JP2008058668A - 耐光性に優れた反射板用微細発泡シート - Google Patents

耐光性に優れた反射板用微細発泡シート Download PDF

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Abstract


【課題】本発明は、優れた反射率、拡散反射率を有すると共に、耐光性に優れること、及び、軽量性、剛性をも兼ね備えた反射板用微細発泡シートを提供する。
【解決手段】熱可塑性ポリエステルを50〜100重量%含有する樹脂組成物から構成され、下記(A)〜(C)を満足する反射板用微細発泡シート
(A)グリコール二量体成分の含有量が0〜1.5重量%
(B)見かけ密度が0.05〜1.25g/cm
(C)平均気泡サイズが0.01〜100μm
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置、電飾看板等に用いられる面光源や屋内外の間接照明に適した反射板用微細発泡シートに関するものである。更に詳しくは、特定の熱可塑性ポリエステルからなり、特定の微細気泡を有することにより、優れた反射率、拡散反射率を有すると共に、耐光性に優れ、且つ、軽量性、剛性をも兼ね備えた反射板用微細発泡シートに関する。
液晶表示装置や電飾看板は、表示を行う液晶パネルや文字・模様パネル等自体が発光体ではないために、背面部に面光源が備えられる。面光源は、液晶パネルや文字・模様パネルに対して背面より全面に渡って表示光を供給して所望の表示機能を発現させる。このような面光源には、光源の位置よりに直下型、サイドライト型があるが、近年、増加している大型の液晶表示装置や電飾看板には、主として直下型が用いられている。
直下型では、線光源や点光源からの光束が、直接、或いは反射板により反射された後に、光を拡散させる効果がある拡散板に照射され、面光源となる。この際、明るさや色ムラの無い表示を行う為に、高輝度、且つ、均一輝度を有する面光源であること、及び軽量、薄型であることが望まれる。
通常、線光源や点光源の光を面光源とするためには、光を乱反射させる拡散板と呼ばれる材料が用いられるが、更に、より均一、且つ、高輝度とするためには、拡散板の性能を向上させると共に、反射板の性能を向上させることが望ましい。
また、近年、屋内外の照明分野において、強い光ではなく、光源からの光を一旦反射板等に反射させた後、照射面を照らすことにより柔らかい光とする間接照明が増えている。このような用途においても、光を拡散させながら、高い反射率を有する、高性能な拡散反射板の要求が強まっている。
これらの用途に共通する要求としては、優れた反射率、拡散反射率を有すると共に、耐光性に優れること、及び軽量性、剛性をも兼ね備えることが挙げられる。
従来の反射板としては、断面が波板形状の白色塗装されたアルミ板製の反射板を用いる提案がある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この技術では塗料やアルミ板によって光が吸収されるために反射率が不十分となるとともに、拡散反射性が不足するために十分な輝度を得ることができないばかりか、輝度ムラを抑制することも困難である。また、軽量性を達成することも非常に難しい。
拡散反射性が良好で軽量なシート単体を用いる方法として、発泡ポリエチレンテレフタレートシート単体を折り曲げて反射板として用いる提案もある(例えば、特許文献2、3参照)。この方法を用いると拡散反射性、軽量性は良好とできるものの、本発明者らの検討によると、該発泡シートは長時間使用していると黄変し、反射率も低下するといった課題を有していることがわかった。
シートの黄変を抑える方法としては、樹脂中に光安定剤を練り込んだシートを用いる提案もある(例えば、特許文献4、5参照)。しかしながら、光安定剤を練り込んだ場合、経時的な黄変は抑えられるものの、シート製造時に光安定剤に起因する変色が発生し易いために白度の高いシートを得ることが困難なばかりか、多量の添加剤を均一に添加するのが困難であるために、均一に高い効果を発現させることも非常に難しい。
