JP2008058536A - ハードコート膜の表面改質方法とこれより得られるハードコート膜、光学フィルムとその製造方法 - Google Patents

ハードコート膜の表面改質方法とこれより得られるハードコート膜、光学フィルムとその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材フィルム上に形成されたハードコート膜上に、該ハードコート膜の組成分とは異なる組成分からなる塗液を塗布し機能膜を形成させるに際しても、環境面や安全面に優れ、より簡略化された工程で、短時間で処理でき、かつ劣化を抑制しながらハードコート膜と機能膜との密着性を向上できる、ハードコート膜の表面改質方法とこれより得られるハードコート膜、これを有する光学フィルムとその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のハードコート膜12の表面改質方法は、ハードコート膜12の表面に紫外線処理を施すハードコート膜12の表面改質方法であって、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度が3〜10%、紫外線ランプ直下での紫外線の積算光量が800〜2000mJ/cmであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードコート膜の密着性を向上させるハードコート膜の表面改質方法、これより得られるハードコート膜、これを有する光学フィルムとその製造方法に関する。
一般的に、光学フィルム等は、基材フィルムの表面に機能膜を形成させたり、あるいは機能膜の表面にさらに他の機能膜を形成させることにより得られる。この場合、基材フィルムや各機能膜の組成分が大きく異なると、互いが充分に密着しないことが多かった。特に、溶剤系の成分により構成される機能膜と、水系の成分により構成される機能膜は密着性が悪い。
例えば、液晶ディスプレイに代表される各種ディスプレイの表面は、基材フィルム上に耐擦傷性機能を有するハードコート膜が設けられ、さらに外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するための反射防止膜がハードコート膜に積層されている場合が多い。しかし、ハードコート膜と反射防止膜との組成分が大きく異なると、充分な密着性が得られにくくなった。
そこで、密着性を向上させる手法として、アルカリ処理、コロナ処理、UVオゾン処理、紫外線処理が提案されている(特許文献1〜3参照。)。
特許文献1の手法によれば、接着面を強アルカリ液に浸漬させて密着性を向上させている。このようなアルカリ処理は、処理に要する時間が短時間であり、処理効果も高い。
特許文献2の手法によれば、上述したアルカリ処理の他、フィルムを電極間に設置してコロナ放電を行うコロナ処理や、フィルムの共存下、UV光を放射できる高圧水銀ランプにてオゾンの発生と励起を行うUVオゾン処理によって密着性を向上させている。このようなコロナ処理やUVオゾン処理は、常温の空気中で乾式の処理ができ、特に、コロナ処理は、高速走行処理が可能であった。
特許文献3の手法によれば、被処理物の被処理面に対して紫外光を照射することにより処理物の洗浄又は改質を行う。なお、このような紫外線処理によって被処理面の改質が行われると、密着性も向上する。
特開2001−281405号公報 特開2002−328224号公報 特開2001−15472号公報
しかしながら、特許文献1に記載のアルカリ処理では、廃液等の環境負荷や高濃度のアルカリ溶液を使用することによる安全面での問題があった。また、独立した大型の設備が必要となるため、工程が複雑化するという欠点もあった。
また特許文献2に記載のコロナ処理やUVオゾン処理では、アルカリ処理のような環境や安全面での問題や工程の複雑化といった問題は比較的少ないものの、コロナ処理は、密着性の効果が弱いという欠点があった。また、UVオゾン処理は、処理時間が遅いという欠点があった。
