JP2008058285A - 生体関連物質の検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多数の試料の解析に好適であり、低濃度の生体関連物質を高感度かつ高精度に検出できる方法を提供する。
【解決手段】生体関連物質40を含有している可能性のある試料と、該生体関連物質に特異的に結合する抗体A11を支持体10上に有する固相支持体1と、前記抗体A11が結合する部位とは異なる部位で該生体関連物質40に特異的に結合する抗体B37を有しかつ蛍光色素30で標識された蛍光標識複合体3とを混合した後、生体関連物質40を介して固相支持体1に結合していない前記蛍光標識複合体を除去し、次いで残存物に対して前記蛍光標識複合体を分解する処理を行ってから、該分解処理物由来の蛍光色素30の数および/または総蛍光量を測定することを特徴とする生体関連物質の検出方法。蛍光標識複合体3に代わり抗体B37を混合してから、蛍光色素30を含む標識体を混合して、蛍光標識複合体3を形成しても良い。
【選択図】図4
【解決手段】生体関連物質40を含有している可能性のある試料と、該生体関連物質に特異的に結合する抗体A11を支持体10上に有する固相支持体1と、前記抗体A11が結合する部位とは異なる部位で該生体関連物質40に特異的に結合する抗体B37を有しかつ蛍光色素30で標識された蛍光標識複合体3とを混合した後、生体関連物質40を介して固相支持体1に結合していない前記蛍光標識複合体を除去し、次いで残存物に対して前記蛍光標識複合体を分解する処理を行ってから、該分解処理物由来の蛍光色素30の数および/または総蛍光量を測定することを特徴とする生体関連物質の検出方法。蛍光標識複合体3に代わり抗体B37を混合してから、蛍光色素30を含む標識体を混合して、蛍光標識複合体3を形成しても良い。
【選択図】図4
Description
本発明は、タンパク質等の生体関連物質を、高感度かつ高精度に検出する方法に関する。
臨床検査の分野では、例えば、血液、尿などの生体試料中に含有されるタンパク質、抗原または抗体などを検出あるいは定量することによって、様々な疾患の診断を行っている。また、衛生検査の分野では、例えば、BSE感染牛の特定方法として、牛の脊柱などの特定部位における変異型プリオンの検出有無が診断基準とされている。また、生化学研究の分野では、例えば、細胞抽出物や細胞培養上清などの試料中に含まれる微量のサイトカインなどの目的物質の検出または定量が求められている。そして、これらの検査や研究を確実に行うために、感度、再現性および精度が高く、多量のサンプルをスクリーニング解析できる方法が求められている。
臨床検査や衛生検査の分野においては、目的物質の検出または定量に、例えば、酵素反応を利用する生化学測定法が利用され、なかでもサンドイッチELISA(Enzyme−Linked Immuno Sorbent Assay)法が代表的な方法として知られている(非特許文献1参照)。
また、共焦点光学系顕微鏡と蛍光検出を利用した分子間相互作用解析法である1分子蛍光分析法は、目的物質を正確に再現性よく、迅速かつ簡便に測定でき、自動分析装置への適用が可能である。例えば、蛍光標識した抗体または抗原と結合する目的物質を検出または定量する方法(特許文献1参照)、蛍光標識したDNAなどと結合する目的物質を検出または定量する方法(特許文献2参照)が開示されており、主に生化学研究の分野で利用されている。
J.Immunol.Methods,74: 39 1984 特開2005−337805号公報
特開2005−006566号公報
J.Immunol.Methods,74: 39 1984
しかし、非特許文献1に記載の方法をはじめとするELISA法を利用する方法では、酵素−基質反応を行う際、各試料間で作業時間の差がわずかでも生じると、各試料間で発光量に大きな誤差が生じてしまう。そして、多数の試料を解析する場合には、このような時間差が生じ易いため、例えば、スクリーニング解析などには適さないという問題点があった。また、酵素−基質反応後の発色を検出して目的物質の定量を行う場合には、定量できる目的物質の濃度範囲が限られるという問題点があった。例えば、Human Transferrin ELISA Quantitation Kit(商品名;BETHYL Laboratories社製)の定量可能な濃度範囲は、3.9〜250ng/mLであり、ダイナミックレンジが2桁と狭い。
一方、特許文献1および2に記載の方法をはじめとする1分子蛍光分析法を利用する方法では、高精度に目的物質を検出するためには、共焦点領域内に蛍光色素が0.5個以上存在することが必要となる。したがって、例えば、共焦点領域が1fL(フェムトリットル)の場合は、濃度が0.5nM以下程度の微量な目的物質を検出することが困難であるという問題点があった。
一方、特許文献1および2に記載の方法をはじめとする1分子蛍光分析法を利用する方法では、高精度に目的物質を検出するためには、共焦点領域内に蛍光色素が0.5個以上存在することが必要となる。したがって、例えば、共焦点領域が1fL(フェムトリットル)の場合は、濃度が0.5nM以下程度の微量な目的物質を検出することが困難であるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、多数の試料の解析に好適であり、低濃度の生体関連物質を高感度かつ高精度に検出できる方法を提供することを課題とする。
すなわち、上記課題を解決するため、
請求項1に記載の発明は、生体関連物質を含有している可能性のある試料と、該生体関連物質に特異的に結合する抗体Aを支持体上に有する固相支持体と、前記抗体Aが結合する部位とは異なる部位で該生体関連物質に特異的に結合する抗体Bを有しかつ蛍光色素で標識された蛍光標識複合体とを混合した後、あるいは生体関連物質を含有している可能性のある試料と、該生体関連物質に特異的に結合する抗体Aを支持体上に有する固相支持体と、前記抗体Aが結合する部位とは異なる部位で該生体関連物質に特異的に結合する抗体Bとを混合してから、該抗体Bと結合する蛍光色素標識体を混合して、前記抗体Bおよび前記蛍光色素を有する蛍光標識複合体を形成した後、生体関連物質を介して固相支持体に結合していない前記蛍光標識複合体を除去し、次いで残存物に対して前記蛍光標識複合体を分解する処理を行ってから、該分解処理物由来の蛍光色素の数および/または総蛍光量を測定することを特徴とする生体関連物質の検出方法である。
請求項2に記載の発明は、前記分解処理を、タンパク質分解酵素、酸およびアルカリのいずれかを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の生体関連物質の検出方法である。
請求項3に記載の発明は、前記蛍光標識複合体が、複数の蛍光色素で標識されていることを特徴とする請求項1または2に記載の生体関連物質の検出方法である。
請求項4に記載の発明は、前記固相支持体の支持体が、微粒子状または容器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体関連物質の検出方法である。
請求項5に記載の発明は、蛍光強度分布法、蛍光相関分光法、蛍光強度分布−偏光度測定法、蛍光偏光度測定法および蛍光測定法のいずれかで、前記蛍光色素の数または総蛍光量を測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体関連物質の検出方法である。
請求項1に記載の発明は、生体関連物質を含有している可能性のある試料と、該生体関連物質に特異的に結合する抗体Aを支持体上に有する固相支持体と、前記抗体Aが結合する部位とは異なる部位で該生体関連物質に特異的に結合する抗体Bを有しかつ蛍光色素で標識された蛍光標識複合体とを混合した後、あるいは生体関連物質を含有している可能性のある試料と、該生体関連物質に特異的に結合する抗体Aを支持体上に有する固相支持体と、前記抗体Aが結合する部位とは異なる部位で該生体関連物質に特異的に結合する抗体Bとを混合してから、該抗体Bと結合する蛍光色素標識体を混合して、前記抗体Bおよび前記蛍光色素を有する蛍光標識複合体を形成した後、生体関連物質を介して固相支持体に結合していない前記蛍光標識複合体を除去し、次いで残存物に対して前記蛍光標識複合体を分解する処理を行ってから、該分解処理物由来の蛍光色素の数および/または総蛍光量を測定することを特徴とする生体関連物質の検出方法である。
請求項2に記載の発明は、前記分解処理を、タンパク質分解酵素、酸およびアルカリのいずれかを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の生体関連物質の検出方法である。
請求項3に記載の発明は、前記蛍光標識複合体が、複数の蛍光色素で標識されていることを特徴とする請求項1または2に記載の生体関連物質の検出方法である。