他の方法としては、反射シートの表面に光安定剤を含んだ塗布層を設ける提案、シート表面に紫外線吸収コーティングを行う提案もある(例えば、特許文献6参照)。この技術を用いると、製造時の変色は改善できるものの、塗布層表面及びシートとの界面での反射が増える為に、拡散反射性が低下する。拡散反射性を維持する為に、光安定剤と共に微粒子を塗布して表面を粗面化する提案もあるが(例えば、特許文献7参照)、拡散反射性を十分高めることは困難である。また、光安定剤にしても微粒子にしても、塗布層を表面に均一に塗布することは容易ではなく、煩雑な工程が増え、生産性も低下する。更に、いずれの場合も長時間使用していると効果が低下するという課題が残る。
耐光性の良好な反射シートとしては、結晶性ポリプロピレン樹脂に軟化点160〜200℃のジシクロペンタジエン石油樹脂と無機充填剤粉末が配合された樹脂組成物からなり、面積倍率4倍以上に少なくとも1軸方向に延伸してなる空洞含有ポリプロピレン系光反射フィルムの提案もある(例えば、特許文献8参照)。しかしながら、このような延伸法では0.5mm厚以上の厚手のシートを得ることが困難であり、しかもポリプロピレンは柔らかい素材であるために、剛性を有した反射板用の発泡シートをえることはできない。
このように、これまでの技術では、優れた反射率、拡散反射率を有すると共に、耐光性に優れること、及び軽量性、剛性をも兼ね備えた反射板用微細発泡シートを得ることはできない。
特開平10−106342号公報 特開2004−138715号公報 特開2006−30423号公報 特開平04−119817号公報 特開2001−226501号公報 特開2002−90515号公報 特開2004−126345号公報 特開2006−133742号公報
本発明は、優れた反射率、拡散反射率を有すると共に、耐光性に優れること、及び軽量性、剛性をも兼ね備えた反射板用微細発泡シートの提供を目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の熱可塑性ポリエステルからなる特定の微細気泡を有する微細発泡シートすることにより前記課題を達成できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
(1)熱可塑性ポリエステルを50〜100重量%含有する樹脂組成物から構成され、下記(A)〜(C)を満足する反射板用微細発泡シート。
(A)グリコール二量体成分の含有量が0〜1.5重量%
(B)見かけ密度が0.05〜1.25g/cm
(C)平均気泡サイズが0.01〜100μm
(2)熱可塑性ポリエステルの固有粘度[η]が0.5〜4.0dl/gである(1)に記載の反射板用微細発泡シート。
(3)熱可塑性ポリエステルの50〜100重量%がポリトリメチレンテレフタレートである(1)又は(2)に記載の反射板用微細発泡シート。
(4)気泡の面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/Tが0.05〜10である(1)〜(3)のいずれか1つに記載の反射板用微細発泡シート。
(5)微細発泡シートが押出発泡成形されたものである(1)〜(4)のいずれか1つに記載の反射板用微細発泡シート。
(6)面光源用である(1)〜(5)のいずれか1つに記載の反射板用微細発泡シート。
本発明の反射板用微細発泡シートは、優れた反射率、拡散反射率を有すると共に、耐光性に優れ、且つ、軽量性、剛性をも兼ね備えることにより、均一で高輝度、且つ、軽量性を有した面光源やエネルギー効率が良い柔らかい光を供給することができる。このため、液晶テレビ、電飾看板、更には、屋内外用の間接照明等様々な用途へ有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の微細発泡シートは、熱可塑性ポリエステルを50〜100重量%含有する樹脂組成物から構成される。ここで熱可塑性ポリエステルとは、熱により可塑化するポリエステルをいう。耐熱性、シート製造の容易性の点より、熱可塑性ポリエステルの割合は70〜100重量%であることが好ましく、80〜100重量%がより好ましく、90〜100重量%が最も好ましい。