また、特許文献3に記載の紫外線処理では、環境や安全面の問題は比較的少ないものの、被処理物によっては劣化することもあった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、基材フィルム上に形成されたハードコート膜上に、該ハードコート膜の組成分とは異なる組成分からなる塗液を塗布し機能膜を形成させるに際しても、環境面や安全面に優れ、より簡略化された工程で、短時間で処理でき、かつ劣化を抑制しながらハードコート膜と機能膜との密着性を向上できる、ハードコート膜の表面改質方法とこれより得られるハードコート膜、これを有する光学フィルムとその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、規定された酸素濃度及び積算光量のもと、ハードコート膜の表面を紫外線処理することで、環境面や安全面に問題がなく、より簡略化された工程で、短時間で処理でき、かつハードコート膜の劣化を抑制しながら、機能膜との密着性を向上させることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のハードコート膜の表面改質方法は、ハードコート膜の表面に紫外線処理を施すハードコート膜の表面改質方法であって、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度が3〜10%、紫外線ランプ直下での紫外線の積算光量が800〜2000mJ/cmであることを特徴とする。
ここで、前記紫外線が波長172nmのエキシマ紫外線であることが好ましい。
また、本発明のハードコート膜は、前記ハードコート膜の表面改質方法により紫外線処理を施されたハードコート膜であって、液体が浸透して形成される厚さ5〜100nmの改質層を一方の表面近傍に備えることを特徴とする。
さらに、本発明の光学フィルムは、基材フィルムと、基材フィルム上に形成されたハードコート膜と、ハードコート膜上に形成された機能膜とを有する光学フィルムであって、前記ハードコート膜は、前記ハードコート膜の表面改質方法により紫外線処理を施され、前記機能膜が、前記ハードコート膜の組成分とは異なる組成分からなる塗液を塗布することにより形成されることを特徴とする。
また、本発明の光学フィルムの製造方法は、基材フィルム上にハードコート膜を形成する工程と、ハードコート膜の表面を紫外線処理する工程と、ハードコート膜上に機能膜を形成する工程とを有し、前記ハードコート膜の表面を紫外線処理する工程にて、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度を3〜10%、紫外線ランプ直下での紫外線の積算光量を800〜2000mJ/cmとすることを特徴とする。
本発明によれば、基材フィルム上に形成されたハードコート膜上に、該ハードコート膜の組成分とは異なる組成分からなる塗液を塗布し機能膜を形成させるに際しても、環境面や安全面に優れ、より簡略化された工程で、短時間で処理でき、かつ劣化を抑制しながらハードコート膜と機能膜との密着性を向上できるハードコート膜の表面改質方法とこれより得られるハードコート膜、これを有する光学フィルムとその製造方法を提供できる。
はじめに、本発明のハードコート膜について説明する。
ハードコート膜は、後述する基材フィルムの表面の硬度を向上させ、光学フィルムとした際の機械的強度を改善するために、基材フィルムの表面に形成される。なお、ハードコート膜上には、後述する機能膜がさらに形成される。
ハードコート膜を構成する成分としては、特に制限されないが、溶剤系であることが好ましい。例えば、活性エネルギー線硬化単量体を硬化した活性エネルギー線硬化樹脂、有機ケイ素や金属アルコキシドを熱硬化した硬化物、アニオン重合によって得られたエポキシ樹脂などが挙げられ、中でも活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。なお、活性エネルギー線硬化樹脂を構成する活性エネルギー線硬化単量体とは、活性エネルギー線が照射された際に光重合開始剤によって重合し、硬化するものである。
活性エネルギー線硬化樹脂単量体としては、たとえば、多価アルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステル等の多官能性のアクリレート樹脂、ジイソシアネート、多価アルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル等から合成される多官能性のウレタンアクリレート樹脂等の活性エネルギー線硬化樹脂を構成する単量体が挙げられる。
光重合開始剤としては、活性エネルギー線が照射された際にラジカルを発生するものであればよく、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。光重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化単量体10〜80質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、1〜7質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましくい。
