JP2008059684A - 光情報記録媒体 - Google Patents

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周行 岩田
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博 三浦
Yoshitaka Hayashi
嘉隆 林
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伸朗 豊島
Tetsuji Mori
哲司 守
Kengo Makita
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Abstract

【課題】超解像材料層に光学的開口を形成する方法を用いずに、記録情報を再生する光学ピックアップの解像限界以下の周期で記録された高密度情報を記録再生する技術の提供。
【解決手段】少なくとも、情報を記録する光の波長において光を吸収して発熱し、発熱することで溶融し変形する第1変形材料層、シリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)を含有する材料からなり、光を透過し熱によって変形するか又は変形かつ変質する第2変形材料層の積層構成を有し、情報の記録後には、記録情報に応じて第1変形材料層の膜厚が変化して記録マーク中心が記録マーク端部よりも厚くなり、第2変形材料層は、第1変形材料層に形成された記録情報に対応した凹凸にならって変形するか又は変形かつ変質し、情報の再生時には、第1変形材料層が固相状態から溶融状態に変化する光情報記録媒体。
【選択図】図3

Description

本発明は光によって情報を記録再生する光情報記録媒体の構成及び記録再生方法に関する。特に、記録情報を再生する光学系の解像限界以下の周期で記録された高密度情報を記録再生する技術に関する。情報の記録密度を上げるためには、情報記録マークの周期を短くする必要がある。しかしながら、情報記録マークの周期が短くなると、記録した情報が再生できなくなる。この再生できなくなる周期を解像限界と呼んでいる。ここで解像限界は、光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとして、λ/2NAの式で定義される。
記録情報を再生する光学系の解像限界以下の周期で記録された高密度情報の再生技術として、光情報記録媒体の超解像技術が検討されている。媒体に超解像層を設けて微小マーク又はピットを再生する技術である。超解像層材料には相変化材料が用いられることが多い。
例えば特許文献1には、位相ピット上に相変化材料層を積層し、再生ビームスポット内の一部の相変化材料層を液相化させ、解像限界に当る位相ピットを再生する方法が開示されている。
特許文献2には、Ge−Te合金からなるマスク層を設け、マスク層に光透過率が増加した再生用窓を形成し、記録マークを再生する方法が開示されている。
特許文献3には、Ge、Sb、Teの3元素を主成分とする光シャッタ層を設け、再生ビームスポット内の一部の光シャッタ層を溶融状態として記録マークを再生する方法が開示されている。
特許文献4には、Sbからなるマスク層を設けて、マスク層側から再生ビームを照射してマスク層に光学的開口を形成し、記録マークを再生する方法が開示されている。
特許文献5には、過飽和吸収が起こる色素材料をマスク層とした超解像再生方法が開示されている。
特許第3361079号公報 特許第3602589号公報 特開平8−306073号公報 特開2000−229479号公報 特開2003−157584号公報
従来技術文献で、マスク層、再生用窓、光シャッタ層、光学的開口などの表現が用いられていることからも分かるように、従来の超解像再生方法では、再生ビームスポット内の一部分において超解像材料の光学特性を変え、実効的なビーム径を縮小し、微小マーク又はピットを再生している。再生ビームスポット内の一部分において超解像材料の光学特性を変える方法としては、超解像材料に相変化材料を用い、再生ビームスポット内の一部分の相変化材料を溶融状態にする方法が用いられている。
図1に従来の超解像再生方法の概要を説明するため、媒体の断面図を示す。101は超解像材料層、102は記録層、103は支持基板、104は記録マーク又は記録ピット、105は超解像材料層に形成される光学的開口、106はレーザビーム、107の矢印はビームスポット径、108の矢印はレーザビームの移動方向を示す。
図示したように、従来の超解像再生方法では、ビームスポット径内の一部の超解像材料層に光学的開口を形成し微小マークを再生している。よって、ビームスポット径内で光学的開口以外の部分は、超解像材料層で遮光された状態になっている。レーザビーム106から見て記録層102は超解像材料層101の奥側に位置する。ビームスポットが超解像材料層で遮光された状態になり、記録層102に到達する光量が減少し信号強度は低下する。記録密度が上がり記録マーク又は記録ピット104が小さくなると、それに応じて光学的開口105も小さくしなければならない。その結果、ビームスポット径のかなりの部分が超解像材料で遮光されることになり、信号強度は益々低下し、検出できなくなる。
本発明は、このような従来の超解像再生の問題を解決するためになされたものであり、超解像材料層に光学的開口を形成する方法を用いずに、記録情報を再生する光学ピックアップの解像限界以下の周期で記録された高密度情報を記録再生する技術の提供を目的とする。
本発明のような変形モードの記録マークを形成して記録再生を行う光情報記録媒体は多数知られているが、本発明のように、記録情報を再生する光学ピックアップの解像限界以下の周期で記録された高密度情報の記録再生を目的として、記録形態、層構成、及び記録再生方式を工夫した文献は本発明者らの知る限り見当らない。
上記課題は、次の1)〜10)の発明(以下、本発明1〜10という)によって解決される。
1) 少なくとも、情報を記録する光の波長において光を吸収して発熱し、発熱することで溶融し変形する第1変形材料層、シリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)を含有する材料からなり、光を透過し熱によって変形するか又は変形かつ変質する第2変形材料層の積層構成を有し、情報の記録後には、記録情報に応じて第1変形材料層の膜厚が変化して記録マーク中心が記録マーク端部よりも厚くなり、第2変形材料層は、第1変形材料層に形成された記録情報に対応した凹凸にならって変形するか又は変形かつ変質し、情報の再生時には、第1変形材料層が固相状態から溶融状態に変化することを特徴とする光情報記録媒体。ここで、記録マークとは、少なくとも第1変形材料層と第2変形材料層の変形部分を指す。
2) 第1変形材料が、少なくともSbとTeを含有し、SbとTeの組成比(Sb/Te)が1.5〜5の範囲にあることを特徴とする1)記載の光情報記録媒体。
3) 第2変形材料が、少なくとも亜鉛化合物とシリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)を含有し、該亜鉛化合物とSiOxの組成比(亜鉛化合物/SiOx)が、1.5〜9の範囲にあることを特徴とする1)又は2)記載の光情報記録媒体。
4) 亜鉛化合物がレーザ照射又は熱処理によって結晶化するものであることを特徴とする3)記載の光情報記録媒体。ここで、結晶化とは、第2変形材料層のX線散乱・回折スペクトルの測定において、レーザ照射又は加熱によって、亜鉛化合物の結晶構造の面間隔に相当する回折又は散乱ピークの強度が増加した状態になることを言う。
5) 750〜1150cm−1の赤外領域に吸収を持ち、情報の記録後には、該領域の吸収強度が減少することを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光情報記録媒体。
6) 第2変形材料層は、シリコン原子の1s軌道の光電子分光スペクトルにおけるピークの半値幅(FWHM)が、記録後(加熱後又はレーザ照射後)に増加することを特徴とする3)〜5)の何れかに記載の光情報記録媒体。