熱可塑性ポリエステルとしては、耐熱性、シート製造の容易性より、テレフタル酸、又はナフタレンジガルボン酸と、アルキレングリコールからなるポリアルキレンテレフタレート、及びポリアルキレンナフタレートが好ましく、この中でもポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」、と略す)、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、[PTT]、と略す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」、と略す)がより好ましい。
熱可塑性ポリエステルには、他の共重合成分を含有するものも含まれる。共重合成分としては、主として、用いた以外のグリコール成分や酸成分、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。一方、酸成分の具体例としてはテレフタル酸、イソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
熱可塑性ポリエステルの中でも、微細発泡シートを製造することが容易であり、耐熱性、耐薬品性、耐候性を有し、しかも熱成形性を付与することが可能である点から、熱可塑性ポリエステルの50〜100重量%がポリトリメチレンテレフタレートであることが特に好ましい。これは、第一に、PTT固有の適度な結晶化速度、第二に、化学的な反応性の低い飽和ポリエステルの一種であるというPTTの分子構造からくる化学的な安定性、第三に、ジグザグの分子骨格構造からくる結晶に由来するものと考えられる。
本発明の発泡シートを構成する樹脂組成物は、グリコール二量体成分の含有量が0〜1.5重量%である必要がある。ここでグリコール二量体成分とは、熱可塑性ポリエステルのグリコール成分がエーテル結合を介して結合した成分のことをいい、熱可塑性ポリエステルの主鎖中に含まれている場合も、ジグリコール等の低分子量体として存在する場合も含む。グリコールがエーテル結合した部分は光に対する安定性が低く、光の照射によって結合が切断されて容易に黄変を引き起こす官能基となる。このため該成分を上記した低い範囲内に抑えることにより耐光性を高めることが可能となる。同時にシートを溶融成形する際の耐熱性を高めることもできる。
グリコール二量体成分としては、PTTの場合はビス(3-ヒドロキシプロピル)エーテル成分(構造式:-OCHCHCHOCHCHCHO-、以下、「BPE」、と略す)、PETの場合はビス(ヒドロキシエチル)エーテル成分(構造式:-OCHCHOCHCHO-、以下、「BEE」、と略す)等がある。これらは0.1〜1.3重量%であることがより好ましく、0.15〜1.0重量%が最も好ましい。
熱可塑性ポリエステルの重合度は、固有粘度[η]を指標として0.5〜4.0dl/gの範囲であることが好ましい。固有粘度を0.5dl/g以上とすることにより発泡シートを製造することが容易になるとともに、気泡サイズを微細にすることが容易になり、優れた強度、靭性を有する発泡シートとすることが容易になる。一方、固有粘度を4.0dl/g以下とすることにより、シートを成形することが容易になる。固有粘度[η]は0.7〜3.0dl/gの範囲が好ましく、0.9〜2.5dl/gの範囲が更に好ましく、1.0〜2.0dl/gの範囲が最も好ましい。
更に、熱可塑性ポリエステルは、カルボキシル末端基濃度が0〜80eq/トンであることが好ましい。このようにすることで、発泡シートの耐候性、耐薬品性、耐加水分解性、及び耐熱性を高めることができる。カルボキシル末端基濃度は0〜50eq/トン以下がより好ましく、0〜30eq/トン以下が更に好ましく、0〜20meq/kgが最も好ましく、低ければ低いほどよい。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル以外に各種の有機物質や無機物質及び各種添加剤を含んでいる場合も含む。このような場合でも、熱可塑性ポリエステルの割合は前記した範囲である必要がある。なお、熱可塑性ポリエステルの割合は、溶媒としてHFIP:CDCl3=1:1を用いた1Hの核磁気共鳴スペクトル(以下、「NMR」、と略す)を用いた分析により求めることができる。この際、環状二量体を始めとした各種の熱可塑性ポリエステルオリゴマー(未反応モノマーを含む)や各種のグリコール二量体成分は熱可塑性ポリエステルの割合の中に含めて計算する。
