルにおいて、800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度Aと、820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度Bとが、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
本発明の硬化物は、この特徴を有することにより、優れた耐擦傷性を示す。よって、本発明の硬化物は、光記録媒体の保護層を構成するのに適している。また、本発明の硬化物は、プラスチック、ガラス、金属、またはその他の物体表面を保護するための、保護膜または保護層としても有用である。
本発明の硬化物は、所期の効果を発揮するものであること、即ち、所望の硬化度を有するものであることを、短時間で判別できるように特定されている。よって、本発明の硬化物は、一定の品質を有するように、安定して製造することが可能である。また、本発明の硬化物は、単層のものとしても、2層以上の層から成る多層構造のものとしても、各層が上記特徴を満たすものであれば、優れた耐擦傷性を示す。
本発明の硬化物は、前述のように、物体の表面を保護するための保護膜または保護層として、形成されることが好ましい。したがって、本発明の硬化物は、基CH2=CHCOO−を有する化合物を含む、硬化性を有する液状の組成物を、保護すべき物品(以下、「基材」と呼ぶ)の表面に塗布し、紫外線を照射することにより、形成することが好ましい。紫外線を照射すると、ラジカル重合により、硬化性組成物が硬化し、硬化物としての保護層が形成される。一般に、硬化物は、モノマー成分である硬化性材料と重合開始剤とを少なくとも含む組成物を硬化させることにより、形成される。よって、本明細書では、硬化させる前の液状物は、2以上の成分を通常含んでいることから、「組成物」と呼ぶ。硬化させる前の液状物が、重合開始剤を含まず、一種類の化合物のみ(即ち、基CH2=CHCOO−を有する1種類の化合物のみ)から成る液状物ものであっても、ここにいう「硬化性組成物」に便宜的に含まれる。
硬化性組成物の塗布方法は、特に限定されず、スピンコーター又はバーコーター等を用いる公知の塗布方法から適宜選択される。また、硬化性組成物の硬化は、一般的に使用される、紫外線ランプ、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、及びキセノンランプ等が用いて実施される。紫外線ランプの光源は、硬化性組成物に含まれる材料の特性に応じて、適切に選択することが好ましい。
保護層は、表面硬度に劣る材料から成る、またはそのような材料を表面に有する基材の表面に形成される。具体的には、保護層は、例えば、合成樹脂、金属、セラミック、もしくは木材等から成る、またはこれらの材料から成る層を表面に有する、基材を保護するために用いられる。
あるいは、本発明の硬化物は、光記録媒体の保護層として好ましく形成される。光記録媒体の保護層は、透明な基板または当該基板の上に形成された反射層、記録層、および誘電体層を保護するために、基板または当該基板の上に形成された層の表面に形成される。光記録媒体の保護層は、「カバー層」および/または「ハードコート層」と称される層として形成してよい。「カバー層」および「ハードコート層」という用語は、保護層が二層構成であるときに主に使用され、カバー層は光記録媒体の基板により近い側に形成される層を指し、ハードコート層はカバー層の表面に形成される、光記録媒体の表面を構成する層を指す。
カバー層とハードコート層を有する光記録媒体において、本発明の硬化物はカバー層のみ、もしくはハードコート層のみを構成してよく、または両方の層を構成してよい。好ましくは、耐擦傷性がより要求されるハードコート層が、本発明の硬化物で形成され、より好ましくはカバー層およびハードコート層がともに本発明の硬化物で形成される。本発明の硬化物がカバー層およびハードコート層を形成する場合、本発明の硬化物は、後述する積層構造を有するものとなる。
光記録媒体の基板は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、またはアクリル樹脂等から成る、透明な基板である。反射層は、一般に金属から成る。記録層は、色素または合金等で形成される。誘電体層は、酸化物等の誘電体から成る。光記録媒体を構成する基板および各層の材料および形成方法は、既に知られているから、その詳細は省略する。
本発明の硬化物は、赤外分光分析により得られる吸収スペクトルにおいて、基CH2=CHCOO−のC=C二重結合に由来する800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度Aの、C−H結合に由来する820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度Bに対する比が、0.9未満である。このように、特定の波長域に現れるピーク強度の比を一定値未満とすることにより、耐擦傷性に優れた保護層を提供できる。