7) 第2変形材料層は、酸素原子の1s軌道の光電子分光スペクトルにおけるピークが、二つのピークからなり、高結合エネルギー側のピーク面積をA1、低結合エネルギー側のピーク面積をA2としたとき、次の式を満足することを特徴とする3)〜6)の何れかに記載の光情報記録媒体。
0.2≦A2/A1≦0.6
8) 第2変形材料層は、酸素原子の1s軌道の光電子分光スペクトルにおけるピークが、二つのピークからなり、高結合エネルギー側のピーク面積をA1、低結合エネルギー側のピーク面積をA2としたとき、記録後又はレーザ照射後、A2/A1が減少することを特徴とする3)〜7)の何れかに記載の光情報記録媒体。
9) 再生時のレーザ照射又は加熱によって、記録マークの形状が変化することを特徴とする1)〜8)の何れかに記載の光情報記録媒体。ここで、形状の変化とは、圧電素子(チューニングフォークなど)に固着されたプローブを媒体表面に接近させ、シェアフォース制御を行った状態で検出する変位信号が変化する状態になることを言う。
10) 少なくとも、支持基板、無機誘電体層、第1変形材料層、第2変形材料層の積層構成を有することを特徴とする1)〜9)の何れかに記載の光情報記録媒体。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
まず、本発明1〜3の実施形態について説明する。
本発明の光情報記録媒体の一例を図2、図3に示す。
図2は未記録状態の媒体の記録トラックに沿った断面図である。201は第1変形材料層、202は第2変形材料層、203は無機誘電体層、204は支持基板である。無機誘電体層を設ける場合は、本発明10に相当する好ましい例になるが、無機誘電体層は無くてもよい。
図3は、情報を記録した後の媒体の記録トラックに沿った断面図である。301は第1変形材料層、302は第2変形材料層、303は無機誘電体層、304は支持基板である。305は記録マークの周期であり、図は、最短周期の記録マークを繰り返し記録した状態を示す。306は記録マーク中心、307は記録マーク端部を示す。ここで記録マークとは、少なくとも第1変形材料層と第2変形材料層の変形部分を指す。308は記録マーク中心の第1変形材料層301の膜厚、309は記録マーク端部の第1変形材料層301の膜厚、310は記録マーク中心の第2変形材料層302の膜厚、311は記録マーク端部の第2変形材料層302の膜厚を示す。記録の形態は変形であり、第1変形材料層の膜厚が変化している。第1変形材料層の膜厚は、記録マーク中心306で厚く記録マーク端部307で薄い。第1変形材料層は記録マーク中心が凸状に変形し、記録マーク端部は凹状になっている。記録マーク中心の膜厚308と、記録マーク端部の膜厚309の差は、5〜50nm程度である。第2変形材料層302は、第1変形材料層301に形成された凹凸にならった状態で変形している。言い換えると、第2変形材料層302は、第1変形材料層に形成された凹凸を被覆する殻(シェル)のような状態になっている。
201の第1変形材料層には、情報を記録するレーザ光の波長において光を吸収して発熱し、発熱することで溶融し変形する材料を用いる。また、固相状態と溶融状態間で相状態が変化する相変化材料を用いる。材質としては、融点が200〜700℃の範囲にある材料が好ましい。例えば、Bi、Sn、Sb、Zn、Teなどの低融点材料を用いることができる。また、InSb、InTe、SbSnなどの金属間化合物材料を用いることができる。
好ましい第1変形材料層は、少なくともSb(アンチモン)とTe(テルル)を含有しSbとTeの組成比(Sb/Te)が1.5〜5の範囲にある材料である。より好ましくは、Sb/Te比が2〜3の範囲にある材料である。ここでTeは、テルル酸化物(TeOx、0<x≦2)の状態で含まれていても構わない。SbTeの2元系材料を用いてもよいし、SbとTe以外の元素を含む材料、例えばGeSbTeなどの3元系材料、AgInSbTeなどの4元系材料、GeAgInSbTeなどの5元系材料を用いてもよい。Sb/Te比が1.5〜5の範囲にあるSbTe系化合物は、δ相と呼ばれる晶系に属する。δ相組成のSbTe系化合物は、温度を上げた場合、相分離や相転移が起こらずに溶融状態になる(「二元合金状態図集」第2版、長崎誠三、平林眞・共著、アグネ技術センター発行、P264など参照)。
本発明の光情報記録媒体では、第1変形材料層の固相状態と溶融状態間での変化を利用して再生信号を検出する。従って、固相状態と溶融状態間での変化の過程において相分離や相転移が起こると、複数の信号レベルが発生し信号品質が低下するか、又は信号レベルの判定が困難になる。故に、単純に固相状態と溶融状態間のみで変化する上記材料を用いることが好ましい。第1変形材料層が固相状態と溶融状態間のみで変化することによって高品質な再生信号が得られる。
202の第2変形材料層には、情報を記録する光の波長において光透過率が高い材料を用いる。第2変形材料層の光透過性が高いと、下層に位置する第1変形材料層に光がより多く到達し吸収される。その結果、第1変形材料層の変形が容易になると共に、第2変形材料層を第1変形材料層の変形を反映した状態にすることができる。第2変形材料層には、成膜状態において低密度及び/又は柔らかであり、加熱によって変質して緻密化及び/又は硬質化する材料が好ましい。このような材料を第2変形材料層に用いることによって、光の照射に伴う加熱により第1変形材料層が起した形状変化にならった状態で第2変形材料層の形状を変えるという記録が可能となる。第2変形材料の融点は、第1変形材料の融点よりも高いことが望ましく、更に両者の融点差が大きいことが望ましい。第2変形材料には融点が1000℃以上の材料を用い、第1変形材料には前記のとおり融点が200〜700℃程度の材料を用いることが望ましい。このような融点差を設けることによって、記録再生過程における第1変形材料と第2変形材料との相互拡散が抑制でき、信号品質の劣化を防ぐことができる。
第2変形材料としては、シリコン酸化物であるSiOや、シリコン窒化物であるSiを用いることができる。また、シリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)と、その他の材料Mを含有する材料が好ましい。その他の材料Mとしては、CaS、BaSなどの硫化物材料、BaSeなどのセレン化物材料、CaF、BaFなどのフッ素化合物材料を用いることができる。これらのシリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)と材料Mを含有する材料は、スパッタリング法で成膜する場合の成膜速度が速いため、高速で成膜できるので、媒体の製造コストを下げることができる。
また、より好ましい第2変形材料は、本発明3のように、少なくとも亜鉛化合物とシリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)を含有する材料である。亜鉛化合物としては、ZnS、ZnSe、ZnTeなどが挙げられるが、最も好ましい化合物はZnSである。亜鉛化合物とSiOxの組成比(亜鉛化合物/SiOx)は、1.5〜9の範囲が好ましい。この組成比の範囲をモル%で表記すると、亜鉛化合物:SiOx=60:40〜90:10(モル%)となる。
図12に、亜鉛化合物としてZnSを用いたときの薄膜の組成比ZnS/SiOxと結晶状態の関係、即ち、成膜状態の薄膜がアモルファス状態か結晶状態かについて調べた結果を示す。ZnS−SiOx薄膜は、シリコン基板上に膜厚100nmで成膜した。成膜はRFスパッタリング法で行った。成膜温度は室温であり、成膜雰囲気はアルゴン雰囲気である。薄膜の結晶状態はX線回折法で調べた。X線回折測定装置は、Philips社製のX′pert MRDを使用した。光源はCuのKα線を用い、X線の管電圧45kV、管電流40mAとした。光源の光学系にはミラーを用い、膜表面に0.5°で固定入射して、検出器の角度を走査する薄膜測定法(低角入射非対称回折法)を用いた。X線回折プロファイルにおいて、回折角を2θとしたとき、全ての回折ピークの半値全幅(FWHM)が2°以上ある場合をアモルファス状態と判定した。