熱可塑性ポリエステル以外の有機物質としては、環状や線状の熱可塑性ポリエステルオリゴマー、熱可塑性ポリエステルを構成する酸成分やグリコール成分のモノマー及びこれらに由来する低分子量反応物、熱可塑性ポリエステル以外の樹脂、及び各種添加剤が挙げられる。
熱可塑性ポリエステル以外の樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等の熱可塑性ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリウレタン、熱硬化性ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、ポリフェニレンサルファイト、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、セルロース等、及び、これらの共重合樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性ポリエステル以外の物質は、粒子として存在する場合やポリマー分子と相溶して存在する場合があるが、本発明では、平均粒径が0.01〜100μmの粒子が熱可塑性ポリエステルに対して0.1〜30重量%含まれていることが好ましい。このような粒子が存在することにより、微細な気泡を多数有することが容易になる。粒子は真球よりは扁平な板状や針状のものが好ましく、突起を有することも好ましい。粒子は熱可塑性ポリエステルとの相溶性が低く、接着性も低い材質でできたものが好ましい。具体的には、タルク、ポリテトラメチレンに代表されるフッ素系の樹脂、フッ素雲母、板状のアルミナ、層状ケイ酸塩等からなる粉体が挙げられ、このうち特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
本発明の微細発泡シートは、見かけ密度が0.05〜1.25g/cm、且つ、平均気泡サイズが0.01〜100μmである必要である。この範囲の密度、気泡サイズとすることにより、優れた光反射性、特に拡散反射性を有し、軽量性、靭性にも優れるようになる。ここで気泡の平均サイズは、シート断面を走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」、と略す)を用いて観察した断面画像より画像解析ソフトを用いて用いて計算した円相当径として求める。見かけ密度は0.1〜1.1g/cmであることが好ましく、0.15〜1.0g/cmがより好ましく、0.2〜0.9g/cmが最も好ましい。一方、平均気泡サイズは0.05〜50μmであることが好ましく、0.1〜30μmがより好ましく、0.2〜20μmが最も好ましい。
このような気泡は扁平でないことが好ましい。扁平でないことで気泡が潰れにくくなったり、折り目やキズが付きにくくなったりする。扁平でないことの指標としては、気泡の面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/Tを用いることができ、S/Tは0.05〜10であることが好ましく、0.1〜10がより好ましく、更に好ましくは0.5〜5、更に好ましくは0.7〜3、最も好ましくは1〜2である。
本発明の発泡シートは、平均厚みが0.1〜10mmであることが好ましい。平均厚みを0.1mm以上とすることにより取扱いが容易になり、10mm以下とすることにより製造が容易となる。厚みは0.2mm〜5mmがより好ましく、0.5mm〜3mmが更に好ましく、1mm〜2mmが最も好ましい。また、より優れた光反射性を付与する上で、平均気泡サイズはシート厚みの1/5以下であることが好ましく、1/10以下がより好ましく、1/50以下が更に好ましく、1/100以下が最も好ましい。
本発明の樹脂シートは、500〜700nmにおける平均光反射率が80%以上であることが好ましい。このような反射率とすることにより、光学反射板として一層適するようになる。反射率は85%以上であることがより好ましく、90%以上が最も好ましい。ここで光反射率とは、硫酸バリウム白色板の反射率を100%とした時の相対的な値を示す。