請求項4に記載の発明は、前記固相支持体の支持体が、微粒子状または容器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体関連物質の検出方法である。
請求項5に記載の発明は、蛍光強度分布法、蛍光相関分光法、蛍光強度分布−偏光度測定法、蛍光偏光度測定法および蛍光測定法のいずれかで、前記蛍光色素の数または総蛍光量を測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体関連物質の検出方法である。
本発明により、低濃度の生体関連物質を高感度かつ高精度に広いダイナミックレンジで検出することができる。また、解析に供する試料が多数でも迅速に検出できるので、スクリーニング解析を安価に行うことができる。
以下、本発明について、詳しく説明する。
本発明において生体関連物質とは、タンパク質、サイトカイン、抗原および抗体など、生体に由来する物質あるいはこれらを化学修飾したものを指す。
そして、生体関連物質を含有している可能性のある試料としては、血液、尿などの液状の生体試料を採取してそのまま用いても良いし、これらの生体試料に適宜濃度調整あるいは成分調整等の処理を行ってから用いても良いし、緩衝液等に生体試料を添加して用いても良い。さらには生体組織を適宜液状に加工して用いても良い。
本発明において生体関連物質とは、タンパク質、サイトカイン、抗原および抗体など、生体に由来する物質あるいはこれらを化学修飾したものを指す。
そして、生体関連物質を含有している可能性のある試料としては、血液、尿などの液状の生体試料を採取してそのまま用いても良いし、これらの生体試料に適宜濃度調整あるいは成分調整等の処理を行ってから用いても良いし、緩衝液等に生体試料を添加して用いても良い。さらには生体組織を適宜液状に加工して用いても良い。
試料中には、検出対象の生体関連物質以外にも、本発明の効果を妨げないものであれば、如何なる成分が含有されていても良い。
また、試料中に生体関連物質が含有されている場合には、試料中における該生体関連物質の濃度が、例えば、従来は検出が困難であった0.5nM以下程度のような極めて低いものでも検出することができる。
また、試料中に生体関連物質が含有されている場合には、試料中における該生体関連物質の濃度が、例えば、従来は検出が困難であった0.5nM以下程度のような極めて低いものでも検出することができる。
本発明において抗体Aとは、前記生体関連物質に特異的に結合する抗体であり、支持体に固定化できるものであれば特に限定されない。由来する動物種も特に限定されるものではなく、例えば、ヒト、マウス、ウサギなどいずれの動物種に由来するものであっても良い。また、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体のいずれであっても良い。
なお、本発明において特異的結合とは、例えば、抗原−抗体あるいはビオチン−アビジンなど、特定の物質間で選択的に形成される、特異性の高い分子間力に基づく結合のことを指す。
抗体Bとは、前記生体関連物質に特異的に結合する抗体であり、蛍光色素で標識できる
ものであれば特に限定されない。そして、抗体Bとしては、前記抗体Aと同様のものを用いることができる。ただし、抗体Aと抗体Bは、生体関連物質中の互いに異なる部位に、特異的に結合するものである。
ものであれば特に限定されない。そして、抗体Bとしては、前記抗体Aと同様のものを用いることができる。ただし、抗体Aと抗体Bは、生体関連物質中の互いに異なる部位に、特異的に結合するものである。
本発明において固相支持体とは、不溶性の支持体上に前記抗体Aが固定化されたものである。すなわち、抗体Aは化学結合により支持体に結合されているか、または支持体に吸着されている。化学結合により支持体に結合させる場合には、抗体Aは直接あるいはリンカーを介して支持体に結合させることができる。
支持体の形状は特に限定されないが、取り扱い、作製および入手の容易さ等の観点から、微粒子状または容器であることが好ましい。
図1は、微粒子状の支持体上に抗体Aが固定化された固相支持体を例示する図である。支持体10には、抗体A11が、その生体関連物質を特異的に認識する部位110を外側へ向けて四つ固定化されて、固相支持体1とされている。
図1では、支持体10に結合されている抗体A11の数は四つであるが、数はこれに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で多い方が好ましい。
また、抗体A11の数が、例えば図1に示すように比較的少ない場合には、特異的認識部位110は、可能な限り互いに離れていることが好ましい。このようにすることで、一つの固相支持体に、生体関連物質をより効率的に結合させることができる。
図1では、支持体10に結合されている抗体A11の数は四つであるが、数はこれに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で多い方が好ましい。
また、抗体A11の数が、例えば図1に示すように比較的少ない場合には、特異的認識部位110は、可能な限り互いに離れていることが好ましい。このようにすることで、一つの固相支持体に、生体関連物質をより効率的に結合させることができる。
検出対象の生体関連物質が複数種類である場合には、抗体Aとして、これら生体関連物質の種類に対応して複数種類の抗体を用いても良い。
微粒子状の支持体としては、コロイド粒子のように溶液中で分散する微粒子が好適である。このようなものとして、例えば、ラテックス粒子が好適に用いられるが、これに限定されない。また、粒径は特に限定されないが、例えば、0.1〜10.0μmであると、水溶液中において安定した凝集物が得られ易く、後で述べるように、生体関連物質を介して固相支持体に結合されていない蛍光標識複合体を除去し易い。
ラテックス粒子は主にポリスチレンから成り、親水性と分散性とを高めるためメタクリル酸が共重合されている。ラテックス粒子には、表面に官能基がないプレーンタイプと官能基を有する官能基タイプがある。プレーンタイプの表面の荷電はメタクリル酸の存在のため負の電荷を有しており、タンパク質分子中の正の電荷を持つ領域とイオン結合することができる。また、タンパク質分子と疎水結合させることも可能である。プレーンタイプのラテックス粒子は、タンパク質と混合するだけでタンパク質を吸着するので、タンパク質の固定化操作が容易であり、抗体Aの固定化に好適である。
官能基を有するラテックス粒子は、表面にカルボキル基やアミノ基等が露出するように設計されており、様々なタイプの官能基タイプラテックス粒子が利用可能である。官能基タイプラテックス粒子に抗体Aを結合させる場合は、官能基タイプラテックス粒子中の官能基と、抗体Aの官能基を結合させれば良く、従来公知の方法を適用することができる。例えば、水溶性カルボジイミドでカルボン酸とアミノ基を結合させるEDAC方法、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(EDC)とN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)とをあらかじめ混合してカルボン酸とアミノ基とを結合させる方法、双極性を有するリンカーを用いてアミノ基同士を架橋する方法、活性化したアルデヒド基やトシル基と抗体A中の官能基を結合する方法等がある。本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知のいかなる方法を用いても良いが、特にEDAC法が好ましい。そして、プレーンタイプのラテックス粒子同様、抗体Aの固定化に、官能基タイプラテックス粒子は好適に用いられる。
なお、ラテックス粒子以外の微粒子であっても、微粒子の種類に応じて、従来公知の方法によって抗体Aを固定化させることができる。
なお、ラテックス粒子以外の微粒子であっても、微粒子の種類に応じて、従来公知の方法によって抗体Aを固定化させることができる。
本発明においては、支持体として磁性微粒子も用いることができる。
用いる磁性微粒子としては、例えば、四酸化三鉄(Fe3 O4 )、三酸化二鉄(γ−Fe2 O3 )、各種フェライト、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロムなどの金属あるいはコバルト、ニッケル、マンガンなどを含む合金からなる磁性微粒子、又はこれら磁性微粒子を内部に含んだポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカプラミド、ポリエチレンテレフタレートなどの疎水性重合体、若しくはポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(2−オキシエチルアクリレート)、ポリ(2−オキシエチルメタクリレート)、ポリ(2,3−ジオキシプロピルアクリレート)、ポリ(2,3−ジオキシプロピルメタクリレート)、ポリエチレングリコールメタクリレートなどの架橋した親水性重合体、又は前記重合体のモノマーの2−4種程度の共重合体などのラテックス、ゼラチン、リポソーム、あるいは前記磁性微粒子をラテックス、ゼラチン、リポソームなどの表面に固定化した粒子などが挙げられる。