図12から、ZnS−SiOx薄膜の結晶状態は組成比ZnS/SiOxによって変化することが分かる。組成比が9以下では薄膜はアモルファス状態になる。アモルファス状態であることによって、薄膜の残留応力が低減でき、大面積基板に対して均一に成膜することができる。よって、組成比の上限は9である。
図13にはZnS−SiOx薄膜の成膜速度を示す。成膜は図12の場合と同様にRFスパッタリング法で行った。成膜温度は室温であり成膜雰囲気はアルゴン雰囲気である。図のように、成膜速度は組成比ZnS/SiOxによって変化し、組成比が小さくなると低下する。あまり成膜速度が小さくなると、成膜時間がかかり実用的ではない。よって、組成比は1.5付近が下限になる。以上のように、成膜状態がアモルファス状態になる組成比で、かつ、成膜速度がある程度速い組成比は、1.5から9の範囲にある。
図12、図13は亜鉛化合物がZnSの例であるが、他の亜鉛化合物の場合も同様の傾向を示す。よって、亜鉛化合物とシリコン酸化物の組成比(亜鉛化合物/SiOx)は、1.5〜9の範囲に設定するとよい。
ここで、SiOxのxは0<x≦2の範囲にある。シリコン酸化物の化学量論組成はx=2、つまりSiOである。スパッタリングターゲットの状態ではx=2(SiO)であっても、成膜方法や条件、あるいは混合させる亜鉛化合物の種類によって、形成した薄膜中のシリコン酸化物の組成は0<x<2になることがあり、xの値の特定は難しい。そこで、0<x≦2と表現している。この組成範囲にあるSiOxが亜鉛化合物との混合状態にある薄膜は、フッ化水素酸水溶液(HF:HO)にエッチングされる状態であればよいが、xが0<x≦2の範囲にあれば、亜鉛化合物とSiOxの混合薄膜は、フッ化水素酸水溶液にエッチングされる。SiOxにおいて2<xの状態は存在しない。また、x=0、つまり、Siの状態では、フッ化水素酸水溶液にエッチングされない。よって、亜鉛化合物とSiOxの混合薄膜の状態で、フッ化水素酸水溶液にエッチングされれば、SiOxのxの値は、0<x≦2の範囲において、何れの値であっても構わない。
亜鉛化合物としては、上記材料と共に亜鉛酸化物(ZnOx、0<x≦1)を含有しても構わない。図14に、第2変形材料層の化学結合状態(酸素原子の1s軌道からの光電子スペクトル)を調べた結果を示す。図14(a)は記録前、図14(b)は記録後のものである。
光情報記録媒体の構成は、ポリカーボネート基板/膜厚50nmのZnS−SiOx薄膜(80:20モル%)/膜厚20nmのAgInSb61Te28薄膜/膜厚45nmのZnS−SiOx薄膜(80:20モル%)である。光電子分光(XPS)測定によって酸素原子の結合状態を調べた。放射光施設SPring−8のBL39XUのビームラインにXPS測定用検出器(ガンマデータ・シエンタ社製)を使用した。光電子の取り出し角度は80°で、光源は8KeVの単色化された高エネルギーX線を用い、測定領域は1000×700μmである。試料の測定では、高エネルギーX線を用いて高エネルギーの光電子が叩き出され、表面の汚染に妨げられることなく検出器に到達するため、Arイオンによる最表面のエッチングを行う必要が無くなる。本測定は先端大型研究施設戦略活用プログラムの採択課題、課題番号2005B0842で行った。
図14(a)から分るように、光電子スペクトルは2つのピークからなる。高結合エネルギー側のピークはSiOxのSi−O結合を有する酸素原子からの光電子スペクトルである。低結合エネルギー側のピークは、亜鉛酸化物のZn−O結合を有する酸素原子からの光電子スペクトルである。
以上のように亜鉛化合物とシリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)を含有する第2変形材料層として、ZnS−SiOxを例として、その化学結合状態を示したが、亜鉛化合物としては、ZnSと亜鉛酸化物であるZnOxを含有することが分かる。ZnSとSiOxの中間状態にあるZnOxを含有することによって、ZnSとSiOxという異種材料の材質の違いが緩和され、その結果、薄膜の残留応力が低くなり、大面積基板に対して均一に成膜することができると考えられる。
次に、本発明4の実施形態について説明する。
本発明4では、本発明3の第2変形材料の亜鉛化合物として、レーザ照射又は熱処理によって結晶化するものを用いる。このような亜鉛化合物としては、前記ZnS以外に、ZnTe、ZnSe、ZnOなどが挙げられる。
図15に第2変形材料層のX線回折測定結果(X線回折プロファイル)を示す。X線回折測定装置は、Philips社製のX′pert MRDを使用した。光源はCuのKα線を用い、X線の管電圧45kV、管電流40mAとした。光源の光学系にはミラーを用い、膜表面に0.5°で固定入射して、検出器の角度を走査する薄膜測定法(低角入射非対称回折法)を用いた。シリコン基板上に第2変形材料層として膜厚100nmのZnS−SiOxを積層し、成膜後と熱処理後のZnS−SiOx薄膜の状態を測定した。熱処理は電気炉で行った。処理温度は600℃、処理時間は30分間、処理雰囲気は窒素である。
図15から分るように、成膜後のZnS−SiOx薄膜のX線回折プロファイルには、2θ=28.5(距離d=3.13Å)付近にブロードなピークが見られる。強度が弱く拡がったピークであることから、成膜後のZnS−SiOx薄膜はアモルファス状態であることが分かる。熱処理後のZnS−SiO薄膜のX線回折プロファイルでは、2θ=28.5付近のピーク強度が増加する。この回折ピークの位置は、閃亜鉛鉱型ZnS結晶の(111)面の間隔に相当することから、熱処理によってZnS−SiOx薄膜のZnS結晶が成長又は増大していることが分かる。
亜鉛化合物として、前記ZnS以外に、ZnTe、ZnSe、ZnOに対しても同様の測定をして結晶化が起こることを確認した。測定した薄膜は、ZnTe−SiOx薄膜、ZnSe−SiOx薄膜、ZnO−SiOx薄膜であり、何れもスパッタリング法により膜厚100nmでシリコン基板上に成膜した。スパッタリングターゲットの組成は、亜鉛化合物(80モル%)−SiO(20モル%)である。
熱処理前後での回折ピークの変化を調べた。ZnS−SiOx、ZnTe−SiOx、ZnSe−SiOx薄膜については、閃亜鉛鉱型結晶構造の(111)面間隔による回折ピークを測定した。ZnO−SiOx薄膜については、ウルツ鉱型結晶構造の(0002)面間隔による回折ピークを測定した。ピーク比(熱処理後ピーク強度/成膜状態ピーク強度)で熱処理による変化を示すと次の通りである。
即ち、ZnS−SiOx薄膜のピーク比は6.7、ZnTe−SiOx薄膜のピーク比は5.2、ZnSe−SiOx薄膜のピーク比は5.8、ZnO−SiOx薄膜のピーク比は5.5であった。何れの薄膜も成膜状態はアモルファス状態であり、ピーク強度は弱く、熱処理によって亜鉛化合物が結晶化する。その結果、ピーク比(熱処理後ピーク強度/成膜状態ピーク強度)が増加する。
以上のように、第2変形材料層の成膜状態はアモルファス状態であるから、前述のように膜の残留応力が低減でき、大面積基板に対して膜剥離など無く成膜することができる。しかし、アモルファス状態であると、未結合手などの欠陥が膜中に存在し、大気中の酸素や水分が吸着し、第2変形材料層の品質の経時変化が起こる。そこで、レーザ照射又は熱処理によって結晶化させることが好ましい。結晶化させることによって、第2変形材料層を構成する元素の未結合手などの欠陥を低減することができ、また、再生過程での第2変形材料層の劣化を防ぎ、繰り返し耐久性を上げることができる。
次に、本発明5の実施形態について説明する。
本発明の光記録情報媒体に関し、第2変形材料層の構造を検討した結果、亜鉛化合物の種類によらず、亜鉛化合物とシリコン酸化物の組成比によらず、更に第1変形材料の種類によらず、良好な記録による形状変化を生じさせるためには、以下のような条件を満たすことが好ましいことを見出した。
750〜1150cm−1の赤外(IR)の領域は、Si−O結合の吸収領域に相当する。ポリカーボネート基板/膜厚50nmのZnS−SiOx薄膜(82:18モル%)/膜厚20nmのGeAgInSb68Te24薄膜/膜厚100nmのZnS−SiOx薄膜(80:20モル%)という構成の光情報記録媒体はこの領域に吸収を有する。