更に、本発明の樹脂シートは色調が良好であることが好ましい。色調は、明度を表す指標であるL*が80以上であることが好ましく、85以上がより好ましく、90以上が最も好ましい。L*の上限は特に存在しないが、通常100以下となる。黄色度を表す指標であるb*が-5〜10であることが好ましく、-3〜8がより好ましく、-2〜5が最も好ましい。
次に、本発明の微細発泡シートの製造方法について説明する。
発泡シート製造に用いる50〜100重量%が熱可塑性ポリエステルからなる樹脂組成物は、公知の方法により得ることができる。例えば、PTT組成物はテレフタル酸ジメチルとトリメチレングリコール、及び必要に応じて他の共重合成分を原料とし、チタンテトラブトキシドを触媒として攪拌翼を有した反応装置を用いて、常圧、180〜260℃の温度でエステル交換反応を行った後、同様な反応装置を用いて、減圧下、220〜270℃に重縮合反応を行うエステル交換法が挙げられる。
また、テレフタル酸とトリメチレングリコール、及び必要に応じて他の共重合成分を原料として、チタンテツラブトキシドを触媒として、攪拌翼を有した反応装置を用いて、常圧、210〜250℃の温度でエステル化反応を行った後、同様な反応装置を用いて、減圧下、240〜270℃にて重縮合反応を行う直接エステル化法も挙げられる。
本発明において、発泡シートを構成する樹脂組成物のグリコール二量体成分の含有量を低く抑えるために、シート製造に用いる樹脂組成物のグリコール二量体成分の含有量を低く抑える必要がある。このためには、適切な条件を選定して重合を行う事が重要である。グリコール二量体の量を低く抑えるには、原料であるグリコールが未反応のまま高温に長時間さらされないことが肝要である。このためには、直接エステル化法より比較的低温でグリコールを反応させるエステル交換法が好ましい。また、酸に対するグリコールの比率を低くすることが好ましい。具体的には、エステル交換法では酸に対するグリコールのモル比を1.2〜2とすることが好ましく、1.3〜1.8がより好ましく、1.4〜1.7が最も好ましい。一方、直接エステル化法では酸に対するグリコールのモル比を1.01〜1.2とすることが好ましく、1.05〜1.1がより好ましい。また未反応のグリコールが多量に存在するエステル交換反応やエステル化反応を、反応率が90%以上になるまで行った後、温度を上げて重縮合反応を行うことが好ましく、反応率を95%以上とすることがより好ましい。
重合温度を出来る限り低くして行うことも重要である。更に、反応時間を短くするために、反応物の表面積が大きくとれるとともに、攪拌・表面更新が効率的に行える形状の攪拌翼や反応装置を選ぶことも重要である。直接エステル化法では、ステアリン酸ナトリウム等のアルカリ成分を少量添加してテレフタル酸の酸成分を一部中和させることも効果的である。
発泡シートを製造する上で必要な添加物は、重合時に添加する方法、重合後に溶融混練等をして添加する方法、これらを組み合わせる方法等によって添加することができ、添加物の種類や量、要求される性能等により適宜選択することができる。溶融混練して各種の添加剤を添加する場合は、重合して得た組成物を冷却固化した後、或いは溶融状態のまま一軸、あるいは二軸の押出機等に各種添加剤とともに投入して行うことができる。
本発明の発泡シートの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、溶融した樹脂組成物を、樹脂組成物の溶融温度で、常圧にて気体状態である特定の物質を特定量注入して混合・溶解した後、特定の条件にて口金より押出して成形するとともに注入した物質を発泡させ、すみやかに冷却固化する、「特殊溶融押出発泡法」により得ることができる。ここで溶融物とは、樹脂組成物が流動性を有する状態になっているものをいう。溶融温度とは、樹脂組成物が流動開始する温度をいい、全ての成分が溶融している必要は無い。
「特殊溶融押出発泡法」において、樹脂組成物は押出機の供給部に供給され、次いで、スクリューの回転により溶融され、口金より押出される。押出機としては、一軸あるいは二軸押出機、これらを2台以上直列につないだタンデム押出機等を用いることができる。押出機のスクリューは、適用する樹脂組成物の性質、注入する物質の性質に応じて最適なものを用いることが好ましい。押出機は未溶融物が残らず、且つ、組成物の熱分解が抑制できる温度に設定することが好ましく、おおよそ樹脂組成物の融点+0〜30℃とすることが好ましく、融点+0〜20℃がより好ましく、融点+0〜15℃が最も好ましい。