ハードコート膜は、例えば活性エネルギー線硬化樹脂からなる場合、活性エネルギー線硬化単量体を含有する単量体塗膜を形成させた後、該単量体塗膜に、酸素濃度P[kppm]と活性エネルギー線積算光量Q[mJ/cm]とが下記(式1)および(式2)を満たすように活性エネルギー線を照射して製造するのが望ましい。なお、酸素濃度とは、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度のことである。ここで、活性エネルギー線としては、例えば、紫外線が挙げられ、さらに紫外線を発する光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク、エキシマーランプ、エキシマーレーザ等を利用できる。
(式1) 0.01×Q−1.5<logP<0.01×Q+2.0
(式2) 0.025×Q−4.25<logP
ただし、P>0、Q>0である。
こうして得られるハードコート膜の厚さは、1〜10μmであることが好ましい。
基材フィルム上に形成されたハードコート膜と、該ハードコート膜上に形成される機能膜との密着性を向上させるために、ハードコート膜の表面に紫外線処理を施す。
通常、有機系被照射物に紫外線を照射すると、被処理面の分子の結合が切断されると共に、照射雰囲気中に含まれる酸素が紫外線を吸収することで生成する酸素ラジカル(活性酸素)が被処理面に作用して、切断された被処理面の分子と結合し、親水性の高い官能基(例えば、−OH、−COH、−COOH等。)に変換され、処理面が親水化される。
本発明においては、ハードコート膜に紫外線を照射してハードコート膜の表面分子に紫外線エネルギーを吸収させ、表面分子を切断することで、ハードコート膜に液体が浸透しやすくなり、結果、ハードコート膜と機能膜との密着性が向上する。
なお、ここでいう「液体」とは、後述する機能膜を構成する組成分を含む塗液のことである。
紫外線処理を施す際の、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度は3〜10%であり、5〜10%が好ましい。酸素濃度が上記範囲より多いと、酸素が紫外線の多くを吸収してしまい、紫外線がハードコート膜の表面に充分到達しなくなる。一方、酸素濃度が上記範囲よい少ないと、過剰の紫外線がハードコート膜の表面に到達し、表面が劣化する。いずれの場合も、ハードコート膜と機能膜との密着性が充分に得られなくなる。
また、紫外線ランプ直下での紫外線の積算光量は800〜2000mJ/cmであり、900〜1500mJ/cmが好ましい。積算光量が上記範囲より多いと、ハードコート膜の表面分子へのエネルギー量が過剰となり、表面劣化を招く。一方、積算光量が上記範囲より少ないと、紫外線エネルギー吸収による表面分子の切断が充分に行われなくなる。いずれの場合も充分な密着性が得られなくなる。
本発明に使用される紫外線としては、波長が172nmのエキシマ紫外線を用いるのが好ましい。一般的に、紫外線のエネルギーは有機物内の共有結合エネルギーよりも高いので、分子を切断することができる。特に、波長が172nmのエキシマ紫外線は、そのエネルギーがハードコート膜の表面分子の結合エネルギーより充分に大きく、表面分子を効率的に切断することが可能なため、好適である。
紫外線処理を施されたハードコート膜には、液体が浸透可能な改質層が一方の表面近傍に備わることが好ましい。改質層の厚さは、5〜100nmが好ましく、6〜30nmがより好ましい。改質層の厚さが上記範囲内となることにより、後述する塗液が改質層に浸透し、ハードコート膜と機能膜からなる浸透層を形成し、充分な密着性が得られる。
また、本発明においては、ハードコート膜に、アンチグレアと呼ばれる光拡散性能を持たせてもよい。アンチグレアの処理方法としては、例えば、平均粒径0.01〜3μmの無機あるいは有機物微粒子をハードコート膜に混合分散させる方法や、ハードコート膜の表面形状を凹凸にする方法等が挙げられる。前記微粒子は透明であれば特に限定されないが、低屈折率材料が好ましい。例えば、酸化珪素、フッ化マグネシウム等が安定性、耐熱性等の点で好ましい。
次に、本発明の光学フィルムについて説明する。
図1は、本発明の光学フィルムの一例を示す断面図である。この光学フィルム10は、基材フィルム11と、基材フィルム11上に形成されたハードコート膜12と、ハードコート膜12上に形成された機能膜13とを有するものである。この光学フィルム10において、ハードコート膜12は、上述した本発明のハードコート膜である。