この測定結果を図19に示す。縦軸は透過率、横軸は波数(cm−1)である。測定は、サーモエレクトロン製 Continuμm 赤外顕微鏡を用いて、検出器にMCT−A、分解能が4cm−1、スキャン回数32回で、顕微FT−IR測定を行った。
記録マークが一面に存在する(記録部の)試料は、図3のように、連続して記録マークが形成してある媒体を用いた。記録部及び未記録部ともポリカーボネート支持基板304から、301〜303を機械的に剥がし、数〜数10μm四方の薄片を得て、赤外領域で透明なKBr結晶の上に置いた。
この様子を図20に示す。測定の際、アパーチャーサイズは21×31μmの大きさを用いた。図中の薄片は、アパーチャーサイズよりも大きいものである。アパーチャーサイズよりも小さい薄片の場合は、全体に薄片試料が重ならずに均一なるように、隙間なくKBr上に載せた。
図19(a)より、記録マークが一面に存在する記録部、及び、未記録部共にSi−Oの結合の吸収が有ることが判る。また、記録部の方が、未記録部よりも吸収強度が減少していることが判る。結合距離や結合角が概略揃っていたSi−Oの結合のネットワーク構造が、情報の記録による亜鉛化合物の結晶化及び第2変形材料層の変形に対応して、距離や結合角が乱れてネットワーク構造が変形し、形状に断裂等が無く第2変形材料層の形状変化に対応する。距離や結合角が乱れたため、Si−O結合の吸収強度が減少する。減少の量は、一面に記録マークを作成した条件で、最大吸収強度が、記録後半分以下になることが望ましい。図19(a)では、記録前では、93.4%の透過率が記録後には98%になっている。6.6%の吸収強度が2%の半分以下に減少している。
図19(b)に、変形に対応しない比較例を示す。加熱によって、Si−O結合の吸収強度が増加し、Si−Oの秩序性が増している。このような場合、ZnS及びSiOxの両者の結晶性(秩序性)が増し、成分が分離しマークの形状にナノオーダーのレベルでの断裂を生じる。
次に、本発明6の実施形態について説明する。
図14の対象となった光情報記録媒体と同じ媒体に対し、前記と同じ測定装置及び条件を用いて、光電子分光(XPS)測定によって酸素原子の結合状態を調べた。また、ピークフィッティングによってピークの半値幅(FWHM:Full With Half Maximam)を求めるためにソフト「XPSPEAK(Ver.4.1)」を用いた。
図22に、シリコン原子の1s軌道からの光電子スペクトルを示す。図14(a)は記録前、図14(b)は記録後のものである。光電子スペクトルは一つのピークからなる。この図のデータを上記手段で解析すると、FWHMは、記録前が1.43、記録後が1.52となっており、上記の測定装置のエネルギー分解能を考慮しても、増加していると判断できる。FWHMの大きさは状態の数と関係があり、規則的に秩序だった構造が乱れた構造に変化する場合、状態の数が増すためFWHMが大きくなる。このようにSi原子周りの状態の数が増し、構造を変化させることによって、柔軟に形状の変形を可能にするような第2変形材料層が形成される。これは、シリコン原子の軌道からの光電子スペクトルであれば、どの軌道でもよい。シリコンの原子周りの構造が乱れることによる状態数の増加は、シリコンの全ての軌道に反映する。シリコン原子の2p軌道の光電子スペクトルのピークにおいても、記録後にFWHMが増加する。
なお、記録時には、レーザー照射により第1変形材料層が発熱し、その熱が第2変形材料層に伝わる。従って、レーザーを用いた記録のプロセスで第2変形層が加熱される。
次に、本発明7の実施形態について説明する。
亜鉛化合物としては、上記材料と共に亜鉛酸化物(ZnOx、0<x≦1)を含有しても構わない。図14(a)に示したように、酸素原子の1s軌道からの光電子スペクトルは2つのピークからなるので、それぞれのピーク面積をA1及びA2とすると、A1は28×104、A2は14×104となり、A2/A1=0.5であった。このA2/A1については、0.2未満では、ZnSの結晶化を阻害してアモルファス化することが困難になり、0.6を超えると、記録時のSiO成分の柔軟性が失われ、形状の変化に対応できなくなるので好ましくない。
以上のように、亜鉛化合物とシリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)を含有する第2変形材料層として、ZnS−SiOxを例として、その化学結合状態を示したが、亜鉛化合物としては、ZnSと亜鉛酸化物であるZnOxを含有することが分かる。ZnSとSiOxの中間状態にあるZnOxを含有することによって、ZnSとSiOxという異種材料の材質の違いが界面で緩和され、その結果、薄膜の残留応力が低くなり、大面積基板に対して均一に成膜することができると考えられる。
次に、本発明8の実施形態について説明する。
図14(b)から分かるように、記録後には低結合エネルギー側のピークA2がなくなっている。即ち、Zn−Oの結合は消滅する。Zn−Oの結合が消失することによって、第2変形材料層の形状の変形を助長する。Zn−Oの結合が完全に消失しなくてもよく、A2/A1が減少すれば、第2変形材料層の形状の変形は助長される。
比較例として、変形が行われない場合の酸素原子の1s軌道からの光電子スペクトルを図21に示す。図21(a)は加熱前、図21(b)は加熱後である。サンプルの構成はSi基板/膜厚100nmのZnS−SiOx薄膜(80:20モル%)である。加熱前のA2/A1は、0.23であり、アモルファス状態を保っている。低結合エネルギー側のピークは加熱後も存在し、A2/A1は、0.23から0.27へ変化しており、減少していないことが分かる。
次に、本発明9の実施形態について説明する。
本発明9では、再生時のレーザ照射又は加熱によって、記録マークの形状が変化することを特徴とする。更に再生時には一端形状が変化するが、再生が終わったのちに元の記録状態に戻ることが好ましい。再生時のレーザ照射によって、光を吸収する第1変形材料層が発熱し、その第1変形材料層の熱が伝導することにより発熱するため、第2変形材料層の発熱は、かなり遅れる。再生ビームは記録マーク部分を高速で通過することから、再生信号に現れる変化は瞬間的な変化である。第1変形材料層が発熱した瞬間において、第2変形材料層は室温に近い状態にある。再生ビームが記録マーク部分を通過する瞬間に、第1変形材料層と第2変形材料層とでは大きな温度差ができる。この大きな温度差により、第1変形材料層と第2変形材料層の熱膨張に違いが生じることから、再生ビームが通過する際に記録マーク部分は瞬間的に変形する。また、第1変形材料層は再生時のレーザ照射によっても溶融する材料である。溶融することによって体積変化が起こる。第1変形材料と第2変形材料層の積層構成である記録マーク部分において、第1変形材料層の体積変化が起こることにより、記録マーク部分が瞬間的に変形する。
以上のように、光を吸収し発熱する第1変形材料層と、光を透過する第2変形材料層との積層構成であることから、再生ビームが通過する瞬間に形成される温度差に伴う記録マーク部分の変形、及び、第1変形材料層が溶融することによる記録マーク部分の変形が信号源になることによって、解像限界以下の周期で記録されたマークが再生できる。このような瞬間的な形状の変化は、図16に示す測定装置で観測することができる。
1601はサンプル、1602は円筒ピエゾステージ、1603はファイバープローブ、1604はチューニングフォークである水晶振動子を示す。ファイバープローブはチューニングフォークに固着され加振される。1605はレンズ、1606はレーザ光、1607はレーザダイオードを示す。レーザ光の波長は650nmである。1608はレーザを駆動するレーザドライバ、1609は波形発生器、1610はチューニングフォークを駆動する波形発生器、1611は差動アンプ、1612はロックインアンプ、1613はPID制御回路、1614は基準電圧電源、1615はオシロスコープ、1616はピエゾ駆動用のバイポーラ電源を示す。
サンプル1601の構成は、ポリカーボネート基板/膜厚50nmのZnS−SiOx(80:20モル%)/膜厚20nmのGeAgInSb68Te24/膜厚45nmのZnS−SiOx(80:20モル%)である。