特殊溶融押出発泡法では、溶融物に、樹脂組成物の溶融温度で、常圧にて気体状態である物質を注入する。注入する物質は、取扱いの容易さを考えると、常温、常圧でも気体状態であることが好ましい。具体例としては、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン、水等不活性化合物発泡剤、プロパン、ブタン、等脂肪族炭化水素系発泡剤、フロン(R−11、R−12)、代替フロン(R−134a)、CFC−11、CFC−12、CFC−113、CFC−114等のCFCシリーズのフロン(フレオン)ハロゲン化炭化水素系発泡剤等が挙げられる。これらのうち、シートの結晶化を進めないこと、及び気泡サイズを小さくするという観点から、窒素、ヘリウム、アルゴン及び水が好ましく、特に窒素が好ましい。
このような物質の注入量は、気泡を微細化させ、シートの表面状態を良好にする上で0.01〜3重量%とすることが好ましい。注入量は0.02〜1重量%がより好ましく、0.05〜0.5重量%が最も好ましい。注入する方法は、押出機から口金の間であれば、いずれの時期でも良いが、押出機にて注入することが物質を均一に溶融物中に注入できるので好ましい。
樹脂組成物は、次いで口金より押出されてシート状の形状に成形されるとともに、圧力が開放されて注入した物質により発泡する。口金としては、Tダイ、Iダイと呼ばれるような直線状のスリットを用いることが好ましい。口金入口におけるの溶融物の圧力は5MPa以上とすることが好ましく、10MPa以上がより好ましい。
特殊溶融押出発泡法では、シート状に成形され発泡した溶融物は、次いで、すみやかに冷却して固化することが好ましい。すみやかに冷却固化させることにより、気泡の成長を抑えて、微細な気泡とすることが容易となる。シートを熱成形する場合は、より冷却速度を速めて、非晶状態のシートすることが好ましい。
ここですみやかにとは、前記したシートの特性を有するように冷却することを指し、具体的には、口金より押出してから結晶化温度以下にシートを冷却する時間を60秒以内とすることが好ましく、40秒以内がより好ましく、20秒以内が最も好ましい。非晶のシートを得る場合は、特にすみやかに冷却固化させることが重要となる。このような冷却固化を達成させる方法としては、溶融物を金属ロール上にキャストし、次いで、水中に入れてすみやかに冷却固化する。接触させる固体や液体の温度は0〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましく、0〜20℃が最も好ましい。口金より押出してから固体や液体に接触させるまでの時間は0.05〜10秒が好ましく、0.1〜5秒がより好ましく、0.2〜2秒が最も好ましい。
本発明では、冷却速度を速めて非晶状態の発泡シートとすることにより熱成形することも可能となる。熱成形する方法としては、プレス成形やストレート成形、ドレープ成形、プラグアシスト成形、真空成形、真空圧空成形、圧空成形等が挙げられるが、このうち真空圧空成形がより好ましい。
本発明の微細発泡シートからなる反射板は、様々な用途に使用することができるが、特に、液晶表示装置用のバックライトや電飾看板等の面光源に適している。
液晶表示装置は、2枚の透明基盤の間に液晶を封入し、電圧を印加することにより液晶分子の向きを変えて光透過率を変化させて所定の画像を光学的に表示する。この際、液晶自体が発光体ではないために、液晶パネルの背面部に光源として機能するバックライトと呼ばれる面光源が備えられる。本発明の微細発泡シートは、一次光源、拡散板と組み合わせることによってバックライトとすることができる。この際、シートは、光を放出する側にある拡散板以外の部分を除いて、一次光源を囲むように、拡散板と対向する部分、及び側面に設置する。この結果、高輝度、且つ、均一輝度を有すること、及び軽量、薄型とすることが容易になり、明るさや色ムラの無い表示を行うことが容易になる。更に、本発明の発泡シートは耐光性が良好なので、長期間その性能を維持することができる。
電飾看板の場合もバックライト同様にして、本発明の成形体を反射板として設置し、光源、及び、拡散板と組み合わせて作ることができる。