図1は、アクリレート系材料を含む硬化性組成物およびこれを硬化させた後の硬化物の赤外吸収スペクトルを示す。図1において、符号1で示されるスペクトルは紫外線照射前のものを示し、符号2で示されるスペクトルは紫外線照射後のものを示す。図1から、基CH2=CHCOO−のC=C二重結合に由来する吸収ピークが800cm-1〜820cm-1に現れ、紫外線照射により、このC=C二重結合に由来するピークが減少していることがわかる。
図2は、紫外線照射後の赤外吸収スペクトルの拡大図である。A/Bは、次のようにして求める。まず、800cm-1〜850cm-1に現れるピークに接線Cを引き、接線Cから800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの頂点までの距離(当該吸収ピークの頂点から接線Cに向かって引いた垂線の長さに相当)をAとし、接線Cから820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの頂点までの距離(当該吸収ピークの頂点から接線Cに向かって引いた垂線の長さに相当)をBとする。求めたAおよびBから、比A/Bを求める。この比が0.9未満のものを、本発明の硬化物として採用する。
本発明の硬化物は、2以上の層が積層されて成る、積層構造の硬化物であってよい。その場合、各層の赤外吸収スペクトルにおいて、A/Bが0.9未満となるように、各層を硬化させる。積層構造の硬化物は、特に光記録媒体の保護層として好ましく形成される。その場合、前述のように、保護層を形成する一又は複数の層をカバー層として形成し、カバー層の表面に一又は複数の層をハードコート層として形成することが好ましい。
硬化物が積層構造である場合、一般的には、各層から切削等により試料として測定可能な量を採取し、その赤外吸収スペクトルを測定することにより、各層のA/Bを測定することができる。積層構造の硬化物が、光記録媒体のカバー層とハードコート層として形成される場合、カバー層のみが形成される部分が存在するので、その部分の赤外吸収スペクトルを測定することにより、カバー層のA/Bを求めることができる。ハードコート層のA/Bは、ハードコート層を切削して、測定用の試料を採取して、赤外吸収スペクトルを測定して求める。あるいは、積層構造の硬化物は、各層のA/Bが0.9未満であれば、積層物全体の赤外吸収スペクトルを測定してもA/Bが0.9未満になるので、簡易的には、積層物全体の赤外吸収スペクトルから各層のA/Bを推定してもよい。
本発明を応用して、硬化物の硬化度の測定方法を提供することもできる。この測定方法は、基CH2=CHCOO−を有する化合物を含む硬化性組成物が硬化されて成る硬化物に赤外線を照射して、赤外吸収スペクトルを得た後、800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピーク強度をAと、820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピーク強度をBとしたときに、A/Bを求めることを含む。A/Bが大きいほど、硬化度が高いと判断することができる。特に、A/Bが、0.9よりも小さいか否かを測定することによって、光記録媒体の保護層等として有用な硬化度を達成しているか否かを判断することができ、硬化物が一定水準の硬化度を有しているか否かを容易に知ることができる。
本発明は、硬化物の検査方法として利用することもできる。即ち、本発明は、基CH2=CHCOO−を有する化合物を含む硬化性組成物が硬化されて成る硬化物に赤外線を照射して、赤外吸収スペクトルを得た後、800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度をAとし、820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度をBとしたときに、A/Bが0.9未満であるものを、所望の特性を有する硬化物として選択することを含む、硬化物の検査方法をも提供する。
本発明の硬化物は、基CH2=CHCOO−を有する化合物が硬化されて成る。基CH2=CHCOO−を有する化合物は、例えば、モノマーとしては、シクロヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、メチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−ブタジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等であり、オリゴマーとしては、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、及びエポキシアクリレート等である。いずれも、単独で、あるいは、複数の種類のものを混合して使用して良い。