レーザ波長405nm、対物レンズのNA0.85の光学系ピックアップを有する記録装置で記録マークを形成し、図16に示す装置でレーザ照射による記録マークの変形状態を調べた。記録状態は、図11に示すように、第1変形材料層1101のGeAgInSb68Te24と第2変形材料層1102のZnS−SiOx薄膜が変形し、記録マークになっている。
以上の状態のサンプルを図16に示す測定装置にセットし、レーザ照射による記録マークの変位を測定した。図17に測定結果を示す。1701は波形発生器1609の出力信号を示し、レーザパルスの変調信号であり、サンプルに対してパルス光を照射した。1702は円筒ピエゾステージ1602の変位信号の変化を示す。ファイバープローブ1603をシェアフォース制御、サンプル表面とファイバープローブ先端の間隔を一定に保った状態で測定した変位信号であり、レーザパルスの照射によってサンプル表面が変位していることを示している。信号強度から算出した円筒ピエゾステージの伸縮量は約10nmであり、レーザ照射によってサンプルの記録マークの高さが10nm程度変化していることを示す。このように、再生時のレーザ照射によって記録マークの形状が変化する媒体構成とすれば、再生過程において、材料の光学的な物性値の変化と形状変化が信号源となり、2つの変化が信号に含まれることにより再生信号強度を上げることができる。
本発明10では、無機誘電体層を第1変形材料層と支持基板の間に設ける。無機誘電体層は、情報の記録時においては、支持基板への熱拡散を抑制し基板の変形を防ぐ役目を果たす。また、情報の再生時においては、支持基板への熱拡散を抑制し、情報を再生するために必要なレーザパワーレベルを下げる役目を果たす。
無機誘電体層の材質としては、第1変形材料層で発生する熱の支持基板への伝導が抑制できる材料であれば、どのような材料であっても構わない。例えば、SiO、SiON、SiNなどのシリコン化合物材料、ZnS、CaS、BaSなどの硫化物材料、ZnSe、BaSeなどのセレン化物材料、CaF、BaFなどのフッ素化合物材料、SiCなどの炭化物材料を用いることができる。好ましい無機誘電体層は、シリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)と、その他の材料Mを含有する材料である。その他の材料Mとしては、ZnS、CaS、BaSなどの硫化物材料、ZnSe、BaSeなどのセレン化物材料、CaF、BaFなどのフッ素化合物材料、ZnOなどの酸化物材料を用いることができる。
これら、シリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)と材料Mを含有する材料は、スパッタリング法で成膜する場合、成膜速度が速い。高速で成膜できることによって媒体の製造コストを下げることができる。
より好ましいのは、本発明3で用いる亜鉛化合物とシリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)を含有する材料である。このような材料を無機誘電体層203とすることにより、支持基板への熱伝導を効率よく抑制することができる。また、第2変形材料層202と、無機誘電体層203を同一の材料とすることによって、媒体の製造コストを低減することもできる。
204の支持基板としては、ガラス、石英などからなる基板、Si、SOI(シリコンオンインシュレーター)などの半導体製造に用いられる基板、HDD(ハードディスク)用のAl基板や不透明ガラス基板、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン、エポキシ、ビニルエステル、ポリエチレンテレフタレート(ペット)などの樹脂基板を用いることができる。
次に、本発明の光情報記録媒体の実施形態の一例について図4〜図6を参照しつつ説明する。図4には本発明8に係る記録方法を示す。図4(a)は媒体の構成、図4(b)〜(d)は光照射後の媒体の変化過程(時間変化)を示す。
図4(a)において、401は第1変形材料層、402は第2変形材料層、403は無機誘電体層、404は支持基板である。
図4(b)は光照射過程を示す。405は光である。光は第1変形材料層401と第2変形材料層402の積層構成に対して、第2変形材料層側から照射する。光源はレーザ光源であり、例えば、GaN系などの半導体レーザを用いことが好ましい。半導体レーザの波長は、370〜780nm、好ましくは390〜410nmである。半導体レーザを用いることによって、安価な記録方法、装置とすることができる。また、半導体レーザでは、レーザ光のパワーレベルを高速変調することができ、高密度情報を高速記録することができる。波長が390〜410nmである短波長のレーザ光を用いれば、微小なレーザスポットが形成でき、高密度情報を記録することができる。
第2変形材料層402は光を透過する材料とする。光405は第1変形材料層401で吸収される。光の照射点において、第1変形材料層401は光を吸収し発熱して溶融する。図中406の矢印は第1変形材料の移動、凝集の様子を示す。溶融することによって材料の移動、凝集が起こる。図中407は第1変形材料層の記録位置の形状を示している。
第1変形材料層は凝集によって変形する。図中408は、第2変形材料層の変形の状態を示している。第2変形材料は、低密度及び/又は柔らかい材料である。よって、第1変形材料層の変形によって第2変形材料層も変形する。
図4(c)は加熱過程を示している。光照射直後の媒体内の主な熱移動を矢印で示すが、図4(b)の光照射過程においても同様の熱移動は起こっている。図中409の矢印は第1変形材料層からの熱移動を示す。第1変形材料層は光を吸収し発熱する。第1変形材料層の熱で第2変形材料層が加熱される。図中の410は第2変形材料層が変形後に変質しつつある状態を示す。第2変形材料は、加熱によって変質する材料であり、変形した状態で加熱されて変質し、緻密化及び/又は硬質化する。
図4(d)は冷却過程を示している。自然冷却によって第1変形材料層は溶融状態から固化、例えば結晶化する。第2変形材料層は、変形した状態で加熱されて変質し、緻密化及び/又は硬質化した状態にある。よって冷却後もその変形形状は保持される。図中の411は第1変形材料層が固化した状態を示している。図中の412は、第2変形材料層が変形かつ変質した状態を示す。第2変形材料層は、第1変形材料層の変形にならって変形かつ変質した状態になる。本発明8のように、第1変形材料層が溶融して変形し、これに伴い第2変形材料層が変形した状態で変質する強度で光を照射することによって、図3又は図4(d)に示すような記録状態になる。
図5、図6には本発明8に係る光情報記録媒体の再生方法を示す。記録情報を再生するに際しては、第1の変形材料層が溶融し、第2の変形材料層が変形しない強度で光を照射する。
図5(a)は、図3又は図4(d)に示した記録状態における一つの記録マークを拡大して示している。501は第1変形材料層、502は第2変形材料層である。薄膜内での熱伝導は膜厚に大きく影響され、膜厚に比例して熱伝導率は変化する。503は記録マーク端部であり、第1変形材料層の膜厚は減少している。第1変形材料は光を吸収し発熱する材料であるが、記録マーク端部において膜厚が減少していることから、第1変形材料層の熱は記録トラック方向において隣接する記録マークには熱伝導しにくい状態になっている。つまり、記録マーク毎に熱が局在化し易い状態になっている。
図5(b)は再生状態を示す。504は溶融状態にある第1変形材料層、505は第2変形材料層、506はレーザ光、507はレーザ光の移動方向を示す。第2変形材料層は記録の段階で第1変形材料層の変形にならって変形した状態で変質し、緻密化及び/又は硬質化した状態にある。再生過程において第2変形材料層505の形状は保持される。第2変形材料層505は殻(シェル)のような状態にあり、そのシェル内部において第1変形材料層504が溶融する。シェル形状である第2変形材料層にならって、第1変形材料層は溶融し固化する。よって、再生過程において溶融しても、第1変形材料層の形状が崩れることはなく、繰り返し再生することができる。