磁性微粒子の粒径は特に限定されないが、例えば、0.1μm〜20μmであるものを用いることができる。
用いる磁性微粒子としては、例えば、四酸化三鉄(Fe3 O4 )、三酸化二鉄(γ−Fe2 O3 )、各種フェライト、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロムなどの金属あるいはコバルト、ニッケル、マンガンなどを含む合金からなる磁性微粒子、又はこれら磁性微粒子を内部に含んだポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカプラミド、ポリエチレンテレフタレートなどの疎水性重合体、若しくはポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(2−オキシエチルアクリレート)、ポリ(2−オキシエチルメタクリレート)、ポリ(2,3−ジオキシプロピルアクリレート)、ポリ(2,3−ジオキシプロピルメタクリレート)、ポリエチレングリコールメタクリレートなどの架橋した親水性重合体、又は前記重合体のモノマーの2−4種程度の共重合体などのラテックス、ゼラチン、リポソーム、あるいは前記磁性微粒子をラテックス、ゼラチン、リポソームなどの表面に固定化した粒子などが挙げられる。
磁性微粒子の粒径は特に限定されないが、例えば、0.1μm〜20μmであるものを用いることができる。
磁性微粒子に抗体Aを固定化する方法としては、抗体Aを物理的に吸着させる方法、あるいは化学結合により結合させる方法が挙げられる。
物理的に吸着させる方法としては、例えば、磁性微粒子に、抗体Aを直接吸着させる方法、抗体Aをアルブミンなどの他のタンパク質に化学的に結合させてから吸着させる方法が挙げられる。
化学結合により結合させる方法としては、例えば、磁性微粒子の表面に存在するアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、エポキシ基などの各種官能基を活性化して、抗体A中の各種官能基と結合させて、直接磁性微粒子上に抗体Aを固定化する方法、磁性微粒子と抗体Aとをスペーサー分子を介して化学結合させることで固定化する方法、アルブミンなどの他のタンパク質に抗体Aを化学結合させた後、該タンパク質を磁性微粒子に化学結合させる方法が挙げられる。ここで化学結合させる方法は、いずれも従来公知の方法を適用すれば良い。
容器である支持体(以下、単に「容器」と略記することがある)としては、例えば、96ウェルマイクロプレートのような、複数のウェルを容器として備えたものを挙げることができる。そして、抗体Aを固定化する容器の部位は、容器内表面であれば特に限定されないが、後に述べる洗浄および除去等の操作を簡便に行うことができることから底面であることが好ましい。図2は、一つのウェルに抗体Aが固定化されている様子を例示する断面図である。固相支持体2は、複数のウェル21が設けられた支持体20に抗体A11が固定化されたものである。具体的には、抗体A11は、その生体関連物質を特異的に認識する部位110を外側へ向けて、ウェル21の底面に固定化されている。図2では、四つの抗体A11がウェル21の底面に固定化されている様子を示しているが、このウェル21には、実際にはもっと多数の抗体A11が固定化されていても良く、その数は、本発明の効果を損なわない範囲で多い方が好ましい。
また、抗体A11の数が、例えば図2に示すように比較的少ない場合には、特異的認識部位110は、可能な限り互いに離れていることが好ましい。このようにすることで、一つの固相支持体に、生体関連物質をより効率的に結合させることができる。
一方、図2では、ウェルの底面は曲面からなるものを例示しているが、これに限定されるものではない。
また、抗体A11の数が、例えば図2に示すように比較的少ない場合には、特異的認識部位110は、可能な限り互いに離れていることが好ましい。このようにすることで、一つの固相支持体に、生体関連物質をより効率的に結合させることができる。
一方、図2では、ウェルの底面は曲面からなるものを例示しているが、これに限定されるものではない。
このような、複数のウェルが備えられた支持体からなる固相支持体を用いれば、多数の試料の解析を複数のウェル内で同時に行うことができるので、解析効率が飛躍的に高まり好ましい。ただしもちろん、ウェルの数は96に限定されるものではない。この場合、一つのウェルの容量は0.1〜0.5mlであることが好ましい。
容器は、透明、半透明、着色したものなどいずれでも良い。材質としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、メチルペンテン樹脂(TPX) 、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩化ビニル樹脂等のプラスチック等が挙げられる。そして、金型成型等の従来公知の方法によって成型すれば良い。
容器に抗体Aを固定化する方法としては、先に述べた微粒子状の支持体に抗体Aを結合する方法を適用することができ、支持体の材質および結合させる抗体Aの種類に応じて適宜選択すればよい。
本発明において蛍光標識複合体とは、前記抗体Bを有し蛍光標識されたものであれば良い。このようなものを図3に例示する。
図3(a)は、抗体B310に蛍光色素30が結合されてなる蛍光標識複合体31を示す図である。蛍光色素30は、抗体B310に直接結合されていても良いし、リンカーを介して結合されていても良い。蛍光色素30を抗体B310に結合させる場合は、従来公知の方法を用いれば良く、例えば、先に述べた抗体Aを支持体に固定化する手法を適用しても良い。
図3(a)は、抗体B310に蛍光色素30が結合されてなる蛍光標識複合体31を示す図である。蛍光色素30は、抗体B310に直接結合されていても良いし、リンカーを介して結合されていても良い。蛍光色素30を抗体B310に結合させる場合は、従来公知の方法を用いれば良く、例えば、先に述べた抗体Aを支持体に固定化する手法を適用しても良い。
また、抗体B310への蛍光色素30の結合位置は、抗体B310の特異的認識部位3101から離れていることが好ましい。このようにすることで、蛍光標識複合体31の生体関連物質への特異的結合が阻害されることがない。また、図3(a)では、抗体B310に結合されている蛍光色素30の数は四つであるが、数はこれに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で多い方が好ましい。そして、作製の容易さも考慮すると、三〜五つ程度が好適である。
図3(b)は、二次抗体3210を蛍光色素30で標識した蛍光標識二次抗体321が、抗体B320に結合されてなる蛍光標識複合体32を示す図である。蛍光色素30は、二次抗体3210に直接結合されていても良いし、リンカーを介して結合されていても良い。蛍光色素30を二次抗体3210に結合させる場合は、蛍光色素30を抗体B310に結合させる方法を適用すれば良い。
また、二次抗体3210への蛍光色素30の結合位置は、二次抗体3210の抗体B320への結合位置でなければどこでも良い。そして、二次抗体3210中の抗体B320への結合位置は特に限定されない。ただし、二次抗体3210が抗体B320へ結合する位置は、抗体B320の特異的認識部位3201から離れていることが好ましい。このようにすることで、蛍光標識複合体32の生体関連物質への特異的結合が阻害されることがない。
二次抗体3210の抗体B320への結合は従来公知の方法で行えば良く、例えば、これら抗体間に化学結合を形成させることで行っても良いし、これら抗体を吸着、疎水結合等の化学結合以外の方法で結合させても良い。用いる抗体の組み合わせにより適宜選択すれば良い。
また、二次抗体3210は、抗体B320への結合が可能なものであれば、必ずしもすべて同じ種類である必要はないが、すべて同じ種類である方が、蛍光標識複合体の調製が容易であるので好ましい。
また、二次抗体3210は、抗体B320への結合が可能なものであれば、必ずしもすべて同じ種類である必要はないが、すべて同じ種類である方が、蛍光標識複合体の調製が容易であるので好ましい。
一方、図3(b)では、二次抗体3210に結合されている蛍光色素30の数はいずれも四つであるが、数はこれに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で多い方が好ましい。そして、作製の容易さも考慮すると、三〜五つ程度が好適である。また、それぞれの蛍光標識二次抗体321ごとに、結合されている蛍光色素30の数が異なっていても良い。