光学フィルム10を構成する基材フィルム11としては、用途によって様々なものを使用することができる。基材フィルム11を構成する成分としては、例えば、アセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系フィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、基材フィルム11は、単層からなってもよいし、複数の層からなってもよい。
基材フィルム11の厚さは、10〜500μmであることが好ましい。
機能膜13は反射防止、防眩等の機能を有するものが好ましい。機能膜13を構成する成分としては、特に制限されないが、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、ポリビニルアルコール系、エポキシ系、シリコーン系等が挙げられる。このような成分を含む機能膜13の組成分は、上述したハードコート膜12の組成分とは大きく異なっている。
また、水系の成分であり、一般式Si(OR)(式中、Rはアルキル基である。) で表される有機珪素化合物もしくはそれからなる重合体により構成される機能膜13の場合、重合体を製造する方法は限定されないが、加水分解によって製造するにあたっての触媒としては塩酸、蓚酸、硝酸、酢酸、フッ酸、ギ酸、リン酸、蓚酸、アンモニア、アルミニウムアセトナート、ジブチルスズラウレート 、オクチル酸スズ化合物、メタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフロロ酢酸等が公知であり、これらを単独、又は2種類以上併せて用いてよい。
なお、上記一般式Si(OR)表される有機珪素化合物としてはSi(OCH、Si(OC 、Si(OC 、Si〔OCH(CH、Si(OC 等が例示でき、それらを単独にあるいは2種類以上併せて用いても良い。
このような成分から構成される機能膜13は、単層からなってもよいし、複数の層からなってもよい。
また、機能膜13の厚さは、0.01〜1μmであることが好ましい。
さらに、機能膜13には、シリカ、二酸化チタン等の微粒子や、フッ素系材料等の添加物が添加されてもよく、これにより、機能膜13の低屈折率化が可能となる。中でも、シリカ微粒子、特に、通常のシリカよりも屈折率の低い中空シリカ微粒子が好適に用いられる。中空シリカ微粒子は、機能膜13を構成する重合体等の成分が内部に侵入することがないので、屈折率の上昇を効果的に防ぐことができる。
中空シリカ微粒子の平均粒径は0.5〜200nmが好ましい。平均粒径が上記範囲より大きいと機能膜13の表面においてレイリ−散乱によって光が散乱し、白っぽく見えるようになり、透明性が低下する。また、平均粒径が上記範囲より小さいと中空シリカ微粒子が凝集しやすくなる。
機能膜13を構成する成分は、通常、揮発性溶媒で希釈して塗布される。希釈溶媒として用いられるものは、特に限定されないが、組成物の安定性、ハードコート膜12に対する揮発性などを考慮して、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N−メチルピロリドン;ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独、又は2種類以上の混合物として用いてよい。
光学フィルム10を製造するには、ハードコート膜12が活性エネルギー線硬化樹脂からなる場合、まず、活性エネルギー線硬化単量体等のハードコート膜の組成分を含む塗液を、基材フィルム11上に塗布して塗膜を形成し、次いで、この塗膜に活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させて、基材フィルム11上にハードコート膜12を形成させる。
なお、基材フィルム11上にハードコート膜12を形成する際の塗布方法としては、ウエットコーティング法(ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアードクターコーティング法、ブレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファーロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等)などを採用できる。
基材フィルム11上に形成したハードコート膜12には、上述したように紫外線処理を施す。ハードコート膜12の表面に紫外線を照射することにより、図2に示すような、液体が浸透可能な改質層12aがハードコート膜12の一方(基材フィルム11と接していない側)の表面近傍に形成される。なお、紫外線が照射されない部分は非改質層12bとなる。