図5(c)は、記録マークの状態の上方視である。508はレーザスポット径、509はレーザビームの移動方向を示す。510はレーザスポット中心にある記録マークであり溶融状態にある。511は前方に位置する記録マークであり固化状態にある。図5(a)に示したように、記録マーク端部503において、第1変形材料層の膜厚が減少しているので、記録マーク毎に熱が局在化し易い状態になっている。よって、レーザスポット中心の記録マーク510が溶融状態にあっても、前方に隣接する記録マーク511は固相状態にある。その結果、再生時において、記録マーク部では、第1変形材料層の溶融が記録マーク毎に順番に起こっていく。
図6には再生信号レベルの変化を示す。図6の(a)(c)(e)は媒体の上方視であり、第1変形材料層及び記録マークの状態を示している。図6の(b)(d)(f)は媒体の上方視に対応させた再生信号レベルの変化を示す。
図6(a)は、未記録部分を低パワーで再生した状態を示し、図6(b)はその時の再生信号レベルを示す。601はレーザスポット径、602は第1変形材料層、603はレーザスポットの移動方向、604は信号レベルの時間変化である。信号レベルは一定のレベルになる。
図6(c)は、未記録部分を高パワーで再生した状態を示し、図6(d)はその時の再生信号レベルを示す。601はレーザスポット、602は第1変形材料層、603はレーザスポットの移動方向、605は第1変形材料層の溶融部分である。レーザパワーを上げることによって第1変形材料層が溶融し、溶融部分の一部がレーザスポットにかかった状態になる。606は信号レベルの時間変化である。信号レベルは一定のレベルになる。第1変形材料層の溶融部分605の一部がレーザスポット内に含まれることから、信号レベル606は低パワー再生時604よりも若干低下する。
図6(e)は、記録部分を高パワーで再生した状態を示し、図6(f)はその時の再生信号レベルを示す。601はレーザスポット、602は第1変形材料層、603はレーザスポットの移動方向、605は第1変形材料層の溶融部分、607は溶融状態にある記録マーク、608は固化状態にある記録マーク、609はレーザスポットが記録マーク中心にある場合の信号レベル、610はレーザスポットが記録マーク間にある場合の信号レベルである。前述したように、レーザスポット中心の記録マーク607が溶融状態にあっても、前方に隣接する記録マーク608は固相状態にある。記録マークでは熱が局在化し易い状態にあることから、薄膜状の第1の変形材料層602における溶融温度のしきい値と、記録マーク部分における溶融温度のしきい値は異なる。そして記録マーク部分が薄膜部分よりも先に溶融し、ビーム中心において記録マークが溶融する。609に示すように、記録マークの溶融によって信号レベルは低下する。また610に示すように、レーザスポットが記録マーク間に移動すると、前方記録マーク608は固相状態にあり、レーザスポット内に含まれる溶融部分の比率が変化するため信号レベルが増加する。記録マークの溶融は記録マーク毎に順番に起こっていくので、レーザスポットと記録マークの相対位置によってレーザスポット内に含まれる溶融部分の比率が変化する。その結果、高信号レベル611と低信号レベル612間で変化する記録マーク周期に対応した周期信号が検出できる。
本発明の光情報記録媒体の記録再生方法では、第1変形材料層が溶融して変形し、第2変形材料層が変形した状態で変質する強度で光を照射することによって、記録マーク毎に熱が局在化し易い記録形態を形成することができる。記録情報を再生するに際しては、第1変形材料層が溶融し、第2変形材料層が変形しない強度で光を照射する。その結果、記録マーク毎に順番に起こっていく第1変形材料層の溶融に伴う信号レベル変化によって、光の解像限界を超えた記録情報を検出することができる。
次に、本発明の光情報記録媒体の記録再生方法の実施形態の一例について図7を参照しつつ説明する。
図7の(a)、(c)、(e)、(g)はレーザパワーレベルを示す。図7の(b)、(d)、(f)、(h)は、各パワーレベルに設定した際の媒体の状態を示す断面図である。
図7(b)は、パワーレベル705に設定した場合の媒体の状態を示す。701は第1変形材料層、702は第2変形材料層、703は無機誘電体層、704は支持基板である。レベル705は、媒体が変化しないパワーレベルである。図7(d)は、パワーレベル707に設定した場合の媒体の状態を示す。710は溶融状態にある第1変形材料層、711は第1変形材料層から第2変形材料層への熱伝導、712は変質した第2変形材料層である。パワーレベル707は、第1変形材料層が溶融して変形し第2変形材料層が変質するしきい値温度以上に媒体温度を昇温させるパワーレベルである。図7(f)は、未記録部分ではパワーレベルを707に保持し、記録部分ではパワーレベルを709に上げた場合の媒体の状態を示す。710は未記録部分の第1変形材料層であり溶融状態になる。
712は未記録部分の第2変形材料層であり、変質した状態を示している。713は記録部分を示す。記録部分では、第1変形材料が溶融すると共に材料の移動、凝集も起こる。図中、714の矢印は材料の移動の様子を示す。第2変形材料層は、第1変形材料層にならって変形した状態で変質する。図中、715は第2変形材料層がシェル形状に変形した状態を示す。
図7(h)は、図7(f)の記録マークを再生する状態を示す。パワーレベル706に設定した場合の媒体の状態である。第1変形材料層710は溶融状態になる。第2変形材料層712は記録段階で変質した状態になっている。再生パワーレベル706は、記録時に未記録部分に照射するパワーレベル707よりも低いので、再生過程において未記録部分の第2変形材料層は変化しない。記録部分713においても、第2変形材料層715の変質状態や形状は変化せず、第1変形材料層716のみ溶融状態になる。
パワーレベルは、記録の際には、レーザ光のパワーレベルをP1、P2レベルの2水準(但し、P1>P2)で変調し、記録位置でP1にパワーレベルを上げる。未記録部分には、P2レベルを照射し、第2変形材料層が変質するしきい値温度以上に媒体温度を上げる。再生の際は、レーザ光のパワーレベルをP3レベル(但し、P2>P3)に設定する。再生光のパワーレベルを、記録の際に未記録部分に照射したパワーレベルよりも低く設定することによって、再生過程における第2変形材料層の変質が抑制でき、信号レベルの変動なく繰り返し再生することができるので、繰り返し再生耐性を向上させることができる。
次に、記録再生装置の実施形態の一例について図8を参照しつつ説明する。
図8の記録再生装置は、レーザ光照射手段81、パワーレベル変調手段82、媒体回転手段84、信号検出手段85で構成される。83は光情報記録媒体、86はレーザ光である。
レーザ光照射手段81は、レーザ光源と、レーザ光を集光する対物レンズ、対物レンズを駆動するアクチュエータからなる。レーザ光源としては波長が370〜780nmの半導体レーザを用いる。対物レンズの開口数は0.5〜2.0であり、好ましい開口数は0.8〜0.9である。また、好ましくはレーザ光を媒体の膜面に対して直接照射する。つまり、レーザ光照射手段は、基板を介さずにレーザ光を媒体に照射できる構成とする。
パワーレベル変調手段82は、パワーレベル変調回路821、基準信号生成回路822を備え、パワーレベル変調回路821は、レーザパワーレベル変調信号87を生成する。この変調信号87は、パワーレベルをP1>P2>P3の関係にある少なくとも3水準で変調する信号である。また、変調のタイミング信号823も生成する。基準信号生成回路822は、変調のタイミング信号823に基づいてパルス基準信号824を生成する。
媒体回転手段84は、媒体を回転させるためのスピンスタンド841と、基準信号生成回路842を備える。基準信号発生回路842は、スピンスタンドからの信号に基づいて回転基準信号843を生成する。パルス基準信号824と、回転基準信号843を周波数同期させスピンスタンドを回転させる。
レーザ光検出手段85は、光検出器851とサーボ回路852で構成される。光検出器851では媒体からの信号88を受光しフォーカス及びトラック誤差信号853を生成する。サーボ回路852では、誤差信号に基づいて、レーザ光照射手段駆動信号89を生成する。レーザ光照射手段駆動信号に基づいて、アクチュエータが動作しフォーカス及びトラック残留誤差が低減される。このような装置構成により、記録情報に応じてレーザ光のパワーレベルをP1>P2>P3の関係にある少なくとも3水準で変える記録再生が可能となる。