さらに、図3(b)では、抗体B320に結合されている蛍光標識二次抗体321の数は四つであるが、数はこれに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で多い方が好ましい。
図3(c)は、ポリリジン3310を蛍光色素30で標識した蛍光標識ポリリジン331が、抗体B330に結合されてなる蛍光標識複合体33を示す図である。ただし、ポリリジン3310中の点線は、ポリリジン鎖を一部省略して表示したものである。蛍光色素30は、ポリリジン3310に直接結合されていても良いし、リンカーを介して結合されていても良く、従来公知の方法で結合させれば良い。
また、ポリリジン3310への蛍光色素30の結合位置は、ポリリジン3310の抗体B330への結合位置でなければどこでも良い。そして図3(c)では、ポリリジン3310がその分子末端で抗体B330へ結合している様子を示しているが、ポリリジン3310中の抗体B330への結合位置は、特に限定されない。ただし、抗体B330中におけるポリリジン3310の結合位置は、抗体B330の特異的認識部位3301から離れていることが好ましい。このようにすることで、蛍光標識複合体33の生体関連物質への特異的結合が阻害されることがない。
ポリリジン3310は、抗体B330に直接結合されていても良いし、リンカーを介して結合されていても良い。そして、ポリリジン3310の抗体B330への結合方法は特に限定されず、例えば、従来公知の方法で化学結合を形成させても良いし、吸着あるいは疎水結合等の化学結合以外の方法で結合させても良い。
ポリリジン3310に結合されている蛍光色素30の数は特に限定されないが、本発明の効果を損なわない範囲で多い方が好ましい。
また、図3(c)では、抗体B330に結合されている蛍光標識ポリリジン331の数は一つであるが、数はこれに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で複数であっても良い。この場合、それぞれの蛍光標識ポリリジン331ごとに、結合されている蛍光色素30の数が異なっていても良い。さらに、蛍光標識ポリリジン331の種類は、抗体B330への結合が可能なものであれば、必ずしもすべて同じ種類である必要はないが、すべて同じ種類である方が、蛍光標識複合体の調製が容易であるので好ましい。
ポリリジン3310の分子量は特に限定されないが、1kDa〜300kDaであることが好ましい。そして、抗体Bと生体関連物質との結合は水溶液中で行うことが多いので、蛍光標識ポリリジン331は、水溶性であることが好ましい。
またここでは、蛍光色素30を結合するものとしてポリリジンを示したが、ポリリジンに代わり、それ以外のタンパク質、ペプチド、抗体あるいはこれらの類縁体等を用いても良い。
またここでは、蛍光色素30を結合するものとしてポリリジンを示したが、ポリリジンに代わり、それ以外のタンパク質、ペプチド、抗体あるいはこれらの類縁体等を用いても良い。
図3(d)は、図3(c)に示した蛍光標識複合体のうちのさらに一例を示す図である。具体的には、蛍光標識ポリリジン331がプロテインA/G35を介して抗体B330へ結合された蛍光標識複合体33を示している。これは、抗体BがプロテインA/Gに親和性を有していることを利用したものであり、あらかじめポリリジンをプロテインA/Gに結合させておけば、プロテインA/Gを介してポリリジンを容易に抗体Bに結合させることができる。ポリリジンとプロテインA/Gを結合させる方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用すれば良い。なお、ここでは、プロテインA/Gを用いた例を示しているが、ポリリジンと結合可能でありかつ抗体Bに親和性を有するものであれば、他のタンパク質あるいは化学物質を用いることもできる。
また、図3(e)は、図3(c)に示した蛍光標識複合体のうちのさらに他の例を示す図である。具体的には、蛍光標識ポリリジン331がビオチン−アビジン複合体36を介して抗体B330へ結合された蛍光標識複合体33を示している。蛍光標識ポリリジン331の分子末端にアビジンが結合されたもの、および抗体B330の特異的結合部位3301以外の部位にビオチンが結合されたものをそれぞれ用いれば、ビオチン−アビジンの特異的結合形成能に従い、蛍光標識ポリリジン331および抗体B330が結合される。
蛍光標識ポリリジン331へのアビジンの結合および抗体Bへのビオチンの結合は、従来公知の方法を適用すれば容易に行うことができる。
なお、ビオチンに代わってストレプトアビジンを用いることもでき、この場合、蛍光標識複合体の調製もビオチンを用いた場合と同様に行うことができる。
蛍光標識ポリリジン331へのアビジンの結合および抗体Bへのビオチンの結合は、従来公知の方法を適用すれば容易に行うことができる。
なお、ビオチンに代わってストレプトアビジンを用いることもでき、この場合、蛍光標識複合体の調製もビオチンを用いた場合と同様に行うことができる。
図3(f)は、ポリマー3410を蛍光色素30で標識した蛍光標識ポリマー341が、抗体B340に結合されてなる蛍光標識複合体34を示す図である。ここでポリマーとは、タンパク質、ペプチド、抗体およびこれらの類縁体を除く高分子化合物のことを指す。ただし、ポリマー3410中の点線は、ポリマー鎖を一部省略して表示したものである。蛍光色素30は、ポリマー3410の主鎖中に挿入されている。
ポリマー3410への蛍光色素30の挿入位置は、ポリマー3410の抗体B340への結合位置でなければどこでも良い。そして、ポリマー3410中の抗体B340への結合位置は特に限定されない。ただし、抗体B340中におけるポリマー3410の結合位置は、抗体B340の特異的認識部位3401から離れていることが好ましい。このようにすることで、蛍光標識複合体34の生体関連物質への特異的結合が阻害されることがない。
ポリマー3410を抗体B340に結合させる場合は、従来公知の方法を用いれば良く、例えば、先に述べた抗体Aを支持体に固定化する手法を適用しても良い。
ポリマー3410に挿入されている蛍光色素30の数は特に限定されないが、本発明の効果を損なわない範囲で多い方が好ましい。
また、図3(f)では、抗体B340に結合されている蛍光標識ポリマー341の数は一つであるが、数はこれに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で複数であっても良い。この場合、それぞれの蛍光標識ポリマー341ごとに、結合されている蛍光色素30の数が異なっていても良い。さらに、蛍光標識ポリマー341の種類は、抗体B340への結合が可能なものであれば、必ずしもすべて同じ種類である必要はないが、すべて同じ種類である方が、蛍光標識複合体の調製が容易であるので好ましい。
ポリマー3410の分子量は特に限定されないが、50kDa以上であることが好ましい。そして、抗体Bと生体関連物質との結合は水溶液中で行うことが多いので、蛍光標識ポリマー341は、水溶性が高い方が好ましい。
また、ここでは図示を省略しているが、ポリマーに蛍光色素30を直接あるいはリンカーを介して結合したもの、すなわち、図3(c)のポリリジンに代わってその他のポリマーを用いたものを抗体B340に結合させても良い。この場合は、蛍光色素がポリマーの主鎖中に挿入されていない点を除けば、前記蛍光標識ポリマー341と同様にして抗体B340を標識すれば良い。
図3(a)〜(f)に示したものをはじめとする蛍光標識複合体として、蛍光色素を多数含むものを用いれば、検出対象である生体関連物質を、その試料中における量が微量でも、高感度に検出することができる。例えば、蛍光標識複合体中における蛍光色素の数は、蛍光色素の種類にもよるが、少なくとも数百個程度あれば、このような高感度検出に好適である。
例えば、図3(c)〜(f)に示すような、多数の蛍光色素を有する標識物質を抗体Bに結合させた蛍光標識複合体は、多数の蛍光色素を一つの抗体Bに一度に結合させることができるので、高感度であるという利点を有する。例えば、1pg/mL〜1000pg/mL程度の微量の生体関連物質も検出することができる。一方、図3(a)に示すような、蛍光色素を直接あるいはリンカーを介して一つずつ抗体Bに結合させた蛍光標識複合体は、一つの抗体Bに結合させることができる蛍光色素の数が限られるが、調製が容易であるという利点を有する。
本発明において蛍光色素は、従来公知のものを用いることができ、例えば、フルオロセイン、ローダミン、アレクサ等を挙げることができる。
検出対象の生体関連物質が複数種類である場合には、抗体A同様、抗体Bとして、これら生体関連物質の種類に対応して複数種類の抗体を用いても良い。この場合、生体関連物質の種類に対応して、複数種類の蛍光色素を用いると、生体関連物質を種類ごとに検出できるので好適である。