次いで、ハードコート膜12上に、機能膜13の組成分を含む塗液を塗布して塗膜を形成し、加熱乾燥により塗膜中の溶媒を揮発させる。その後、加熱、加湿、紫外線照射、電子線照射等を行い、塗膜を硬化させ、機能膜13を形成させて、光学フィルム10を得る。
なお、ハードコート膜12上に機能膜13を形成する際の塗布方法としては、ウエットコーティング法(ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアードクターコーティング法、ブレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファーロールコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等)などを採用できる。
本発明の光学フィルム10にあっては、紫外線処理によりハードコート膜12に改質層12aが備わることにより、機能膜13の組成分を含む塗液が改質層12aに浸透しやすくなり、図3に示すような、浸透層12cが得られる。結果、ハードコート膜12と機能膜13は充分に密着する。
また、上述したように、紫外線処理されたハードコート膜12の表面は親水化されるため、機能膜13を構成する成分が水系であっても、充分な密着性が得られる。
なお、浸透層12cの厚さは5〜100nmが好ましく、6〜30nmがより好ましい。
このように、環境面や安全面にも優れ、より簡略化された工程で、短時間で処理できる紫外線処理を、ハードコート膜12に施すことにより、機能膜13との密着性が向上できる。また、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度と紫外線の積算光量を規定することにより、ハードコート膜12を劣化させることなく、優れた密着性が得られる。
こうして得られる光学フィルム10は、例えば、高硬度、反射防止、防眩などの機能を発現する。
[実施例1]
<光学フィルムの製造>
以下のようにして基材フィルム上にハードコート膜を成膜した。
まず、アクリル酸誘導体(共栄社製、「ライトアクリレートDPE−6A」)80質量部と光重合開始剤である1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ社製、「イルガキュア184」)5質量部とを、メチルエチルケトン50質量部中で混合して塗液を調製した。
次いで、この塗液を、基材フィルムとして厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(150mm×200mm)上にワイヤーバーで塗布し、70℃で1分間乾燥させた後、紫外線硬化させることで、ハードコート膜を形成した。
その後、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度3%、紫外線の積算光量1271mJ/cmにて、形成したハードコート膜表面にエキシマ紫外線を照射した。エキシマ紫外線装置としては、UEEX503(岩崎電気(株)製)を用い、大気圧下、ランプハウス窓面とフィルムとの距離を3mmに設定した。また、なお、紫外線ランプ直下における紫外線の積算光量は、ダイヤモンド紫外線モニタEVUV−200(岩崎電気(株)社製)を用いて測定した。
別途、テトラエトキシシラン40質量部と、低屈折率材料としてシリカフィラー20質量部と、触媒として1.0N−HCl20質量部とを、イソプロピルアルコール20質量部中で混合して低屈折率塗液(機能膜の塗液)を調整し、該塗液を紫外線処理を施したハードコート膜に塗布し、120℃で5分間乾燥させ、反射防止膜(機能膜)を形成させ、光学フィルムを得た。
<光学フィルムの評価>
得られた光学フィルムにおける、ハードコート膜と反射防止膜との密着性の評価を、以下の方法にて実施した。
(スチールウールテスト)
スチールウール(#0000)により、加重250gで10往復擦り、傷のつき方を目視評価した。傷のつき方は、以下の4段階で評価した。なお、傷を入れる箇所は5箇所とし、各箇所の評価の平均値を、密着性の指数とした。結果を表1と図4に示す。
4:傷を確認することが出来ない。
3:数本の傷を確認できる。
2:十数本の傷を確認できる。
1:多数の傷を確認できる。
(碁盤目剥離テスト)
碁盤目テープ(クロスカット)法により、100マスのうち剥離しなかった数(残存数)を数えた。結果を表1に示す。
(浸透層の厚さ測定)
透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、「H−8000」)による断面観察により、浸透層の厚さを測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