本発明を実施例に基づいて説明する。
本発明に用いられる測定法は以下のとおりである。
(1)熱可塑性ポリエステル含有率及びグリコール二量体成分の含有率
各成分の含有率(重量%)は、組成物100mgをHFIP:CDCl3=1:1に溶解させ、不溶成分をMEMBRANE FILTER(1μm、PTFE)で濾過した後の溶液を用いて、1H−NMR測定により求める。測定機は、FT−NMR DPX−400(Bruker社製)を用いる。濾過して取り除いた不溶成分は真空乾燥後、重量を測定し、含有率を求める際に用いる。
(2)固有粘度[η]
固有粘度[η]は、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中での比粘度ηspと濃度C(g/100ミリリットル)の比ηsp/Cを濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求める。
[η]=lim (ηsp/C)
C→0
(3)カルボキシル末端基濃度
組成物1gをベンジルアルコール25mlに溶解し、その後、クロロホルム25mlを加えた後、1/50Nの水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定を行い、滴定値VA(ml)とPTT組成物が無い場合のブランク値V0より、以下の式に従って求める。
カルボキシル末端基濃度(eq/トン)=(VA−V0)×20
(4)見かけ密度
シートを50℃で乾燥し、恒量値に達した時の重量を体積で除して求める。なお、体積はシートを水中に浸漬して求める。
(5)平均気泡サイズ、及び面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/T
気泡の平均サイズ、及び面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/Tは、直行する2方向のシートの断面を走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」、と略す)を用いて観察した断面画像より、画像解析ソフトを用いて求める。画像解析ソフトとして、株式会社プラネトロン社製のimage−Pro Plus ver.4.0を用いる。気泡の平均径は、気泡の断面を楕円に近似した相当楕円の長軸と単軸に投影された長さの平均値を、直行する2方向について平均して求める。SとTは、気泡の外接四角形(気泡全体を完全に囲み、シートの面方向と並行する辺を有する最小の矩形の、高さ、及び、幅の平均値を、直行する2方向について平均して求める。
(6)平均光反射率
平均光反射率は、島津製作所製UV−2200を用いて、入射角を8°ずらして500〜700nmの全反射率を10nm毎に測定し、その単純平均値を計算して求める。この際、硫酸バリウム粉末を100%として測定装置を調整する。
(7)色調色調(L値、b*値)
スガ試験機(株)のカラーコンピューターを用いて測定する。
(8)耐光性
発泡シートを、サンシャイン、65℃、雨無し条件下で、500時間暴露させた前後の変色をΔE値で表し、評価する。ΔE値は分光測色計:CM−2002(ミノルタ製)にて測定する。
[実施例1]
固有粘度[η]が1.3dl/g、カルボキシル末端基濃度が10eq/トン、BPE含有率が0.9重量%のPTT99重量部に対して平均粒径5μmのPTFE1重量部を添加した融点225℃の樹脂組成物を、235℃に設定した50mmφの一軸押出機に供給して溶解した後、押出機と同じ温度に加熱した流路を通じて、口金として幅600mm、間隔が0.5mmのTダイより線速5m/分にて押出してシート状に成形した。この際、組成物に対して0.1重量%の窒素を押出機の中間より注入して溶融物と混合・溶解させた。また、Tダイ入口での溶融物の圧力は12MPaであった。
Tダイより押出した溶融物は50mm離れた金属製の回転ロール上にキャストした後、冷却水中に導入して冷却固化させて発泡シートを得た。この際、回転ロール及び冷却水は10℃になるようにコントロールし、溶融物を押出してから回転ロールに接触させるまでの時間は0.6秒、該組成物の結晶化温度である68℃以下に冷却されるまでの時間は20秒以内であった。