本発明1によれば、記録再生に用いる光学ピックアップの解像限界以下の周期で記録された高密度の情報の記録再生を可能とした光情報記録媒体を提供できる。
本発明2によれば、第1変形材料層の好ましい材料を規定することにより、再生信号の信号品質の向上を図ることができる。
本発明3によれば、第2変形材料層の好ましい材料を規定することにより、薄膜化した場合の残留応力が低減でき、膜剥離などが無く大面積基板に対して均一に成膜することができる。また、高速成膜することができ、製造コストが低減できる。
本発明4によれば、再生過程での第2変形材料層の劣化を防ぎ、繰り返し耐久性を上げることができる。
本発明5によれば、良好な形状の記録マークを実現できる。
本発明6によれば、形状の変形に追従するような第2変形材料層を形成できる。
本発明7によれば、第2変形材料層を形状の変形に耐えられるアモルファス状態にすると共に、結合の比によって、速やかな形状変化を実現できる。
本発明8によれば、亜鉛化合物の結晶化を容易にし、またSi−Oのネットワークを形成して変形を容易にすることができる。
本発明9によれば、再生信号の強度を上げることができ、光学ピックアップの解像限界以下に相当する高密度記録情報の再生が容易になる。
本発明10によれば、情報の記録時に、熱による支持基板のダメージを防ぐことができる。また情報の再生時に、再生に必要なレーザパワーレベルを下げることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
実施例1
ポリカーボネート製基板904上に、ZnS−SiOx(82:18モル%)薄膜からなる無機誘電体層903を膜厚50nm、GeAgInSb68Te24(原子%)からなる第1変形材料層901を膜厚20nm、ZnS−SiOx(82:18モル%)薄膜からなる第2変形材料層902を膜厚45nm、この順にスパッタリング法で成膜し、図9に示す構成(未記録状態の断面図)の情報記録媒体を作製した。第1変形材料層のSb/Teは約2.8、また、第2変形材料層及び無機誘電体層の、ZnS/SiOは約4.5である。
この光報記録媒体に対し、前述した図8の記録再生装置を用いて情報を記録した。
レーザ光源はGaNの半導体レーザであり、その波長は405nmである。対物レンズの開口数は0.85である。
図10に最短記録マークを繰り返し記録する場合の記録パルスの設定方法を示す。レーザパワーはP1=4.9mW、P2=1.8mW、即ちP1>P2の関係にある2水準で変調した。ここで、レーザパワーレベルは媒体面での値を示している。パルス幅はW=12nsec、パルス周期はS=44nsec、パルスデューティーはW/S=27%に設定した。
記録線速度は4.6m/secに設定した。
図11は、上記光情報記録媒体に最短マークを繰り返し記録した後の状態を示す断面像である。記録トラック中心付近を集束イオンビーム(FIB)装置で加工し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果である。
1101は第1変形材料層、1102は第2変形材料層、1103は無機誘電体層であり、1104は最短マークの記録周期で200nmである。1105は記録マーク中心、1106は記録マーク端部である。第1変形材料層1101の膜厚は、記録マーク中心で厚く、記録マーク端部で薄くなっている。記録マーク中心の膜厚は23nm、記録マーク端部の膜厚は12nmである。第2変形材料層1102は膜厚変化が殆どなく、第1変形材料層1101の凹凸にならって変形している。
この断面像から分るように、第2変形材料層1102により第1変形材料層の凹凸を被覆するシェル形状の記録ができている。
この光情報記録媒体に関して、顕微FT−IR測定を行った。901から903の層を904の基板から剥離し、微細な薄片を用いて、記録前及び記録後の比較を行ったところ、両者とも750〜1150cm−1に吸収があり、記録後の吸収が減少していた。また、第2変形材料層902のシリコン原子の1s軌道の光電子X線吸収スペクトルを測定し、記録後、FWHMが増加していることを確認した。更に、酸素の1s軌道の光電子吸収スペクトルを測定し、二つのピークからなり、A2/A1が0.5であることを確認した。また記録後、高結合エネルギー側のピークだけが存在していることを確認した。IR及びXPSの上記の条件を満足するような、シリコン原子周りの構造変化の制御によって、形状変形による良好な記録が容易に行われる。
次に、最短マークを繰り返し記録した状態について、上記記録の場合と同じ装置を用いて再生した。再生パワーレベルを0.2mWと低く設定し、第1変形材料層の発熱が起こらない状態で再生した場合には、信号レベルは一定値を示し、周期信号は観測できなかった。
これに対し、再生パワーをP2>P3の関係にあるP3=1.3mWと高く設定し、第1変形材料層が発熱する状態で再生した場合には、記録マーク周期200nmに対応する周期信号が検出できた。再生信号のCNR(対雑音信号比)は42dBであり、信号振幅は60mVであった。解像限界λ/2NAは、405/2×0.85=238nmであるから、解像限界以下の周期に当る記録マーク周期200nmの高密度情報を記録再生できることが確認された。
図18には再生過程における媒体の状態を断面図で示す。1801は第1変形材料層、1802は第2変形材料層、1803は無機誘電体層である。1804、1805は記録マークであり、第1変形材料層1801と第2変形材料層1802が変形した状態にある。1806はレーザ光、1807はレーザ光の進行方向を示す。記録マーク1805はレーザ光の中心に位置する。1808は第1変形材料が溶融状態にあることを示す。1809はレーザ光の中心に位置する記録マーク1805が変形し、元の記録状態に戻る様子を示す。レーザ光の中心に位置し加熱された記録マーク1805には、第1変形材料層が溶融状態になることによる光学定数の変化と、第1変形材料層の溶融に起因する瞬間的な変形1809が起こる。材料の光学定数の変化と機械的な変化(変形)の2種類の変化が再生信号源になるので、信号強度を上げることができ、光学ピックアップの解像限界以下に相当する高密度情報を再生することができる。
従来の超解像再生方法の概要を示す図。 本発明の光情報記録媒体の記録トラックに沿った断面図(未記録状態)。 本発明の光情報記録媒体の記録トラックに沿った断面図(記録状態)。 本発明8の記録方法の説明図。(a)媒体構成、(b)光照射過程、(c)加熱過程、(d)冷却過程。 本発明8の再生方法の説明図。(a)記録状態、(b)再生状態、(c)記録マークの上方視。 本発明8の再生方法の信号レベルの変化を示す図。(a)(b)未記録部分を低パワーで再生した状態、(c)(d)未記録部分を高パワーで再生した状態、(e)(f)記録部分を高パワーで再生した状態。 本発明9の記録再生方法の説明図。(a)(c)(e)(g)レーザパワーレベルの設定方法、(b)(d)(f)(h)各パワーレベルに設定した際の媒体の状態。 記録再生装置の一例を示す図。 実施例の光情報記録媒体の構成を示す図。 実施例の記録パルス設定方法を示す図。 実施例の光情報記録媒体に最短マークを繰り返し記録した後の状態を示す断面像。 ZnS−SiOx薄膜の組成比による結晶状態の変化を示す図。 ZnS−SiOx薄膜の組成比による成膜速度の変化を示す図。 ZnS−SiOx薄膜の化学結合状態の測定結果を示す図。(a)記録前、(b)記録後。 ZnS−SiOx薄膜のX線回折測定結果を示す図。 レーザ照射による変形信号測定装置を示す図。 レーザ照射による変形信号測定結果を示す図。 再生過程における媒体の状態を示す図。 ZnS−SiOx薄膜のIR測定結果を示す図。(a)本発明の光情報記録媒体、(b)比較例の光情報記録媒体。 ZnS−SiOx薄膜の顕微FT−IR測定の試料の様子を示す図。 ZnS−SiOx薄膜の化学結合状態(O1s)の測定結果を示す図(比較例)。(a)加熱前、(b)加熱後。 ZnS−SiOx薄膜の化学結合状態(Si1s)の測定結果を示す図。(a)記録前、(b)記録後。
符号の説明
101 超解像材料層
102 記録層
103 支持基板
104 記録マーク又は記録ピット