硬化性組成物において、基CH2=CHCOO−を有する化合物の含有量は、80重量%以上とすることが好ましい。また、硬化性組成物は、これらの基CH2=CHCOO−を有する化合物以外の他の材料、たとえば、シリコーン化合物、フッ素化合物、および帯電防止剤等を含んでいてもよい。また、硬化性組成物は、一般に重合開始剤を含む。重合開始剤は公知のものであってよく、その添加量は基CH2=CHCOO−を有する化合物の重量に対して1〜5%であることが好ましい。
実施例により本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
直径約120mm、厚み約1.1mmのポリカーボネート基板の上に、銀を主成分とする記録層をスパッタ法により厚み約50nmとなるように形成した。次に、基CH2=CHCOO−を有する化合物として、ペンタエリスリトールテトラアクリレートと1,4−ブタジオールジアクリレートとを70:30(重量比)の割合で含み、かつ光重合開始剤がアクリレートの全部の量に対して3重量%の割合で添加された硬化性組成物を、スピンコーターで厚みが5μmとなるように記録層表面に塗布した。その後、高圧水銀ランプを用いて、照度200mJ/cm2にて、照射時間を変えて、硬化性組成物を硬化させて、種々の硬化状態の保護層を有する、試料1〜8を得た。
(実施例1)
直径約120mm、厚み約1.1mmのポリカーボネート基板の上に、銀を主成分とする記録層をスパッタ法により厚み約50nmとなるように形成した。次に、基CH2=CHCOO−を有する化合物として、ペンタエリスリトールテトラアクリレートと1,4−ブタジオールジアクリレートとを70:30(重量比)の割合で含み、かつ光重合開始剤がアクリレートの全部の量に対して3重量%の割合で添加された硬化性組成物を、スピンコーターで厚みが5μmとなるように記録層表面に塗布した。その後、高圧水銀ランプを用いて、照度200mJ/cm2にて、照射時間を変えて、硬化性組成物を硬化させて、種々の硬化状態の保護層を有する、試料1〜8を得た。
試料1〜8の保護層についてFT−IR(島津製作所製、FTIR8400)により反射スペクトルの測定を行った。得られたスペクトルから、アクリレートのC=C二重結合に由来する800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度Aと、C−H結合に由来する820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度Bを測定し、強度Bに対する強度Aの比率を求めた。
次に、各試料について、テーバー磨耗試験を実施した。摩耗試験においては、磨耗輪として、CS−10Fを用い、荷重500g、回転数60rpmで、5回転摺動させた。各試料について摩耗試験を実施する前に、摩耗輪を、Abraser Refacing Discs(表面初期化用紙やすり)上にて、荷重500g、回転数60rpmで10回転摺動させて、磨耗輪の表面の初期化を行った。摩耗試験後、反射率の変化量を測定した。反射率の測定は、Dr. schwab社製のユニバーサルディスク測定システムargus(商品名)を用いて行った。各試料についてのFT−IRによる測定結果から算出されたA/Bの値、およびテーバー磨耗試験前後の反射率の変化量を表1に示す。
表1から、ピーク強度Aとピーク強度Bとの比率、A/Bが、0.9未満である試料1〜試料6の場合、テーバー試験前後での反射率の変化量が小さく、耐擦傷性に優れていることがわかる。
(実施例2)
直径約120mm、厚み約1.1mmのポリカーボネート基板の上に、銀を主成分とする記録層をスパッタ法により厚み約50nmとなるように形成した。次に、ウレタンアクリレート(商品名UA−160TM 新中村化学工業(株)製)とフェノキシエチレングリコールアクリレート(商品名AMP−10G 新中村化学工業(株)製)とを、50:50の割合(重量比)で混合し、光重合開始剤をアクリレート全部の量に対して3重量%の量で添加して、硬化性組成物を調製した。この組成物を、基板表面の内径23mmから120mmの領域に、スピンコーターを用いて、厚みが98μmとなるように塗布した。その後、キセノンランプを用いて、照度800mJ/cm2、積算光量500mW/cm2で硬化させ、第一の保護層(カバー層)を設けた。
直径約120mm、厚み約1.1mmのポリカーボネート基板の上に、銀を主成分とする記録層をスパッタ法により厚み約50nmとなるように形成した。次に、ウレタンアクリレート(商品名UA−160TM 新中村化学工業(株)製)とフェノキシエチレングリコールアクリレート(商品名AMP−10G 新中村化学工業(株)製)とを、50:50の割合(重量比)で混合し、光重合開始剤をアクリレート全部の量に対して3重量%の量で添加して、硬化性組成物を調製した。この組成物を、基板表面の内径23mmから120mmの領域に、スピンコーターを用いて、厚みが98μmとなるように塗布した。その後、キセノンランプを用いて、照度800mJ/cm2、積算光量500mW/cm2で硬化させ、第一の保護層(カバー層)を設けた。