以下、図4を参照しながら、本発明の検出方法の手順について詳しく説明する。
図4は、微粒子状の支持体からなる固相支持体を用いた場合の、本発明の検出方法の手順を例示する図である。なお、これまでに説明したものと同一の構成要素については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図4は、微粒子状の支持体からなる固相支持体を用いた場合の、本発明の検出方法の手順を例示する図である。なお、これまでに説明したものと同一の構成要素については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本発明の生体関連物質の検出方法においては、まず、生体関連物質を含有している可能性のある試料と、抗体Aを支持体上に有する前記固相支持体と、抗体Bを有する前記蛍光標識複合体とを混合する。図4(a)には、検出対象の生体関連物質40と、検出対象ではないその他の第一の成分41および第二の成分42を含有する試料4を示している。
該試料4と、微粒子状の支持体10に抗体A11が固定化された固相支持体1と、抗体B37および複数の蛍光色素30を有する蛍光標識複合体3とを混合すると、図4(b)に示すように、溶液中において、生体関連物質40に、固相支持体1中の特異的認識部位110および蛍光標識複合体3中の特異的認識部位301がそれぞれ結合する。このようにして、生体関連物質40を介して固相支持体1および蛍光標識複合体3が結合され、生体関連物質複合体5が形成される。固相支持体1中の特異的認識部位110および蛍光標識複合体3中の特異的認識部位301が互いに、生体関連物質40の異なる部位を特異的に認識するために、生体関連物質複合体5の形成が可能となっている。また、生体関連物質複合体5としては、結合されている蛍光標識複合体3の数が異なるものが存在し得る。
もし、試料中に生体関連物質が含有されていなければ、生体関連物質複合体も形成されない。
混合の方法は特に限定されないが、蛍光標識複合体3は溶液として、固相支持体1は分散液として、それぞれ用いることが好ましい。
また、混合は溶液中で行うことが好ましい。そして、この時用いる溶液は、水溶液が好ましく、緩衝液がより好ましい。緩衝液としては、例えば、PBS、HEPES、Tris−HCl、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等が挙げられる。
混合時の温度は20〜37℃であることが好ましい。また、固相支持体1と蛍光標識複合体3は、固相支持体1中の特異的認識部位110および蛍光標識複合体3中の特異的認識部位301の数がそれぞれ、生体関連物質40の数に対して小過剰となるように用いることが好ましい。
また、混合は溶液中で行うことが好ましい。そして、この時用いる溶液は、水溶液が好ましく、緩衝液がより好ましい。緩衝液としては、例えば、PBS、HEPES、Tris−HCl、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等が挙げられる。
混合時の温度は20〜37℃であることが好ましい。また、固相支持体1と蛍光標識複合体3は、固相支持体1中の特異的認識部位110および蛍光標識複合体3中の特異的認識部位301の数がそれぞれ、生体関連物質40の数に対して小過剰となるように用いることが好ましい。
なお、ここでは図示を省略するが、先に述べたように、支持体が容器である固相支持体を用いた場合には、該固相支持体中の容器内に、生体関連物質を含有している可能性のある試料と、抗体Bを有する前記蛍光標識複合体を添加すれば良い。
混合を行った後は、生体関連物質40を介して固相支持体1に結合していない蛍光標識複合体3(以下、未結合複合体と略記することがある)を除去する。
図4に示すように、微粒子状の支持体からなる固相支持体1を用いた場合、混合を行う溶液に対して該固相支持体1は不溶性であり、生体関連物質40を介して蛍光標識複合体3が結合しても溶解しない。すなわち、生体関連物質複合体5は不溶性である。これに対して、蛍光標識複合体3が、混合を行った溶液に対して溶解するものであれば、混合後に遠心分離を行い、好ましくは次いで洗浄を行うことで、前記未結合複合体をBF分離して除去することができる。
図4に示すように、微粒子状の支持体からなる固相支持体1を用いた場合、混合を行う溶液に対して該固相支持体1は不溶性であり、生体関連物質40を介して蛍光標識複合体3が結合しても溶解しない。すなわち、生体関連物質複合体5は不溶性である。これに対して、蛍光標識複合体3が、混合を行った溶液に対して溶解するものであれば、混合後に遠心分離を行い、好ましくは次いで洗浄を行うことで、前記未結合複合体をBF分離して除去することができる。
一方、蛍光標識複合体が、混合を行う溶液に対して溶解しないものであれば、ここでは図示を省略するが、磁性微粒子からなる固相支持体を用いれば、生体関連物質複合体を、磁力を印加することで集めて上清と分離することができる。そして、さらに洗浄することが好ましい。このようにして、前記未結合複合体をBF分離して除去することができる。
また、磁性微粒子からなる固相支持体は、蛍光標識複合体の溶液に対する溶解性の如何によらず用いることができ、未結合複合体の除去をより容易に行うことができる。そして、微粒子状の支持体として、混合に用いる溶液よりも比重が大きいものを用いると、未結合複合体の除去をより容易に行うことができる。
一方、ここでは図示を省略するが、支持体が容器である固相支持体を用いた場合は、生体関連物質複合体は、容器に生体関連物質を介して蛍光標識複合体が固定化されたものになるので、上清を除去し、好ましくは次いで容器を洗浄することで、未結合複合体をBF分離して容易に除去することができる。
また、もし試料中に生体関連物質が含有されていなければ、生体関連物質複合体も形成されないので、用いた蛍光標識複合体はすべて除去される。
本発明においては、未結合複合体の除去に際して、蛍光色素30は、生体関連物質複合体5中に存在するもの以外は、生体関連物質複合体5と共に残存しないようにする。すなわち、蛍光色素30が、蛍光標識複合体3から遊離していなければ、少なくとも未結合複合体が除去されていれば良い。ただし、検出精度をより高くするためには、図4(c)に示すように、生体関連物質複合体5以外の夾雑物はすべて除去しておくことが好ましい。
未結合複合体を除去した後は、残存物に対して蛍光標識複合体3を分解する処理を行う。これにより、試料中に生体関連物質が含有されていれば、残存物は生体関連物質複合体5を含有するので、生体関連物質複合体5中の蛍光標識複合体3が分解される。この時、一分解物あたりの蛍光色素数の上限は特に限定されないが、蛍光色素1〜数個を有する単位にまで蛍光標識複合体3を分解することで、蛍光色素の検出を容易に行うことができる。
図4(d)は分解処理後の溶液を示しており、ここでは溶液中に、蛍光色素30のみを図示しているが、実際には、蛍光色素30は単独ではなく、蛍光標識複合体3の分解断片に結合された状態で多数存在している。そして、ここでは図示を省略しているが、蛍光色素30が結合されていない蛍光標識複合体3の分解断片、あるいは固相支持体1などが含まれた溶液を、この後の測定に供しても良い。また、固相支持体1は測定の前にろ過等により除去しても良い。
例えば、蛍光色素が抗体Bに直接あるいはリンカーを介して結合されている場合(図3(a)参照)、抗体Bが蛍光標識二次抗体で標識されている場合(図3(b)参照)、蛍光色素が結合されたタンパク質、ペプチド、抗体あるいはこれらの類縁体で抗体Bが標識されている場合(図3(c)〜(e)参照)など、蛍光色素がタンパク質、ペプチド、抗体あるいはこれらの類縁体に結合されている蛍光標識複合体を分解する場合には、一般的にタンパク質またはペプチドの分解に用いられている手法を適用すれば良い。具体的には、例えば、タンパク質分解酵素を用いた分解反応、酸もしくはアルカリを用いた加水分解反応を行えば良い。
また、蛍光色素が結合されたポリマーで抗体Bが標識されている場合(図3(f)参照)など、蛍光色素がタンパク質、ペプチド、抗体あるいはこれらの類縁体以外の高分子化合物に結合されている、蛍光標識複合体を分解する場合には、このような高分子化合物中の、切断する結合の種類に応じて、一般的に用いられている手法を適用すれば良い。具体的には、例えば、アミド結合を分解する場合には、酸またはアルカリを用いた加水分解反応を行えば良い。
分解に用いるタンパク質分解酵素としては、細菌、動物および植物から抽出された全てのプロテアーゼを挙げることができる。なかでも好ましいものとして、プロテアーゼK、プロテアーゼS、プロテアーゼA,ペプチザイム、ブロメライン、パパイン等を挙げることができる。
分解に用いる酸は特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸を挙げることができる。