酸素濃度を表1に示す値に変化させた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造し、ハードコート膜と反射防止膜との密着性の評価を行った。スチールウールテストの結果を表1と図4に、その他の結果を表1に示す。
[比較例1〜16]
酸素濃度と積算光量を表1に示す値に変化させた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造し、ハードコート膜と反射防止膜との密着性の評価を行った。スチールウールテストの結果を表1と図4に、その他の結果を表1に示す。
[比較例17、18]
基材フィルム上に形成したハードコート膜表面に施す処理を、以下に示す2つの処理方法にした以外は、光学フィルムの製造1の同様にして光学フィルムを製造し、ハードコート膜と反射防止膜との密着性の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例15では、グロー放電によるプラズマ処理を行った。グロー放電によるプラズマ処理は、ADMASTER−350b(イー・スクエア社製)を用い、大気圧下でプラズマガス(窒素とクリーンドライエア、比率4000:3)を流した。
比較例16では、アルカリ処理を行った。アルカリ処理は、40℃の1.5N−NaOH溶液に5分間浸漬させ、その後、水洗し乾燥させた。
Figure 2008058536
表1、2および図4から明らかなように、実施例で得られた光学フィルムは、規定された紫外線照射雰囲気中の酸素濃度と紫外線の積算光量(酸素濃度3〜10%、積算光量800〜2000mJ/cm)のもと、ハードコート膜に紫外線処理を施すことで、ハードコート膜と機能膜との間の密着性が向上した。一方、比較例1〜17で得られた光学フィルムは、実施例の光学フィルムに比べて充分な密着性を得ることができなかった。
また、実施例で得られた光学フィルム(紫外線処理)は、比較例18で得られた光学フィルム(アルカリ処理)と同程度の密着性が得られたことから、アルカリ処理のもつ環境負荷や安全面での問題を解消でき、より簡略化された設備で表面改質を行うことが可能となった。
本発明の光学フィルムの一例を示す断面図である。 基材フィルムとハードコート膜を示す断面図である。 本発明の光学フィルムの他の例を示す断面図である。 紫外線照射雰囲気中の酸素濃度変化による紫外線の積算光量と密着性指数との関係を示した図である。
符号の説明
10:光学フィルム、11:基材フィルム、12:ハードコート膜、12a:改質層、12b:非改質層、12c:浸透層、13:機能膜

Claims (5)

  1. ハードコート膜の表面に紫外線処理を施すハードコート膜の表面改質方法であって、
    紫外線照射雰囲気中の酸素濃度が3〜10%、紫外線ランプ直下での紫外線の積算光量が800〜2000mJ/cmであることを特徴とするハードコート膜の表面改質方法。
  2. 前記紫外線が波長172nmのエキシマ紫外線であることを特徴とする請求項1に記載のハードコート膜の表面改質方法。
  3. 請求項1又は2に記載のハードコート膜の表面改質方法により紫外線処理を施されたハードコート膜であって、
    液体が浸透可能な、厚さ5〜100nmの改質層を一方の表面近傍に備えることを特徴とするハードコート膜。
  4. 基材フィルムと、基材フィルム上に形成されたハードコート膜と、ハードコート膜上に形成された機能膜とを有する光学フィルムであって、
    前記ハードコート膜は、請求項1又は2に記載のハードコート膜の表面改質方法により紫外線処理を施され、
    前記機能膜が、前記ハードコート膜の組成分とは異なる組成分からなる塗液を塗布することにより形成されることを特徴とする光学フィルム。
  5. 基材フィルム上にハードコート膜を形成する工程と、ハードコート膜の表面を紫外線処理する工程と、ハードコート膜上に機能膜を形成する工程とを有し、
    前記ハードコート膜の表面を紫外線処理する工程にて、紫外線照射雰囲気中の酸素濃度を3〜10%、紫外線ランプ直下での紫外線の積算光量を800〜2000mJ/cmとすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。


JP2006234528A 2006-08-30 2006-08-30 ハードコート膜の表面改質方法、光学フィルムの製造方法 Active JP5233098B2 (ja)

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