得られた発泡シートは、厚みが1mm、幅が550mm、固有粘度[η]が1.15dl/g、カルボキシル末端基濃度が15eq/トン、BPE含有率が0.5重量%、密度が0.6g/cm、平均気泡径が20μmであり、S/Tが1.3と微細にて扁平でない気泡を有しており、光反射率も91%と優れていた。ΔE値は3.0と変色が少なく耐光性に優れたシートであった。
[実施例2]
平均粒径3μmのPTFE3重量部を添加した樹脂組成物を用い、押出量を増やすことにより吐出圧17に高め、線速8m/分にて押出した以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、厚みが1mm1mm、幅が550mm、固有粘度[η]が1.18dl/g、カルボキシル末端基濃度が15eq/トン、BPE含有率が0.5重量%、密度が0.65g/cm、平均気泡径が12μmであり、S/Tは1.3であり、実施例1より更に微細にて扁平でない気泡を有していた。光反射率も95%と優れていた。ΔE値は2.8と変色が少なく、耐光性に優れたシートであった。
[実施例3]
固有粘度[η]が0.8dl/g、カルボキシル末端基濃度が30eq/トン、BPE含有率が0.4重量%のPET97重量部に対して、平均粒径5μmのPTFE3重量部を添加した融点255℃の樹脂組成物を用い、押出機の温度を280℃とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、厚みが1mm、幅が550mm、固有粘度[η]が0.79dl/g、カルボキシル末端基濃度が30eq/トン、BPE含有率が0.5重量%、密度が0.7g/cm、平均気泡径が60μmであり、S/Tが1.2のやや大きいものの扁平でない気泡を有していた。光反射率は81%とやや低いものの、使用可能なものであった。ΔE値は2.7と変色が少なく耐光性に優れたシートであった。
[比較例1]
固有粘度[η]が1.2dl/g、カルボキシル末端基濃度が20eq/トン、BPE含有率が2.2重量%のPTTを用いた以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、厚みが1mm、幅が550mm、固有粘度[η]が1.05dl/g、カルボキシル末端基濃度が25eq/トン、BPE含有率が2.2重量%、密度が0.6g/cm、平均気泡径が30μmであり、S/Tは1.4と微細であり、扁平でない気泡を有していた。光反射率も88%と優れていた。しかしながら、ΔE値は6.0であり、変色しやすい耐光性に劣ったシートであった。
本発明の反射板用発泡シートは、優れた反射率、拡散反射率を有すると共に、耐光性に優れ、且つ、軽量性、剛性をも兼ね備えることにより、均一で高輝度、且つ、軽量性を有した面光源やエネルギー効率が良い柔らかい光を供給することができる。このため、液晶テレビ、電飾看板、更には、屋内外用の間接照明等様々な用途へ有用である。

Claims (6)

  1. 熱可塑性ポリエステルを50〜100重量%含有する樹脂組成物から構成され、下記(A)〜(C)を満足する反射板用微細発泡シート。
    (A)グリコール二量体成分の含有量が0〜1.5重量%
    (B)見かけ密度が0.05〜1.25g/cm
    (C)平均気泡サイズが0.01〜100μm
  2. 熱可塑性ポリエステルの固有粘度[η]が0.5〜4.0dl/gである請求項1記載の反射板用微細発泡シート。
  3. 熱可塑性ポリエステルの50〜100重量%がポリトリメチレンテレフタレートである請求項1又は2記載の反射板用微細発泡シート。
  4. 気泡の面方向の平均サイズ(S)と厚み方向の平均サイズ(T)との比S/Tが0.05〜10である請求項1〜3いずれか1項に記載の反射板用微細発泡シート。
  5. 微細発泡シートが押出発泡成形されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射板用微細発泡シート。
  6. 面光源用である請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射板用微細発泡シート。
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