また、分解に用いるアルカリも特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリを挙げることができる。
また、分解に用いるアルカリも特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリを挙げることができる。
蛍光標識複合体3の分解は、未結合複合体を除去した後の残存物を変性処理してから行うことが好ましい。変性処理は、例えば、通常の緩衝液中における加熱処理により行うことができる。緩衝液としては、種々のものを用いることができるが、例えば、6Mグアニジン−塩酸,50mMトリス−塩酸(pH8),2−5mM DTTを成分とする緩衝液を挙げることができ、該緩衝液を用いて、95℃で15分間、60℃で45分間加熱処理する方法が挙げられる。しかし、本発明ではこれに限定されず、種々の緩衝液を用いて、種々の加熱条件下で変性処理を行うことができ、状況により適宜選択すれば良い。
蛍光標識複合体3の分解は、生体関連物質複合体5を含有する液を濃縮してから行うことが好ましい。得られた分解反応液を蛍光測定に供した場合、分解反応液中の蛍光色素の濃度を高めることができるので、蛍光測定を容易に行うことができる。濃縮度は、分解に供する液、分解方法、生体関連物質の検出方法等を考慮して、適宜調整すれば良い。また、濃縮方法は、溶媒の減圧留去など従来公知の種々の方法を適用することができるが、溶媒が水である場合には、例えば、凍結乾燥後に濃度調整を行う方法でも良い。
一方、ここでは図示を省略するが、支持体が容器である固相支持体を用いた場合も、同様に分解処理を行うことができる。濃縮を行う時は、該固相支持体中の容器内の液を濃縮すれば良い。
また、もし試料中に生体関連物質が含有されていなければ、前記分解処理を行う段階で、残存物中に蛍光標識複合体は存在しないので、分解処理後の反応液中にも蛍光色素は存在しない。
ここでは主に、微粒子状の支持体からなる固相支持体、および図3に例示する蛍光標識複合体をそれぞれ用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、先に述べた種々の固相支持体あるいは蛍光標識複合体を用いることができる。
また、ここでは、生体関連物質を含有している可能性のある試料と、抗体Aを支持体上に有する固相支持体と、抗体Bを有しかつ蛍光色素で標識された蛍光標識複合体とを混合する方法(第一の実施形態)について説明したが、本発明では、他の実施形態として、生体関連物質を含有している可能性のある試料と、抗体Aを支持体上に有する固相支持体と、抗体Bとを混合してから、該抗体Bと結合する蛍光色素標識体を混合して、蛍光標識複合体を形成させても良い(第二の実施形態)。すなわち、調製済みの蛍光標識複合体を用いて前記試料および固相支持体との混合に供しても良いし、前記試料、固相支持体および抗体Bとを混合してから、さらに抗体Bと結合する蛍光色素標識体を混合することで蛍光標識複合体を形成させても良い。ここで、蛍光色素標識体とは、蛍光色素を含み抗体Bに結合可能なものであれば特に限定されない。第二の実施形態は、例えば、先に述べたように、蛍光標識複合体として、抗体Bが蛍光標識二次抗体で標識されたものを用いる場合(図3(b)参照)に好適である。この場合、混合に供する蛍光色素標識体は、蛍光標識二次抗体である。ただし、第二の実施形態はこれに限定されるものではなく、前記試料、固相支持体および抗体Bとの混合後にさらに蛍光色素標識体を混合することで蛍光標識複合体を形成できるのであれば、いかなる形態でも良い。そして、第二の実施形態では、蛍光標識複合体ではなく、抗体Bおよび蛍光色素標識体を別途混合すること以外は、第一の実施形態と同様に行うことができる。
分解処理を行った後は、該分解処理物由来の蛍光色素の数および/または総蛍光量を測定する。これら蛍光測定は従来公知の方法で行うことができる。蛍光色素の数および総蛍光量の双方を測定すれば、測定精度をより高めることができる。
蛍光測定に際しては、分解処理後の反応液をそのまま測定に供しても良いし、各種処理を行ってから測定に供しても良い。
そして、本蛍光測定においても、測定に供する液は、濃縮しておくことが好ましい。例えば、分解反応液を1/10程度に濃縮してから蛍光測定に供すれば、蛍光色素の濃度を約10倍にすることが可能であり、蛍光測定をより容易に行うことができる。
そして、本蛍光測定においても、測定に供する液は、濃縮しておくことが好ましい。例えば、分解反応液を1/10程度に濃縮してから蛍光測定に供すれば、蛍光色素の濃度を約10倍にすることが可能であり、蛍光測定をより容易に行うことができる。
蛍光色素の数を測定する方法としては、例えば、蛍光強度分布法(FIDA)、蛍光相関分光法(FCS)、蛍光強度分布−偏光度測定法(FIDA−polarization)等を好ましいものとして挙げることができる。これら測定は、例えば、1分子蛍光分析システムMF20(商品名;オリンパス株式会社製)を用いて行うことができる。
そして、総蛍光量を測定する手法としては、例えば、FIDA、FCS、FIDA−polarizationに加えて、蛍光偏光度測定法および蛍光測定法等を好ましいものとして挙げることができる。
そして、総蛍光量を測定する手法としては、例えば、FIDA、FCS、FIDA−polarizationに加えて、蛍光偏光度測定法および蛍光測定法等を好ましいものとして挙げることができる。
蛍光測定結果から、対象となる生体関連物質を検出することができる。具体的には、例えば、既知濃度の蛍光色素含有液の蛍光分子数および/または総蛍光量を測定して、この測定結果から検量線を作成し、この検量線と、前記蛍光測定で得られた分解処理物由来の蛍光色素の数および/または総蛍光量とから、前記固相支持体および蛍光標識複合体との混合に供した試料中の生体関連物質を検出することができる。
もし、試料中に生体関連物質が含有されていなければ、測定時に蛍光シグナルが検出されない。従って、蛍光シグナルの有無により、試料中の生体関連物質の有無を判断することができる。
ここまで説明したように、本発明によれば、試料中の生体関連物質を高感度かつ高精度に検出することができる。そして、好ましくは1分子蛍光分析システムや蛍光プレートリーダー等を用いることで、多数の試料も短時間で安価に処理することができるので、本発明はスクリーニング解析にも好適である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]微粒子状の支持体からなる固相支持体を用いたトランスフェリンの検出
(微粒子状の支持体上に抗体Aが固定化された固相支持体の調製)
COOH Coated Microspheres0.43μm(商品名;Bangs Laboratories社製)を125μL取り、4000xgで10分間遠心処理を行い、上清を除去して精製ビーズを得た。
PolyLink Protein Coupling Kit for COOH Microparticles(商品名;Bangs Laboratories社製)のキットを用い、精製ビーズとAnti−human transferrin #303−06661(商品名;株式会社日本バイオテスト研究所製)200μg,とを、EDACおよびSulfo−NHSを用いて反応させ、抗トランスフェリンビーズ含有液200μLを得た。
[実施例1]微粒子状の支持体からなる固相支持体を用いたトランスフェリンの検出
(微粒子状の支持体上に抗体Aが固定化された固相支持体の調製)
COOH Coated Microspheres0.43μm(商品名;Bangs Laboratories社製)を125μL取り、4000xgで10分間遠心処理を行い、上清を除去して精製ビーズを得た。
PolyLink Protein Coupling Kit for COOH Microparticles(商品名;Bangs Laboratories社製)のキットを用い、精製ビーズとAnti−human transferrin #303−06661(商品名;株式会社日本バイオテスト研究所製)200μg,とを、EDACおよびSulfo−NHSを用いて反応させ、抗トランスフェリンビーズ含有液200μLを得た。
(固相支持体と生体関連物質との結合)
得られた抗トランスフェリンビーズ含有液10μLを、トランスフェリン溶液10μL、10%BSA30μLおよびPBS50μLと混合し、総液量100μLとした。この時、トランスフェリン溶液として5種類の異なる濃度のものを用い、トランスフェリンの最終濃度が0、1、10、100、1000ng/mLとなるように調整した。
そして、室温で45分間撹拌した後、tween20を0.05%含有するPBSを1mL添加して20000×Gで5分間遠心処理を行い、上清を除去する洗浄操作を三回繰り返して、抗トランスフェリンビーズにトランスフェリンが結合した複合体(I)を得た。