105 光学的開口
106 レーザビーム
107 ビームスポット径
108 レーザビーム移動方向
201 第1変形材料層
202 第2変形材料層
203 無機誘電体層
204 支持基板
301 第1変形材料層
302 第2変形材料層
303 無機誘電体層
304 支持基板
305 記録マーク周期
306 記録マーク中心
307 記録マーク端部
308 記録マーク中心の第1変形材料層膜厚
309 記録マーク端部の第1変形材料層膜厚
310 記録マーク中心の第2変形材料層膜厚
311 記録マーク端部の第2変形材料層膜厚
401 第1変形材料層
402 第2変形材料層
403 無機誘電体層
404 支持基板
405 光
406 第1変形材料の移動、凝集の様子
407 第1変形材料層の変形状態
408 第2変形材料層の変形状態
409 第1変形材料層からの熱移動
410 第2変形材料層が変形したのち変質しつつある状態
411 第1変形材料層の固化状態
412 第2変形材料層が変形かつ変質した状態
501 第1変形材料層
502 第2変形材料層
503 記録マーク端部
504 溶融状態の第1変形材料層
505 第2変形材料層
506 レーザ光
507 レーザ光の移動方向
508 レーザスポット
509 レーザスポット移動方向
510 溶融状態の記録マーク
511 固相状態の記録マーク
601 レーザスポット
602 第1変形材料層
603 レーザスポット移動方向
604 信号レベル
605 第1変形材料層の溶融部分
606 信号レベル
607 溶融状態の記録マーク
608 固相状態の記録マーク
609 レーザスポットが記録マーク中心にある場合の信号レベル
610 レーザスポットが記録マーク間にある場合の信号レベル
611 高信号レベル
612 低信号レベル
701 第1変形材料層
702 第2変形材料層
703 無機誘電体層
704 支持基板
705〜709 レーザパワーレベル
710 溶融状態の第1変形材料層
711 熱伝導の様子
712 変質状態の第2変形材料層
713 記録部分
714 材料移動の様子
715 第2変形材料層の変形かつ変質状態(シェル形状)
716 溶融状態の第1変形材料層
81 レーザ光照射手段
82 パワーレベル変調手段
83 光情報記録媒体
84 媒体回転手段
85 信号検出手段
86 レーザ光
87 レーザパワーレベル変調信号
88 媒体からの信号
89 レーザ光照射手段駆動信号
821 パワーレベル変調回路
822 基準信号生成回路
823 タイミング信号
824 パルス基準信号
841 スピンスタンド
842 基準信号発生回路
843 回転基準信号
851 光検出器
852 サーボ回路
853 誤差信号
901 GeAgInSb68Te24
902 ZnS−SiOx薄膜
903 ZnS−SiOx薄膜
904 ポリカーボネート基板
P1 レーザパワーレベル
P2 レーザパワーレベル
P3 レーザパワーレベル
W 記録パルス幅
S 記録パルス周期
1101 第1変形材料層(GeAgInSb68Te24
1102 第2変形材料層(ZnS−SiOx薄膜)
1103 無機誘電体層(ZnS−SiOx薄膜)
1104 記録周期
1105 記録マーク中心部分
1106 記録マーク端部
1601 サンプル
1602 円筒ピエゾステージ
1603 ファイバープローブ
1604 チューニングフォーク
1605 レンズ
1606 レーザ光
1607 レーザダイオード
1608 レーザドライバ
1609 波形発生器
1610 波形発生器
1611 作動アンプ
1612 ロックインアンプ
1613 PID制御回路
1614 基準電圧電源
1615 オシロスコープ
1616 バイポーラ電源
1701 レーザパルスの変調信号
1702 円筒ピエゾステージの変位信号
1801 第1変形材料層(GeAgInSb68Te24
1802 第2変形材料層(ZnS−SiOx薄膜)
1803 無機誘電体層(ZnS−SiOx薄膜)
1804 記録マーク
1805 レーザ光中心に位置する記録マーク
1806 レーザ光
1807 レーザ光進行方向
1808 GeAgInSbTeの溶融状態
1809 記録マークの変形状態

Claims (10)

  1. 少なくとも、情報を記録する光の波長において光を吸収して発熱し、発熱することで溶融し変形する第1変形材料層、シリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)を含有する材料からなり、光を透過し熱によって変形するか又は変形かつ変質する第2変形材料層の積層構成を有し、情報の記録後には、記録情報に応じて第1変形材料層の膜厚が変化して記録マーク中心が記録マーク端部よりも厚くなり、第2変形材料層は、第1変形材料層に形成された記録情報に対応した凹凸にならって変形するか又は変形かつ変質し、情報の再生時には、第1変形材料層が固相状態から溶融状態に変化することを特徴とする光情報記録媒体。ここで、記録マークとは、少なくとも第1変形材料層と第2変形材料層の変形部分を指す。
  2. 第1変形材料が、少なくともSbとTeを含有し、SbとTeの組成比(Sb/Te)が1.5〜5の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体。
  3. 第2変形材料が、少なくとも亜鉛化合物とシリコン酸化物(SiOx;0<x≦2)を含有し、該亜鉛化合物とSiOxの組成比(亜鉛化合物/SiOx)が、1.5〜9の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体。
  4. 亜鉛化合物がレーザ照射又は熱処理によって結晶化するものであることを特徴とする請求項3記載の光情報記録媒体。ここで、結晶化とは、第2変形材料層のX線散乱・回折スペクトルの測定において、レーザ照射又は加熱によって、亜鉛化合物の結晶構造の面間隔に相当する回折又は散乱ピークの強度が増加した状態になることを言う。
  5. 750〜1150cm−1の赤外領域に吸収を持ち、情報の記録後には、該領域の吸収強度が減少することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光情報記録媒体。
  6. 第2変形材料層は、シリコン原子の1s軌道の光電子分光スペクトルにおけるピークの半値幅(FWHM)が、記録後(加熱後又はレーザ照射後)に増加することを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の光情報記録媒体。
  7. 第2変形材料層は、酸素原子の1s軌道の光電子分光スペクトルにおけるピークが、二つのピークからなり、高結合エネルギー側のピーク面積をA1、低結合エネルギー側のピーク面積をA2としたとき、次の式を満足することを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載の光情報記録媒体。
    0.2≦A2/A1≦0.6
  8. 第2変形材料層は、酸素原子の1s軌道の光電子分光スペクトルにおけるピークが、二つのピークからなり、高結合エネルギー側のピーク面積をA1、低結合エネルギー側のピーク面積をA2としたとき、記録後又はレーザ照射後、A2/A1が減少することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光情報記録媒体。
  9. 再生時のレーザ照射又は加熱によって、記録マークの形状が変化することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の光情報記録媒体。ここで、形状の変化とは、圧電素子(チューニングフォークなど)に固着されたプローブを媒体表面に接近させ、シェアフォース制御を行った状態で検出する変位信号が変化する状態になることを言う。
  10. 少なくとも、支持基板、無機誘電体層、第1変形材料層、第2変形材料層の積層構成を有することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の光情報記録媒体。
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