次に、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートとポリテトラメチレングリコールジアクリレートとを、80:20の割合(重量比)で含み、かつ光重合開始剤がアクリレート全部の量に3重量%の割合で添加された硬化性組成物を、基板表面の内径38mmから120mmの領域に、スピンコーターを用いて、厚みが2μmとなるように塗布した。その後、キセノンランプを用いて、照度800mJ/cm2で、照射時間を変えて、硬化性組成物を硬化させて、種々の硬化状態の第二の保護層(ハードコート層)を有する、試料9〜16を得た。
試料9〜16の第一の保護層と第二の保護層について、FT−IR(島津製作所製、FTIR8400)により透過スペクトルの測定を行った。第一の保護層については、内径23mmから38mmの位置(第二の保護層が設けられていない部分)に形成した保護層表面を切削して試料を採取して測定し、第二の保護層については、内径39mmから120mmの位置で形成した保護層表面を切削して試料を採取して測定した。得られたスペクトルから、アクリレートのC=C二重結合に由来する800cm-1〜820cm-1に現れる吸収ピークの強度Aと、C−H結合に由来する820cm-1〜850cm-1に現れる吸収ピークの強度Bを測定し、強度Bに対する強度Aの比率を求めた。
次に、各試料の第二の保護層について、実施例1と同様にして、テーバー磨耗試験を実施し、試験前後での反射率の変化量を測定した。各試料についてのFT−IRによる測定結果から算出されたA/Bの値、およびテーバー磨耗試験前後の反射率の変化量を表2に示す。
表2から、ピーク強度Aとピーク強度Bとの比率、A/Bが、第一の保護層および第二の保護層の両方について、0.9未満である、試料9〜試料14の場合、テーバー試験前後での反射率の変化量が小さく、耐擦傷性に優れていることがわかる。
また、実施例9〜16に示すように、保護層が積層構造であっても、適宜、切削等により各層の硬化物を採取すれば、下層である第一の保護層および上層である第二の保護層の両方について、FT−IRにより硬化状態を測定することが可能であることがわかる。よって、光記録媒体の製造工程において、各層の硬化状態の良否をA/Bが0.9未満であるか否かにより判断することができる。この判断手法を用いれば、硬化状態の優れた積層構造の保護層を有する光記録媒体を、比較的短い時間で判別することができる。
本発明の硬化物は、光記録媒体の保護層として有用であり、また、プラスチック、ガラス、金属またはその他の物体表面を保護するための保護膜または保護層としても有用である。
1 アクリレート系材料の紫外線照射前の赤外吸収スペクトル
2 アクリレート系材料の紫外線照射後の赤外吸収スペクトル
C 接線
A ピーク強度(C=C結合に由来する吸収ピーク強度)
B ピーク強度(C−H結合に由来する吸収ピーク強度)
2 アクリレート系材料の紫外線照射後の赤外吸収スペクトル
C 接線
A ピーク強度(C=C結合に由来する吸収ピーク強度)
B ピーク強度(C−H結合に由来する吸収ピーク強度)
Claims (5)
- 請求項1に記載の硬化物を表面に保護層として有する光記録媒体。
- 保護層が2つの層が積層された構造を有し、各層が、請求項1に記載の硬化物である、請求項2に記載の光記録媒体。
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WO2011118174A1 (ja) * | 2010-03-25 | 2011-09-29 | 日本化薬株式会社 | 光ディスク及びそれ用の紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品 |
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WO2011118174A1 (ja) * | 2010-03-25 | 2011-09-29 | 日本化薬株式会社 | 光ディスク及びそれ用の紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品 |
JP5054843B2 (ja) * | 2010-03-25 | 2012-10-24 | 日本化薬株式会社 | 光ディスク及びそれ用の紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品 |
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