得られた抗トランスフェリンビーズ含有液10μLを、トランスフェリン溶液10μL、10%BSA30μLおよびPBS50μLと混合し、総液量100μLとした。この時、トランスフェリン溶液として5種類の異なる濃度のものを用い、トランスフェリンの最終濃度が0、1、10、100、1000ng/mLとなるように調整した。
そして、室温で45分間撹拌した後、tween20を0.05%含有するPBSを1mL添加して20000×Gで5分間遠心処理を行い、上清を除去する洗浄操作を三回繰り返して、抗トランスフェリンビーズにトランスフェリンが結合した複合体(I)を得た。
(抗体Bの固相支持体への結合)
得られた複合体(I)に、抗トランスフェリン抗体from goat(0.1mg/mL)BETHYL A80−128A(商品名;BETHYL Laboratories社製)1μL、10%BSA30μLおよびPBS69μLを添加し、総液量100μLとした。
そして、室温で45分間撹拌した後、tween20を0.05%含有するPBSを1mL添加して20000×Gで5分間遠心処理を行い、上清を除去する洗浄操作を三回繰り返して、トランスフェリンを介して抗トランスフェリン抗体が抗トランスフェリンビーズに結合した複合体(II)を得た。
得られた複合体(I)に、抗トランスフェリン抗体from goat(0.1mg/mL)BETHYL A80−128A(商品名;BETHYL Laboratories社製)1μL、10%BSA30μLおよびPBS69μLを添加し、総液量100μLとした。
そして、室温で45分間撹拌した後、tween20を0.05%含有するPBSを1mL添加して20000×Gで5分間遠心処理を行い、上清を除去する洗浄操作を三回繰り返して、トランスフェリンを介して抗トランスフェリン抗体が抗トランスフェリンビーズに結合した複合体(II)を得た。
(生体関連物質複合体の調製)
得られた複合体(II)に、二次抗体である抗ヤギ抗体−Alexa488(0.2mg/mL)Molecular probe A21467(商品名;Molecular probes社製)1μL、10%BSA30μLおよびPBS69μLを添加し、総液量100μLとした。
そして、室温で45分間撹拌した後、tween20を0.05%含有するPBSを1mL添加して20000×Gで5分間遠心処理を行い、上清を除去する洗浄操作を三回繰り返して、トランスフェリンを介して抗トランスフェリン抗体を有する蛍光標識複合体が抗トランスフェリンビーズに結合した、生体関連物質複合体を得た。
得られた複合体(II)に、二次抗体である抗ヤギ抗体−Alexa488(0.2mg/mL)Molecular probe A21467(商品名;Molecular probes社製)1μL、10%BSA30μLおよびPBS69μLを添加し、総液量100μLとした。
そして、室温で45分間撹拌した後、tween20を0.05%含有するPBSを1mL添加して20000×Gで5分間遠心処理を行い、上清を除去する洗浄操作を三回繰り返して、トランスフェリンを介して抗トランスフェリン抗体を有する蛍光標識複合体が抗トランスフェリンビーズに結合した、生体関連物質複合体を得た。
(変性)
得られた生体関連物質複合体に、変性緩衝液(6Mグアニジン−塩酸,50mMトリス−塩酸(pH8),2−5mM DTT)25μLを添加し、95℃で15分間、60℃で45分間加熱して、変性処理を行った。
得られた生体関連物質複合体に、変性緩衝液(6Mグアニジン−塩酸,50mMトリス−塩酸(pH8),2−5mM DTT)25μLを添加し、95℃で15分間、60℃で45分間加熱して、変性処理を行った。
(蛍光標識複合体の分解)
得られた変性処理液に、プロテアーゼK緩衝液(50mMトリス−塩酸(pH7.5), 5mM塩化カルシウム)75μLおよび5mMプロテアーゼK(Promega社製)4μLを添加し、37℃で1時間分解処理を行った。
得られた変性処理液に、プロテアーゼK緩衝液(50mMトリス−塩酸(pH7.5), 5mM塩化カルシウム)75μLおよび5mMプロテアーゼK(Promega社製)4μLを添加し、37℃で1時間分解処理を行った。
(トランスフェリンの検出)
得られた分解処理液を、PBSを用いて10倍に希釈して、1分子蛍光分析システムMF20(商品名;オリンパス株式会社製)を用いて、以下に示す条件で蛍光色素の数および総蛍光量を測定した。この時得られたグラフを図5に示す。図5(a)は、トランスフェリン濃度と、蛍光色素の数の検出値との関係を示すグラフであり、図5(b)は、トランスフェリン濃度と、総蛍光量の検出値との関係を示すグラフである。
測定条件;
レーザー波長:488nm
レーザーパワー:100μW
測定時間:2秒×5回
測定モード:FIDA
ビームスキャナー:1800rpm
得られた分解処理液を、PBSを用いて10倍に希釈して、1分子蛍光分析システムMF20(商品名;オリンパス株式会社製)を用いて、以下に示す条件で蛍光色素の数および総蛍光量を測定した。この時得られたグラフを図5に示す。図5(a)は、トランスフェリン濃度と、蛍光色素の数の検出値との関係を示すグラフであり、図5(b)は、トランスフェリン濃度と、総蛍光量の検出値との関係を示すグラフである。
測定条件;
レーザー波長:488nm
レーザーパワー:100μW
測定時間:2秒×5回
測定モード:FIDA
ビームスキャナー:1800rpm
図5のグラフから明らかな通り、トランスフェリンの濃度が1ng/mL〜1000ng/mL(12pM〜12nM)の範囲では、トランスフェリンの濃度の増加に伴い蛍光色素の数および総蛍光量はいずれも増加していた。このように、本発明の検出方法を用いることで、従来の1分子蛍光分析法では検出することができなかった0.5nM以下の低濃度の成分を検出することができた。さらに、ビーズ状の固相支持体を用いることで、洗浄の工程を容易にかつ確実に行うことができ、手順を簡略化することができた。
なお、ここでは示していないが、トランスフェリンの定量は以下のように行うことができる。すなわち、いくつかの既知濃度のトランスフェリンを上記のように調製し、それぞれのトランスフェリン濃度における蛍光分子数および/または総蛍光量の検出値から検量線を作成する。そして、既知濃度のトランスフェリンの調製と同時に定量したい試料を調製し、その試料の蛍光分子数および/または総蛍光量の検出値を検量線に当てはめることで、その試料中のトランスフェリンを定量することができる。
なお、ここでは示していないが、トランスフェリンの定量は以下のように行うことができる。すなわち、いくつかの既知濃度のトランスフェリンを上記のように調製し、それぞれのトランスフェリン濃度における蛍光分子数および/または総蛍光量の検出値から検量線を作成する。そして、既知濃度のトランスフェリンの調製と同時に定量したい試料を調製し、その試料の蛍光分子数および/または総蛍光量の検出値を検量線に当てはめることで、その試料中のトランスフェリンを定量することができる。
[実施例2]支持体が容器である固相支持体を用いたトランスフェリンの検出
(容器内に抗体Aが固定化された固相支持体の調製)
ポリスチレン製96ウェルイムノプレートの各ウェルに、抗体溶液である20μg/mL Anti−human transferrin #303−06661(商品名;株式会社日本バイオテスト研究所製)50μLを加えて、37℃で1時間インキュベートして固相させた。次いで、PBSで2回洗浄後、3%BSA/PBSを50μL加え、37℃で1時間インキュベートしてブロッキングを行った。そして、PBSで2回洗浄したものを抗トランスフェリン固相プレートとした。
(容器内に抗体Aが固定化された固相支持体の調製)
ポリスチレン製96ウェルイムノプレートの各ウェルに、抗体溶液である20μg/mL Anti−human transferrin #303−06661(商品名;株式会社日本バイオテスト研究所製)50μLを加えて、37℃で1時間インキュベートして固相させた。次いで、PBSで2回洗浄後、3%BSA/PBSを50μL加え、37℃で1時間インキュベートしてブロッキングを行った。そして、PBSで2回洗浄したものを抗トランスフェリン固相プレートとした。
(固相支持体と生体関連物質との結合)
3%BSA/PBSで希釈したトランスフェリン溶液50μLを各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。この時、トランスフェリンの最終濃度が0、1、10、100、1000ng/mLとなるように調整した。次いで、PBSで4回洗浄し、抗トランスフェリン固相プレートにトランスフェリンが結合した複合体(III)を得た。
3%BSA/PBSで希釈したトランスフェリン溶液50μLを各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。この時、トランスフェリンの最終濃度が0、1、10、100、1000ng/mLとなるように調整した。次いで、PBSで4回洗浄し、抗トランスフェリン固相プレートにトランスフェリンが結合した複合体(III)を得た。
(抗体Bの固相支持体への結合)
得られた複合体(III)に、3%BSA/PBSで希釈した1μg/mLの抗トランスフェリン抗体from goat BETHYL A80−128A(商品名;BETHYL Laboratories社製)50μLをウェル添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、PBSで4回洗浄し、トランスフェリンを介して抗トランスフェリン抗体が抗トランスフェリン固相プレートに結合した複合体(IV)を得た。
得られた複合体(III)に、3%BSA/PBSで希釈した1μg/mLの抗トランスフェリン抗体from goat BETHYL A80−128A(商品名;BETHYL Laboratories社製)50μLをウェル添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、PBSで4回洗浄し、トランスフェリンを介して抗トランスフェリン抗体が抗トランスフェリン固相プレートに結合した複合体(IV)を得た。
(生体関連物質複合体の調製)
得られた複合体(IV)に、3%BSA/PBSで希釈した2μg/mLの二次抗体である抗ヤギ抗体−Alexa488 Molecular probe A21467(商品名;Molecular probes社製)溶液50μLをウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、PBSで4回洗浄し、トランスフェリンを介して抗トランスフェリン抗体を有する蛍光標識複合体が抗トランスフェリン固相プレートに結合した、生体関連物質複合体を得た。
得られた複合体(IV)に、3%BSA/PBSで希釈した2μg/mLの二次抗体である抗ヤギ抗体−Alexa488 Molecular probe A21467(商品名;Molecular probes社製)溶液50μLをウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、PBSで4回洗浄し、トランスフェリンを介して抗トランスフェリン抗体を有する蛍光標識複合体が抗トランスフェリン固相プレートに結合した、生体関連物質複合体を得た。
(変性)
得られた生体関連物質複合体に、変性緩衝液(6Mグアニジン−塩酸,50mMトリス−塩酸(pH8),2−5mM DTT)25μLを添加し、95℃で15分間、60℃で45分間加熱して、変性処理を行った。
得られた生体関連物質複合体に、変性緩衝液(6Mグアニジン−塩酸,50mMトリス−塩酸(pH8),2−5mM DTT)25μLを添加し、95℃で15分間、60℃で45分間加熱して、変性処理を行った。
(蛍光標識複合体の分解)
得られた変性処理液に、プロテアーゼK緩衝液(50mMトリス−塩酸(pH7.5), 5mM塩化カルシウム)75μLおよび5mMプロテアーゼK(Promega社製)4μLを添加し、37℃で1時間分解処理を行った。
得られた変性処理液に、プロテアーゼK緩衝液(50mMトリス−塩酸(pH7.5), 5mM塩化カルシウム)75μLおよび5mMプロテアーゼK(Promega社製)4μLを添加し、37℃で1時間分解処理を行った。
(トランスフェリンの検出)
得られた分解処理液を、PBSを用いて10倍に希釈して、1分子蛍光分析システムMF20(商品名;オリンパス株式会社製)を用いて、以下に示す条件で蛍光色素の数および総蛍光量を測定した。
測定条件;
レーザー波長:488nm
レーザーパワー:100μW
測定時間:2秒×5回
測定モード:FIDA
ビームスキャナー:1800rpm
得られた分解処理液を、PBSを用いて10倍に希釈して、1分子蛍光分析システムMF20(商品名;オリンパス株式会社製)を用いて、以下に示す条件で蛍光色素の数および総蛍光量を測定した。
測定条件;
レーザー波長:488nm
レーザーパワー:100μW
測定時間:2秒×5回
測定モード:FIDA
ビームスキャナー:1800rpm
実施例1と同様に、トランスフェリンの濃度が1ng/mL〜1000ng/mL(12pM〜12nM)の範囲では、トランスフェリンの濃度の増加に伴い蛍光色素の数および総蛍光量はいずれも増加していた(図示略)。このように、本発明の検出方法を用いることで、従来の1分子蛍光分析法では検出困難であった低濃度の成分を検出することができた。さらに、支持体が容器である固相支持体を用いることで、洗浄の工程を容易にかつ確実に行うことができ、手順を簡略化することができた。また、固相支持体として、市販の96ウェルイムノプレートを用いることで、低コストで検出を行うことができた。
なお、ここでは示していないが、実施例1で述べた方法と同様の方法で、試料中のトランスフェリンを定量することができる。
なお、ここでは示していないが、実施例1で述べた方法と同様の方法で、試料中のトランスフェリンを定量することができる。
従来の一分子蛍光分析法では、トランスフェリン検出系において、40ng/mL以下のトランスフェリンの検出を行うことは困難であった。これに対して本発明では、FIDAを用いて、トランスフェリン検出系において、1ng/mL〜1000ng/mLにおけるトランスフェリンの検出を高精度に行えることが実施例1および2から確認された。また、ELISA法では2桁のダイナミックレンジであるのに対し、本発明では3桁のダイナミックレンジを得ることができた。
本発明は、臨床検査、衛生検査および生化学研究の分野において、生体試料の解析に有用である。
1、2・・・固相支持体、3、31、32、33、34・・・蛍光標識複合体、10・・・支持体、11・・・抗体A、30・・・蛍光色素、37・・・抗体B、40・・・生体関連物質
Claims (5)
- 生体関連物質を含有している可能性のある試料と、該生体関連物質に特異的に結合する抗体Aを支持体上に有する固相支持体と、前記抗体Aが結合する部位とは異なる部位で該生体関連物質に特異的に結合する抗体Bを有しかつ蛍光色素で標識された蛍光標識複合体とを混合した後、
あるいは生体関連物質を含有している可能性のある試料と、該生体関連物質に特異的に結合する抗体Aを支持体上に有する固相支持体と、前記抗体Aが結合する部位とは異なる部位で該生体関連物質に特異的に結合する抗体Bとを混合してから、該抗体Bと結合する蛍光色素標識体を混合して、前記抗体Bおよび前記蛍光色素を有する蛍光標識複合体を形成した後、
生体関連物質を介して固相支持体に結合していない前記蛍光標識複合体を除去し、次いで残存物に対して前記蛍光標識複合体を分解する処理を行ってから、該分解処理物由来の蛍光色素の数および/または総蛍光量を測定することを特徴とする生体関連物質の検出方法。 - 前記分解処理を、タンパク質分解酵素、酸およびアルカリのいずれかを用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の生体関連物質の検出方法。
- 前記蛍光標識複合体が、複数の蛍光色素で標識されていることを特徴とする請求項1または2に記載の生体関連物質の検出方法。
- 前記固相支持体の支持体が、微粒子状または容器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体関連物質の検出方法。
- 蛍光強度分布法、蛍光相関分光法、蛍光強度分布−偏光度測定法、蛍光偏光度測定法および蛍光測定法のいずれかで、前記蛍光色素の数または総蛍光量を測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体関連物質の検出方法。
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US9354176B2 (en) | 2011-08-11 | 2016-05-31 | Olympus Corporation | Method for detecting a target particle |
US9428796B2 (en) | 2012-02-22 | 2016-08-30 | Olympus Corporation | Method for detecting a target particle |
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-
2006
- 2006-09-29 JP JP2006266425A patent/JP2008058285A/ja not_active Withdrawn
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